JP5043672B2 - 新規細胞膜透過ペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、新規な細胞膜透過ペプチド及び当該ペプチドを含有する医薬に関する。
治療や診断に用いられる通常のタンパク質や核酸等は、細胞膜は透過しないが、近年、生体内でタンパク質や核酸等を、細胞内や核内へ輸送するペプチド(以下「TATタンパク質」と称することもある。)が存在することが明らかとなった(非特許文献1から非特許文献3)。さらに、TATタンパク質の特定の11アミノ酸からなるペプチドと他のタンパク質との融合タンパク質が、細胞膜を透過することが明らかとなり、この細胞膜透過に必須な領域、すなわち、細胞膜透過ペプチドは、PTD(Protein Transduction Domain)と称されている(非特許文献4)。
現在までに、種々の細胞膜透過ペプチドを利用してタンパク質や核酸等を細胞内へ輸送する方法が開発されている。具体的には、HIV-1 TATタンパク質の特定部分ポリペプチドを利用する方法(特許文献1)等が提案されている。
しかし、従来用いられてきた細胞膜透過ペプチドは、天然に存在するものであり、輸送効率が低いという問題点があった。そのため、高い輸送効率を有するペプチドの開発が望まれていた。
特開平10−33186号公報 Green, M. et al. Cell 55, 1179-1188 (1988) Frankel, A.D. et al. Cell 55, 1189-1193 (1988) Fawell, S. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 91, 664-668(1994) Nagahra, H. et al. Nature Medicine 4, 1449-1452 (1998)
本発明の課題は、新規な細胞膜透過ペプチド及び当該ペプチドを含有する医薬を提供することにある。
本発明者らは、細胞膜透過ペプチドとして有用な、新規なアミノ酸配列からなるペプチドを提供すべく鋭意検討した結果、従来の細胞膜透過ペプチドに比べて、高い頻度でタンパク質を細胞内に輸送するペプチドのアミノ酸配列を同定して、本発明を完成するに至った。具体的には、1012分子のランダムペプチドライブラリーの中から網羅的なスクリーニングを行うことによって細胞内移行性の高いペプチドを見出した。このような手法を用いることにより選択されたペプチドは、細胞内移行能を持ったペプチドの中でも特に移行性が高いものであると考えられる。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)下記のアミノ酸配列を有するペプチド。
B-X-Z-X-Arg-Z-Tyr-J-X-O1-X-Arg-O2-X-XまたはX-X-O1-Arg-X-O2-X-J-Tyr-Z-Arg-X-Z-X-B
ただし、(i)Bはアルギニンまたはリジンであり、(ii)O1またはO2の少なくとも一方がアルギニンであり、(iii)Zが疎水性アミノ酸であり、(iv)Jがセリンまたはアラニンであり、かつ(v)Xが任意のアミノ酸である。
(2)配列表の配列番号1から34のいずれかで表されるアミノ酸配列のうち1個または複数個のアミノ酸を置換、欠失、付加または挿入されることによってなる、(1)記載のペプチド。
(3)配列表の配列番号35から47のいずれかで表されるアミノ酸配列のうち1個または複数個のアミノ酸を置換、欠失、付加または挿入されることによってなるペプチドおよびその逆鎖ペプチド。
(4)配列表の配列番号1から47のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチドおよびその逆鎖ペプチド。
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載のペプチドをコードする塩基配列からなるDNA。
(6)上記(5)に記載のDNAを含有する組換えベクター。
(7)上記(6)に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(8)上記(1)から(4)のいずれかに記載のペプチド及び生理活性物質を含有するペプチド結合物質。
(9)生理活性物質が、生理活性を有するタンパク質、生理活性を有するポリペプチド、薬剤封入リポソーム、ポリエチレングリコール化薬剤封入リポソーム、低分子化合物、核酸、マグネティックビーズ、ナノゲージパーティクルまたはファージである上記(8)に記載のペプチド結合物質。
(10)生理活性を有するタンパク質が約10KDaから約120KDaのタンパク質または4個から30個のポリペプチドである上記(8)に記載のペプチド結合物質。
(11)生理活性を有するタンパク質がmi転写因子(MITF)である上記(8)に記載のペプチド結合物質。
(12)細胞内及び/又は核内に輸送される上記(8)から(11)のいずれかに記載のペプチド結合物質。
(13)細胞内に輸送される上記(8)から(11)のいずれかに記載のペプチド結合物質。
(14)上記(8)に記載のペプチド結合物質を含有する医薬。
(15)抗アレルギー薬として使用する上記(14)に記載の医薬。
本発明によれば、従来の細胞膜透過ペプチドに比べて、高い頻度でタンパク質を細胞内及び/又は核内に輸送する細胞膜透過ペプチド及び当該ペプチドを含有する医薬を提供することができる。
蛍光標識ペプチドの細胞内移行試験の結果を示した図である。上段はFITCの蛍光を示し、下段は細胞の微分干渉顕微鏡像と蛍光をあわせたものを示す。 スライドチャンバーを用いた蛍光標識ペプチドの細胞内移行試験の結果を示した図である。写真の上段はFITCの蛍光を示し、下段は細胞の微分干渉顕微鏡像と蛍光をあわせたものを示す。 フローサイトメトリーによる解析の結果を示す図である。 共焦点顕微鏡によるeGFP融合タンパク質の細胞内移行試験の結果を示した図である。 KSH1およびKSH1-1から1-9のペプチドの、Wheel構造を表した図である。以下の図において、Wheel構造にて用いられるアミノ酸の略語が表す内容は下記の通りである。A:アラニン、V:バリン、L:ロイシン、I:イソロイシン、P:プロリン、F:フェニルアラニン、W:トリプトファン、M:メチオニン、G:グリシン、S:セリン、T:スレオニン、C:システイン、Y:チロシン、N:アスパラギン、Q:グルタミン、E:グルタミン酸、K:リジン、R:アルギニン、H:ヒスチジン、D:アスパラギン酸。 KSH1およびKSH1-1から1-9の蛍光標識ペプチドのCHO細胞におけるフローサイトメトリー(FACS)による解析結果を示す図である。 KSH1-11から1-24およびKSH1-35のペプチドの、Wheel構造を表した図である。 KSH1-11から1-24およびKSH1-35の蛍光標識ペプチドのCHO細胞におけるフローサイトメトリーによる解析結果を示す図である。 KSH1-24から1-26およびKSH1-28から1-30のペプチドの、Wheel構造を表した図である。 KSH1-1、KSH1-24から1-26およびKSH1-28から1-30の蛍光標識ペプチドのCHO細胞におけるフローサイトメトリーによる解析結果を示す図である。 KSH1-27,KSH1-33,KSH1-34およびKSH1-36のペプチドの、Wheel構造を表した図である。 KSH1-27,KSH1-33,KSH1-34およびKSH1-36の蛍光標識ペプチドのCHO細胞におけるフローサイトメトリーによる解析結果を示す図である。 KSH1のペプチドの改変体検討結果より得られたアミノ酸配列のペプチドの、Wheel構造を表した図である。 eGFP融合蛋白質を発現させる際の、インサート構成を示した図である。 eGFP融合蛋白質のベクターマップである。 合成オリゴのベクターへの組み込み方法を示した図である。この図は、Dタイプのベクターを用いたものである。 共焦点顕微鏡によるeGFP融合タンパク質の細胞内移行試験の結果を示した図である。上段はFITCの蛍光を示し、下段は細胞の微分干渉顕微鏡像と蛍光をあわせたものを示す。 KSH3からKSH10のペプチドの、Wheel構造を表した図である。 蛍光標識ペプチドを25μM添加した際の細胞内移行試験の結果を示した図である。上段はFITCの蛍光を示し、下段は細胞の微分干渉顕微鏡像と蛍光をあわせたものを示す。 KSH2およびKSH2-1から2-4のペプチドの、Wheel構造を表した図である。 蛍光標識ペプチドを50μM、25μMおよび12.5μM添加した際の細胞内移行試験の結果を示した図である。上段はFITCの蛍光を示し、下段は細胞の微分干渉顕微鏡像と蛍光をあわせたものを示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)ペプチド
