JP4586312B2 - タイヤ製造工程におけるブラダー外径制御方法及びその装置 - Google Patents

タイヤ製造工程におけるブラダー外径制御方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤ製造工程におけるブラダー外径制御方法及びその装置に係わり、更に詳しくはフルステップ成形方式のラジアルタイヤシェーピング工程におけるブラダー外径制御方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラジアルタイヤ第1段成形工程におけるフルステップ成形方式のグリーンタイヤのシェーピング工程では、図4(a)〜(c)の正常状態に示すように、ビード1に保持されたカーカス材2上にベルト3,キャップトレッド4等のタイヤ構成材料を配設して構成して成るケーシング5に対して、左右一対のターンナップブラダー6a,6bを用いて前記タイヤ構成材料及びサイドトレッド7等の材料をロールオーバー(ターンナップ)させ、この状態でロールオーバーリング8(またはプッシャーリングとも言う)を介して前記ケーシング5の側面に貼付けることによりグリーンタイヤ(未加硫タイヤ)を完成させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、左右一対のターンナップブラダー6a,6bの膨らみ加減は、空気等のブラダー膨張媒体Qの供給圧力と、供給時間とで調整しているため、ターンナップ(折り返し)されるサイドトレッド7等の材料の剛性差や、ターンナップブラダー6a,6bの経年変化、左右ブラダーの交換時期の差、及びブラダー製造のバラツキ差等の膨らみ量の変化等の具体的な膨らみ要素に対しては、膨らみ具合の調整を左右独立に実施していないのが現状である。
【0004】
このため、図5(a)〜(c)の異常状態に示すように、左右のターンナップブラダー6a,6bの外径差tや、ブラダー規定外径までの速度による到達時間差が、膨張したターンナップブラダー6a,6bからサイドトレッド7の滑り落ち具合を変化させ、この結果、サイドトレッド7のターンナップハイト位置Lが安定せず、このようなグリーンタイヤにより成形された加硫タイヤはユニフォミティー(Lateral Force Variation 、Conisity Force成分)を良化させることが出来ないと言う問題があった。
【0005】
即ち、完成グリーンタイヤにおいて、上記のターンナップハイト位置Lが左右で異なった場合、図5(c)に示すように、サイドトレッド7の長い方はその被り量が多く、その結果、ショルダーゲージが厚くなって、このゲージ厚が厚い方にConisity Forceが発生する。
【0006】
Conisity Forceの影響度としては、サイドのオフセンター量として考えると、1daN/mm程度であり、ショルダーゲージの左右差として考えると、0.65daN/0.1mm 程度の影響があると考えられる。
【0007】
この発明の目的は、左右一対のターンナップブラダーを同時刻で規定外径に到達するように制御することで、安定したタイヤ構成材料のターンナップが可能となり、加硫タイヤのユニフォミティーを向上させることが出来るタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御方法及びその装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、この発明のタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御方法は、ラジアルタイヤ製造工程のシェーピング工程において、左右一対のターンナップブラダーにブラダー膨張媒体をそれぞれ供給して膨張させる際、前記左右一対のターンナップブラダーの膨張過程の外径を随時、外径測定検出センサーにより測定すると共に、その左のターンナップブラダーの外径値と、右のターンナップブラダーの外径値とを比較演算し、この演算した外径測定値に基づき、前記ブラダー膨張媒体の供給手段を制御してブラダー膨張媒体の供給圧量を制御し、これにより左右一対のターンナップブラダーが、同時刻で規定外径に到達するように制御することを要旨とするものである。
【0009】
前記外径測定検出センサーとしては、ターンナップブラダーの上面側から計測するレーザー変位計や、ターンナップブラダーの側面側から計測する投光,受光型の光検出センサーを用いるものである。
【0010】
このように、左右一対のターンナップブラダーを同時刻で規定外径に到達するように制御し、到達させた後にロールオーバーを開始するので、安定したタイヤ構成材料のターンナップが可能となり、加硫タイヤのユニフォミティーを良好にすることが可能である。
