JP5044917B2 - 粘着シート - Google Patents
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Description
例えば、特開2002−302659号公報には、特定のオレフィン共重合体が粘着剤層として用いられた、使用温度範囲に関わらず粘着性を維持し剥離性に優れた粘着フィルムが記載されている。また、特開2004−2624号公報には、各種被着体への接着力が良好であり、かつ屋外や高温下でも接着力の増加が少なく、剥離性が良好な表面保護シートが開示されている。
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題、すなわち本発明の目的は、高い粘着力を有し、使用温度によって粘着力が経時的に変化しにくく、巻物の状態からの繰り出し性に優れ、繰り出すときに粘着層が基材層から剥離しにくい粘着シートを提供するものである。
(A−1)エチレン、プロピレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも2種のオレフィンを共重合して得られる。
(A−2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下である。
本発明に係る粘着層に用いられる非晶性オレフィン系重合体は、下記の要件(A−1)および要件(A−2)を満たす共重合体である。
(A−1)エチレン、プロピレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも2種のオレフィンを共重合して得られる。
(A−2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下である。
なかでも、プロピレン単量体および炭素原子数4〜20のα-オレフィン単量体からなる群から選ばれる2種以上のオレフィン単位からなる非晶性オレフィン系重合体であることが好ましく、非晶性プロピレン系重合体であることがより好ましく、具体的には、プロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体、プロピレン/1−オクテン共重合体、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン/1−ブテン/1−ヘキセン共重合体を好適な例として挙げることができる。
エチレン単量体単位の含有量が過多であると、粘着剤用組成物の粘着力が劣ることがある。
また、非晶性オレフィン系重合体中のプロピレン単量体単位の含有量は、好ましくは99.9モル%以下であり、より好ましくは99モル%以下であり、更に好ましくは98.5モル%以下であり、特に好ましくは98モル%以下である。プロピレン単量体単位の含有量が過多であると、粘着剤用組成物の低温での粘着力が劣ることがある。
好ましくは、[y/(x+y)]≧0.3であり、
より好ましくは、[y/(x+y)]≧0.5であり、
更に好ましくは、[y/(x+y)]≧0.8であり、
特に好ましくは、[y/(x+y)]=1である。
上記の範囲を外れると、粘着剤層としての粘着力に劣る場合がある。
なお、上記式において、xは非晶性オレフィン系重合体中のエチレン単位の含有量(モル%)を表し、yは非晶性オレフィン系重合体中の炭素原子数4〜20のα-オレフィン単位の含有量(モル%)を表し、100−(x+y)はプロピレン単位の含有量(モル%)を表す。ただし、非晶性オレフィン系重合体を構成するオレフィン単位の合計量は100モル%である。
該エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体ゴム、ポリアクリロニトリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、部分水添アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、シリコンゴム、ウレタンゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴムおよび、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合体ゴムを挙げることができる。
本発明に係る離型層は粘着シートの基材層をなす層である。
該離型層に用いられる樹脂は、ポリアミド、ポリエステルおよびポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である。
上記ポリアミドとしては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン、4,6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等が挙げられる。
上記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。
上記ポリウレタンとしては、例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系等の熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。
離型層は、単層であってもよいし、2層以上の多層であってもよい。2層以上の多層である場合には、表面である最外層は上記離型層に用いられる樹脂である。
本発明の粘着シートは、離型層の片面に粘着層を有する積層体である。また、離型層の両面に粘着層を有する積層体であってもよい。
離型層用の樹脂は、必要に応じて、例えば、離型層表面に滑り性等の機能を付与するために、離型剤等の添加剤を添加してもよい。
本発明に係る接着層に用いられる樹脂は、前記特定の非晶性オレフィン系重合体からなる粘着層と離型層とを接着するものである。
接着層に用いられる樹脂としては、例えば、反応性官能基含有樹脂であるカルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂、オレフィンとカルボン酸またはその無水物を共重合したポリオレフィン樹脂、エポキシ基含有ポリオレフィン樹脂等からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系剥離剤および非シリコーン系剥離剤を挙げることができる。シリコーン系剥離剤としては、例えば、熱硬化型シリコーン系剥離剤、光硬化型シリコーン系剥離剤、他の重合体との共重合体剥離剤、他の重合体とのブレンド系剥離剤を挙げることができる。非シリコーン系剥離剤としては、例えば、長鎖アルキル重合体、ポリオレフィン、フッ素化合物を主成分とする剥離剤を挙げることができる。
本発明の粘着シートは、特に、合成樹脂板、ステンレス板(例えば、建築資材用)、アルミ板、化粧合板、鋼板、ガラス板、家電製品、精密機械、製造時の自動車ボディーの表面を保護するため、物品を積み重ねたり、保管したり、輸送したりする際の傷付きから防止するため、物品を二次加工する(例えば、曲げ加工やプレス加工)際の傷付きから防止するために、好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
初めに、実施例および比較例における物性値の測定方法を以下に示す。
(1)非晶性オレフィン系重合体の単量体組成(単位:モル%)
