JP2001305103A - ポリフェノールセンサー - Google Patents

ポリフェノールセンサー

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JP2001305103A
JP2001305103A JP2000123112A JP2000123112A JP2001305103A JP 2001305103 A JP2001305103 A JP 2001305103A JP 2000123112 A JP2000123112 A JP 2000123112A JP 2000123112 A JP2000123112 A JP 2000123112A JP 2001305103 A JP2001305103 A JP 2001305103A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリフェノールを簡単かつ敏速に測定でき、寿
命も長いポリフェノールセンサーを提供する。 【解決手段】過酸化水素を分解する酵素及び電子メディ
エータを含有する酵素電極を用い、一定濃度の過酸化水
素を含む反応漕に過酸化水素を分解する酵素、及び試料
を添加して一定時間後の過酸化水素濃度の減少を電気化
学的に測定することにより試料液中におけるポリフェノ
ールの量を測定するポリフェノールセンサーにおいて、
該反応漕中にアジ化ナトリウムを含むことを特徴とする
ポリフェノールセンサー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料液中のポリフ
ェノールを電気化学的に定量する為のポリフェノールセ
ンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリフェノールの測定方法とし
て、酒石酸鉄との混合による発色の強度を比較する、酒
石酸鉄法、リンタングステン−モリブデン酸の還元に伴
う発色の強度を比較するフォーリン・デニス法(J.Bio
l.Chem.,73,627(1927))などが用いられている。しかし
ながら、この方法では試料液中の濁度や着色の影響が問
題となることがある。また、紫外線(UV)吸収等によ
り検出する高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によ
る分析方法(Chromatographia.,34,146(1992); J.Chrom
atogr.,642,175(1993);特開平10−287605号公
報)もあるが、分析試料の前処理に手間と時間がかか
り、測定時間も1時間近くもかかるといった問題があ
る。
【0003】上記のような背景の下に、より簡単かつ短
時間でポリフェノールを測定できる方法として、これま
でにも電極を用いた電気化学的な測定法が提案されてき
た(Anal.Chem.,53,1695(1981);J.Chromatogr.,360,271
(1986);Anal.Chim.Acta.,311,245(1995); Anal.Chim.Ac
ta.,347,51(1997))。具体的には、ペルオキシダーゼの
ような過酸化水素を分解する酵素及び酵素と電極間の電
子移動を促進するフェロセンなどの電子メディエータを
含有する酵素電極に用いて、一定の過酸化水素の存在
下、過酸化水素を分解するペルオキシダーゼ及びポリフ
ェノールを反応漕に添加して、一定時間経過後の過酸化
水素濃度の減少を電気化学的に測定することにより、従
来法に比べて試料中の着色の影響もなく短時間で測定す
ることのできるポリフェノール測定方法を見出した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、ポリフェノールを簡単かつ敏速に測定でき、さら
にその寿命も長いポリフェノールセンサーを提供するこ
とを課題とする。また、サンプル中の干渉影響も受けな
いより正確性の高いポリフェノールセンサーを提供する
ことを課題とする。
【0005】従来、ペルオキシダーゼのような過酸化水
素を分解する酵素を用いた酵素電極を室温で長期間使用
