JP5041116B2 - プレス成形品の成形方法およびプレス成形装置 - Google Patents

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Description

この発明は、深絞りパネルの成形などに適用されるプレス成形品の成形方法およびプレス成形装置に関するものである。
深絞りパネルの成形では、ダイとパンチとを用いた絞り成形が採用されている。この成形では、図7(a)に示すように、ダイ10に対し、材料(板12)をブランクホルダ13で押さえ、ダイ10のキャビティ11内にパンチ14を圧入可能に設置する。この図では、ダイ下降型の装置が示されている。この装置を用いてプレス加工を行うと、図7(b)に示すように、成形途中では、パンチ14で押し込まれる板12がブランクホルダ13からパンチ14に向けて流れ込むこと(以下:材料流入)と板12自身の変形(伸びと縮み)により、絞り形状が形成される(図7(c))。図8は、上記成形過程を経て絞り深さHで得られたプレス成形品15を示すものであり、成形品15には余肉幅W、コーナ曲率半径Rからなる余肉部16が設けられている。このプレス成形品15から余肉部16などを切り取って製品形状100を得ている。
ところで、余肉部16の両端にある余肉コーナ部17は、図9(a)(b)に示すように、断面方向の伸びと外周方向の縮みが混在しており、成形が難しくなっている。そこで、絞り深さHが深くなると、深くなった形状分をカバーするための対策の一つとして、断面方向の板自身の変形量を多くするか、材料流入量を多くするかの手段が考えられる。しかし、板自身の変形には限界があり、伸びの限界を超えると、破断(ワレ)が発生し不具合となる。一方、材料流入量を多くすると、外周方向の縮みに影響を与え、図9(a)に示すように、2辺の方向から材料がコーナ部17の中心に向かって流れ込むことにより、材料の流入が難しく、また、材料を流入させ過ぎると、コーナ部17に余りジワが発生し、そのシワの影響で材料と金型の間に抵抗が発生し、材料流入が少なくなりワレ不具合が発生する。そのため、従来は、コーナの外周方向の縮み量を少なくするため、コーナ部の曲率半径Rを大きくする対策が採られている。
また、フランジを有するパネルをプレス成形する際に発生する折りじわを防止するために、フランジ面に凹部を形成したプレス成形方法も提案されている(特許文献1参照)。
特開平11−277156号公報
しかし、成形品のコーナ部の曲率半径Rを大きくする従来の成形方法では、余肉コーナ部のワレ、シワ等の不具合対策から、絞り深さHが深くなればなる程、余肉コーナRを大きくし、また、余肉幅Wも大きくしなければならず、材料歩留まりが悪化するという問題がある。また、余肉コーナRの成形性が難しく、金型のまとめに時間を費やすという問題点もある。
また、前記した折りじわを防止する前記成形方法は、製品内でのしわ防止を意図するものであり、余肉部を小さくして材料歩留まりをよくするという要請に応えることはできない。
本願発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、余肉を小さくして材料歩留まりを向上させることができるプレス成形品の成形方法およびプレス成形装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のプレス成形品の成形方法の発明のうち、請求項1記載の発明は、ダイのキャビティ内面の側面に、隣接する前記キャビティ内面の側面よりも底部側から開放部側にかけて外側に傾斜する傾斜面を有するブランク材料余り吸収用の突出形状成形部を設けるとともに、パンチの側面に、前記突出形状成形部の内面に沿った外周形状を有するパンチ突出形状部を形成しておき、前記パンチと前記ダイとを用いて、前記突出形状成形部へのブランク材料の流入を誘発させて、プレス終了時までに、該突出形状成形部に流入した前記ブランク材料余りを該突出形状成形部と前記パンチ突出形状部とによってプレス成形して吸収し、製品形状が得られる部分で切断することを特徴とする。
