JP5545823B2 - 蓄圧式燃料噴射装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄圧式燃料噴射装置の制御装置に関するものである。特に、高圧の燃料が流通する領域からの燃料の流出量を学習可能に構成された蓄圧式燃料噴射装置の制御装置に関するものである。
従来、車両等の内燃機関の気筒内に燃料を噴射する装置として、燃料タンクから燃料を汲み上げて高圧ポンプに供給する低圧ポンプと、燃料を加圧して圧送する高圧ポンプと、高圧ポンプから供給される燃料を蓄積するコモンレールと、コモンレールに接続された複数の燃料噴射弁とを備えた蓄圧式燃料噴射装置がある。この蓄圧式燃料噴射装置においては、内燃機関の運転状態や運転者による操作量等に応じてコモンレールの圧力(以下、「レール圧」と称する。)を制御することによって噴射圧力が調節される。
レール圧の制御は、例えば、低圧ポンプと高圧ポンプとの間の燃料通路に設けられた流量制御弁によって燃料の流量を調節し、高圧ポンプからコモンレールに供給される燃料の流量を調節することによって行われる(以下、この制御を「供給量制御」と称する。)。また、レール圧を制御する別の方法として、コモンレールに接続された圧力制御弁によってコモンレールから排出される燃料の流量を調節する方法もある(以下、この制御を「排出量制御」と称する。)。
供給量制御あるいは排出量制御によるレール圧制御はいずれも、レール圧センサ等によって検出される実際のレール圧(以下「実レール圧」と称する。)が目標圧力となるように制御を行うフィードバック制御によるものである。排出量制御の場合には、コモンレールからの燃料の排出量が調節されるために制御応答性を得やすいが、供給量制御の場合には、流量制御弁の動きによる流量の変動がレール圧に反映されるまでに時間がかかるため制御応答性が低くなりやすい。そのため、供給量制御においては、内燃機関の運転状態や運転者による操作量等に基づいて基準流量を調節するフィードフォワード制御と、目標圧力と実レール圧との偏差に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実施する場合がある。
ここで、蓄圧式燃料噴射装置に備えられる燃料噴射弁において、噴射孔を開閉するニードル弁の位置は、コモンレールから供給される燃料の圧力を利用して制御されるように構成されている。具体的に、燃料噴射弁は、ニードル弁の後端側に圧力を作用させるための背圧室が形成され、この背圧室に燃料を導入することでニードル弁をバルブシート面にシートさせて噴射孔を閉じる一方、電磁ソレノイド等の背圧制御手段によって背圧室内の燃料の一部をリークさせることでニードル弁をバルブシート面からリフトさせて噴射孔を開くように構成されている。
この種の構成の燃料噴射弁において、背圧室からの燃料リーク(以下、この燃料リークを「動的リーク」と称する。)以外に、ニードル弁やバルブピストンの摺動部分の隙間を介して高圧の燃料が低圧側にリークする構造のものがある(以下、この燃料リークを「静的リーク」と称する。)。
また、蓄圧式燃料噴射装置に用いられる高圧ポンプは、低圧ポンプによって送られる燃料を加圧室内でプランジャによって加圧してコモンレールに対して圧送するように構成されている。この高圧ポンプにおいても、プランジャの摺動部分の間隙を介して、燃料が低圧側にリークする場合がある(以下、この燃料リークを「ポンプリーク」と称する。)。
燃料噴射弁や高圧ポンプの生産が大量生産によって行われる場合、各製品ごとに加工精度のバラツキが生じて、これらの燃料リーク特性に個体差が生じることは避けられない。また、蓄圧式燃料噴射装置の使用に伴う摺動摩耗等に起因して、これらの燃料リーク特性にバラツキが生じる場合もある。通常、レール圧制御のプログラムは、様々なバラツキ要素についてその中央値等を代表値として用いて構築されている。そのため、燃料噴射弁や高圧ポンプの燃料リーク特性のバラツキは、レール圧制御に大きく影響する。
このような燃料リーク特性等のバラツキを考慮して、対象システムごとの圧力特性を取得できるように構成された燃料噴射圧力制御装置が提案されている。具体的には、吸入調整弁の駆動電流量の可変制御を通じてレール圧力を目標値へフィードバック制御する燃料噴射圧力制御装置であって、レール圧の安定していることを示す所定の安定条件が成立している間に、「燃料消費量=燃料噴射弁による燃料噴射量+燃料リーク量」なる関係式に基づいて、その時の燃料リーク量を求めるプログラムを備えた燃料噴射圧力制御装置が開示されている(特許文献1参照)。
特開2008−215201号公報 (全文、全図)
しかしながら、上記特許文献1の燃料噴射圧力制御装置に備えられるプログラムは、燃料噴射が行われている状態において「燃料消費量=燃料噴射弁による燃料噴射量+燃料リーク量」なる関係式に基づいて燃料リーク量を求めるものである。通常、車両の走行状態において燃料噴射が行われている場合、要求トルクは常に変動するため、レール圧が安定した状態となることは稀であり、実際に燃料リーク量を求める制御が実行される頻度は極めて少ないものとなる。
また、レール圧が安定した状態が稀に現れるとしても、燃料噴射状態ではレール圧を自由に変更することができないため、燃料リーク量を求める頻度が少ない中で、大小さまざまな値のレール圧での燃料リーク量を学習するには相当の期間が必要になる。
一方、蓄圧式燃料噴射装置の燃料リークのうち、燃料噴射弁の静的リークやポンプリークは、製造時に生じる個体差や使用による経時劣化によって誤差を生じる可能性が高いだけでなく、誤差の程度にもバラツキが生じやすい。したがって、燃料噴射弁の静的リークやポンプリークはレール圧制御の精度に大きく影響するため、静的リーク及びポンプリークの合計量を正確に把握するだけでもレール圧制御の精度を高めることができる。