していると、酵素の失活により過酸化水素の測定におい
て感度が低下してくるという問題があった。使用毎に酵
素電極を冷蔵保存する対応も可能であるが、使用上不便
なうえに冷蔵庫から取り出してから電極が安定するまで
に時間がかかるという問題もあった。
【0006】また、一定の過酸化水素の存在下にペルオ
キシダーゼ及びポリフェノールを反応漕に添加して、一
定時間経過後の過酸化水素濃度の減少を電気化学的に測
定する方法において、ペルオキシダーゼが有しているカ
タラーゼ活性及び試料液中に含まれるカタラーゼにより
カタラーゼと過酸化水素が反応して過酸化水素の減少が
起こる為、電気化学的に測定する場合誤差を生ずる要因
を伴っていた。
【0007】こうした問題を解決する方法として、アジ
化ナトリウムを共存させる過酸化水素の測定系が報告さ
れている。アジ化ナトリウムを添加した過酸化水素の測
定系としては、例えば特開昭57−147058号公報
においては、生体試料中の成分から生成する過酸化水素
を測定することによって生体成分を定量する方法におい
て、アジ化金属化合物の共存下に過酸化水素を測定する
方法が提案されている。アジ化ナトリアムが0.000
001〜0.2%含まれる溶液で過酸化水素を測定すれ
ば、生体成分中に含まれるカタラーゼによる過酸化水素
の分解が阻止でき正確に定量できると報告されている。
また、特公平7−72731号公報においては、生体液
をアジ化ナトリウムと過酸化水素を含む希釈液で前処理
することにより溶血の影響を抑制する方法が提案されて
いる。具体的には、血球成分であるヘモグロビンがペル
オキシターゼ様活性を有し、また測定中の基質を酸化重
合してしまう為、過酸化水素及びアジ化ナトリウムを添
加することにより安定な測定結果を得る方法を提案する
ものである。しかしながら、酵素センサーにおいてこう
した課題を十分に解決しうるものは報告されていないの
が現状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリフェ
ノールセンサーにおいても、カタラーゼ活性は阻害する
がペルオキシダーゼ活性は阻害しないような量のアジ化
ナトリウムを加えることにより、上記課題が解決される
ことを見出した。さらに、酵素電極におけるペルオキシ
ダーゼの失活に対する対策として、これまでグルコー
ス、ラクテートの測定において、グルコースオキシダー
ゼ、ラクテートオキシダーゼを膜に固定して酵素電極の
長寿命化を達成している(グルコースオキシターゼ固定
膜は室温保存で3ケ月使用可能、ラクテートオキシター
ゼ膜は室温保存で2ケ月使用可能)が、同様な方法でペ
ルオキシダーゼを膜に固定化する試みをし、なおかつ上
記のような量のアジ化ナトリウムを添加することによ
り、ペルオキシダーゼを固定化した酵素電極が性能上影
響を受けないことを確認することにより上記課題を解決
する事を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】すなわち、本発明は以下のような構成から
なる。 (1)過酸化水素を分解する酵素及び電子メディエータ
を含有してなる酵素電極を用い、一定濃度の過酸化水素
を含む反応漕に過酸化水素を分解する酵素及び試料を添
加して一定時間経過後の過酸化水素濃度の減少を電気化
学的に測定することにより試料液中におけるポリフェノ
ールの量を測定するポリフェノールセンサーにおいて、
該反応漕中にアジ化ナトリウムを含むことを特徴とする
ポリフェノールセンサー。 (2)過酸化水素を分解する酵素がペルオキシダーゼで
ある(1)のポリフェノールセンサー。 (3)反応漕中におけるアジ化ナトリウムの含有量が該
反応漕中で混合されたペルオキシダーゼが該ペルオキシ
ダーゼの有するカタラーゼ活性及び試料溶液中に含まれ
るカタラーゼが該反応漕中に混合された過酸化水素を分
解する反応を阻止し、かつペルオキシダーゼ活性は阻害
されない量である(1)又は(2)のポリフェノールセ
ンサー。 (4)反応漕中におけるアジ化ナトリウムの濃度が0.
001〜0.05重量%である(3)のポリフェノール
センサー。 (5)反応漕中におけるアジ化ナトリウムの濃度が0.
