JP5079604B2 - 金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型およびプレス成形方法 - Google Patents

金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型およびプレス成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、自動車車体の部材等に用いられる断面ハット型形状部材をプレス成形するための、長手方向の平面内で屈曲部を有するプレス成形用金型およびプレス成形方法に関し、特に、プレス成形時に該断面ハット型形状部材に発生する引張応力の緩和を図り、また、スプリングバック発生防止を図る等により、3次元形状の寸法精度および形状安定性を向上させた断面ハット型形状部材を得るためのプレス成形用金型およびプレス成形方法に関するものである。
近年、自動車用車体の構造用部材として、天井部、縦壁部およびフランジ部を備えた断面ハット型形状部材が多く用いられているが、この断面ハット型形状部材の成形は、パンチ及びダイを用いたフォーム成形(図9)、あるいは更に、板押さえを用いたドロー成形(図10)等のプレス成形により行われるのが一般的である。しかし、プレス成形により成形した断面ハット型形状部材は、離型後の弾性回復挙動によって、スプリングバック、反り、ねじれ等を発生しやすく、これが原因で寸法精度が低下し、形状安定性を欠くという問題点があった。
そこで、このような問題点を解決するために、種々の方策が検討されており、例えば、図1に示されるように、プレス成形した断面ハット型形状部材の縦壁部とフランジ部が交差する角部に、部材長手方向に間欠的に、縦壁部およびフランジ部の両者に接するようにビード部を形成することが知られており、この角部へのビード部形成によって、スプリングバック、口開き、反りの発生を抑え、寸法精度の向上を図ることが特許文献1に開示されている。
また、図2に示されるように、パンチ及びダイを有し、パンチ及びダイの壁部には、フランジ部に向かって末広がり状の段差を有するプレス成形用金型を用いて成形することにより、天井部、縦壁部およびフランジ部を有し、該縦壁部にはフランジ部に向かって末広がり状の段差を備え、かつ、長手方向に屈曲部を有する断面ハット型形状部材を得ることが知られており、そして、該断面ハット型形状部材においては、縦壁部にフランジ部に向かって末広がり状の段差を形成することによって、口開き・反り・ねじれの発生が防止され、良好な寸法精度を確保できることが特許文献2に開示されている。
さらに、図3に示されるように、天井部、縦壁部およびフランジ部を有し、該縦壁部にはフランジ部に向かって末広がり状の段差を備え、かつ、長手方向に屈曲部を有する断面ハット型形状部材において、断面ハット型形状部材の縦壁部とフランジ部が交差する角部に、部材長手方向に間欠的に、縦壁部およびフランジ部の双方に接すると同時に、縦壁部の高さ方向に延びるようにビード部を形成することによって、寸法精度を向上させるとともに長手方向の圧壊強度を向上させることが特許文献3に開示されている。
しかし、図1、図3に示された縦壁部とフランジ部が交差する角部にビード部を形成した断面ハット型形状部材では、該部材に屈曲部が存在しないような場合にはある程度の寸法精度を維持できるにしても、その長手方向に屈曲部を有する断面ハット型形状部材にあっては、離型後の弾性回復挙動によるスプリングバック、反り、ねじれ等の発生により、所望の寸法精度を確保することは困難であり、また、所定位置に所定寸法のビード部をプレス成形と同時に形成することは非常に困難であった。
また、図2に示されたものについても、前記プレス成形用金型を用いて、長手方向に屈曲部を有する断面ハット型形状部材を成形した場合には、一定程度、口開き・反り・ねじれ等の発生は防止し得るが、特に、部材屈曲部近傍においては十分な寸法精度を確保することができなかった。
特開2000−219162号公報 特開2004−314123号公報 特開2005−103613号公報
本発明は上記課題に鑑み、特に自動車の車体の部材に用いられる断面ハット型形状部材について、3次元形状の寸法精度および形状安定性を向上させることができるプレス成形用金型を提供することを目的とし、さらには、このプレス成形用金型を用いたプレス成形方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、特に、長手方向に屈曲部を有し、さらに、縦壁部にはフランジ面に向かって末広がり状の段差を有する断面ハット型形状部材をプレス成形する際の、プレス成形用金型の形状およびプレス成形方法について、鋭意研究した結果、以下の知見を得た。
