JP5055668B2 - プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント配線板用材料に有用なエポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂プリプレグ、エポキシ樹脂ビルドアップ樹脂、エポキシ樹脂ソルダーレジスト、エポキシ樹脂含浸積層板及びプリント配線板用基板、及びエポキシ樹脂ビルドアップ配線板などプリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術では、半導体チップはリードフレームを使用して、モールド樹脂により保護されたパッケージとしてプリント配線板に実装されていた。しかし、近年、BGAやCSPといったパッケージが開発され、これまで使用されていたリードフレームに代わり、プリント配線板に直接チップが実装されるようになった。半導体パッケージでは、使用する材料にイオン性の不純物、特にハロゲンイオンが存在すると耐湿信頼性試験(プレッシャークッカーテスト(PCT)など)において回路腐食による接合不良や絶縁不良が出ることが知られており、回路のファインピッチ化の妨げになっている。
【0003】
図3に示す従来のプリント板の製造方法は下記に様に製造する。
【0004】
導体層2を両面に形成したガラスクロス1から構成するコアー材4を用いて、前記コアー材4の両面の銅箔2にフォトプロセス方法により所定の回路パターン層2を形成する。
【0005】
次に、ビルドアップ配線層の形成の為、コアー材両面に塗布による絶縁樹脂層5を形成する。塗布方法はスクリーン印刷方式,ロールコート方式、スピンコート方式、フイルムラミネート方式、又は前記プリプレグ等の方法で形成する事も可能である。
【0006】
次に絶縁樹脂層5上に銅箔張り合わせによる方法、又はめっきによる導体層を形成する。まず、絶縁樹脂層5上に感光性レジストを塗布後、所定の回路とバイア用孔を持つパターンをフォトプロセスにより、光露光及び、レジスト層を現像する。次に、前記絶縁樹脂層上の形成のバイア用孔にレーザー加工によりバイア用孔6形成する。
【0007】
次にドリル加工によって、コアー材にスルホール用の貫通孔3形成する。
【0008】
次に無電解めっきにより薄膜導体層7形成後、さらに電解めっき層8を形成する。次に、導体層8にフォトプロセスにより所定のパターンを持つ配線パターン層8が形成する。前記レジスト層を剥膜後、ソルダーレジストをシルクスクリーン印刷によりソルダーレジスト層9を形成して、スルホールとバイアホールを備えた4層構造のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板が完成する。
【0009】
別の製造方法は、銅箔2に予め絶縁樹脂層をコート塗布した銅箔を積層プレスによる層形成する。前記銅箔層に回路パターンをフォトプロセスにより形成する。次にバイア用孔の開口パターンにレーザー加工によりバイア用孔6形成する。次にドリル加工によって、コアー材4にスルホール用の貫通孔3形成する。次に無電解めっきにより薄膜導体層7形成後、さらに電解めっき層8を形成する。次に、導体層8にフォトプロセスにより所定のパターンを持つ配線パターン層8が形成する。前記レジスト層を剥膜後、ソルダーレジストをシルクスクリーン印刷によりソルダーレジスト層9を形成して、スルホールとバイアホールを備えた4層構造のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板が完成する。
【0010】
プリント配線板に直接チップが実装されるようになり、プリント板の耐久性に問題がある。前記プリント板では、配線層の回路を保護する役割の絶縁樹脂層にイオン性の不純物、特にハロゲンイオンが存在すると耐湿信頼性試験(プレッシャークッカーテスト(PCT)など)において回路腐食による接合不良や絶縁不良が出ることが知られており、回路のファインピッチ化の妨げになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の様なイオン性不純物に起因する耐湿信頼性の問題を解決すべく検討したものであり、ハロゲンイオン等のイオン性不純物の発生が少ない硬化物を与え、プリント配線板用途として有用なエポキシ樹脂組成物を提供するとともに、組成物を用いたプリント配線板用基板及びプリント配線板の製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂45wt%、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂5wt%、ビスフェノールA樹脂44wt%、2−メチルイミダゾール5wt%、ハイドロタルサイト0.5wt%、IXE−633(東亜合成化学工業(株)製、商品名)0.5wt%をγ−ブチロラクトンに溶解したことを特徴とするプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物である。
【0014】
削除
【0015】
削除
【0016】
削除
【0017】
【作用】
本発明は、前述の問題点を解決するために研究を重ねた結果、イオン補足剤を使用する事により硬化物中の不純物イオンの量が少ないエポキシ樹脂組成物が得られることを見出した。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるエポキシ樹脂は、その分子中にエポキシ基を少なくとも2個有する化合物であり、一般的に電子部品用材料に使用されている物であれば、分子構造、分子量など特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。また、エポキシ樹脂は1種類に限定されるものではなく、2種類以上のものを合わせて使用することも出来る。
【0019】
