JP4442441B2 - 内燃機関用燃料噴射装置 - Google Patents

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本発明は、実燃料圧力が目標燃料圧力に略一致するように、燃料供給ポンプから送出される燃料送出量を制御する内燃機関用燃料噴射装置に関する。
従来、内燃機関の異常状態を検出したとき、例えば内燃機関がオーバーラン運転されたときに、燃料噴射圧(コモンレール圧)を低下させ、オーバーラン運転の防止を行う内燃機関用燃料噴射装置が知られている(特許文献1参照)。
図7は、従来技術におけるエンジン回転数、コモンレール圧、指令送出量、および燃料送出量の様子を示すタイムチャートである。従来技術の内燃機関用燃料噴射装置には、オーバーラン運転でない正常時に流量制御弁の制御量(弁開度もしくは弁駆動時間)を演算する正常時用演算装置と、オーバーラン運転である異常時に、正常時用の演算装置とは別の異常時用演算装置とが設けられており、スイッチング回路によって適宜切換えるようになっている。
オーバーラン運転でない正常時、スイッチング回路が正常時用演算装置からの演算結果を流量制御弁に出力するように切換えられる。正常時用演算装置は、実コモンレール圧と、目標コモンレール圧との圧力偏差に基づいて、目標の燃料送出量を演算し、その目標燃料送出量に基づき流量制御弁を制御する制御量を演算する(時刻t0からt1を参照)。この制御量に基づき流量制御弁が制御され、コモンレール圧を内燃機関の運転状態、もしくは運転条件に適合したものとすることができる。
オーバーラン運転となっている異常時、スイッチング回路が異常時用演算装置からの演算結果を流量制御弁に出力するように切換えられる。異常時用演算装置は、燃料供給ポンプからコモンレールに送出される燃料の送出量を実質的に零にするように流量制御弁を制御する制御量を発生する(時刻t1からt2を参照)。この制御量に基づき流量制御弁が制御されると、コモンレール圧を低下し、オーバーラン運転を防止することができる。
特開平11−247699号公報
上記内燃機関用燃料噴射装置は、図7のタイムチャートに示すように、時刻t1からt2までのオーバーラン運転中、異常時用演算装置からの制御量で流量制御弁を制御し、実コモンレール圧を低下させている。この内燃機関用燃料噴射装置は、オーバーラン運転中であっても、正常時用演算装置では、実コモンレール圧と目標コモンレール圧との圧力偏差に基づいて、流量制御弁の制御量(指令送出量)を演算している(図7中の(c)の時刻t1からt2を参照)。その制御量は、図に示すようにコモンレールへの燃料の送出量が最大となる値となる。
オーバーラン運転が解除される、すなわち内燃機関の異常状態から正常状態へ復帰すると(時刻t2)、スイッチング回路によって、正常時用演算装置で演算された制御量で流量制御弁が制御される。図7中の(c)に示すように、この制御量は、コモンレールへの燃料の送出量が最大となるような量となっているので、大量の燃料がコモンレールへ送出され、コモンレール圧が突然上昇する。
内燃機関用燃料噴射装置には、過剰の圧力上昇を防止する目的で、コモンレールにプレッシャリミッタが設けられている。前述したように、オーバーラン運転が解除されると、コモンレール圧は、プレッシャリミッタが作動する圧力以上となり(時刻t3)、プレッシャリミッタが作動する。すると、プレッシャリミッタを介して、コモンレール内の燃料が燃料タンクに戻され、圧力が低下する。
しかし、プレッシャリミッタは、一旦作動すると、オーバーラン運転が解除される内燃機関の回転数に対応するコモンレール圧よりも低い圧力を維持するような構造(圧力レギュレート機能)となっている。このため、オーバーラン運転の解除した直後にプレッシャリミッタが作動すると、コモンレール圧を適切な圧力とすることができなくなり、内燃機関の出力が低下してしまう。その結果、オーバーラン運転が解除されたときの内燃機関のドライバビリティが低下し、運転者に違和感を与えてしまう。
本発明の目的は、上記問題点に鑑みなされたもので、内燃機関の異常状態から正常状態への復帰直後、コモンレール圧が過剰となることを防ぎ、内燃機関のドライバビリティの低下を防止することができる内燃機関用燃料噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置は、(a)内燃機関により回転駆動されて、吸入した燃料を加圧し、送出する燃料供給ポンプ、(b)この燃料供給ポンプより送出される燃料の送出量を変更し、燃料供給ポンプより送出される実燃料圧力、あるいは内燃機関の気筒内に噴射供給される実燃料圧力を変更することが可能な送出量制御弁、(c)実燃料圧力と、内燃機関の運転状態または運転条件に応じて演算される目標燃料圧力との圧力偏差に基づき該実燃料圧力が該目標燃料圧力に略一致するように指令送出量を演算し、その指令送出量を送出量制御弁に出力して燃料の送出量を変更させる指令送出量演算手段、(d)および、内燃機関の運転状態の異常を判定すると、異常判定情報を指令送出量演算手段に与える異常判定手段を有し、(e)指令送出量演算手段は、異常判定手段が異常を判定したときは、指令送出量として内燃機関の異常状態に応じた異常時指令送出量を発生し、かつ、異常が解除された直後は、指令送出量として、圧力偏差に基づき演算される指令送出量に向って徐々に増加するような徐変指令送出量を発生するものであって、異常判定手段が異常を判定していないときは、圧力偏差に基づき指令送出量を演算する正常時指令送出量演算手段、異常を判定したときは、異常時指令送出量を発生する異常時指令送出量発生手段、異常を判定したときは、正常時指令送出量演算手段の演算を制限させる演算制限手段、および、異常の判定が解除された直後の所定時間は、異常時に演算制限手段で制限された指令送出量から徐々に増加するような徐変指令送出量を演算するように正常時指令送出量演算手段を制御する徐変手段を有していることを特徴としている。
これにより、指令送出量演算手段は、内燃機関が異常状態(例えば、オーバーラン運転時)となっている間は、指令送出量として内燃機関の異常状態に応じた異常時指令送出量を発生し、異常状態から正常状態に復帰させることができる。