002〜0.01重量%である(3)のポリフェノール
センサー。 (6)電子メディエータが酸化還元酵素の電子伝達体と
して機能するレドックス化合物である(1)〜(5)の
いずれかのポリフェノールセンサー。 (7)レドックス化合物としてフェロセン、フェロセン
誘導体、ベンゾキノン、メチレンブルー、2.6−ジク
ロロインドフェノール、金属シアン化錯体よりなる群か
ら選択される少なくとも1種を用いる(6)のポリフェ
ノールセンサー。 (8)酵素電極がカーボンペーストに電子メディエータ
を練り込み、過酸化水素を分解する酵素を固定してなる
膜でカーボンペースト表面上に被覆されてなる(1)〜
(7)のいずれかのポリフェノールセンサー。 (9)電極に対向する膜面が基質不透過性かつ過酸化水
素選択透過性を有する綿密な膜層であり、被測定物質に
接する膜面が基質透過性の多孔質構造を有する一体構造
膜の被測定物質に接する多孔質構造を有する膜面に、過
酸化水素を分解する酵素が固定化されてなる膜を使用す
る(1)〜(8)のいずれかのポリフェノールセンサ
ー。 (10)酵素電極が電子メディエータ及び導電性物質よ
りなる電極部をスクリーン印刷法にて絶縁基板上に設
け、該電極部上に過酸化水素を分解する酵素を固定化し
てなる(1)〜(9)のいずれかのポリフェノールセン
サー。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のポリフェノールセンサー
は、過酸化水素を分解する酵素及び電子メディエータを
含有してなる酵素電極を用い、一定濃度の過酸化水素を
含む反応漕に過酸化水素を分解する酵素及び試料を添加
して一定時間経過後の過酸化水素濃度の減少を電気化学
的に測定することにより試料液中におけるポリフェノー
ルの量を測定するポリフェノールセンサーにおいて、該
反応漕中にアジ化ナトリウムを含むことを特徴とする。
作用電極として働く酵素電極の他に参照電極および対電
極を有していることが好ましい。
【0011】本発明のポリフェノールセンサーにおいて
被測定物質となるポリフェノールとは、ベンゼン環に複
数の水酸基をもつ化合物の総称をいうものであり、タン
ニン類、フラボノイド類、リグナン、リグリン、クマリ
ンなど広範囲にわたっている。具体的には、例えば
(+)カテキン、(−)エピカテキン、エピカテキンガ
ーレート、没食子酸、コーヒー酸、ケルセチン、ケンフ
ェロール、ルテオリン、タイゼイン、シアニジン、プロ
シアニジン、タンニン酸 などが挙げられる。また、測
定される試料としては、茶、ワイン、コーヒー 、オレ
ンジジュース、ビール、ウイスキー などの液状のもの
は、直接測定に供することも可能であるし、緩衝液等で
希釈して測定に供してもよい。一方、チョコレート、コ
コア、カシューナッツ などのような固形物の場合は、
ヘキサンで脱脂し、50%メチルアルコールで還流抽出
などの前処理を行ってから測定するのが好ましい。
【0012】過酸化水素を分解する酵素としては、ペル
オキシダーゼ、カタラーゼなどが挙げられるが、ペルオ
キシダーゼが特に好ましい。なお、該酵素は過酸化水素
を分解する作用を有するものであればその起源等は特に
限定されるものではない。電子メディエータとは、酵素
と電極の間の電子移動を促進する電極と反応性の高い物
質をいうものである。酸化還元酵素の電子伝達体として
機能するレドックス化合物を用いるのが好ましい。具体
的には、例えばフェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾ
キノン、メチレンブルー、2.6−ジクロロインドフェ
ノール、例えばフェロシアン化カリウム、ルテニウムパ
ープル等の金属シアン化錯体等が挙げられる。なかで
も、フェロセンもしくはフェロセン誘導体が好ましい
が、特に限定されるものではない。なお、フェロセン誘
導体としては、1,1−ジメチルフェロセン、フェロセ
ンカルボン酸 等が挙げられる
【0013】反応漕中に含まれるアジ化ナトリウムの量
は、該反応漕中で混合されたペルオキシダーゼが該ペル
オキシダーゼ自体の有するカタラーゼ活性及び試料溶液
中に含まれるカタラーゼの該反応漕中に混合された過酸
化水素を分解する反応を阻止し、かつペルオキシダーゼ
活性は阻害されないような量を存在せしめることが好ま
しい。その具体的な濃度としては、好ましくは0.00
1〜0.05重量%、より好ましくは0.002〜0.