本発明において使用されるフェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として使用されるものであり、一般的に電子部品用材料に使用されている物であれば、分子構造、分子量など特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA、フェノールノボラックなどが挙げられる。また、フェノール樹脂は1種に限定されるものではなく、2種以上のものを合わせて使用することも出来る。
【0020】
本発明において使用されるイオン捕捉剤としては、次式に代表されるハイドロタルサイト類Mg2Al2(OH)16CO3/4H2O若しくはIXEシリーズ(東亜合成化学工業(株)製、商品名)等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用する事ができる。好ましくは陽イオン捕捉機能をもつイオン捕捉剤と陰イオン捕捉機能をもつイオン捕捉剤とを組み合わせる事が望ましい。
【0021】
又、有機又は無機充填剤としては、シリカ、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、クレー、マイカ、ベンガラ、含フッ素有機ポリマー、等の粉体がしようできる。
【0022】
これらの充填剤は、用いなくとも樹脂組成物としての機能を発揮することができるが、必要に応じて、95wt%迄の範囲で添加することにより、低吸湿性化、及び強度向上などの特性を付与することができる。一方、95wt%を超えると、被膜としての特性が低下する為に好ましくない。
【0023】
イオン捕捉剤の配合割合は、樹脂組成物全体に対して0.05〜10wt%含有する事が望ましい。0.05wt%未満ではイオン捕捉の効果が薄く、10wt%を超えても効果に差が見られない為、実用に適さない。
【0024】
このようにして得られた樹脂組成物を利用して、以下のようにプリント配線板を製造する。
【0025】
図1に示す様に、本発明の樹脂組成物をガラスクロスに含浸し、該ガラスクロスを乾燥してプリプレグ10を得る。
【0026】
該プリプレグ10を複数枚積層して、さらに表裏両面に銅箔2を重ねて加熱加圧により積層加工して所要の厚さを持つた金属箔張積層板となる。又は前記プリプレグ10を複数枚積層して、加熱加圧により積層加工して所要の厚さを持つた積層板となる。加熱加圧による積層加工は、例えば真空ラミネーター、例えば積層用プレスを用いて製造する。又プリプレグに予め銅箔を張り合わせた金属箔張積層板に回路パターンを形成したコアー材4でも良い。
【0027】
つぎに、図2に示すように、前記コアー材4の両面の銅箔にフォトプロセス方法により所定の回路パターン層2を形成する。
【0028】
次に、ビルドアップの配線層を形成する為、本発明の樹脂組成物を用いて塗布による絶縁樹脂層5を形成する。塗布方法はスクリーン印刷方式,ロールコート方式、スピンコート方式、フイルムラミネート方式、又は前記プリプレグ等の方法で形成する事も可能である。
【0029】
次に絶縁樹脂層5上に銅箔の張り合わせ又はめっきによる導体層2を形成する。前記本発明の絶縁樹脂層5上に感光性レジストを塗布後、所定の回路とバイア用孔を持つパターンをフォトプロセスにより、光露光及び、レジスト層を現像する。次に前記絶縁樹脂層5上に形成のバイア用孔をレーザー加工によりバイア用孔6を形成する。
【0030】
次にドリル加工によって、コアー材4にスルホール用の貫通孔3を形成する。
【0031】
次に無電解めっきにより薄膜導体層7を形成後、さらに電解めっき層8を形成する。次に、導体層8にフォトプロセスにより所定のパターンを持つ配線パターン層8を形成する。前記レジスト層を剥膜後、本発明の樹脂組成物を用いたソルダーレジストをシルクスクリーン印刷によりパターン印刷してソルダーレジスト層9を形成して、プリント板が完成する。
【0032】
例えば、予め本発明の樹脂組成物を塗布した銅箔をコアー材4両面に積層プレスして銅箔層2を形成する。前記銅箔層2にバイア用孔の開口パターンをフォトプロセスにより形成する。次にバイア用孔の開口パターンにレーザー加工によりバイア用孔を形成する。次にドリル加工によって、コアー材にスルホール用の貫通孔3を形成する。次に無電解めっきにより薄膜導体層7を形成後、さらに電解めっき層8(導体層)を形成する。次に、導体層8にフォトプロセスにより所定のパターンを持つ配線パターン層8が形成する。前記レジスト層を剥膜後、本発明の樹脂組成物を用いたソルダーレジストをシルクスクリーン印刷によりパターン印刷してソルダーレジスト層9を形成して、ビルドアップ配線層を備えたプリント配線板が完成する。
【0033】
<実施例1>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂45wt%、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂5wt%、ビスフェノールA樹脂44wt%、2−メチルイミダゾール5wt%、ハイドロタルサイト1wt%をγ−ブチロラクトンに溶解することにより、本発明のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を得た。そしてその組成物をポリイミドフィルム上に塗布し、170℃で30分硬化することによりエポキシ樹脂層を形成したポリイミドフィルムが得られた。
【0034】
次に、プリント配線製造用の材料として、本発明の樹脂組成物を用いて、プリプレグと、ビルドアップ用樹脂と、ソルダーレジスト樹脂を製造して、前記本発明のプリント配線板の製造方法により、スルホール3とバイアホール6を設けた4層構造のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板を製造した。
【0035】
参考例
ビスフェノールA型エポキシ樹脂84wt%、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂5wt%、ジシアンジアミド5wt%、2−メチルイミダゾール5wt%、ハイドロタルサイト1wt%をγ−ブチロラクトンに溶解することにより、本発明のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を得た。そしてその組成物をポリイミドフィルム上に塗布し、170℃で30分加熱硬化することによりエポキシ樹脂層を形成したポリイミドフィルムが得られた。
