JP5054756B2 - 基質濃度の測定方法および測定装置、ならびに基質濃度測定用試薬 - Google Patents

基質濃度の測定方法および測定装置、ならびに基質濃度測定用試薬 Download PDF

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Description

本発明は、グルコースなどの基質を測定するための方法、装置および試薬に関するものである。
グルコース濃度を測定する方法としては、酵素電極法と呼ばれる方法がある。この方法は、試料中のグルコース濃度に相関した情報を、試料に接触させた電極に出力させ、この出力に基づいてグルコース濃度を演算する方法である。その一例として、酵素によってグルコースを酸化して生成される過酸化水素から電極において電子を取り出して、そのときに電極において測定される電流値に基づいてグルコース濃度を演算する方法がある(たとえば特許文献1参照)。
グルコース濃度を測定する場合、試料としては血液が使用されることがあるが、血球の溶血が生じた場合には、全血を用いる場合および血清あるいは血漿を用いる場合のいずれにおいても、試料中にヘモグロビンが含まれることとなる。
しかしながら、ヘモグロビンは、過酸化水素と反応しやすいものであるため、試料中にヘモグロビンが含まれていると、過酸化水素と電極との反応が阻害されてしまう。そのため、ヘモグロビン存在下では、ヘモグロビンが過酸化水素と反応した分だけ、電極の出力が低値化する傾向にあり、高い測定精度を得ることが困難となる。
また、血球の溶血を防止することにより試料中にヘモグロビンが含まれてしまうことを回避することも可能ではないが、その場合には、血液の輸送・保存および前処理段階について細心の注意を払う必要があり、煩わしい作業を強いられるばかりか、検体によって溶血のし易さにバラツキがあるため、現実的ではない。
特公平7−37991号公報
本発明は、煩雑な作業を必要とすることなく、血液などの試料中におけるグルコースなどの基質の濃度を測定する際の阻害物質の影響を抑制し、測定精度を向上させることを課題としている。
本発明の第1の側面においては、基質から生成させた過酸化水素の量に基づいて、基質濃度を測定する方法であって、過酸化水素と阻害物質とが反応するのを抑制するための、当該阻害物質を酸化する抑制剤を共存させる基質濃度の測定方法が提供される。
本発明の第2の側面においては、基質から生成させた過酸化水素濃度を測定するための過酸化水素電極を備えた濃度測定装置であって、過酸化水素と阻害物質とが反応するのを抑制するための、当該阻害物質を酸化する抑制剤が供給されるように構成されている、濃度測定装置が提供される。
本発明の第3の側面においては、基質から生成させた過酸化水素の量に基づいて、基質濃度を測定するための試薬であって、過酸化水素と阻害物質とが反応するのを抑制するための、当該阻害物質を酸化する抑制剤を含んでいる、基質濃度測定用試薬が提供される。
抑制剤としては、たとえば阻害物質としてのヘモグロビンをメト化するものが使用される。ヘモグロビンをメト化する物質としては、たとえばアジド化合物、亜硝酸塩、フェリシアン化塩、過酸化塩、および過マンガン酸塩から選択される少なくとも一種が使用される。
アジド化合物としては、たとえばアジ化ナトリウム、4−ドデシルベンゼンスルフォニルアジド、4−アセチルアミノベンゼンスルフォニルアジド、ジフェニルリン酸アジド、アジ化鉄、アジ化水素、アジ化鉛、アジ化水銀、アジ化銅、あるいはアジ化銀が使用される。測定系におけるアジド化合物の濃度は、0.001〜1.000wt%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.010〜0.100wt%とされる。
亜硝酸塩としては、たとえば亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸カリウムを使用することができる。フェリシアン化塩としては、たとえばフェリシアン化カリウム、過酸化塩としては、たとえば過酸化バリウム、過マンガン酸塩としては、たとえば過マンガン酸カリウムが使用される。抑制剤として例示した塩を用いる場合、測定系における抑制剤の濃度は、たとえば0.001〜1.000wt%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.010〜0.100wt%とされる。