また、燃料リーク量は、レール圧制御だけでなく、コモンレールに接続された圧力制御弁の通電量と通過流量との関係を学習するための制御や、コモンレールに備えられた圧力制御弁の異常診断制御を実施する際にも用いられる。そのため、燃料噴射弁の静的リーク及びポンプリークの合計量を正確に把握することは、これらの制御の精度を高めることにもつながる。
本発明の発明者はこれらの点に着目し、蓄圧式燃料噴射装置の制御装置を、内燃機関の燃料無噴射状態において所定の制御を実施して燃料リーク量を学習できるように構成することにより上述した問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。すなわち、本発明は、燃料噴射弁の静的リーク及びポンプリークの合計量を、高い頻度で、しかも正確に把握することができ、燃料リーク量を利用する種々の制御の精度を高めることができる蓄圧式燃料噴射装置の制御装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、内燃機関の気筒内に供給する燃料を噴射可能な複数の燃料噴射弁と、複数の燃料噴射弁が接続されたコモンレールと、燃料を加圧するとともに加圧した燃料をコモンレールに圧送する高圧ポンプと、高圧ポンプの加圧室に導入する燃料の流量を調節することでコモンレールに供給する燃料の流量を調節可能な流量制御弁と、を備えた蓄圧式燃料噴射装置に用いられ、コモンレールの目標圧力と実際の圧力との偏差に基づく流量制御弁の制御によってコモンレールの圧力のフィードバック制御が可能な蓄圧式燃料噴射装置の制御装置において、内燃機関の運転中において燃料噴射量がゼロとなる燃料無噴射状態を検出する燃料無噴射状態検出手段と、燃料無噴射状態が検出されている間に目標圧力を所定の学習値に変化させる目標圧力変更手段と、目標圧力を学習値に変化させた後、目標圧力と実際の圧力との偏差が所定範囲内の状態であって実際の圧力が安定した状態における流量制御弁の制御パラメータに基づいて燃料リーク量を学習する燃料リーク量学習手段と、を備え、かつ、目標圧力変更手段は、燃料無噴射状態が継続する間に目標圧力を異なる複数の学習値に変化させ、燃料リーク量学習手段は、学習値それぞれに対応する燃料リーク量を学習することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置の制御装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
また、本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置を構成するにあたり、制御装置が、燃料噴射弁から噴射させる燃料の目標噴射量、目標噴射量の燃料噴射を実現するために生じる推定動的リーク量、及びコモンレールの圧力と基準静的リーク量との関係をもとに求められる目標圧力に応じた推定静的リーク量、に基づいて流量制御弁を通過させる燃料の基準流量を算出する基準流量演算手段と、目標圧力と実際の圧力との偏差に基づいて求められる制御パラメータを用いて基準流量を加減算し制御流量を算出する制御流量演算手段と、を備えるとともに、基準流量演算手段は、燃料リーク量学習手段によって学習された燃料リーク量に基づいて基準流量の補正を行うことが好ましい。
また、本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置を構成するにあたり、基準流量演算手段は、基準静的リーク量と学習された燃料リーク量との偏差を用いて基準流量の補正を行うことが好ましい。
また、本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置を構成するにあたり、基準流量演算手段は、目標圧力が所定の閾値以上変化したときに基準流量の補正を行うことが好ましい。
本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置は、燃料無噴射状態を利用して燃料リーク量の学習制御を実行するように構成されているため、燃料噴射量や燃料噴射弁の動的リーク量がゼロの状態を利用して、静的リーク及びポンプリークの合計量が正確に求められる。また、学習制御は、車両の走行状態で比較的高い頻度で発生する燃料無噴射状態で実行されるため、燃料リーク量の学習制御を高い頻度で実行することが可能になる。しかも、レール圧が車両の走行性に影響を与えることのない燃料無噴射状態で実行される学習制御であるため、燃料リーク量を学習するレール圧を自由に設定することができ、所望のレール圧での静的リーク及びポンプリークの合計量を学習することができる。したがって、比較的短い期間に大小さまざまな値のレール圧での静的リーク及びポンプリークの合計量を精度良く学習することができ、燃料リーク量を利用する種々の制御の精度を高めることができる。
また、本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置において、燃料無噴射状態が継続する間に、目標圧力変更手段が目標圧力を異なる複数の学習値に変化させ、燃料リーク量学習手段がそれぞれの学習値での燃料リーク量を学習するように構成することにより、1回の燃料無噴射状態中に複数のレール圧での燃料リーク量が学習され、大小さまざまな値のレール圧での学習を短期間に実行することができるようになる。
また、本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置において、基準流量演算手段が、燃料リーク量学習手段で学習される燃料リーク量を用いて基準流量を補正するように構成されることにより、コモンレールに供給する燃料の流量のフィードバック制御によってレール圧の制御を行う場合の制御応答性を向上させることができる。