01重量%、さらに好ましくは0.0025〜0.00
5重量%である。
【0014】本発明においてより好適な酵素電極の態様
としては、酵素電極がカーボンペーストにメディエータ
を練り込み、過酸化水素を分解する酵素を固定してなる
膜でカーボンペースト表面上に被覆されてなるものが挙
げられる。酵素電極は、酵素及び電子メディエータを電
極表面に存在させるためのものであり、形態は特に限定
されない。例えば、酵素を含む溶液を電極に載せ、乾燥
させ、透析膜で被覆したものでもよい。該透析膜の分画
分子量は100程度のものが好ましい。また、電極に対
向する膜面が基質不透過性かつ過酸化水素選択透過性を
有する綿密な膜層であり、被測定物質に接する膜面が基
質透過性の多孔質構造を有する一体構造膜の被測定物質
に接する多孔質構造を有する膜面に過酸化水素を分解す
る酵素が固定化されてなる膜を使用することが好まし
い。酵素電極が電子メディエータ及び導電性物質よりな
る電極部をスクリーン印刷法にて絶縁基板上に設け、電
極部上にペルオキシダーゼを固定化してなるものがさら
に好ましい。
【0015】上記酵素電極を用いて試料溶液中のポリフ
ェノール濃度を測定するには、まず試料を含有しない緩
衝液中に上記酵素電極を浸漬し、一定量の過酸化水素と
ペルオキシターゼ酵素を加える。続いて、ポリフェノー
ルを含有する試料あるいは緩衝液で希釈された該試料溶
液を添加し、一定時間経過後の定常電流を測定すること
により試料中のポリフェノール濃度を測定することがで
きる。すなわち、上記のように作製された酵素電極の外
側の反応漕に過酸化水素を添加すると過酸化水素は透析
膜、又は酵素固定膜を透過して酵素電極の酵素に接触す
る。透析膜、又は酵素固定膜内側の過酸化水素は酵素に
より還元され、その結果生じた酵素酸化体が電子メディ
エータを酸化し、例えばフェロセンを用いる場合にはフ
ェロセニウムイオンが生成される。電極にフェロセニウ
ムイオンをフェロセンに還元できる電位を印加しておく
と、フェロセニウムイオンが電極表面でフェロセンに再
還元され、還元電流が観察される。このときの定常状態
の電流値は反応漕における過酸化水素の濃度に比例す
る。
【0016】さらに、ポリフェノールを含有する測定試
料液を一定量の酵素と共に反応漕に加えると、ポリフェ
ノールが電子供与体として働くならば、過酸化水素との
反応で生成した酵素酸化体が直ちに還元され、さらに過
酸化水素との反応が起こる。これによりポリフェノール
量に比例して反応漕の過酸化水素濃度が減少し、透析
膜、又は酵素固定膜を透過する過酸化水素濃度も減少す
る。その結果、フェロセニウムイオンの還元電流値が減
少し、この減少量は反応漕のポリフェノール濃度を反映
する。このようにして試料中のポリフェノール量を間接
的に測定できる。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。ただし、本発明は実施例により特に限定される
ものではない。
【0018】実施例1 ペルオキシダーゼ酵素膜の作製 ペルオキシダーゼ(東洋紡績製 POD−302)4
mgを100mMリン酸緩衝液(pH6.5)75μlに溶
解し、次に0.5%グルタルアルデヒド溶液75μlを
加えて均一に混合する。 約50μmのポアサイズを有するアセチルセルロース
膜(東洋紡績製)上にの溶液を流延し、直ちにポリカ
ーボネート膜(野村マイクロサイエンス製)でカバーす
る。該ポリカーボネート膜を数回、密着、剥離を繰り返
し、の溶液が均一に流延されるようにする。 4℃冷蔵庫中に1昼夜以上放置して、完全に固定化反
応を行う。 膜をパンチで必要な大きさに切り抜く。
【0019】実施例2 ペルオキシダーゼ固定化膜を装
着した酵素電極での過酸化水素の測定 図1に示すような酵素電極を作製した。すなわち、フェ
ロセン、液体パラフィン及びグラファイト粉末を4:2
0:40の重量比で混合して十分練った後(2)、市販