本発明では、支持電解質をさらに共存(添加)させるのが好ましい。支持電解質としては、たとえば塩化ナトリウムまたは塩化カリウムが使用される。好ましくは、支持電解質として、塩化ナトリウムが使用される。支持電解質の濃度は、0.010〜2.000wt%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.050〜0.500wt%とされる。
基質としては、たとえばグルコース、あるいはラクテートを挙げることができる。基質はまた、たとえば血液、尿あるいは唾液などの生化学的試料に含まれるものである。
本発明の方法および装置では、過酸化水素の量は、たとえば酵素電極法により測定される。
以下においては、本発明について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示した濃度測定装置1は、試料調製機構2において調整された試料を、測定機構3において測定するように構成されたものである。
試料調製機構2は、検体から試料を調製するためのものであり、ノズル20、試薬ボトル21、および希釈混合槽22を備えている。
ノズル20は、希釈混合槽22に対して検体を供給するためのものである。検体としては、たとえば血液、尿、あるいは唾液などの生化学的試料およびその希釈液が用いられる。試料として血液を使用する場合には、全血および血漿あるいは血清のいずれをも使用することができる。
試薬ボトル21は、検体を希釈し、あるいは希釈混合槽22を洗浄するための試薬を保持したものである。この試薬ボトル21は、配管23を介して希釈混合槽22に接続されている。配管23の途中には、ポンプ24が設けられており、ポンプ24の動力により、試薬ボトル21の試薬が希釈混合槽22に供給されるように構成されている。
試薬としては、希釈液および抑制剤を含むものが使用される。
希釈液としては、たとえば緩衝液が用いられる。緩衝液としては、基質の反応pHを目的とする範囲に調整できるものであればよく、たとえばリン酸塩類を使用することができる。試薬における緩衝剤の濃度は、たとえば0.0001〜0.1000Mとされる。
抑制剤は、基質としての過酸化水素と阻害物質とが反応するのを抑制するためのものである。阻害物質がヘモグロビンである場合には、抑制剤としては、ヘモグロビンをメト化する化合物、たとえばアジド化合物、亜硝酸塩、フェリシアン化塩、過酸化塩、および過マンガン酸塩から選択される少なくとも一種が使用される。
アジド化合物としては、たとえばアジ化ナトリウム(NaN)、アジ化ナトリウム、4−ドデシルベンゼンスルフォニルアジド、4−アセチルアミノベンゼンスルフォニルアジド、ジフェニルリン酸アジド、アジ化鉄、アジ化水素、アジ化鉛、アジ化水銀、アジ化銅、あるいはアジ化銀が使用される。試薬におけるアジド化合物の濃度は、たとえば0.001〜1.000wt%、好ましくは0.010〜0.100wt%とされる。
亜硝酸塩としては、たとえば亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸カリウムを使用することができる。フェリシアン化塩としては、たとえばフェリシアン化カリウム、過酸化塩としては、たとえば過酸化バリウム、過マンガン酸塩としては、たとえば過マンガン酸カリウムが使用される。抑制剤として例示した塩を用いる場合、測定系における抑制剤の濃度は、たとえば0.001〜1.000wt%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.010〜0.100wt%とされる。
試薬はさらに、支持電解質を含んでいてもよい。支持電解質としては、たとえば塩化ナトリウムあるいは塩化カリウムを使用することができる。試薬における支持電解質の濃度は、たとえば0.010〜2.00wt%、好ましくは0.050〜0.500wt%とされる。
希釈混合槽22は、検体を希釈して試料を調整する場を提供するためのものである。希釈反応層22には、ノズル20により検体が供給され、試薬ボトル21から試薬が供給されるように構成されている。この希釈混合槽22は、攪拌子25を収容しており、スターラ26によって攪拌子25を回転させることにより、検体と試薬とが混合される。希釈混合槽22はさらに、配管27を介して測定機構3の酵素電極30に接続されている。配管27の途中にはポンプ28が設けられており、ポンプ28の動力により、測定機構3に希釈混合槽22において調製された試料が酵素電極30に供給されるように構成されている。
