JP4462395B2 - ポリフェノールセンサー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料液中のポリフェノールを電気化学的に定量する為のポリフェノールセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリフェノールの測定方法として、酒石酸鉄との混合による発色の強度を比較する、酒石酸鉄法、リンタングステン−モリブデン酸の還元に伴う発色の強度を比較するフォーリン・デニス法(J.Biol.Chem.,73,627(1927))などが用いられている。しかしながら、この方法では試料液中の濁度や着色の影響が問題となることがある。また、紫外線(UV)吸収等により検出する高速液体クロマトグラフィ(HPLC)による分析方法(Chromatographia.,34,146(1992); J.Chromatogr.,642,175(1993);特開平10−287605号公報)もあるが、分析試料の前処理に手間と時間がかかり、測定時間も1時間近くもかかるといった問題がある。
【0003】
上記のような背景の下に、より簡単かつ短時間でポリフェノールを測定できる方法として、これまでにも電極を用いた電気化学的な測定法が提案されてきた(Anal.Chem.,53,1695(1981);J.Chromatogr.,360,271(1986);Anal.Chim.Acta.,311,245(1995); Anal.Chim.Acta.,347,51(1997))。具体的には、ペルオキシダーゼのような過酸化水素を分解する酵素及び酵素と電極間の電子移動を促進するフェロセンなどの電子メディエータを含有する酵素電極に用いて、一定の過酸化水素の存在下、過酸化水素を分解するペルオキシダーゼ及びポリフェノールを反応に添加して、一定時間経過後の過酸化水素濃度の減少を電気化学的に測定することにより、従来法に比べて試料中の着色の影響もなく短時間で測定することのできるポリフェノール測定方法を見出した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、ポリフェノールを簡単かつ敏速に測定でき、さらにその寿命も長いポリフェノールセンサーを提供することを課題とする。また、サンプル中の干渉影響も受けないより正確性の高いポリフェノールセンサーを提供することを課題とする。
【0005】
従来、ペルオキシダーゼのような過酸化水素を分解する酵素を用いた酵素電極を室温で長期間使用していると、酵素の失活により過酸化水素の測定において感度が低下してくるという問題があった。使用毎に酵素電極を冷蔵保存する対応も可能であるが、使用上不便なうえに冷蔵庫から取り出してから電極が安定するまでに時間がかかるという問題もあった。
【0006】
また、一定の過酸化水素の存在下にペルオキシダーゼ及びポリフェノールを反応に添加して、一定時間経過後の過酸化水素濃度の減少を電気化学的に測定する方法において、ペルオキシダーゼが有しているカタラーゼ活性及び試料液中に含まれるカタラーゼによりカタラーゼと過酸化水素が反応して過酸化水素の減少が起こる為、電気化学的に測定する場合誤差を生ずる要因を伴っていた。
【0007】
こうした問題を解決する方法として、アジ化ナトリウムを共存させる過酸化水素の測定系が報告されている。アジ化ナトリウムを添加した過酸化水素の測定系としては、例えば特開昭57−147058号公報においては、生体試料中の成分から生成する過酸化水素を測定することによって生体成分を定量する方法において、アジ化金属化合物の共存下に過酸化水素を測定する方法が提案されている。アジ化ナトリアムが0.000001〜0.2%含まれる溶液で過酸化水素を測定すれば、生体成分中に含まれるカタラーゼによる過酸化水素の分解が阻止でき正確に定量できると報告されている。また、特公平7−72731号公報においては、生体液をアジ化ナトリウムと過酸化水素を含む希釈液で前処理することにより溶血の影響を抑制する方法が提案されている。具体的には、血球成分であるヘモグロビンがペルオキシターゼ様活性を有し、また測定中の基質を酸化重合してしまう為、過酸化水素及びアジ化ナトリウムを添加することにより安定な測定結果を得る方法を提案するものである。