通常は、例えば、図5に斜視図で示されるような形状、屈曲部を有するパンチ及びダイからなるプレス成形用金型を使用して、所定成形荷重でプレス成形することにより、長手方向に屈曲部を有し、さらに、縦壁部の一方は、上部縦壁部と下部縦壁部とを備え、さらに、上部縦壁部と下部縦壁部との間には末広がり状の段差が形成された断面ハット型形状部材を得ることができるが、この断面ハット型形状部材について、部材屈曲部の稜線部及び角部の引張応力を計算し、スプリングバック(S/B)量を求めたところ、S/B量は7.14(mm)であった。
つまり、通常のパンチおよびダイを用いたプレスで上記の断面ハット型形状部材を成形した場合には、大きなスプリングバック、捩れが発生するため、寸法精度、形状安定性が非常に劣るものであるといえる。
そこで、本発明では、例えば、図6に斜視図で示されるパンチ及びダイ、即ち、上記の通常のパンチ及びダイと同一寸法・形状であるが、これに加えてさらに、屈曲部を含む領域で、段差と下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短い楕円状のフィレット部を2個有するパンチ及びダイからなるプレス成形用金型を用いて、所定成形荷重でプレス成形したところ、断面ハット型形状部材には、前記パンチ、ダイに設けた前記フィレット部に対応する箇所(即ち、断面ハット型形状部材の屈曲部を含む領域で、段差と下部縦壁部が形成する稜線部)にフィレット部が形成された。
そして、本発明のプレス成形用金型を用いて成形した上記フィレット部を有する断面ハット型形状部材について、部材屈曲部の稜線部の引張応力を計算し、スプリングバック(S/B)量を求めたところ、S/B量は6.54(mm)であり、引張応力によるスプリングバック発生は極めて小さいものとなり(前記通常のパンチ及びダイにより成形した断面ハット型形状部材では、S/B量は7.14(mm))、また、捩れの発生もなく、3次元形状の寸法精度および形状安定性は非常に優れたものであることを確認した。
さらに、図7、図8に斜視図で示すように、パンチ、ダイに形成するフィレット部の数、位置を変更し、これらのプレス成形用金型を用いてプレス成形した断面ハット型形状部材のスプリングバック(S/B)量をされたそれぞれ求めたところ、金属製断面ハット型形状部材にプレス成形時の引張応力が発生する領域を含む領域に対応した箇所で、かつ、パンチ、ダイの段差と下部縦壁部が形成する稜線部のみに楕円状のフィレット部を設ける(図7)と、あるいは、パンチ、ダイの屈曲部の領域内の前記稜線部のみに楕円状のフィレット部を設ける(図8)と、いずれの場合もスプリングバック(S/B)量は減少し、捩れ発生も抑制され、その結果、3次元形状の寸法精度および形状安定性が向上することが確認された。
以上のとおり、本発明に係る金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型およびこのプレス成形用金型を用いたプレス成形方法によれば、天井部、上部縦壁部、段差、下部縦壁部、フランジ部を備え、長手方向に屈曲部を有する金属製断面ハット型形状部材において、特に、段差と下部縦壁部が形成する稜線部に、断面周長が周囲より短いフィレット部を形成することができ、そして、このようなフィレット部が形成されていることによって、前記金属製断面ハット型形状部材は、スプリングバック発生、捩れの発生が抑制され、その結果として、長手方向の圧壊強度に優れるばかりか、3次元形状の寸法精度および形状安定性の向上が図られる。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 天井部および縦壁部を有し、長手方向の平面内で屈曲部を有するパンチ及びダイからなるプレス成形用金型であって、前記パンチ及びダイは、前記縦壁部の一方に末広がり状の段差を有し、上部縦壁部と下部縦壁部を形成し、前記屈曲部を含む領域で、前記段差と前記下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部を1個又は複数個有することを特徴とする金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型。
