JP5037941B2 - ワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法 Download PDF

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Description

この発明は、ワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法に関するものである。
ワイヤ放電加工装置は、水中に対向配置した電極であるワイヤと被加工物(ワーク)との電極間にパルス状放電を発生させ、その熱エネルギーを利用して被加工物を所望の形状に加工する装置である。このワイヤ放電加工装置では、ワイヤは、放電終了後には放電方向と逆方向に反力を受けた状態となる。また、放電加工屑排除のために、高圧の加工液をワイヤの被加工物との対向位置を挟んだ上下からその対向位置に向けて噴射することが一般的である。これら放電反力や加工液の噴射などによりワイヤは振動状態となり、被加工物の真直精度は崩れ易くなるという問題がある。
被加工物の真直精度を出すためには、加工エネルギー、加工速度、ワイヤテンション、加工液圧といったパラメータを1stカットから4thカット、5thカットまで最適に選定し、ワーク材質、板厚、ワイヤ種ごとに条件表としてまとめることになるが、この条件表の作成には相当の時間と労力が必要となる。
また、ワイヤ放電加工装置では、電極間への電源供給は、被加工物は直接加工電源の一方の電極端を接続し、走行するワイヤは摺接する給電点を介して加工電源の他方の電極に接続する方法が採られるが、その給電点は、一般に、ワイヤの被加工物との対向位置を挟んだ上下2箇所に設けられるので、この構成を利用して放電位置を検出することが行われている。すなわち、ワイヤには放電電流の流路が上部側と下部側とに並列に存在することになるが、ワイヤは抵抗体であり、その抵抗値はワイヤ長に比例しているので、放電位置は、並列回路の分流比によって判断することができる。放電位置の算出方法には、微分値を用いたものや給電電圧を観測するもの、あるいはそれらの演算方法など様々なものが存在するが、例えば特許文献1のように、抵抗比の違いに応じて発生する電流差を電流センサによって検出し、位置を特定する方法が一般的と考えてよい。
また、ワイヤ放電加工装置における断線原因の一つは、放電がワイヤの1箇所に集中してしまう「集中放電」である。上記した放電位置の検出によって放電がワイヤの同一箇所に集中していることが判断できれば、加工エネルギーを減らし断線防止に役立てたり、ワイヤテンション、加工液圧などの加工条件を変化させて集中放電回避に利用したりすることができる。
この点に関し上記の特許文献1では、放電集中を検出すると、ワイヤの走行速度を変化させて加工屑などを攪拌し、それによって放電点の位置を変化させることで放電偏在を解消するという方法が採られている。
上記の特許文献1では、このようにごく短期間での放電状態をモニタしているが、放電位置検出のそれ以外の利用方法として、例えば特許文献2のように、比較的長期レンジで放電全体の様子を捉え、加工板厚、加工形状などを判断することも可能である。
従来、加工形状が複雑に変化する被加工物を自動加工する際には、予め被加工物の形状の変化する個所を加工プログラム中に入力して加工条件を変更するか、全ての加工範囲でワイヤ断線が発生しないような加工エネルギーの低い加工条件を設定する必要があり、非能率的であり、生産性が低かった。
そこで、この特許文献2では、上記した特許文献1における放電位置判断手段に加え、加工形状の変化履歴を認識する加工領域認識手段を設けることで、形状(板厚)が複雑に変化していてもその変化を認識し、自動的に最適な加工条件を選定するようにしている。
但し、ワイヤと被加工物との間の放電位置は、上述のように計測することはできるが、任意の位置に放電を誘発することはできない。つまり、特許文献1,2では、あくまでも放電位置を計測することに主眼を置いたものであり、その計測した放電位置で積極的に制御することはできない。その計測した放電位置を制御に役立てるためには、複数の放電を統計的に処理した後に演算結果を制御信号として出力する必要がある。
要するに、従来、一般的なワイヤ放電加工において形状加工とは、ワイヤに垂直な平面を規定するX軸とY軸とを利用したものであり、ワイヤの進行方向であるZ軸はワークの板厚に依存して初期に設定するだけで、Z軸方向の形状加工を行うことはできない。
なお、非特許文献1では、1回だけの放電時および連続放電での加工特性についての説明がなされている。また、非特許文献2では、大電流放電の場合の放電位置と放電電圧との関係についての報告がなされている。
特許第287968号公報 特許第3085040号公報 "放電加工技術"日刊工業新聞社、25頁 "ワイヤ放電加工のワイヤ断線防止制御の研究(第3報)"電機加工学会誌、V0l.36、No.81(2002)
上記したように、ワイヤ放電加工装置は、ワイヤと被加工物との放電を利用して加工するので、所定の放電ギャップを介してワイヤ形状が被加工物形状に転写することになり、ワイヤの撓み分だけ被加工物の真直精度が低下してしまうという一般的な問題がある。特に1stカットで行われる荒加工条件では、大エネルギーを投入しての加工であるので、ワイヤテンションを下げ加工液圧を上げて加工を行っており、ワイヤが振動し易く、加工精度が悪化し易い。逆に真直精度を向上させるためには、ワイヤが撓まないように張力を上げなければならず、また放電反力が大きくならないように加工エネルギーも絞らなければならない。これらの措置を採ると、加工速度は著しく低下し生産効率が悪くなってしまう。
この問題に対して特許文献2では、形状認識により最適な条件の加工を行うことはできるが、あくまでも長期レンジでの形状変動を検出するものであり、上記真直精度から鑑みた条件加工を行うことはできない。例えば、同一板厚条件においては、もはや加工条件は変化しないし、真直性に関しては制御できずに放電任せとなってしまう。
また、上記したように、ワイヤ放電加工装置の特性として放電位置を任意の箇所に誘発することができないので、Z軸方向の形状加工は、上述の真直性の問題と同様に放電任せであり、積極的に制御することはできない。
次に、従来のワイヤ放電加工装置では、2回連続で同一箇所に集中する放電を防止できないという問題がある。この問題に対して特許文献1では、短期レンジの放電加工位置を検出する際に、放電と放電が連続しているか否かを判断するようにしている。しかし、放電位置判定に用いられる放電電流は、既にその位置で放電してしまったものであるので、例えば2回連続で同一箇所に集中する放電はいかなる制御手段をもってしても防ぐことはできない。特許文献1による方法では、せいぜい2回連続した集中放電を検出して3回目の放電のエネルギーを絞る、あるいは加工条件を変化するといった程度でしか制御することはできない。そのため、加工エネルギーの条件は例えば2連続しても断線しないものというのが前提条件となる。すなわち、加工エネルギーを絞った生産効率の悪い形態ということになる。
さらに、材質が異なる被加工物を複数重ねて加工する用途を考えた場合、従来のワイヤ放電加工装置では、加工エネルギーは最も断線しやすい被加工物の材質に合わせる必要があり、被加工物の材質毎に加工エネルギーを調整することはできない。これでは非能率的であり、生産性も低いものとなる。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被加工物の真直精度を向上すること、2回連続の集中放電を防止すること、および材質の異なる被加工物を複数重ねた場合でもそれぞれの材質に最適な加工条件を適用して同時に加工することを可能にするワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法を得ることを目的とする。
上述した目的を達成するために、この発明は、ワイヤ電極と被加工物との電極間に、少なくとも予備放電用電圧パルスと主放電用電圧パルスとをこの順に印加してパルス状の放電を発生させる放電発生制御手段と、前記電極間に流れる放電電流を複数の通電経路にて測定する電流測定手段と、前記複数の電流測定手段の測定結果から放電位置を判定する放電位置判定手段と、前記被加工物のZ座標上ごとに加工エネルギーを蓄積する形状認識・補正手段とを備えるワイヤ放電加工装置において、前記予備放電用電圧パルスの印加時において前記放電位置判定手段が求めた放電位置、または直前の前記主放電用電圧パルスなどから算出した過去に放電した放電位置から予測した放電位置、或いは前記予備放電用電圧パルスの印加前に発生する電圧パルスの印加時において前記放電位置判定手段が求めた放電位置のうちのいずれか一つの放電位置を前記主放電用電圧パルスの印加前に判定した放電位置とし、その判定した放電位置ごとに前記形状認識・補正手段が指定する当該主放電用電圧パルスのパルス幅または電圧値を前記放電発生制御手段に与えることを特徴とする。
この発明によれば、加工位置ごとに必要に応じて加工エネルギーを絞り込むことができるので、真直精度を高めることができ、またより積極的にワイヤの進行方向(Z軸方向)に任意の形状の加工を行うことができる。また、2回連続の集中放電であってもその2発目における主放電電流を印加する前に集中放電であることが判断でき、それに基づき加工エネルギーを絞ることができるので、ワイヤ断線を防ぐことができる。あるいは、ワイヤが断線するまでの最大加工速度を上昇させることができる。さらに、材質の異なる被加工物を複数重ねた場合でも、Z軸方向の座標と各材質(被加工物)との対応関係を既知の状態にすることで、放電位置によって対応する材質を主放電電流印加前に判断することができ、それに基づき材質に応じて最適加工条件を選定し同時加工を行うことができるので、加工速度を向上することができる。
この発明によれば、被加工物の真直精度を向上し、2回連続の集中放電を防止し、さらに材質の異なる被加工物を複数重ねた場合でもそれぞれの材質に最適な加工条件を適用して同時に加工することが可能になるので、生産性が向上するという効果を奏する。
