JP5035814B2 - 焼結された耐火性金属層、特に土酸金属電解コンデンサーまたは陽極を製造するためのペースト - Google Patents

焼結された耐火性金属層、特に土酸金属電解コンデンサーまたは陽極を製造するためのペースト Download PDF

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Description

【0001】
本発明は耐火性金属粉末の焼結されたコーテイングの製造のための、特にタンタル、ニオブまたはそれらの合金から製造される電解コンデンサー電極用のペーストに関する。本発明は特にタンタルおよび/またはニオブコンデンサー電極の無圧製造方法に関する。本発明はまた特にペーストを用いる新しいタイプの電極およびコンデンサーの製造方法に関する。本発明はさらにシートのような支持体を含んでなる新しいタイプのコンデンサー電極に関する。
【0002】
タンタルコンデンサーは、誘電絶縁体の層、すなわち酸化物層でコーテイングされ且つ一次的には電気接点としてそして二次的には支持体として機能するタンタル線の上に沈着させた予め集塊化されたタンタル粉末の多孔性の焼結された層よりなる。対極(counterelectrode)は液体の、ペーストのようなまたは固体の電解質により製造される。このタイプのコンデンサーの高い比静電容量(specific capacitance)は焼結された層の多孔性により付与される誘電体の大きな表面積による。焼結された層は自由流動性粉末を加圧しそして焼結することにより製造される。同様な工程がニオブコンデンサーの製造のために使用される。
【0003】
プレス型中への接点線の挿入、接点線とプレス型との間の間隙中への自由流動性粉末の導入、粉末の圧縮などを含んでなる加圧工程は費用のかかる工程であることはまず最初に明白である。さらに、この工程は限定された範囲の形状および寸法だけを製作可能にする。
【0004】
他方で、ペースト沈着法は無圧焼結を行うことを可能にし、コンデンサーデザインに対応してほとんど全ての形状および寸法を製造することを可能にし、そしてまた薄いシートのような陽極を特に製造することを可能にする。
【0005】
より高い比静電容量を得るためのますます微細になる土酸金属粉末の開発に伴う一つの問題は、支持線周辺における焼結された物体中の増加する電流密度の関連効果であり、それが過熱およびMnO2対極と焼結された陽極との間の瞬間的な反応(土酸金属粉末の燃焼)をもたらしうる。焼結された物体のシートのような構造は電流密度の減少をもたらしそしてより良好な熱拡散を確実にするであろう。
【0006】
従って、ペーストを接点線または接点シートに適用した後に焼結を行うことを可能にする方法には、かなり低い製造費用で意義ある技術的利点を伴うであろう。例えばこのような方法が与えるであろう明白な利点にもかかわらず、このような方法の提案はこれまでには知られていないかまたは産業上導入されていない。その理由は、コンデンサー製造の多様で且つ複雑な条件を満たすであろうペーストがこれまでに知られていなかったためである。解決すべき問題は、特に焼結の前および間に、タンタルまたはニオブ粉末の極端に敏感な表面に同時に影響を与えず、残渣を残さずに焼結された層から除去することができ、且つそれにもかかわらず基質上へのペーストの沈着に関する必要なレオロジー特性を与え、沈着されたペーストのような層に対して満足のいく水準の安定性を与え、そしてさらにタンタル粉末層からその微細構造を損なうことなく除去できるペーストのための連続的な相を同定することよりなる。
【0007】
多くの研究が、水または低−沸点有機溶媒をベースとした連続的な相を含んでなるペーストは粉末の微細構造に対して適切な水準の安定性を与えないことを示した。高められた温度において、または室温においてさえ、それらは泡の生成を伴って乾燥し、そしてフォームを製造することさえある。無機または鉱物性のレオロジー−改変剤は無機残渣によるタンタル表面の汚染により除外される。連続的な相の有機成分の残渣から生成する炭素による汚染を避けることも必要である。
【0008】
場合により低−沸点溶媒の蒸発後に、炭素、酸素および水素だけから合成されそしてここで酸素原子対炭素原子の数の比が少なくとも0.5、好ましくは少なくとも2/3、より好ましくは少なくとも0.8そして最も好ましくは1である有機物質より実質的になる連続的な相を生ずるペーストは高真空下での焼結後にめんどうな炭素残渣を何ら残さないことが今回見いだされた。このタイプのペーストは土酸金属コンデンサーをシートの形態で製造することを可能にする。
【0009】