本発明においてペプチドとは、B-X-Z-X-Arg-Z-Tyr-J-X-O1-X-Arg-O2-X-XまたはX-X-O1-Arg-X-O2-X-J-Tyr-Z-Arg-X-Z-X-Bのアミノ酸配列を有するL体もしくはD体のペプチドが挙げられる。このアミノ酸配列において、Bはアルギニンまたはリジンであり、かつ、O1またはO2の少なくとも一方がアルギニンであり、かつ、Zが疎水性アミノ酸であり、かつJがセリンまたはアラニンであり、かつXが任意のアミノ酸である。ここで、Bは、望ましくはアルギニンである。O1またはO2は、少なくとも一方がアルギニンであれば、もう一方は任意のアミノ酸でよい。また、Zの疎水性アミノ酸とはロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、チロシン、またはトリプトファンのいずれかを指し、望ましいのはロイシン、フェニルアラニン、イソロイシンまたはトリプトファンであり、最も望ましいのはイソロイシンまたはトリプトファンである。
B-X-Z-X-Arg-Z-Tyr-J-X-O1-X-Arg-O2-X-XまたはX-X-O1-Arg-X-O2-X-J-Tyr-Z-Arg-X-Z-X-Bのアミノ酸配列を有するとは、上記配列で表される15個のアミノ酸配列のみのアミノ酸を有することでも良く、あるいは上記配列のアミノ酸のC末端側および/またはN末端側に任意にアミノ酸を1個あるいは複数有することでも良い。かつ、当該ペプチドがタンパク質を細胞内及び/又は核内に輸送することができることを意味する。任意のアミノ酸とは特に限定されないが、望ましいのは塩基性アミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、リジン)、トリプトファン、プロリン、グリシン、システインおよびアラニンであり、さらに望ましいのはグリシン、システインおよびアルギニンである。その個数は特に限定されない。
B-X-Z-X-Arg-Z-Tyr-J-X-O1-X-Arg-O2-X-XまたはX-X-O1-Arg-X-O2-X-J-Tyr-Z-Arg-X-Z-X-Bのアミノ酸配列によって表されるペプチドの中でさらに望ましいペプチドとしては、配列表の配列番号1から34で示されるアミノ酸配列からなるL体もしくはD体のペプチドおよびその逆鎖ペプチドが挙げられる。さらに望ましいペプチドとしては、配列表の配列番号1、2、4、7、8、9、10、11、13、17、18、19、20、22、24、25、26、27、28、29、30、32、33または34で示されるアミノ酸配列からなるL体もしくはD体のペプチドが挙げられる。最も望ましいのは、配列表の配列番号1、7、8、9、11、13、17、18、19、20、22、25、26、27、29、30、32、33または34で示されるアミノ酸である。
本発明において逆鎖ペプチドとは、ある配列、例えば(N末端)-A-B-C-D-(C末端)のN末端からC末端のアミノ酸の並びを逆にすること、すなわち(N末端)-D-C-B-A-(C末端)としたペプチドのことを指す。
本発明においてペプチドとはまた、前述のペプチド以外に配列表の配列番号35から47のいずれかで示されるL体もしくはD体のペプチドおよびその逆鎖ペプチドを有するペプチドが挙げられる。このペプチドにおいて特に望ましいのは、配列表の配列番号35、36、38、39、42、43、45、46または47で示されるアミノ酸配列からなるL体もしくはD体のペプチドである。
L体もしくはD体のペプチドおよびその逆鎖ペプチドを有するとは、配列表の配列番号35から47のいずれかで表される15個のアミノ酸配列のC末端側および/またはN末端側に任意にアミノ酸を1個あるいは複数個有することを意味する。かつ、当該ペプチドがタンパク質を細胞内及び/又は核内に輸送することができることを意味する。任意のアミノ酸とは特に限定されないが、望ましいのは塩基性アミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、リジン)、トリプトファン、プロリン、グリシン、システインおよびアラニンであり、さらに望ましいのはグリシン、システインおよびアルギニンである。その個数は特に限定されない。
さらに、本発明の配列表の配列番号1から47で示されるペプチドとしては、1個又は2個以上のアミノ酸が欠失、付加、挿入又は他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を有するペプチド又はそれらを組み合わせたアミノ酸配列を有するペプチド等が含まれる。かつ、当該ペプチドが細胞移行能を有することを意味する。この場合において、アミノ酸が挿入、欠失若しくは置換していても配列表の配列番号1から47に記載のペプチドと同等程度の頻度でタンパク質を細胞内及び/又は核内に輸送することができるアミノ酸配列である場合が挙げられる。アミノ酸が挿入、欠失又は置換されている場合、その挿入、欠失又は置換の位置としては、特に限定されない。
本発明においては特に、B-X-Z-X-Arg-Z-Tyr-J-X-O1-X-Arg-O2-X-X の配列で表されるアミノ酸のC末端のアミノ酸を、3個欠失させたペプチドも含まれる。C末端のアミノ酸を、1個または2個欠失させたペプチドでも良い。
ここで、配列表の配列番号1から47で示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、これまで報告されている既知のPTDとはホモロジーのない新規の配列であり、これまで報告されているヒトcDNA配列とも相同性は認められなかった。
本発明のペプチドは、公知のペプチドの合成法に従って作製することができ、置換、付加又は欠失は、保護アミノ酸の種類を変えることによって容易に行うことが出来る。また、D-アミノ酸やサルコシン(N-メチルグリシン)等の特殊なアミノ酸を導入することもできる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法等が挙げられ、合成反応後は、通常の精製法、例えば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー又は再結晶などを組み合わせることにより、本発明で用いられるペプチドを精製単離することができる。
公知のペプチド合成法としては、例えば、以下の(i)〜(v)に記載された方法が挙げられる。
(i)M.Bodanszkyおよび M.A.Ondetti、ペプチド・シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York,(1966年)
(ii)SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptide, Academic Press, NewYork1965年)
(iii)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)(1975年)
(iv)矢島治明および榊原俊平、生化学実験講座 1、タンパク質の化学IV、205、(1977年)
(v)矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合成、広川書店
(2)塩基配列及びDNA
本発明においてDNAとは、配列表の配列番号1から47のいずれかに記載のアミノ酸配列で表されるペプチドをコードする塩基配列からなるDNAが挙げられ、具体的には、配列表の配列番号48又は49で示される塩基配列からなるDNAが挙げられるが、これに限定されるものではない。配列表の配列番号 48または49で示される塩基配列は、それぞれ配列表の配列番号33または34で示されるアミノ酸配列をコードするものである。
本発明においてDNAとは、配列表の配列番号1から47のいずれかに記載のペプチドをコードする塩基配列からなるDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなるDNAを含有するものである。
本発明においてストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列とは、配列表の配列番号1又は2に記載のペプチドをコードする塩基配列の相補鎖と約80%以上、好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するものである。ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd (J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法等に従って行うことが出来る。ストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19mMから約40 mM、好ましくは約19 mMから約20 mMで、温度が約50℃から約70℃、好ましくは約60℃から約65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19 mMで温度が約65℃の場合がもっとも好ましい。
なお、本発明の塩基配列は、配列表の配列番号1から47に記載のペプチドをコードする塩基配列と約50%以上の同一性が認められる配列を含む。好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上の同一性を有する塩基配列を含有するものである。