しかしながら、酵素センサーにおいてこうした課題を十分に解決しうるものは報告されていないのが現状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリフェノールセンサーにおいても、カタラーゼ活性は阻害するがペルオキシダーゼ活性は阻害しないような量のアジ化ナトリウムを加えることにより、上記課題が解決されることを見出した。さらに、酵素電極におけるペルオキシダーゼの失活に対する対策として、これまでグルコース、ラクテートの測定において、グルコースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼを膜に固定して酵素電極の長寿命化を達成している(グルコースオキシターゼ固定膜は室温保存で3ケ月使用可能、ラクテートオキシターゼ膜は室温保存で2ケ月使用可能)が、同様な方法でペルオキシダーゼを膜に固定化する試みをし、なおかつ上記のような量のアジ化ナトリウムを添加することにより、ペルオキシダーゼを固定化した酵素電極が性能上影響を受けないことを確認することにより上記課題を解決する事を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)過酸化水素を分解する酵素及び電子メディエータを含有する酵素電極;並びに
過酸化水素、過酸化水素を分解する酵素、及びアジ化ナトリウムを含有する反応槽
を含むポリフェノールセンサー。
(2)過酸化水素を分解する酵素がペルオキシダーゼである(1)記載のポリフェノールセンサー。
(3)反応槽中におけるアジ化ナトリウムの含有量が該反応槽中で混合されたペルオキシダーゼが該ペルオキシダーゼの有するカタラーゼ活性及び試料溶液中に含まれるカタラーゼが該反応槽中に混合された過酸化水素を分解する反応を阻止し、かつペルオキシダーゼ活性は阻害されない量である(1)又は(2)に記載のポリフェノールセンサー。
(4)反応槽中におけるアジ化ナトリウムの濃度が0.001〜0.05重量%である(3)記載のポリフェノールセンサー。
(5)反応槽中におけるアジ化ナトリウムの濃度が0.002〜0.01重量%である(3)記載のポリフェノールセンサー。
(6)電子メディエータが酸化還元酵素の電子伝達体として機能するレドックス化合物である(1)〜(5)のいずれかに記載のポリフェノールセンサー。
(7)レドックス化合物としてフェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾキノン、メチレンブルー、26−ジクロロインドフェノール、金属シアン化錯体よりなる群から選択される少なくとも1種を用いる(6)記載のポリフェノールセンサー。
(8)酵素電極がカーボンペーストに電子メディエータを練り込み、過酸化水素を分解する酵素を固定してなる膜でカーボンペースト表面上に被覆されてなる(1)〜(7)のいずれかに記載のポリフェノールセンサー。
(9)膜が、電極に対向する膜面が基質不透過性かつ過酸化水素選択透過性を有する綿密な膜層であり、被測定物質に接する膜面が基質透過性の多孔質構造を有する一体構造膜の被測定物質に接する多孔質構造を有する膜面に、過酸化水素を分解する酵素が固定化されてなる膜である(8)に記載のポリフェノールセンサー。
(10)酵素電極が電子メディエータ及び導電性物質よりなる電極部をスクリーン印刷法にて絶縁基板上に設け、該電極部上に過酸化水素を分解する酵素を固定化してなる(1)〜(7)のいずれかに記載のポリフェノールセンサー。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリフェノールセンサーは、過酸化水素を分解する酵素及び電子メディエータを含有してなる酵素電極を用い、一定濃度の過酸化水素を含む反応に過酸化水素を分解する酵素及び試料を添加して一定時間経過後の過酸化水素濃度の減少を電気化学的に測定することにより試料液中におけるポリフェノールの量を測定するポリフェノールセンサーにおいて、該反応中にアジ化ナトリウムを含むことを特徴とする。作用電極として働く酵素電極の他に参照電極および対電極を有していることが好ましい。
【0011】
