JP5042357B2 - 噴射異常検出方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
ところで、かかる燃料噴射制御装置においては、燃料噴射弁から余剰燃料を燃料タンクへ戻すための戻り燃料通路が設けられるが、燃料噴射弁の噴射動作を阻害しないようにするため、戻り燃料通路には圧力保持弁が設けられて燃料噴射弁から見た戻り燃料通路側の圧力が所定圧以上に保持されるようになっている(例えば、特許文献2等参照)。
前記低圧制御電磁弁が閉ループで制御される状態において、
エンジンの動作状態に応じて定められる前記低圧制御電磁弁における最低限の燃料通過流量である基準燃料通過流量と、前記低圧制御電磁弁の閉ループ制御において定まるものであり実際のレール圧制御に供される前記低圧制御電磁弁の燃料通過流量と、の差が所定閾値より大きい場合に、噴射異常と判定するよう構成されてなる噴射異常検出方法が提供される。
本発明の第2の形態によれば、燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介して内燃機関へ高圧燃料の噴射を可能としてなり、前記高圧ポンプの上流側に低圧制御電磁弁が設けられ、前記燃料噴射弁からの戻り燃料通路内に圧力保持弁が設けられ、電子制御ユニットにより前記低圧制御電磁弁が駆動制御されてレール圧制御を可能としてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記低圧制御電磁弁が閉ループで制御される状態において、
エンジンの動作状態に応じて定められる前記低圧制御電磁弁における最低限の燃料通過流量である基準燃料通過流量と、前記低圧制御電磁弁の閉ループ制御において定まるものであり実際のレール圧制御に供される前記低圧制御電磁弁の燃料通過流量と、の差を算出し、当該算出された差が所定閾値より大きい場合に、噴射異常と判定するよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置が提供される。
また、従来と異なり、そのような噴射異常をドライバに警報、報知することができ、ドライバビリティの向上に寄与することができるという効果を奏するものである。
8…流量制御弁
10…コモンレール
12…圧力制御弁
13…燃料噴射弁
15…圧力保持弁
40…電子制御ユニット
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における噴射異常検出方法が適用されるコモンレール式燃料噴射制御装置の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
この図1に示されたコモンレール式燃料噴射制御装置Sは、燃料を貯蔵する燃料タンク1と、燃料タンク1の燃料を高圧ポンプ装置50へ供給する低圧フィードポンプ2と、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール10と、このコモンレール10から供給された高圧燃料を図示されないディーゼルエンジンの気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁13と、燃料噴射制御処理や後述する噴射異常検出処理などが実行される電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)40を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
高圧ポンプ5は、低圧フィードポンプ2によって圧送され、燃料吸入弁6を介して加圧室5aに導入された低圧燃料を、プランジャ7によって加圧し、燃料吐出弁9及び高圧燃料通路37を介してコモンレール10に圧送するようになっているものである。
本発明の実施の形態における高圧ポンプ5は、燃料タンク1から低圧燃料通路18a、18bを介して高圧ポンプ5内へ送られる低圧燃料が、一旦、カム室16内に流入せしめられ、そこからさらに低圧燃料通路18cを介して加圧室5aへ導入されるよう構成されたものとなっている。
かかる圧力調整弁14は、その前後の差圧、すなわち、低圧燃料通路18a〜18cやカム室16内の圧力と、圧力調整弁14よりも燃料タンク1側の燃料還流路30a内の圧力との差が、所定値を超えた際に開弁状態となるオーバーフローバルブを用いたものとなっている。
このため、低圧フィードポンプ2によって低圧燃料が圧送されている状態においては、低圧燃料流路18a〜18c及びカム室16内の圧力が、燃料還流路30a内の圧力に対して所定の差圧分だけ大きく維持されることとなる。
このコモンレール10には、レール圧センサ21及び圧力制御弁(高圧制御電磁弁)12が取り付けられている。
燃料噴射弁13は、公知の電磁制御式のものやピエゾ式のものが用いられており、電子制御ユニット40によりその駆動制御が行われて、図示されない内燃機関の気筒内へ高圧燃料が噴射されるようになっている。なお、燃料噴射弁13からの戻り燃料は、圧力保持弁15と燃料還流路30c(戻り燃料通路)を介して燃料タンク1へ戻されるようになっている。
この圧力保持弁15が故障した場合、最悪時には、燃料噴射が行われなくなることがあるが、必ずしも燃料噴射が不可能な状態になる場合だけではなく、噴射量が本来の量より低下した状態ではあるが燃料噴射が行われる状態となることもある。このような噴射異常は、燃料噴射弁13が機械的に故障した場合も生じ得るものであり、本発明の実施の形態においては、後述するように電子制御ユニット40において実行される噴射異常検出処理によってかかる噴射異常の検出ができるようになっている。