そして、内燃機関の異常状態が解除された直後(復帰直後)、再び、正常時の指令送出量が演算されても、指令送出量演算手段は、指令送出量として、圧力偏差に基づき演算される指令送出量に向って徐々に増加するような徐変指令送出量を発生するので、過剰の燃料が燃料供給ポンプから送出されることが防止できる。
これにより、燃料供給ポンプからの燃料の送出量の時間当たりの変化量を小さくすることができ、実燃料圧力が、急激に上昇することがなくなるので、例えば、図7中の時刻t3のように、実燃料圧力が、例えば、プレッシャリミッタが作動するほど急激に上昇することがなくなる。その結果、例えば、プレッシャリミッタが作動することによるドライバビリティの低下を招くことがなくなる。
加えて、指令送出量演算手段は、正常時には、正常時指令送出量演算手段により指令送出量を演算し、異常時には、演算制限手段が正常時指令送出量演算手段の演算を制限し、異常時指令送出量発生手段が異常時指令送出量を発生しているので、内燃機関を異常状態から正常状態に復帰させることができる。そして、徐変手段は、異常時からの復帰直後、徐変指令送出量を出力するように正常時指令送出量演算手段を制御するので、実燃料圧力が急激に上昇することがなくなる。
請求項に記載したように、演算制限手段は、正常時指令送出量演算手段の演算を制限し、正常時指令送出量演算手段は、燃料の送出量が実質的に零(0)となるような指令送出量を発生することが好ましい。指令送出量を実質的に0とすると、正常状態への復帰時に、燃料の送出量を実質的に0から徐々に増加させることができるので、確実に実燃料圧力の急激な上昇を防ぐことが可能となるためである。
請求項に記載したように、異常時指令送出量発生手段は、燃料の送出量が実質的に零(0)となるような異常時指令送出量を発生することが好ましい。異常状態となっている間、異常時指令送出量発生手段が発生する異常時指令送出量を実質的に0にすることにより、燃料の送出量を実質的に0とすることができる。その結果、早急に実燃料圧力を低下させることができ、内燃機関の異常状態から早急に正常な状態に復帰させることが可能となるためである。
請求項に記載したように、請求項から請求項のいずれか一項に記載の正常時指令送出量演算手段は、圧力偏差と所定の比例ゲインとにより比例項を演算する比例項演算手段、および圧力偏差と所定の積分ゲインとにより積分項を演算する積分項演算手段を含んでおり、演算制限手段は、比例項演算手段、および積分項演算手段の演算を制限させ、徐変手段は、比例項演算手段、もしくは積分項演算手段のいずれか一方の演算手段の演算を実行させることを特徴としている。
これにより、実燃料圧力を目標燃料圧力に精度よく追従させることができると共に、比例項演算手段、または積分項演算手段の演算動作を制御するだけで、異常時、または正常復帰時に適した指令送出量を送出量制御弁に出力することができる。
また、請求項に記載したように、徐変手段は、比例項演算手段のみの演算を実行させ、積分項演算手段の演算を制限させることを特徴としている。これにより、適切な割合で徐変指令送出量を増加させることが可能となる。
請求項に記載したように、請求項から請求項のいずれか一項に記載の正常時指令送出量演算手段は、圧力偏差と所定の比例ゲインとにより比例項を演算する比例項演算手段、および圧力偏差と所定の積分ゲインとにより積分項を演算する積分項演算手段を含んでおり、演算制限手段は、比例項演算手段、および積分項演算手段の演算を制限させ、徐変手段は、比例項演算手段の比例ゲイン、または積分項演算手段の積分ゲインを変更するゲイン変更手段を有し、少なくとも比例ゲインおよび積分ゲインのうちいずれか一方のゲインを変更することを特徴としている。
これにより、実燃料圧力を目標燃料圧力に精度よく追従させることができると共に、比例ゲイン、または積分ゲインの値を制御するだけで、異常時、または正常復帰時に適した指令送出量を送出量制御弁に出力することができる。また、比例ゲイン、積分ゲインを変更することができるので、徐変指令送出量の増加する割合を所望な値に定めることが可能となる。
請求項に記載の内燃機関用燃料噴射装置は、請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧すると共に、蓄圧された高圧燃料を内燃機関の各気筒に搭載された複数の燃料噴射弁に分配供給するためのコモンレールを備え、送出量制御弁は、燃料供給ポンプの加圧室内に吸入される燃料の吸入量を指令送出量に応じて変更する吸入調量弁であり、燃料供給ポンプは、吸入調量弁を経て加圧室内に吸入される燃料を加圧して、コモンレール内に圧送する吸入調量型の燃料供給ポンプであることを特徴としている。
送出調量型の燃料供給ポンプに使用されている調量弁は、加圧室内の燃料圧力を直接受ける構成となっているため、高耐圧性が要求され、調量弁が大型化して高コストとなり易い。請求項7に記載されているように、燃料供給ポンプを吸入調量型とすることにより、調量弁にかかる燃料圧力が非常に低いので、調量弁の小型化、低コスト化を実現できる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、コモンレール式燃料噴射システムの全体構造を示した図である。本実施形態のコモンレール式燃料噴射システムは、例えば自動車等の車両に搭載された4気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)の各気筒に燃料を噴射供給するシステムである。
この燃料噴射システムは、各気筒に噴射供給する燃料噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール1と、このコモンレール1内に蓄圧された高圧燃料をエンジンの各気筒に噴射供給するための複数個(本例では4個)の電磁式燃料噴射弁(インジェクタ)2と、エンジンにより回転駆動され、吸入した燃料を加圧してコモンレール1に圧送する吸入調量型の燃料供給ポンプ(サプライポンプ)3と、複数個のインジェクタ2およびサプライポンプ3を電子制御するエンジン制御ユニット(以下、ECUと呼ぶ)9とを備えている。この図1では、4気筒エンジンの1つの気筒に対応するインジェクタ2のみを示し、他の気筒については、図示を省略している。