のカーボンペースト電極(1)(BAS製;11-2210)
の凹部(直径3mm)に詰め、表面をパラフィン紙にこす
りつけて滑らかにし、さらにその上に直径6mmの大きさ
にパンチで切り取ったペルオキシダーゼ固定化膜を被覆
し、さらにナイロンネット(4)で被覆し、これをOリ
ング(5)で止めた酵素電極を作製した。比較対照とし
て、フェロセン、液体パラフィン及びグラファイトと同
時にペルオキシダーゼも同時に練り込んだ酵素電極も同
時に作製した。
【0020】上記のように作製された酵素電極(6)、
参照電極(7)及び対極(8)のそれぞれをポテンショ
スタット(9)に接続し、緩衝液を入れた反応漕に浸漬
して測定セルとした(図2)。電流値の変化を記録する
為に、ポテンショスタットにレコーダー(10)を接続
した。反応漕をマグネチックスターラー上(11)に設
置し、反応漕の緩衝液中にスターラーバー(12)を入
れ、過酸化水素の測定中は試料液を攪拌した。
【0021】以下に示す測定条件で測定を実行した。 印加電圧:0.1V vs. Ag/AgCl 緩衝液 :0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0) 攪拌速度:800rpm 測定温度:25℃
【0022】図3は、ペルオキシダーゼを膜固定してい
ない酵素電極とペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵
素電極での過酸化水素の応答直線性を示す図である。ま
た図4は、30μM過酸化水素測定における感度、応答
速度の比較を示す図である。図3、図4より両電極での
直線性、感度、応答速度に差はなく、膜に固定化された
ペルオキシダーゼが問題なく反応系に関与していること
がわかる。
【0023】表1は、ペルオキシダーゼを固定していな
い電極及びペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電
極を緩衝液中に浸漬し、室温(21〜27℃)で保存し
た場合の保存試験結果を示す。ペルオキシダーゼを固定
化していない電極では2週間目で感度の劣化が見られる
のに対し、ペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電
極では1ケ月経過しても感度の劣化が見られない。酵素
を膜に固定化することにより、電極の寿命が長くなった
ことが確認される。
【0024】
【表1】
【0025】実施例3 アジ化ナトリウム添加量の検討 上記酵素膜を装着した酵素電極を用いてポリフェノール
の測定を実施した。添加する過酸化水素の濃度は、上記
ペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電極での過酸
化水素の直線性が認められる1〜50μMの範囲であれ
ばよいが、本検討では30μMを使用した。また、添加
するペルオキシダーゼの濃度は同様にポリフェノールを
酸化できる濃度範囲でよく、具体的には133U/mgの
酵素活性を持つペルオキシダーゼを使用した場合、希釈
液20ml中に添加する量は、8.8〜880μgの範
囲であればよいが、本検討では88μgを使用した。
【0026】緩衝液中に一定濃度の過酸化水素とペルオ
キシダーゼを添加した場合の応答を図5に示す。ペルオ
キシダーゼを添加しなければ酵素電極は過酸化水素のみ
に応答し上記実施例2の検討結果と同様になるが、ペル
オキシダーゼを添加することにより過酸化水素の応答に
おいて負の誤差を与える方向に出力電流値はドリフトす
る。これはペルオキシダーゼが有しているカタラーゼ活
性の作用により過酸化水素と反応し、過酸化水素の量が
減少しているものと考えられる。
【0027】また、図6に示すように添加するペルオキ
シダーゼ量を2〜3倍にすることで、ドリフトの大きさ
は直線的に大きくなる為、ドリフトの原因はペルオキシ
ダーゼ中のカタラーゼ活性によるものと推察できる。上