本発明は、電気接点として構成される金属支持体、およびコンデンサー表面を構成し且つ支持体に取り付けられる多孔性の焼結された物体よりなる、焼結された土酸金属粉末をベースとした電解コンデンサーのための陽極であって、支持物体が金属シートの形態に構成されることを特徴とする陽極に関する。
【0010】
本発明はまた、シートのような構造、すなわち二次元におけるそれらの幾何学的な大きさが第三次元におけるそれらの大きさよりも大きい、焼結された土酸金属粉末陽極を含んでなる電解コンデンサーに関する。
【0011】
本発明に従う陽極は、好ましくは支持金属シートが焼結された物体を越えて少なくとも一方向に突出するように構成される。これが熱の拡散および電気接点のシステムの簡素化におけるさらなる改良をもたらす。
【0012】
本発明によると、好ましくはNbまたはTaよりなる、支持金属シートは、3:1〜10:1またはそれ以上の長さ対幅の比を有することができ、ここで支持金属シートの0.5〜100mm2、好ましくは4〜40mm2の部分的表面積に焼結された物体が付与される。
【0013】
支持金属シートは30〜500μm、好ましくは40〜300μm、最も好ましくは60〜150μmの厚さを有することができる。その上に焼結される焼結された物体は20〜2000μm、好ましくは100μmより大きい、最も好ましくは300〜1000μmの厚さを有することができる。
【0014】
本発明はさらに、40〜92重量%の分離している相としての耐火性金属粉末、並びに炭素、酸素および水素だけから合成されここで酸素原子対炭素原子の数の比が少なくとも1/2である有機化合物より実質的になる連続的な相よりなり、そして場合により100℃より低い温度で蒸発する溶媒よりなる、焼結された耐火性金属層の製造用のペーストに関する。耐火性金属粉末の量は好ましくはペーストの10〜50容量%の範囲である。
【0015】
本発明を以下でタンタルを例として記載するが、ニオブ並びに他の耐火性金属、例えばモリブデン、タングステンおよび合金金属を対応して使用することもできる。
【0016】
室温で液体である化合物が有機化合物として好ましく使用される。この場合には、連続的な相の残りは好ましくは溶媒を含まない。適する液体有機化合物の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ−およびテトラエチレングリコール並びにそれらのエステル類、グリセロール、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテートもしくはグリセロールトリアセテート、ジオキシアセトン、プロパンジオールまたはそれらの混合物を包含する。さらに、連続的な相は好ましくは有機結合剤系をさらに含有する。結合剤系は好ましくは互いに架橋結合可能な二成分よりなる。結合剤は連続的な相に関して5重量%より多くない量で使用すべきである。一つの好ましい結合剤系はハーキュレス(Hercules)により供給されるナトロゾルTM・プラス(NatrosolTM Plus)331またはアクリル重合体、例えばローム(Roehm)により供給されるロハギットTM(RohagitTM)KF720よりなる。金属粉末の湿潤性を改良するために、湿潤剤、例えばランガー(Langer)により供給される大豆レシチンおよび/またはビエステルフェルド(Biesterfeld)から供給されるスルフィノール類(Surfinols)が好ましく使用される。結合剤が少量でのみ使用されるという条件では、連続的な相の中の酸素原子対炭素原子の比は実質的に影響を受けない。燐および窒素はコンデンサー用に使用されるタンタル粉末のための通常の微量添加物(dopants)の中の2種であるため、連続的な相の中に大豆レシチンにより導入される燐および窒素は無害である。
【0017】
結合剤系は、好ましくは、10-4/secの剪断速度におけるペーストの粘度が20〜200kPasの間になるように調節される。
【0018】
本発明の別の態様によると、有機化合物はまた固体物質であることもできる。室温において固体である適当な有機化合物はエリトリトール、ペンタエリトリトール、ペントース類、炭素数3〜6のアルドース類もしくはケトース類、またはそれらの混合物を包含する。糖類または糖類と同様な化合物もまた適する。固体の有機化合物は溶媒と組み合わせて使用され、ここで溶媒は150℃までの温度において蒸発しなければならない。適当な溶媒の例は水、エタノール、プロパノールおよび短鎖グリコール類を包含する。
【0019】
上記の液体有機化合物は、固体の有機化合物がその中で充分可溶性であるという条件では、溶媒としても適する。液体の有機化合物が連続的な相の主成分として使用される場合には固体の有機化合物は従って濃稠化剤(thickeners)として使用することができる。
