JP5195960B2 - 発泡壁紙 - Google Patents
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Description
1. 紙質基材上に少なくとも発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Aが順に形成されている発泡壁紙であって、
(1)発泡樹脂層が、発泡剤含有樹脂層を発泡させて形成した層であり、
(2)発泡剤含有樹脂層が、エチレン−メタクリル酸共重合体を含む樹脂組成物により形成された層であり、
(3)前記発泡剤含有樹脂層が、電子線照射により架橋されており、
(4)非発泡樹脂層Aが、メルトフローレート値が10〜60g/10分(JIS K7210:190℃,2.16kg)であるエチレン−メタクリル酸共重合体を含む樹脂組成物により形成された層である、
ことを特徴とする発泡壁紙。
2. 前記非発泡樹脂層Aに含まれるエチレン−メタクリル酸共重合体が、メルトフローレート値10〜35g/10分(JIS K7210:190℃,2.16kg)である、上記項1に記載の発泡壁紙。
3. 前記発泡剤含有樹脂層に含まれるエチレン−メタクリル酸共重合体が、メルトフローレート値60〜200g/10分(JIS K7210:190℃,2.16kg)である、上記項1又は2に記載の発泡壁紙。
4. 前記発泡剤含有樹脂層が、石油樹脂を含まない、上記項1〜3のいずれかに記載の発泡壁紙。
5. 紙質基材と発泡樹脂層との間にさらに非発泡樹脂層Bが形成されている、上記項1〜4のいずれかに記載の発泡壁紙。
6. 紙質基材上に少なくとも発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Aが順に形成されている発泡壁紙の製造方法であって、
(1)発泡樹脂層が、発泡剤含有樹脂層を発泡させて形成した層であり、
(2)発泡剤含有樹脂層が、エチレン−メタクリル酸共重合体を含む樹脂組成物により形成された層であり、
(3)前記発泡剤含有樹脂層が、電子線照射により架橋されており、
(4)非発泡樹脂層Aが、メルトフローレート値が10〜60g/10分(JIS K7210:190℃,2.16kg)であるエチレン−メタクリル酸共重合体を含む樹脂組成物により形成された層であり、
(5)少なくとも発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Aを紙質基材上に形成後、次いで発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する、
ことを特徴とする発泡壁紙の製造方法。
7. 少なくとも前記発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Aを同時押出しにより形成する、上記項6に記載の製造方法。
8. シート最表面層の上からエンボス加工を行う、上記項6又は7に記載の製造方法。
本発明の発泡壁紙は、紙質基材上に少なくとも発泡樹脂層が形成されている発泡壁紙であって、
(1)発泡樹脂層が、発泡剤含有樹脂層を発泡させて形成した層であり、
(2)発泡剤含有樹脂層が、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種をモノマーとして得られる重合体を含む樹脂組成物により形成された層である、
(3)発泡剤含有樹脂層が、電子線照射により架橋されている、
ことを特徴とする。
紙質基材の材質は、壁紙基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、繊維質シートが一般に使用できる。
本発明では、必要に応じて紙質基材と発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層(非発泡樹脂層B)が形成されていても良い。特に、非発泡樹脂層Bが接着剤層として形成される場合は、優れた密着性を得ることができる。非発泡樹脂層Bとしては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等を好適に用いることができる。
発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層が発泡することにより形成された層である。
本発明では、発泡樹脂層上に(紙質基材と反対側に)必要に応じて非発泡樹脂層(非発泡樹脂層A)を設けることもできる。非発泡樹脂層Aは、特に発泡樹脂層を保護する等の効果がある。従って、非発泡樹脂層の形成には、発泡樹脂層を保護するために用いられている公知の樹脂組成物を採用することができる。
前記樹脂成分としては、例えばアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種をモノマーとエチレンとの組み合わせにより得られる共重合体を樹脂成分として好適に用いることができる。より具体的には、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びアイオノマー樹脂の少なくとも1種を用いることが望ましい。このような樹脂成分を用いる場合には、特に樹脂中の水素結合等に起因する強固な層を形成することができるので、優れた耐スクラッチ性、耐摩耗性等を得ることができる。これらは、公知又は市販のものを使用することができる。
本発明の発泡壁紙は、非発泡樹脂層Aのおもて面に、必要に応じて絵柄模様層を有しても良い。
本発明シートは、発泡エンボス模様に加えて、適宜エンボス模様を付しても良い。この場合、シート最表面層(紙質基材と反対側)の上からエンボス加工すれば良い。エンボス加工は、エンボス版等の公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が非発泡樹脂層Bである場合は、そのおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
本発明の発泡壁紙の製造方法は特に限定されない。特に、2層以上の層構成とする場合は、例えばTダイ押出し機による同時押出しが好適である。例えば、紙質基材から順に発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Aを積層する場合、2つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより2層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いる。この場合、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物及び非発泡樹脂層を形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、2種2層を同時に押出し成膜・積層すれば良い。この方法では、同時押出し積層体は、紙質基材上に同時積層(成膜)する。紙質基材上に押出しと同時に積層された樹脂層は、熱溶融により接着性を有するため紙質基材と接着される。