測定機構3は、酵素電極30、電源31および電流値測定部32を有している。
酵素電極30は、試料における基質との電子授受量に応じた電気的物理量を出力するものである。この酵素電極30は、図2に示したように、たとえば基質選択透過膜33、酵素固定化膜34、過酸化水素選択透過膜35および過酸化水素電極36を有している。
基質選択透過膜33は、酵素固定化膜34に対して試料中の基質を選択的に供与するためのものである。基質選択透過膜33は、基質の種類に応じて選択されるが、公知の種々のものを使用することができる。
酵素固定化膜34は、基質を酸化して過酸化水素を生成させるためのものであり、酸化酵素を含んだものとして構成される。本発明で用いる酸化酵素は、基質の種類に応じて選択される。ここで、濃度測定装置1での測定対象となる基質としては、グルコースあるいはラクテートを挙げることができ、酸化酵素としては、グルコースオキシダーゼあるいはラクテートオキシダーゼを挙げることができる。
過酸化水素選択透過膜35は、過酸化水素電極36に対して過酸化水素を選択的に供与するためのものである。過酸化水素選択透過膜35としては、たとえばアセチルセルロース系あるいはポリアリルアミン系のものを使用することができる。
過酸化水素電極36は、供与された過酸化水素量、すなわち基質の濃度に応じた電気的信号を出力するものである。このような過酸化水素電極36としては、たとえば陽極37として白金、陰極38として銀を採用したものを使用することができる。
図1に示した電源31は、酵素電極30(過酸化水素電極36)に対して電圧を印加するためのものである。電源31としては、たとえば直流電源が使用され、酵素電極30(過酸化水素電極36)に対する印加電圧は、たとえば0.1〜1.0Vに設定される。
電流値測定部32は、過酸化水素電極36と過酸化水素との間の電子授受量を電流値として測定するためのものである。電流値測定部32における電流値の測定は、断続的に行なわれ、その測定間隔は、たとえば50〜200msecとされる。
次に、濃度測定装置1における動作について、全血中のグルコースを測定する場合を例にとって、説明する。
全血中のグルコース濃度を測定する場合には、希釈混合槽22に対して全血および試薬が供給される。希釈混合槽22に対する全血の供給は、ノズル20を用いて行なわれ、その供給量は、たとえば4〜20μLに設定される。一方。希釈混合槽22に対する試薬の供給は、ポンプ24を利用して行なわれ、その供給量は、たとえば全血量の100倍程度とされる。
濃度測定装置1においては、全血および試薬が供給された場合には、攪拌子25により希釈混合槽22が攪拌される。このとき、試薬の供給量が全血の供給量の100倍程度とされることから、希釈混合槽22における緩衝液のpH、抑制剤および支持電解質の濃度は、実質的に試薬におけるpHおよび濃度に維持される。その後、ポンプ28を用いて調製された試料を酵素電極30に供給する。
酵素電極30では、グルコースが基質選択透過膜33を透過して酵素固定化膜34に供与される。酵素固定化膜34においては、下記反応式(1)に示したように、酸化酵素(グルコースデヒドロゲナーゼ)のグルコースが酸化されてグルコン酸と過酸化水素が生成される。過酸化水素は、過酸化水素選択透過膜35を透過して過酸化水素電極36に供与される。過酸化水素電極36では、電源31による電圧の印加によって、下記反応式(2)が生じて、過酸化水素が陽極37に電子を供与して酸素と水素イオンに分解される。このとき、陽極37に供与された電子によって陽極37と陰極38の間に電流が流れ、そのときの電流が電流値測定部32において測定される。一方、陰極38では、陽極37からの電子により、下記反応式(3)に示した反応が生じて水が生成される。
Figure 0005054756
ここで、陽極38においては、過酸化水素(H)の還元反応が生じるが、希釈混合槽22にオキシヘモグロビン(Fe(II))が存在していると、下記反応式(4)に示したように、陽極反応と、デオキシヘモグロビン(オキシHb(Fe(II)))からメト化ヘモグロビン(メト化Hb(Fe(III)))への酸化反応とが競合する。
Figure 0005054756