また、本発明の塩基配列は、配列表の配列番号1から47に記載のペプチドをコードする塩基配列に塩基が挿入、欠失又は置換した塩基配列を含む。ここで、挿入、欠失又は置換した塩基配列の数としては1塩基又は2塩基以上が挙げられ、例えば1塩基から10塩基、好ましくは1塩基から5塩基が挙げられる。この場合において、塩基が挿入、欠失若しくは置換していても配列表の配列番号1から47に記載のペプチドをコードする塩基配列と同等程度の頻度でタンパク質を細胞内及び/又は核内に輸送することができる塩基配列である場合が挙げられる。塩基が挿入、欠失又は置換されている場合、その挿入、欠失又は置換の位置としては、特に限定されない。
本発明のDNAは、公知の方法に従い、合成が可能である。また、融合蛋白質をコードするcDNAを作成する場合にはプライマーを用いてPCR法で増幅することにより得ることができる。
本発明において使用することができるプライマーとしては、例えば、緑色蛍光蛋白質であるeGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein)との融合蛋白質をコードするcDNAを作成する場合のプライマーが挙げられる。
(3)組換えベクター及び形質転換体
本発明において使用される組換えベクターとは、大腸菌(Escherichia coli)のような原核細胞において発現可能なベクター(例えば、pBR322、pUC119又はこれらの派生物)を挙げることができる。更に、真核細胞においては、酵母用発現ベクターとしては、例えば、pAUR112(タカラバイオ社)等のプラスミドベクターを挙げることができる。哺乳動物由来の細胞において発現可能なベクターとしては、例えば、pcDNA3.1(Invitrogen社)のようなプラスミドベクター、pDON-AI DNA(タカラバイオ社)等のウイルスベクターを挙げることができる。
本発明の組換えベクターは、これらの組換えベクターに、公知の方法により、本発明の塩基配列を有するDNAの全部又は一部が組換えられたものである。
組換えベクターを得るための方法としては、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd (J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法等に従って行うことが出来る。
本発明の形質転換体とは、本発明の組換えベクターを含有する形質転換体を示す。宿主としては、大腸菌、酵母、動物細胞などを用いることができる。好ましくは大腸菌である。また、栄養要求株、抗生物質感受性株を宿主とすることもできる。
本発明の形質転換体は、公知の方法に従って作製することができる。例えば、プロトプラストポリエチレングリコール法やエレクトロポレーション法等、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd (J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法等に従って行うことが出来る。
(4)ペプチド結合物質
本発明において、ペプチド結合物質とは、下記のアミノ酸配列:B-X-Z-X-Arg-Z-Tyr-J-X-O1-X-Arg-O2-X-XまたはX-X-O1-Arg-X-O2-X-J-Tyr-Z-Arg-X-Z-X-Bで示されるペプチドまたは配列表の配列番号1から47で示されるアミノ酸配列からなるペプチド及び生理活性物質を含有するものが挙げられる。
本発明における下記のアミノ酸配列:B-X-Z-X-Arg-Z-Tyr-J-X-O1-X-Arg-O2-X-XまたはX-X-O1-Arg-X-O2-X-J-Tyr-Z-Arg-X-Z-X-Bで示されるペプチドまたは配列表の配列番号1から47で示されるペプチドは、細胞膜透過ペプチドとして利用することができ、本発明のペプチドを生理活性物質に結合させることにより、当該生理活性物質を細胞内及び/又は核内に輸送することができる。より好ましくは、生理活性物質を細胞内に輸送することが挙げられる。ここで細胞としては動物細胞が挙げられ、特にヒト細胞が挙げられる。ヒト細胞であれば、付着性細胞でも浮遊細胞でもよく、生体内で各器官を構成している細胞であっても良い。
本発明において、生理活性物質とは、生理活性を有するタンパク質、生理活性を有するペプチド、薬剤封入リポソーム、ポリエチレングリコール化薬剤封入リポソーム(以下「PEG化薬剤封入リポソーム」と称することもある。)、低分子化合物、核酸、マグネティックビーズ、ナノゲージパーティクルまたはファージが挙げられる。
ここで、生理活性を有するタンパク質とは、疾患の治療、予防及び/又は診断用のためのタンパク質等が挙げられ、約10KDaから約500KDaのタンパク質が挙げられ、特に望ましいのは約10KDaから約120KDaのタンパク質が挙げられる。具体的には、酵素、抗体、転写因子等やその部分ペプチドが挙げられるが、これに限定されるものではない。酵素としては、SOD(Molecules and Cells 2005, 19, 191-197, W.S.Eum et al.)等が挙げられる。抗体としては、細胞内の蛋白質に対する抗体、単鎖抗体やウイルス等の外来蛋白質に対する抗体等が挙げられる(Current Molecular Medicine 2004, 4, 519-528, M.N. Lobato and T.H.Rabbitts, Molecular Therapy 2003, 8, 355-366, Y.Y. Wheeler et al.等)。転写因子としてはmi転写因子(microphthalmia-associated transcripution factor:以下「MITF」と称することもある。)等が挙げられる。ここで、MITFとは、生体内に存在する転写制御因子の一種であり、マスト細胞に特有なc-kit遺伝子発現調節能を有するタンパク質である。具体的には、特開2004‐201547号公報に記載の各種MITFが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明において生理活性を有するポリペプチドとは、疾患の治療、予防及び/又は診断用のためのペプチド等が挙げられ、2個から100個のアミノ酸数のペプチドが挙げられ、特に望ましいのは4個から30個のアミノ酸数のペプチドが挙げられる。具体的には、HSP(Heat Shock Protein)20アナログペプチド(J Appl Physiol 98: 1836-1845, 2005)、KLAK抗菌ペプチド(Cancer Research 61, 7709-7712, 2001)、HIF-1α(Proc Natl Acad Sci USA 99: 10423-10428, 2002)、PKC(Protein Kinase C)δ阻害ペプチド(Proc Natl Acad Sci USA 98: 11114-11119, 2001)、VIVIT(Nature Medicine 10: 305-309, 2004)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明においてリポソームとは、小さな一枚膜リポソーム(以下「SUV」と称することもある。)、大きな一枚膜リポソーム(以下「LUV」と称することもある。)、または多重層リポソーム(以下「MLV」と称することもある。)等が挙げられ、好ましくはSUVまたはLUVが挙げられる。さらに、薬剤封入リポソームとしては、ジクロフェナクナトリウム、ドブラマイシン等の抗炎症薬等が上記のようなリポソーム内に封入されたものが挙げられる。
本発明においてPEG化薬剤封入リポソームとは、リポソームの表面にポリエチレングリコール(PEG)が結合した薬剤封入リポソームが挙げられる。
本発明における薬剤封入リポソーム又はPEG化薬剤封入リポソームは、特開平4−346918号公報、特開平10−29930号公報、国際公開第97/29128号パンフレット又は国際公開第01/064743号パンフレットなどに記載の方法により作製することができる。
本発明において低分子化合物としては、例えば、ジクロフェナクナトリウム、ドブラマイシン、サイクロスポリン等の抗炎症薬等が挙げられる。
本発明において核酸とは、例えばプラスミド、疾患関連遺伝子に関するsiRNAやアンチセンスDNAが挙げられる。
本発明においてマグネティックビーズとは、例えばスーパーマグネティックイオンオキサイドパーティクルをT細胞、B細胞、マクロファージに導入して細胞の局在をMRIで追跡することが挙げられる(Advanced Drug Delivery Reviews 57: 637-651, 2005)。
本発明においてナノゲージパーティクルとは、例えばナノサイズのパーティクル内に蛋白質、低分子化合物、核酸、多糖類等を封入したものが挙げられる。(Advanced Drug Delivery Reviews 57: 637-651, 2005)。
本発明においてファージとは、例えば種々のcDNA発現ユニットを組み込んだM13ファージが挙げられる(Advanced Drug Delivery Reviews 57: 529-546, 2005)。