記過酸化水素及びペルオキシダーゼの量を前提に、緩衝
液中に添加するアジ化ナトリウムの添加量と過酸化水素
測定でのドリフトの大きさの関係を検討した。結果を表
2に示す。アジ化ナトリウム量が0.002重量%以上
ではドリフトはほぼ見られなくなることが確認される。
【0028】
【表2】
【0029】代表的なポリフェノールの一種である
(+)カテキンの測定においても同様にアジ化ナトリウ
ム量の検討を実施した。添加するカテキン濃度を2mMと
一定にし、緩衝液中に添加するアジ化ナトリウム量と
(+)カテキン測定における感度の関係を検討した。結
果を表3に示す。アジ化ナトリウム量が0.002重量
%以上で(+)カテキン測定でのドリフトもほぼ収まっ
ている。但し、アジ化ナトリウム量が0.05重量%以
上になると(+)カテキン測定における感度が極端に減
少する。通常カテキン測定において、ペルオキシダーゼ
は(+)カテキンの酸化作用を触媒し同時に過酸化水素
を還元する触媒作用を有する。よってアジ化ナトリウム
量を0.05重量%以上添加することにより、ペルオキ
シターゼ活性が阻害され触媒として機能していないもの
と考えられる。
【0030】
【表3】
【0031】上記過酸化水素の測定でのドリフト、
(+)カテキン測定での感度データから見て、緩衝液中
に添加するアジ化ナトリウム量は0.002〜0.05
重量%の範囲で使用できることがわかる。ドリフトの大
きさ、感度への影響等を考慮すれば0.0025〜0.
01重量%の範囲がより好ましい。
【0032】実施例4 電子メディエータの種類の検討 フェロセン以外の電子メディエータとして、代表的なフ
ェロセン誘導体である1,1−ジメチルフェロセンを使
用し、上記実施例1と同様カーボンペーストに練り込
み、酵素膜を装着した酵素電極で過酸化水素の測定を実
施した。フェロセンを使用した場合、フェロセン、流動
パラフィン及びカーボンの組成比は4:20:40であ
った。1,1−ジメチルフェロセンを使用した場合、加
える量を表4のように3種類変えて酵素電極を作製し、
各電極での過酸化水素の直線性、感度応答速度試験を実
施した。結果を表4に示す。その結果よりフェロセンと
同量の1,1−ジメチルフェロセンを加えることで、フ
ェロセンと同様な性能が得られた。
【0033】
【表4】
【0034】実施例5 市販サンプル測定 市販されている7種類の茶と2種類の赤ワインに含まれ
ているポリフェノール濃度を測定した。測定は上記実施
例3と同様にして行った。アジ化ナトリウムを0.00
5重量%含む20mlの緩衝液に一定濃度の過酸化水素及
びペルオキシダーゼを添加し、上記サンプルを50μl
加えた。校正は(+)−カテキン標準液で検量線を作製
し、サンプル測定後の電流出力値からサンプルのポリフ
ェノール濃度を求めた。表5に結果を示す。従来法であ
る分光法との良好な相関を示した。また、茶のサンプル
についての反応時間は4分前後、ワインについては10
分前後であった。
【0035】
【表5】
【0036】
【発明の効果】上述したように、本発明は測定試料液中
に含まれるポリフェノールの量を簡単で敏速なうえに、
正確に測定し得るポリフェノールセンサーを提供するも
のである。また、使用するペルオキシダーゼを膜に固定
化することにより、長期間安定性よくポリフェノールを
測定できるポリフェノールセンサーを提供するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリフェノールセンサーに用いた酵素
電極の一例を示す図である。
【図2】本発明のポリフェノールセンサーの一例を示す
図である。
【図3】ペルオキシダーゼを膜固定していない酵素電極
とペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電極での過
酸化水素の応答直線性を比較した結果を示す図である。
【図4】本発明のポリフェノールセンサーにおいて、3