【0020】
本発明は、また、本発明に従うペーストを基質上に沈着させ、場合により存在する溶媒を溶媒の沸騰温度より低い温度において除去し、そして基質を引き続き高真空下で焼結温度に加熱することを特徴とする、焼結された耐火性金属層の製造方法にも関する。有機化合物が分解する温度範囲にわたり好ましくは10K/分より小さい低い加熱速度を使用することが必須である。約200〜約400℃の温度範囲にわたり3K/分より小さい加熱速度が好ましく使用される。
【0021】
溶媒中に溶解させた固体の有機化合物が使用される場合には、溶媒が除去された時に基質上に沈着したペーストは粉末の乾燥層(生の構造体(green structure))になる。粉末のこの乾燥層中の粉末の粒子は使用する固体の有機化合物により互いに結合され、そして層構造体はその結果として安定化する。
【0022】
場合により溶媒を除去した後に、ペーストをさらにある時間にわたり、好ましくは約10〜30分間にわたり、酸素を含有する雰囲気、好ましくは空気中で150〜200℃の温度に保持することが有利であることも示された。この保持期間の過程で、使用される有機化合物は追加の酸素を明らかに吸収または結合することができ、それは該化合物が残渣を残さずに分解する能力に対して好ましい影響を有する。
【0023】
上部に耐火性金属粉末を沈着させる基質としてニオブまたはタンタルシートが好ましく使用される。好ましい耐火性金属粉末はコンデンサーの製造に適するニオブおよび/またはタンタル粉末集塊である。50〜400μmの厚さを有するタンタルまたはニオブ箔がコンデンサー電極の製造のための基質として特に適する。
【0024】
ペーストはスクリーン印刷、ステンシル印刷により、ドクターブレードにより、浸漬によりまたは押し出しにより基質上に沈着させることができる。
【0025】
シート形態のタンタルまたはニオブコンデンサー陽極の1つの有利な製造方法は、比較的大きい面積の基質箔をステンシル印刷により、100〜1000個の所望する電極形状および面積、例えば2mm×1mmに対応する切断部分を含んでなるステンシルを用いて、ペーストでコーテイングし、そして100〜1000個のコンデンサー陽極を箔から製造できるように焼結後に箔を切断することよりなる。
【0026】
基質箔は最も好ましくは櫛の形態に構成され、その歯の各先端上に焼結された物体を沈着させる。櫛の背部はその時に複数の陽極用のシステム支持体として、コンデンサーを製造するためのさらなる処理のために、有利に機能することができる。
【0027】
本発明はまた複数の陽極を含有し且つ櫛のような構造の支持金属シートよりなり、ここで櫛の歯の各先端が土酸金属粉末から製造される焼結された物体を含んでなる陽極櫛に関する。
【0028】
本発明に従う陽極デザインを以下で図1〜4を参照しながらさらに詳細に説明する。
図1は従来技術に従う圧力焼結により製造される陽極を示し、
図2a〜cは本発明に従う陽極の種々の態様を示し、
図3は従来技術に従う陽極櫛を示し、そして
図4は本発明に従う陽極櫛を示す。
【0029】
図1に示される先行技術の陽極1は焼結された物体2よりなり、それはダイ中に導入される自由−流動性粉末を加圧しそして焼結することにより製造されている。鉛線3が焼結された物体2に溶接連結部4により溶接される。
【0030】
図2に示される本発明に従う陽極10は、ペーストを支持金属シート30上に沈着させ、引き続き乾燥しそして無圧焼結することにより製造される焼結された物体20よりなる。支持金属シート30は全ての側面でシートのような焼結された物体20を越えて突出することができ(a)、または一方向だけに突出することができる(b)。
【0031】
図2cは支持金属シートの異なる形態を示す。全ての場合、焼結された物体を越えて突出する支持金属シートの部分は鉛線の機能を行う(図1)。
【0032】
図3は従来技術に従う陽極櫛を示し、ここで焼結された物体2はシステム支持シート6に鉛線3を介して、溶接連結部4および5により取り付けられる。
【0033】
図4に示される本発明に従う陽極櫛では、システム支持体を形成する櫛の背部60およびその先端が焼結された物体20を支持する歯30はペーストの沈着の前もしくは後または焼結後にシート金属の片から製造されたため、従来技術によると必要である溶接連結部4および5は省かれる。
【0034】
本発明を以下の実施例を参照しながらさらに説明する。全ての百分率は重量百分率として示される。
実施例1