以下に図面を参照して、この発明にかかるワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるワイヤ放電加工装置の構成を示すブロック図である。図1において、符号1は、ワイヤ電極である。このワイヤ電極1は、上下方向に適宜間隔を置いて配置されるワイヤガイド2a,2bに案内されて例えば上方から下方に向かって走行する。ワイヤガイド2a,2bの間におけるワイヤ電極1の走行路には、被加工物(ワーク)3が所定間隔を置いて対向配置されるが、この被加工物3との対向位置を挟んで上下方向で近接した位置に加工液ノズル4a,4bが設けられている。すなわち、ワイヤ電極1の被加工物3との対向位置に上下から高圧の加工液を吹き付けて、放電加工屑を排除するようになっている。
ワイヤガイド2aの上方位置には給電点5aが、ワイヤガイド2bの下方位置には給電点5bが、それぞれワイヤ電極1に摺接して設けられている。加工用電源6の一方の出力電極は、被加工物3と極間電圧検出回路7の一方の入力端と平均電圧検出回路8の他方の入力端とに接続されている。加工用電源6の他方の出力電極は、給電点5a,5bを介してワイヤ電極1に接続され、また極間電圧検出回路7の他方の入力端と平均電圧検出回路8の他方の入力端とに接続されている。
加工用電源6は、予備放電用電源6aと主放電用電源6bとで構成される。予備放電用電源6aは、主としてワイヤ電極1と被加工物3との加工間隙(極間)の極間状態の検出を目的として極間に予備放電電流を供給する比較的低電圧の電圧パルス(予備放電用電圧パルス)を発生する。主放電用電源6bは、主として極間に加工用の主放電電流を供給する所定レベル所定パルス幅の電圧パルス(主放電用電圧パルス)を発生する。加工用電源6では、パルス発振器10の指示に従って予備放電用電圧パルスと主放電用電圧パルスをこの順に発生する。
平均電圧検出回路8は、極間の平均電圧を検出し、数値制御装置9に与える。ワイヤ電極1と被加工物3との相対位置を位置決めする駆動装置は図示してないが、数値制御装置9は、平均電圧検出回路7が検出した極間の平均電圧に基づき、前記駆動装置に対する指令値を演算する。
極間電圧検出回路7は、極間における無負荷時および放電時の電圧を検出し、パルス発振器10に与える。制御装置11は、予め定められている加工条件パラメータをパルス発振器10に与えることにより、加工電気条件をセットする。パルス発振器10は、制御装置11からの加工条件パラメータと、極間電圧検出回路7が検出した極間電圧と、後述する形状認識・補正回路16の出力とに基づき加工用電源6のスイッチング動作を制御し、極間への放電電圧パルスの印加を制御する。すなわち、加工用電源6とパルス発振器10とは全体として放電発生制御手段を構成している。加えて、パルス発振器10は、後述する予備放電位置判定回路14および主放電位置判定回路15に判定動作を開始させるトリガ信号を与える機能を備えている。
符号13a,13bは、それぞれ電流測定手段を構成する電流センサである。一方の電流センサ13aは加工用電源6の他方の出力電極と給電点5aとを接続する給電線12aに設けられ、他方の電流センサ13bは加工用電源6の他方の出力電極と給電点5bとを接続する給電線12bに設けられている。電流センサ13a,13bは、CT(カレント・トランス)やホール素子であり、それぞれ極間に流れる放電電流を検出し、検出結果を予備放電位置判定回路14と主放電位置判定回路15とに与える。
ここで、電流センサ13a,13bの時定数は小さいほうが好ましいが、大きなものでも近似的に電流値を求めることは可能である。また、後述する延長放電パルスや主放電パルス波形の変更を行えば、時定数の大きなセンサに見合ったサンプリング時間で計測が可能となる。
予備放電位置判定回路14は、電流センサ13a,13bが検出した予備放電電流に基づきワイヤ電極1における放電位置(予備放電位置)を判定し、その判定結果を形状認識・補正回路16に出力する。主放電位置判定回路15は、電流センサ13a,13bが検出した主放電電流に基づきワイヤ電極1における放電位置(主放電位置)を判定し、その判定結果を形状認識・補正回路16に出力する。すなわち、予備放電位置判定回路14と主放電位置判定回路15とは放電位置判定手段を構成している。
形状認識・補正回路16は、予備放電位置判定回路14と主放電位置判定回路15とがそれぞれ判定した放電位置の放電エネルギーを算出し、各放電位置における次の放電エネルギーを準備し、それを制御情報としてパルス発振器10に与える。すなわち、形状認識・補正回路16は加工エネルギー調整手段を構成している。
なお、主放電位置判定回路15は、用いない場合もある。また、図1では、電流センサは、予備放電位置判定用、主放電位置判定用を兼ねて13a,13bの1組だけ設けてあるが、予備放電位置判定用、主放電位置判定用をそれぞれ独立に設けてもよい。予備放電電流は、数A〜数十A程度であり、主放電電流は、最大ピーク電流が1000Aを超えるものである。それぞれの測定範囲に応じた最適な電流センサを選定すればそれだけ測定精度を向上することができる。なお、予備放電電流の観測には、CTよりもホール素子を利用した方がよい場合がある。CTは、交流型のセンサであり、周波数特性や周辺回路に気を付ける必要があるが、ホール素子は、周波数特性を考える必要がないからである。
次に、動作について説明する。図1において、パルス発振器10は、まず、予備放電用電源6aをスイッチング動作させて予備放電用電圧を極間に印加させ、極間電圧検出回路7が出力する極間電圧を監視するとともに、その極間電圧が印加電圧から所定の放電電圧に降下するまでの無負荷時間を計測する。極間電圧検出回路7は、検出した極間電圧をパルス発振器10に与えるとともに、例えば、コンパレータを使用し、極間電圧が印加電圧から所定の放電電圧に降下するタイミングで放電検出パルスを生成し、パルス発振器10に与える。
パルス発振器10は、極間電圧検出回路7が検出した極間電圧が予備放電用電圧のレベルを示し、長い無負荷時間後に放電検出パルスが入力するときは「正常放電」と判断し、短い無負荷時間後に放電検出パルスが入力するときは「即放電」と判断する。そして、極間電圧検出回路7が極間電圧を検出できないときは「短絡」と判断する。
パルス発振器10は、放電検出パルスが入力すると、また短絡と判断すると、予備放電用電源6aをオフ動作させ、次に主放電用電源6bをスイッチング動作させて主放電用電圧パルスを極間に印加させ、放電加工動作に移行する。以下、図2を参照して、この実施の形態1に関わる部分の動作を具体的に説明する。
図2は、図1に示すワイヤ放電加工装置の動作を説明するタイムチャートである。図2では、左方側に正常放電時の波形が示され、右方側に異常放電(即放電)時の波形が示されている。図2において、S1は、極間に印加する予備放電用電圧パルスの波形である。S2は、極間電圧検出回路7が出力する放電検出パルスの波形である。S3は、極間に印加する主放電用電圧パルスの波形である。S4は、予備放電位置判定回路14に予備放電位置の判定を開始させるトリガ信号の波形である。S5は、主放電位置判定回路15に主放電位置の判定を開始させるトリガ信号の波形である。S6は、形状認識・補正回路16が必要に応じて出力する主放電用電圧パルス印加停止信号の波形である。Wvは、極間の放電電圧波形であり、被加工物3を接地電位としたワイヤ電極1での電圧波形を示す。WIhは、上側電流センサ13aが検出した放電電流の波形である。WIlは、下側電流センサ13bが検出した放電電流の波形である。WIは、上側放電電流Whと下側放電電流Wlとを合算して得られる極間に流れる放電電流の波形である。
図2のS1,S2に示すように、極間に印加される予備放電用電圧は、放電検出パルス21a,21bが入力すると、その立ち上がりでゼロレベルになるので、予備放電開始までは、正常放電では極間に長い無負荷時間t1をパルス幅とする予備放電用電圧パルス20aが印加され、即放電では極間に短い無負荷時間t2をパルス幅とする予備放電用電圧パルス20bが印加される。
パルス発振器10は、図2のS3に示すように、放電検出パルス21aの入力後の適宜期間経過後に、正常放電と判断するときは主放電用電源6bから長いパルス幅の主放電用電圧パルス22aを極間に印加させ、また即放電と判断するときは極間状態が集中アークなどの異常状態に近いので、短いパルス幅の主放電用電圧パルス22bを極間に印加させる。したがって、図2のWIに示すように、正常放電時での主放電電流パルス26aは、即放電時の主放電電流パルス26bよりも長パルス高ピークの電流となる。
なお、この実施の形態1では、予備放電用電圧パルス20a,20bは正極性であり、主放電用電圧パルス22a,22bは負極性であるが、これらの極性は任意である。すなわち、予備放電用電圧パルスと主放電用電圧パルスは、同一の極性としてもよいし、任意のタイミングで正極性、負極性とを交互に入れ替えてもよい。
さて、パルス発振器10は、図2のS4に示すように、予備放電位置判定回路14に予備放電位置の判定を開始させるトリガ信号23a,23bを、放電検出パルス21a,21bの入力後主放電用電圧パルス22a,22bを極間に印加する前に、つまり、極間に予備放電電流25a,25bが流れている期間内に生成して予備放電位置判定回路14に与える。また、図2のS5に示すように、主放電位置判定回路15に主放電位置の判定を開始させるトリガ信号24a,24bを主放電用電圧パルス22a,22bがオフした後の主放電電流26a,26bが流れている期間内に生成して主放電位置判定回路15に与える。
予備放電位置判定回路14は予備放電電流25a,25bが流れている期間内におけるトリガ信号23a,23bの立ち上がりに同期して、また主放電位置判定回路15は主放電電流26a,26bが流れている期間内におけるトリガ信号24a,24bの立ち上がりに同期して、それぞれ、上側電流センサ13aが検出した放電電流WIhと、下側電流センサ13bが検出した放電電流WIlとを取り込み、双方の大小関係等からワイヤ電極1上の放電位置判定(計測)を行い、その判定結果を形状認識・補正回路15に与える。
