JP5014409B2 - タイヤ試験装置の空気圧回路、タイヤ試験装置及びタイヤ試験方法 - Google Patents
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Description
特許文献1のタイヤ試験装置は、リム上に着座するタイヤに対して工場空気源から供給された圧縮空気を圧力調整して供給する空気圧回路を備えており、タイヤを膨らませた後でタイヤ試験を行うものである。この空気圧回路は、途中で分岐した2系統の配管を備えている。その1つはタイヤを短時間で膨らまし、タイヤをリムに装着するビードシート系統の配管であり、もう1つがタイヤを試験する際に用いられるテスト系統の配管である。そして、これらのビードシート系統の配管とテスト系統の配管とを切替弁を用いて切り替えることで、空気圧回路は2系統の配管経路でタイヤを膨らますことができるようになっている。
また、本発明は、精度良くタイヤ試験を行うことができるタイヤ試験装置及びタイヤ試験方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のタイヤ試験装置の空気圧回路は、一対のリム間に装着されるタイヤに空気を供給する空気供給源を備えたタイヤ試験装置の空気圧回路において、前記空気供給源からタイヤに供給される空気の温度を外気温度よりも高くする空気昇温機構を備えていることを特徴とする。
ここで、タイヤ試験中の圧力上昇について詳しく説明する。
まず、タイヤの試験を行うに際して、従来の方法では、常温の空気をビード空気圧力でタイヤに流入させるため、もともとタイヤ内に存在していた空気は圧縮されて断熱圧縮により温度上昇し、タイヤ内の空気温度は高温となる。その後、ビード空気圧力を保持している間(ビード保持時間)は、タイヤ内の空気熱がタイヤやリムに伝熱するためにタイヤ内の空気温度は下降し、その結果、高温となっていたタイヤ内の空気温度は、常温よりも高温であるもののビード空気圧力でタイヤに流入させた直後に比べると低下する。ビード保持時間が長くなればなるほど、タイヤ内の空気温度の低下量は大きくなる。
例えば、タイヤや配管に200kPaの圧縮空気が0.05m封じ込められている場合、計測時間1秒の間にその空気温度が25℃から26℃に1℃上がると仮定する。
よって、最初のビードシート系統の高圧の空気を予め昇温しておき、ビード空気圧からテスト空気圧に移行したときの温度降下を補償することによって、タイヤ試験を行う際でのテスト空気圧の空気温度を外気温度付近にすることができる。
また、前記空気昇温機構は、前記空気供給源からの空気を貯蔵可能なタンクと、このタンク内の空気を加熱する熱交換器とを有している構成を採用することができる。
このようにタンクと熱交換器とを設けることで、大量の空気をタンク内にためて、その中で熱交換器によって予め空気を加熱しておくことができる。つまり、大量の加熱空気を瞬間的に高圧でタイヤに送り込んでタイヤを膨らませることができ、タイヤとリムのフィッティング特性(密着性)を高めることが可能となる。
本発明のタイヤ試験方法としては、一対のリム間に装着されるタイヤにビード空気圧に調整された空気を供給することで前記タイヤを膨らませてリムに装着した後に、前記タイヤに前記ビード空気圧より低圧なテスト空気圧に調整された空気を供給した状態で前記タイヤの特性を計測するタイヤ試験方法において、前記ビード空気圧でタイヤに供給される空気の温度を、外気温度よりも高くした上でタイヤに供給することを特徴とする。
にしておけば、タイヤ試験時におけるタイヤ内の空気圧の変動を抑えることができ、タイヤ試験を精度良く行うことができる。
なお、本発明に係る最も好ましいタイヤ試験装置の空気圧回路は、一対のリム間に装着されるタイヤに空気を供給する空気供給源を備えたタイヤ試験装置の空気圧回路において、前記空気供給源からビード空気圧にてタイヤに供給される空気を加熱して当該空気の温度を外気温度よりも高くする空気昇温機構を備えていることを特徴とする。
なお、本発明に係る最も好ましいタイヤ試験方法は、一対のリム間に装着されるタイヤに、ビード空気圧に調整され且つ当該タイヤに供給される空気を加熱して当該空気の温度を外気温度よりも高くした空気を供給することで前記タイヤを膨らませてリムに装着し、その後、前記タイヤに前記ビード空気圧より低圧なテスト空気圧に調整された空気を供給し、該供給した状態で前記タイヤの特性を計測することを特徴とする。
本発明のタイヤ試験装置2は、製品上がりのタイヤTに対してユニフォーミティなどの製品検査を行うものであり、本実施形態ではタイヤ試験装置2としてユニフォーミティマシンが用いられている。このようなタイヤ試験装置2は、例えば図1に示されるような構成となっている。