マスターサイザー(Mastersizer)を用いて測定してd10=2μm、d50=5μmおよびd90=26μmに相当する集塊分布、約300μmの視覚的に測定された平均一次粒子、0.77m2/gのBET比表面および23.60g/inch3のかさ密度を有する一次粒子の集塊よりなる77.6%のTa粉末を21.4%のグリセロール、0.2%のスルフィノール420(エア・プロダクツ(Air Products)により供給されるエトキシル化されたエチンジオール類の混合物)、0.8%のランガーにより供給される大豆レシチンW250、および0.02%のロハギットKF720(ロームにより供給される固体アクリル重合体)と共に撹拌し、そして混合物を3−ローラーミルにより均質化した。
【0035】
24時間の保持時間後に、粘度をボーリン・インスツルメンツ(Bohlin Instruments)により供給されるレオメーター(CP4°/20補正測定システム)により測定した。10-4sec-1の剪断速度における粘度は28kPasであり、10-2sec-1においてそれは109Pasであり、そして10sec-1においてそれは13Pasであった(25℃)。
実施例2
マスターサイザーを用いて測定してd10=2μm、d50=5μmおよびd90=26μmに相当する集塊分布、約300μmの視覚的に測定された平均一次粒子、0.77m2/gのBET比表面および23.60g/inch3のかさ密度を有する一次粒子の集塊よりなる82.6%のTa粉末を16%のテトラエチレングリコール、0.6%のハーキュレスにより供給されるナトロゾル・プラスセルロース、0.2%のスルフィノール420(エア・プロダクツにより供給されるエトキシル化されたエチンジオール類の混合物)、および0.6%のランガーにより供給される大豆レシチンW250と共に撹拌し、そして混合物を3−ローラーミルにより均質化した。
【0036】
24時間の保持時間後に、粘度をボーリン・インスツルメンツにより供給されるレオメーター(CP4°/20補正測定システム)により測定した。
【0037】
10-4sec-1の剪断速度における粘度は75kPasであり、10-2sec-1においてそれは2kPasであり、そして10sec-1においてそれは5Pasであった(25℃)。
実施例3
イソプロピルアルコールで洗浄された厚さ150μmのタンタル箔を基質として使用した。寸法が1mm×2mmである長方形の切断部分を含んでなる400μmの厚さを有する550個のステンレス鋼ステンシルをTa箔の上に置いた。実施例2によるペーストを引き続き切断部分の中にドクターブレードにより押し入れた。このようにして印刷された構造体が付与されたTa箔を10分間にわたり循環空気炉の中で処理した。それを引き続き焼結炉の中で高真空下で5K/分の速度で200℃まで、次に2K/分で400℃までそして最後に25K/分で1300℃まで加熱した。さらに30分後に、生成物を室温(<100℃)に冷却した。焼結された構造体の焼結密度は4.2g/cm3であった。タンタル箔を焼結された構造体の間で切断して個別の陽極構造体を生成し、そして40Vにおける成形にかけた。
電気試験:
電気的測定はこの方法で製造された陽極の中の3つに対して行われた。下記の結果が得られた:
【0038】
【表1】
Figure 0005035814

Claims (3)

  1. 電気接点として構成される金属支持体、およびコンデンサー表面を構成し且つ支持体に取付けられる多孔性の焼結体よりなり、支持体が支持体金属シートの形態に構成される、焼結された土酸金属粉末をベースとした電解コンデンサー用の陽極の製造方法であって、
    不連続層としての40〜92重量%の土酸金属粉末と、炭素、酸素および水素のみから構成される、酸素原子対炭素原子の数の比が少なくとも0.5である有機化合物、および150℃より低い温度で蒸発する溶媒よりなる連続層からなり、連続層がさらに連続層に基いて5重量%までの量で結合剤系を含有するペーストを支持体金属シートに適用し、そして無圧下に焼結し、ここで、結合剤系を、10 -4 /secの剪断速度におけるペーストの粘度が20〜200kPasの間になるように調節することを特徴とする方法。
  2. 電気接点として構成される金属支持体と、コンデンサー表面を構成し且つ支持体に取付けられる多孔性の焼結体よりなり、支持体が支持体金属シートの形態に構成される、請求項1に記載の方法により得られ得る、焼結された土酸金属粉末をベースとした電解コンデンサー用の陽極。
  3. 共通の電気接点を介して連結される、焼結された土酸金属粉末をベースとする電解コンデンサー用の複数の陽極であって、
    共通の電気接点が櫛様の金属シートの形態に構成され、そしてコンデンサー電極表面を形成する焼結体が櫛の歯の上に焼結されている、請求項1に記載の方法により得られ得る陽極。
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