本発明において、本発明のペプチド、及び、上記のような生理活性を有するタンパク質を含有するペプチド結合物質は、当該物質をコードするDNAを含む組換えベクターを用いて形質転換された宿主細胞を培養し、それにより産生されたタンパク質を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の方法により単離することにより得ることができる。このとき用いられるDNAとしては、本発明のペプチドをコードする遺伝子と、上記のような生理活性を有するタンパク質または生理活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を融合させたDNAであっても良い。あるいは、本発明のペプチド及び生理活性を有するタンパク質を含有するペプチド結合物質は、それぞれの遺伝子を発現させて本発明のペプチド、および、生理活性を有するタンパク質または生理活性を有するポリペプチドをそれぞれ取得し、化学反応による融合を行っても良い。化学反応による融合としては、システイン残基を利用したジスルフィド結合等が挙げられる。その他、本発明のペプチド及び生理活性を有するタンパク質を含有するペプチド結合物質は、化学的架橋剤を用いる方法により作製することができる。この場合において、本発明のペプチド及び生理活性を有するタンパク質の機能活性部位を架橋することがないようにすることが好ましく、化学的架橋方法としては、特開平10−33186号公報に記載されている方法等が挙げられる。
さらに、化学的架橋方法を用いることにより、本発明のペプチドを、薬剤封入リポソーム、PEG化薬剤封入リポソーム又は低分子化合物に結合させることもできる。
本発明におけるペプチドを薬剤封入リポソーム又はPEG化薬剤封入リポソームに結合させることによってリポソーム内に封入した薬剤を細胞内にデリバリーすることができる。本発明におけるペプチドを結合させる方法としては、例えば、N末端あるいはC末端にシステイン残基を導入し、SH基を介してマレイミド基を持つ薬剤封入リポソームもしくはPEG化薬剤封入リポソームに結合する方法等が挙げられる。
(5)医薬
本発明のペプチド結合物質は、医薬として利用することが可能である。さらに、本発明におけるペプチドを、生理活性物質に結合させることにより、目的の生理活性物質を細胞内及び/又は核内に輸送することができるため、結合させる生理活性物質の種類により、様々な疾患の治療薬及び/又は予防薬として利用することができる。本発明のペプチドに結合させる生理活性物質としては、好ましくは、生理活性を有するタンパク質が挙げられる。より好ましくは、本発明のペプチドをMITF変異体に結合させることにより、抗アレルギー薬として利用することができる。
本発明におけるペプチド結合物質を医薬として用いる場合には、公知の方法に従って製剤化し、投与することができる。例えば、そのまま液剤として又は適当な剤型の医薬組成物として、ヒト又は哺乳類に対して経口的又は非経口的に投与することができる。
液剤等の製造には、適当な溶剤または懸濁化剤を用いることができる。
適当な剤型として、錠剤やカプセル剤を製造する際には、適当な賦形剤を用いることができる。経口投与のための液体製剤、すなわちシロップ剤、懸濁剤、液剤等は、一般的に用いられる不活性な希釈剤を含む。この製剤は、不活性な希釈剤以外に補助剤、例えば湿潤剤、懸濁補助剤、甘味剤、香味剤、着色剤、保存剤、安定剤等を含むこともできる。
本発明におけるペプチド結合物質のヒトに対する投与量は年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、患者のその時に治療を行っている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められる。例えば、投与量としては、約0.01mg/Kg〜約1.0mg/Kgが挙げられ、一日あたり1回あるいはそれ以上に分けて投与することができる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1 合成ペプチドを用いた細胞膜透過試験
実施例1-1 細胞内移行性ペプチド配列の抽出
細胞内移行性ペプチド配列の濃縮は、特開2005−13073号公報に記載の方法に従い、Jurkat細胞(ATCC.NO.TIB-152)のライブラリーを用いて実施した。即ち、15アミノ酸のランダムペプチドを提示させたインビトロバイラス(以降IVVと略す)ライブラリー(ライブラリースケール1012)を調整した後、HeLa細胞(ATCC.NO.CCL2)またはJurkat細胞にライブラリーを添加した。細胞内に移行したIVVのcDNAをPCR法によって回収した後、再度IVVを調製し、細胞に添加した。添加回収の操作を繰り返すことによって、ライブラリー中に存在する「細胞内に移行するペプチド」の濃縮を行った。各濃縮操作段階のどのライブラリーに細胞内移行ペプチドが濃縮されているか確認するために、濃縮操作5回目から8回目のライブラリーより任意に11種類のアミノ酸配列を選択し、ペプチドの細胞内移行能を調べた。
実施例1-2 共焦点顕微鏡解析
配列表の配列番号50に記載のHIV TATタンパク質由来のPTDをポジティブコントロール(図1から図3中、「Positive」又は「TAT」と記載する)、配列表の配列番号51に記載のUlo Langel.らによって報告されている(Cell-Penetrating Peptides: Processes and Applications,Series: Pharmacology and Toxicology: Basic and Clinical Aspects Volume:3,2002)TAT由来PTDの変異体をネガティブコントロール(図1中、「Negative」と記載する)として、実施例1-1にて選択された11個の配列のペプチドの評価を行った。
実施例1-1にて選択された11個の配列のペプチドは、固相法により合成し、各ペプチドのN末端に5,6-Carboxyfluoresceinをカップリングして蛍光標識した。さらに、HPLCによって純度が70%以上になるように精製した。その後、蛍光標識した各ペプチドを1 mMとなるように、10% Dimethyl Sulfoxide(DMSO)に溶解した(以下、ペプチド溶液という)。
ペプチドを取り込むための細胞としては、CHO細胞(ATCC.NO. CCL-61)、HeLa細胞、Jurkat細胞の3種を用いた。CHO細胞、HeLa細胞それぞれ104個、及び、Jurkat細胞105個を96穴プレートに植え込み2、3日培養した。その後、細胞がコンフルエントになったところに、ペプチド溶液を各細胞に添加し、1時間インキュベートした。各細胞をPBSで3回洗浄後、100μLの0.25%トリプシン-1mM EDTA溶液を加え、トリプシン処理を室温で5分間行った。400μLのPBS(10% FCS)を加え、トリプシンを中和した後、1mLのHBSS(Hanks’ Balanced Salt Solution/Invitrogen社製)で3回洗浄した。洗浄後、細胞を50μLのHBSSに懸濁し、共焦点顕微鏡で解析した。測定及び解析は、共焦点微分干渉レーザー顕微鏡システム(Bio-Rad社,Radience2100/Green He-Ne, 488nm,顕微鏡:Nikon社,ECLIPSE E600)を用いて行った。
その結果、配列表の配列番号33に記載の新規PTD候補配列(図1から図3中、「KSH1」と記載する)のペプチドが、最も細胞内移行性が高かった。KSH1ペプチド、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールの結果を図1に示す。CHO細胞、HeLa細胞及びJurkat細胞いずれの細胞においても、KSH1ペプチド由来の蛍光が観察された。また、KSH1ペプチド由来の蛍光強度は、ポジティブコントロールの蛍光強度を上回っていた。さらに、細胞内に輸送されたペプチドは局在することはなく、核、細胞質のいずれにおいても検出された。
この結果より、KSH1ペプチドは、細胞内へ移行することが明らかになった。また、その量は、従来知られているPTDであるHIV由来のTATペプチドを上回ることが明らかとなった。
さらに、CHO細胞をスライドチャンバー(Nunc社製)に植え込み、KSH1ペプチド及びポジティブコントロールの各ペプチドを25μMずつCHO細胞に添加し、細胞内移行性を共焦点顕微鏡により確認した。
結果を図2に示す。
この結果より、KSH1ペプチドは全てのCHO細胞内へ輸送されていることが明らかになった。
実施例1-3 フローサイトメトリー解析
1 mMに調整した各ペプチド溶液を、培地で100μM、50μM、25μMと3段階希釈して細胞に添加した。細胞はCHO細胞、HeLa細胞、Jurkat細胞の3種を用いた。ペプチド溶液を細胞に添加した後、1時間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄後、100μLの0.25%トリプシン-1mM EDTA 溶液を加え、トリプシン処理を室温で5分間行った。400μLのPBS(10% FCS)を加え、トリプシン処理をとめた後、1 mLのHBSSで3回洗浄した。洗浄後、細胞を500μLのPBS(10% FCS)に懸濁して、FACS Calibur(Becton Dickinson)を用いてフローサイトメトリー(以下、FACS)解析に供した。
結果を図3に示す。縦軸は細胞数を示し、横軸は蛍光強度を示す。
この結果より、KSH1ペプチドはポジティブコントロールに比べ3から10倍の細胞内移行性を示し、強力な移行能を持っていることが明らかになった。