ここで、予備放電電流25a,25bは、加工条件にもよるが、およそ10A〜30A程度の微弱電流であるので、様々な外乱(例えば浮遊容量や浮遊インダクタンス)の影響を受け易い。そこで、トリガ信号23a,23bは、本来的には放電検出パルス21a,21bと同一のものでもよいが、ここでは、放電初期の外乱がおさまる時間を選ぶことにし、予備放電電流25a,25bの略中間タイミングとなるように時間を調整している。具体的には、予備放電電流25a,25bのパルス幅はおよそ300ns〜600ns程度であるので、トリガ信号23a,23bは、放電検出パルス21a,21bから150ns〜300ns遅らせた位置で発生するように設計している。
パルス発振器10にてトリガ信号(図2のS4)を発生する方法は、上述のように放電検出パルス(図2のS2)を利用しさらにトリガとして最適なタイミングに調整する方法(以下「電圧検出方法」という)の他に、予備放電電流が流れた瞬間を捉えさらにトリガとして最適なタイミングに調整する方法(以下「電流検出方法」という)も採用することができるが、若干の注意点があるので、以下に図2のS4のタイミングにてトリガ信号を発生する方法に関して詳細に説明する。
A)電圧検出方法:極間電圧検出回路7は、上記したように、コンパレータを使用して予備放電用電圧の印加時から予備放電が発生して極間電圧が所定値(予備放電電圧値)に低下した瞬間をモニタし、放電検出パルスを出力している。正常放電時や即放電時では放電検出パルス21a,21bが確実に入力するので、パルス発振器10は、トリガ信号23a,23bを簡単に発生することができる。しかし、短絡時、もしくは極間インピーダンスが低く予備放電が発生しても極間には正常放電時や即放電時での放電電圧よりも低い電圧しか表れない状況時では、コンパレータが動作せず、放電検出パルスも出力されないという不都合がある。しかし、短絡状態において予備放電の電圧が極間に発生していなくとも予備放電電流は流れている。そして、短絡状態においてもパルス発振器10は上記したように主放電用電圧パルスの出力を加工用電源6に指示する。
そこで、パルス発振器10は、放電検出パルスの入力を待機している図2のS2のタイミングにおいて放電検出パルスが存在していなくとも、そのときの予備放電電流を用いて予備放電位置判定回路14が計測できるようにするため、短絡と判断して主放電用電圧パルスの印加指令を加工用電源6に出力する場合は、その印加指令を出力する直前にトリガ信号を発生する回路を備えている。このような回路は容易に実現できる。
B)電流検出方法:予備放電電流が流れた瞬間を捉える場合は、パルス発振器10は、上下2つの電流センサ13a,13bのうちの1つ、あるいは別に設けた専用の電流センサの検出信号を微分して、予備放電電流が流れた瞬間のパルスを作成することになるが、極間電圧が無負荷電圧である放電開始前の極間は容量性負荷となるので、極間に充放電電流が流れる場合があり、電流センサは、放電に無関係な充放電電流を検出する可能性がある。
そこで、パルス発振器10に、例えば図3に示すような充放電電流に反応しない回路を設けている。図3は、図1に示すパルス発振器が備える予備放電位置判定用トリガ信号の生成回路の一例を示す回路図である。図3において、電流センサの検出出力を微分する回路30の後段にマスク回路31を設け、このマスク回路31に、極間電圧検出回路7が検出した極間電圧の変化を検出する回路32が極間に印加された予備放電用電圧(無負荷電圧)を検出している期間内での微分回路30の出力に現れる充放電電流の微分信号を無効化させ、この無負荷電圧期間ではパルス発生回路33が反応しないようにする。そして、極間電圧変化検出回路32が印加された予備放電用電圧から降下した所定の予備放電電圧を検出したタイミングでの電流センサの検出出力の微分信号にパルス発生回路33が反応するようにする。これによって、予備放電電流が流れた瞬間を捉えたパルスを発生することができる。
一方、主放電電流26a,26bは、予備放電電流25a,25bよりも十分に大きいので、パルス発振器10は、比較的自由にトリガ信号24a,24bの発生位置を設定することができる。ここでは、主放電用電源6bからの印加が停止した瞬間(主放電電流26a,26bのピーク位置)にて放電位置を計測するように設定している。電流波形の最大値であればよりSN比の高い信号処理を行うことができる。
次に、予備放電位置判定回路14が図2のS4のタイミングにて予備放電電流を用いて放電位置の計測を行い、形状認識・補正回路16がその計測した放電位置において投入すべきエネルギー量を算出し、その算出結果をパルス発振器10に出力する。図2では、予備放電発生の検出後、全ての放電位置において主放電用電圧パルスを印加しはじめ、その後、図2のS6のタイミングにて、形状認識・補正回路16からパルス発振器10に主放電用電圧パルス印加停止信号27を出力するようにしている。印加停止信号27を破線で示したのは、必要に応じて発生することを強調したものである。
形状補正を効果的に行うためには、後述するような延長パルスを印加するなどの手段を用いない場合は、電流値を取り込んでから望ましくは500ns程度以内にパルス停止か否かの判定を行う必要がある。そのために放電位置判定の一手法としては、電流値をADコンバータでデジタルデータとして直接論理回路に取り込み、演算結果表と対応させることで1クロックでの位置判定が可能である。一度アナログ回路にて分流比等を算出するよりもデジタル処理を行ってから放電位置を求める方が短時間に処理することが可能となるので、予備放電から求めた放電位置を基に主放電のエネルギーをリアルタイムで変更することが可能となる。
図2において、主放電用電圧パルス22aと対応する放電電圧Wv、放電電流WIh〜WIに示す破線は主放電用電圧パルス印加停止信号27が出力された場合を示し、実線は主放電用電圧パルス印加停止信号27が出力されなかった場合を示している。
主放電用電圧パルス印加停止信号27が出力された場合には、パルス発振器10は、主放電用電圧パルス印加停止信号27の立ち上がりを検出して図2のS3における主放電用電圧パルス22aの印加を直ちに停止させる。主放電用電源6bは当初予定されていたパルス幅よりも短いパルス幅の破線で示す電圧パルス22aの印加をすることになる。それに伴って放電電流WIは、当初予定されていた電流幅(実線)よりも短い(電流ピークの低い)ものとなる。すなわち、その分だけ加工エネルギーは低く調整されたことになる。
この実施の形態1では、図2のWIに示すように、主放電電流は三角波電流を用いているので、主放電用電源6bの電圧が一定の場合には、当該主放電用電圧パルスのパルス幅に比例した電流ピーク値が求まり、加工エネルギーはパルス幅の2乗に比例したものと近似することができる。形状認識・補正回路16は、このような考えの元に主放電用電圧パルス印加停止信号27を作成すればよい。
勿論、図2のWIでは、主放電電流の電流形状は三角波形状としてあるが、これに限るものではない。矩形波電流、台形波電流などいかなるものであってもよい。それぞれの加工エネルギーとパルス幅の関係とが認識されていれば、それぞれの電流形状に応じたパルス幅の調整によって加工エネルギーの調整を行うことができる。
これに対し、主放電用電圧パルス印加停止信号27が出力されない場合は、パルス発振器10は、形状認識・補正回路16が算出した必要なエネルギー量を参照した後に図2のS3における主放電用電圧パルスのパルス幅を選択し、そのパルス幅分の時間経過後(実線)に印加停止の指示を出す構成となる。但し、形状認識・補正回路16の処理能力が十分でないときには、まず主放電用電圧パルスを印加しはじめ、その後、必要に応じて出力を停止するような構成とした方が、時間的に尤度を持って、すなわち、低速な素子を使用した簡単な回路構成で実現することができる。
ここで、真直精度と加工エネルギーおよび極間電流との関係について説明する。放電1回当たりに極間に消費される加工エネルギーは、「放電電圧×放電電流」である。放電電圧は、ほぼ一定とみなしてよいので、放電電流(電荷量)が加工エネルギーと比例することになる。
加工に必要な全エネルギーは、これら放電1回あたりの加工エネルギー(電荷量)に放電周波数fを乗じたものとなる。例えばワイヤ方向に対して放電が均一に分布している場合には、放電1回当たりのエネルギー(電荷量Q)に応じてワイヤ方向に対する加工量、加工形状が決まる。また、放電1回あたりのエネルギーを一定にした状態でもワイヤ方向に対して放電数に偏りがある場合には、その偏り(放電位置ごとの周波数)に応じてワイヤ方向に対する加工量、加工形状が決まることになる。
この発明の第1の目的は、加工エネルギーの調整による加工形状の調整にある。上述のように加工エネルギーWは、「加工エネルギーW=電荷量Q(≒放電1回当たりの投入電力)×放電周波数f」であるので、加工エネルギーの調整手法には、電荷量Qの調整、放電周波数fの調整、あるいはその両方の調整の3通りを想定することができる。この実施の形態1では、このうち電荷量Qに対する調整手法について説明し、その調整対象の電荷量Qとして、予備放電電流を利用して後続する主放電電流を調整する方法を採っている。
ところで、予備放電電流にて放電位置が正確に判断できることが望ましいが、先にも述べたように予備放電電流が小さいことから十分な位置精度が得られない場合がある。そこで、この実施の形態1では、図1に示すように、予備放電位置判定回路14に加えて、主放電位置判定回路15を設けてある。そして、図2のS5のタイミングにて主放電位置判定回路15が放電位置を判定した後、そのデータを形状認識・補正回路16が取り込み、予備放電での放電位置判定結果との比較を行うようしている。