このような競合反応が生じた場合には、本来、陽極37において消費されるべき過酸化水素がデオキシヘモグロビンによって消費されるため、電流値測定部32において測定される電流値は本来得られるべき値よりも低値化する。とくに、血球を含む試料においては、グルコン酸が生成されることにより血球膜近傍のpHが低下する傾向がある。そのため、pHの低下にともない、オキシヘモグロビンが酸素を放出してデオキシヘモグロビンに変化し、グルコースの酸化反応の進行に伴って、デオキシヘモグロビンの生成量が大きくなるものと考えられる。その結果、グルコースの酸化反応の進行(グルコン酸の生成)に伴って、陽極37における過酸化水素の酸化反応を阻害するデオキシヘモグロビンが生成され、測定される酸化電流が真値よりも小さくなるものと考えられる。
その一方で、試料にアジド化合物や亜硝酸塩のような酸化物を抑制剤として共存させておくと、下記反応式(5)に示したように、デオキシヘモグロビン(Fe(II))からメト化ヘモグロビン(Fe(III))への酸化反応が抑制剤の酸化作用によって生じる。
Figure 0005054756
そのため、試料に抑制剤を共存させておくことで、過酸化水素がデオキシヘモグロビンと反応することが抑制される。その結果、濃度測定装置1では、電流値測定部32において測定される電流値の低値化を抑制することができるとともに測定される応答電流値のバラツキを抑制することができる。これにより、濃度測定結果が低値化することを回避するとともに再現性を向上させることができるため、測定精度および測定信頼性を向上させることができる。
このような効果は、阻害物質がデオキシヘモグロビンである場合、あるいは基質がグルコースである場合に限らず、基質によって過酸化水素が生成されるとともに、過酸化水素と陽極とを反応させて基質濃度を測定する他の系においても得ることができる。
また、試薬に塩化ナトリウムなどの支持電解質を含ませておけば、反応槽20におけるイオン強度を高くすることができる。そのため、電流値測定部32において得られる酸化電流を安定化させることが可能となる。その結果、支持電解質を含ませておくことによって、測定再現性をさら向上させることが可能となる。
本発明は、上述の実施の形態には限定されず、種々に変更可である。たとえば、酵素電極を希釈混合槽に固定した構成とし、バッチ式で基質濃度を測定するようにしてもよい。
また、図3に示した濃度測定装置1のように、希釈混合槽を省略し、試薬ボトル21の試薬を酵素電極30に連続的に供給するとともに、インジェクションバルブ4から検体や試料を注入するような構成であってもよい。
本実施例では、過酸化水素電極を用いて試料中のグルコース濃度を測定する場合に、アジ化ナトリウムが応答値に与える影響について検討した。
(試料)
試料としては、グルコース濃度を100mg/dLに調整した全血を使用した
(試薬)
試薬としては、「61H」(アークレイ株式会社製)にNaClを0.234wt%となるように添加した試料1、および試料1にNaNを0.02wt%となるようにさらに添加した試料2を、それぞれ100倍希釈したものを反応槽へ供給した。
(応答値の測定)
応答値は、アダムス グルコース GA−117(アークレイ株式会社製)を用いて、反応槽に試料および試薬を供給したときに、GOD固定化過酸化水素電極において得られ酸化電流として測定した。過酸化水素電極に対する印加電圧は650mVとし、応答電流の測定間隔は50msecとした。応答電流は、反応槽に対して試料および試薬を供給して一定時間保持した後に、試料および試薬を入れ替えてさらに試料および試薬を一定時間保持する操作を1セットとし、合計3セットについて連続的に測定した。各セットの間については、反応槽および配管を一定時間洗浄した。応答電流値の測定結果については、電圧値に換算したものとして、試料1については図4に、試料2については図5に示した。
図4および図5を比較すれば分かるように、NaNを添加していない試料1については応答値の最大値が小さくなっているとともに明確なピークもなく最大値がバラつく結果となった。これは、グルコースを酸化した際に生成した過酸化水素が、ヘモグロビンと反応することによって、過酸化水素電極において測定される過酸化水素の量が少なくなって低値化しているものと考えられる。
一方で、NaNを添加した試料2については、試料1よりも最大値が大きい上に、応答値のタイムコースも安定している。すなわち、試料2では、NaNが添加されることにより、ヘモグロビンとNaNが反応し、過酸化水素電極において測定される過酸化水素の量が少なくなることが抑制されているものと考えられる。
