JP5042119B2 - 水冷式内燃機関の冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水冷式内燃機関の冷却装置に関するものである。
従来は、水冷式内燃機関の冷却装置において、冷却水系に冷却水を補充するためにラジエータキャップが着脱自在に設けられ、該ラジエータキャップに冷却水系内の内圧を調整するために加圧弁と負圧弁よりなる調圧弁が設けられ、さらに該ラジエータキャップにリザーブタンクが接続されていた(たとえば、特許文献1参照)。
この水冷式内燃機関の冷却装置では、前記冷却水系内の冷却水圧力が設定値以上に高くなると、ラジエータキャップの加圧弁が開放され、前記冷却水系内の冷却水がリザーブタンクに放出されて、冷却水系内の冷却水圧力が減少し、冷却水圧力は設定値以上に上昇しないようになっている。
また冷却水系の冷却水温度が低下し、冷却水系内の冷却水圧力が設定値以下に低下すると、ラジエータキャップの負圧弁が開放され、リザーブタンク内の冷却水が冷却水系に還流し、冷却水系内の冷却水圧力が設定値以下に低下しないようになっている。
特開平8−100654号公報
水冷式内燃機関では、通常運転の後、長時間アイドリング状態で車両が停止していると、走行風が無くなってラジエータの冷却能力が低下するため、冷却水温度が上昇して、冷却装置内の冷却水圧力が上昇する。特許文献1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置では、当該冷却水圧力が設定値以上になると、ラジエータキャップの高圧弁が開放され、前記冷却水系内の冷却水がリザーブタンクに放出される。
その後車両が走行を開始すると、ラジエータが走行風により充分に冷却されて冷却水温度が低下し、冷却装置内の冷却水圧力が設定値以下に低下すると、ラジエータキャップの低圧弁が開放され、リザーブタンク内より冷却水が冷却装置内に還流するようになっている。
しかし、ラジエータキャップはラジエータの上流側に配設されているので、たとえ冷却水系内の冷却水量が減少していても、ラジエータの上流側の冷却水は冷却水ポンプにより加圧されているため、冷却装置内の全体における冷却水の圧力よりも、ラジエータキャップ近傍における冷却水の圧力は高いので、車両の走行中では、冷却水が冷却装置内に戻りにくかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであって、車両が走行中であっても冷却水を冷却装置内に速やかに戻し、冷却装置の冷却性能を向上させる水冷式内燃機関の冷却装置を提供しようとするものである。
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、
冷却水を吐出する冷却水ポンプ(10)と、前記冷却水により内燃機関(2)を冷却する内燃機関冷却部と、前記冷却水を冷却するラジエータ(30)と、これらを冷却水流通のために互いに連通する複数の冷却水流通経路とで内燃機関(2)の冷却水循環経路(50)が形成されるとともに、
前記冷却水循環経路(50)には前記冷却水の圧力が設定圧力となったときに前記冷却水を供給または排出する調圧弁(21)が介装され、
前記調圧弁(21)は冷却水給排水通路(23)を介し前記冷却水を貯蔵するリザーブタンク(24)に接続されている水冷式内燃機関(2)の冷却装置において、
前記冷却水給排水通路(23)とは別に、前記リザーブタンク(24)から前記冷却水循環経路(50)に冷却水を還流する冷却水還流通路(51)が設けられ、
前記冷却水還流通路(51)はリザーブタンク(24)から前記冷却水循環経路(50)へのみ冷却水を流通させる逆止弁(26)を介して前記冷却水循環経路(50)に接続され、
前記冷却水還流通路(51)は、冷却水循環経路(50)の流路断面積最大値より小さい流路断面積の冷却水循環経路(50)の部分(16)に接続され、
前記冷却水循環経路(50)は、通常運転時における冷却水が冷却水ポンプ(10)から吐出された後、内燃機関(E)の冷却部(5)、サーモスタット(18)、調圧弁(21)、ラジエータ(30)の順で通過して前記冷却水ポンプ(10)に還流する主経路と、
冷却水が冷却水ポンプ(10)から吐出された後分岐し、潤滑油冷却部(15)を通過して内燃機関(E)の冷却部下流の主経路(17)に接続される潤滑油冷却経路(14,16,13)とを有し、
前記冷却水還流通路(51)は前記潤滑油冷却部(15)通過後の潤滑油冷却経路(14,16,13)に接続されていることを特徴とする水冷式内燃機関の冷却装置に関するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置において、