かかる電子制御ユニット40には、先に述べたようにレール圧センサ21の検出信号が入力される他、エンジン回転数やアクセル開度などの各種の検出信号が、図示されないエンジンの動作制御や燃料噴射制御に供するために入力されるようになっている。
本発明の実施の形態においては、流量制御弁8と圧力制御弁12とによってレール圧の制御が行われるようになっている。
圧力制御弁12によるレール圧制御は、コモンレール10からの高圧燃料の放出量を調節し、レール圧を直接的に制御できる一方、流量制御弁8によるレール圧制御は、高圧ポンプ5の加圧室5aへの低圧燃料の供給量を調節し、それによってコモンレール10への高圧燃料の圧送量を調節し、レール圧を制御するものである。
流量制御弁8によって調節され、加圧室5aに供給される低圧燃料の流量は、高圧ポンプ5の回転数に応じて規定されているため、加圧室5a内で高圧化される高圧燃料は、高圧ポンプ5の回転数に応じて定量的にコモンレール10に圧送されるものとなっている。
そして、圧力制御弁12の開度が、レール圧センサ21によって検出された実レール圧に基づいて電子制御ユニット40によりフィードバック制御され、所定量の高圧燃料がコモンレール10から放出されることによって、実レール圧が目標レール圧に調整されるようになっている。
かかる第3の制御モードにおいて、圧力制御弁12は全閉状態とされ、コモンレール10からの圧力制御弁12を介しての高圧燃料の放出は行われないため、この圧力制御弁12によるレール圧制御は実質的に行われない。
この第3の制御モードでは、加圧室5aに供給される低圧燃料の流量を制御することにより、コモンレール10に圧送される高圧燃料の流量が調節されるため、必要なときに必要な量の高圧燃料がコモンレール10へ圧送できるので、駆動トルクを必要以上に増大させることなく、燃費の効率化が図られるものとなっている。
かかる第3の制御モードは、流量制御弁8の弁開度を変えてからレール圧が変動するまでに時間差が生ずるため、レール圧を急速に減圧した場合等におけるレール圧制御の応答性が、先の第2の制御モードに比して劣っている。
すなわち、第1の制御モードにおいては、流量制御弁8及び圧力制御弁12が共に閉ループで制御され、コモンレール10に圧送される高圧燃料の流量とコモンレール10からの高圧燃料の放出量がバランスよく調節されて、レール圧制御の負担が分散できるものとなっている。
本発明の実施の形態における噴射異常検出方法は、特に、レール圧制御が第3の制御モードにある場合に行うに適したものであり、図2には、第3の制御モードと、本発明の実施の形態において実行される噴射異常検出処理との概略の関係を機能的に表した機能ブロック図が示されており、以下、同図を参照しつつ、その内容について説明する。
流量制御弁8によるポンプ5への燃料の供給量(以下「流量制御弁指示流量」と称する)は、エンジン回転数Neと指示噴射量Qとから所定のマップ(プレコントロールMAP)によって定まるプレコントロール量に、装置の動作特性のばらつきを考慮して定まるものとなっている(図2参照)。
また、指示噴射量Qは、図示されないエンジンの動作状態に基づいて所定の演算処理によって演算算出される燃料噴射弁13から噴射されるべき燃料の量である。
プレコントロールMAPは、エンジン回転数Neと指示噴射量Qを基に、後述するPI制御(比例・積分制御)におけるPI定数とレール圧の変化を考慮してシミュレーションによって定められるものであるが、個々のプレコントロール量は、シミュレーションにより求められた必要燃料量よりも若干少な目の値に設定されたものとなっている。このように、シミュレーションにより求められた必要燃料量よりも若干少な目の値とするのは、その不足分を次述するようにPI制御により補償されるようにしているためである。
すなわち、図示されないエンジンの動作状態に基づいて所定の演算処理によって演算算出される目標レール圧と、レール圧センサ21によって検出された実圧との差に基づいてPI制御(比例・積分制御)が行われるようになっており、その制御結果がプレコントロール量に加算されることで、プレコントロール量の値だけでは不足する燃料の量が補償された流量制御弁指示流量αが得られるようになっている。
そして、エンジン回転数Neと指示噴射量Qが入力される度に必須供給量マップによって、そのエンジン回転数Neと指示噴射量Qの下で高圧ポンプ5へ最低限供給されるべき燃料の量β(基準燃料通過流量)が読み出され、先の流量制御弁指示流量αとの差を基に、次述する噴射異常検出処理が実行され、噴射異常が検出されるようになっている。
処理が開始されると、最初に、レール圧制御が噴射異常検出を行うに適した所定の制御モードにあるか否かが判定される(図3のステップS100参照)。ここで、所定の制御モードは、具体的には、先に説明した第3の制御モードである。
すなわち、図示されないメインルーチンにおいては、レール圧制御として先に述べた3つの制御モードが選択的に実行されるようになっているが、通常、いずれの制御モードが実行されているかを明らかにするため制御モードに応じてフラグ設定が行われるので、そのフラグを流用し第3の制御モードであるか否かを判定するようにすると好適である。
一方、ステップS100において、レール圧制御が第3の制御モードにあると判定された場合(YESの場合)には、指示噴射量Qが読み込まれることとなる(図3のステップS102参照)。
次いで、指示噴射量Qが零を上回っているか否かが判定され(図3のステップ104参照)、零を上回っていないと判定された場合(NOの場合)には、以下の処理を実行するに適した状態ではないとして一連の処理が一旦終了されることとなる。