請求項2記載のプレス成形品の成形方法の発明は、請求項1記載の発明において、成形品をプレス方向上面から見た場合の突出形状中心軸線と、成形品長手方向中心軸線に直角に交わる方向の線とがなす平面角度を、0度〜90度にしたことを特徴とする。
請求項3記載のプレス成形品の成形方法の発明は、請求項1または2に記載の発明において、製品形状が得られ、かつ成形品端部からの距離が最も短い部分で切断することを特徴とする。
請求項4記載のプレス成形装置の発明は、ブランクを加圧するパンチと、前記ブランクが前記パンチとともに圧入されるダイと、前記ブランクを押さえるブランクホルダとを備える成形装置であって、前記ダイのキャビティ内面の側面に、隣接する前記キャビティ内面の側面よりも底部側から開放部側にかけて外側に傾斜する傾斜面を持つブランク材料余り吸収用の突出形状成形部が形成され、前記パンチの側面、前記突出形状成形部の内面に沿った外周形状を有するパンチ突出形状部が形成されており、プレス終了時までに該突出形状成形部に流入したブランク材料余りを該突出形状成形部の内面と前記パンチ突出形状部の外周面とでプレスして吸収するように形成されていることを特徴とする。
請求項5記載のプレス成形装置の発明は、請求項4記載の発明において、前記突出形状成形部は、ダイのコーナ部に設けられていることを特徴とする。
本発明のプレス成形品の成形方法によれば、前記突出形状部は、成形初期段階でパンチオープニングラインが成形品中心に対して外側に出て材料の拘束がなくなり、材料の流入の余りが誘発されてダイの突出形状成形部に余りが吸収される。また突出形状成形部をダイのコーナ部に設けるものとすれば、コーナ部のRを小さくしてシワを誘発し、発生したシワをシワ吸収形状である突出形状成形部で吸収することとなる。上記により絞り深さが大きい場合にも余肉幅を小さくすることができる。
また、ダイに設ける突出形状成形部の数も特に限定されるものではなく、例えば余肉部形成用のキャビティの両側のコーナ部に設けることができる。
また、本発明のプレス成形装置によれば、成形時に、ダイに設けられた余肉用の突出形状成形部にブランクの余りを効果的に流入させて吸収することができる。
以上説明したように、本発明のプレス成形品の成形方法の発明によれば、ダイのキャビティ内面の側面、隣接する前記キャビティ内面の側面よりも底部側から開放部側にかけて外側に傾斜する傾斜面を有するブランク材料余り吸収用の突出形状成形部を設けるとともに、パンチの側面に、前記突出形状成形部の内面に沿った外周形状を有するパンチ突出形状部を形成しておき、前記パンチと前記ダイとを用いて、前記突出形状成形部へのブランク材料の流入を誘発させて、プレス終了時までに、該突出形状成形部に流入した前記ブランク材料余りを、該突出形状成形部と前記パンチ突出形状部とによってプレス成形して吸収し、製品形状が得られる部分で切断するので、材料余りが誘発されて材料余りがダイの突出形状成形部で吸収され、余肉幅が小さくなる。その結果、製品形状以外として切断される部位が少なくなり、材料の歩留まりが向上する効果がある。また、材料の伸び特性に対する要求が低減されるので、材料グレードを下げてコストダウンを図ることも可能になる。また金型をまとめる時間を短縮できる。
また、本発明のプレス成形装置によれば、ブランクを加圧するパンチと、前記ブランクが前記パンチとともに圧入されるダイと、前記ブランクを押さえるブランクホルダとを備える成形装置であって、前記ダイのキャビティ内面の側面、隣接する前記キャビティ内面の側面よりも底部側から開放部側にかけて外側に傾斜する傾斜面を持つブランク材料余り吸収用の突出形状成形部が形成され前記パンチの側面に、前記突出形状成形部の内面に沿った外周形状を有するパンチ突出形状部が形成されており、プレス終了時までに該突出形状成形部に流入したブランク材料余りを該突出形状成形部の内面と前記パンチ突出形状部の外周面とでプレスして吸収するように形成されているので、前記成形方法における材料余りの誘発と吸収が確実になされる効果がある。
