JP5052090B2 - 自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

Description

本発明は自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ（以下、単に「タイヤ」とも称する）に関し、詳しくは、交錯ベルト層の配設領域の改良に係る自動二輪車用空気入りラジアルタイヤに関する。

一般に、自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部間に延在するカーカス層を骨格とし、そのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層で補強されてなる構造を有する。かかるベルト層の構造としては、実質的にタイヤ周方向に巻回されたコード層からなるスパイラルベルトと、タイヤ周方向に対し所定の角度をなすコード層を層間で互いに交錯するよう配設してなるクロスベルトとがある。

自動二輪車用タイヤに係る改良技術としては、例えば、特許文献１に、カーカスとトレッドとの間に、スパイラルベルト層と交錯クロスベルト層とが配設された自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、スパイラルベルト層のセンター領域における打ち込み数とショルダー領域における打ち込み数とを所定に規定する技術が開示されている。

また、特許文献２には、トレッドゴムとカーカスとの間に、所定の有機繊維コードをタイヤ赤道面と実質上平行に配列してなる少なくとも１枚のベルト層を、トレッド幅の０．７〜１．０倍の幅をもってカーカスの輪郭と平行に配置した２輪車用空気入りタイヤが開示されている。さらに、特許文献３には、ベルト層を構成するベルトプライのうち最も小巾をなすベルトプライのベルトプライ巾を、トレッド巾の０．３５以上かつ０．８５以下とした自動二輪車用タイヤが開示されている。
特開２００６−１９９０７４号公報（特許請求の範囲等） 特開平１−２８９７０３号公報（特許請求の範囲等） 特開平２−２２５１０２号公報（特許請求の範囲等）

しかしながら、従来の大型自動二輪車用のクロスベルトラジアルタイヤにおいては、使用負荷荷重が高くなり、低内圧下で使用されると、十分なベルトエッジセパレーション耐久性を確保することが難しくなってきている。

そこで本発明の目的は、クロスベルト構造の改良により、従来に比しより優れたベルトエッジセパレーション耐久性能を備えた自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。

本発明者は、クロスベルト構造を有する二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、重荷重、低内圧下で使用した際にベルトエッジセパレーション耐久性が著しく低下する原因について鋭意検討した結果、以下のことを見出した。

重荷重かつ低内圧時におけるタイヤ接地面の幅方向の端部は、トレッド踏面部ペリフェリー長の１／４点（タイヤセンター部とトレッドエンド部との中間点）付近に来る。よって、この１／４点部においてタイヤ内部温度が最も高くなり、その近傍にベルト層の端部が来ると、ベルトエッジセパレーション耐久性には不利となる。逆に、上記１／４点部からトレッドエンド部方向にベルト層の端部が移動すればするほど、ベルトエッジセパレーション耐久性は向上することになるのである。

すなわち、本発明の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビード部にそれぞれ埋設されたビードコア間にまたがって延在するカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも２層のベルト層と、を備える自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記カーカス層が前記ビードコアに内側から外側に折り返され、該カーカス層の折り返し端部が前記ベルト層と重なるよう配設され、該カーカス層と該ベルト層との間にサイドゴム層が配設されてなるとともに、タイヤ踏面部のペリフェリー長をＴｐ、前記ベルト層のうちベルト幅が最も狭いベルト層断面のベルトペリフェリー長をＢｐとしたとき、ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが０．８３以上１．０以下を満足し、かつ、ロードインデックスが６９以上であることを特徴とするものである。

本発明のタイヤにおいては、実質的にタイヤ周方向に巻回されたコード層からなるスパイラルベルトを有しないことが好ましい。また、前記ベルト層は、タイヤ周方向に対し１０〜４０°の角度をなす少なくとも２層の有機繊維コード層からなり、層間で互いに交錯するよう配設されてなるものとすることができる。

さらにまた、前記ベルト層は、内側の高弾性有機繊維コード層と、外側の低弾性有機繊維コード層と、からなるものとすることもでき、本発明において好適には、前記ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが０．８５以上０．９５以下である。

本発明によれば、上記構成としたことにより、従来に比しより優れたベルトエッジセパレーション耐久性能を備えた自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを実現することが可能となった。

以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図１に、本発明の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤの一例の概略断面図を示す。図示するように、本発明の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ１０は、左右一対のビード部１１にそれぞれ埋設されたビードコア１間にまたがって延在するカーカス層２と、そのタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも２層（図示例では２層）のベルト層３と、を備える。

本発明においては、タイヤ踏面部、すなわち、トレッド部表面に沿うペリフェリー長をＴｐ、ベルト層３のうちベルト幅が最も狭いベルト層（図示例では外側ベルト層）断面のベルトペリフェリー長をＢｐとしたとき、ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが０．８３以上１．０以下を満足することが必要である。かかるペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが０．８３以上になると、ベルトエッジセパレーション耐久性は急激に向上する。一方、ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが１．０を超えるとベルト幅が広すぎて、乗り心地性能が悪化する。ベルト耐久性と乗り心地性能との両立の観点からのペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐの最も好ましい範囲は、０．８５以上０．９５以下である。