【0036】
次に、プリント配線製造用の材料として、本発明の樹脂組成物を用いて、プリプレグと、ビルドアップ用樹脂と、ソルダーレジスト樹脂を製造して、前記本発明のプリント配線板の製造方法により、スルホール3とバイアホール6を設けた4層構造のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板を製造した。
【0037】
<実施例3>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂45wt%、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂5wt%、ビスフェノールA樹脂44wt%、2−メチルイミダゾール5wt%、ハイドロタルサイト0.5wt%、IXE−633(東亜合成化学工業(株)製、商品名)0.5wt%をγ−ブチロラクトンに溶解することにより本発明のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を得た。そしてその組成物をポリイミドフィルム上に塗布し、170℃で30分硬化することによりエポキシ樹脂層を形成したポリイミドフィルムが得られた。
【0038】
次に、プリント配線製造用の材料として、本発明の樹脂組成物を用いて、プリプレグと、ビルドアップ用樹脂と、ソルダーレジスト樹脂を製造して、前記本発明のプリント配線板の製造方法により、スルホール3とバイアホール6を設けた4層構造のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板を製造した。
【0039】
<比較例1>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂45wt%、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂5wt%、ビスフェノールA樹脂45wt%、2−メチルイミダゾール5wt%をγ−ブチロラクトンに溶解することにより、比較品としての熱硬化性樹脂組成物を得た。そしてその組成物をポリイミドフィルム上に塗布し、170℃で30分加熱硬化することによりエポキシ樹脂層を形成したポリイミドフィルムが得られた。
【0040】
次に、この樹脂組成物を用いて、プリント配線板製造用の材料として、プリプレグと、ビルドアップ用樹脂と、ソルダーレジスト樹脂を製造し、前記実施例1〜3と同様のプリント配線板の製造方法により、スルホール3とバイアホール6を備えた4層構造のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板を製造した。
【0041】
<比較例2>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂85wt%、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂5wt%、ジシアンジアミド5wt%、2−メチルイミダゾール5wt%をγ−ブチロラクトンに溶解することにより比較品としての熱硬化性樹脂組成物を得た。そしてその組成物をポリイミドフィルム上に塗布し、170℃で30分硬化することによりエポキシ樹脂層を形成したポリイミドフィルムが得られた。
【0042】
次に、この樹脂組成物を用いて、プリント配線板製造用の材料として、プリプレグと、ビルドアップ用樹脂と、ソルダーレジスト樹脂を製造し、前記実施例1〜3と同様のプリント配線板の製造方法により、スルホール3とバイアホール6を備えた4層構造のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板を製造した。
【0043】
上記実施例13及び比較例1〜2により得られたそれぞれポリイミドフィルムからエポキシ樹脂を剥がした後、それを細かく粉砕し、180℃で2時間熱水抽出した後、イオンクロマトグラフィーにより測定をしたところ、実施例1〜3の場合は、比較例1〜2の場合に比べ、イオン性不純物量が半分以下に減少した。中でも、実施例3のイオン捕捉剤を2種混ぜ合わせるとことにより、更に効果が上がる事が判った。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、不純物イオン濃度特にハロゲンイオン濃度を低減することに成功したため、ハロゲンイオン濃度に起因するとされる、耐湿信頼性試験(プレッシャークッカーテスト(PCT)など)において回路腐食による接合不良や絶縁不良を防ぐことができ、プリント配線板用材料として有効な樹脂組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプリプレグを用いた金属箔張積層板の側断面図。
【図2】 本発明のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板の側断面図。
【図3】 従来のビルドアップ配線層を備えたプリント配線板の側断面図。
【符号の説明】
1…ガラスクロス
2…銅箔(導体層)
3…スルホール用貫通孔
4…コアー材
5…絶縁樹脂層
6…バイア(ホール)用孔
7…(無電解めっきの)薄膜導体層
8…電解めっき層
9…ソルダーレジスト層
10…プリプレグ

Claims (1)

  1. ビスフェノールA型エポキシ樹脂45wt%、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂5wt%、ビスフェノールA樹脂44wt%、2−メチルイミダゾール5wt%、ハイドロタルサイト1wt%をγ−ブチロラクトンに溶解したことを特徴とするプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
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