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、プロピレン単量体単位由来のメチル炭素のスペクトル強度と1−ブテン単量体単位由来のメチルの炭素スペクトルとの強度比からプロピレン単位と1−ブテン単量体単位の組成比を算出した。
(2)極限粘度([η]、単位:dl/g)
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりの非晶性オレフィン系重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlである非晶性オレフィン系重合体のテトラリン溶液を調製し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcを0に外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(3)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により、下記の条件で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
装置:Waters社製 150C ALC/GPC
カラム:昭和電工社製Shodex Packed ColumnA−80M 2本
温度:140℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン
溶出溶媒流速:1.0ml/分
試料濃度:1mg/ml
測定注入量:400μl
分子量標準物質:標準ポリスチレン
検出器:示差屈折
(4)結晶融解ピーク温度(単位:℃)、結晶融解熱量(単位:J/g)、結晶化ピーク温度(単位:℃)、結晶化熱量(単位:J/g)
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。この(ii)で観察されるピークトップが結晶化ピーク温度であり、ピーク面積が1J/g以上の結晶化ピークの有無を確認した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。この(iii)で観察されるピークトップが結晶融解ピーク温度であり、ピーク面積が1J/g以上の結晶融解ピークの有無を確認した。
(5)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定を行った。
(6)粘着フィルムの繰り出し性
作成した粘着フィルムの巻物からフィルムを繰り出し、この際の繰り出し性、層間剥離の有無について確認した。
<非晶性オレフィン系重合体の製造>
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節剤として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、本発明で用いる非晶性オレフィン系重合体にあたるプロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマーおよび水洗浄し、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得て、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は7.10kg/時間であった。
得られたプロピレン−1−ブテン共重合体の物性評価結果を表1に示した。
該共重合体中のエチレンに由来する単量体単位の含有量(モル%)をx、炭素原子数4〜20のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量(モル%)をyとすると、x=0、y=4であり、[y/(x+y)]=1であった。
離型層としてポリアミド(宇部興産株式会社製「UBE ナイロン 5033B」)を用い、接着層として三井化学株式会社製「アドマー QF500(ポリプロピレンベースの無水マレイン酸変性樹脂)」を用い、粘着層として上記製造例1で得られた非晶性オレフィン系重合体を用いて、30mmφ押出機3台により、ポリアミド(40μm)/接着性樹脂(10μm)/非晶性オレフィン系重合体(30μm)から構成される3種3層の共押出粘着シートを成形した。
共押出はポリアミドをチルロール面側にし、非晶性オレフィン系重合体を反チルロール面側にして実施し、得られた粘着シートはポリアミドを外向きにして、紙管に巻き取った。すなわち、離型紙を介して巻き取る必要もなく、巻き取ったものは、外表面がポリアミド層であり、搬送、保管時に別途離型紙でくるむ等の包装が不要であり、従って離型紙の廃棄が生じない。本発明の粘着シートは紙管巻きからの繰り出し性が良好で、繰り出し時の層間の剥離もなかった。
離型層と粘着層の間に接着層を設けず、ポリアミド(40μm)/非晶性オレフィン系重合体(30μm)の2種2層の構成とした以外は、実施例1と同様の方法を繰り返した。
得られた粘着シートは紙管巻きからの繰り出し性は可能であったが、繰り出し時に離型層のポリアミドと粘着層の非晶性オレフィン系重合体の間が部分的に剥離した。
離型層を、ポリアミドに替えてポリプロピレン(住友化学株式会社製「ノーブレンFS3611」、MFR(230℃)=3.5g/10分)とした以外は、実施例1と同様の方法を繰り返し、ポリプロピレン(40μm)/接着性樹脂(10μm)/非晶性オレフィン系重合体(30μm)から構成される3種3層の共押出粘着シートを成形した。
得られた粘着シートは紙管巻きからの繰り出しが全く困難で、繰り出し時に離型層のポリプロピレンと粘着層の非晶性オレフィン系重合体の間が部分的に剥離した。
Claims (4)
- 基材層をなし、ポリアミド、ポリエステルおよびポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる離型層、下記の要件(A−1)および要件(A−2)を満たす非晶性オレフィン系重合体からなる粘着層、および該離型層と粘着層を接着する接着層を、共押出により形成させてなる粘着シート。
(A−1)エチレン、プロピレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも2種のオレフィンを共重合して得られる。
(A−2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下である。 - 非晶性オレフィン系重合体が、エチレン、プロピレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群から選ばれるオレフィンの炭素原子数の合計が6以上である少なくとも2種のオレフィンを共重合して得られ、非晶性オレフィン系重合体に含有されるエチレンに由来する単量体単位の含有量が0〜60モル%(ただし、非晶性オレフィン系重合体全体を100モル%とする)である請求項1記載の粘着シート。
- 接着層が、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂、オレフィンとカルボン酸またはその無水物を共重合したポリオレフィン樹脂、エポキシ基含有ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる請求項1または2に記載の粘着シート。
- 非晶性オレフィン系重合体が、極限粘度[η]0.1〜10dl/gのプロピレン−1−ブテン共重合体である請求項1〜3のいずれかの粘着シート。
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