また、上記ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが大きくなると、図示するように、結果的にカーカス層２の折り返し端部２Ａがベルト層３と重なる構造となるが、このような構造ではユニフォミティーが悪化する。これは、加硫時のカーカススリップ量がタイヤ周上でばらつき、ベルトが蛇行することに起因する。この場合、カーカス層２とベルト層３との間にサイドゴム層４を配設することで、このベルトの蛇行を抑制することができるため、ユニフォミティーの悪化を防止できる。

本発明のタイヤにおいては、上記ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐを満足するようベルト層３が配設されているものであればよく、これにより本発明の所期の効果を得ることができるものであり、その他の点については、公知の構造および材料を適宜適用して構成することができる。

例えば、かかるベルト層３は、タイヤ周方向に対し１０〜４０°の角度をなす少なくとも２層の有機繊維コード層からなり、層間で互いに交錯するよう配設されてなる、クロスベルト構造とすることができる。より具体的には、ベルト層３は、内側の高弾性有機繊維コード層と、外側の低弾性有機繊維コード層と、からなる２層構造とすることができ、この場合の高弾性有機繊維としては、例えば、芳香族ポリアミド（アラミド）繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、炭素繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール（ＰＢＯ）繊維およびリヨセル繊維などを挙げることができ、また、低弾性有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維および脂肪族ポリケトン（ＰＫ）繊維などを挙げることができる。

また、カーカス層２は、比較的高弾性のテキスタイルコードを、タイヤ周方向に対して６０°〜９０°の角度で互いに平行に配列してなるカーカスプライの少なくとも１枚からなり、クラウン部１２からサイドウォール部１３を経てビード部１１まで延在して、これら各部分を補強する。また、カーカス２の本体部２ａと巻き上げ部２ｂとの間には、ビードコア１に隣接してビードフィラー５が配置され、タイヤの最内層にはインナーライナー（図示せず）が配置される。さらにまた、トレッド表面には、適宜トレッドパターンが形成される。なお、本発明のタイヤは、特には、実質的にタイヤ周方向に巻回されたコード層からなるスパイラルベルトを有しないものであり、ロードインデックスが６９以上である大型の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤに適用される。

以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
図１に示すような構造を有する自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを、下記の表１中に示すペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐを満足するようベルト層の配設領域を変えて、下記条件に従い作製した。

＜供試タイヤ作製条件＞
タイヤサイズ：１５０／８０Ｒ１６Ｍ／Ｃ ７１Ｈ
カーカス：レーヨン繊維，２枚
内側ベルト層：ケブラー（登録商標，東レ・デュポン（株）製 パラ系全芳香族ポリアミド繊維）
外側ベルト層：ナイロン
ベルト角度：タイヤ周方向に対し±３０°

＜評価試験条件＞
得られた各供試タイヤに内圧１４０ｋＰａを付与し、荷重２．８９ｋＮを負荷して、ベルトエッジセパレーションドラムライフ試験を行った。結果は、実施例１を１００とした指数にて表示した。数値が大なるほどベルトエッジセパレーション耐久性能が良好である。その結果を、下記の表１中に併せて示す。

上記表１に示すように、ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが０．８３以上１．０以下を満足する実施例の供試タイヤは、満足しない比較例１，２の供試タイヤに比し、極めて優れたベルトエッジセパレーション耐久性能を有していることが確かめられた。

本発明の一実施の形態に係る自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを示す概略断面図である。

符号の説明

１ ビードコア
２ カーカス層
３ ベルト層
４ サイドゴム
５ ビードフィラー
１０ 自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ
１１ ビード部
１２ クラウン部
１３ サイドウォール部

Claims (5)

1. 左右一対のビード部にそれぞれ埋設されたビードコア間にまたがって延在するカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも２層のベルト層と、を備える自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
   前記カーカス層が前記ビードコアに内側から外側に折り返され、該カーカス層の折り返し端部が前記ベルト層と重なるよう配設され、該カーカス層と該ベルト層との間にサイドゴム層が配設されてなるとともに、タイヤ踏面部のペリフェリー長をＴｐ、前記ベルト層のうちベルト幅が最も狭いベルト層断面のベルトペリフェリー長をＢｐとしたとき、ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが０．８３以上１．０以下を満足し、かつ、ロードインデックスが６９以上であることを特徴とする自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
2. 実質的にタイヤ周方向に巻回されたコード層からなるスパイラルベルトを有しない請求項１記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
3. 前記ベルト層が、タイヤ周方向に対し１０〜４０°の角度をなす少なくとも２層の有機繊維コード層からなり、層間で互いに交錯するよう配設されてなる請求項１または２記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
4. 前記ベルト層が、内側の高弾性有機繊維コード層と、外側の低弾性有機繊維コード層と、からなる請求項１〜３のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
5. 前記ペリフェリー比Ｂｐ／Ｔｐが０．８５以上０．９５以下である請求項１〜４のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。

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