JP5041720B2 - 壁装用化粧シート原反及び壁装用化粧シート - Google Patents
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1. 紙質基材上に1又は2以上の塩化ビニル系樹脂層を積層してなる壁装用化粧シート原反であって、
前記塩化ビニル系樹脂層が、紙質基材から順に非発泡樹脂層A、発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Bから構成されており、
前記非発泡樹脂層Bは、前記非発泡樹脂層Aよりも平均重合度の大きな樹脂により形成されており、少なくとも前記非発泡樹脂層Bが電子線照射により架橋されている、
ことを特徴とする壁装用化粧シート原反。
2. 前記発泡剤が、熱分解型発泡剤である、前記項1に記載の壁装用化粧シート原反。
3. 前記非発泡樹脂層Aの樹脂成分である塩化ビニル系樹脂の平均重合度が、500〜2000であり、前記非発泡樹脂層Bの樹脂成分である塩化ビニル系樹脂の平均重合度が、800〜2100である、前記項1又は2に記載の壁装用化粧シート原反。
4. 紙質基材上に少なくとも塩化ビニル系樹脂層を有する壁装用化粧シートであって、
(1)前記塩化ビニル系樹脂層が、紙質基材から順に非発泡樹脂層A、発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Bから構成されており、
(2)前記非発泡樹脂層Bは、前記非発泡樹脂層Aよりも平均重合度の大きな樹脂により形成されており、少なくとも前記非発泡樹脂層Bが電子線照射により架橋されており、
(3)発泡樹脂層が、発泡剤含有樹脂層を発泡させて形成された層である、
ことを特徴とする壁装用化粧シート。
5. 前記非発泡樹脂層Aの樹脂成分である塩化ビニル系樹脂の平均重合度が、500〜2000であり、前記非発泡樹脂層Bの樹脂成分である塩化ビニル系樹脂の平均重合度が、800〜2100である、前記項4に記載の壁装用化粧シート。
6. 非発泡樹脂層B上にさらに絵柄模様層が形成されている、前記項4又は5に記載の壁装用化粧シート。
7. 前記発泡剤が、熱分解型発泡剤である、前記項4〜6のいずれかに記載の壁装用化粧シート。
8. シート最表面層の上からエンボス加工がなされている、前記項4〜7のいずれかに記載の壁装用化粧シート。
本発明の壁装用化粧シート原反(本発明シート原反)は、紙質基材上に1又は2以上の塩化ビニル系樹脂層を積層してなる壁装用化粧シート原反であって、前記塩化ビニル系樹脂層が、紙質基材から順に非発泡樹脂層及び発泡剤含有樹脂層から構成されていることを特徴とする本発明の好ましい実施態様としては、例えば紙質基材上に少なくとも非発泡樹脂層(非発泡樹脂層A)、発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層(非発泡樹脂層B)が順に形成されている壁装用化粧シート原反が挙げられる。以下、このシート原反を代表例として各層を説明する。
紙質基材の材質は、壁紙基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、繊維質シートが一般に使用できる。
非発泡樹脂層Aは、特に紙質基材と発泡剤含有樹脂層との接着層として機能するものであれば特に限定されない。本発明では、特に、非発泡樹脂層Aは、樹脂成分として塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物により形成される。塩化ビニル系樹脂としては、−CHCl−CH2−を基本骨格とするものであれば限定されない。また、塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて可塑剤を使用することもできる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度は限定的ではないが、一般に500〜2000程度とすることが望ましい。
発泡剤含有樹脂層は、発泡剤及び塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物により形成される。塩化ビニル系樹脂の平均重合度等は、前記の非発泡樹脂層と同程度のものを使用することができる。発泡剤含有樹脂層の形成には、好ましくは、塩化ビニル系樹脂、無機充填剤、顔料、熱分解型発泡剤及びセル調整剤を含む樹脂組成物を好適に用いることができる。その他にも、安定剤、酸化防止剤等を添加剤として用いることができる。
本発明では、必要に応じて第2非発泡樹脂層(非発泡樹脂層B)を設けることもできる。非発泡樹脂層Bは、非発泡樹脂層Aと同様の塩化ビニル系樹脂を用いて形成することができるが、非発泡樹脂層Aよりも平均重合度の大きな樹脂を用いて形成することが望ましい。特に、平均重合度800〜2100のものを好適に用いることができる。これにより、いっそう優れた耐スクラッチ性を得ることができる。