タイヤ試験装置2のタイヤ軸4、5は、フレーム3の上側に設けられる上タイヤ軸4と、この上タイヤ軸4と同軸に配備されると共に下方に距離をあけて昇降自在に設けられる下タイヤ軸5とを有している。上タイヤ軸4の下端には上リム6が、また下タイヤ軸5の上端には下リム7が設けられており、上下タイヤ軸4、5を互いに接近させることで上下リム6、7間にタイヤTを挟み込んで固定できるようになっている。
ところで、上述のようなタイヤ試験を行う際には、タイヤT内の空気圧を、所定の空気圧に調整しておく必要がある。そこで、タイヤ試験装置2には、タイヤT内に圧縮空気を供給したりタイヤTから圧縮空気を排出したりしてタイヤT内の空気圧を調整する空気圧回路1が配備されている。
図2に示されるように、空気圧回路1の基本構成は、空気供給源10で発生した圧縮空気を所定の空気圧に調整してタイヤTに供給するものである。空気圧回路1は、タイヤTに至る経路を2系統備えている。その1つはタイヤTを短時間で膨らましてタイヤTのビードをリム6、7に押し付けるビードシート系統11であり、もう1つがタイヤTを試験する際に用いられるテスト系統12である。
ビードシート系統11を介して流通される圧縮空気は400kPa程度の空気圧(ビード空気圧)に調整され、テスト系統12を介して流通される圧縮空気はビードシート系統11より低い200kPa程度の空気圧(テスト空気圧)に調整されている。これらのビードシート系統11とテスト系統12とは、空気供給源10からタイヤTに至る途中で分岐し、それぞれの空気圧に調整された後、再び1つの配管合流するようになっている。
図3に示すように、空気圧回路1を空気供給源10側(上流側)からタイヤ側(下流側)に追って見ると、当該空気圧回路1は空気昇温機構21の下流側で2系統に分岐していて、一方の経路がビードシート系統11の経路とされ、他方の経路がテスト系統12とされている。なお、空気供給源10から下流側に向かって分岐するまでの経路は、ビードシート系統11やテスト系統12内の空気圧を調整する空気を送るための共通の経路とされている。また、一端分岐したビードシート系統11及びテスト系統12は、切替弁15を介して合流していて当該経路は共通したものとなっている。
空気供給源10で発生した高圧の圧縮空気は、ビード圧調整弁22によってビード空気圧(例えば400kPa)に減圧される。
本実施形態の切替弁15は、オン状態のときにビードシート系統11の配管からタイヤT内にビード空気圧に圧力調整された圧縮空気が供給され、作動していない(オフ状態の)ときにテスト系統12の配管からテスト空気圧に圧力調整された圧縮空気がタイヤT内に供給できるようになっている。
給排弁14は、テスト圧調整弁13の下流側に設けられた方向制御弁であり、弁の切替によりタイヤTへの給気とタイヤTからの排気(大気への放出)とを制御している。
ところで、このようにテスト圧調整弁13でタイヤT内に作用させる空気圧をテスト空気圧に圧力調整しても、タイヤ試験中にタイヤT内の空気圧が微小に変化してしまうことがある。このような空気圧の微小な変化は0.5kPa〜1kPaと小さいものであり、圧力調整精度が±0.1%(例えば、1000kPaを定格とする圧力レギュレータの場合であれば1kPa程度)しかないテスト圧調整弁13ではその調整は困難である。
次に、実施形態の空気昇温機構21を詳しく説明する。
空気を供給して膨らませる前(つまり、リム6、7に装着する前)のタイヤTと、配管内(以後タイヤT内に含める)の空気の圧力をP1(大気圧)、空気温度をT1(常温)とし、空気供給源10から供給される空気圧力をPa(ビード空気圧)、空気温度をTaとする。
タイヤT内の空気の質量をmとおき、インフレーション時(空気の膨張時、以下「インフレ時」とする)に外部から出入りする熱は0とした断熱過程を考えると、エネルギの釣合は式(1)で表される。
式(3)をT2について整理すると、式(4)となる。
また、P1=100kPa(絶対圧)、T1=293K(絶対温度)、Pa=P2=500kPa(絶対圧)、Ta=293K(絶対温度)、γ=1.4とおくと、式(4)から、ビードシート時のタイヤT内温度T2は、107℃まで上昇することになる。
ビード空気圧時のタイヤT内空気の圧力と温度をP1、T1、テスト空気圧時のタイヤT内空気の圧力と温度をP2、T2とおくと、断熱膨張前後の圧力と温度の関係は、比熱比γを用いて式(5)で表される。
このテスト空気圧時のタイヤT内空気温度11℃は、外気温度20℃よりも低い状態にある。このように、タイヤT内空気温度が外気温度よりも低い状態でタイヤ試験を行うと、タイヤTのゴムや金属製のリム6、7の熱(常温となっているタイヤTのゴムや金属製のリム6、7)がタイヤT内に伝わり、タイヤ試験中にタイヤTの空気温度が上昇してしまう。その結果、タイヤ試験中でのタイヤT内の空気温度の上昇により、タイヤT内の空気圧力が上昇する、即ち、タイヤT内の空気圧力が変化してしまう。なお、タイヤT内の空気温度とタイヤT及びリム6、7との温度差があるほど、伝熱量は大きく、熱容量の小さいタイヤT内の空気の温度はどんどん上昇し、それに応じてタイヤT内の圧力が上昇していく。