具体的には、形状認識・補正回路16に、例えば補正テーブルを設け、主放電位置判定結果と予備放電位置判定結果とのマップを作成させ、予備放電位置判定結果が主放電位置判定結果とずれている場合には補正係数を予備放電位置判定結果に乗じ、次の予備放電位置判定結果の精度を高めるように動作させている。また、主放電位置判定回路15から得られた位置情報は正確と仮定し、形状認識・補正回路16に、そのX(Y)座標位置での加工エネルギーをZ軸ごとのデータとして蓄積させている。この実施の形態1では三角波電流を使用しているので、ここでの加工エネルギーには、主放電用電源6bの動作時間、すなわち図2のS3に示す主放電用電圧パルス22a,22bのパルス幅の2乗に比例したものを用いることにする。
図4を参照して、主放電位置判定回路15を追加した場合の動作について説明する。図4は、図1に示すワイヤ放電加工装置にて実現される加工方法を説明する概念図である。図4(a)に示すように、ワイヤ電極1が振動しながらXY面内での加工が進行して行く場合、被加工物3はワイヤ電極1の振動に沿った形状で加工されるが、図4(b)に示すように、そのときのZ軸上加工エネルギー量を被加工物3のX(Y)座標位置ごとに蓄積する。そして、図4(c)に示すように、その蓄積した累積加工エネルギー量を反転して、もしくはその蓄積した累積加工エネルギー量に任意の係数を乗じて、次パルスでの投入予定加工エネルギー量としてスタンバイさせておく。
これら累積加工エネルギーの時間は例えば数百usから数msの範囲でよく、またその位置は例えば10mm間隔の程度でよい。このような条件で複雑な板厚の被加工物を加工する場合、加工途中で被加工物のZ軸方向(ワイヤの進行方向)の形状が変化することも考えられる。このとき累積加工エネルギーは大きく偏ってしまうことになる。先の数百usから数msの範囲のなかで全く放電が検出できなかった場合、つまり加工エネルギーがゼロであった場合には被加工物3がその位置に存在しないと判断し、加工対象(投入予定加工エネルギー量)から除外するものとする。
要するに、この発明では、予備放電位置判定回路14での判定位置精度が十分高い場合には、主放電位置判定回路15は必要でない。すなわち、予備放電位置判定回路14のみで放電位置判定手段を構成してもよい。主放電位置判定回路15が必要でない分だけ回路規模は小さくなる。この場合には、上述の加工エネルギーの累積は、予備放電位置判定の結果から算出される位置とそこに印加した主放電用電圧パルスの設定パルス幅から算出する。そして、次の予備放電位置判定によって放電位置が特定されれば、上述の投入予定加工エネルギーに達するまで主放電用電源6bから主放電用電圧パルス印加によって放電電流を供給することになる。
このように予備放電位置判定回路14を用いると、今から加工しようとしている放電位置が特定できるので、どの程度のエネルギーを投入するかを設計することができ、Z軸方向(ワイヤ進行方向)において任意の加工形状を得ることができる。この実施の形態1の場合であれば真直精度向上に役立てることができる。
以上、パルス幅を用いて累積加工エネルギーの計算および出力調整を行っていると説明した。これによって、簡単な回路構成で制御信号のみを調整することで容易に加工エネルギーの調整を図ることができる。この実施の形態1では、パルス幅だけでなく、電源電圧を一定でなく放電1回ごとに可変することで、加工エネルギーの調整を実施することも可能である。
この場合、電源電圧を可変とすれば、電流波形は傾きの緩やかな波形となる。また、主放電用電源6bは、FETなどのスイッチング素子を並列に配置して構成することが一般的であるので、電源電圧を可変ではなく一定としても、これらのFETの動作数を変更すればON抵抗が変わるのを利用して、電流波形の傾きを緩やかにすることができる。このように電源電圧やFETの並列数を放電1回ごとに変更すれば、より細かく加工エネルギーを調整することができ、目標加工形状の精度が向上する。
勿論、累積加工エネルギーの計算のためには、パルス幅だけでなく、放電1回ごとに、パルス幅に電源電圧やFET並列数に応じた係数を乗じるなどの補正が必要である。あるいはより正確には、加工電流を積分し電荷量として取り込んでもよい。電流波形の傾きなどの変化や矩形波、台形波など大きく電流波形形状が変化しても直接加工エネルギーとして取り込むことができるため正確である。
なお、累積加工エネルギーを放電位置(Z軸)ごとに蓄積し、次にその放電位置で放電すべき加工量を計算すると説明したが、予め加工位置によって加工形状が経験的に分かっている場合は、必ずしもこれらの工程を踏まえる必要はない。例えば、ワイヤ中央部が通常膨らんでいることが経験的に予測されるのであれば、ワイヤ上下付近あるいはワイヤ中央付近と放電位置が分かった段階で加工エネルギーを計算に基づかず、任意に調整してもよい。
図2にて説明したように、この実施の形態1では、予備放電の段階で、極間状態に応じて無負荷時間の長い「正常放電」と、無負荷時間の短い「即放電」と、予備放電用電圧を印加しても極間に電圧が現れない「短絡」との3つに極間状態を分離することができる。これらのうち主として加工に寄与しているものは「正常放電」と考えてよい。
そこで、この実施の形態1による加工エネルギー調整は、「正常放電」だけに着目して行うのを基本とするが、もとより、「正常放電」「即放電」だけで、あるいは「短絡」までを含めた全てで加工エネルギー調整を行ってもよいことは言うまでもない。また、累積加工エネルギーの計算は、「正常放電」時だけで行ってもよいし、「即放電」時だけで行ってもよいし、「短絡」までを含めた全てで行ってもよい。そして、「正常放電」「即放電」で累積加工エネルギーを計算し、「正常放電」だけで加工エネルギー調整を行うなど、累積加工エネルギーの計算と、実際の加工エネルギー調整の方法とは独立していてよい。これらは位置精度や測定精度、調整後の加工形状精度、その他のあらゆる状況に応じて任意に選択可能である。全ての状態を計算し、調整すれば、それだけ形状認識・補正回路16の回路規模は複雑・大規模なものになる一方、いずれかの状態だけに着目するのであればその分だけ簡略化できることになる。
実施の形態2.
以上説明した実施の形態1では、アーク電圧を一定と仮定すれば、放電1回ごとの投入電力である電荷量Qと放電周波数fとの積として算出できる加工エネルギーを調整する加工エネルギー調整手段が、電荷量Qを調整する、つまり予備放電電流を利用して後続する主放電電流を調整する場合の構成例を示したが、この実施の形態2では、図5を参照して放電周波数fを調整する場合の構成例について説明する。
図5は、この発明の実施の形態2によるワイヤ放電加工装置の動作を説明するタイムチャートである。図5に示すS1,S3,Wv、WIは、実施の形態1(図2)と同様に、それぞれ、予備放電用電圧パルスの波形、主放電用電圧パルスの波形、極間の放電電圧波形、放電電流波形である。また、Toffは、予備放電用電圧パルスS1も主放電用電圧パルスS3も印加されない期間であり、極間電圧がほぼ0V、すなわち放電が発生しない休止期間である。そして、放電が発生しない期間Toffを挟んで、前回放電時の放電パルス(1)と、今回放電時の放電パルス(2)とが区別される。
放電位置の判定は、実施の形態1と同様に、予備放電電流を用いて行ってもよいし、後述のように主放電電流を元に行ってもよいが、いずれの場合であっても1回1回の放電での放電位置は大きくずれていないと推測される。これは、放電位置がワイヤ振動に依存しているためである。つまり、前回放電時の放電パルス(1)と今回放電時の放電パルス(2)との放電位置は、概略同じと考えてよい。
そして、休止期間Toffが短い場合、例えば2us〜10us程度のときには、放電パルス(1)と放電パルス(2)との放電位置は、近接しているが、休止期間Toffが長くなる場合、例えば10us以上(現実的には10ms以下)の場合では、両者の放電位置は、放電が発生しない期間Toffの時間に応じて離れていく。この休止期間Toffのおおよその時間範囲は、ワイヤ振動周期から見積もることができる。
このように、休止期間Toffを短くとれば、同一箇所での放電が増えるので、その加工位置における放電周波数fが増加することになる。逆に、この休止期間Toffを長くとれば、同一箇所で放電し難くなるので、その加工位置における放電周波数fが低下することになる。すなわち、加工位置毎に放電周波数が調整できるので、加工エネルギーの調整が可能になる。これによって任意の加工形状を得ることができる。
なお、ここでは、理解を容易にするため「休止時間」の調整によって放電周波数を変化させる場合を示したが、「休止」の形態に限るものではない。放電周波数の増減を調整操作する放電と放電の間隔とは、主放電と主放電の間隔を意味するものであるので、主放電パルスと主放電パルスとの時間間隔が制御できる形態であれば、いかなる形態でもよい。具体的には、例えば、図5に示す極間の電圧波形Wvの途中に点線で示すように、主放電用電圧パルスS3の印加とは無関係のパルスを極間に印加する形態でもよい。あるいは、予備放電用電圧パルスS1は主放電用電圧パルスS3の終了後に、休止期間Toffなしで直ぐに印加するが、休止期間Toffの間は仮に予備放電が発生しても主放電パルスを印加しないという形態でもよい。
さらに、極間状態に応じて、いわゆる正常放電、即放電、短絡などを判断している場合には、その極間状態を参照しつつ上記時間間隔Toffを制御しても良い。具体的には、極間状態が良好な正常放電の場合にはToff制御を行い、短絡と判断した場合にはToff制御を行わない形態でもよい。通常、正常放電の電荷量を短絡状態よりも大きくすることが多いので、加工形状に与える影響も正常放電の方が大きい。したがって、正常放電のときのみToff制御を行えば、時間効率よく所望の加工形状を得ることができる。
あるいは逆に、極間状態が良好な正常放電の場合にはToff制御を行わず、短絡(若しくは即放電)と判断した場合にのみToff制御を行う形態でもよい。短絡や即放電の状態では、極間距離が狭く本質的に同一箇所で放電が起こりやすい。すなわち、短絡および即放電の状態は、同一放電位置での放電周波数が高くなりやすい状態と考えることができる。したがって、短絡および即放電のときのみにToff制御を行うことで効果的に所望の加工形状を得ることができる。これらの制御形態は、加工装置の状態や加工状況に応じて任意に選定すればよい。
実施の形態3.