【0011】
また、この発明のタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御装置は、ラジアルタイヤ成形工程におけるブラダー外径制御装置であって、左右一対のターンナップブラダーの外径変化が生じる方向に、ターンナップブラダーの外径測定検出センサーをそれぞれ設置し、該外径測定検出センサーを変位計演算装置を介して左のターンナップブラダーの外径値と、右のターンナップブラダーの外径値とを比較演算するブラダー外径管理装置を備えた比較演算装置に接続し、この比較演算装置と、前記左右一対のターンナップブラダーのブラダー膨張媒体の供給手段とを、前記比較演算装置により演算した外径測定値に基づき、成形機制御装置を介してブラダー膨張媒体の供給手段を制御してブラダー膨張媒体の供給圧量を制御し、これにより左右一対のターンナップブラダーが、同時刻で規定外径に到達するように制御するように構成したことを要旨とするものである。
【0012】
前記ブラダー膨張媒体の供給手段は、左右一対のターンナップブラダーにそれぞれ接続された切替弁、電空変換減圧弁と、エアー供給源とから構成し、また前記外径測定検出センサーとしては、レーザー変位計や投光器と受光器とから成る光検出センサーを使用するものである。
【0013】
このように、ブラダー外径制御装置は、比較的簡単な機構により精度良く実施出来るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0015】
なお、従来例と同一構成要素は、同一符号を付して説明は省略する。
【0016】
図1は、この発明のブラダー外径制御方法を実施するためのブラダー外径制御装置の第1実施形態を示す概略構成図であって、1はビード、2はカーカス材、3はベルト、4はキャップトレッドで、これらのタイヤ構成材料によりケーシング5を構成し、またケーシング5の両側には、左右一対のターンナップブラダー6a,6bが配設されている。
【0017】
7はサイドトレッド、8は膨張したターンナップブラダー6a,6bをケーシング5の側面に押圧するロールオーバーリングを示している。
【0018】
この発明の第1実施形態では、左右一対のターンナップブラダー6a,6bの外径変化が生じる方向に、ターンナップブラダー6a,6bの外径測定検出センサー10A,10B(レーザー変位計型)をそれぞれ設置し、左右一対のターンナップブラダー6a,6bの外径を検出するものである。
【0019】
この外径測定検出センサー10A,10Bは、変位計演算装置11a,11bを介してブラダー外径管理装置12を備えた比較演算装置13に計測したアナログ値を出力するように接続されている。ブラダー外径管理装置12は、タイヤサイズ毎に管理されたブラダー外径情報を比較演算装置13に出力するようになっている。
【0020】
一方、左右一対のターンナップブラダー6a,6bの供給口には、エアー等のブラダー膨張媒体Qの供給源14に電空変換減圧弁15a,15b及び切換弁16a,16b等から構成される供給手段17a,17bを介してそれぞれ接続されている。
【0021】
前記比較演算装置13は、左右の外径測定検出センサー10A,10B及び変位計演算装置11a,11bからのアナログ値の大小を比較し、前記電空変換減圧弁15a,15bへ個別に供給圧の指示信号を出力し、また比較演算装置13は、前記ブラダー外径管理装置12より、タイヤサイズ毎に管理されたブラダー外径情報から、左右一対のターンナップブラダー6a,6bが規定外径に到達したことの信号を、成形機制御装置18へ出力する。
【0022】
そして、この成形機制御装置18では、制御プログラムに従って、ブラダー規定外径到達信号で、前記切換弁16a,16bを閉にしターンナップブラダー6a,6bへのブラダー膨張媒体Qの供給を停止する。
【0023】
このように、左右一対のターンナップブラダー6a,6bが規定外径に到達制御した後、ロールオーバーリング8が左右方向から移動してロールオーバー(ターンナップ)を開始するので、常に安定したサイドトレッド7のターンナップハイトが実現でき、安定したグリーンタイヤを成形できるものである。
【0024】
なお、上記の実施形態では、フルステップ成形方式の場合について説明したが、2ステップ成形方式で実施されるカーカス等のターンナップについても実施することは可能である。
【0025】
次に、図2はこの発明のブラダー外径制御装置の第2実施形態を示す概略構成図であって、この実施形態は、外径測定検出センサー10A,10Bとして、複数の投光器19aと受光器19bとから成る光検出センサー20を用いて左右一対のターンナップブラダー6a,6bの外径を検出するようにしたものである。