コモンレール1には、連続的に燃料噴射圧力に相当する高い圧力が蓄圧される必要がある。そのため、コモンレール1に蓄圧される高圧燃料は、高圧配管10を介してサプライポンプ3から供給されている。コモンレール1には、燃料タンク5に連通する燃料排出路14、15へ通じる燃料排出路12が設けられている。コモンレール1と燃料排出路12との間には、コモンレール1内の燃料圧力が限界設定圧力を超えることがないように、燃料圧力を逃がすためのプレッシャリミッタ7が取り付けられている。
プレッシャリミッタ7は、システム内の燃料圧力、すなわち、コモンレール1内の燃料圧力(コモンレール圧)が限界設定圧力を超えた際に開弁して、システム内の燃料圧力を限界設定圧力以下に抑えるための圧力安全弁である。そして、このプレッシャリミッタ7には、圧力レギュレート機能が備えられている。圧力レギュレート機能とは、プレッシャリミッタ7が過剰圧送する等のシステム内の異常高圧時に車両を退避走行させる目的で、車両を継続走行させるのに必要最低限の圧力(レギュレート圧)を維持できるように閉弁圧を規制する機能である。
エンジンの各気筒に搭載されたインジェクタ2は、コモンレール1より分岐する複数の分岐管11の下流端に接続され、噴射孔を開閉するノズルニードルを収容する燃料噴射ノズル、ノズルニードルを開弁方向に駆動する電磁式アクチュエータ、およびノズルニードルを閉弁方向に付勢するスプリング等の付勢手段等により構成されている。
これらのインジェクタ2からエンジンの各気筒への燃料噴射は、ノズルニードルと一体的に動作するコマンドピストンの背圧制御室内の燃料圧力を増減制御する電磁式アクチュエータとしての電磁弁4への通電および通電停止により電子制御される。つまり、各気筒のインジェクタ2の電磁弁4が開弁している間、コモンレール1内に蓄圧された高圧燃料がエンジンの各気筒に噴射供給される。ここで、インジェクタ2からのリーク燃料または背圧制御室からの排出燃料(リターン燃料)は、燃料排出路14から燃料排出路15を経て燃料タンク5に還流される。
サプライポンプ3は、燃料タンク5からフィルタ8を介して吸入した低圧燃料を加圧して送出口からコモンレール1へ高圧燃料を送出する高圧供給ポンプである。このサプライポンプ3は、エンジンのクランク軸の回転に伴ってポンプ駆動軸が回転することで燃料タンク5内の低圧燃料を汲み上げる周知のフィードポンプと、ポンプ駆動軸により回転駆動されるカムと、このカムに駆動されて上死点と下死点との間を往復移動する1個以上のプランジャと、1個以上のプランジャが1個以上のシリンダ内を往復移動することにより、燃料流路を経て吸入された燃料を加圧する1個以上の加圧室と、この加圧室内の燃料圧力が所定以上に上昇すると開弁する1個以上の送出弁とを備えている。
また、サプライポンプ3には、内部の燃料温度が高温にならないように、リークポートが設けられており、サプライポンプ3からのリーク燃料は、燃料排出路13から燃料排出路15を経て燃料タンク5に還流される。このサプライポンプ3内に形成される燃料流路、つまりフィードポンプから加圧室に至る燃料供給路には、その燃料供給路の開口度合(弁体のリフト量、弁孔の開口面積、または弁孔の開口時間)を調整することで、サプライポンプ3からコモンレール1への燃料の送出量を変更して、コモンレール1内の燃料圧力(コモンレール圧)を制御するための送出量制御弁としての吸入調量弁(以下、SCVと呼ぶ)6が取り付けられている。
SCV6は、図2に示すSCV駆動回路400を介してECU9から印加されるSCV駆動電流によって電子制御されることにより、サプライポンプ3の加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整する。このSCV6は、フィードポンプから加圧室内へ燃料を送るための燃料供給路の開度を調整するバルブ、バルブを閉弁方向に駆動するソレノイドコイル、およびバルブを開弁方向に付勢するスプリング等の付勢手段を備えている。
また、SCV6は、SCV駆動回路400を介してソレノイドコイルに印加されるSCV駆動電流の大きさに比例して、サプライポンプ3の加圧室から、コモンレール1へ送出される高圧燃料の送出量を調整して、コモンレール1内の実燃料圧力としての燃料圧力(実コモンレール圧(PC))、つまり各インジェクタ2からエンジンの各気筒へ噴射供給する燃料噴射圧力を制御する。
送出調量型のサプライポンプ3に使用されている調量弁は、サプライポンプ3の加圧室内の燃料圧力を直接受ける構成となっているため、高耐圧性が要求され、調量弁が大型化して高コストとなり易い。本実施形態のように、サプライポンプ3を吸入調量型とすることにより、SCV6にかかる燃料圧力を非常に低くすることができるので、調量弁の小型化、低コスト化を実現できる。
ECU9には、制御処理、演算処理を行うCPU、各種制御プログラムおよびデータを保存する記憶装置(EEPROM、RAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路、インジェクタ駆動回路、SCV駆動回路400等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。
そして、ECU9には、図1に示すように、エンジン回転数センサ16、アクセル開度センサ17、冷却水温センサ18、コモンレール1内の圧力を検出する圧力センサ19等、エンジン運転状態や運転条件を検出するための各種センサが接続され、各種センサからのセンサ信号は、A/D変換機でA/D変換された後にマイクロコンピュータに入力される。ECU9は、これら各種センサからの信号に基づいて、エンジン運転状態や運転条件に応じた最適な噴射時期や噴射量等を演算し、その演算結果に基づきインジェクタ駆動回路によって各インジェクタ2を駆動する。
また、ECU9は、圧力センサ19により検出される実コモンレール圧(PC)が、エンジン運転状態や運転条件に応じた最適な燃料圧力、すなわち目標燃料圧力(目標コモンレール圧(PCT))に追従するように、サプライポンプ3からの送出量を演算し、その演算結果に基づきSCV駆動回路400によってSCV6を駆動し、実コモンレール圧(PC)をフィードバック制御する。