また、本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置において、基準流量演算手段が、基準静的リーク量と学習された燃料リーク量との偏差を用いて基準流量の補正を実行することにより、静的リーク量のバラツキ及びポンプリーク量を考慮した基準流量が精度良く求められる。
また、本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置において、基準流量演算手段が、レール圧制御の目標圧力が所定の閾値以上変化したときに基準流量の補正を実行することにより、実レール圧と目標圧力との偏差が大きくなる状況でのみ補正が実行されるようになり、制御装置への負荷が軽減される。
本発明の実施の形態にかかる蓄圧式燃料噴射装置の全体構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態にかかる蓄圧式燃料噴射装置の制御装置の構成を説明するためのブロック図である。 目標流量演算手段で行われる制御流量の演算処理の方法を説明するための図である。 燃料リーク量の学習制御を説明するためのタイムチャート図である。 燃料リーク量の学習制御方法を説明するためのフローチャート図である。 供給量制御によるレール圧制御方法を説明するためのフローチャート図である。
以下、適宜図面を参照して、本発明の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置に関する実施の形態について具体的に説明する。ただし、以下の実施の形態は本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものは同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、本明細書において、「流量」の用語は、特別な記述が無い限り単位時間当たりに流通する量(mm3/単位時間)を意味するものとする。
1.蓄圧式燃料噴射装置
図1は、本発明の実施の形態にかかる制御装置70によって制御が行われる蓄圧式燃料噴射装置50の構成例を示す概要図を示している。この蓄圧式燃料噴射装置50は、車両に搭載された内燃機関(本実施形態ではディーゼルエンジン)40の気筒内に燃料を噴射するための装置であり、燃料タンク1と、低圧ポンプ2と、高圧ポンプ5と、コモンレール10と、燃料噴射弁13と、制御装置70等を備えている。
このうち、低圧ポンプ2と高圧ポンプ5は低圧燃料通路18で接続され、高圧ポンプ5とコモンレール10、及び、コモンレール10と燃料噴射弁13は、それぞれ高圧燃料通路37、39で接続されている。また、高圧ポンプ5や燃料噴射弁13には、リーク燃料を燃料タンク1に導くためのリターン配管30a・30bが接続されている。ただし、高圧ポンプ5や燃料噴射弁13に接続されたリターン配管30a・30bの一部あるいは全部が、流量制御弁8よりも上流側の低圧燃料通路18に接続された構成であってもよい。
低圧ポンプ2は、燃料タンク1内の燃料を吸い上げ、高圧ポンプ5に対して低圧の燃料を供給する。低圧ポンプ2としては、印加する電圧を制御可能な電動式ポンプや、エンジンの出力によって駆動される機械式ポンプが用いられる。
高圧ポンプ5は、低圧ポンプ2によって送られてくる低圧の燃料を加圧室5a内でプランジャ7によって加圧するとともに、加圧された高圧の燃料をコモンレール10に圧送する。この高圧ポンプ5は、エンジンの出力によって駆動されるように構成されている。
低圧ポンプ2と高圧ポンプ5との間の低圧燃料通路18には、高圧ポンプ5の加圧室5aに供給される燃料の流量を制御する流量制御弁8が備えられている。流量制御弁8は、例えば、供給される電流値の大きさによって弁体のストローク量が調節され、燃料が通過するポートの面積を可変とする電磁比例式制御弁が用いられる。この流量制御弁8は、供給量制御によるレール圧制御に用いられ、制御装置70によって通電制御が行われる。流量制御弁8によって加圧室5aに供給される燃料の流量を調節し、コモンレール10に供給される燃料の流量を調節することで、実レール圧が調節されるようになっている。レール圧制御の具体的な内容は後述する。
また、流量制御弁8よりも上流側には圧力調整弁14が接続されている。この圧力制御弁14は、燃料タンク1に通じるリターン配管30aに接続されている。本実施形態において、圧力調整弁14は、前後の差圧、すなわち、低圧燃料通路18内の圧力と、リターン側の圧力との差が所定値を超えた時に開弁されるオーバーフローバルブが用いられている。
また、低圧燃料通路18には、燃料温度の検出に用いられる燃料温度センサ15が備えられている。燃料温度センサ15のセンサ信号は制御装置70に送られて燃料温度の演算に用いられる。
コモンレール10は、高圧ポンプ5から圧送される高圧の燃料を一時的に蓄積し、複数の燃料噴射弁13に対して高圧の燃料を供給する。すなわち、レール圧が燃料の噴射圧力となる。このコモンレール10にはレール圧センサ21が取り付けられている。レール圧センサ21のセンサ信号は制御装置70に送られて実レール圧の演算に用いられる。
燃料噴射弁13は、噴射孔が設けられたノズルボディと噴射孔を閉塞するニードル弁とを備え、制御装置70による背圧制御部への通電制御によって、ニードル弁の後端側に作用する背圧が逃されることで噴射孔が開かれ、燃料がエンジンの気筒に噴射される。燃料噴射弁13は、例えば、背圧制御部としてソレノイドバルブが備えられた電磁制御型の燃料噴射弁や、背圧制御部としてピエゾ素子が備えられた電歪型の燃料噴射弁が用いられる。この燃料噴射弁13にはリターン配管30bが接続されており、ニードル弁の背圧制御によって生じる動的リークやニードル弁等の摺動部から漏れ出す静的リークは、リターン配管30bを介して燃料タンク1に戻される。