したがって、反応系にNaNを添加することにより、応答値が大きくなるとともにその最大値が安定するため、測定精度および再現性が改善されることが伺える。
本実施例では、過酸化水素電極を用いて試料中のグルコース濃度を測定する場合に、アジ化ナトリウムおよび亜硝酸ナトリウムが応答値に与える影響について検討した。
(試料)
試料としては、グルコース濃度を100mg/dLに調整した全血を使用した
(試薬)
試薬としては、「61H」(アークレイ株式会社製)にNaClを0.234wt%となるように添加した試料3、試料3にNaNを0.02wt%となるようにさらに添加した試料4を、および試料3に亜硝酸Naを0.02wt%となるようにさらに添加した試料5を、それぞれ100倍希釈したものを反応槽へ供給した。
(応答値の測定)
応答値は、アダムス グルコース GA−117(アークレイ株式会社製)を用いて、反応槽に試料および試薬を供給したときに、GOD固定化過酸化水素電極において得られ酸化電流として測定した。過酸化水素電極に対する印加電圧は650mVとし、応答電流の測定間隔は50msecとした。応答電流は、反応槽に対して試料および試薬を供給して一定時間攪拌した後に攪拌を停止するとともに、この一連の動作において連続的に測定した。応答電流値の測定結果については、電圧値に換算したものとして、試料3については図6Aに、試料4については図6Bに、試料5については図6Cにそれぞれ示した。
図6Aから分かるように、NaNおよび亜硝酸ナトリウムを添加していない試料3は、攪拌の停止後からしばらくしてから感度が低下した。これは、デオキシヘモグロビン(オキシHb(Fe(II)))からメト化ヘモグロビン(メト化Hb(Fe(III)))への酸化反応が進行し、過酸化水素の陽極反応が阻害されているためのである考えられる。
一方、図6Bから分かるようにNaNを添加した試料4は、今回測定した範囲では攪拌の停止後も感度が上昇し、図6Aから分かるように亜硝酸ナトリウムを添加した試料5は、今回測定した範囲では攪拌の停止後に感度が一定値に漸近する傾向にあった。すなわち、NaNや亜硝酸ナトリウムを添加した場合には感度の低下はなく、NaNや亜硝酸ナトリウムによって、デオキシヘモグロビン(オキシHb(Fe(II)))からメト化ヘモグロビン(メト化Hb(Fe(III)))への酸化反応が抑制されているものと考えられる。
本実施例では、試薬におけるNaClが応答値に与える影響について検討した。
試薬としては、試料6として「61H」(アークレイ株式会社製)、および試料6にNaClを0.234wt%となるように添加した試料7を用いた。
試料としては、0.9wt%のNaClを含む生理食塩水を、試薬6または試薬7で100倍に希釈したものを用いた。
応答値の測定は、実施例1と同様にして行なった。応答値の測定結果は、電圧値に換算した値として、試料6については図7に、試料4については図8に示した。
図7および図8から分かるように、NaClを添加していない試料6では、応答値が不安定であるのに対して、NaClを添加した試料7では応答値が安定している。すなわち、NaClには、応答電流値のベースを安定させる作用があるものと考えられる。
したがって、試薬中にNaClを添加することにより、応答値を安定させ、測定精度および再現性が改善されるものと考えられる。
本発明に係る濃度測定装置の概略構成を模式的に示した断面図である。 図1に示した濃度測定装置における酵素電極の概略構成を模式的に示した断面図である。 本発明に係る濃度測定装置の他の例を説明するための配管図である。 実施例1において、アジ化ナトリウムを添加せずに全血の応答電流を測定したときの結果を示すグラフである。 実施例1において、アジ化ナトリウムを添加して全血の応答電流を測定したときの結果を示すグラフである。 図6Aは実施例2において抑制剤を添加せずに応答電流値を測定したときの結果を示すグラフであり、図6Bは実施例2において抑制剤としてアジ化ナトリウムを添加して全血の応答電流を測定したときの結果を示すグラフであり、図6Cは実施例2において抑制剤として亜硝酸ナトリウムを添加して全血の応答電流を測定したときの結果を示すグラフである。 実施例3において、塩化ナトリウムを添加せずに生理食塩水の応答電流を測定したときの結果を示すグラフである。 実施例3において、塩化ナトリウムを添加して生理食塩水の応答電流を測定したときの結果を示すグラフである。