本発明シート原反の製造方法は特に限定されない。特に、Tダイ押出し機による同時押出しが好適である。例えば、3つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより3層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。この場合、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂組成物、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物、及び非発泡樹脂層Bを形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、3種3層を同時に押出し成膜・積層すれば良い。この方法では、同時押出し積層体は、紙質基材上に同時積層(成膜)する。紙質基材上に押出しと同時に積層された樹脂層は、熱溶融により接着性を有するため紙質基材と接着される。
本発明の壁装用化粧シート(本発明シート)は、紙質基材上に少なくとも塩化ビニル系樹脂層を有する壁装用化粧シートであって、
(1)前記塩化ビニル系樹脂層が、紙質基材から順に非発泡樹脂層及び発泡樹脂層から構成されており、
(2)発泡樹脂層が、発泡剤含有樹脂層を発泡させて形成された層である、
ことを特徴とする。
紙質基材の材質は、壁紙基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、繊維質シートが一般に使用できる。
非発泡樹脂層Aは、特に紙質基材と発泡剤含有樹脂層との接着層として機能するものであれば特に限定されない。本発明では、特に、非発泡樹脂層Aは、樹脂成分として塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物により形成される。塩化ビニル系樹脂としては、−CHCl−CH2−を基本骨格とするものであれば限定されない。また、塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて可塑剤を使用することもできる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度は限定的ではないが、一般に500〜2000程度とすることが望ましい。
発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層が加熱されることにより発泡形成された層である。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0〜100重量部程度が好ましく、20〜70重量部程度がより好ましい。
本発明では、必要に応じて第2非発泡樹脂層(非発泡樹脂層B)をさらに設けることができる。非発泡樹脂層Bは、樹脂成分として非発泡樹脂層Aと同様の塩化ビニル系樹脂を用いて形成することができるが、非発泡樹脂層Aよりも平均重合度の大きな樹脂を用いて形成することが望ましい。特に、平均重合度800〜2100のものを好適に用いることができる。これにより、いっそう優れた耐スクラッチ性を得ることができる。
本発明シートでは、非発泡樹脂層Bのおもて面に、必要に応じて絵柄模様層を形成することもできる。
本発明シートは、発泡エンボス模様に加えて、適宜エンボス模様を付しても良い。この場合、シート最表面層(紙質基材と反対側)の上からエンボス加工すれば良い。エンボス加工は、エンボス版等の公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が非発泡樹脂層Bである場合は、そのおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
本発明シートの製造方法は特に限定されない。特に、Tダイ押出し機による同時押出しが好適である。例えば、3つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより3層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。この場合、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂組成物、発泡剤含有樹脂層Bを形成するための樹脂組成物、及び非発泡樹脂層Bを形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、3種3層を同時に押出し成膜・積層すれば良い。この方法では、同時押出し積層体は、紙質基材上に同時積層(成膜)する。紙質基材上に押出しと同時に積層された樹脂層は、熱溶融により接着性を有するため紙質基材と接着される。