本発明のポリフェノールセンサーにおいて被測定物質となるポリフェノールとは、ベンゼン環に複数の水酸基をもつ化合物の総称をいうものであり、タンニン類、フラボノイド類、リグナン、リグリン、クマリンなど広範囲にわたっている。具体的には、例えば(+)カテキン、(−)エピカテキン、エピカテキンガーレート、没食子酸、コーヒー酸、ケルセチン、ケンフェロール、ルテオリン、タイゼイン、シアニジン、プロシアニジン、タンニン酸 などが挙げられる。
また、測定される試料としては、茶、ワイン、コーヒー 、オレンジジュース、ビール、ウイスキー などの液状のものは、直接測定に供することも可能であるし、緩衝液等で希釈して測定に供してもよい。一方、チョコレート、ココア、カシューナッツ などのような固形物の場合は、ヘキサンで脱脂し、50%メチルアルコールで還流抽出などの前処理を行ってから測定するのが好ましい。
【0012】
過酸化水素を分解する酵素としては、ペルオキシダーゼ、カタラーゼなどが挙げられるが、ペルオキシダーゼが特に好ましい。なお、該酵素は過酸化水素を分解する作用を有するものであればその起源等は特に限定されるものではない。電子メディエータとは、酵素と電極の間の電子移動を促進する電極と反応性の高い物質をいうものである。酸化還元酵素の電子伝達体として機能するレドックス化合物を用いるのが好ましい。具体的には、例えばフェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾキノン、メチレンブルー、26−ジクロロインドフェノール、例えばフェロシアン化カリウム、ルテニウムパープル等の金属シアン化錯体等が挙げられる。なかでも、フェロセンもしくはフェロセン誘導体が好ましいが、特に限定されるものではない。なお、フェロセン誘導体としては、1,1−ジメチルフェロセン、フェロセンカルボン酸 等が挙げられる
【0013】
反応中に含まれるアジ化ナトリウムの量は、該反応中で混合されたペルオキシダーゼが該ペルオキシダーゼ自体の有するカタラーゼ活性及び試料溶液中に含まれるカタラーゼの該反応中に混合された過酸化水素を分解する反応を阻止し、かつペルオキシダーゼ活性は阻害されないような量を存在せしめることが好ましい。その具体的な濃度としては、好ましくは0.001〜0.05重量%、より好ましくは0.002〜0.01重量%、さらに好ましくは0.0025〜0.005重量%である。
【0014】
本発明においてより好適な酵素電極の態様としては、酵素電極がカーボンペーストにメディエータを練り込み、過酸化水素を分解する酵素を固定してなる膜でカーボンペースト表面上に被覆されてなるものが挙げられる。酵素電極は、酵素及び電子メディエータを電極表面に存在させるためのものであり、形態は特に限定されない。例えば、酵素を含む溶液を電極に載せ、乾燥させ、透析膜で被覆したものでもよい。該透析膜の分画分子量は100程度のものが好ましい。
また、電極に対向する膜面が基質不透過性かつ過酸化水素選択透過性を有する綿密な膜層であり、被測定物質に接する膜面が基質透過性の多孔質構造を有する一体構造膜の被測定物質に接する多孔質構造を有する膜面に過酸化水素を分解する酵素が固定化されてなる膜を使用することが好ましい。酵素電極が電子メディエータ及び導電性物質よりなる電極部をスクリーン印刷法にて絶縁基板上に設け、電極部上にペルオキシダーゼを固定化してなるものがさらに好ましい。
【0015】
上記酵素電極を用いて試料溶液中のポリフェノール濃度を測定するには、まず試料を含有しない緩衝液中に上記酵素電極を浸漬し、一定量の過酸化水素とペルオキシターゼ酵素を加える。続いて、ポリフェノールを含有する試料あるいは緩衝液で希釈された該試料溶液を添加し、一定時間経過後の定常電流を測定することにより試料中のポリフェノール濃度を測定することができる。すなわち、上記のように作製された酵素電極の外側の反応に過酸化水素を添加すると過酸化水素は透析膜、又は酵素固定膜を透過して酵素電極の酵素に接触する。透析膜、又は酵素固定膜内側の過酸化水素は酵素により還元され、その結果生じた酵素酸化体が電子メディエータを酸化し、例えばフェロセンを用いる場合にはフェロセニウムイオンが生成される。電極にフェロセニウムイオンをフェロセンに還元できる電位を印加しておくと、フェロセニウムイオンが電極表面でフェロセンに再還元され、還元電流が観察される。このときの定常状態の電流値は反応における過酸化水素の濃度に比例する。
【0016】