この実施の形態3では、予備放電電流が流れてから位置判定、エネルギー量読み出しまでにかなりの時間がかかる場合は、主放電用電圧パルス印加停止信号を作成しても時間的に間に合わず、作成した主放電用電圧パルス印加停止信号が用いられずに加工が終了してしまうことがあるので、それに対処する構成例について説明する。これは、放電発生制御手段が備える機構の構成例である。
この場合には、加工エネルギーは電荷量に比例することを利用する。すなわち、予備放電後にごく小さな放電(これを「延長放電」と呼んでいる)を持続して放電電流(これを「延長放電電流」と呼んでいる)を所定期間内流し、その後主放電に切り替える方法を採る。これには図6に示すように、2通りの方法がある。
図6は、この発明の実施の形態によるワイヤ放電加工装置の動作を説明するタイムチャートである。図6におけるS1〜S4は、図2に示すS1〜S4に対応しているが、図6のS1では、予備放電用電圧パルス20a,20bに所定パルス幅の電圧パルス(これを「延長放電用電圧パルス」と呼んでいる)35a,35bが付加されている。そして、図6のS3では、主放電用電圧パルス22a,22bが、延長放電用電圧パルス35a,35bのパルス幅分遅れて発生することが示されている。
図6のS7に示すパルス信号36a,36bは、延長放電を実施する制御信号であり、ほぼ放電検出パルス21a,21bの立ち上がりに同期して立ち上がり、延長放電用電圧パルス35a,35bのパルス幅と同じ時間幅の経過後に立ち下がるようになっている。つまり、延長放電用電圧パルス35a,35bは、制御信号36a,36bによって生成される。
図6のWI1,WI2は、上記した2通りの方法で生成される第1の放電電流と第2の放電電流である。正常放電時の場合を説明する。第1の放電電流WI1では、正極性の予備放電電流37の後に負極性の微少な延長放電電流38が所定期間流れ、引き続いて負極性の主放電電流39が流れる様子が示されている。第2の放電電流WI2では、正極性の予備放電電流40の後に同じ正極性の延長放電電流41が所定期間流れ、引き続いて負極性の主放電電流42が流れる様子が示されている。この場合の延長放電電流41は、予備放電電流40と同等もしくはそれ以上の大きさを持つが、主放電電流42よりは充分に小さい大きさである。
図7は、図6に示す第1の放電電流WI1を生成する回路の一例を示す回路構成図である。図8は、図6に示す第2の放電電流WI2を生成する回路の他の一例を示す回路構成図である。
図7に示す第1の放電電流WI1を生成する回路では、主放電用電源6bと予備放電用電源6aと並列に、延長放電電流38を生成する延長放電回路6cが接続されている。予備放電用電源6aは、直流電源V6aとスイッチング回路を構成する4つのFET6a−1〜FET6a−4とを備えている。4つのFET6a−1〜FET6a−4では、FET6a−1とFET6a−4の直列回路と、FET6a−2とFET6a−3の直列回路とが並列に直流電源V6aに接続されている。そして、FET6a−1とFET6a−4の直列接続端がワイヤ電極1に接続され、FET6a−2とFET6a−3の直列接続端が電流制限用抵抗器Rを介して被加工物3に接続されている。このように、予備放電用電源6aでは、高インピーダンスの電流制限用抵抗器R(抵抗値は例えば8Ω)を極間に直列に挿入するのが一般的である。
延長放電回路6cも、直流電源V6cとスイッチング回路を構成する4つのFET6c−1〜FET6c−4とを備えている。4つのFET6c−1〜FET6c−4では、FET6c−1とFET6c−4の直列回路と、FET6c−2とFET6c−3の直列回路とが並列に直流電源V6cに接続されている。そして、FET6c−1とFET6c−4の直列接続端がワイヤ電極1に接続され、FET6c−2とFET6c−3の直列接続端が被加工物3に接続されている。
延長放電回路6cの直流電源V6cは、予備放電用電源電圧と同等以上の電源電圧であればよりアークが切れにくくなるため望ましいが、必ずしも予備放電用電源電圧よりも高くする必要はなく同等程度でよい。しかし、極間に予備放電用電源6aと同じような高インピーダンスの電流制限抵抗器を直列に挿入すると、アークが維持できなくなる可能性があるので、少なくとも予備放電用電源で用いる抵抗値(8Ω)よりも小さな抵抗値に設計する必要がある。そのため、図7に示す延長放電回路6cでは、電流制限抵抗器を極間に直列に挿入しない構成とした。
次に、図6を参照しつつ、図7に示す第1の放電電流WI1を生成する回路の動作について説明する。なお、説明の便宜から正常放電時の場合を示す。図6のS1にて、FET6a−1、FET6a−2をON動作させて予備放電用電圧を極間に印加する。そして、図6のS2にて、放電検出パルス21aが入力すると、FET6a−1、FET6a−2をOFF動作させる。つまり極間には予備放電用電圧パルス20aを印加する。同時に図6のS7にて制御信号36aの立ち上がりでFET6c−3、FET6c−4をON動作させる。そして、図6のS7にて制御信号36aの立ち下がりでFET6c−3、FET6c−4をOFF動作させ、同時に主放電用電源6bから主放電用電圧パルス22aを出力させる。
これによって、放電初期では、正極性の予備放電電流37が、直流電源V6a→FET6a−1→ワイヤ電極1→被加工物3→電流制限抵抗器R→FET6a−2→直流電源V6aのループで流れ、予備放電用電圧パルス20aの印加時間(パルス幅)を経過すると即座に負極性の微少な延長放電電流38が、直流電源V6c→FET3c−3→被加工物3→ワイヤ電極1→FET3c−4→直流電源V6cのループで流れ始める。延長放電電流38は制御信号36aの立ち下がり時点まで流れ、即座に同じ負極性の主放電電流39が流れ始める。
一方、図6に示すように、第2の放電電流WI2における延長放電電流41は、予備放電電流40と同極性であり、大きさは予備放電電流40と同等もしくはそれ以上であるので、予備放電電流40を強化する関係にあると考えられる。したがって、この第2の放電電流WI2を生成する回路での延長放電回路は、図7に示した回路において、予備放電用電源6aと同等のもので構成してもよいが、ここではその他の構成例を示す。
すなわち、図8に示す第2の放電電流WI2を生成する回路では、より簡単な回路構成として、図7に示した回路において、延長放電回路6cに代えて延長放電回路6dが設けられている。延長放電回路6dは、予備放電用電源6aに一部回路として組み込んであるもので、電流制限用抵抗器Rと並列に接続される2つの双方向性スイッチSWで構成されている。
次に、図6を参照しつつ、図8に示す第2の放電電流WI2を生成する回路の動作について説明する。なお、説明の便宜から正常放電時の場合を示す。図6のS1にて、FET6a−1、FET6a−2をON動作させて予備放電用電圧を極間に印加する。そして、図6のS2にて、放電検出パルス21aが入力してもFET6a−1、FET6a−2をOFF動作させずON動作を継続する。同時に図6のS7にて、制御信号36aの立ち上がりで双方向性スイッチSWをON動作させ、制御信号36aのパルス幅分の時間経過後における制御信号36aの立ち下がりでFET6a−1、FET6a−2および双方向性スイッチSWをOFF動作させる。同時に主放電用電源6bから主放電用電圧パルス22aを出力させる。つまり、放電初期の極間には、予備放電用電圧パルス20aではなく、予備放電用電圧パルス20aに延長放電用電圧パルス35aを付加した長パルス幅の電圧パルスが印加される。
これによって、放電初期では、電流制限用抵抗器Rを介して流れていた正極性の予備放電電流40は、低インピーダンスの双方向性スイッチSWを通り、同極性の延長放電電流41となって流れ始める。延長放電電流41は、制御信号36aの立ち下がり時点まで流れ、即座に負極性の主放電電流42が流れ始める。
このように、実施の形態3によれば、主放電電流の供給タイミングを遅らせることができるので、予備放電の位置を判定し、形状認識・補正回路がパルス発振器に最適加工エネルギー量を指示するまでの時間を十分に確保することができ、よりダイナミックに主放電用電圧パルスによる加工量を調整することができる。例えば、主放電用電圧パルス印加停止信号が主放電用電圧パルスの出力タイミングよりも前に立ち上がればもはや主放電電流は供給されなくなる。また、形状認識・補正回路は、もはや高速部品が必要なくなるため回路構成が安価、簡略なものになる。
延長放電回路は、上記のようにアーク放電が持続できるように予備放電用電源よりも低インピーダンスとする必要があり、加工量をより正確に計測・調整するために主放電用電源よりも高インピーダンスである必要がある。このような考え方に基づけば、図8に示すように、予備放電用電源の一部を低インピーダンス化して延長放電回路を形成するというだけでなく、主放電用電源の一部を高インピーダンス化して延長放電回路としてもよいことになる。例えば、主放電用電源は電流容量を確保するためにFETを並列配置することが一般的である。そのFETの一部だけをON操作すれば、通常使用する主放電用電源よりも高インピーダンスで駆動することが可能となり、延長放電回路として動作させることも可能となる。
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態4によるワイヤ放電加工装置にて実現される加工方法を説明する概念図である。実施の形態1,3では、1stカット(荒加工)における真直性向上について説明した。この実施の形態4では、図1に示した構成において、形状認識・補正回路16は、1stカットでは加工エネルギー調整は行わず、純粋な形状モニタとして利用し、2ndカットにて加工エネルギー調整を行う方法について説明する。
図9では、1stカットにおいて主放電位置判定回路15にて判別される位置情報とそこに投入される加工エネルギーを形状認識・補正回路16から制御装置11に出力し、制御装置11にて全て取り込んだ様子が示されている。なお、ここでは、放電位置の判別では、より判別しやすい主放電位置判定回路15を用いることにするが、前記したように、予備放電位置判定回路14を用いてもよいことは言うまでもでない。
形状認識・補正回路16は、X軸,Y軸の2次元的な位置情報とZ軸ごとの加工エネルギーとを制御装置11が備える記憶手段である記憶装置にリアルタイムに保存していくことで、1stカット時の形状モニタとして動作することが可能である。加工エネルギーを反転させたものが被加工物3の加工量となるので、図9に示す例で言えば、被加工物3の最終的な目標加工位置45に対し上下端が主に加工できていないことになる。
そこで、2ndカットでは、形状認識・補正回路16がX,Y座標ごとに制御装置11からZ軸方向のそれぞれの位置における加工すべき量をパルス発振器10に出力させ、それに応じてパルス発振器10が加工用電源6に指令を出力する。2ndカットレベルであれば、主放電電流の電流値自体は低いものの、予備放電用電源6a、主放電用電源6bの2つを使用して加工するので、実施の形態1と同様に、予備放電電流から放電位置を特定し、主放電用電源6bの加工エネルギーを調整する手法を採ってもよい。このように、形状認識・補正回路16は、この実施の形態4では、制御装置11を利用して形状予測手段および加工エネルギー調整手段として動作している。