なお、本実施形態にかかる蓄圧式燃料噴射装置50の構成は、従来公知のものとなっている。
2.制御装置
図2は、本実施形態の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置70の構成のうち、レール圧制御、燃料噴射制御、及び燃料リーク量の学習制御に関連する部分を機能的なブロックで表したブロック図を示している。
この制御装置70は、公知の構成からなるマイクロコンピュータ(図示せず)を中心に構成されており、レール圧検出手段71と、目標燃料噴射量演算手段72と、燃料噴射弁制御手段73と、目標レール圧演算手段74と、目標流量演算手段75と、流量制御弁制御手段76と、燃料無噴射状態検出手段77と、目標圧力変更手段78と、圧力安定状態検出手段79と、燃料リーク量学習手段80を備えている。これらの各手段は、マイクロコンピュータによるプログラムの実行によって実現されるものである。
また、図示しないものの、制御装置70は、蓄圧式燃料噴射装置50に備えられた燃料温度センサ15、車両に備えられたアクセルセンサ、エンジンに備えられた回転数センサやクランク角センサ等から出力されるセンサ信号や、その他のエンジンの運転状態に関する情報を読み込んで、燃料温度Tfやアクセル操作量Acc、機関回転数Ne、クランク角θc等を検出可能になっている。さらに、制御装置70には図示しないRAM(Random Access Memory)等の記憶手段が備えられており、読み込まれる各種の情報や、各手段での演算結果が記憶される。
このうち、レール圧検出手段71は、レール圧センサ21のセンサ信号S1を読込み、実レール圧Pactを検出するように構成されている。また、目標燃料噴射量演算手段72は、機関回転数Ne及びアクセル操作量Accを読込み、マップ情報に基づいてエンジンの気筒に噴射する目標燃料噴射量Qtgtを求めることができるように構成されている。
燃料噴射弁制御手段73は、レール圧検出手段71で検出された実レール圧Pactと目標燃料噴射量演算手段72で求められた目標燃料噴射量Qtgtとを読込み、マップ情報に基づいて燃料噴射弁13の通電量及び通電時間を求め、クランク角θcに応じた噴射タイミングに合わせて燃料噴射弁13の通電制御を実行するように構成されている。
目標レール圧演算手段74は、機関回転数Neやアクセル操作量Accを読込み、マップ情報に基づいて目標レール圧Ptgtを求めることができるように構成されている。
目標流量演算手段75は、目標レール圧Ptgtと実レール圧Pactとを読込み、実レール圧Pactが目標レール圧Ptgtとなるようにフィードバック制御を実行するように構成されている。本実施形態の制御装置70において、目標流量演算手段75は、流量制御弁8を通過させる燃料の基準流量Fpre-contを求める基準流量演算手段75Aと、目標レール圧Ptgtと実レール圧Pactとの差分ΔPに基づいて基準流量Fpre-contを加減算し流量制御弁8を通過させる燃料の制御流量Fcurrentを算出する制御流量演算手段75Bとを備えている。
基準流量演算手段75Aは、エンジンの運転状態や運転者の走行要求に関する情報をもとに、コモンレール10に連通する高圧領域から流出する燃料の流量を推定し、その流量に相当する流量の燃料がコモンレール10に補填されるように、流量制御弁8の通過流量をあらかじめ調節する機能を有している。本実施形態の蓄圧式燃料噴射装置50の構成の場合、コモンレール10に連通する高圧領域から流出する燃料は、燃料噴射弁13から噴射される燃料、燃料噴射弁13の動的リーク及び静的リークからなる。
そのため、本実施形態において、基準流量演算手段75Aは、機関回転数Ne及び目標燃料噴射量Qtgt(mm3)を読込み、マップ情報に基づいて燃料噴射流量Finj(mm3/sec)及び動的リーク流量Fdynamicleak(mm3/sec)を求める。また、基準流量演算手段75Aは、燃料温度Tf及び目標レール圧Ptgtを読込み、これらの情報と基準静的リーク流量FMstaticleak(mm3/sec)との関係を示すマップ情報に基づいて推定静的リーク流量Fstaticleak(mm3/sec)を求める。
さらに、流量制御弁8の通過流量とコモンレール10に供給される燃料の流量との間には、高圧ポンプ5の加圧室5aからプランジャ7の摺動部分を介してリークするポンプリーク流量Fpumpleakの分の差が生じる。そのため、本実施形態の制御装置70では、算出される燃料噴射流量Finj、動的リーク流量Fdynamicleak及び推定静的リーク流量Fstaticleakを加算するとともに、後述する燃料リーク量学習手段80で学習される燃料リーク流量Fleak(静的リーク及びポンプリークの合計流量)を用いて補正を行い、基準流量Fpre-contを求めるように構成されている。具体的には、学習される燃料リーク流量Fleakと推定静的リーク流量Fstaticleakとの差分ΔFleakを加減算することで基準流量Fpre-contの補正が行われる。
制御流量演算手段75Bは、基準流量演算手段75Aで求められた基準流量Fpre-contに対して、目標レール圧Ptgtと現在の実レール圧Pactとの差分ΔPを解消する分に相当する燃料の流量を加減算して、実際に流量制御弁8の制御を行う際の目標値となる制御流量Fcurrentを求めるように構成されている。すなわち、制御流量演算手段75Bは、差分ΔPに基づいて流量制御弁8を通過する燃料の流量をフィードバック制御する機能を有しており、フィードバック制御はPID制御によって実行されるように構成されている。
ここで、目標流量演算手段75によって行われる演算処理の基本的な演算ロジックを図3に基づいてさらに詳細に説明する。この演算ロジックは一定のサイクルごとに繰り返し実行されるものとなっている。