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用い、i)非発泡樹脂層/ii)発泡剤含有
樹脂層/iii)非発泡樹脂層の順に厚み10μm/100μm/10μmになるように製膜し、前記iii)層の面に裏打紙を積層した。このときの押し出し条件は、前記i)層の樹脂はシリンダー温度140℃とし、前記ii)層の樹脂はシリンダー温度110℃とし、前記iii)層の樹脂はシリンダー温度100℃とした。いずれも、ダイス温度は120℃とした。
次に、前記i)層上から電子線(175KV,70kGy)を照射して、前記ii)層を樹脂
架橋させた後、i)層上にコロナ放電処理を行った。さらにグラビア印刷機によりプライマー処理としてEVA系水性エマルジョンを2g/m2コートし、その上に絵柄印刷として
水性インキ「ハイドリック(大日精化工業製)」を用いて布目絵柄を印刷した。次に、ギアオーブンにて加熱(240℃×35秒)し、発泡剤含有樹脂層に含有する発泡剤を発泡させた。さらに、その発泡体に対して布目パターンの凹凸エンボスを施し、所望の壁紙を得た。
=100,MA=11%):三井・デュポン ポリケミカル製」100重量部、二酸化チタン「R−108:デュポン製」25重量部、発泡剤「ビニホールAC#3:永和化成工業製」5重量部及び安定剤「アデカスタブOF−102:旭電化工業製」5重量部を含む樹脂組成物により形成した。
発泡樹脂層ii)として、エチレン−メタクリル酸共重合体に代えてエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体「エバテートD4010(MFR=10):住友化学製」を用いたほかは、実施例1と同様にして発泡壁紙を作製した。
実施例及び比較例で得られたシートについて、耐スクラッチ性等について調べた。その結果を表1に示す。
(1)コインスクラッチ
「水平な面に試験片を置き、10円硬貨を用い、45°の角度で試験片上を荷重2kgで引き掻き、表面を観察する。」という測定方法により測定した。試験表面に傷がない場合は「◎」、表面が僅かに傷付いた場合は「○」、発泡層まで傷が達した場合は「△」、大きく傷付いた場合は「×」と評価した。
(2)テーバー摩耗試験
JIS K6902の耐摩耗試験に規定された摩耗試験機を用い、軟質摩耗輪:CS−
17 荷重:1kg 回転数:200回転の条件で試験後の試験片の表面を観察した。摩耗が発泡層まで達しない場合は「◎」、発泡層まで達するが表面のケバ立ちのない場合は「○」、表面が僅かにケバ立つ場合は「△」、表面が大きくケバ立つ場合は「×」と評価した。
(3)耐スクラッチ試験
日本ビニル工業会ビニル建装部会制定の「表面強化壁紙性能規定」に準拠して行った。すなわち、学振摩耗試験機(JISL0849 摩耗試験機II型)に試験片を取り付け、その試験機の摩擦子に同部会指定の金属製爪を用い、金属爪先端に200g荷重をかけ、試験片上を5往復させて、試験片の試験後の表面状態を観察し、表面の傷付き具合で判断した。上記規定によれば、1級〜5級の5段階で評価され、5級:変化なし、 4級:表面に少し変化あり、 3級:表面が破けて見える 2級:表面が破けて紙等の裏打材が見える(長さ1cm未満)、 1級:表面が破けて紙等の裏打材が見える(長さ1cm以上)とされている。本評価においては、それを◎、○、△、×で示し、◎:5級 ○:4級
△:3級 ×:2〜1級とした。
実施例1で得られた発泡壁紙を用い、発泡セルのガス抜けの程度を調べた。比較のため、前記ii)層の樹脂架橋を実施しなかったほかは、実施例1と同様にして得られた発泡壁
紙(参考例)を作製した。その結果、実施例1で得られた発泡壁紙は、参考例に比べてガス抜けが非常に少なく、より緻密な発泡セルが形成されていることを確認した。すなわち、発泡剤含有樹脂層が、高いメルトフローレートを有する樹脂成分により形成されていても、良好な発泡状態が得られることがわかる。
Claims (8)
- 紙質基材上に少なくとも発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Aが順に形成されている発泡壁紙であって、
(1)発泡樹脂層が、発泡剤含有樹脂層を発泡させて形成した層であり、
(2)発泡剤含有樹脂層が、エチレン−メタクリル酸共重合体を含む樹脂組成物により形成された層であり、
(3)前記発泡剤含有樹脂層が、電子線照射により架橋されており、
(4)非発泡樹脂層Aが、メルトフローレート値が10〜60g/10分(JIS K7210:190℃,2.16kg)であるエチレン−メタクリル酸共重合体を含む樹脂組成物により形成された層である、
ことを特徴とする発泡壁紙。 - 前記非発泡樹脂層Aに含まれるエチレン−メタクリル酸共重合体が、メルトフローレート値10〜35g/10分(JIS K7210:190℃,2.16kg)である、請求項1に記載の発泡壁紙。
- 前記発泡剤含有樹脂層に含まれるエチレン−メタクリル酸共重合体が、メルトフローレート値60〜200g/10分(JIS K7210:190℃,2.16kg)である、請求項1又は2に記載の発泡壁紙。
- 前記発泡剤含有樹脂層が、石油樹脂を含まない、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡壁紙。
- 紙質基材と発泡樹脂層との間にさらに非発泡樹脂層Bが形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡壁紙。
- 紙質基材上に少なくとも発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Aが順に形成されている発泡壁紙の製造方法であって、
(1)発泡樹脂層が、発泡剤含有樹脂層を発泡させて形成した層であり、
(2)発泡剤含有樹脂層が、エチレン−メタクリル酸共重合体を含む樹脂組成物により形成された層であり、
(3)前記発泡剤含有樹脂層が、電子線照射により架橋されており、
(4)非発泡樹脂層Aが、メルトフローレート値が10〜60g/10分(JIS K7210:190℃,2.16kg)であるエチレン−メタクリル酸共重合体を含む樹脂組成物により形成された層であり、
(5)少なくとも発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Aを紙質基材上に形成後、次いで発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する、
ことを特徴とする発泡壁紙の製造方法。 - 少なくとも前記発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Aを同時押出しにより形成する、請求項6に記載の製造方法。
- シート最表面層の上からエンボス加工を行う、請求項6又は7に記載の製造方法。
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