さらに、ポリフェノールを含有する測定試料液を一定量の酵素と共に反応に加えると、ポリフェノールが電子供与体として働くならば、過酸化水素との反応で生成した酵素酸化体が直ちに還元され、さらに過酸化水素との反応が起こる。これによりポリフェノール量に比例して反応の過酸化水素濃度が減少し、透析膜、又は酵素固定膜を透過する過酸化水素濃度も減少する。その結果、フェロセニウムイオンの還元電流値が減少し、この減少量は反応のポリフェノール濃度を反映する。このようにして試料中のポリフェノール量を間接的に測定できる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は実施例により特に限定されるものではない。
【0018】
実施例1 ペルオキシダーゼ酵素膜の作製
▲1▼ペルオキシダーゼ(東洋紡績製 POD−302)4mgを100mMリン酸緩衝液(pH6.5)75μlに溶解し、次に0.5%グルタルアルデヒド溶液75μlを加えて均一に混合する。
▲2▼約50μmのポアサイズを有するアセチルセルロース膜(東洋紡績製)上に▲1▼の溶液を流延し、直ちにポリカーボネート膜(野村マイクロサイエンス製)でカバーする。該ポリカーボネート膜を数回、密着、剥離を繰り返し、▲1▼の溶液が均一に流延されるようにする。
▲3▼4℃冷蔵庫中に1昼夜以上放置して、完全に固定化反応を行う。
▲4▼膜をパンチで必要な大きさに切り抜く。
【0019】
実施例2 ペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電極での過酸化水素の測定
図1に示すような酵素電極を作製した。すなわち、フェロセン、液体パラフィン及びグラファイト粉末を4:20:40の重量比で混合して十分練った後(2)、市販のカーボンペースト電極(1)(BAS製;11-2210)の凹部(直径3mm)に詰め、表面をパラフィン紙にこすりつけて滑らかにし、さらにその上に直径6mmの大きさにパンチで切り取ったペルオキシダーゼ固定化膜を被覆し、さらにナイロンネット(4)で被覆し、これをOリング(5)で止めた酵素電極を作製した。比較対照として、フェロセン、液体パラフィン及びグラファイトと同時にペルオキシダーゼも同時に練り込んだ酵素電極も同時に作製した。
【0020】
上記のように作製された酵素電極(6)、参照電極(7)及び対極(8)のそれぞれをポテンショスタット(9)に接続し、緩衝液を入れた反応に浸漬して測定セルとした(図2)。電流値の変化を記録する為に、ポテンショスタットにレコーダー(10)を接続した。反応をマグネチックスターラー上(11)に設置し、反応の緩衝液中にスターラーバー(12)を入れ、過酸化水素の測定中は試料液を攪拌した。
【0021】
以下に示す測定条件で測定を実行した。
印加電圧:0.1V vs. Ag/AgCl
緩衝液 :0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)
攪拌速度:800rpm
測定温度:25℃
【0022】
図3は、ペルオキシダーゼを膜固定していない酵素電極とペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電極での過酸化水素の応答直線性を示す図である。また図4は、30μM過酸化水素測定における感度、応答速度の比較を示す図である。図3、図4より両電極での直線性、感度、応答速度に差はなく、膜に固定化されたペルオキシダーゼが問題なく反応系に関与していることがわかる。
【0023】
表1は、ペルオキシダーゼを固定していない電極及びペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電極を緩衝液中に浸漬し、室温(21〜27℃)で保存した場合の保存試験結果を示す。ペルオキシダーゼを固定化していない電極では2週間目で感度の劣化が見られるのに対し、ペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電極では1ケ月経過しても感度の劣化が見られない。酵素を膜に固定化することにより、電極の寿命が長くなったことが確認される。
【0024】
【表1】
Figure 0004462395
【0025】
実施例3 アジ化ナトリウム添加量の検討