ここで、エンジン回転数Neは、先の指示噴射量と同様、図示されないメインルーチンにおいて用いられるようになっているもので、ステップS106においては、それが読み込まれて流用されるものとなっている。
ここで、必須供給量マップは、先に述べたように、エンジン回転数Neと指示噴射量Qとの種々の組み合わせに対して、それぞれの場合において流量制御弁8により高圧ポンプ5へ最低限供給されるべき燃料の量を定めたマップである。
そして、流量制御弁通過流量βと流量制御弁指示流量αの差(流量制御弁通過流量β−流量制御弁指示流量α)が、所定閾値Kを超えているか否かが判定されることとなる(図3のステップS112参照)。
ここで、本発明の実施の形態における噴射異常とは、何らかの原因により、燃料噴射が行われない状態、又は、何燃料噴射は行われるが、噴射量が異常に低下する状態の双方を含む概念である。
すなわち、例えば、圧力保持弁15や燃料噴射弁13に機械的故障が生じ、燃料噴射弁13による燃料噴射がなされない状態、又は、燃料噴射はされるが、その噴射量が極端に低下した状態となると、コモンレール10から出力される燃料の量が低下し、レール圧が上昇する。これに対して先に述べたPI制御(図2参照)がレール圧を下げようと作用するため、流量制御弁指示流量αが小さくなる。したがって、流量制御弁指示流量αの減少の程度を捉えることで、噴射異常と判定することができるものであり、本発明の実施の形態における噴射異常検出は、このような観点に立つものである。
なお、エラー確定の処理(図3のステップS114)は、ステップS112においてβ−α>Kが成立していると判定され、その状態が所定時間継続された場合に実行するようにしても好適である。
なお、上述の構成例においては、流量制御弁指示流量αが正常であるか否かを判定する比較対象として、エンジン回転数Neと指示噴射量Qとの種々の組み合わせに対して、それぞれの場合において流量制御弁8により高圧ポンプ5へ最低限供給されるべき燃料の量(流量制御弁通過流量)βを基準燃料通過流量として用いるようにしたが、これに代えて、例えば、図2で説明したプレコントロールマップで求められる流量を用いるようにしても良い。これは、噴射異常が生じている場合、プレコントロール量に装置の動作特性のPI制御分を加味した流量である流量制御弁指示流量αは、プレコントロール量自体よりも小さくなるためである。
また、流量制御弁8のみを有してその閉ループ制御によりレール圧制御を行うよう構成された燃料噴射制御装置においても、本発明の実施の形態における噴射異常検出処理を適用することができる。
Claims (4)
- 燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介して内燃機関へ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、前記高圧ポンプの上流側に低圧制御電磁弁が設けられ、当該低圧制御電磁弁の駆動制御によりレール圧制御可能としてなり、前記燃料噴射弁からの戻り燃料通路内に圧力保持弁が設けられてなるコモンレール式燃料噴射制御装置における噴射異常検出方法であって、
前記低圧制御電磁弁が閉ループで制御される状態において、
エンジンの動作状態に応じて定められる前記低圧制御電磁弁における最低限の燃料通過流量である基準燃料通過流量と、前記低圧制御電磁弁の閉ループ制御において定まるものであり実際のレール圧制御に供される前記低圧制御電磁弁の燃料通過流量と、の差が所定閾値より大きい場合に、噴射異常と判定することを特徴とする噴射異常検出方法。 - 低圧制御電磁弁における最低限の燃料通過流量は、予め定められたマップを用いて決定し、当該マップは、エンジンの動作状態に応じて所定の演算式により演算算出される燃料噴射弁の噴射量と、エンジン回転数との種々の組み合わせに対する前記低圧制御電磁弁における最低限の燃料通過量を規定したものであることを特徴とする請求項1記載の噴射異常検出方法。
- 燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介して内燃機関へ高圧燃料の噴射を可能としてなり、前記高圧ポンプの上流側に低圧制御電磁弁が設けられ、前記燃料噴射弁からの戻り燃料通路内に圧力保持弁が設けられ、電子制御ユニットにより前記低圧制御電磁弁が駆動制御されてレール圧制御を可能としてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記低圧制御電磁弁が閉ループで制御される状態において、
エンジンの動作状態に応じて定められる前記低圧制御電磁弁における最低限の燃料通過流量である基準燃料通過流量と、前記低圧制御電磁弁の閉ループ制御において定まるものであり実際のレール圧制御に供される前記低圧制御電磁弁の燃料通過流量と、の差を算出し、当該算出された差が所定閾値より大きい場合に、噴射異常と判定するよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。 - 低圧制御電磁弁における最低限の燃料通過流量は、予め定められたマップを用いて決定し、当該マップは、エンジンの動作状態に応じて所定の演算式により演算算出される燃料噴射弁の噴射量と、エンジン回転数との種々の組み合わせに対する前記低圧制御電磁弁における最低限の燃料通過量を規定したものであることを特徴とする請求項3記載のコモンレール式燃料噴射制御装置。
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