実施例2 eGFP融合タンパク質を用いた細胞内移行性の確認
実施例2-1 His-eGFP発現ベクターの構築
PCR法により、eGFP cDNA(eGFP-NII)(アマシャムファルマシア社製)を鋳型にして、His-Tagと制限酵素認識部位を有する「His-eGFP発現ベクター」の構築を行った。
PCRは、Easy-A PCR kit(Stratagene社製)を用いて行った。テンプレートとなるeGFP cDNA(eGFP-NII)DNAを200 ng/mLに希釈した。プライマーとして使用する合成DNAを20μMに調整した。テンプレート、Fwプライマー、RVプライマーを各1μl、10μlのEasy-A PCR buffer、8μLのdNTPs(2.5 mM)、0.5μLのEasy-A を混合し、滅菌蒸留水で100μLにメスアップした。PCRによる増幅条件は以下の様に行った。94℃で2分間を1 cycle、94℃で30秒間、60℃で30秒間、72℃で2分間を30 cycle行った。
ここでは、配列表の配列番号116に記載のFwプライマー(Nco-His-GFP-f)と配列表の配列番号117に記載のRvプライマー(GFP-Rev-Bam)を用いてPCRを行った。
次に、ベクターへのクローニングのために、PCR増幅断片を制限酵素NcoIとBamHIで消化し、0.8kbのDNA断片を回収した。回収したDNA断片をpET14bに挿入した。このようにして構築した「His-eGFP発現ベクター」は、T7プロモーターの制御下にHis-eGFP融合タンパク質が発現するベクターである。
実施例2-2 His-新規PTD候補配列-eGFP発現ベクターの構築
PCR法により、eGFP cDNA(eGFP-NII)を鋳型にして、His-Tag、新規PTD候補配列及び制限酵素認識部位を有する「His-KHS1-eGFP発現ベクター」の構築を行った。
配列表の配列番号118に記載のFwプライマー(KSH-kp-nd-GF-f)と配列表の配列番号117に記載のRvプライマー(GFP-Rev-Bam)を用いPCRを行った。増幅断片を鋳型として更に、配列表の配列番号119に記載のFwプライマー(KSH-kp-nd-f2)と配列表の配列番号117に記載のRvプライマー(GFP-Rev-Bam)を用いてPCRを行った。
その後、ベクターへのクローニングのために、PCR増幅断片を制限酵素NcoIとBamHIで消化し、0.8kbのDNA断片を回収した。回収したDNA断片をpET14bに挿入した。
このようにして構築した「His-KHS1-eGFP発現ベクター」は、T7プロモーターの制御下にHis- KSH1-eGFP融合タンパク質が発現する。
実施例2-3 eGFP融合タンパク質の調製
実施例2-1及び2-2でそれぞれ構築した「His-eGFP発現ベクター」及び「His- KSH1-eGFP発現ベクター」で、大腸菌B株由来BL21LysS株をそれぞれ形質転換した後、各形質転換体を20 mLのLBで前培養した(37℃、15時間)。
前培養液を1 LのLBに2%植菌し、37℃で2.5時間培養した。終濃度1 mMのIPTGを添加し、更に4時間培養を行った。遠心(4000 rpm、20 min 日立himac CR7)して菌体を集めた後、50 mLのPBSに懸濁した。さらに遠心(3500 rpm、20 min KUBOTA 5200)し菌体を集めた。その後、菌体を30 mLのPBSに懸濁し、凍結融解を3回行った。DNase溶液(ベンゾネース タカラバイオ NV677)を15μL加え室温で10分間インキュベートした後、遠心(18000 rpm、20 min TOMY UD-201)し、上清を回収した。上清をPBSで平衡化したNi-NTAカラム(キアゲン 30430)にアプライした。50 mLの10 mMイミダゾールを含むPBSでカラムを洗浄した後、200 mMイミダゾールを含むPBS 4 mLで溶出した。溶出液15μLをSDS-PAGE(PAGミニ、4-20% gradien t gel、第一化学薬品)により電気泳動を行い、泳動後のゲルをクイックCBB(和光純薬、299-50101)を用いて染色し、タンパク質の検出を行った。
この結果、His-KSH1-eGFP融合タンパク質及びHis-eGFP融合タンパク質に相当する目的のサイズのバンドが検出された。
実施例2-4 KSH1融合タンパク質の細胞内移行の確認
CHO細胞を用いて各融合タンパク質の細胞内移行試験を行った。
CHO細胞、HeLa細胞を96穴プレートに1穴当り104個植え込み2日後にコンフルエントになった状態で使用した。細胞をMEM培地で3回洗浄後、His-新規PTD候補配列-eGFP融合タンパク質を含むペプチド溶液及びHis-eGFP融合タンパク質を含むペプチド溶液をそれぞれ100μL添加し、37℃で1時間インキュベートした。PBSで3回洗浄後、トリプシン処理によって細胞を回収した。回収した細胞をMEM培地で1回、PBS(10% FCS)で3回洗浄後、100μLのPBS(10% FCS)に懸濁し共焦点顕微鏡観察に供した。
共焦点顕微鏡観察の結果、His-新規PTD候補配列-eGFP融合タンパク質を含むペプチド溶液を添加した細胞においては、細胞内にeGFPに由来する蛍光が検出された。
結果を図4に示す。
この結果より、当該His-新規PTD候補配列-eGFP融合タンパク質(図4中、「KSH1」と記載する)が、細胞内に輸送されることが明らかになった。一方、His-eGFP(図4中、「His」と記載する)の細胞内への輸送は検出されなかった。
さらに、His-新規PTD候補配列-eGFP融合タンパク質は、ドット状に検出されたことより、エンドソームに局在していることが明らかとなった。これは、実施例1-2に示すようなペプチド単体が細胞内において非局在化することとは異なるものである。PTD融合タンパク質は、マクロピノサイトーシスによって細胞内へ取り込まれエンドソームに局在化することが報告されている(J Control Release. 2005 Jan 20;102(1):247-53 Cationic TAT peptide transduction domain enters cells by macropinocytosis. Kaplan IM, Wadia JS, Dowdy SF.)。すなわち、新規PTD候補配列は、他のPTDペプチドと同様のメカニズムによって細胞膜を透過することが示唆された。
実施例3 改変PTD配列の合成ペプチドを用いた細胞内移行試験
以下実施例中および図中において、各ペプチドの名称に対応する配列表の配列番号は、表1−1および表1−2に示す通りである。
実施例3-1 KSH1-1からKSH1-9についての解析
KSH1ペプチド(配列表の配列番号33)の一次配列をWheel構造予測(Trends Genet. 16(6): 276-7,2000)したところ、リジン/アルギニンクラスターが形成されること、トリプトファンが2個存在すること、リジッドなアミノ酸であるプロリンが含まれることおよびクラスター形成には関与しないが、トリプトファンの隣に位置するアルギニンの存在が特徴的であった。そこでこれらの特徴的な配列の細胞内移行における意味合いを確認するために、配列表の配列番号1から9を設計した(図5)。それぞれのペプチドを実施例1-2と同様の方法で合成、蛍光標識、精製および溶解し、CHO細胞内への移行試験を行い、共焦点顕微鏡解析およびFACSによって評価を行った。FACS解析は実施例1-3と同様に行った。KSH1ペプチドと、改変PTD配列であるKSH1-1からKSH1-9のペプチド(配列表の配列番号1から9)について、FACS解析による蛍光強度を図6に示す。ペプチドの添加濃度は50μM、25μM、12.5μMおよび6.5μMであった。
リジン/アルギニンクラスターのリジンをアルギニンに置換する(KSH1-1)と50μMの濃度ではKSH1に比べ移行効率が約20%減少したが、ペプチドの濃度を下げると、KSH1に比べ細胞内移行は亢進された(25μMでは約2倍、12.5μMでは約8倍、6.25μMでは約2倍)。このことからリジン/アルギニンクラスターの重要性が明らかになった。
次にKSH1に3個存在するアルギニンの中でクラスター形成に関与していないアルギニンの役割を調べるためにアラニンに置換した。アルギニンをアラニンに置換すると細胞内移行は著しく低下し、50μMでの細胞内移行が検出されたのみであった(KSH1-3)。このトリプトファンの近傍に存在するアルギニンが細胞内移行に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
ペプチドの立体構造に影響すると考えられるプロリンの意義を調べるためにアラニンに置換したが、細胞内移行性に影響は認められなかった。(KSH1-2)。
KSH1に特徴的なアミノ酸であるトリプトファンは2個存在しており、Wheel構造上はリジン/アルギニンクラスターの対極にスレオニンを挟んで位置している。2個のトリプトファンを両方アラニンに置換すると全く細胞内移行が認められなくなった(KSH1-6)。このことからトリプトファンが細胞内移行に重要であることが分かった。
