JP5042597B2 - 圧電振動片の製造方法、圧電振動片および圧電デバイス - Google Patents
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この構成によれば、エッチング異方性を有する圧電材料から圧電振動片の外形をウェットエッチングで加工すると、圧電振動片の断面形状は非対称となり側面部の一部が突き出た形状となる。しかし、側面部の一部をレーザー光で除去することによって、かかる断面形状の非対称を解消または改善することができる。したがって、振動の漏れによる歪みエネルギの損失を防止して、安定した屈曲運動を繰り返すことが可能になる。また、ウェットエッチングを行わず直接レーザー光で圧電振動片の外形を加工することも考えられるが、その方法だと、非常に時間がかかることになる。一方、第1の観点の圧電振動片を製造する製造方法は、断面が非対称の側面部のみをレーザー光で加工するため生産性が高い。
このような構成によると、圧電振動片は二本の振動腕を有した音叉型の圧電振動片である。音叉型の圧電振動片は、励振時に振動腕のみ振動し基部は振動しない。このため、振動腕の側面部のみをレーザー光で加工することで、励振時に振動腕の幅方向にのみ振動し他の方向には振動しない振動腕にすることができる。振動腕は、振動の漏れによる歪みエネルギの損失を防止し、安定して屈曲振動を繰り返すことが可能になる。また、振動腕の側面部に対してのみレーザー光による加工を行えばよいので生産性を上げることができる。
このような構成によると、耐蝕膜およびレジスト膜が圧電材料の少なくとも一面に形成されている。この状態の圧電材料に対してレーザー光が照射されることになる。圧電材料の側面部の一部を除去する際に、誤って圧電材料の一面にレーザー光が照射されても、耐蝕膜およびレジスト膜が存在するために、直ちに圧電材料までレーザー光が到達しない。このため、その圧電振動片が不良品になるおそれが少なくなる。
耐蝕膜およびレジスト膜が圧電材料の表面から除去された状態で、誤って圧電材料の表面にレーザー光が照射されると、圧電振動片は不良品となってしまう。これを防ぐために、この構成によれば、圧電振動片に保護マスクを配置することで直ちに不良品となることはない。また、耐蝕膜およびレジスト膜が圧電材料の表面に存在している場合であっても、保護マスクを配置すれば、誤ってレーザー光が照射された場合に確実に圧電振動片を保護できる。
この構成により、所定の範囲内ではレーザー光を走査するので、圧電振動片の側面部に高速にかつ正確にレーザー光を照射することができる。一方、所定の範囲外では、ステージを移動させることでレーザー光が照射できる領域に圧電振動片を移動させることができる。
フェムト秒レーザーは、多光子吸収プロセスにより、熱を介在せずに精密な加工を実現することができるため、数ミリメートル以下の大きさである圧電振動片の加工には最適である。
圧電材料が水晶で圧電振動片が音叉型である場合、振動腕の長手方向、幅方向および厚み方向をそれぞれ水晶のY軸方向、X軸方向およびZ軸方向に対応させて配向する。そして、水晶は+X方向のエッチングレートが高いので、振動腕の断面形状が非対称になる。このため、レーザー光を側面部に照射して側面部の一部を除去すれば、その振動腕におけるバランスを良好に確保することができる。
ジャイロ用の圧電振動片は、二枚の水晶基板を結合させた圧電材料から製造されることがある。このような結合水晶基板をウェットエッチングするとエッチング異方性の影響を大きく受ける。このような結合水晶基板に対しては、振動片の幅方向の断面の非対称をレーザー光による加工で、きれいな矩形形状の断面にすることで、安定した振動特性を発揮する圧電振動片を製造することができる。
また、圧電振動片のエッチング異方性による断面の非対称性の原因となる側面部の一部を除去して、きれいな矩形形状の断面とすることができる。このため、励振時における厚み方向の変位を解消または抑制できるため、振動の漏れによる歪みエネルギの損失が防止され、安定した屈曲振動を確保できる。したがって、圧電振動片はCI値の抑制による高性能化に加えて、非常に安定した振動特性を実現することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1(a)および図1(b)は、本発明のエッチング方法の実施形態としての製造方法を適用した圧電振動デバイス50の図である。図1(a)は圧電振動デバイス50の透視した概略平面図、図1(b)は図1(a)のB−B線概略断面図である。図1において、圧電振動デバイス50は、音叉形状の圧電振動片20を構成した例を示しており、圧電振動デバイス50は、パッケージ51内に圧電振動片20を収容している。パッケージ51は、たとえば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質の混練物からなるセラミックグリーンシートを成形して形成される複数のシートを積層し、焼結して形成されている。
図3は、ウェットエッチングが終わった状態の接合水晶ウエハを示している。
図3(a)は、本実施形態に用いる円形の接合水晶ウエハ10の構成を示す斜視図である。この円形の接合水晶ウエハ10は、たとえば厚さ0.8mmの人工水晶からなり、円形の接合水晶ウエハ10の直径は3インチまたは4インチである。円形の接合水晶ウエハ10は、厚さ0.4mmの第一水晶ウエハ10aと厚さ0.4mmの第二水晶ウエハ10bとからなり、両者ともZ軸方向に切断されたZカットウエハが用いられている。第一水晶ウエハ10aと第二水晶ウエハ10bとは直接接合、具体的には耐熱性が優れたシロキサン結合(Si−O−Si)によって接合している。このシロキサン結合は、第一水晶ウエハ10aと第二水晶ウエハ10bとの両方の接合面を清浄な状態にしてその面同士を貼り合わせ、その後約500°Cのアニールを行うことによって結合が行われる。第一水晶ウエハ10aと第二水晶ウエハ10bとをシロキサン結合するには、互いに電気軸がX軸方向に逆になるように結合されている。つまり第一水晶ウエハ10aが+(プラス)X軸方向に、第二水晶ウエハ10bが−(マイナス)X軸方向に向くようにして結合されている。さらに、円形の接合水晶ウエハ10の軸方向が特定できるように、図3(a)に示すように、接合水晶ウエハ10の周縁部10eの一部には、水晶の結晶方向を特定するオリエンテーションフラット10cが形成されている。