1stカットにおいては加工エネルギーの調整を行わないので、1stカットの加工速度は向上する。また、2ndカットにおいては、加工すべき量が予め得られているので、形状認識・補正回路16には高速性・大容量は必要とせず、簡単な構成で真直精度向上を図ることができる。
そして、2ndカットにて加工エネルギー量を放電位置ごとに計測して制御装置11に取り込むので、1stカット、2ndカットを合わせて現在の加工形状をモニタリングすることができ、3rdカット以降の条件設定に役立てることも可能となる。3rdカット以降では、一般的に主放電用電源6bは、もはや用いられず全て予備放電用電源6aを用いた微弱加工の時間領域となる。
図10は、荒加工条件の電圧・電流波形と比較した仕上げ加工条件の電圧・電流波形の一例を示す図である。図10(a)は荒加工条件の電圧・電流波形例を示し、図10(b)は仕上げ加工(微細加工)条件の電圧・電流波形例を示す。図10(a)(b)に示すように、仕上げ加工(微細加工)条件でのピーク電流値はおよそ数A〜数十A程度と荒加工条件の予備放電電流と同等以下であるが、放電周波数は数MHz程度となり、荒加工条件での数十kHzよりもかなりの高周波となる。この仕上げ加工の時間領域では、荒加工条件での予備放電電流47、主放電電流48という概念がなくなるので、リアルタイムに放電位置を計測し加工エネルギーを絞ることは難しい。
しかしながら、仕上げ加工(微細加工)条件では、予め被加工物の形状が把握できているので、どこで放電するかは、おおよそX,Y座標の認識だけで予測することはできる。例えば、予測加工形状に応じてワイヤ電極の接近とともに、放電ギャップが狭くなり、放電しやすい場所が推測できれば、予め投入加工エネルギーを調整した加工電流を流せばよい。ここでは、加工エネルギー投入の際にはもはや放電位置判定回路は通していないが、実際に流れた加工電流によって放電位置を計測し、予測加工形状、予測放電位置の修正を図ればなおよい。
但し、ここでの加工エネルギーのレベルは、放電電流パルスが流れている時間ではもはや十分には調整できないレベルである。これは極間がオープン(非放電)状態のときに容量性負荷として蓄えた電荷が放電と同時に加工電流として流れ込みそのまま放電が終了してしまうためである。すなわち、予備放電用電圧を極間に印加したままであっても、極間では、勝手に、放電ギャップ(極間)への充電→極間電圧の上昇→放電開始→極間電圧低下→放電停止→放電ギャップへの充電・・といったサイクルが進行してしまうのである。
そこで、加工エネルギーの調整は、予備放電用電源6aの電圧値を可変して調整する、あるいは、予備放電用電源6aと極間との間に設けた抵抗器の抵抗値を可変して調整するものとする。このときの回路構成を図11に示す。図11は、仕上げ加工条件における加工エネルギーを調整する回路の一例を示す回路構成図である。
図11では、予備放電用電源6aと被加工物3との間に、双方向性スイッチSWと電流制限用抵抗器Rの直列回路の複数個(図11では双方向性スイッチSW1と電流制限用抵抗器R1の直列回路と、双方向性スイッチSW2と電流制限用抵抗器R2の直列回路との2つ)を並列に接続している。電流制限用抵抗器R1は例えば1kΩであり、電流制限用抵抗器R2は例えば2kΩである。
加工量を多くとりたい場合には、電流制限用抵抗器R1,R2を並列に動作させることで0.67kΩの電流制限用抵抗器とし極間に仕上げ加工電流を供給する。また、加工量を小さくしたい場合には、例えば電流制限用抵抗器R2のみ動作させることで2kΩの電流制限用抵抗器とし極間に加工電流を供給する。これによって、電源電圧の調整同様に加工エネルギーを調整することができ、3rdカット以降の形状補正が可能となる。このとき、当然、このような微弱加工電流領域であっても電流センサ13a、13bの信号を元に放電位置を判断することは可能である。
また、予測放電位置と実際の放電位置が大きく異なる場合は、連続する放電位置を元に次の放電を判断し加工エネルギーの調整を行ってもよい。例えば図10にて説明したように、仕上げ加工条件においては高周波電流が連続して流れている。場合によっては放電と放電が連続していることもある。これらはほぼ同一箇所にて放電していると考えてよい。そのため、前の放電位置を元に次の放電位置もほぼ同等位置と考えれば、その位置における必要加工量を形状認識・補正回路16および制御装置11の保持内容から判断し、加工エネルギーを調整することができる。
以上のように、実施の形態1〜4による形状補正の考え方は、加工エネルギーをモニタしてその加工エネルギーの調整を行うものであるので、例えば同一加工領域での放電が連続したときに、電流パルス幅が狭まる、ピーク電流が小さくなる、その他加工電流の積分値である電荷量が小さくなるといった加工エネルギーの減少が確認されれば、この発明に即した加工形態であるといってよい。
ここで、例えば特許文献1とこの発明との違いについて説明する。この発明に基づき真直精度向上を図った場合、加工エネルギーの偏りから発生する加工量のムラを補正するように形状認識・補正回路16が動作する。これに対し、特許文献1に代表される従来の放電位置検出器を利用したワイヤ放電加工装置での目的は、集中放電の検出およびその回避(制御)にある。集中放電とは、同一位置での加工エネルギーの偏りであるので、この発明も従来例も共に加工エネルギーの偏りを検出して制御するものと位置づけることができる。しかしながら、両者には、概念的に違いが存在するので、その動作は大きく異なっている。
従来例での集中放電検出は、同一位置で時間的に連続する放電を議論したものである。従来例において同一位置と言える範囲は、この場合、1回の放電の大きさ(例えばアーク柱)の範囲であり、せいぜい数十um〜数百umの程度と考えてよい(非特許文献1)。また、時間的な範囲もせいぜい2ms〜3msの程度である(非特許文献2)。これに対して、この発明で開示する形状補正は、Z軸方向に対して数mm〜十数mmの範囲における加工エネルギーの偏りを数百ms〜数秒の間で観測して処理するものである。つまり、この発明での集中放電検出は、非特許文献2のような集中放電がもはや観測されない領域での議論である。
なお、加工エネルギーの偏りのカウント時間に関しては、厳密にはワイヤ進行方向の加工速度とX(Y)座標における精度とから算出すべきものである。例えば、板厚60mmの被加工物を、径0.3mmのワイヤ電極を用いて300mm2/min条件で加工することを考える。このとき、放電ギャップは、100um程度、ワイヤ振動も±100um程度と考えれば、やはり累積エネルギーのカウント量もワイヤ進行方向に対してせいぜい100um程度に設定することを考えればよい。ワイヤ電極は、進行方向に5mm/minで進むので、100umでは1.2秒かかることになる。つまり、この程度の時間にて累積エネルギーを計算し、形状認識すればよい。仮に10um精度といった高精度にて形状補正を行うにしても加工時間は120ms必要であることから、非特許文献2で言うところのいわゆる集中放電の制御とは異なることが分かる。
具体的には、例えば特許文献1に開示される集中検出回路では、数百um以下の被加工物にて加工した場合において、放電開始から数発〜数百発の間に集中放電と判断して加工エネルギーを減少させるのに対し、この発明で開示する形状認識・補正回路16では、数mm以上の被加工物にて加工した場合に対して放電開始から数百〜数万発の間にエネルギー過多を認識して、加工エネルギーを減少させるものである。逆に、同一の被加工物条件で考えれば、集中検出回路が全く反応しない放電が分散した状態であっても統計的に加工エネルギー過多が存在すれば、形状認識・補正回路16は動作し、その加工エネルギーの調整を行うことができる。
実施の形態5.
図12は、この発明の実施の形態5によるワイヤ放電加工装置の構成を示すブロック図である。この実施の形態5では、予備放電電流による放電位置判定でなく、主放電位置予測に基づく加工エネルギー調整について説明する。すなわち、図12では、図1(実施の形態)に示した構成において、予備放電位置判定回路14が省略され、主放電位置判定回路15と形状認識・補正回路16との間に、放電位置予測回路17が設けられている。放電位置予測回路17を設けた意義について、図13を参照して説明する。
図13は、図12に示す主放電位置判定回路から得られた放電位置とそれを元に次の放電位置を予測したときの様子を示す図である。図13において、横軸は加工時間、縦軸は被加工物座標(放電位置)である。図13(a)に示す実験データは、板厚60mmの被加工物を使用して主放電位置判定回路15から得られた放電位置をプロットしたものである。
真直性低下の一要因としてワイヤ振動があることは既に述べた。振動は、ある規則性を有し、それに応じて放電位置もある規則性を有したものとなる。図13(a)に示す実験データから、放電位置は上から下に、下から上にと連続的に推移しており、全く無秩序に放電しているわけではないことが分かる。また、そのときの周期は、およそ300us(周波数3.3kHz)である。
図13(b)に示す予測データはこの実験データを元に予測点を算出してプロットしたものである。両者にはよい一致が見られる。このときの予測計算とは、単純にN(−1)の放電位置とN(0)の放電位置とから移動距離を算出し、N(0)にその移動距離を足し合わせることでN(+1)の放電位置とするものである。そして、計算結果が+30以上、−30以下となった場合には折り返すものとした。このように時間的な概念を一切省いた単純な系であってもある程度の放電位置の予測は可能である。これは、これら観測条件においては放電が時間的に均一に発生していたためと考えることができる。
このとき、時間軸に対して放電が不均一である場合は、時間補正が必要となる。すなわち、N(−1)の放電位置とN(0)の放電位置とから移動距離を算出すると同時に、N(−1)の時間とN(0)の時間とから放電間隔を算出することで、N(−1)からN(0)までの移動速度を求める。そして、N(+1)の放電検出の瞬間にその移動速度から求めるN(0)からの移動距離を算出し、N(+1)の位置を見積もるようにした。
つまり、図12に示した構成では、主放電位置判定回路15が放電位置の確認を行い、その過程で算出される放電位置から上述のアルゴリズムに従って放電位置予測回路17が次の放電位置を予測し、その予測した位置情報を形状認識・補正回路16に送る。形状認識・補正回路16では、このようにして得られた予測位置における目標加工エネルギーを実現すべくパルス発振器10に指令を出す。パルス発振器10は、加工用電源6に制御信号を出して加工を行う。そして、その加工電圧によって流れた実際の放電電流を主放電位置判定回路15にて計測し、次の放電を予測するために放電位置予測回路17に信号を出すと同時に、実際の放電位置を形状認識・補正回路16に送り加工エネルギーを計算していくことになる。このように、予め求めていた投入加工エネルギーをこの予測位置に投入することで実施の形態1と同様に真直性向上の効果を得ることができる。
このように、実施の形態5によれば、主放電位置判定を利用した放電位置予測法を用いるので、予備放電位置判定回路14による放電位置判定は必要でなくなる。そのため、予備放電位置判定から主放電電流投入までの短時間での演算が不要になるので、高速部品は必要なくなり、比較的単純、安価な構成で形状認識・補正回路を実現することができる。
実施の形態6.