潤滑油冷却部(15)からの潤滑油冷却水流出経路(16)と主経路(13)との接続部は3分岐ジョイント(38)で構成され、
前記逆止弁(26)は、3分岐ジョイント(38)の潤滑油冷却水流出経路(16)側に固定されることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置において、
前記逆止弁(26)は、前記リザーブタンク(24)内の冷却水液面位置より下方でかつ前記冷却水循環経路(50)と前記冷却水還流通路(51)の接続位置よりも下方に取付けられたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項2に記載の水冷式内燃機関の冷却装置において、
前記冷却水還流通路(51)の前記リザーブタンク(24)への接続位置が前記逆止弁(26)の位置より上方に配置されることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置において、
前記逆止弁(26)が前記冷却水ポンプ(10)のカバーに固定されることを特徴とするである。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置において、
前記逆止弁(26)が前記リザーブタンク(24)に固定されることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1、請求項4、又は請求項6のいずれかに記載の水冷式内燃機関の冷却装置において、
前記冷却水還流通路(51)の前記逆止弁(26)より前記リザーブタンク(24)側の通路(25)は柔軟性のある材料で作られることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、冷却装置内の冷却水圧力が調圧弁の設定圧力を超えて、リザーブタンクに排出された後、通常走行を行い、冷却水圧力が低下し、冷却装置内の冷却水量が減った場合には、冷却水還流通路中の逆止弁が開放されて、リザーブタンク内の冷却水が冷却装置内に速やかに戻される。
請求項2に記載の発明によれば、流路断面積が小さい部分では圧力が低減されるため、この部分に冷却水還流通路を接続することによって、リザーブタンクからの冷却水を冷却水循環経路に効率よく還流することができる。
請求項3に記載の発明によれば、冷却水還流通路は、冷却水系内の圧力が最も低い前記潤滑油冷却部通過後の潤滑油冷却経路に接続されているので、その圧力差により、冷却水は前記リザーブタンク内から冷却水循環経路内により速やかに戻され、冷却装置の冷却性能がさらに向上する。
請求項4に記載の発明によれば、逆止弁固定のために、部品点数を増加させる必要が無い。
請求項5に記載の発明によれば、前記逆止弁は、前記リザーブタンク内の冷却水液面位置より下方でかつ前記冷却水循環経路と前記冷却水還流通路とを接続した位置よりも下方に取付けられているので、前記冷却水循環経路に冷却水を充填する際に、前記逆止弁と、前記冷却水循環経路と前記冷却水還流通路を接続した位置との間のエア抜きを容易に行うことが可能となり、冷却水循環経路内に冷却水を容易に充填することができる。
請求項6に記載の発明によれば、リザーブタンク内の冷却水の位置エネルギーを利用して、冷却水循環経路内に冷却水を戻すことができるので、冷却性能が向上する。
請求項7に記載の発明によれば、逆止弁固定のために部品点数を増加させる必要が無い。
請求項8に記載の発明によれば、逆止弁固定のために部品点数を増加させる必要が無い。
請求項9に記載の発明によれば、前記冷却水還流通路の前記逆止弁よりリザーブタンク側の通路は柔軟性のある材料で作られているので、冷却水を前記冷却水循環経路に充填する際に該通路をクリップ等で止めて閉塞することが可能となり、リザーブタンク内から前記冷却水循環経路内に空気が流入することを防止でき、冷却装置内に冷却水を容易に充填することができる。
図1乃至図6は本発明の第1実施形態に関する図である。図1は本発明の第1実施形態に係る冷却装置を備えた水冷式内燃機関を搭載した自動二輪車1の側面図である。図2は上記内燃機関2の要部斜視図である。
図1において、自動二輪車1の車体略中央部に、4ストロークサイクル火花点火式多気筒直列型の水冷式内燃機関2が搭載されている。図2において、該水冷式内燃機関2のシリンダブロック3およびシリンダヘッド4内に内燃機関冷却水通路5が形成されている。