この演算ロジックにおいては、まず、機関回転数Ne及び目標燃料噴射量Qtgt(mm3)に基づいて燃料噴射流量Finj(mm3/sec)と燃料噴射弁13に生じる動的リーク流量Fdynamicleak(mm3/sec)とを求めるとともに、燃料温度Tf及び目標レール圧Ptgtに基づいて燃料噴射弁13からの推定静的リーク流量Fstaticleak(mm3/sec)を求める。
そして、これらの燃料噴射流量Finj、動的リーク流量Fdynamicleak及び推定静的リーク流量Fstaticleakを加算するとともに、さらに、学習される燃料リーク流量Fleak(静的リークとポンプリークとの合計流量)と推定静的リーク流量Fstaticleakとの差分ΔFleakを加減算して、基準流量Fpre-contを求める。
さらに、目標レール圧Ptgtと現在の実レール圧Pactとの偏差ΔPを求めるとともに、この偏差ΔPを解消する分の燃料の流量FpidをPID制御によって求め、このPID制御の出力結果である流量Fpidを基準流量Fpre-contに対して加減算することで、制御流量Fcurrentを求める。
目標レール圧Ptgtがある値に設定される場合、基準流量Fpre-contはフィードフォワード制御によって一定の値に維持される一方、制御流量Fcurrentは、フィードバック制御によって、実レール圧Pactが目標レール圧Ptgtに近付くにつれて次第に安定するようになる。
図2に戻り、流量制御弁制御手段76は、目標流量演算手段75で求められた制御流量Fcurrentに基づいて通電量Ameunを求めて、流量制御弁8の通電制御を実行するように構成されている。
ここまでに説明した各手段は、エンジンの運転状態における燃料噴射弁13の制御や流量制御弁8の制御を実行するために用いられる手段である。一方、燃料無噴射状態検出手段77、目標圧力変更手段78、圧力安定状態検出手段79、及び燃料リーク量学習手段80は、主として、燃料リーク流量Fleak(静的リーク及びポンプリークの合計流量)の学習制御を実行するために用いられるものとなっている。
燃料無噴射状態検出手段77は、目標燃料噴射量演算手段72で算出される目標燃料噴射量Qtgtを読込み、エンジンの燃料無噴射状態を検出する。燃料無噴射状態は、主としてアクセルの踏込みが解除された場合に発生する。
目標圧力変更手段78は、燃料無噴射状態が検出されたときに、実レール圧Pactが燃料リーク流量Fleakを学習するレール圧(以下、このレール圧を「学習レール圧」と称する。)Pstudyとなるように、目標レール圧Ptgtを学習レール圧Pstudyに変更するよう目標レール圧演算手段74に指示を送るように構成されている。この目標圧力変更手段78による目標レール圧Ptgtの変更は、流量制御弁8の通過流量を変化させるために実行される。
設定される学習レール圧Pstudyの値は、車両の走行状態で実際に制御され得るレール圧の値のうち、変更前に設定されている目標レール圧Ptgtとは異なる値が選択され、所定の順序で、あるいは、ランダムに繰り返し設定される。また、目標レール圧Ptgtは、燃料無噴射状態が継続する間、所定の時間ごと、あるいは、燃料リーク流量Fleakの学習が完了するごとに、複数回変更される。本実施形態の制御装置70において、目標圧力変更手段78は、燃料無噴射状態が継続する間、段階的に目標レール圧Ptgtを上昇又は下降させて変更し続けるように構成されている。
圧力安定状態検出手段79は、目標圧力変更手段78によって目標レール圧Ptgtが変更された後、実レール圧Pactと目標レール圧Pactとの偏差ΔPが所定範囲内の値となり、かつ、PID制御の出力結果が安定していることを検出することによって、実レール圧Pactの安定状態を検出するように構成されている。実レール圧Pactの安定状態を検出することで、ある学習レール圧Pstudyでの燃料リーク流量Fleakを正確に学習することができるようになる。実レール圧Pactの安定状態を計るための範囲内の閾値ΔP0は補正結果の精度と、学習制御に要する時間とのバランスを考慮して適宜設定することができる。一例として、偏差ΔPの閾値ΔP0を0.5MPaとすることができる。
ただし、目標レール圧Ptgtを変更してから、実レール圧Pactと目標レール圧Ptgtとの偏差ΔPが所定範囲内となって実レール圧Pactが安定するまでの時間をあらかじめ想定できるのであれば、圧力安定状態検出手段79は省略されていてもよい。この場合には、燃料リーク量Fleakを学習するタイミングがあらかじめ設定される。
燃料リーク量学習手段80は、圧力安定状態検出手段79によって実レール圧Pactの安定状態が検出されると、目標流量演算手段75の制御流量演算手段75Bによって実行されているPID制御のI項(積分項)を読込み、その値を、設定されている学習レール圧Pstudyでの燃料リーク流量(静的リークとポンプリークの合計流量)Fleakと推定静的リーク流量Fstaticleakとの差分ΔFleakとして学習するようになっている。本実施形態において、燃料リーク量学習手段80は、同時に学習時の燃料温度Tfを読込み、所定の燃料温度Tf、かつ、所定の学習レール圧Pstudyにおけるリーク流量の差分ΔFleakを学習するようになっている。
また、本実施形態において、燃料リーク量学習手段80は、実レール圧Pactの安定状態にある間に、PID制御のI項を複数回読込み、読み込まれた値の平均を差分ΔFleakとして学習するように構成されている。流量制御弁8を通過する燃料の流量のPID制御におけるI項がリーク流量の差分ΔFleakとして学習できる点について、以下、図4を参照しながら説明する。
図4は、燃料無噴射状態で目標レール圧Ptgtを段階的に変化させた場合における、目標レール圧Ptgt、実レール圧Pact、制御装置70にあらかじめ記憶されている基準静的リーク流量FMstaticleak、流量制御弁8の制御流量Fcurrent、PID制御のP項Fmeun-p、PID制御のI項Fmeun-iの推移を示している。