この発明の主たるポイントの1つは主放電電流が印加される前に放電位置を探ることにある。実施の形態1では予備放電電流を利用して放電位置を算出する場合を示し、実施の形態5では主放電位置判定を利用した放電位置予測により次の放電位置を予測する場合を示した。この実施の形態6では、その他の放電位置算出方法として、主放電電流パルス直前の予備放電パルスではなく、それ以外のパルス(これを「ダミーパルス」と呼んでいる)を利用した放電位置計測の例を示す。例えば、水中放電加工の場合は、電蝕を防ぐために、予備放電パルスの印加前に交流パルスを印加して極間の平均電圧を略0Vに制御することが知られている。加工とは無関係に印加されるこのパルスをこの実施の形態6ではダミーパルスとして位置計測用に利用することとする。
実施の形態1にて説明した予備放電位置判定の課題は、予備放電発生から、位置判定、形状認識、加工エネルギー調整(印加停止信号出力)までの高速性にあった。そのため必要であれば延長放電回路等を利用することが望ましいと説明した(実施の形態3)。これに対して実施の形態6で示すダミーパルスは、予備放電パルスが印加される前のパルスにおける放電位置を利用しているので、比較的時間的な余裕がある。また、実施の形態4にて説明したように放電位置には規則性があり、時間的に近接する放電と放電は空間的にも近接しているので、ダミーパルスでの放電位置と主放電電流における放電位置とはほぼ等しいと考えることができる。
この実施の形態6では、図1(実施の形態1)に示したワイヤ放電加工装置の構成を利用して説明する。そこでの予備放電位置判定回路14をそのままダミーパルス位置判定回路と読み替えるだけで利用することができる。図14は、この発明の実施の形態6によるワイヤ放電加工装置の動作を説明する波形図である。
図14において、ダミーパルス50は、本来上述のように極間平均電流を0Vにするためのものであり加工には寄与していない。ここでの放電を検出し、ダミーパルス位置判定回路14にて放電位置計測53を行う。次の、予備放電用電圧パルス51の印加、放電検出、主放電用電圧パルス52の印加までの時間は比較的長く数usから数十usである。この間に、この放電位置における最適加工エネルギーを形状認識・補正回路16が判断し、パルス発振器10は必要なパルス幅の主放電電流パルス54が流れるように、主放電用電源6bを制御して主放電用電圧パルス52を出力させる。実際の放電位置計測は、実施の形態1と同様に主放電電流位置判定回路15を用いればよい。
このような構成とすることで、放電位置判定回路14,15と、形状認識・補正回路16とは、高速仕様とする必要がなく比較的簡単な構成で真直精度向上させる形状補正を行うことができる。なお、図14では、ダミーパルスとして予備放電パルスと逆極性のパルスを用いているが、ダミーパルスの極性に制限はない。
実施の形態7.
図15は、この発明の実施の形態7によるワイヤ放電加工装置の動作を説明する波形図である。この実施の形態7では、ダミーパルスではなく、予備放電用電圧パルスを利用してダミーパルスを用いた実施の形態6と同等の作用・効果を得る方法について説明する。
図15において、予備放電用電圧パルス56は、2回の予備放電用電圧パルスを印加した場合を示している。つまり、最初に予備放電を検出しても主放電用電圧パルス57を印加せず、2回目に予備放電を検出したときに、放電位置計測58を行って、主放電用電圧パルス57を印加するように動作させ、必要なパルス幅の主放電電流パルス59が流れるようにする。このような方式によっても、上述のダミーパルスと同様の効果を得ることができる。
従来例で説明したように、通常、ワイヤ放電加工装置においてはZ軸方向(ワイヤ進行方向)の放電状態を調整することはできない。せいぜいワイヤ進行方向に対して放電状態を調整する程度であり、その場合にはZ軸方向は均一な電気条件(加工状態)となる。これに対して、この発明によれば、各実施の形態にて説明したように、放電位置を検出(若しくは予測)すると同時に、加工エネルギーを調整するので、Z軸方向において電気条件を変えることができる。実施の形態1〜7では主に真直精度向上のための利用方法について述べてきたが、もちろんこの限りではない。
以降に示す実施の形態8〜10では、以上説明した実施の形態1〜7に示した方法を使用した加工例(その1〜その3)について説明する。
実施の形態8.
図16は、この発明の実施の形態8として、被加工物の場所によって異なる加工方法を実施する加工例を説明する概念図である。この発明では、図16に示すように、被加工物3の一部分61(図16では上方側の面)だけ面粗さを粗くし、別の一部分62(図16では下方側の面)の面粗さは細かくすることができる。
面粗さと放電1回あたりの放電エネルギーとには相関があることが知られている。それを利用して、面を粗くしたい箇所61は電荷量が大きくなるように設定し、面を細かくしたい箇所62は電荷量が小さくなるように設定する。このように面粗さを一部変化させることにより嵌合部品などにおいて新用途が期待できる。
このような加工は、1stカットに留まるものではない。2ndカット以降の面付け加工にも応用は可能である。1stカットでは通常の加工を行い、2ndカットにて選択的に図16での下方側の面だけを仕上げていくことで、面粗さに差を付けることも可能である。
実施の形態9.
図17は、この発明の実施の形態9として、被加工物の一部だけを加工する場合の加工例を説明する概念図である。この発明では、図17に示すように、被加工物の一部分だけを加工することができる。特に面付け加工において特定場所のみを掘り下げて加工することも可能となる。掘り下げ深さの上限は、加工箇所以外が短絡によって加工を阻害する領域である。例えばワイヤテンションを緩めることで、ワイヤ電極1の径の0.01倍から5倍程度までの掘り下げ加工は可能と考えることができる。
精度加工には、精度を高めるためにワイヤ電極1のテンションはある程度を強く設定することが必須条件とされてきたが、この発明の技術を用いれば、もはやワイヤテンションの設定に制限はなくなる。一般的にワイヤ強度はワイヤ断面積に比例し、ワイヤテンションに反比例するので、ワイヤテンションを緩くすることで、ワイヤ耐力を増加させ、加工エネルギーをさらに強めるので、高速化を図ることも可能となる。
実施の形態10.
図18は、この発明の実施の形態10として、材質の異なる被加工物を複数重ねて同時に加工するときの加工例を説明する概念図である。この発明では、図18に示すように、材質の異なる被加工物を複数重ねた場合にそれぞれを同時に加工することができる。図18では、低抵抗材64,66の間に高抵抗材65が挟まっている例が示されている。
高抵抗材65などの難加工材の加工では、例えば長パルス低ピークな電流波形が最適加工条件となる場合がある。そして、通常の低抵抗材64,66では、逆に短パルス高ピークな電流波形が望ましい。これらが重ね合わさった図18に示すような複合材を加工する場合に、従来では、どちらかがどちらかの条件に合わせて、あるいは両者とも最適条件からはずした状態で加工せざるを得なかった。
これに対して、この発明では、図18に示すような複合材でも、その板厚つまり材質の分かれ目が把握できていれば、すなわち、加工前の条件設定時に予めそれぞれの被加工物の板厚および適用する電流波形を制御装置11が備える記憶装置に用意すれば、実施の形態1〜7にて説明した方法を用い、その境界位置と放電位置(図中上下方向のZ軸上位置)とを比較することにより現在どの材質を加工しているかが判断できる。そして、高抵抗材65を加工する放電位置と判断した場合には、加工用電源6から長パルス低ピークの電流波形を印加して加工し、低抵抗材64,66を加工する放電位置と判断した場合には加工用電源6から短パルス高ピークの電流波形を印加して加工する。このような加工を行うことにより、異なる複数の材質素材を重ねて同時に加工する場合においてもそれぞれの材質に適した電流波形を選択して印加することができるので、高速且つ良質な加工を行うことができる。なお、電流波形の形状形成は、例えば電源電圧の操作やFETの並列動作数を変えるなどの方法で実現できる。
実施の形態11.