水冷式内燃機関2の側面に冷却水ポンプ10が配設され、該冷却水ポンプ10のインペラ11は水冷式内燃機関2の図示されないクランク軸の駆動力に連結されており、水冷式内燃機関2の運転に連動して駆動される冷却水ポンプ10のインペラ11により冷却水ポンプ吐出通路12および内燃機関冷却水通路入口6を介して、水冷式内燃機関2の内燃機関冷却水通路5に供給されるようになっている。
冷却水ポンプ10から吐出された冷却水の一部は、3分岐ジョイント37、オイルクーラ冷却水流入ホース14、オイルクーラ15、オイルクーラ冷却水流出ホース16、および3分岐ジョイント38を通過した後、冷却水ポンプ吸入通路13に流出し、この冷却水によってオイルクーラ15内のオイルが冷却される。
さらに、水冷式内燃機関2の内燃機関冷却水通路入口6に流入した冷却水は、水冷式内燃機関2のシリンダブロック3およびシリンダヘッド4の内燃機関の冷却部を構成する内燃機関冷却水通路5に送られた後、該内燃機関冷却水通路5の内燃機関冷却水通路出口7から内燃機関冷却水流出ホース17を介してサーモスタット18に送られる。内燃機関冷却水流出ホース17を通過する冷却水温度が設定温度以下の場合は、内燃機関冷却水流出ホース17を通過する冷却水はサーモスタット18からバイパスホース22を介して冷却水ポンプ10に返され、内燃機関冷却水流出ホース17を通過する冷却水温度が設定温度以上の場合は、内燃機関冷却水流出ホース17を通過する冷却水はサーモスタット18からラジエータ冷却水流入ホース19およびラジエータキャップ20を介してラジエータ30に送られ、該ラジエータ30において空気と熱交換された後、冷却水ポンプ吸入通路13を介して、冷却水ポンプ10に返されるようになっている。
また、前記ラジエータ30は、左右水平方向に指向して上下方向に等間隔に多数配置された図示されないチューブおよび該上下チューブを貫通して該チューブに一体に結合されたコルゲートフィンよりなるラジエータコア31と、該ラジエータコア31の各チューブの右端にそれぞれ接続される上下方向に細長く形成された上流側タンク32と、該ラジエータコア31の各チューブ左端にそれぞれ連結される上下方向に細長く形成された下流側タンク33とで構成されている。前記ラジエータ30のラジエータコア31の後方に、該ラジエータコア31に空気を送風するための冷却ファン34が配設されている。
以上に述べた各冷却水経路、即ち、
(1)冷却水ポンプ10、冷却水ポンプ吐出通路12、内燃機関冷却水通路5、内燃機関冷却水流出ホース17、サーモスタット18、
(2)オイルクーラ冷却水流入ホース14、オイルクーラ15、オイルクーラ冷却水流出ホース16、
(3)バイパスホース22、
(4)ラジエータ冷却水流入ホース19、ラジエータキャップ20、ラジエータ30、冷却水ポンプ吸入通路13、
を総称して、「冷却水循環経路50」と呼ぶ。
ラジエータ30の右側の上流側タンク32に隣接して上下に細長いリザーブタンク24が配設されており、前記ラジエータキャップ20には、調圧弁21が設けられており、該調圧弁21の出口はオーバーフローチューブ23を介してリザーブタンク24の底部に連通されている。
オーバーフローチューブ23のリザーブタンク24近傍とオイルクーラ冷却水流出ホース16とは、ゴム等の柔軟性のある材料よりなるリザーブタンク側冷却水還流チューブ25、逆止弁26、および冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27により連通されており、該逆止弁26によりリザーブタンク側冷却水還流チューブ25から冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27へのみ冷却水が流れるようになっている。
上記リザーブタンク側冷却水還流チューブ25、逆止弁26、及び冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27を繋ぐ一連の経路を総称して、「冷却水還流通路51」と呼ぶ。
前記逆止弁26及び冷却水ポンプ10はリザーブタンク24内の冷却水液面より下方で、かつ前記オイルクーラ冷却水流出ホース16と冷却水ポンプ吸入通路13とが接続される位置よりも下方になるように配設されているので、リザーブタンク24内の冷却水の位置エネルギーを利用して、冷却水循環経路内に冷却水を戻すことができるので、冷却性能が向上する。また、冷却装置内に冷却水を充填する際に冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27内に空気が残存することなく、容易に冷却水を充填することができる。