【0026】
即ち、この第2実施形態の光検出センサー20は、左右一対のターンナップブラダー6a,6bの外径変化が生じる方向の側部に、等間隔で複数の投光器19aと受光器19bとを配設し、それぞれの左右一対のターンナップブラダー6a,6bの外径を随時計測しながら、その計測したアナログ値をブラダー外径管理装置12を備えた比較演算装置13に出力するように接続されている。
【0027】
なお、その他の構成及び作用は、上記第1実施形態と同様なので、同一符号を付して説明は省略する。
【0028】
次に、上記のようなブラダー外径制御装置を使用してブラダー外径制御方法を図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0029】
ブラダー外径制御装置をStart し、ブラダー外径管理装置12から比較演算装置13に、タイヤサイズに応じた左右一対のターンナップブラダー6a,6bの外径(φ)mm情報を転送して入力する(ステップ(1))。
【0030】
次に、前回のブラダーに対するブラダー膨張媒体Qのインフレート情報(加圧媒体の供給量情報)が有る場合には、その情報(左右ブラダーに対する媒体の圧力差情報)を、比較演算装置13から成形機制御装置18に転送する(ステップ(2),(3))。また、前回の情報が無い場合には、比較演算装置13から成形機制御装置18に調整時の左右ブラダーの圧力データ(MPa) を転送する(ステップ(2),(4))。
【0031】
次に、成形機制御装置18から電空変換減圧弁15a,15bに、個別に供給圧の指示信号を出力して設定し(ステップ(5))、サイドトレッド7等のタイヤ構成部材のターンナップの指示があった場合には、外径測定検出センサー10A,10B(レーザー投光等)を開始する(ステップ(6),(7))。
【0032】
そして、左右のターンナップブラダー6a,6bの膨張過程を左右の外径測定検出センサー10A,10B及び変位計演算装置11a,11bで随時監視しながら計測し(ステップ(8))、また、成形機制御装置18では、制御プログラムに従って、ブラダー規定外径到達信号で、前記切換弁16a,16bを「開」の状態に制御する(ステップ(9))。
【0033】
前記外径測定検出センサー10A,10B及び変位計演算装置11a,11bで測定したのアナログ値を比較演算装置13に出力し、比較演算装置13では、左右のターンナップブラダー6a,6bの外径データのアナログ値の大小を比較演算し、調整時のターンナップブラダー6a,6bの左右圧力データを成形機制御装置18に出力する(ステップ(10)) 。
【0034】
左右のターンナップブラダー6a,6bに外径データに差があり、右側のブラダーが左側のブラダーよりも外径データが大きい場合には、比較演算装置13から電空変換減圧弁15aに供給圧の指示信号を出力して圧力を上昇させ、また右側のブラダーが左側のブラダーよりも外径データが小さい場合には、比較演算装置13から電空変換減圧弁15bに供給圧の指示信号を出力して上昇させる(ステップ(11),(12))。
【0035】
左側のターンナップブラダー6aの外径が規定外径に到達したら左側の電空変換減圧弁15aを「閉」状態に制御し、また右側のターンナップブラダー6bの外径が規定外径に到達したら右側の電空変換減圧弁15bを「閉」状態に制御する(ステップ(13),(14))。
【0036】
その後、成形機制御装置18では制御プログラムに従って、ブラダー規定到達信号で、前記切換弁16a,16bを「閉」状態に制御する(ステップ(15)) 。そして、成形機制御装置18からターンナップ開始の信号、即ち、膨張したターンナップブラダー6a,6bをケーシング5の側面に押圧するロールオーバーリング8の作動信号を出力して制御を完了(ステップ(16)),(End)する。
【0037】
以上のような制御方法により、左右一対のターンナップブラダー6a,6bを同時刻で規定外径に到達するように制御し、到達させた後にロールオーバーを開始するので、安定したタイヤ構成材料のターンナップが可能となり、加硫タイヤのユニフォミティー(Lateral Force Variation 、Conisity Force成分)を良好にすることが可能となる。
【0038】
【発明の効果】