この実施の形態11では、集中放電検出・回避技術をより高性能に行う方法に関し、この発明と従来例との優位差について説明する。従来例での集中放電検出は、特許文献1を始めとして、主放電電流によって放電位置を計測するものであり、主たる加工電流印加前に放電位置を特定するという発想ではない。そのため、集中放電検出回路もまた複数回の放電が連続して略同一箇所に発生した場合にワイヤ電極の送り速度を速める、ワイヤテンションを弱める、加工エネルギーを絞る、放電休止期間を広げる、などの集中回避策若しくは断線防止策を講じるものである。つまり、最低限でも2回の集中放電を検出して3回目以降の放電制御を行うというものとなる。
これに対し、この発明では、主たる加工電流印加前に放電位置が判断できるので、その時点で集中放電か否かを判断することができる。これは、実施の形態1に示すように予備放電用電圧パルスを用いて放電位置を計測してもよいし、実施の形態6に示すようにダミーパルスを用いて放電位置を計測してもよい。また、実施の形態5に示すように放電位置を予測するような場合であったとしても、放電位置の変化率が小さくなるような予兆を捉えることで集中放電を予測することも可能である。
いずれにせよ、この発明では、主放電電圧パルス印加の前に集中放電か否かを判断し、集中放電、つまり同一箇所への放電と判断した場合には、加工エネルギーを当初予定していた投入量から減らすようにすることができるので、ワイヤ断線を防止し、生産性を向上させることができる。
以上のように、この発明にかかるワイヤ放電加工装置では、予備放電電流にて放電位置検出を行い、引き続き印加される主放電電流のエネルギーを調整する。回路内に形状判定回路を設け、主放電電流のエネルギー量を放電位置情報と共に蓄積し、その放電位置での最適主放電エネルギー量を算出しておく。予備放電電流にて放電位置が判断されると、形状判定回路からその位置情報における最適主放電エネルギー量分だけ電源回路を動作させる。
また、放電位置は、主にワイヤ振動によりある規則性を有して移り変わることが考えられるので、この規則性を利用し次に放電する位置を推測する。具体的には、放電位置予測回路を設け、次の位置を予測して形状判定回路から算出されるエネルギー量分だけを加工する。主放電電流にて真の放電位置も計測し、放電位置予測回路の計算過程を修正することも併用する。
集中放電検出回路への応用を図る場合は、予備放電電流を利用した放電位置判定手段を利用し、前回(直前)の放電位置と同一箇所と判断した場合は、主放電電流のエネルギーを絞る、もしくは主放電電流の印加自体を停止することで集中放電によるワイヤ断線を防止する。
また、材質の異なる被加工物を複数重ねて加工する場合は、加工前の条件設定時に予めそれぞれの被加工物の板厚および適用する電流波形をプログラムして記憶装置に用意し、上記予備放電電流による放電位置判定や放電位置予測回路と連動して被加工物の材質を判断し、それぞれを最適加工条件にて加工するようにする。
斯くして、この発明によれば、加工位置ごとに必要に応じて加工エネルギーを絞り込むことができるので、真直精度を高めることができる。そして、より積極的にワイヤの進行方向(Z軸方向)に任意の形状の加工を行うことができる。
また、放電位置予測回路を用いれば、主放電電流終了後から次の主放電電流印加までの時間の間に放電位置を予測し、必要加工エネルギーの選定を行うことができるので、回路部品を必要以上に高速なものに選定する必要がなく、比較的安価な回路構成で設計することができる。
さらに、予備放電電流を利用して集中放電の判定を行えば、その2発目における主放電電流を印加する前に集中放電であることが判断でき、それに基づき加工エネルギーを絞ることができるので、ワイヤ断線を防ぐことができる。あるいは、ワイヤが断線するまでの最大加工速度を上昇させることができるので、生産性を向上することができる。
加えて、材質の異なる被加工物を複数重ねた場合でも、Z軸方向の座標と各材質(被加工物)との対応関係を既知の状態にすることで、放電位置によって対応する材質を主放電電流印加前に判断することができ、それに基づきその材質に応じて最適加工条件を選定することができるので、同時加工が可能となる。つまり、材質の異なる被加工物を複数重ねた場合でも、加工速度を向上することができ、生産性を向上することができる。
以上のように、この発明にかかるワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法は、真直性の向上を図り、2回連続の集中放電によるワイヤ断線を防止し、材質の異なる被加工物を複数重ねた場合でも加工速度を落とさずに生産性を高めるのに有用である。
図1は、この発明の実施の形態1によるワイヤ放電加工装置の構成を示すブロック図である。 図2は、図1に示すワイヤ放電加工装置の動作を説明するタイムチャートである。 図3は、図1に示すパルス発振器が備える予備放電位置判定用トリガ信号の生成回路の一例を示す回路図である。 図4は、図1に示すワイヤ放電加工装置にて実現される加工方法を説明する概念図である。 図5は、この発明の実施の形態2によるワイヤ放電加工装置の動作を説明するタイムチャートである。 図6は、この発明の実施の形態3によるワイヤ放電加工装置の動作を説明するタイムチャートである。 図7は、図6に示す第1の放電電流WI1を生成する回路の一例を示す回路構成図である。 図8は、図6に示す第2の放電電流WI2を生成する回路の他の一例を示す回路構成図である。 図9は、この発明の実施の形態4によるワイヤ放電加工装置にて実現される加工方法を説明する概念図である。 図10は、荒加工条件の電圧・電流波形と比較した仕上げ加工条件の電圧・電流波形の例を示す図である。 図11は、仕上げ加工条件における加工エネルギーを調整する回路の一例を示す回路構成図である。 図12は、この発明の実施の形態5によるワイヤ放電加工装置の構成を示すブロック図である。 図13は、図12に示す主放電位置判定回路から得られた放電位置とそれを元に次の放電位置を予測したときの様子を示す図である。 図14は、この発明の実施の形態6によるワイヤ放電加工装置の動作を説明する波形図である。 図15は、この発明の実施の形態7によるワイヤ放電加工装置の動作を説明する波形図である。 図16は、この発明の実施の形態8として、被加工物の場所によって異なる加工方法を実施する加工例を説明する概念図である。 図17は、この発明の実施の形態9として、被加工物の一部だけを加工する場合の加工例を説明する概念図である。 図18は、この発明の実施の形態10として、材質の異なる被加工物を複数重ねて同時に加工するときの加工例を説明する概念図である。
符号の説明
1 ワイヤ電極
2a,2b ワイヤガイド
3 被加工物
4a,4b 加工液ノズル
5a,5b 給電点
6 加工用電源
6a 予備放電用電源
6b 主放電用電源
6c,6d 延長放電回路
V6c 直流電源
V6a,V6c 直流電源
6a−1〜6a−4,6c−1〜6c−4 FET
R,R1,R2 電流制限用抵抗器
SW,SW1,SW2 双方向性スイッチ
7 極間電圧検出回路
8 平均電圧検出回路
9 数値制御装置
10 パルス発振器
11 制御装置
12a,12b 給電線
13a,13b 電流センサ
14 予備放電位置判定回路(ダミーパルス位置判定回路)
15 主放電位置判定回路
16 形状認識・補正回路
17 放電位置予測回路
30 微分回路
31 マスク回路
32 極間電圧変化検出回路
33 パルス発生回路

Claims (12)

  1. ワイヤ電極と被加工物との電極間に、少なくとも予備放電用電圧パルスと主放電用電圧パルスとをこの順に印加してパルス状の放電を発生させる放電発生制御手段と、前記電極間に流れる放電電流を複数の通電経路にて測定する電流測定手段と、前記複数の電流測定手段の測定結果から放電位置を判定する放電位置判定手段と、前記被加工物のZ座標上ごとに加工エネルギーを蓄積する形状認識・補正手段とを備えるワイヤ放電加工装置において、
    前記予備放電用電圧パルスの印加時において前記放電位置判定手段が求めた放電位置、または直前の前記主放電用電圧パルスなどから算出した過去に放電した放電位置から予測した放電位置、或いは前記予備放電用電圧パルスの印加前に発生する電圧パルスの印加時において前記放電位置判定手段が求めた放電位置のうちのいずれか一つの放電位置を前記主放電用電圧パルスの印加前に判定した放電位置とし、その判定した放電位置ごとに前記形状認識・補正手段が指定する当該主放電用電圧パルスのパルス幅または電圧値を前記放電発生制御手段に与えることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  2. 前記形状認識・補正手段は、前記被加工物が異なる材質の材料を複数個重ねたものである場合に、前記予備放電用電圧パルスの印加時において前記放電位置判定手段が求めた放電位置、または直前の前記主放電用電圧パルスなどから算出した過去に放電した放電位置から予測した放電位置、或いは前記予備放電用電圧パルスの印加前に発生する電圧パルスの印加時において前記放電位置判定手段が求めた放電位置のうちのいずれか一つの放電位置を前記主放電用電圧パルスの印加前に判定した放電位置とし、その判定した放電位置に印加する前記主放電電圧パルスの波形を前記被加工物の材質ごとに決定し、その決定結果を前記放電発生制御手段に与えて反映させることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  3. 前記形状認識・補正手段は、前記主放電用電圧パルスを出力した前記放電発生制御手段に主放電用電圧パルス停止信号を与えることにより、前記主放電用電圧パルスのパルス幅の調整を行うことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  4. 前記形状認識・補正手段は、前記予備放電用電圧パルス及び前記主放電用電圧パルスが印加されない休止期間の調整を含み前記主放電用電圧パルスの印加時間間隔の調整によって放電周波数を制御し加工エネルギーを調整することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  5. 前記放電発生制御手段は、前記予備放電用電圧パルスによる放電後も同極性の放電を持続させることで前記主放電用電圧パルスの印加時期を遅延させる機構として、前記予備放電用電圧パルスと前記主放電用電圧パルスとの間で、前記予備放電用電圧パルスと同極性で所定パルス幅を有する延長放電用電圧パルスを印加する延長放電回路を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  6. 前記放電発生制御手段は、前記予備放電用電圧パルスによる放電後も逆極性の放電を持続させることで前記主放電用電圧パルスの印加時期を遅延させる機構として、前記電極間に、前記予備放電用電圧パルスによる放電電流に引き続いて逆極性の放電電流を所定期間供給する延長放電回路を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  7. ワイヤ電極と被加工物との電極間に、少なくとも予備放電用電圧パルスと主放電用電圧パルスとをこの順に印加してパルス状の放電を発生させる放電発生制御手段と、前記電極間に流れる放電電流を複数の通電経路にて測定する電流測定手段と、前記複数の電流測定手段の測定結果から放電位置を求める放電位置判定手段と、前記被加工物のZ座標上ごとに加工エネルギーを蓄積する形状認識・補正手段とを備えるワイヤ放電加工装置において、
    stカット時において、前記形状認識・補正手段が蓄積したX,Y座標における累積加工エネルギーに基づき現在の加工形状を予測し、
    2ndカット時以降において投入する前記予備放電用電圧パルスによる加工エネルギーを前記形状認識・補正手段が予測した加工形状に応じて調整し、その調整結果を前記放電発生制御手段に与えることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  8. 前記形状認識・補正手段は、加工エネルギー調整を前記予備放電用電圧パルスを出力する予備放電用電源の出力電圧を調整することにより行うことを特徴とする請求項7に記載のワイヤ放電加工装置。
  9. 前記形状認識・補正手段は、エネルギー調整を前記予備放電用電圧パルスを出力する予備放電用電源と前記電極間との間に設けた抵抗器の抵抗値を調整することにより行うことを特徴とする請求項7に記載のワイヤ放電加工装置。
  10. ワイヤ電極と被加工物との電極間に、少なくとも予備放電用電圧パルスと主放電用電圧パルスとをこの順に印加してパルス状の放電を発生させる放電発生制御手段と、前記電極間に流れる放電電流を複数の通電経路にて測定する電流測定手段と、前記複数の電流測定手段の測定結果から放電位置を求める放電位置判定手段と、前記被加工物のZ座標上ごとに加工エネルギーを蓄積する形状認識・補正手段とを備えるワイヤ放電加工装置において、
    前記被加工物が異なる材質の材料を複数個重ねたものである場合に、各材質の境界位置座標および適用する電流波形を記憶手段に設定する工程と、
    前記主放電電圧パルスの印加前に放電位置を判定する工程と、
    前記記憶手段を参照して、前記判定した放電位置に印加する前記主放電電圧パルスの波形を前記被加工物の材質ごとに決定し、その決定結果を前記放電発生制御手段に与えて反映させる工程と、
    を含むことを特徴とするワイヤ放電加工方法。
  11. 前記主放電用電圧パルスの印加前に判定する放電位置は、前記予備放電用電圧パルスの印加時において前記放電位置判定手段が求めた放電位置であることを特徴とする請求項10に記載のワイヤ放電加工方法。
  12. 前記主放電用電圧パルスの印加前に判定する放電位置は、直前の前記主放電用電圧パルスなどから算出した過去に放電した放電位置から予測した放電位置であることを特徴とする請求項10に記載のワイヤ放電加工方法。
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