次に、実コモンレール圧(PC)のフィードバック制御について図2および図3に基づき詳細に説明する。図2は、SCVの制御の概要を示すブロック図である。図3は、図2中の指令送出量演算部の概要を示すブロック図である。
ECU9には、図2に示すように、目標コモンレール圧演算部100、指令送出量演算手段としての指令送出量演算部300、SCV駆動回路400、および異常判定手段としての異常判定部200を含んで構成されている。ECU9には、SCV駆動回路400からのSCV駆動電流により、その開口度合が制御されるSCV6が接続されている。さらに、ECU9には、エンジン回転数センサ16、アクセル開度センサ17、圧力センサ19からのセンサ信号が入力されている。
目標コモンレール圧演算部100は、エンジン回転数センサ16から入力されるエンジン回転数(NE)と、アクセル開度センサ17から入力されるアクセル開度(ACC)とに基づき目標コモンレール圧(PCT)を演算し、その目標コモンレール圧(PCT)を指令送出量演算部300に出力する。
指令送出量演算部300は、圧力センサ19から入力される実コモンレール圧(PC)と、目標コモンレール圧(PCT)とに基づき指令送出量(QPT)を演算し、その指令送出量(QPT)をSCV駆動回路400に出力する。指令送出量(QPT)は、例えば、周知のPI制御手法や、PID制御手法等により演算される。この指令送出量演算部300における指令送出量(QPT)の演算方法については、後ほど図3に基づいて詳細に説明する。
SCV駆動回路400は、指令送出量(QPT)を、指令送出量(QPT)に応じたSCV6の開口度合となるようにSCV駆動電流に変換し、そのSCV駆動電流をSCV6に出力する。そして、SCV6は、ソレノイドコイルに印加されるSCV駆動電流に応じて、その開口度合が調整され、所望の低圧燃料を加圧室内に吸入させる。
なお、このSCV駆動電流は、印加するSCV6の形態に応じて適切なものとする。例えば、SCV6が電流値に応じて開口度合を調整することができる比例制御弁タイプの電磁弁であれば、SCV駆動電流は、指令送出量(QPT)に応じた電流値とする。SCV6がソレノイドコイルに通電される時間に応じて開口度合を調整することができるオン・オフ制御弁タイプの電磁弁であれば、SCV駆動電流は、指令送出量(QPT)に応じたデューティ比とする。
異常判定部200は、エンジン回転数センサ16からのエンジン回転数(NE)を監視することで、エンジンが異常回転数となるオーバーラン運転状態にあるか否かを判定する(図6中の(a)を参照)。エンジンが異常回転数を超えるとオーバーラン運転状態にあると判定され、異常判定情報としての異常判定信号が指令送出量演算部300に出力される。エンジンが正常復帰回転数を下回るとオーバーラン運転状態が解消されたと判定され、異常判定信号の出力が停止される。この正常復帰回転数は、異常回転数よりも低い回転数となっており、回転数にある程度の差を設けている。
次に、異常判定部200がオーバーラン運転状態でないと判定したとき、オーバーラン運転状態と判定したとき、およびオーバーラン運転状態が解消されたと判定したときの指令送出量演算部300の演算動作について図3に基づき詳細に説明する。
指令送出量演算部300は、図3に示すように、比例項演算手段としての比例項P演算部311と積分項演算手段としての積分項I演算部312とを有する正常時指令送出量演算部310、制御部320、および異常時指令送出量発生部330を含んで構成されている。制御部320と異常時指令送出量発生部330には、異常判定部200からの異常判定信号が入力されるようになっている。
正常時指令送出量演算部310は、比例項P演算部311と積分項I演算部312とを含んで構成されており、両演算部311、312は、目標コモンレール圧(PCT)と実コモンレール圧(PC)との偏差(制御偏差(Z))に応じてPI制御を実行し、指令送出量(QPT)を演算する。なお、本実施形態では、PI制御により指令送出量(QPT)を演算しているが、微分項D演算部(図示せず)を追加して、PID制御により指令送出量(QPT)を演算してもよい。微分項D演算部を追加することにより、実コモンレール圧(PC)の追従性を向上させることが可能となる。
比例項P演算部311、積分項I演算部312に与えられる比例ゲイン(GP)、および積分ゲイン(GI)は、例えば、制御偏差(Z)と比例ゲイン(GP)、制御偏差(Z)と積分ゲイン(GI)との関係を予め実験等により測定して作成したゲインマップに基づいて算出する。また、比例ゲイン(GP)、および積分ゲイン(GI)は、エンジン運転状態、運転条件から算出してもよい。
制御部320は、異常判定部200からの異常判定信号に応じて正常時指令送出量演算部310の演算動作を制御する装置である。制御部320は、演算制限部321、および徐変部322から構成されている。
演算制限部321は、異常判定信号に応じて比例項P演算部311、積分項I演算部312の演算の実行・中止または、演算結果を制限する装置である。本実施形態では、演算制限部321は、異常判定信号が入力されると、比例項P演算部311、積分項I演算部312の演算を中止させる演算中止信号を出力する。
正常時指令送出量演算部310は、演算中止信号が入力されると、比例項P演算部311、積分項I演算部312の演算が中止され、サプライポンプ3からコモンレール1への燃料の送出量を実質的に0とする指令送出量(QPT)を演算する。具体的には、正常時指令送出量演算部310が演算する指令送出量(QPT)は、0となる。この指令送出量(QPT)は、記憶装置にデータが記憶される。
なお、演算中止信号が入力された正常時指令送出量演算部310は、演算される指令送出量(QPT)を0としなくてもよい。正常時指令送出量演算部310は、演算される指令送出量(QPT)を異常判定信号が停止される直前のエンジンの運転状態等によって制限するようにしてもよい。