1 濃度測定装置
36 過酸化水素電極

Claims (25)

  1. 基質から生成させた過酸化水素の量に基づいて、基質濃度を測定する方法であって、
    過酸化水素と阻害物質とが反応するのを抑制するための、当該阻害物質を酸化する抑制剤を共存させる、基質濃度の測定方法。
  2. 上記阻害物質は、ヘモグロビンであり、
    上記抑制剤は、ヘモグロビンをメト化するものである、請求項1に記載の基質濃度の測定方法。
  3. 上記抑制剤は、アジド化合物である、請求項2に記載の基質濃度の測定方法。
  4. 上記アジド化合物は、アジ化ナトリウムである、請求項3に記載の基質濃度の測定方法。
  5. 上記アジド化合物の濃度は、0.001〜1.000wt%である、請求項3に記載の基質濃度の測定方法。
  6. 上記抑制剤は、亜硝酸塩、フェリシアン化塩、過酸化塩、および過マンガン酸塩から選択される少なくとも一種である、請求項2に記載の基質濃度測定方法。
  7. 上記抑制剤は、亜硝酸ナトリウム、フェリシアン化カリウム、過酸化バリウム、および過マンガン酸カリウムから選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の基質濃度の測定方法。
  8. 支持電解質をさらに共存させる、請求項1に記載の基質濃度の測定方法。
  9. 上記支持電解質は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである、請求項8に記載の基質濃度の測定方法。
  10. 上記支持電解質の濃度は、0.01〜2.00wt%である、請求項8に記載の基質濃度の測定方法。
  11. 基質から生成させた過酸化水素濃度を測定するための過酸化水素電極を備えた濃度測定装置であって、
    過酸化水素と阻害物質とが反応するのを抑制するための、当該阻害物質を酸化する抑制剤が供給されるように構成されている、基質濃度の測定装置。
  12. 上記抑制剤として、上記阻害物質であるヘモグロビンをメト化するものを供給するように構成されている、請求項11に記載の基質濃度の測定装置。
  13. 上記化合物は、アジド化合物である、請求項12に記載の基質濃度の測定装置。
  14. 上記アジド化合物は、アジ化ナトリウムである、請求項13に記載の基質濃度の測定装置。
  15. 上記抑制剤は、亜硝酸塩、フェリシアン化塩、過酸化塩、および過マンガン酸塩から選択される少なくとも一種である、請求項12に記載の基質濃度の測定装置。
  16. 上記抑制剤は、亜硝酸ナトリウム、フェリシアン化カリウム、過酸化バリウム、および過マンガン酸カリウムから選択される少なくとも一種である、請求項15に記載の基質濃度の測定装置。
  17. 支持電解質がさらに供給されるように構成されている、請求項11に記載の基質濃度の測定装置。
  18. 基質から生成させた過酸化水素の量に基づいて、基質濃度を測定するための試薬であって、
    過酸化水素と阻害物質とが反応するのを抑制するための、当該阻害物質を酸化する抑制剤を含んでいる、基質濃度測定用試薬。
  19. 上記阻害物質は、ヘモグロビンであり、
    上記抑制剤は、ヘモグロビンをメト化するものである、請求項18に記載の基質濃度測定用試薬。
  20. 上記抑制剤は、アジド化合物である、請求項19に記載の基質濃度測定用試薬。
  21. 上記アジド化合物は、アジ化ナトリウムである、請求項20に記載の基質濃度測定用試薬。
  22. 上記抑制剤は、亜硝酸塩、フェリシアン化塩、過酸化塩、および過マンガン酸塩から選択される少なくとも一種である、請求項19に記載の基質濃度測定用試薬。
  23. 上記亜硝酸塩は、亜硝酸ナトリウム、フェリシアン化カリウム、過酸化バリウム、および過マンガン酸カリウムから選択される少なくとも一種である、請求項22に記載の基質濃度測定用試薬。
  24. 支持電解質をさらに含んでいる、請求項18に記載の基質濃度測定用試薬。
  25. 上記支持電解質は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである、請求項24に記載の基質濃度測定用試薬。
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