トリプトファンの数を増やすことによって細胞内移行性に変化が認められるかどうかを調べた。スレオニンをトリプトファンに置換して、トリプトファンクラスターを形成させると(KSH1-7)細胞内移行性は著しく亢進した。KSH1と比べると25μM〜6.15μMの間では3倍以上、12.5μMでは10倍以上の細胞内移行が検出された。移行性の亢進はKSH1-1と同様のプロファイルを示した。一方、3個のトリプトファンをWheel構造上、均等に配置しても細胞内移行は変化しなかった(KSH1-4)。このことから、トリプトファンクラスターを形成させたことによって細胞内移行性が亢進したと考えられた。
トリプトファンクラスターを形成することによって移行性が亢進したので、さらに、KSH1-1の結果を踏まえて、リジンをアルギニンに置換したところ(KSH1-8)、50μMでの細胞内移行は低下したが、25μM以下での移行が亢進した。トリプトファンクラスターを大きくすることによって細胞内移行が亢進すると予想されたので、トリプトファンを4個に増やしたが(KSH1-9)、KSH1-8と同様の傾向を示した。
実施例3-2 KSH1-11から1-23およびKSH1-35についての解析
どのアミノ酸が細胞内移行に重要であるかを調べるために、KSH1-1を基本として網羅的なアラニン置換を行い、KSH1-11(配列表の配列番号11)からKSH1-23(配列表の配列番号22)およびKSH1-35(配列表の配列番号32)を設計した(図7)。それぞれのペプチドを実施例1-2と同様の方法で合成、蛍光標識、精製および溶解し、CHO細胞内への移行試験を行い、共焦点顕微鏡解析およびFACSによって評価を行った。FACS解析は実施例1-3と同様に行った。KSH1と、改変PTD配列であるKSH11-11から23およびKSH1-35について、FACS解析による蛍光強度を図8に示す。ペプチドの添加濃度は50μM、25μM、12.5μMおよび6.5μMであった。
アルギニンおよびトリプトファンをアラニンに置換した場合、明らかに細胞内移行が低下した。また、7番目のタイロシンをアラニンに置換すると殆ど細胞内移行が見られなくなり(KSH1-17)、細胞内移行に重要であることがわかった。1番目のアルギニンをアラニンに置換してもそれほど細胞内移行は低下しなかった(KSH1-11)。他のアルギニンについてはアラニンへの置換によって細胞内移行は低下したものの(KSH1-15およびKSH 1-22)、13番目のアルギニンの置換(KSH1-3)に比べると細胞内移行の低下は小さかった。
トリプトファンに関しても3番目より6番目のトリプトファンの方が細胞内移行に重要であった(KSH1-13、KSH1-6)。これらのことから13番目のアルギニンと6番目のアルギニンおよび7番目のタイロシンが細胞内移行に重要な役割を果たしていると考えられ、その他のアミノ酸は細胞内移行には寄与が小さいと考えられた(KSH1-11, KSH1-12, KSH1-14, KSH1-19, KSH1-20, KSH1-23, KSH1-35)。
唯一、アラニン置換で細胞内移行が亢進したのは8番目のセリンをアラニンに置換した場合のみであった。
実施例3-3 KSH1-24から1-26およびKSH1-28から1-30についての解析
2個のトリプトファンを他の疎水性アミノ酸に置換する試みを行い、KSH11-24(配列表の配列番号23)からKSH1-26(配列表の配列番号25)およびKSH1-28(配列表の配列番号27)からKSH1-30(配列表の配列番号29)を設計した(図9)。
それぞれのペプチドを実施例1-2と同様の方法で合成、蛍光標識、精製および溶解し、CHO細胞内への移行試験を行い、共焦点顕微鏡解析およびFACS解析によって評価を行った。FACS解析は実施例1-3と同様に行った。KSH1と、改変PTD配列であるKSH11-24から1-26およびKSH1-28から1-30について、FACS解析による蛍光強度を図10に示す。ペプチドの添加濃度は50μM、25μM、12.5μMおよび6.5μMであった。
まず、ロイシン(KSH1-24)、フェニルアラニン(KSH1-25)およびイソロイシン(KSH1-26)に置換したところ、ロイシンでは細胞内移行は低下したが、フェニルアラニンおよびイソロイシンではKSH1-1とほぼ同等であった。そこで、KSH1-18を参考にKSH1-26の8番目のセリンをアラニンに置換したものを設計してみたが、細胞内移行は殆ど亢進しなかった。
さらに、2個のトリプトファンを別の疎水性アミノ酸であるバリンおよびタイロシンに置換したところ(KSH1-29、KSH1-30)、バリンでは若干細胞内移行は低下したが、タイロシンでは良好な細胞内移行を示した。これらの結果をまとめると、トリプトファンに変わる疎水性アミノ酸ではイソロイシン、タイロシン、フェニルアラニン、バリン、ロイシンの順に細胞内移行が良好であった。実施例3-4 KSH1-27,KSH1-33,KSH1-34およびKSH1-36についての解析
KSH1-27(配列表の配列番号26)、 KSH1-33(配列表の配列番号30)、 KSH1-34(配列表の配列番号31)およびKSH1-36(配列表の配列番号34)を設計した(図11)。
それぞれのペプチドを実施例1-2と同様の方法で合成、蛍光標識、精製および溶解し、CHO細胞内への移行試験を行い、共焦点顕微鏡解析およびFACS解析によって評価を行った。FACS解析は実施例1-3と同様に行った。KSH1と、改変PTD配列であるKSH1-27,KSH1-33,KSH1-34およびKSH1-36について、FACS解析による蛍光強度を図12に示す。ペプチドの添加濃度は50μM、25μM、12.5μMおよび6.5μMであった。
KSH1-18の結果を参考に、セリンおよびスレオニンをすべてアラニンに置換したが(KSH1-27)、KSH1-1に比べると細胞内移行は若干低下したが、低濃度での移行はほぼ同等であった。
KSH1-3で、Wheel構造上6番目のトリプトファンの近傍に存在するアルギニン(13番目)をアラニンに置換することによって、細胞内移行が殆ど認められなくなった。そこでKSH1-33ではWheel構造上でアルギニンがトリプトファンの近傍にあることが重要であるのか、13番目の位置にあることが重要であるのかを調べるため、13番目のアルギニンをアラニンに置換し、10番目のスレオニンをアルギニンに置換した。その結果、細胞内移行は殆ど配列表のKSH1-1と同等以上であった。このことから、Wheel構造上で6番目のトリプトファンの近傍にアルギニンがあることが重要であることと結論された。
さらにKSH1-34では3番目のトリプトファン近傍にアルギニンが存在すれば13番目のアルギニンは必要なくなるか否かを調べるため、Wheel構造上、3番目のトリプトファンの近傍に存在する14番目のタイロシンをアルギニンに置換してみた。その結果細胞内移行はかなり低下したため、Wheel構造上で6番目のトリプトファンの近傍にアルギニンが存在することが細胞内移行には必須であると結論された。
KSH1-36はKSH1の逆鎖ペプチドであるが、 KSH1に比べると、高濃度での細胞内移行は亢進しているが、低濃度では逆に細胞内移行は低下する傾向が認められた。
実施例3-5 HeLa細胞およびJurkat細胞における細胞内移行実験
CHO細胞と同様にHeLa細胞でも改変PTD配列の合成ペプチドの細胞内移行実験を、共焦点顕微鏡解析によって行った。CHO細胞と比較すると全体的に細胞内移行は低かったが、傾向はCHO細胞とほぼ同じであった。但し、HeLa細胞ではCHO細胞に比べてKSH1-7の細胞内移行が低く、逆にKSH1-16の細胞内移行が若干高かった。結論としてHeLa細胞で KSH1に比べて良好な細胞内移行が認められた改変体ペプチドはKSH1-1, KSH1-8, KSH1-9, KSH1-18, KSH1-20およびKSH1-33であった。
Jurkat細胞でも同様に、改変PTD配列の合成ペプチドの細胞内移行実験を、共焦点顕微鏡解析によって行った。CHO細胞と比較すると全体的に細胞内移行はかなり低くかったが、傾向はCHO細胞およびHeLa細胞とほぼ同じであった。ただし、トリプトファンを他の疎水性アミノ酸に置換した場合はかなり細胞内移行が低下した。結論としてJurkat細胞で配列表の配列番号37に比べて良好な細胞内移行が認められた改変体ペプチドは配列表の配列番号KSH1-1, KSH1-7, KSH1-8, KSH1-9, KSH1-12, KSH1-14, KSH1-18, KSH1-20, KSH1-21およびKSH1-33であった。
実施例3-1から3-5の結果から図13に示す配列が導かれた。図中Bはアルギニンまたはリジンであり、O1またはO2のいずれかがアルギニンであり、Zは疎水性アミノ酸であり、Jはセリンまたはアラニンであり、かつXは任意のアミノ酸である。
実施例4 改変PTD配列とeGFP融合蛋白質のCHO細胞における細胞内移行試験
実施例4-1 eGFP融合蛋白質発現ベクター構築
eGFP融合タンパク質を用いた細胞内移行の評価に際しては、2種類のインサート(図14におけるCおよびDタイプ)を作成した。