冷却水系の圧力が所定値以上になると、前記ラジエータキャップ20の調圧弁21が開放され、ラジエータキャップ20に接続されているオーバーフローチューブ23を通じて、リザーブタンク24に冷却水が流入し、また冷却水系内の圧力が所定値以下になると、リザーブタンク24内の冷却水がオーバーフローチューブ23、リザーブタンク側冷却水還流チューブ25、逆止弁26、冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27、オイルクーラ冷却水流出ホース16を介して冷却水ポンプ吸入通路13に流入し、冷却水系内に冷却水が補充され、該冷却水系の圧力が設定圧力以上に調整されるようになっている。
図3〜図6は、上記実施形態における冷却水系統図である。図3は、冷却水が充分温まっていない水冷式内燃機関2の始動直後の冷却水の流れを示す図である。冷却水が充分温まっていない時には、サーモスタット18の低温時流出口18aが開き、水冷式内燃機関2の内燃機関冷却水通路5を通過した冷却水はラジエータ30に供給されずに、該低温時流出口18aからバイパスホース22を介して冷却水ポンプ10に流れ込む。この冷却水は、再び水冷式内燃機関2の内燃機関冷却水通路5に送られるので、水冷式内燃機関2の暖機が迅速に行われる。
図4は、水冷式内燃機関2の運転を継続して冷却水が所定の水温以上に上昇した時の冷却水の流れを示す図である。サーモスタット18が冷却水温度を検知して、サーモスタット18の低温時流出口18aは閉じられ、サーモスタット18の高温時流出口18bが開き、内燃機関冷却水流出ホース17とラジエータ冷却水流入ホース19とが連通され、水冷式内燃機関2により加熱された冷却水はラジエータキャップ20を介してラジエータ30に流入して冷却される。
図5は、通常の運転状態の後、自動二輪車1がアイドリング状態で長時間停車した時の冷却水の流れを示す図である。自動二輪車1がアイドリング状態で長時間停車すると、ラジエータ30のコア31を走行風が通過せず、冷却ファン34のみによる冷却風によってラジエータ30が冷却されるため、ラジエータ30の冷却能力が低下し冷却水温度が上昇する。そして冷却水温度の上昇により冷却水系内圧が所定値以上の高圧となる。この時、前記ラジエータキャップ20の調圧弁21が開放され、冷却水はオーバーフローチューブ23を介してリザーブタンク24に流入し、水冷式内燃機関2の冷却水系内の冷却水圧の異常上昇が阻止される。
図6は、自動二輪車1がアイドリング状態で長時間停車した後、再び走行を開始した時の冷却水の流れを示す図である。再び自動二輪車1が走行を開始すると、冷却水はラジエータ30のラジエータコア31を通過する走行風により充分に冷却されて冷却水温度が低下するので、冷却水が収縮し、冷却水系内の冷却水圧力は低下する。
オイルクーラ冷却水流出ホース16は、冷却ポンプ吸入通路13を介して冷却水ポンプ10の下流側に接続され、該オイルクーラ冷却水流出ホース16内の冷却水圧力は特に低くなっているので、リザーブタンク24内の冷却水圧力との圧力差が大きくなり、逆止弁26の弁が開放され、リザーブタンク24内の冷却水は、オーバーフローチューブ23、リザーブタンク側冷却水還流チューブ25、逆止弁26、冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27、オイルクーラ冷却水流出ホース16、冷却水ポンプ吸入通路13を介して冷却水が冷却水循環経路50に戻される。
このように前記リザーブタンク24内と前記オイルクーラ冷却水流出ホース16内の冷却水の圧力差により、冷却水系内に冷却水が速やかに戻されるので、冷却装置の冷却性能が向上する。
さらに、リザーブタンク側冷却水還流チューブ25および冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27はゴム等の柔軟性のある材料より形成されているので、冷却水を冷却装置内に充填する際に、リザーブタンク側冷却水還流チューブ25をクリップ等で留め閉塞することができ、リザーブタンク24側からの空気流入を防ぎ、冷却水の充填を容易に行うことができる。