以下に、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
先ず、本発明のプレス成形装置について説明する。該成形装置は、プレス成形品100の形状と余肉幅に合わせたキャビティ2を有するダイ1を有しており、該ダイ1は、余肉側の2つのコーナ部に、それぞれ外側に突出する突出形状成形部3、3が形成されている。
該突出形状成形部3のパンチライン3aは、キャビティ2の深さ方向に対し、30度の成形傾きでキャビティ2の底部側から開放側にかけて外側に傾斜している。また、該突出形状成形部3は、プレス成形品100の長手方向を形成するキャビティ2の中心軸線と直角に交わる方向の線Lに対し、45度で交差する方向に形成されている。
突出形状成形部3、3が設けられたコーナ部は曲率半径R1で形成されており、従来のコーナ部の曲率半径Rに対し、顕著に小さくなっている。
また、上記ダイ1に対し配置される材料である板5は、ブランクホルダ6によってダイ1の表面に押さえられる。該ブランクホルダ6は、ダイ1のキャビティ2の輪郭に略沿ってパンチライン形状を有しており、ダイ1の突出形状成形部3に合わせて窪み形状部7を有している。
また、上記ダイ1のキャビティ2内に圧入されるパンチ8は、キャビティ2の内周面に対し成形品の厚みの分のクリアランスを有して該内周面に沿った外周形状を有しており、したがってダイ1の突出形状成形部3に合わせてパンチ突出形状部9を有している。
次に、上記プレス成形装置を用いたプレス成形方法に説明する。
ダイ1におけるキャビティ2の開放面を下側にし、該開放面を覆うようにしてダイ1の表面に板材5を配置しブランクホルダ6にて該板材5をダイ1側に押さえ付ける。このダイ1の下方側にキャビティ2の形状に沿うようにンチ8が配置される(図2(a))。
上記設置状態で、ダイ1およびブランクホルダ6を下降させると、パンチ8が板材5に押し当たり絞り成形が開始される。この絞り成形により、ブランクホルダ6にて押さえられている板材5がダイ1のキャビティ2側に流入し、成形初期段階では、ダイ1の突出形状成形部3付近で材料余りが発生し、突出形状成形部3側にしわが発生する(図2(b))。成形初期段階においては、ブランクホルダ6の窪み形状部7の範囲で、板材5は、ブランクホルダ6及びパンチ8、ダイ1、すべてに非接触な範囲が発生しているので、成形初期に上記しわは容易に発生し、そのまま突出形状成形部3に吸収される。絞り成形を引き続き行うと、図3に示すように、ダイ1のキャビティ2の形状に沿って絞り深さHのプレス成形品20が得られ、突出形状成形部3に吸収された材料余り形状は、ダイ1の突出形状成形部3とパンチ8のパンチ突出形状部9によって突出形状部であるコーナ部22として成形される。
該プレス成形品20は、余肉幅W1の余肉部21が設けられており、該余肉部21は、上記したように両端に曲率半径R1のコーナ部22、22を有している。コーナ部22は、図4に示すように、2辺の方向から流れ込む材料が吸収されており、該コーナ部22が材料余りとして機能している。さらに、コーナ部22の曲率半径R1も従来の成形品の曲率半径Rに比べて大幅に小さくなっている。また、余肉幅W1も、製品形状100が確保され、かつ成形品端部20aからの距離が最も小さい位置に設定できるので、従来の余肉幅Wに比べて大幅に小さくなっている。該プレス成形品20は、図3に示すように、上記余肉幅W1の設定にしたがって切断し、製品形状100を切り出す。
上記プレス成形方法および成形装置によれば、絞り深さが大きい場合にも破断(ワレ)の発生を招くことなく、余肉幅を小さくして成形品を得ることができ、製品歩留まりを大きく向上させることができる。
なお、上記実施形態では、ダイ1の突出形状成形部3を、深さ方向に対し、30度の角度で傾斜したパンチライン3aを有するものとしたので、プレス成形品20におけるコーナ部22のコーナ線22aは、図5に示すように鉛直方向に対する角度θが30度となっている。しかし、本願発明としては、このコーナ部22の鉛直方向傾斜角度θは特に限定されるものではなく、0°<θ<90°の範囲で任意に設定可能である。ただし、材料の流入を円滑にして吸収するものとしては30±5°が好適である。
