JP5059075B2 - タイヤ試験装置の空気圧回路、タイヤ試験装置及びタイヤ試験方法 - Google Patents
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Description
特許文献1のタイヤ試験装置は、リム上に着座するタイヤに対して工場空気源から供給された圧縮空気を圧力調整して供給する空気圧回路を備えており、タイヤを膨らませた後でタイヤ試験を行うものである。この空気圧回路は、途中で分岐した2系統の配管を備えている。その1つはタイヤを短時間で膨らまし、タイヤをリムに装着するビードシート系統の配管であり、もう1つがタイヤを試験する際に用いられるテスト系統の配管である。そして、これらのビードシート系統の配管とテスト系統の配管とを切替弁を用いて切り替えることで、空気圧回路は2系統の配管経路でタイヤを膨らますことができるようになっている。
また、本発明は、低コストで精度良くユニフォーミティを計測できるタイヤ試験装置及びタイヤ試験方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のタイヤ試験装置の空気圧回路は、一対のリム間に装着されるタイヤに空気を供給する空気供給源を備えたタイヤ試験装置の空気圧回路において、前記空気供給源からタイヤに供給される空気の温度を、所定温度に調整可能な空気温度調整機構を備えており、前記空気供給源からタイヤに供給される空気の圧力を、前記タイヤを膨らませてリムに装着するためのビード空気圧又はこのビード空気圧より低圧でタイヤ試験時に用いるテスト空気圧に調整する圧力調整弁を備え、前記空気温度調整機構は、前記ビード空気圧でタイヤに供給される空気の温度を、外気温度を下回る温度に冷却可能に構成されていることを特徴とするものである。
ここで、タイヤ試験中の圧力低下を詳しく説明する。
常温の圧縮空気がビード空気圧でタイヤに流入する際、もともとタイヤ内に存在した空気は圧縮されて断熱圧縮により温度上昇し、タイヤ内の空気が高温になる。その後、ビード空気圧からテスト空気圧に移行するときにタイヤ内圧力は急激に下がり断熱膨張によりタイヤ内空気の温度は低下する。しかし、もともとの温度上昇量が大きいために、タイヤ内の空気の最終温度は一般に常温であるタイヤやリムの温度よりも高くなる。その結果、タイヤ試験中にタイヤ内空気の熱がタイヤやリムに伝熱して、タイヤ内部の空気温度が低下する。
ここで、体積変化は少ないと考えると、ボイルシャルルの法則(圧力と体積の積を絶対温度で割った値は一定)より、圧力は、200kPa×1K/297K=0.7kPa低下する。また、テスト空気圧に移行した際のタイヤ内の空気温度が、リムやタイヤ温度(外気温度)よりも高ければ高いほど、計測時間中の温度変化量が増加して、圧力の変化量が増加することもわかる。
これにより、計測時間中のタイヤ内空気の温度変化がなくなり、タイヤ試験中に生じる空気圧の変動を抑えることができる。
このようにタンクと熱交換器とを設けることで、大量の空気をタンク内にためて、その中で熱交換器によって予め空気を冷却しておくことができる。つまり、大量の冷却空気を瞬間的に高圧でタイヤに送り込んで急激にタイヤを膨らませることができ、タイヤとリムのフィッティング特性(密着性)を高めることが可能となる。
このようにタンクと排気手段とを設ければ、タンク内でビード空気圧より高圧な空気を容易に保持しながら、タイヤに空気を供給する前に、その空気を排気手段で排気して圧力をビード空気圧まで低下させることにより、断熱膨張の原理でタンク内の空気全体の温度を一気に冷却することができ、熱交換器などの特別な機構を用いることなく簡便な構造で大量の冷却された空気を得ることができる。
ヤに前記ビード空気圧より低圧なテスト空気圧に調整された空気を供給した状態で前記タイヤの特性を計測するタイヤ試験方法において、前記ビード空気圧でタイヤに供給される空気の温度を、外気温度を下回る温度に冷却していることを特徴とする。
第1実施形態の空気圧回路1及びこの空気圧回路1が設けられたタイヤ試験装置2を図面に基づき以降に説明する。
本発明のタイヤ試験装置2は、製品上がりのタイヤTに対してユニフォーミティなどの製品検査を行うものであり、本実施形態ではタイヤ試験装置2としてユニフォーミティマシンが用いられている。このようなタイヤ試験装置2は、例えば図1に示されるような構成となっている。
タイヤ試験装置2のタイヤ軸4、5は、フレーム3の上側に設けられる上タイヤ軸4と、この上タイヤ軸4と同軸に配備されると共に下方に距離をあけて昇降自在に設けられる下タイヤ軸5とを有している。上タイヤ軸4の下端には上リム6が、また下タイヤ軸5の上端には下リム7が設けられており、上下タイヤ軸4、5を互いに接近させることで上下リム6、7間にタイヤTを挟み込んで固定できるようになっている。