上記酵素膜を装着した酵素電極を用いてポリフェノールの測定を実施した。添加する過酸化水素の濃度は、上記ペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電極での過酸化水素の直線性が認められる1〜50μMの範囲であればよいが、本検討では30μMを使用した。また、添加するペルオキシダーゼの濃度は同様にポリフェノールを酸化できる濃度範囲でよく、具体的には133U/mgの酵素活性を持つペルオキシダーゼを使用した場合、希釈液20ml中に添加する量は、8.8〜880μgの範囲であればよいが、本検討では88μgを使用した。
【0026】
緩衝液中に一定濃度の過酸化水素とペルオキシダーゼを添加した場合の応答を図5に示す。ペルオキシダーゼを添加しなければ酵素電極は過酸化水素のみに応答し上記実施例2の検討結果と同様になるが、ペルオキシダーゼを添加することにより過酸化水素の応答において負の誤差を与える方向に出力電流値はドリフトする。これはペルオキシダーゼが有しているカタラーゼ活性の作用により過酸化水素と反応し、過酸化水素の量が減少しているものと考えられる。
【0027】
また、図6に示すように添加するペルオキシダーゼ量を2〜3倍にすることで、ドリフトの大きさは直線的に大きくなる為、ドリフトの原因はペルオキシダーゼ中のカタラーゼ活性によるものと推察できる。上記過酸化水素及びペルオキシダーゼの量を前提に、緩衝液中に添加するアジ化ナトリウムの添加量と過酸化水素測定でのドリフトの大きさの関係を検討した。結果を表2に示す。アジ化ナトリウム量が0.002重量%以上ではドリフトはほぼ見られなくなることが確認される。
【0028】
【表2】
Figure 0004462395
【0029】
代表的なポリフェノールの一種である(+)カテキンの測定においても同様にアジ化ナトリウム量の検討を実施した。添加するカテキン濃度を2mMと一定にし、緩衝液中に添加するアジ化ナトリウム量と(+)カテキン測定における感度の関係を検討した。結果を表3に示す。アジ化ナトリウム量が0.002重量%以上で(+)カテキン測定でのドリフトもほぼ収まっている。但し、アジ化ナトリウム量が0.05重量%以上になると(+)カテキン測定における感度が極端に減少する。通常カテキン測定において、ペルオキシダーゼは(+)カテキンの酸化作用を触媒し同時に過酸化水素を還元する触媒作用を有する。よってアジ化ナトリウム量を0.05重量%以上添加することにより、ペルオキシターゼ活性が阻害され触媒として機能していないものと考えられる。
【0030】
【表3】
Figure 0004462395
【0031】
上記過酸化水素の測定でのドリフト、(+)カテキン測定での感度データから見て、緩衝液中に添加するアジ化ナトリウム量は0.002〜0.05重量%の範囲で使用できることがわかる。ドリフトの大きさ、感度への影響等を考慮すれば0.0025〜0.01重量%の範囲がより好ましい。
【0032】
実施例4 電子メディエータの種類の検討
フェロセン以外の電子メディエータとして、代表的なフェロセン誘導体である1,1−ジメチルフェロセンを使用し、上記実施例1と同様カーボンペーストに練り込み、酵素膜を装着した酵素電極で過酸化水素の測定を実施した。フェロセンを使用した場合、フェロセン、流動パラフィン及びカーボンの組成比は4:20:40であった。1,1−ジメチルフェロセンを使用した場合、加える量を表4のように3種類変えて酵素電極を作製し、各電極での過酸化水素の直線性、感度応答速度試験を実施した。結果を表4に示す。その結果よりフェロセンと同量の1,1−ジメチルフェロセンを加えることで、フェロセンと同様な性能が得られた。
【0033】
【表4】
Figure 0004462395
【0034】
実施例5 市販サンプル測定
市販されている7種類の茶と2種類の赤ワインに含まれているポリフェノール濃度を測定した。測定は上記実施例3と同様にして行った。アジ化ナトリウムを0.005重量%含む20mlの緩衝液に一定濃度の過酸化水素及びペルオキシダーゼを添加し、上記サンプルを50μl加えた。校正は(+)−カテキン標準液で検量線を作製し、サンプル測定後の電流出力値からサンプルのポリフェノール濃度を求めた。表5に結果を示す。従来法である分光法との良好な相関を示した。また、茶のサンプルについての反応時間は4分前後、ワインについては10分前後であった。