(2) 天井部および縦壁部を有し、長手方向の平面内で屈曲部を有するパンチ及びダイからなるプレス成形用金型であって、前記パンチ及びダイは、前記縦壁部の一方に末広がり状の段差を有し、上部縦壁部と下部縦壁部を形成し、金属製断面ハット型形状部材にプレス成形時の引張応力が発生する領域を含む領域で、前記段差と前記下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部を1個又は複数個有することを特徴とする金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型。
(3) 更に、板押さえを有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型。
(4) 前記(1)〜(3)の何れかに記載のプレス成形用金型を用いて金属板をプレス成形し、前記パンチの下死点にて前記フィレット部を形成してプレス成形を終了した後、前記フィレット部を含まないように前記金属板を切断して、フランジ部を形成し、天井部、縦壁部及び前記フランジ部からなる金属製断面ハット型形状部材とすることを特徴とする金属製断面ハット型形状部材のプレス成形方法。」
に特徴を有するものである。
本発明によれば、天井部および縦壁部を有し、長手方向の平面内で屈曲部を有するパンチ及びダイからなるプレス成形用金型であって、前記パンチ及びダイは、前記縦壁部の一方に末広がり状の段差を有し、上部縦壁部と下部縦壁部を形成し、前記屈曲部を含む領域で、あるいは、金属製断面ハット型形状部材にプレス成形時の引張応力が発生する領域を含む領域で、前記段差と前記下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部を1個又は複数個有するプレス成形用金型を用いて、金属製断面ハット型形状部材をプレス成形することにより、長手方向に屈曲部を有する断面ハット型形状部材の圧壊強度、3次元形状の寸法精度および形状安定性を向上することが可能となる。
フィレット部を含む切断縦断面拡大図を図4として示すように、本発明の金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型は、天井部7、縦壁部8、一方の該縦壁部8に形成された末広がり状の段差部11、該段差部11によって区分けされる上部縦壁部9と下部縦壁部10、前記段差部11と前記下部縦壁部10が形成する稜線部に形成された断面周長が周囲より短いフィレット部6を備え、また、図6〜8に示すように、パンチ及びダイは、その長手方向の平面内で屈曲部を有している。
金属製断面ハット型形状部材のプレス成形を行う際の、パンチ、ダイの動作を、図4(a)〜(c)により説明する。
図4において、1は成形される鋼板、2はパンチ、3はダイを示し、パンチ2には、段差部と下部縦壁部が形成する稜線部にフィレット部に対応した形状の凹部4が、また、ダイ3には、同じくフィレット部に対応した形状の凸部5が形成されている。
尚、本発明において、凹部とは、例えば図4(a)に示すように、周囲に比べて周長が短くなるように、周囲より相対的に窪んでいる部分を言う。
また、同様に、凸部とは、周囲に比べて周長が短くなるように、周囲より相対的に盛り上がっている部分を言う。
図4(a)は、パンチ2、ダイ3により鋼板1を挟持し、断面ハット型形状に成形する成形初期段階を示す。
図4(b)は成形途中段階を示し、フィレット部以外の領域は、パンチ2、ダイ3により鋼板1がほぼ最終形状に近い断面ハット型形状に成形されているが、フィレット部が形成される箇所では、パンチ2の凹部4と、ダイ3の凸部5は当接していない(間隔sだけ離間している)ため、フィレット部の成形は未だ行われていない。
図4(c)は成形終了段階を示し、下死点において、パンチ2の凹部4と、ダイ3の凸部5が当接することにより断面周長が周囲より短いフィレット部6が稜線部に形成され、また、フィレット部6以外の領域ではパンチ2とダイ3が当接することにより、フィレット部6においては引張応力が圧縮方向に緩和されて最終所定形状に成形される。
このようにして、段差部と下部縦壁部が形成する稜線部にフィレット部が形成され、天井部、縦壁部(一方は、上部縦壁部、下部縦壁部、段差部を備える)およびフランジ部を備え、さらに、長手方向に屈曲部を有する断面ハット型形状部材が成形される。
図6に示すように、プレス成形用金型の長手方向の平面内で屈曲部を含む領域であって、かつ、段差と下部縦壁部が形成する稜線部のみ楕円状のフィレット部6を設け、このようなプレス成形用金型で成形を行うと、プレス成形用金型の前記フィレット部6の位置に対応した箇所の断面ハット型形状部材の引張応力が圧縮方向に緩和され、その結果、成形された断面ハット型形状部材のスプリングバック量が小さくなる(請求項1に係る発明)。