ところで、上述のようなタイヤ試験を行う際には、タイヤTを所定の空気圧に調整しておく必要がある。そこで、タイヤ試験装置2には、タイヤT内に圧縮空気を供給したりタイヤTから圧縮空気を排出したりしてタイヤT内の空気圧を調整する空気圧回路1が配備されている。
図2に示されるように、空気圧回路1の基本構成は、空気供給源10で発生した圧縮空気を所定の空気圧に調整してタイヤTに供給するものである。空気圧回路1は、タイヤTに至る経路を2系統備えている。その1つはタイヤTを短時間で膨らましてタイヤTのビードをリム6、7に押し付けるビードシート系統11であり、もう1つがタイヤTを試験する際に用いられるテスト系統12である。
これらの系統の配管については、ビードシート系統11を介して流通される圧縮空気は400kPa程度の空気圧(ビード空気圧)に調整され、テスト系統12を介して流通される圧縮空気はビードシート系統11より低い200kPa程度の空気圧(テスト空気圧)に調整されている。これらのビードシート系統11とテスト系統12とは、空気供給源10からタイヤTに至る途中で分岐し、それぞれの空気圧に調整された後、再び1つの配管合流するようになっている。
テスト系統12の経路は、上流側から下流側に向かって順番に、空気供給源10、圧力調整弁13、給排弁14、切替弁15、遮断弁16、圧力検知部17を備えている。また、ビードシート系統11の配管系路は、空気供給源10の下流側でテスト系統12の配管から分岐し、ビード圧調整弁22でビード空気圧に調整された後、切替弁15でテスト系統12と同じ配管に合流するようになっている。
空気供給源10で発生した高圧の圧縮空気は、ビード圧調整弁22によってビード空気圧(例えば400kPa)に減圧し、テスト圧調整弁13によってテスト空気圧(例えば200kPa)に減圧している。
本実施形態の切替弁15は、オン状態のときにビードシート系統11の配管からタイヤT内にビード空気圧に圧力調整された圧縮空気が供給され、作動していない(オフ状態の)ときにテスト系統12の配管からテスト空気圧に圧力調整された圧縮空気がタイヤT内に供給できるようになっている。
給排弁14は、テスト圧調整弁13の下流側に設けられた方向制御弁であり、弁の切替によりタイヤTへの給気とタイヤTからの排気(大気への放出)とを制御している。
ところで、このようにテスト圧調整弁13でタイヤT内に作用させる空気圧をテスト空気圧に圧力調整しても、タイヤ試験中にタイヤT内の空気圧が微小に変化してしまうことがある。このような空気圧の微小な変化は0.5kPa〜1kPaと小さいものであり、圧力調整精度が±0.1%(例えば、1000kPaを定格とする圧力レギュレータの場合であれば1kPa程度)しかないテスト圧調整弁13ではその調整は困難である。
次に、第1実施形態の空気温度調整機構21を詳しく説明する。
空気を供給して膨らませる前(つまり、リム6、7に装着する前)のタイヤTと、配管内(以後タイヤT内に含める)の空気の圧力をP1(大気圧)、空気温度をT1(常温)とし、空気供給源10から供給される空気圧力をPa(ビード空気圧)、空気温度をTaとする。
タイヤT内の空気の質量をmとおき、インフレーション時(空気の膨張時、以下「インフレ時」とする)に外部から出入りする熱は0とした断熱過程を考えると、エネルギの釣合は式(1)で表される。
式(3)をT2について整理すると、式(4)となる。
また、P1=100kPa(絶対圧)、T1=293K(絶対温度)、Pa=P2=500kPa(絶対圧)、Ta=293K(絶対温度)、γ=1.4とおくと、式(4)から、ビードシート時のタイヤT内温度T2は、107℃まで上昇することになる。
ビード空気圧時のタイヤT内空気の圧力と温度をP1、T1、テスト空気圧時のタイヤT内空気の圧力と温度をP2、T2とおくと、断熱膨張前後の圧力と温度の関係は、比熱比γを用いて式(5)で表される。
このテスト空気圧時のタイヤT内空気温度55℃は、外気温度20℃よりもかなり高い為に、タイヤ試験中にタイヤTのゴムや金属製のリム6、7に伝熱して空気温度は低下する。タイヤT内空気とタイヤT及びリム6、7との温度差があるほど、伝熱量は大きく、熱容量の小さいタイヤT内の空気の温度はどんどん低下しておき、それに応じてタイヤT内の圧力が低下していく。
そこで、本発明のタイヤ試験装置2では、空気供給源10からビード空気圧でタイヤTに供給される空気として、空気温度調整機構21によって外気温度を下回る温度まで冷却された空気を配管系統に流し込むことを特徴とするものである。
すなわち、タイヤ試験を行う際は、まずビードシート系統11の配管を介してタイヤT内の空気圧をビード空気圧に調整し、空気温度調整機構21によって外気温度を下回る温度まで冷却された空気(例えば、−20℃)を供給して、タイヤTを短時間で膨張させ、タイヤTのビード部をリム6、7に強固に装着する。