徐変部322は、異常判定信号に応じて正常時指令送出量演算部310が出力する指令送出量(QPT)を、異常状態時に演算中止信号が入力された正常時指令送出量演算部310から所定の変化割合で徐々に増加させる装置である。このとき、正常時指令送出量演算部310が演算する指令送出量(QPT)が、請求項に記載の徐変指令送出量となる。徐変部322は、一旦、異常判定信号が入力され、その後、異常判定信号が解除されたことを認識すると、解除されてから所定時間の間、比例項P演算部311の演算を実行し、積分項I演算部312の演算を中止させる徐変信号を出力する。正常時指令送出量演算部310は、徐変信号が入力されると、比例項P演算部311のみで指令送出量(QPT)を演算する。
徐変信号が入力された正常時指令送出量演算手段310が演算する指令送出量(QPT)は、比例項P演算部311、積分項I演算部312の両方の演算部で演算される指令送出量(QPT)よりも時間当たりの増加量が小さくなるので、サプライポンプ3からコモンレール1への燃料の送出量の時間当たりの増加量も小さくなる(図6中の(c)(d)、時刻t2からt3を参照)。したがって、実コモンレール圧(PC)は、急激に上昇することがなくなるので、例えば、図7中の時刻t3のようにプレッシャリミッタ7が作動することがなくなる。その結果、プレッシャリミッタ7が作動することによるドライバビリティの低下を招くことがなくなる。なお、制御部320の動作については、後ほど、図4から図6のフローチャートおよびタイムチャートに基づいて詳細に説明する。
異常時指令送出量発生部330は、異常判定部200から異常判定信号が入力されると、サプライポンプ3からコモンレール1への燃料の送出量を実質的に0とする指令送出量(QPT)を発生する装置である。このとき、異常時指令送出量発生部330が発生する指令送出量(QPT)が、請求項に記載の異常時指令送出量となる。
このような構成により、指令送出量演算部300は、エンジンの運転状態に応じた適切な指令送出量(QPT)をSCV駆動回路400に出力することが可能となる。エンジンが正常状態にあれば、指令送出量演算部300は、正常時指令送出量演算部310で、目標コモンレール圧(PCT)と実コモンレール圧(PC)との偏差(制御偏差(Z))に応じて演算された指令送出量(QPT)をSCV駆動回路400に出力する。
エンジンが異常状態にあれば、指令送出量演算部300は、異常時指令送出量発生部330が発生した指令送出量(QPT)をSCV駆動回路400に出力する。このとき、正常時指令送出量演算部310の演算は、演算制限部321からの演算中止信号により、演算が中止され、正常時指令送出量演算部310は、サプライポンプ3からコモンレール1への燃料の送出量を実質的に0とする値を発生している。
エンジンが異常状態から復帰した直後は、指令送出量演算部300は、徐変部322から徐変信号が入力された正常時指令送出量演算部310で演算された指令送出量(QPT)をSCV駆動回路400に出力する。所定時間が経過すると、徐変信号は停止され、指令送出量演算部300は、上記制御偏差(Z)に応じて演算された指令送出量(QPT)をSCV駆動回路400に出力する。
次に、指令送出量演算部300を含むECU10の動作について、図4から図6に基づき詳細に説明する。図4および図5は、指令送出量演算部300における指令送出量(QPT)の演算の様子を示すフローチャートである。図6は、本実施形態におけるエンジン回転数(NE)、コモンレール圧、指令送出量(QPT)、および燃料送出量の様子を示すタイムチャートである。
図4および図5に示すフローチャートは、所定時間毎(例えば、数msから10数ms毎)に繰り返し実行されるようになっている。
最初に、図4のフローチャートを説明する。ECU9は、以下のステップS1からステップS11の処理を行うことにより、指令送出量(QPT)を演算する際の演算モードを決定する。決定される演算モードは、正常モード、異常モード、復帰モードのいずれかである。
正常モードとは、エンジンが異常回転数以下の回転数で運転される状態のときに選択される演算モードである(図6中の時刻t0からt1を参照)。異常モードとは、エンジンが異常回転数以上の回転数で運転される状態のときに選択される演算モードである(図6中の時刻t1からt2を参照)。
復帰モードとは、一旦、演算モードが異常モードとなった後、エンジンが正常復帰回転数以下の回転数で運転される状態のときに選択される演算モードである(図6中の時刻t2からt3を参照)。なお、この復帰モードは、所定時間経つと、正常モードとなる(図6中の時刻t3以降を参照)。
ステップS1では、ECU9は、エンジン回転数センサ16およびアクセル開度センサ17で検出されるエンジン回転数(NE)およびアクセル開度(ACC)を読み込む。
ステップS2では、目標コモンレール圧演算部100がエンジン回転数(NE)とアクセル開度(ACC)とに基づいて目標コモンレール圧(PCT)を演算し、その結果を指令送出量演算部300内の正常時指令送出量演算部310に出力する。
ステップS3では、エンジン回転数(NE)が異常回転数を超えているか否かの判定を行う。ここでの処理が異常判定部200での処理となる。その判定結果が、異常であれば、ECU9は、処理をステップS4に移し、演算モードを異常モードとする。そして、異常判定部200は、異常判定信号を指令送出量演算部300内の制御部320および異常時指令送出量発生部330に出力する。
判定結果が、正常であれば、ECU9は、処理をステップS5に移す。このとき、異常判定部200は、異常判定信号を出力しない。
ステップS5では、ECU9は、前回の異常判定部200の判定結果が正常(異常判定信号が出力されていない)であったか否かを判定する。前回正常であれば、処理をステップS6に移し、前回異常であれば、処理をステップS9に移す。ステップS6からステップS9までの処理については後ほど説明する。
ステップS10では、ECU9は、ステップS5にて前回異常であると判定すると、演算モードを復帰モードにする。そして、ステップS11にて、ECU9は、復帰モードの継続時間を計時するカウント値(CNT:初期値=0)に1を加えてカウントアップする。