冷却水ポンプ吸入通路13に繋がる流路において、冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27の一端を断面積の小さい部分に接続すると、流路断面積が小さい部分では圧力が低減されるため、リザーブタンク24からの冷却水を冷却水循環経路50に効率よく還流することができる。上記第1実施形態の場合は、冷却水ポンプ吸入通路13の近傍で、それより流路断面の小さいオイルクーラ冷却水流出ホース16に、冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27の一端を接続しているので効率的に冷却水を還流できている。
図7は、本発明の第2実施形態に係る冷却水系統図である。本実施形態は、冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27の一端は冷却水ポンプ吸入通路13上において、流路断面積最大値より小さい通路断面積の部分40に接続してある。流路断面積が小さい部分では圧力が低減されるため、この部分に冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27を接続することによって、リザーブタンク24からの冷却水を冷却水ポンプ吸入通路13に効率よく還流することができる。
本実施形態では、オイルクーラ冷却水流出ホース16はラジエータ冷却水流入ホース19に接続してある。この実施形態では、オイルクーラ15から流出する冷却水は常にラジエータ30を経由して冷却水ポンプ10へ還流することになる。効果は他の実施形態と同じである。
図8は、本発明の第3実施形態に係る冷却水系統図である。この実施形態では、ラジエータ30の下流側タンク33に接してサーモスタット35が配設されている。該サーモスタット35には流出口35aと、冷却水の高温時に該流出口35aに連通される高温時流入口35bと、冷却水の低温時に該流出口35aに連通される低温時流入口35cが設けられている。該サーモスタット35の高温時流入口35bは下流側タンク33に接続され、サーモスタット35の低温時流入口35cにはバイパスホース22の一端が接続されるとともに、該バイパスホース22の他端はラジエータ冷却水流入ホース19の中間部に接続されている。サーモスタット35の流出口35aは冷却水ポンプ10の冷却水ポンプ吸入通路13に接続されている。
本実施形態では、冷却水が充分に温まっていないと、サーモスタット35により低温時流入口35cと流出口35aが連通され、冷却水はラジエータ30を通らずにバイパスホース22に流入し、水冷式内燃機関2の暖機は迅速に行われる。水冷式内燃機関2の運転が継続し、冷却水が充分に温まると、サーモスタット35により高温時流入口35bと流出口35aが連通され、冷却水はバイパスホース22を通らずにラジエータ30を通過し、冷却水は冷却される。
図9は、本発明の第4実施形態に係る冷却水系統図である。上記第1〜第3実施形態では、リザーブタンク側冷却水還流チューブ25は、オーバーフローチューブ23から分岐されているが、本実施形態は、リザーブタンク側冷却水還流チューブ25を、リザーブタンク24に直接接続してある。この形態でも上記各実施形態と同様な効果がもたらされる。
図10は、本発明の第5実施形態に係る内燃機関をほぼ正面から見た斜視図である。本実施形態では、リザーブタンク側冷却水還流チューブ25はリザーブタンク24の下部に直接接続されている。また、冷却水ポンプ吸入通路13とオイルクーラ冷却水流出ホース16との接続部は3分岐ジョイント38によって構成されている。冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27は、3分岐ジョイント38のオイルクーラ冷却水流出ホース16側に接続されている。なお、図中の、オイルクーラ15の隣の部材はオイルフィルタ36である。逆止弁26はリザーブタンク24内の冷却水液面位置39より下方で、かつ冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27が接続される3分岐ジョイント38の位置よりも下方になるように配設されているので、冷却装置内に冷却水を充填する際に冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27内に空気が残存することなく、容易に冷却水を充填することができる。