燃料無噴射状態においては、燃料噴射流量Finj及び動的リーク流量Fdynamicleakがゼロであることから、流量制御弁8を通過した燃料のうち、コモンレール10に保持されずに低圧側に流出する燃料は、ポンプリーク及び燃料噴射弁13の静的リークによるものだけである。そのため、燃料無噴射状態においては、流量制御弁8の制御流量Fcurrentは燃料リーク流量(ポンプリークと静的リークの合計流量)Fleakと一致する。また、目標レール圧Ptgtと実レール圧Pactとの差分ΔPがゼロに近い状態においてはP項Fmeun-pがほぼゼロになることから、I項Fmeun-iが、制御流量Fcurrentと記憶された基準静的リーク流量FMstaticleakとの差分ΔFleakを表すことになる。
図4中、点線で示される四角で囲まれた期間において実レール圧Pactが安定した状態にある。燃料リーク量学習手段80は、この期間内にPID制御のI項Fmeun-iを読込み、その値を各学習レール圧Pstudy1〜Pstudy5における差分ΔFleak1〜ΔFleak5として学習する。この図4の例では、ある学習レール圧Pstudyでの燃料リーク流量Fleak及び差分ΔFleakの学習が3〜5秒程度で実施され、約30秒の間に目標レール圧Ptgtが6回変更されており、一回の燃料無噴射状態中に、複数の学習レール圧Pstudyでの学習が可能であることが理解される。
このようにして学習される燃料リーク流量Fleakと基準静的リーク流量FMstaticleakとの差分ΔFleakを、基準流量演算手段75Aにおける基準流量Fpre-contの補正値として用いることによって、目標レール圧Ptgtを変化させた直後から、コモンレール10に補填される燃料の流量が精度良く調節される。その結果、目標レール圧Ptgtと実レール圧Pactとの差分ΔPに基づくフィードバック制御によって、実レール圧Pactを目標レール圧Ptgtに近似させる時間を短くできる。また、コモンレール10に補填される燃料の流量が精度良く調節されることで、目標レール圧Ptgtが変化した場合であっても、実レール圧Pactと目標レール圧Ptgtとの差分ΔPが著しく大きくなることがなくなり、オーバーシュートやアンダーシュートが低減され、レール圧制御を精度よく実施することができるようになる。
3.制御フロー
次に、本実施形態の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置70によって実施される燃料リーク量(静的リーク及びポンプリークの合計量)の学習制御及び流量制御弁によるレール圧制御について、図5及び図6のフローチャート図に基づいて詳細に説明する。
(1)燃料リーク量の学習制御方法
まず、図5のフローチャートに基づいて、燃料リーク量の学習制御について説明する。なお、この学習制御は、エンジンの運転中において常時実行されてもよく、あるいは、所定の期間ごとに割り込んで実行されてもよい。
スタート後のステップS1において、エンジンが燃料無噴射状態となっているか否かが判別される。燃料無噴射状態となっていなければステップS14に進み、学習完了フラグが立てられているか否かが判別される。学習完了フラグが立てられている場合にはそのまま本ルーチンを終了してスタートに戻る一方、学習完了フラグが立てられていない場合には、ステップS15で学習完了フラグを立てた後に本ルーチンを終了してスタートに戻る。
一方、ステップS1で燃料無噴射状態となっている場合には、ステップS2に進み、学習完了フラグが立てられているか否かが判別される。学習完了フラグが立てられている場合には、ステップS3で学習完了フラグをリセットした後、ステップS4で、燃料リーク流量Fleakを学習する学習レール圧Pstudyを選択し、ステップS5で、目標レール圧Ptgtを学習レール圧Pstudyに設定して、ステップS6に進む。一方、ステップS2で学習完了フラグが立てられていない場合には、そのままステップS6に進む。
ステップS6では、実レール圧Pactを検出するとともに、実レール圧Pactと目標レール圧Ptgtとの差分ΔPが所定範囲内となっているか否かが判別される。差分ΔPが所定範囲内となっていない場合にはそのまま本ルーチンを終了してスタートに戻る一方、差分ΔPが所定範囲内となっている場合には、ステップS7に進み、流量制御手段75で実行されているPID制御の出力結果であるリーク量の差分ΔFleakが安定した状態であるか否かが判別される。
リーク量の差分Fleakが安定した状態になければそのまま本ルーチンを終了してスタートに戻る一方、リーク量の差分ΔFleakが安定した状態である場合には、ステップS8に進み、実際に流量制御弁8に通電されている電流値Acurrentが、流量制御弁制御手段76で演算された通電量Ameunと近似しているか否かが判別される。
通電されている電流値Acurrentが演算された通電量Ameunと近似していない場合にはそのまま本ルーチンを終了してスタートに戻る一方、電流値Acurrentが演算された通電量Ameunと近似している場合にはステップS9に進む。ステップS6〜ステップS8までのステップは、実レール圧Pactが安定状態となっているか否かを判別するためのステップである。
ステップS6〜ステップS8までのステップですべてYESと判定されて進んだステップS9では、燃料温度Tf及び流量制御手段75のPID制御で算出されているI項を読み込む。このときのI項はリーク量の差分ΔFleakと一致している。次いで、ステップS10でカウンタを1進めた後、ステップS11でカウンタ値が所定の閾値N0に到達したか否かが判別される。