また、上記実施形態では、ダイ1の突出形状成形部3は、プレス成形品100の長手方向を形成するキャビティ2の中心軸線と直角に交わる方向の線Lに対し、45度で交差する方向に形成されている。したがって、プレス成形品20におけるコーナ部22のコーナ線22aは、図6(a)に示すように水平方向において、プレス成形品100の長手方向と直角に交わる方向の基準線L0に対する角度αが45度となっている。しかし、本願発明としては、このコーナ部22の水平方向角度αは特に限定されるものではなく、図6(b)および(c)に示すように0°≦α≦90°の範囲で任意に設定可能である。ただし、材料の流入を円滑にして吸収するものとしては45±5°が好適である。
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。
本発明のプレス成形装置の一実施形態における底面図(図a)および図aのb−b線断面図(図b)である。 同じく、本発明のプレス成形方法における成形過程を示す図である。 同じく、得られたプレス成形品および製品形状を示す図である。 同じく、成形時の材料の流れ及び変形状態を示す図である。 同じく、余肉コーナ部の傾斜角θを説明する図であり、図aは一部斜視図、図bは図aのb−b線断面図である。 同じく、余肉コーナ部の水平角度αの変更例を示す図である。 従来の成形方法における材料の成形過程を示す図である。 同じく、成形されたプレス成形品および該成形品から切り出された製品形状を示す図である。 同じく、成形時の材料の流れ及び変形状態を示す図である。
符号の説明
1 ダイ
2 キャビティ
3 突出形状成形部
3a パンチライン
5 板材
6 ブランクホルダ
7 窪み形状部
7a パンチライン
8 パンチ
9 パンチ突出形状部
20 プレス成形品
21 余肉部
22 コーナ部
22a コーナ線
100 製品形状

Claims (5)

  1. ダイのキャビティ内面の側面に、隣接する前記キャビティ内面の側面よりも底部側から開放部側にかけて外側に傾斜する傾斜面を有するブランク材料余り吸収用の突出形状成形部を設けるとともに、パンチの側面に、前記突出形状成形部の内面に沿った外周形状を有するパンチ突出形状部を形成しておき、前記パンチと前記ダイとを用いて、前記突出形状成形部へのブランク材料の流入を誘発させて、プレス終了時までに、該突出形状成形部に流入した前記ブランク材料余りを該突出形状成形部と前記パンチ突出形状部とによってプレス成形して吸収し、製品形状が得られる部分で切断することを特徴とするプレス成形品の成形方法。
  2. 成形品をプレス方向上面から見た場合の突出形状中心軸線と、成形品長手方向中心軸線に直角に交わる方向の線とがなす平面角度を、0度〜90度にしたことを特徴とする請求項1記載のプレス成形品の成形方法。
  3. 製品形状が得られ、かつ成形品端部からの距離が最も短い部分で切断することを特徴とする請求項1または2に記載のプレス成形品の成形方法。
  4. ブランクを加圧するパンチと、前記ブランクが前記パンチとともに圧入されるダイと、前記ブランクを押さえるブランクホルダとを備える成形装置であって、前記ダイのキャビティ内面の側面、隣接する前記キャビティ内面の側面よりも底部側から開放部側にかけて外側に傾斜する傾斜面を持つブランク材料余り吸収用の突出形状成形部が形成され、前記パンチの側面、前記突出形状成形部の内面に沿った外周形状を有するパンチ突出形状部が形成されており、プレス終了時までに該突出形状成形部に流入したブランク材料余りを該突出形状成形部の内面と前記パンチ突出形状部の外周面とでプレスして吸収するように形成されていることを特徴とするプレス成形装置。
  5. 前記突出形状成形部は、ダイのコーナ部に設けられていることを特徴とする請求項4記載のプレス成形装置。
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