【0035】
【表5】
Figure 0004462395
【0036】
【発明の効果】
上述したように、本発明は測定試料液中に含まれるポリフェノールの量を簡単で敏速なうえに、正確に測定し得るポリフェノールセンサーを提供するものである。また、使用するペルオキシダーゼを膜に固定化することにより、長期間安定性よくポリフェノールを測定できるポリフェノールセンサーを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリフェノールセンサーに用いた酵素電極の一例を示す図である。
【図2】本発明のポリフェノールセンサーの一例を示す図である。
【図3】ペルオキシダーゼを膜固定していない酵素電極とペルオキシダーゼ固定化膜を装着した酵素電極での過酸化水素の応答直線性を比較した結果を示す図である。
【図4】本発明のポリフェノールセンサーにおいて、30μM過酸化水素測定における感度、応答速度の比較を示す図である。
【図5】本発明のポリフェノールセンサーにおいて、一定濃度の過酸化水素とペルオキシダーゼを添加した場合の応答を示す図である。
【図6】本発明のポリフェノールセンサーにおいて、ペルオキシダーゼの量とドリフトの関係を検討した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 カーボンペースト電極
2 フェロセン、ペルオキシダーゼ、液体パラフィンおよびグラファイト
3 透析膜
4 ナイロンネット
5 O−リング
6 酵素電極
7 参照電極
8 対極
9 ポテンショスタット
10 レコーダー
11 マグネチックスターラー
12 スターラーバー

Claims (10)

  1. 過酸化水素を分解する酵素及び電子メディエータを含有する酵素電極;並びに
    過酸化水素、過酸化水素を分解する酵素、及びアジ化ナトリウムを含有する反応槽
    を含むポリフェノールセンサー。
  2. 過酸化水素を分解する酵素がペルオキシダーゼである請求項1記載のポリフェノールセンサー。
  3. 反応槽中におけるアジ化ナトリウムの含有量が該反応槽中で混合されたペルオキシダーゼが該ペルオキシダーゼの有するカタラーゼ活性及び試料溶液中に含まれるカタラーゼが該反応槽中に混合された過酸化水素を分解する反応を阻止し、かつペルオキシダーゼ活性は阻害されない量である請求項1又は2に記載のポリフェノールセンサー。
  4. 反応槽中におけるアジ化ナトリウムの濃度が0.001〜0.05重量%である請求項3記載のポリフェノールセンサー。
  5. 反応槽中におけるアジ化ナトリウムの濃度が0.002〜0.01重量%である請求項3記載のポリフェノールセンサー。
  6. 電子メディエータが酸化還元酵素の電子伝達体として機能するレドックス化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のポリフェノールセンサー。
  7. レドックス化合物としてフェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾキノン、メチレンブルー、26−ジクロロインドフェノール、金属シアン化錯体よりなる群から選択される少なくとも1種を用いる請求項6記載のポリフェノールセンサー。
  8. 酵素電極がカーボンペーストに電子メディエータを練り込み、過酸化水素を分解する酵素を固定してなる膜でカーボンペースト表面上に被覆されてなる請求項1〜7のいずれかに記載のポリフェノールセンサー。
  9. 膜が、電極に対向する膜面が基質不透過性かつ過酸化水素選択透過性を有する綿密な膜層であり、被測定物質に接する膜面が基質透過性の多孔質構造を有する一体構造膜の被測定物質に接する多孔質構造を有する膜面に、過酸化水素を分解する酵素が固定化されてなる膜である請求項8に記載のポリフェノールセンサー。
  10. 酵素電極が電子メディエータ及び導電性物質よりなる電極部をスクリーン印刷法にて絶縁基板上に設け、該電極部上に過酸化水素を分解する酵素を固定化してなる請求項1〜7のいずれかに記載のポリフェノールセンサー。
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