カウンタ値が閾値N0に到達していなければ本ルーチンを終了してスタートに戻る一方、カウンタ値が閾値N0に到達している場合には、ステップS12に進み、読み込まれたN0個のI項(ΔFleak)の値の平均値を算出して、今回設定した学習レール圧Pstudy、かつ、検出された燃料温度Tfでの燃料リーク流量の差分ΔFleak(Pstudy,Tf)として記憶されている情報を更新する。その後、ステップS13において、カウンタをリセットするとともに、学習完了フラグを立てて本ルーチンを終了し、スタートに戻る。
燃料無噴射状態が検出されるごとに、一回の燃料無噴射状態中に学習レール圧Pstudyを複数回変えながら、大小さまざまなレール圧での燃料リーク流量Fleakあるいはリーク流量の差分ΔFleakを学習することにより、短期間でそれぞれのレール圧での燃料リーク流量Fleakあるいはリーク流量の差分ΔFleakを学習することができる。
また、本実施形態においては、燃料温度Tfごとに学習レール圧Pstudyと燃料リーク流量Fleakあるいはリーク流量の差分ΔFleakを学習するようになっているため、燃料温度Tfの違いに起因する粘度のバラツキによる流量のバラツキも含めて学習される。したがって、大小さまざまなレール圧における燃料リーク流量Fleakあるいはリーク流量の差分ΔFleakを、常に正確に把握しておくことができるようになる。
(2)供給量制御によるレール圧制御方法
次に、図6のフローチャートに基づいて、流量制御弁8によるレール圧制御について説明する。なお、この学習制御は、エンジンの運転中において、所定のサイクルおきに常時実行されるようになっている。
スタート後のステップS21で、機関回転数Ne、アクセル操作量Acc、燃料温度Tf、実レール圧Pactを検出する。次いで、ステップS22で、機関回転数Ne及びアクセル操作量Accに基づいて目標燃料噴射量Qtgtを算出する。次いで、ステップS23では、目標燃料噴射量Qtgt及びアクセル操作量Accに基づいて目標レール圧Ptgtを算出する。
次いで、ステップS24で、機関回転数Ne及び目標燃料噴射量Qtgtに基づいて、燃料噴射流量Finj及び動的リーク流量Fdynamicleakを算出するとともに、ステップS25で、燃料温度Tf及び目標レール圧Ptgtに基づいて推定静的リーク流量Fstaticleakを算出する。さらに、ステップS26で、目標レール圧Ptgtに対応する燃料リーク流量の差分ΔFleakを読み込んだ後、ステップS27で、燃料噴射流量Finj、動的リーク流量Fdynamicleak、推定静的リークFstaticleak、及び燃料リーク流量の差分ΔFleakを加算して、基準流量ΔFpre-contを算出する。
次いで、ステップS28で、目標レール圧Ptgtと実レール圧Pactとの差分ΔPを算出した後、ステップS29で、差分ΔPに基づくPID制御によって流量のフィードバック制御値(差分ΔPを解消する分の燃料の流量)ΔFpidを算出する。ステップS30では、ステップS29で求めた制御値ΔFpidを、ステップS27で求めた基準流量Fpre-contに対して加減算し、流量制御弁8の通過流量の目標値である制御流量Fcurrentを算出する。
次いで、ステップS31で、制御流量Fcurrentに基づいて、流量制御弁8への通電量Ameunを算出し、ステップS32で、流量制御弁8に通電を行うアクチュエータに対して通電指示を行った後、本ルーチンを終了してスタートに戻る。
この制御フローが繰り返されることによって、目標レール圧Ptgtが変化した後、実レール圧Pactが次第に目標レール圧Ptgtへと近づけられるが、本実施形態の制御装置70では、実際に発生している静的リーク及びポンプリークを考慮して基準流量Fpre-contの補正が行われているために、目標レール圧Ptgtが変化した場合であっても、目標レール圧Ptgtと実レール圧Pactとの差分ΔPが著しく大きくなることが避けられる。
したがって、オーバーシュートやアンダーシュートが発生するおそれが低減されるとともに、フィードバック制御によって、短時間のうちに実レール圧Pactを目標レール圧Ptgtに近づけることができるようになる。
また、流量制御弁8の通過流量を求める際の基準流量Fpre-contの補正が精度よく実施されるようになれば、流量制御弁8のフィードフォワード制御のみが実施される場合であっても、レール圧制御の精度の向上が図られるようになる。
4.応用例
目標レール圧Ptgtと実レール圧Pactとの差分ΔPに基づくフィードバック制御が実施される場合には、目標レール圧Ptgtが変化させられたときにその差分ΔPが大きくなる。また、その目標レール圧Ptgtの変化量が大きいほど、生じる差分ΔPがより大きくなりやすい。そのため、上述した燃料リーク流量Fleakの学習制御によって得られた差分ΔFleakを用いた基準流量Fpre-contの補正を、目標レール圧Ptgtが所定の閾値以上変化したときにのみ実施するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態で説明した蓄圧式燃料噴射装置50において、コモンレール10には、レール圧が所定の開弁圧を超えたときにコモンレール10内の燃料の一部を排出するチェック弁や、通電量の制御によってコモンレール10から排出する燃料の流量を調節することでレール圧を調節する圧力制御弁が備えられていてもよい。チェック弁が備えられている場合であっても、燃料リーク量の学習制御や、供給量制御によるレール圧制御に関しては、すでに説明した内容と同様に実施することができる。また、圧力制御弁が備えられている場合には、燃料リーク量の学習制御や、供給量制御によるレール圧制御を実施する場合において、圧力制御弁を閉じた状態で維持する以外は、すでに説明した内容と同様に実施することができる。