プレス成形によって発生する断面ハット型形状部材の引張応力は、有限要素法によるプレス成形解析計算により求めても良いし、プレス成形実験を行い、成形下死点での応力測定により決定することができるが、いずれにしても、断面ハット型形状部材の屈曲部およびその近傍は引張応力が発生していることが多い。
したがって、図7に示すように、プレス成形用金型の、金属製断面ハット型形状部材にプレス成形時の引張応力が発生する領域を含む領域で、前記段差と前記下部縦壁部が形成する稜線部のみ楕円状のフィレット部6を設けておくことにより、やはり、成形された断面ハット型形状部材のスプリングバック量を小さくすることができる(請求項2に係る発明)。
更に、図8に示すように、屈曲部の領域内の稜線部のみにフィレット部6を設けると、屈曲部に引張応力が集中していることが多いため、スプリングバック量を小さくするのに非常に効果的である。
本発明に係るパンチ2及びダイ3を備えたプレス成形用金型は、図9(a)〜(c)に示す、いわゆるフォーム成形用の金型として用いることができるばかりか、更に板押さえ13を用いることにより、図10(a)〜(c)に示す、いわゆるドロー成形用の金型として用いることもできる(請求項に係る発明)。
図6に示されるパンチおよびダイからなるプレス成形用金型、即ち、パンチの寸法は、表1に示すように、長手方向長さL:900mm、天井部幅W:40 mm、縦壁部高さH:40mm、上部縦壁部高さH:40mm、下部縦壁部高さH:30mm、段差幅W(但し、水平投影長さ。以下も同じ):40mmであり、長手方向に屈曲部(屈曲部の曲率半径ρ(屈曲部が形成する仮想円弧の半径)は300mm)を有し、屈曲部を含む領域で、かつ、段差と下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部6(長手方向の長さR(長径):71mm、長手直角方向の長さR(短径):23.4mmの楕円状)を2箇所に形成した本発明例1のプレス成形用金型を用い、
鋼板(引張強度:590MPa級、板厚:1.4mm)を成形荷重600tでプレス成形し、
長さ730mm×天井部幅40mm×高さ40mm×フランジ幅20mmの寸法からなり、一方の縦壁部に段差(但し、上部縦壁部高さ:40mm、下部縦壁部高さ:30mm、段差幅:40mm)を形成し、長手方向に屈曲部(屈曲部の曲率半径は300mm)を有する金属製断面ハット型形状部材(以下、本発明部材1という)を成形した。
比較のために、フィレット部6を形成しない以外は、本発明例1のものと同一形状、同一寸法の図5に示される通常のプレス成形用金型(以下、比較例という)を用いて、鋼板(引張強度:590MPa級、板厚:1.4mm)を成形荷重600tでプレス成形し、
長さ730mm×天井部幅40mm×高さ40mm×フランジ幅20mmの寸法からなり、一方の縦壁部に段差(但し、上部縦壁部高さ:40mm、下部縦壁部高さ:30mm、段差幅:40mm)を形成し、長手方向に屈曲部(屈曲部の曲率半径は300mm)を有する金属製断面ハット型形状部材(以下、比較例部材という)を成形した。
上記本発明部材1および比較例部材の金属製断面ハット型形状部材のそれぞれについて、屈曲部およびその近傍(引張応力が発生する部分)の引張応力の分布を測定すると共に、スプリングバック(S/B)量を測定したところ、本発明部材1の金属製断面ハット型形状部材では、屈曲部およびその近傍の引張応力は、比較例のそれに比して緩和されていた。
また、表1に示すように、比較例部材ではスプリングバック(S/B)量は7.14mmであるのに対して、本発明部材1ではスプリングバック(S/B)量は6.54であり、主としてスプリングバックに起因する捩れ、3次元形状の寸法精度の低下は生じず、さらに、形状安定性もすぐれていた。
つまり、通常のパンチおよびダイからなるプレス成形用金型によるプレスで上記の断面ハット型形状部材を成形した場合には、大きなスプリングバック、捩れが発生し、寸法精度、形状安定性が非常に劣るものであった。
図7に示されるパンチおよびダイからなるプレス成形用金型、即ち、パンチの寸法は、表1に示すように、長手方向長さL:900mm、天井部幅W:40mm、縦壁部高さH:40mm、上部縦壁部高さH:40mm、下部縦壁部高さH:30mm、段差幅W(但し、水平投影長さ。以下も同じ):40mmであり、長手方向に屈曲部(屈曲部の曲率半径ρは300mm)を有し、金属製断面ハット型形状部材にプレス成形時の引張応力が発生する領域を含む領域で、かつ、段差と下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部6(長手方向の長さR:70.9mm、長手直角方向の長さR:23.4mmの楕円状)を2箇所に形成した本発明例2のプレス成形用金型を用い、鋼板(引張強度:590MPa級、板厚:1.4mm)を成形荷重600tでプレス成形し、