0μM過酸化水素測定における感度、応答速度の比較を
示す図である。
【図5】本発明のポリフェノールセンサーにおいて、一
定濃度の過酸化水素とペルオキシダーゼを添加した場合
の応答を示す図である。
【図6】本発明のポリフェノールセンサーにおいて、ペ
ルオキシダーゼの量とドリフトの関係を検討した結果を
示す図である。
【符号の説明】
1 カーボンペースト電極 2 フェロセン、ペルオキシダーゼ、液体パラフィンお
よびグラファイト 3 透析膜 4 ナイロンネット 5 O−リング 6 酵素電極 7 参照電極 8 対極 9 ポテンショスタット 10 レコーダー 11 マグネチックスターラー 12 スターラーバー

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過酸化水素を分解する酵素及び電子メデ
    ィエータを含有してなる酵素電極を用い、一定濃度の過
    酸化水素を含む反応漕に過酸化水素を分解する酵素及び
    試料を添加して一定時間経過後の過酸化水素濃度の減少
    を電気化学的に測定することにより試料液中におけるポ
    リフェノールの量を測定するポリフェノールセンサーに
    おいて、該反応漕中にアジ化ナトリウムを含むことを特
    徴とするポリフェノールセンサー。
  2. 【請求項2】 過酸化水素を分解する酵素がペルオキシ
    ダーゼである請求項1記載のポリフェノールセンサー。
  3. 【請求項3】 反応漕中におけるアジ化ナトリウムの含
    有量が該反応漕中で混合されたペルオキシダーゼが該ペ
    ルオキシダーゼの有するカタラーゼ活性及び試料溶液中
    に含まれるカタラーゼが該反応漕中に混合された過酸化
    水素を分解する反応を阻止し、かつペルオキシダーゼ活
    性は阻害されない量である請求項1又は2に記載のポリ
    フェノールセンサー。
  4. 【請求項4】 反応漕中におけるアジ化ナトリウムの濃
    度が0.001〜0.05重量%である請求項3記載の
    ポリフェノールセンサー。
  5. 【請求項5】 反応漕中におけるアジ化ナトリウムの濃
    度が0.002〜0.01重量%である請求項3記載の
    ポリフェノールセンサー。
  6. 【請求項6】 電子メディエータが酸化還元酵素の電子
    伝達体として機能するレドックス化合物である請求項1
    〜5のいずれかに記載のポリフェノールセンサー。
  7. 【請求項7】 レドックス化合物としてフェロセン、フ
    ェロセン誘導体、ベンゾキノン、メチレンブルー、2.
    6−ジクロロインドフェノール、金属シアン化錯体より
    なる群から選択される少なくとも1種を用いる請求項6
    記載のポリフェノールセンサー。
  8. 【請求項8】 酵素電極がカーボンペーストに電子メデ
    ィエータを練り込み、過酸化水素を分解する酵素を固定
    してなる膜でカーボンペースト表面上に被覆されてなる
    請求項1〜7のいずれかに記載のポリフェノールセンサ
    ー。
  9. 【請求項9】 電極に対向する膜面が基質不透過性かつ
    過酸化水素選択透過性を有する綿密な膜層であり、被測
    定物質に接する膜面が基質透過性の多孔質構造を有する
    一体構造膜の被測定物質に接する多孔質構造を有する膜
    面に、過酸化水素を分解する酵素が固定化されてなる膜
    を使用する請求項1〜8のいずれかに記載のポリフェノ
    ールセンサー。
  10. 【請求項10】 酵素電極が電子メディエータ及び導電
    性物質よりなる電極部をスクリーン印刷法にて絶縁基板
    上に設け、該電極部上に過酸化水素を分解する酵素を固
    定化してなる請求項1〜9のいずれかに記載のポリフェ
    ノールセンサー。
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