この発明は、上記のように構成したので、左右一対のターンナップブラダーを同時刻で規定外径に到達するように制御することで、安定したタイヤ構成材料のターンナップが可能となり、加硫タイヤのユニフォミティーを向上させることが出来、またブラダー外径制御装置は、比較的簡単な機構により精度良く実施出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のブラダー外径制御方法を実施するためのブラダー外径制御装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】この発明のブラダー外径制御方法を実施するためのブラダー外径制御装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図3】ブラダー外径制御方法のフローチャート図である。
【図4】(a)〜(c)は、従来の正常状態のラジアルタイヤ第1段成形工程におけるフルステップ成形方式のグリーンタイヤのシェーピング工程の説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、従来の異常状態のラジアルタイヤ第1段成形工程におけるフルステップ成形方式のグリーンタイヤのシェーピング工程の説明図である。
【符号の説明】
1 ビード 2 カーカス材
3 ベルト 4 キャップトレッド
5 ケーシング 6a,6b ターンナップブラダー
7 サイドトレッド 8 ロールオーバーリング
t 外径差 L ターンナップハイト位置
Q ブラダー膨張媒体
10A,10B 外径測定検出センサー
11a,11b 変位計演算装置
12 ブラダー外径管理装置
13 比較演算装置 14 供給源
15a,15b 電空変換減圧弁
16a,16b 切換弁
17a,17b 供給手段 18 成形機制御装置
19a 投光器 19b 受光器
20 光検出センサー

Claims (7)

  1. ラジアルタイヤ製造工程のシェーピング工程において、左右一対のターンナップブラダーにブラダー膨張媒体をそれぞれ供給して膨張させる際、前記左右一対のターンナップブラダーの膨張過程の外径を随時、外径測定検出センサーにより測定すると共に、その左のターンナップブラダーの外径値と、右のターンナップブラダーの外径値とを比較演算し、この演算した外径測定値に基づき、前記ブラダー膨張媒体の供給手段を制御してブラダー膨張媒体の供給圧量を制御し、これにより左右一対のターンナップブラダーが、同時刻で規定外径に到達するように制御するタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御方法。
  2. 前記外径測定検出センサーとして、ターンナップブラダーの上面側からレーザー変位計を用いて計測する請求項1に記載のタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御方法。
  3. 前記外径測定検出センサーとして、ターンナップブラダーの側面側から投光,受光型の光検出センサーを用いて計測する請求項1に記載のタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御方法。
  4. ラジアルタイヤ成形工程におけるブラダー外径制御装置であって、左右一対のターンナップブラダーの外径変化が生じる方向に、ターンナップブラダーの外径測定検出センサーをそれぞれ設置し、該外径測定検出センサーを変位計演算装置を介して左のターンナップブラダーの外径値と、右のターンナップブラダーの外径値とを比較演算するブラダー外径管理装置を備えた比較演算装置に接続し、この比較演算装置と、前記左右一対のターンナップブラダーのブラダー膨張媒体の供給手段とを、前記比較演算装置により演算した外径測定値に基づき、成形機制御装置を介してブラダー膨張媒体の供給手段を制御してブラダー膨張媒体の供給圧量を制御し、これにより左右一対のターンナップブラダーが、同時刻で規定外径に到達するように制御するように構成したタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御装置。
  5. 前記ブラダー膨張媒体の供給手段が、左右一対のターンナップブラダーにそれぞれ接続された切替弁、電空変換減圧弁と、エアー供給源とから成る請求項4に記載のタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御装置。
  6. 前記外径測定検出センサーが、レーザー変位計である請求項4または5に記載のタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御装置。
  7. 前記外径測定検出センサーが、投光器と受光器とから成る光検出センサーである請求項4または5に記載のタイヤ製造工程におけるブラダー外径制御装置。
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