インサート増幅のためのプライマー設計に当たっては、eGFPのN末またはC末にHis-Tag、PTD配列がインフレーム付加できるように設計した。また、His-TagおよびPTD配列の前後にはそれぞれGGGSまたはGGGSSのリンカーをコードするように設計を行った。PTD部分はHIV TAT由来のPTD1をコードするDNA配列を用いた。さらに、PTD部分をコードするGGGSおよびGGGSSリンカーのDNA配列部分にはそれぞれ制限酵素BamHI、XhoIの認識配列ができるようにした。
プライマー設計
インサート構成C(図14のCタイプ)
フォワードプライマーC-F(配列表の配列番号52) 5’-GCC ATG GTG AGC AAG GGC GAG GAG CTG TTC-3’
リバースプライマーC-R1(配列表の配列番号53) 5’- CAC CGC GGC GAC GTT GTC GTC GTT TCT TCC TGC CGT AGG ATC CCC CTC CCT TGT ACA GCT CGT CCA TGC C-3’
リバースプライマーC-R2(配列表の配列番号54) 5’- CGC TCA GCG TCG ACT CAC CCG TGA TGA TGG TGG TGA TGA CTC GAG CCG CCA CCG CGG CGA CGT TGT CGT-3’
インサート構成D(図14のDタイプ)
フォワードプライマーD-F(配列表の配列番号55) 5’-AAG CCA TGGGAG GGG GATCCT ACG GCA GGA AGA AAC GAC GAC AAC GTC GCC GCG GTG GCG GCT CGA GTA TGG TGA GCA AGG GCG AGG A-3’
リバースプライマーD-R(配列表の配列番号56) 5’-CCG CTC AGC GTC GAC TCACCC GTG ATG ATG GTG GTG ATG AGA ACC ACC ACC CTT GTA CAG CTC GTC CAT GCC-3’
これによって、PTD部分をBamHIとXhoIで切断し、合成DNAと入れ替えることが可能である。eGFPを鋳型として上記配列表の配列番号52から56を用い、pET14bのNcoIとBpu1102I制限酵素認識配列間に挿入した(図15)。
改変PTD配列の挿入に当たっては表2−1および表2−2に示した合成オリゴを用い、図16に示した方法で行った。
ネガティブコントロールとしては、eGFPを鋳型に配列表の配列番号52と56のプライマーセットで増幅したC末端にHisだけを付加したものを用いた。
構築した発現ベクターで大腸菌B株由来BL21/LysS株を形質転換した後、各形質転換体を20 mLのLBで前培養した(37℃、15時間)。前培養液を1 LのLBに2%植菌し、37℃で2.5時間培養した。終濃度1 mMのIPTGを添加し、更に4時間培養を行った。遠心(4000 rpm、20 min 日立himac CR7)し菌体を集めた後、50 mLのPBSに懸濁した。遠心(3500 rpm、20 min KUBOTA 5200)し菌体を集めた。菌体を30 mLのHBSSに懸濁後、凍結融解を3回行った。DNase溶液(ベンゾネース タカラバイオ NV677)を15μL加え室温で10分間インキュベートした。遠心(18000 rpm、20min TOMY UD-201)し、上清を回収した。上清をHBSSで平衡化したNi-NTAカラムにアプライした。カラムを50 mLの10 mMイミダゾールを含むHBSSでカラムを洗浄した後、200 mMイミダゾールを含むHBSS 4 mLで溶出した。
実施例4-2 改変PTD配列とeGFP融合蛋白質のCHO細胞における細胞内移行
CHO細胞を用いて融合蛋白質の細胞内移行を調査した。CHO細胞を48穴プレートに1穴当り2x104個植え込み、コンフルエントになった状態で使用した。細胞をMEM培地で3回洗浄後、150μLの蛋白質溶液を添加し、37℃で3時間インキュベートした。PBSで3回洗浄後、0.25%トリプシン/EDTAを100μL/well添加し、10%FCSを含むMEM培地を400μL/well添加し、細胞を回収した。回収した細胞はHBSS 3回洗浄後、10% FCSを含むHBSS 100μLで懸濁し、共焦点顕微鏡観察に供した。なお、添加時の濃度はeGFP由来の蛍光量(Ex485nm/Em535nm)をARVO(パーキンエルマー社)で測定し(測定時間1秒)、蛍光強度が106、5x105、2.5x105となるよう調製した。
eGFP融合タンパク質を作成したのは、実施例3にてKSH1のペプチドより明らかに細胞内移行が亢進したKSH1-1, KSH1-7, KSH1-8, KSH1-9, KSH1-18およびKSH1-33、加えてKSH1-20, KSH1-21, KSH1-26, KSH1-27, KSH1-28, KSH1-30およびKSH1-36である。解析には、KSH1, KSH1-1, KSH1-7およびKSH1-8にはCタイプの融合蛋白質を、その他のペプチドについてはDタイプの融合蛋白質を調製した。
調製したeGFP融合蛋白質についてCHO細胞を用いた細胞内移行試験を行った結果を図17に示した。上段は細胞内へ移行したeGFP蛋白質の蛍光を示し、下段は細胞の微分干渉顕微鏡像と蛍光を合わせたものを示した。融合蛋白質は蛍光強度を全て106に揃えて細胞に添加した。細胞内移行が認められたKSH-1改変体とeGFPの融合蛋白質をCHO細胞に添加すると、細胞内に蛍光が検出され、全てのKSH-1改変体が融合蛋白質を細胞内へ移行させる能力を保持していることが明らかになった。ペプチド単体での比較に比べると、融合蛋白質では移行効率の差は小さかったが、KSH1-1、KSH1-7及びKSH1-27との融合蛋白質については、KSH1に比べ細胞内移行が亢進した。
付加するペプチドの疎水性が高いほど融合蛋白質での細胞内移行がペプチドの結果を反映しない傾向が認められた。KSH1-30では2つのトリプトファンをタイロシンに改変しているが、ペプチドで良好な結果が得られているにもかかわらず、融合蛋白質ではかなり細胞内移行が低下したことから、2つのトリプトファンを改変する場合はイソロイシン(KSH1-26)がもっとも適していた。
また、スレオニンおよびセリンをアラニンに改変したもの(KSH1-18, KSH1-20, KSH1-21)についても融合蛋白質では細胞内移行の明らかな亢進は認められなかった。ただし、すべてのスレオニンおよびセリンをアラニンに改変すると(KSH1-27)、細胞内移行は明らかに亢進する傾向が認められたため、融合蛋白質の細胞内移行効率を変化させるためにはペプチド単体の場合よりもペプチド部分の大きな構造変化が必要であると結論された。
以上より、KSH1の改変ペプチドの付加によって蛋白質は細胞内へ移行したが、融合蛋白質の移行効率についてはペプチド単体の結果とは異なっていた。
実施例5 新規PTD配列(配列表の配列番号39から47)の細胞内移行試験
実施例5-1 FACS解析による新規PTD配列の選択
KSH1ペプチドはJurkat細胞における7回濃縮ライブラリー中から得られた配列であった。そこで、Jurkat細胞7回濃縮ライブラリーに含まれるIVVを1000個任意にピックアップして塩基配列を確認した。KSH1の解析から、ペプチドの配列をWheel構造に当てはめたときにリジン/アルギニンのクラスターおよびトリプトファンの存在が重要であることが予想されたので、これらの条件をクライテリアとして1000配列の絞込みを行った。その結果、60配列がクライテリアを満たしていた。また、1000配列の中には重複して出現する配列が1種類認められた。これらの配列について蛍光標識したペプチドを合成して、細胞内への移行能を解析した。
実施例1-2と同様の方法で合成、蛍光標識、精製および溶解し、CHO細胞における細胞内移行試験をFACS解析にて行った。PositiveコントロールとしてHIV TAT由来のPTD配列(配列表の配列番号51)及びKSH1のペプチド、Negativeコントロールとしては、細胞内移行性のないペプチド配列(配列表の配列番号57)を用いた。
FACS解析の結果、CHO細胞においては、KSH1と同等の移行性を示す配列が1種類、TAT由来のPTDと同等の移行性を示す配列が9種類同定された。こ9種類のペプチド配列は、KSH3から10およびKSH2(配列表の配列番号35から43)に示す通りである(図18)。
実施例5-2 共焦点顕微鏡観察による新規PTD配列の細胞移行性解析
KSH2からKSH10(配列表の配列番号35から43)について実施例1-2と同様の方法でCHO細胞内への移行試験を行い、共焦点顕微鏡解析を行った。PositiveコントロールとしてHIV TAT由来のPTD配列(配列表の配列番号50)及びKSH1のペプチド、Negativeコントロールとしては、細胞内移行性のないペプチド配列(配列表の配列番号57)を用いた。
共焦点顕微鏡解析に当たっては、Negativeコントロール(配列表の配列番号57)のペプチドを添加した細胞を用いて、バックグラウンドの補正を行った。その後、PositiveコントロールのPTD1(配列表の配列番号50)のペプチドを添加し、細胞内における蛍光を観察した。