図11及び図12は、本発明の第6実施形態に係る図であり、図11は冷却水系統図、図12は内燃機関の斜視図である。冷却水ポンプ吐出通路12とオイルクーラ冷却水流入ホース14との接続部は3分岐ジョイント37によって構成され、冷却水ポンプ吸入通路13とオイルクーラ冷却水流出ホース16との接続部は3分岐ジョイント38によって構成されている。逆止弁26は、3分岐ジョイント38のオイルクーラ冷却水流出ホース16側に固定され、リザーブタンク24から伸びるリザーブタンク側冷却水還流チューブ25の端は、上記逆止弁26に接続されている。逆止弁26は上記3分岐ジョイント38に直接取り付けられているので、冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27は介装されていない。このようにすると、逆止弁固定のために部品点数を増加させる必要が無いという利点がある。
図13及び図14は、本発明の第7実施形態に係る配管配置図であり、内燃機関を前方から見た図である。図において、内燃機関の前方にオイルフィルタ36、オイルクーラ15、及び、リザーブタンク24が設けてある。リザーブタンク24からリザーブタンク側冷却水還流チューブ25が伸び、逆止弁26を介して冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27につながって冷却水還流通路51を構成している。冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27の他端は、冷却水ポンプ吸入通路13とオイルクーラ冷却水流出ホース16を接続する3分岐ジョイント38のオイルクーラ冷却水流出ホース16側に接続されている。本実施形態では、上記逆止弁26は、リザーブタンク24内の冷却水液面位置39より下方でかつ3分岐ジョイント38と冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27の接続位置41よりも下方に取付けられている。本実施形態は上記構成となっているので、冷却水循環経路50に冷却水を充填する際に、前記逆止弁26と3分岐ジョイント38の間のエア抜きを容易に行うことが可能となり、冷却水循環経路50内に冷却水を容易に充填することができる。
また、本実施形態ではリザーブタンク24に対するリザーブタンク側冷却水還流チューブ25の接続位置42が、リザーブタンク24の底部であり、かつ逆止弁26の位置より上方に配置されている。このような構成によって、リザーブタンク24内の冷却水の位置エネルギーを利用して、冷却水循環経路50内に冷却水を戻すことができるので、冷却性能が向上する。
図15は、本発明の第8実施形態に係る内燃機関の左側外観図である。本実施形態では、逆止弁26が冷却水ポンプ10のカバーに固定され、リザーブタンク24から伸びるリザーブタンク側冷却水還流チューブ25が、上記逆止弁26に接続されている。したがって、この実施形態では、冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ27は設けられていない。上記の構成では、逆止弁26の固定のために、部品点数を増加させる必要が無いという利点がある。
図16は、本発明の第9実施形態に係る内燃機関の斜視図である。本実施形態では、逆止弁26がリザーブタンク24に固定されている。したがって、この構成では、リザーブタンク側冷却水還流チューブ25は設けられていない。上記構成では、逆止弁26の固定のために部品点数を増加させる必要が無いという利点がある。
本発明の第1実施形態に係る冷却装置を備えた水冷式内燃機関を搭載した自動二輪車の側面図である。 上記内燃機関の要部斜視図である。 水冷式内燃機関の暖機時における冷却水循環経路を示す図である。 水冷式内燃機関の通常状運転時における冷却水循環経路を示す図である。 水冷式内燃機関の冷却水系の内圧上昇時の冷却水循環経路を示す図である。 水冷式内燃機関の冷却水系の内圧低下時の冷却水循環経路を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る冷却水系統図である。 本発明の第3実施形態に係る冷却水系統図である。 本発明の第4実施形態に係る冷却水系統図である。 本発明の第5実施形態に係る内燃機関をほぼ正面から見た斜視図である。 本発明の第6実施形態に係る冷却水系統図である。 同実施形態の内燃機関をほぼ正面から見た斜視図である。 本発明の第7実施形態に係る配管配置図である。 同実施形態の他の形状の配管配置図である。 本発明の第8実施形態に係る内燃機関の左側外観図である。 本発明の第9実施形態に係る内燃機関をほぼ正面から見た斜視図である。
符号の説明