空気供給源10からタイヤT内にビード空気圧(ゲージ圧で400kPa)で供給する空気温度をタンク23内にて熱交換器23によって上昇させ、タンク23内の空気温度を外気温度(常温)よりも+10℃とすると、上述したようにビード空気圧時(切換弁15の切り替え時)のタイヤT内の空気温度は67℃となる。この後、タイヤT内の空気圧力を、ビート空気圧からテスト空気圧の200kPa(ゲージ圧)まで下げると、タイヤT内温度は19.4℃となり、ほぼ外気温度となる。この場合、タイヤ試験時における温度変化は僅かであり、圧力変化はほとんど発生しないこととなる。
すなわち、タイヤ試験を行う際は、まずビードシート系統11の配管を介してタイヤT内の空気圧をビード空気圧に調整し、熱交換器23によって外気温度を上回る温度まで加熱した空気(例えば、30℃、外気温度よりも+10℃)を供給して、タイヤTを短時間で膨張させ、タイヤTのビード部をリム6、7に強固に装着する。
次に、給排弁14をオン状態、遮断弁16をオフ状態にしたまま切替弁15をオフ状態とし、圧縮空気の流路をテスト系統12に切り替えると共に、タイヤT内の空気を空気流路8外に排気する。また、テスト系統12の配管にはテスト圧調整弁13が設けられており、ビード空気圧にされていたタイヤT内の圧縮空気をテスト空気圧に切り替える。このとき、ビート空気圧からテスト空気圧に切り替える間は、タイヤTの空気の熱がタイヤTやリム6、7に伝熱するため、当該空気温度は次第に下がり、テスト空気圧に切り替えた直後のタイヤT内の空気温度は、67℃となる。
このように、外気温度よりも+10℃程度となる空気をタイヤTに供給しておけば、ビート空気圧からテスト空気圧に切り替える間にタイヤT内の空気温度が低下したとしても、ビード空気圧からテスト空気圧まで降圧したとき、即ち、タイヤ試験直後のタイヤT内の空気温度を略外気温度とすることができる。その結果、タイヤ試験中(タイヤ試験は、1秒程度)での温度変化は僅かとすることができる。その結果、式(5)により、圧力変化はほとんど発生しないこととなる。
上記実施形態では、タイヤ試験装置2としてユニフォーミティマシンを例に挙げて本発明を説明した。しかし、本発明の空気圧回路1はユニフォーミティ以外の評価を行うタイヤ試験装置に用いることもできる。実施形態の空気昇温機構21は、熱交換器30によって空気を加熱することによりタイヤTに供給する空気の温度を外気温度よりも高くしていたが、これに代え、使用前(ビード空気を供給する前)にタンク23内の空気を断熱圧縮することによりタイヤTに供給する空気の温度を予め上昇させるようにしてもよい。
2 タイヤ試験装置
3 フレーム
4 上タイヤ軸
5 下タイヤ軸
6 上リム
7 下リム
8 空気流路
9 空気供給口
10 空気供給源
11 ビードシート系統
12 テスト系統
13 圧力調整弁(テスト圧調整弁)
14 給排弁
15 切替弁
16 遮断弁
17 圧力検知部
18 エアフィルタ
19 圧力計
21 空気昇温機構
22 ビード圧調整弁
23 タンク
24 排気手段
30 熱交換器
T タイヤ
Claims (5)
- 一対のリム間に装着されるタイヤに空気を供給する空気供給源を備えたタイヤ試験装置の空気圧回路において、
前記空気供給源からビード空気圧にてタイヤに供給される空気を加熱して当該空気の温度を外気温度よりも高くする空気昇温機構を備えていることを特徴とするタイヤ試験装置の空気圧回路。 - 前記空気供給源からタイヤに供給される空気の圧力を、前記タイヤを膨らませてリムに装着するためのビード空気圧又はこのビード空気圧より低圧でタイヤ試験時に用いるテスト空気圧に調整する圧力調整弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験装置の空気圧回路。
- 前記空気昇温機構は、前記空気供給源からの空気を貯蔵可能なタンクと、このタンク内の空気を加熱する熱交換器とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ試験装置の空気圧回路。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気圧回路を備えていることを特徴とするタイヤ試験装置。
- 一対のリム間に装着されるタイヤに、ビード空気圧に調整され且つ当該タイヤに供給される空気を加熱して当該空気の温度を外気温度よりも高くした空気を供給することで前記タイヤを膨らませてリムに装着し、その後、前記タイヤに前記ビード空気圧より低圧なテスト空気圧に調整された空気を供給し、該供給した状態で前記タイヤの特性を計測することを特徴とするタイヤ試験方法。
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