長さ730mm×天井部幅40mm×高さ40mm×フランジ幅20mmの寸法からなり、一方の縦壁部に段差(但し、上部縦壁部高さ:40mm、下部縦壁部高さ:30mm、段差幅:40mm)を形成し、長手方向に屈曲部(屈曲部の曲率半径は300mm)を有する金属製断面ハット型形状部材(以下、本発明部材2という)を成形した。
なお、フィレット部6を設けた位置は、引張応力を有限要素法によるプレス成形解析計算により求めた結果に基づいて、屈曲部以外の領域であって、かつ、成形される属製断面ハット型形状部材に発生する引張応力が400MPa以上の稜線部とした。
上記本発明部材2の金属製断面ハット型形状部材について、屈曲部およびその近傍(引張応力が発生する部分)の引張応力の分布を測定すると共に、スプリングバック(S/B)量を測定したところ、本発明部材2の金属製断面ハット型形状部材では、屈曲部およびその近傍の引張応力は、比較例のそれに比して緩和されていた。
また、表1に示すように、本発明部材2のスプリングバック(S/B)量は6.92であり、比較例部材に比して小さなスプリングバック(S/B)量であることから、主としてスプリングバックに起因する捩れ、3次元形状の寸法精度の低下は小さかった。
図8に示されるパンチおよびダイからなるプレス成形用金型、即ち、パンチの寸法は、表1に示すように、長手方向長さL:900mm、天井部幅W:40mm、縦壁部高さH:40mm、上部縦壁部高さH:40mm、下部縦壁部高さH:30mm、段差幅W(但し、水平投影長さ。以下も同じ):40mmであり、長手方向に屈曲部(屈曲部の曲率半径ρは300mm)を有し、屈曲部の領域内であって、かつ、段差と下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部6(長手方向の長さR:65.0mm、長手直角方向の長さR:23.4mmの楕円状)を1箇所に形成した本発明例3のプレス成形用金型を用い、鋼板(引張強度:590MPa級、板厚:1.4mm)を成形荷重600tでプレス成形し、
長さ730mm×天井部幅40mm×高さ40mm×フランジ幅20mmの寸法からなり、一方の縦壁部に段差(但し、上部縦壁部高さ:40mm、下部縦壁部高さ:30mm、段差幅:40mm)を形成し、長手方向に屈曲部(屈曲部の曲率半径は300mm)を有する金属製断面ハット型形状部材(以下、本発明部材3という)を成形した。
上記本発明部材3の金属製断面ハット型形状部材について、屈曲部およびその近傍(引張応力が発生する部分)の引張応力の分布を測定すると共に、スプリングバック(S/B)量を測定したところ、本発明部材3の金属製断面ハット型形状部材では、屈曲部およびその近傍の引張応力は、比較例のそれに比して格段に緩和されていた。
また、表1に示すように、本発明部材3のスプリングバック(S/B)量は6.24であり、比較例部材に比して極めて小さなスプリングバック(S/B)量であるため、主としてスプリングバックに起因する捩れ、3次元形状の寸法精度の低下は生じず、さらに、形状安定性もすぐれていた。
表1に示される実施例1〜3の結果から、天井部および縦壁部を有し、長手方向の平面内で屈曲部を有するパンチ及びダイからなるプレス成形用金型であって、前記パンチ及びダイは、前記縦壁部の一方に末広がり状の段差を有し、上部縦壁部と下部縦壁部を形成し、前記屈曲部を含む領域(図6)、あるいは、金属製断面ハット型形状部材にプレス成形時の引張応力が発生する領域を含む領域(図7)で、前記段差と前記下部縦壁部が形成する稜線部のみに、あるいはさらに、屈曲部の領域内の前記稜線部のみ(図8)に、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部を1個又は複数個有するプレス成形用金型により成形された金属製断面ハット型形状部材は、引張応力が緩和され、スプリングバック(S/B)量が小さいため、3次元方向の捩れ発生が極少であり、このため寸法精度および形状安定性は非常に優れていることがわかる。
Figure 0005079604
次に、金属製断面ハット型形状部材のプレス成形に際し、板押さえを用いて成形した場合の、スプリングバック(S/B)に及ぼす影響について調査した。