1…自動二輪車、2…水冷式内燃機関、3…シリンダブロック、4…シリンダヘッド、5…内燃機関冷却水通路、10…冷却水ポンプ、12…冷却水ポンプ吐出通路、13…冷却水ポンプ吸入通路、14…オイルクーラ冷却水流入ホース、15…オイルクーラ、16…オイルクーラ冷却水流出ホース、17…内燃機関冷却水流出ホース、18…サーモスタット、19…ラジエータ冷却水流入ホース、20…ラジエータキャップ、21…調圧弁、22…バイパスホース、23…オーバーフローチューブ、24…リザーブタンク、25…リザーブタンク側冷却水還流チューブ、26…逆止弁、27…冷却水ポンプ側冷却水還流チューブ、30…ラジエータ、32…上流側タンク、33…下流側タンク、34…冷却ファン、35…サーモスタット、37…3分岐ジョイント、38…3分岐ジョイント、39…リザーブタンク内冷却水液面位置、40…通路断面積の小さい部分、41…冷却水循環経路と冷却水還流通路の接続位置、42…リザーブタンクに対するリザーブタンク側冷却水還流チューブの接続位置、50…冷却水循環経路、51…冷却水還流通路。

Claims (7)

  1. 冷却水を吐出する冷却水ポンプ(10)と、前記冷却水により内燃機関(2)を冷却する内燃機関冷却部と、前記冷却水を冷却するラジエータ(30)と、これらを冷却水流通のために互いに連通する複数の冷却水流通経路とで内燃機関(2)の冷却水循環経路(50)が形成されるとともに、
    前記冷却水循環経路(50)には前記冷却水の圧力が設定圧力となったときに前記冷却水を供給または排出する調圧弁(21)が介装され、
    前記調圧弁(21)は冷却水給排水通路(23)を介し前記冷却水を貯蔵するリザーブタンク(24)に接続されている水冷式内燃機関(2)の冷却装置において、
    前記冷却水給排水通路(23)とは別に、前記リザーブタンク(24)から前記冷却水循環経路(50)に冷却水を還流する冷却水還流通路(51)が設けられ、
    前記冷却水還流通路(51)はリザーブタンク(24)から前記冷却水循環経路(50)へのみ冷却水を流通させる逆止弁(26)を介して前記冷却水循環経路(50)に接続され、
    前記冷却水還流通路(51)は、冷却水循環経路(50)の流路断面積最大値より小さい流路断面積の冷却水循環経路(50)の部分(16)に接続され、
    前記冷却水循環経路(50)は、通常運転時における冷却水が冷却水ポンプ(10)から吐出された後、内燃機関(E)の冷却部(5)、サーモスタット(18)、調圧弁(21)、ラジエータ(30)の順で通過して前記冷却水ポンプ(10)に還流する主経路と、
    冷却水が冷却水ポンプ(10)から吐出された後分岐し、潤滑油冷却部(15)を通過して内燃機関(E)の冷却部下流の主経路(17)に接続される潤滑油冷却経路(14,16,13)とを有し、
    前記冷却水還流通路(51)は前記潤滑油冷却部(15)通過後の潤滑油冷却経路(14,16,13)に接続されていることを特徴とする水冷式内燃機関の冷却装置。
  2. 潤滑油冷却部(15)からの潤滑油冷却水流出経路(16)と主経路(13)との接続部は3分岐ジョイント(38)で構成され、
    前記逆止弁(26)は、3分岐ジョイント(38)の潤滑油冷却水流出経路(16)側に固定されることを特徴とする請求項1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置。
  3. 前記逆止弁(26)は、前記リザーブタンク(24)内の冷却水液面位置より下方でかつ前記冷却水循環経路(50)と前記冷却水還流通路(51)の接続位置よりも下方に取付けられたことを特徴とする請求項1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置。
  4. 前記冷却水還流通路(51)の前記リザーブタンク(24)への接続位置が前記逆止弁(26)の位置より上方に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の水冷式内燃機関の冷却装置。
  5. 前記逆止弁(26)が前記冷却水ポンプ(10)のカバーに固定されることを特徴とする請求項1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置。
  6. 前記逆止弁(26)が前記リザーブタンク(24)に固定されることを特徴とする請求項1に記載の水冷式内燃機関の冷却装置。
  7. 前記冷却水還流通路(51)の前記逆止弁(26)より前記リザーブタンク(24)側の通路(25)は柔軟性のある材料で作られることを特徴とする請求項1、請求項4、又は請求項6のいずれかに記載の水冷式内燃機関の冷却装置。
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