新規PTD配列に関しては、ペプチドを50μMから12.5μMまで3段階の2倍希釈系列で解析を行った。その結果、共焦点顕微鏡による解析結果は、FACS解析の結果と同様の傾向を示した。KSH2, KSH3, KSH4, KSH6, KSH7およびKSH10の4種類についての共焦点顕微鏡による解析結果はFACS解析同様、PTD1と比べ良好な細胞内移行プロファイルを示した(図19、上段は細胞内へ移行した蛍光標識ペプチドの蛍光を示し、下段は細胞の微分干渉顕微鏡像と蛍光を合わせたものを示した。ペプチドの添加濃度は25μMであった。)。今回同定されたPTD候補配列は、明らかな細胞内移行能を保持していた。データベースサーチを行った結果、相同配列は認められず、いずれも新規のPTD配列であった。またKSH2についてはHeLa細胞では細胞膜の表面を縁取るようにペプチドが局在しており、他のPTDと異なる移行性を示した。
実施例5-3 新規PTD配列とeGFP融合蛋白質のCHO細胞における細胞内移行試験
KSH2, KSH3, KSH4, KSH6, KSH7およびKSH10の6種類についてeGFP融合蛋白質を調製し、新規PTD配列とeGFP融合蛋白質を細胞内へ移行させるPTD様活性があるか否かを確認した。融合蛋白質については、可溶化状態の高い分子型を選択することとした。その結果、KSH2およびKSH6については図14におけるCタイプを、残りの4種類については図14におけるDタイプの分子型を選択した。融合蛋白質は実施例4-1と同様に作成した。ここで用いたアニーリングオリゴ配列は、表3の通りである。ネガティブコントロールとしてeGFP-Hisを用い、それぞれの蛍光強度を揃えた後、CHO細胞に添加した。
1時間37℃でインキュベートした後、トリプシン処理を行って細胞を回収した。洗浄操作の後、共焦点顕微鏡によって細胞内への移行が認められるかどうかの確認を行った。測定に当たってはネガティブコントロールであるeGFP-Hisを添加したCHO細胞での蛍光が検出されない条件を設定した後、各新規PTD融合eGFP蛋白質を添加した細胞の測定を行った。その結果、調製したすべての新規PTD融合eGFP蛋白質を添加したCHO細胞において、細胞内に蛍光が観察され、融合蛋白質の細胞内への移行が観察された。
このことから上記6種類の新規PTD配列はいずれもPTD様活性を持っていることが明らかになった。KSH7のペプチドについては、これまでに報告された既知PTDに共通のアルギニン等の塩基性アミノ酸が1個のみであり、新たなカテゴリーのPTDであった。6種類の新規PTDのうち、KSH4およびKSH2については他の新規PTDやKSH1のペプチドに比べて細胞内への移行が高く、蛋白質特にeGFPをカーゴとした場合には有用なPTDであった。
実施例6 配列番号47の改変PTD配列ペプチドのCHO細胞における細胞内移行試験
実施例6-1 共焦点顕微鏡による改変PTD配列ペプチドの細胞内移行試験
実施例5で見出された新規PTD配列のうち、KSH2のペプチドはeGFPを細胞内へ移行させる能力が高いことから、改変を試みた。KSH2-1からKSH2-4(配列表の配列番号44から47)のペプチドを実施例1-2と同様の方法で合成、蛍光標識、精製および溶解し、CHO細胞内への移行試験を行い、共焦点顕微鏡解析を行った。
KSH2のペプチドの特徴は、Wheel構造上にリジンアルギニンクラスターが形成されることおよびトリプトファンが2個存在することである。また、トリプトファンを挟んでシステインが2個存在することも特徴的である。これまでの解析から塩基性のアミノ酸のクラスターおよびトリプトファンが重要であることが明らかになっている。そこでKSH2のペプチドの改変に当たっては2個存在するシステインを他のアミノ酸に置換することの影響を調べた(図20)。
まず、2個のシステインをアラニンに置換した場合(KSH2-1)とトリプトファンに置換した(KSH2-2)について調べた。FITCで標識したペプチドを合成し、細胞内移行効率をCHO、HeLa、Jurkat細胞で調べた(図21、ペプチド添加濃度は50μM、25μMあるいは12.5μMである)。
その結果、50μMの濃度ではKSH2-1およびKSH2-2いずれもKSH2よりも高い細胞内移行を示したが、25μMに希釈するとKSH2-1は著しく細胞内移行が低下した。一方KSH2-2は25μM、12.5μMと希釈しても細胞内移行効率はKSH2よりも高かった。細胞内移行が促進されていたKSH2-2ではトリプトファンの数が4個であった。トリプトファンの数が多いほどペプチドの細胞内移行は亢進するが、融合タンパク質を調製する場合は不溶化の原因になる可能性が高いと考えられたため、2個のシステインを1つずつアラニンに置換し(KSH2-3およびKSH2-4)、細胞内移行を調べた。FITCで標識したペプチドのCHO、HeLa、Jurkat細胞での細胞内移行能を調べたところ、いずれもKSH2に比べて細胞内移行能が亢進することが明らかになった。
実施例6-2 改変PTD配列とeGFP融合蛋白質のCHO細胞における細胞内移行試験
KSH2-3およびKSH2-4(配列表の配列番号46および47)についてeGFP融合蛋白質を調製し、新規PTD配列とeGFP融合蛋白質を細胞内へ移行させるPTD様活性についてKSH2とeGFP融合蛋白質の移行性と比較した。融合蛋白質については、 KSH2については図14のCタイプを、 KSH2-3およびKSH2-4については図14のDタイプを作成した。融合蛋白質は実施例4-1と同様に作成した。ここで用いたアニーリングオリゴ配列は、表4の通りである。
CHO細胞内への移行能を調べたところ、KSH2-3およびKSH2-4のeGFPとの融合蛋白質は共に細胞内への移行が確認された。細胞内移行効率に関しては、KSH2のペプチドとeGFP融合蛋白質に比べると移行能は劣っていたものの、TAT由来のPTD1とは同等であった。
以上より、カーゴとして高分子の蛋白質を用いる場合は KSH2、ペプチド程度の低分子を用いる場合は、 KSH2-3およびKSH2-4の改変体を選択するのが効率的であると結論された。
本発明によれば、新規なアミノ酸配列からなる細胞膜透過ペプチド及び当該ペプチドを含有する医薬を提供することができる。なお、本願は、特願2005-314355号を優先権主張して出願されたものである。

Claims (18)

  1. 下記の(a)または(b)のペプチド。
    (a)アミノ酸配列:B-X-Z-X-Arg-Z-Tyr-J-X-O1-X-Arg-O2-X-XまたはX-X-O1-Arg-X-O2-X-J-Tyr-Z-Arg-X-Z-X-B
    (ただし、(1)Bはアルギニンまたはリジンであり、(2)O1またはO2の少なくとも一方がアルギニンであり、(3)Zが疎水性アミノ酸であり、(4)Jがセリンまたはアラニンであり、かつ(5)Xが任意のアミノ酸である。)
    からなるペプチド
    (b)(a)に示されるアミノ酸配列のC末端側および/またはN末端側に1個または2個の任意のアミノ酸を有し、かつタンパク質を細胞内および/または核内に輸送し得るペプチド
  2. 前記(a)のペプチドが下記構造:
    を有する、請求項1に記載のペプチド。
  3. 配列表の配列番号1、2、4、5、7から14、17から47のいずれかで表されるアミノ酸配列を含むペプチド。
  4. 配列表の配列番号1、2、4、7から11、13、17から20、22、24から30、32から34、35、36、38、39、42、43、45から47のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む請求項3に記載のペプチド。
  5. 構成するアミノ酸がL体である請求項3または4に記載のペプチド。
  6. 請求項3または4に記載のペプチドの逆鎖ペプチドであって、細胞移行能を有するペプチド。
  7. 請求項5に記載のペプチドの逆鎖ペプチドであり、構成するアミノ酸がD体である細胞移行能を有するペプチド。
  8. 請求項1からのいずれかに記載のペプチドをコードする塩基配列を含むDNA。
  9. 請求項記載のDNAを含有する組換えベクター。
  10. 請求項記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  11. 請求項1からのいずれかに記載のペプチド及びそれに結合した生理活性物質を含有するペプチド結合物質。
  12. 生理活性物質が、生理活性を有するタンパク質、生理活性を有するポリペプチド、薬剤封入リポソーム、ポリエチレングリコール化薬剤封入リポソーム、低分子化合物、核酸、マグネティックビーズ、ナノゲージパーティクルまたはファージである請求項1記載のペプチド結合物質。
  13. 生理活性を有するタンパク質が約10KDaから約120KDaのタンパク質または4個から30個のアミノ酸を含むポリペプチドである請求項1記載のペプチド結合物質。
  14. 生理活性を有するタンパク質がmi転写因子(MITF)である請求項1記載のペプチド結合物質。
  15. 細胞内及び/又は核内に輸送される請求項1から1のいずれかに記載のペプチド結合物質。
  16. 細胞内に輸送される請求項1から1のいずれかに記載のペプチド結合物質。
  17. 請求項1記載のペプチド結合物質を含有する医薬。
  18. 抗アレルギー薬として使用する請求項1記載の医薬。
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