図4は、図3で示したウェットエッチング後の接合水晶ウエハ10の一つの圧電振動片20である。図4(a)は、ウェットエッチング後の圧電振動片20の斜視図である。図4(b)は(a)に示した矢印方向からみた振動腕21の断面である。図4(c)は、(b)と同様に(a)に示した矢印方向からみた振動腕21の断面であり、エッチング異方性が大きいため一対の振動腕21の側面部211が互いに連結してしまった状態を示している。
図5は、本発明の圧電振動片20の振動腕21の一部、特に側面部211を、レーザー光LLを用いて除去(蒸散・昇華)する装置構成を示す概略図である。水晶の除去を加える圧電振動片20は、図3で示したように結合水晶ウエハ10に圧電振動片20に接続されている状態で行う。レーザー加工後に図2で示した引出電極22、ドライブ電極23、モニター電極24およびセンス電極25を形成する際に、まとめてフォトリソグラフィで処理するためである。しかし、一つ一つを不図示のパレットなどに載せて電極を形成する場合には、結合水晶ウエハ10から圧電振動片20を切り出して、一つ一つの圧電振動片20をレーザー加工してもよい。
また、フェムト秒レーザー以外に、炭酸ガスレーザーまたはグリーンレ−ザーなどを使用することも可能である。
図6は、圧電振動片20の外形を形成するためのフローチャートである。
ステップS10では、図3で説明したように、第一水晶ウエハ10aおよび第二水晶ウエハ10bを貼り合わせて、接合水晶ウエハ10を用意する。
ステップS22では、不要となったフォトレジスト層と耐蝕膜とを除去することにより、図2の振動腕21および基部29を有する圧電振動片20が形成される。ステップS20のレーザー加工の前にフォトレジスト層および耐蝕膜を除去しない方が好ましい。レーザー光LLが圧電振動片20の振動腕21の側面部211ではなく、加工装置周辺の振動などで誤って振動腕21の上面に照射された場合でも、フォトレジスト層および耐蝕膜があるために、水晶材料までレーザー光LLが届かずに、圧電振動片20が不良品となることが少なくなるからである。つまり、図5の示した保護マスク135の役目をフォトレジスト層および耐蝕膜が請け負うからである。
20 …… 音叉型の圧電振動片、
21 …… 振動腕
211 …… 側面部
23 …… ドライブ電極
24 …… モニター電極
25 …… センス電極
29 …… 基部
50 …… 圧電デバイス
55 …… 実装端子
57 …… 接着剤
58 …… 封止材
59 …… 蓋体
111 …… 制御回路
120 …… レーザー駆動回路
122 …… フェムト秒レーザー照射部
130 …… XY駆動回路
131 …… X光学ミラー
133 …… Y光学ミラー
135 …… 保護マスク
LL …… レーザー光
Claims (7)
- 所定形状の圧電振動片を製造する製造方法において、
エッチング異方性を有する平板の圧電材料を準備する工程と、
前記圧電材料に前記圧電振動片を形成するため、前記圧電材料をウェットエッチングする工程と、
このウェットエッチングされた圧電振動片の側面部にレーザー光を照射して、前記側面部の一部を除去するレーザー加工の工程と、を有し、
前記レーザー加工の工程は、前記圧電振動片にウェットエッチングする工程にて用いられたフォトレジスト層および耐蝕膜を除去することなく、前記レーザー光を照射することを特徴とする圧電振動片の製造方法。 - 前記圧電振動片は、少なくも二本の振動腕を有する音叉型の圧電振動片であり、前記レーザー加工の工程は、前記二本の振動腕の側面部に対してのみレーザー加工を行うことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片の製造方法。
- 前記圧電材料に対して耐蝕膜を成膜する工程と、
前記耐蝕膜にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に前記圧電振動片の形状を露光する工程と、を有し、
この露光の工程後、前記ウェットエッチングの工程を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電振動片の製造方法。 - 前記レーザー光は、レーザー照射部から第1方向に前記レーザー光を走査させる第1ミラー及び前記第1方向にと交差する第2方向に前記レーザー光を操作させる第2ミラーを介して、前記圧電振動片の側面部に照射され、
前記レーザー加工の工程は、前記第1ミラー及び前記第2ミラーの走査範囲内では前記レーザー光を走査し、前記第1ミラー及び前記第2ミラーの走査範囲外では前記圧電材料を載置するステージを移動させて、前記圧電振動片の側面部にレーザー光を照射することを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片の製造方法。 - 前記レーザー光は、フェムト秒レーザーであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の圧電振動片の製造方法。
- 前記圧電材料が水晶基板を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の圧電振動片の製造方法。
- 前記水晶基板がエッチング異方性を逆方向にした二枚の水晶基板をシロキサン結合させた基板を含むことを特徴とする請求項6に記載の圧電振動片の製造方法。
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