ステップS6からステップS9までの処理は、復帰モードの継続時間が所定時間経過したか否かを判定する過程である。ステップS6では、ECU9は、前回の演算モードが正常モードか復帰モードであったかを判定する。前回の演算モードが正常モードであれば、処理をステップS9に移し、今回の演算モードを正常モードとする。前回の演算モードが復帰モードであれば、処理をステップS7に移す。
ステップS7では、ECU9は、カウント値(CNT)が基準値(CNTLV)を超えたか否かを判定する。これにより、復帰モードの継続時間が所定時間経過したか否かを判定することができる。ECU9は、カウント値(CNT)が基準値(CNTLV)を超えていれば、復帰モードが所定時間経過したとして処理をステップS8に移し、カウント値(CNT)を初期値(=0)に戻す。そして、ECU9は、ステップS9にて演算モードを正常モードに切り替える。
カウント値(CNT)が基準値(CNTLV)を超えていなければ、ECU9は、処理をステップS10に移し、演算モードを復帰モードとし、ステップS11にて、カウント値(CNT)に1を加えてカウントアップする。
図4に示すフローチャートにより、ECU9は、指令送出量(QPT)を演算する際の演算モードを決定し、処理を図5に示すフローチャートに移す。
次に、図5のフローチャートを説明する。ここでは、図4のフローチャートで決定した演算モードに基づいて指令送出量(QPT)を演算する。ステップS12からステップS15の処理は、各演算モードについて共通の処理である。ステップS16とステップS17の処理は、正常モードに関する処理である。ステップS18とステップS19の処理は、復帰モードに関する処理である。ステップS20からステップS22の処理は、異常モードに関する処理である。
ステップS12では、ECU9は、ステップS2にて演算した目標コモンレール圧(PCT)を読み込む。そして、ステップS13では、ECU9は、圧力センサ19で検出される実コモンレール圧(PC)を読み込む。ステップS14では、ECU9は、目標コモンレール圧(PCT)と実コモンレール圧(PC)との偏差、すなわち制御偏差(Z)を演算する。
ステップS15では、ECU9は、現在の演算モードが、正常モード、異常モード、復帰モードのうち、どのモードにあるかを判定する。ECU9は、演算モードが正常モードであれば、ステップS16へ、異常モードであれば、ステップS20へ、復帰モードであれば、ステップS18へ処理を移す。
(正常モードの場合)
ステップS16およびステップS17では、ECU9は、正常時指令送出量演算部310内の比例項P演算部311および積分項I演算部312によって、ステップS14で演算した制御偏差(Z)に基づき、比例項(P)と積分項(I)を演算する。そして、ECU9は、その演算結果に基づきステップS23にて最終的な指令送出量(QPT)を演算する。なお、演算される比例項(P)、積分項(I)は、それぞれ、上下限ガード値以内の値とされる。
指令送出量演算部300からは、正常時指令送出量演算部310で演算される指令送出量(QPT)がそのままSCV駆動回路400に出力され、燃料送出量(QP)が制御される(図6中の(c)(d)、時刻t0からt1を参照)。
(異常モードの場合)
ステップS20およびステップS21では、ECU9は、制御部320の演算制限部321の演算中止信号により、比例項P演算部311および積分項I演算部312の演算を中止し、比例項(P)=0、積分項(I)=0とする。そして、ステップS22では、ECU9は、指令送出量(QPT)=0とする。このときの指令送出量(QPT)は、異常時指令送出量発生部330が発生する値である。これにより、コモンレール1への燃料の送出量を実質的に0にすることができ、早急に実コモンレール圧(PC)を低下させることができる。その結果、エンジンを異常状態から早急に正常な状態に復帰させることが可能となる。
指令送出量演算部300からは、指令送出量(QPT)=0がSCV駆動回路400に出力され、燃料送出量(QP)が制御される。このとき、正常時指令送出量演算部310が演算する値も0となっている(図6中の(c)(d)、時刻t1からt2を参照)。このとき演算される正常時指令送出量演算部310の値は、記憶装置に記憶される。
(復帰モードの場合)
ステップS18およびステップS19では、ECU9は、制御部320の演算制限部321の演算中止信号の解除、徐変部322の徐変信号により、比例項P演算部311の演算を実行し、積分項I演算部312の演算を中止し、比例項(P)のみを演算する。そして、ECU9は、比例項(P)のみで、ステップS23にて最終的な指令送出量(QPT)を演算する。演算される比例項(P)は、上下限ガード値以内の値とされる。
本実施形態では、指令送出量(QPT)を徐変させるとき、比例項P演算部311のみで演算している。これは、積分項I演算部312のみで演算される指令送出量(QPT)では、実コモンレール圧(PC)の追従性が非常に悪いためである。
指令送出量演算部300からは、所定時間の間、比例項P演算部311のみで演算された指令送出量(QPT)がそのままSCV駆動回路400に出力され、燃料送出量(QP)が制御される(図6中の(c)(d)、時刻t2からt3を参照)。
復帰モードでは、指令送出量(QPT)を記憶装置に記憶されている値、すなわち0から所定の変化割合で徐々に増加させることができるので、実コモンレール圧(PC)は、急激に上昇することがなくなる。したがって、例えば、図7中の時刻t3のようにプレッシャリミッタ7が作動することがなくなる。その結果、プレッシャリミッタ7が作動することによるドライバビリティの低下を招くことがなくなる。
復帰モードによるSCV6の制御が所定時間経過すると、再び、演算モードが正常モードに戻り、ステップS16、ステップS17によって、指令送出量(QPT)が演算される。なお、この所定時間は、復帰モードから正常モードに切り替わったときに、実コモンレール圧(PC)が急激に上昇しないと判断される時間とすることが望ましい。この時間が長すぎると、却って実コモンレール圧(PC)の目標コモンレール圧(PCT)への追従性が悪くなってしまうからである。また、この時間は、異常判定信号が解除されたときのエンジンの運転状態に応じて変更してもよい。