さらに、本実施形態においては、燃料リーク量学習手段80で学習した燃料リーク流量Fleak又は差分ΔFleakを用いて、供給量制御における基準流量Fpre-contの補正を行っているが、燃料リーク流量Fleak又は差分ΔFleakを用いて補正を行う対象はこれに限られず、高圧の燃料が流通する領域からの燃料のリークを考慮して実施される他の制御や診断にも適用することができる。
例えば、あるレール圧下で、コモンレール10に接続された電磁制御式の圧力制御弁に対して所定の値の通電が行われるときの圧力制御弁の通過流量は、「流量制御弁8の通過流量=ポンプリーク流量Fpumpleak+燃料噴射流量Finj+動的リーク流量Fdynamicleak+静的リーク流量Fstaticleak」の関係式から求めることができる。そのため、学習される燃料リーク流量Fleak又は差分ΔFleakを用いて補正を行いながら圧力制御弁の通過流量の学習制御を行うことにより、学習精度を向上させることができる。その結果、排出量制御によるレール圧制御を実施する際にも、レール圧を精度よく制御することができるようになる。
また、別の例としては、学習された燃料リーク量Fleakや差分ΔFleakを流量制御弁8や圧力制御弁の操作量の制御に反映させるのではなく、高圧ポンプ5の吐出効率に反映させてもよい。すなわち、燃料リーク量Fleakや差分ΔFleakに基づいて高圧ポンプ5の吐出効率を演算することによっても、コモンレール10に供給される燃料の流量が精度よく求められ、レール圧を精度よく制御することができるようになる。
さらに別の例としては、流量制御弁8や圧力制御弁への通電量、燃料噴射量、高圧ポンプ5の吐出量等が所定値になっているときのレール圧センサ21の検出値に基づいてレール圧センサ21の異常診断を実施する場合においても、燃料リーク量Fleak又は差分ΔFleakを用いて補正を行うことで、レール圧センサ21の異常診断結果の精度を向上させることができる。
なお、補正の方法については、補正値を加減算する方法に限定されるものではなく、補正係数を乗算又は除算する方法であってもよい。
1:燃料タンク、2:低圧ポンプ、5:高圧ポンプ、5a:加圧室、7:プランジャ、8:流量制御弁、10:コモンレール、12:圧力制御弁、13:燃料噴射弁、14:圧力調整弁、15:燃料温度センサ、18:低圧燃料通路、21:レール圧センサ、30a・30b:リターン配管、37・39:高圧燃料通路、50:蓄圧式燃料噴射装置、70:制御装置、71:レール圧検出手段、72:目標燃料噴射量演算手段、73:燃料噴射弁制御手段、74:目標レール圧演算手段、75:目標流量演算手段、75A:基準流量演算手段、75B:制御流量演算手段、76:流量制御弁制御手段、77:燃料無噴射状態検出手段、78:目標圧力変更手段、79:圧力安定状態検出手段、80:燃料リーク量学習手段

Claims (4)

  1. 内燃機関の気筒内に供給する燃料を噴射可能な複数の燃料噴射弁と、前記複数の燃料噴射弁が接続されたコモンレールと、燃料を加圧するとともに加圧した前記燃料を前記コモンレールに圧送する高圧ポンプと、前記高圧ポンプの加圧室に導入する前記燃料の流量を調節することで前記コモンレールに供給する前記燃料の流量を調節可能な流量制御弁と、を備えた蓄圧式燃料噴射装置に用いられ、前記コモンレールの目標圧力と実際の圧力との偏差に基づく前記流量制御弁の制御によって前記コモンレールの圧力のフィードバック制御が可能な蓄圧式燃料噴射装置の制御装置において、
    前記内燃機関の運転中において燃料噴射量がゼロとなる燃料無噴射状態を検出する燃料無噴射状態検出手段と、
    前記燃料無噴射状態が検出されている間に前記目標圧力を所定の学習値に変化させる目標圧力変更手段と、
    前記目標圧力を前記学習値に変化させた後、前記目標圧力と前記実際の圧力との偏差が所定範囲内の状態であって前記実際の圧力が安定した状態における前記流量制御弁の制御パラメータに基づいて燃料リーク量を学習する燃料リーク量学習手段と、
    を備え、かつ、
    前記目標圧力変更手段は、前記燃料無噴射状態が継続する間に前記目標圧力を異なる複数の前記学習値に変化させ、前記燃料リーク量学習手段は、前記学習値それぞれに対応する前記燃料リーク量を学習することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置の制御装置。
  2. 前記制御装置が、
    前記燃料噴射弁から噴射させる前記燃料の目標噴射量、前記目標噴射量の燃料噴射を実現するために生じる推定動的リーク量、及び前記コモンレールの圧力と基準静的リーク量との関係をもとに求められる前記目標圧力に応じた推定静的リーク量、に基づいて前記流量制御弁を通過させる前記燃料の基準流量を算出する基準流量演算手段と、
    前記目標圧力と前記実際の圧力との偏差に基づいて求められる制御パラメータを用いて前記基準流量を加減算し制御流量を算出する制御流量演算手段と、を備えるとともに、
    前記基準流量演算手段は、前記燃料リーク量学習手段によって学習された前記燃料リーク量に基づいて前記基準流量の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置。
  3. 前記基準流量演算手段は、前記基準静的リーク量と学習された前記燃料リーク量との偏差を用いて前記基準流量の補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置。
  4. 前記基準流量演算手段は、前記目標圧力が所定の閾値以上変化したときに前記基準流量の補正を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の蓄圧式燃料噴射装置の制御装置。
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