上述したようにタイヤTをリム6、7に装着させた際には、断熱膨張により、タイヤT内の空気温度が、空気温度調整機構21によって冷却された時の空気温度よりも上昇している(例えば、ビードシート空気圧下で67℃)。
このとき、タイヤT内の空気は断熱膨張するため、タイヤT内の空気温度は、ほぼ外気温度まで下がる(例えば、テスト空気圧下で21℃)。
その結果、式(5)により、圧力変化はほとんど発生しないこととなる。
つまり、空気供給源10からタイヤTに供給される空気を、外気温度を下回る温度まで冷却する空気温度調整機構21を設ければ、上述のとおり圧力レギュレータでは調整することが困難な空気圧な変動であっても抑制することができる。それゆえ、タイヤ試験中にタイヤTをテスト空気圧に維持することが可能となり、ユニフォーミティを精度良く計測することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の空気圧回路1及びこれを備えたタイヤ試験装置2について説明する。
また、第2実施形態の空気圧回路1において、空気供給源10は、ビード空気圧よりも高い圧力(例えば800kPa程度)の空気を供給可能となっている。
これら遮断弁31、32及びリリーフ弁33によって、排気手段24が構成されている。
ビード空気圧の空気をタイヤTに供給して膨らませる前までは、遮断弁31をオフにしておき、空気供給源10とタンク23とが繋がった状態とする。なお、遮断弁31、32はオフで遮断した状態である。
この時、タンク23内は外気温度の800kPaの高圧空気が入っている。
タイヤT内温度の計算例を次に示す。
なお、ビード空気圧はタンク23に設けたリリーフ弁33で調整されるため、図4のビード圧調整弁22は必ずしも必要はない。この場合、空気供給源10とタンク23が繋がっている時に、ビードシート系統11全体もその圧力となる。よって、リリーフ弁33での圧の開放により、ビードシート系統11の配管内全体の空気温度も冷却することが可能である。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
上記実施形態では、タイヤ試験装置2としてユニフォーミティマシンを例に挙げて本発明を説明した。しかし、本発明の空気圧回路1はユニフォーミティ以外の評価を行うタイヤ試験装置に用いることもできる。
2 タイヤ試験装置
3 フレーム
4 上タイヤ軸
5 下タイヤ軸
6 上リム
7 下リム
8 空気流路
9 空気供給口
10 空気供給源
11 ビードシート系統
12 テスト系統
13 圧力調整弁(テスト圧調整弁)
14 給排弁
15 切替弁
16 遮断弁
17 圧力検知部
18 エアフィルタ
19 圧力計
21 空気温度調整機構
22 ビード圧調整弁
23 タンク
24 排気手段
30 熱交換器
T タイヤ
Claims (5)
- 一対のリム間に装着されるタイヤに空気を供給する空気供給源を備えたタイヤ試験装置の空気圧回路において、
前記空気供給源からタイヤに供給される空気の温度を、所定温度に調整可能な空気温度調整機構を備えており、
前記空気供給源からタイヤに供給される空気の圧力を、前記タイヤを膨らませてリムに装着するためのビード空気圧又はこのビード空気圧より低圧でタイヤ試験時に用いるテスト空気圧に調整する圧力調整弁を備え、
前記空気温度調整機構は、前記ビード空気圧でタイヤに供給される空気の温度を、外気温度を下回る温度に冷却可能に構成されていることを特徴とするタイヤ試験装置の空気圧回路。 - 前記空気温度調整機構は、前記空気供給源からの空気を貯蔵可能なタンクと、このタンク内の空気を冷却する熱交換器とを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験装置の空気圧回路。
- 前記空気温度調整機構は、前記空気供給源からの空気を前記ビード空気圧より高圧な状態で貯蔵可能なタンクと、このタンク内の空気を、前記ビード空気圧でタイヤに供給する前に外部に排気して断熱膨張させる排気手段とを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験装置の空気圧回路。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気圧回路を備えていることを特徴とするタイヤ試験装置。
- 一対のリム間に装着されるタイヤにビード空気圧に調整された空気を供給することで前記タイヤを膨らませてリムに装着した後に、前記タイヤに前記ビード空気圧より低圧なテスト空気圧に調整された空気を供給した状態で前記タイヤの特性を計測するタイヤ試験方法において、
前記ビード空気圧でタイヤに供給される空気の温度を、外気温度を下回る温度に冷却していることを特徴とするタイヤ試験方法。
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