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用い、シリンダー温度180℃、ダイス温度150℃にてi)非発泡樹脂層/ii)発泡剤含有樹脂層/iii)非発泡樹脂層の順に厚み10μ/100μ/20μになるように製膜し、裏打紙面上に前記i)層が配置されるように積層して、所望の壁装化粧シート用原反を得た。次に、グラビア印刷機により絵柄印刷として水性インキ「ハイドリック(大日精化工業製)」を用いて布目絵柄を印刷し、艶調整用水性インキ「CRD(松井色素製)」で4g/m2となるようにオーバーコートした。次いで、ギアオーブンにて加熱(220℃×30秒)し、発泡剤含有樹脂層に含有する発泡剤を発泡させた。さらに、その発泡体に対して布目パターンの凹凸エンボスを施し、壁紙とした。このとき、前記iii)層は、架橋型塩化ビニル系樹脂を使用した。
前記iii)層の塩化ビニル系樹脂として、前記ii層と同じものを使用し、架橋助剤1重量部を添加し、製膜後に電子線照射(125KV 3Mrad)したほかは、実施例1と同様にして壁紙を形成した。
各実施例で得られたシートについて、耐スクラッチ性及び摩耗性を調べた。その結果を表1に示す。
(1)耐スクラッチ性
日本ビニル工業会ビニル建装部会制定の「表面強化壁紙性能規定」に準拠して行った。(学振摩耗試験機(JIS L0849 摩耗試験機II型)に試験片を取り付け、その試験機の摩擦子に同部会指定の金属製爪を用いて、金属爪先端に200g荷重をかけ、試験片上を5往復させて、試験片の試験後の表面状態を観察し、表面の傷付き具合で判断する。評価としては1級〜5級の5段階で評価され、5級:変化なし 4級:表面に少し変化あり 3級:表面が破けて見える 2級:表面が破けて紙等の裏打材が見える(長さ1cm未満) 1級:表面が破けて紙等の裏打材が見える(長さ1cm以上)となっている。そこで、本評価においてはそれを◎、○、△、×とし、◎:5級 ○:4級 △:3級 ×:2〜1級とした。
(2)摩耗性
JIS K6902の耐摩耗試験に規定された摩耗試験機を用い、軟質摩耗輪:CS−17 荷重:1kg 回転数:200回転の条件で試験後の試験片の表面を観察した。摩耗が発泡層まで達しない場合は「◎」、発泡層まで達するが表面のケバ立ちのない場合は「○」、表面が僅かにケバ立つ場合は「△」、表面が大きくケバ立つ場合は「×」と評価した。
Claims (8)
- 紙質基材上に1又は2以上の塩化ビニル系樹脂層を積層してなる壁装用化粧シート原反であって、
前記塩化ビニル系樹脂層が、紙質基材から順に非発泡樹脂層A、発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Bから構成されており、
前記非発泡樹脂層Bは、前記非発泡樹脂層Aよりも平均重合度の大きな樹脂により形成されており、少なくとも前記非発泡樹脂層Bが電子線照射により架橋されている、
いることを特徴とする壁装用化粧シート原反。 - 前記発泡剤が、熱分解型発泡剤である、請求項1に記載の壁装用化粧シート原反。
- 前記非発泡樹脂層Aの樹脂成分である塩化ビニル系樹脂の平均重合度が、500〜2000であり、前記非発泡樹脂層Bの樹脂成分である塩化ビニル系樹脂の平均重合度が、800〜2100である、請求項1又は2に記載の壁装用化粧シート原反。
- 紙質基材上に少なくとも塩化ビニル系樹脂層を有する壁装用化粧シートであって、
(1)前記塩化ビニル系樹脂層が、紙質基材から順に非発泡樹脂層A、発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Bから構成されており、
(2)前記非発泡樹脂層Bは、前記非発泡樹脂層Aよりも平均重合度の大きな樹脂により形成されており、少なくとも前記非発泡樹脂層Bが電子線照射により架橋されており、
(3)発泡樹脂層が、発泡剤含有樹脂層を発泡させて形成された層である、
ことを特徴とする壁装用化粧シート。 - 前記非発泡樹脂層Aの樹脂成分である塩化ビニル系樹脂の平均重合度が、500〜2000であり、前記非発泡樹脂層Bの樹脂成分である塩化ビニル系樹脂の平均重合度が、800〜2100である、請求項4に記載の壁装用化粧シート。
- 非発泡樹脂層B上にさらに絵柄模様層が形成されている、請求項4又は5に記載の壁装用化粧シート。
- 前記発泡剤が、熱分解型発泡剤である、請求項4〜6のいずれかに記載の壁装用化粧シート。
- シート最表面層の上からエンボス加工がなされている、請求項4〜7のいずれかに記載の壁装用化粧シート。
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