本実施形態では、異常モード時に演算中止信号により、正常時指令送出量演算部310が演算する値を0としている。これは、演算モードが異常モードから復帰モードに切り替わったとき、コモンレール1への燃料の送出量を実質的に0から徐々に増加させ、確実に実コモンレール圧(PC)の急激な上昇を防止するためである。
以上のように、指令送出量演算部300は、エンジンが異常回転数以上となり、演算モードが異常モードとなっている間は、演算制限部321により、正常モード時に指令送出量(QPT)を演算している正常時指令送出量演算部310での演算を中止し、異常時用の指令送出量(QPT)を出力している。
そして、エンジンが正常復帰回転数以下となり、再び、正常時指令送出量演算部310による演算が開始されても、異常モード時に正常時指令送出量演算部310の演算を中止していたため、過剰の燃料がサプライポンプ3からコモンレール1へ供給されることが防止できる。さらに、異常モードが解除されると、正常時指令送出量演算部310は、徐変部322の働きにより、指令送出量(QPT)を所定の変化割合で徐々に増加させることができる。
これにより、サプライポンプ3からコモンレール1の燃料の送出量の時間当たりの変化量を小さくすることができ、実コモンレール圧(PC)は、急激に上昇することがなくなるので、例えば、図7中の時刻t3のようにプレッシャリミッタ7が作動することがなくなる。その結果、プレッシャリミッタ7が作動することによるドライバビリティの低下を招くことがなくなる。
また、本実施形態では、制御部320により、比例項P演算部311や積分項I演算部312による演算動作を制御することにより、異常モードでは、容易に正常時指令送出量演算部310の指令送出量(QPT)を0にすることができる。復帰モードでは、容易に正常時指令送出量演算部310の指令送出量(QPT)を所定の変化割合で徐々に増加させることができる。
また、制御部320により、比例項P演算部311や積分項I演算部312による演算動作を制御せずに、比例ゲイン(GP)や積分ゲイン(GI)をゲイン変更手段によって変更して、各モードに適した演算を行ってもよい。これにより、特に復帰モードでは、指令送出量(QPT)の変化割合を自由に定めることができる。
また、演算制限部321による両演算部311、312の制御、両演算部311、312のゲイン(GP)、(GI)の変更を組み合わせて両演算部311、312を制御してもよい。
また、本実施形態では、異常判定信号が指令送出量演算部300に入力されている間は、比例項P演算部311と積分項I演算部312による演算を中止し、正常時指令送出量演算部310が発生する指令送出量の値を0としているが、通常通り、制御偏差(Z)に基づき指令送出量を演算していてもよい。ただし、この場合は、異常モードから復帰モードに移るときに、一旦、比例項P演算部311と積分項I演算部312の演算を中止し、そこから指令送出量(QPT)を徐々に増加させるようにする。これによっても、実コモンレール圧(PC)は、急激に上昇することがなくなるので、本発明の目的を達せさせることができる。
(変形例)
次に、本発明の指令送出量演算部の変形例を図8に基づいて説明する。図8は、本発明の変形例による指令送出量演算部の概要を示すブロック図である。なお、前記実施形態と同一機能物は、同一符号を付す。ここでは、前記実施形態と相違している特徴点のみを説明する。
図8に示すように、正常時指令送出量演算部310の演算結果と、異常時指令送出量発生部330の演算結果とが合流する合流点に、演算部310もしくは発生部330の出力値を選択する切替スイッチ340が設けられている。この切替スイッチ340は、異常判定部200からの信号により動作する。異常判定信号が入力されていない状態では、切替スイッチ340は、指令値演算部310の指令送出量(QPT)をSCV駆動回路400に出力するように動作し、異常判定信号が切替スイッチ340に入力されると、切替スイッチ340は、異常時指令送出量発生部330からの指令送出量(QPT)をSCV駆動回路400に出力するように動作する。これによっても、本発明の目的は達成することが可能となる。
コモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した概略図である。 SCVの制御の概要を示すブロック図である。 図2中の指令送出量演算部の概要を示すブロック図である。 指令送出量演算部における指令送出量の演算の過程を示すフローチャートである。 指令送出量演算部における指令送出量の演算の様子を示すフローチャートである(図4からの続き)。 本実施形態におけるエンジン回転数、コモンレール圧、指令送出量、および燃料送出量の様子を示すタイムチャートである。 従来技術におけるエンジン回転数、コモンレール圧、指令送出量、および燃料送出量の様子を示すタイムチャートである。 本発明の変形例による指令送出量演算部の概要を示すブロック図である。
符号の説明
1 コモンレール
2 電磁式燃料噴射弁(インジェクタ)
3 燃料供給ポンプ(サプライポンプ)
6 吸入調量弁(送出量制御弁、SCV)
7 プレッシャリミッタ
9 エンジン制御ユニット(ECU)
19 圧力センサ
100 目標コモンレール圧演算部
200 異常判定部(異常判定手段)
300 指令送出量演算部(指令送出量演算手段)
310 正常時指令送出量演算部(正常時指令送出量演算手段)
311 比例項P演算部(比例項演算手段)
312 積分項I演算部(積分項演算手段)
320 制御部
321 演算制限部(演算制限手段)
322 徐変部(徐変手段)
330 異常時指令送出量発生部(異常時指令送出量発生手段)
340 切替スイッチ
400 SCV駆動回路

Claims (8)

  1. (a)内燃機関により回転駆動されて、吸入した燃料を加圧し、送出する燃料供給ポンプ、
    (b)この燃料供給ポンプより送出される燃料の送出量を変更し、前記燃料供給ポンプより送出される実燃料圧力、あるいは前記内燃機関の気筒内に噴射供給される実燃料圧力を変更することが可能な送出量制御弁、