即ち、前記実施例1〜3におけるプレス成形は、図9に示されるいわゆるフォーム成形で行ったが、上記本発明例1〜3のプレス成形用金型および比較例のプレス成形用金型を用いて、図10に示される如く、板押さえ13を用いたドロー成形を行った。
なお、成形条件は、板押さえを用いた以外は、前記実施例1〜3の場合と同じ。
板押さえ13を用いたドロー成形で得られた各金属製断面ハット型形状部材について測定した、それぞれのスプリングバック(S/B)量を表2に示す。
表2から明らかなように、板押さえ13を用いた場合には、金属製断面ハット型形状部材のスプリングバック(S/B)量をより低減できることがわかる。
Figure 0005079604
以上のとおり、本発明の金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型およびそのプレス成形方法によれば、プレス成形用金型の屈曲部を含む領域の段差と下部縦壁部が形成する稜線部のみに、あるいは、引張応力が発生する領域を含む領域の段差と下部縦壁部が形成する稜線部のみに、あるいは、屈曲部の領域内の前記稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部を設けておくことにより、成形後の金属製断面ハット型形状部材の引張応力を緩和し、スプリングバックの発生を極めて小さくし、すぐれた3次元形状の寸法精度を有し、すぐれた形状安定性を有する金属製断面ハット型形状部材を成形することができる。
ビードを設けた従来の断面ハット型部材の斜視図。 段差を設けた従来の断面ハット型部材の斜視図。 段差およびビードを設けた従来の断面ハット型部材の斜視図。 フィレット部6を形成したプレス金型によるプレス形成の動作図で、(a)は成形初期段階、(b)は成形途中段階、(c)は成形終了段階を示す。 比較例のプレス成形用金型のパンチの斜視図および平面図。 本発明例1のプレス成形用金型のパンチの斜視図および平面図。 本発明例2のプレス成形用金型のパンチの斜視図および平面図。 本発明例3のプレス成形用金型のパンチの斜視図および平面図。 本発明のフォーム成形方法についての動作図で、(a)は成形開始段階、(b)は成形中、(c)は成形終了段階を示す。 本発明のドロー成形方法についての動作図で、(a)は成形開始段階、(b)は成形中、(c)は成形終了段階を示す。
符号の説明
1 (成形される)鋼板
2 パンチ
3 ダイ
4 凹部
5 凸部
6 フィレット部
7 天井部
8 縦壁部
9 上部縦壁部
10 下部縦壁部
11 段差
12 フランジ部
13 板押さえ
s プレス成形途中における凹部4と凸部5との間隔

Claims (4)

  1. 天井部および縦壁部を有し、長手方向の平面内で屈曲部を有するパンチ及びダイからなるプレス成形用金型であって、前記パンチ及びダイは、前記縦壁部の一方に末広がり状の段差を有し、上部縦壁部と下部縦壁部を形成し、前記屈曲部を含む領域で、前記段差と前記下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部を1個又は複数個有することを特徴とする金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型。
  2. 天井部および縦壁部を有し、長手方向の平面内で屈曲部を有するパンチ及びダイからなるプレス成形用金型であって、前記パンチ及びダイは、前記縦壁部の一方に末広がり状の段差を有し、上部縦壁部と下部縦壁部を形成し、金属製断面ハット型形状部材にプレス成形時の引張応力が発生する領域を含む領域で、前記段差と前記下部縦壁部が形成する稜線部のみに、断面周長が周囲より短く、かつ楕円状のフィレット部を1個又は複数個有することを特徴とする金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型。
  3. 更に、板押さえを有することを特徴とする請求項1または2に記載の金属製断面ハット型形状部材のプレス成形用金型。
  4. 請求項1〜の何れか1項に記載のプレス成形用金型を用いて金属板をプレス成形し、前記パンチの下死点にて前記フィレット部を形成してプレス成形を終了した後、前記フィレット部を含まないように前記金属板を切断して、フランジ部を形成し、天井部、縦壁部及び前記フランジ部からなる金属製断面ハット型形状部材とすることを特徴とする金属製断面ハット型形状部材のプレス成形方法。
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