    (c)前記実燃料圧力と、前記内燃機関の運転状態または運転条件に応じて演算される目標燃料圧力との圧力偏差に基づき該実燃料圧力が該目標燃料圧力に略一致するように指令送出量を演算し、その指令送出量を前記送出量制御弁に出力して燃料の送出量を変更させる指令送出量演算手段、
    (d)および、前記内燃機関の運転状態の異常を判定すると、この異常判定情報を前記指令送出量演算手段に与える異常判定手段を有し、
    (e)前記指令送出量演算手段は、前記異常判定手段が異常を判定したときは、前記指令送出量として前記内燃機関の異常状態に応じた異常時指令送出量を発生し、かつ、前記異常が解除された直後は、前記指令送出量として、前記圧力偏差に基づき演算される前記指令送出量に向って徐々に増加するような徐変指令送出量を発生するものであって、
    前記異常判定手段が異常を判定していないときは、前記圧力偏差に基づき前記指令送出量を演算する正常時指令送出量演算手段、
    前記異常を判定したときは、前記異常時指令送出量を発生する異常時指令送出量発生手段、
    前記異常を判定したときは、前記正常時指令送出量演算手段の演算を制限させる演算制限手段、
    および、前記異常の判定が解除された直後の所定時間は、前記異常時に前記演算制限手段で制限された前記指令送出量から徐々に増加するような前記徐変指令送出量を演算するように前記正常時指令送出量演算手段を制御する徐変手段を有していることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  2. 前記演算制限手段は、前記正常時指令送出量演算手段の演算を制限し、前記正常時指令送出量演算手段は、燃料の送出量が実質的に零となるような前記指令送出量を発生することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置。
  3. 前記異常時指令送出量発生手段は、燃料の送出量が実質的に零となるような前記異常時指令送出量を発生することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関用燃料噴射装置。
  4. 前記正常時指令送出量演算手段は、前記圧力偏差と所定の比例ゲインとにより比例項を演算する比例項演算手段、および前記圧力偏差と所定の積分ゲインとにより積分項を演算する積分項演算手段を含んでおり、
    前記演算制限手段は、前記比例項演算手段、および前記積分項演算手段の演算を制限させ、
    前記徐変手段は、前記比例項演算手段、もしくは前記積分項演算手段のいずれか一方の演算手段の演算を実行させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関用燃料噴射装置。
  5. 前記徐変手段は、前記比例項演算手段のみの演算を実行させ、前記積分項演算手段の演算を制限させることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関用燃料噴射装置。
  6. 前記正常時指令送出量演算手段は、前記圧力偏差と所定の比例ゲインとにより比例項を演算する比例項演算手段、および前記圧力偏差と所定の積分ゲインとにより積分項を演算する積分項演算手段を含んでおり、
    前記演算制限手段は、前記比例項演算手段、および前記積分項演算手段の演算を制限させ、
    前記徐変手段は、前記比例項演算手段の前記比例ゲイン、または前記積分項演算手段の前記積分ゲインを変更するゲイン変更手段を有し、少なくとも前記比例ゲインおよび前記積分ゲインのうちいずれか一方のゲインを変更することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関用燃料噴射装置。
  7. 請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
    燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧すると共に、蓄圧された高圧燃料を前記内燃機関の各気筒に搭載された複数の燃料噴射弁に分配供給するためのコモンレールを備え、
    前記送出量制御弁は、前記燃料供給ポンプの加圧室内に吸入される燃料の吸入量を前記指令送出量に応じて変更する吸入調量弁であり、
    前記燃料供給ポンプは、前記吸入調量弁を経て前記加圧室内に吸入される燃料を加圧して、前記コモンレール内に圧送する吸入調量型の燃料供給ポンプであることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
  8. (a)内燃機関により回転駆動されて、吸入した燃料を加圧し、送出する燃料供給ポンプ、
    (b)この燃料供給ポンプより送出される燃料の送出量を変更し、前記燃料供給ポンプより送出される実燃料圧力、あるいは前記内燃機関の気筒内に噴射供給される実燃料圧力を変更することが可能な送出量制御弁、
    (c)前記実燃料圧力と、前記内燃機関の運転状態または運転条件に応じて演算される目標燃料圧力との圧力偏差に基づき該実燃料圧力が該目標燃料圧力に略一致するように指令送出量を演算し、その指令送出量を前記送出量制御弁に出力して燃料の送出量を変更させる指令送出量演算手段、
    (d)および、前記内燃機関の運転状態の異常を判定すると、この異常判定情報を前記指令送出量演算手段に与える異常判定手段を有し、
    (e)前記指令送出量演算手段は、前記異常判定手段が異常を判定したときは、前記目標燃料圧力を変化させることなく、前記指令送出量として前記内燃機関の異常状態に応じた前記実燃料圧力を低下させるような異常時指令送出量を発生し、かつ、前記異常が解除された直後は、前記指令送出量として、前記目標燃料圧力と前記実燃料圧力との圧力偏差に基づき演算される前記指令送出量に向って徐々に増加するような徐変指令送出量を発生することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
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