JP5031555B2 - ワイヤ放電加工機 - Google Patents

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Description

本発明は、ワイヤ電極と被加工物との間で放電を生じさせて被加工物を所定形状に加工するワイヤ放電加工機に関するものである。
ワイヤ放電加工機では、ワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加し、このときワイヤ電極と被加工物との間に生じる放電により被加工物を微少量ずつ除去して、当該被加工物を所定形状に加工する。ワイヤ電極は上下一対のワイヤガイドにより所定方向、例えば垂直方向に案内されながら当該方向に走行し、該ワイヤ電極の周囲には被加工物を加工する間中、加工液が供給される。例えば被加工物が載置されたテーブルを数値制御により所定の方向に移動させながら上記の放電を生じさせることにより、被加工物を精密加工することができる。
ワイヤ放電加工によって被加工物を精密かつ安定に加工するうえからは、ワイヤ電極と被加工物との間隔を所定の範囲内に収めながら加工することが大切であり、ワイヤ電極と被加工物とが短絡すると放電が生じなくなるので加工が停止する。またワイヤ電極と被加工物との間に加工屑等が溜まる等して放電の集中(以下、「集中放電」という。)が起こり、放電エネルギーが局所的に過大になる結果としてワイヤ電極の断線(以下、「ワイヤ断線」という。)がしばしば生じる。ワイヤ断線が生じるとワイヤ電極をワイヤガイドによって再度案内させ直さなければならないため、生産性が大きく低下する。そこで、ワイヤ断線を予防する技術が種々考案されている。
例えば特許文献1には、加工電源からワイヤ電極にパルス電圧を供給するための通電端子を被加工物の上方と下方とに2個以上設けると共に、各通電端子と加工電源との間に通電切換えスイッチを設け、加工電源から1つの通電端子に連続した複数のパルス電圧が印加されるごとに上記の通電切換えスイッチを切換え制御する放電加工装置が記載されている。この放電加工装置ではワイヤ電極と被加工物との間での放電箇所が周期的に上下に移動することから、大電流を通電してもワイヤ電極の発熱が抑えられ、更にはワイヤ電極と被加工物との間での放電点も分散することから、ワイヤ断線が防止される。
また、特許文献2には、ワイヤ電極に加工パルスを供給するための通電子を被加工物の上側と下側とに設けると共に、上側通電子と被加工物との間および下側通電子と被加工物との間にそれぞれ個別に加工用パルス電源を設けたワイヤカット放電加工装置が記載されている。このワイヤカット放電加工装置では、上側通電子および下側通電子の各々からワイヤ電極に非同期にパルス電流を流すことによって放電点の集中を防止し、その結果としてワイヤ断線を防止する。
そして特許文献3には、被加工物(加工片)での加工域の両端に位置するようにして2つのコンタクトをワイヤ電極に沿って設け、ワイヤ電極と被加工物との間での放電位置に応じて2つのコンタクトのいずれか一方または両方に加工電流を供給する放電加工装置が記載されている。この放電加工装置では、加工電流を供給すべきコンタクトを放電位置に応じて変更することで集中放電による局所的な加熱を防止し、その結果としてワイヤ断線を防止する。
特開昭59−47123号公報 特開平1−97525号公報 特公平6−61663号公報
特許文献1〜3に記載された各放電加工装置は、いずれも、ワイヤ断線を防止して生産性を向上させるうえで有用なものではあるが、ワイヤ放電加工での生産性を向上させるためには、ワイヤ断線を防止すると共にワイヤ電極と被加工物との短絡を防止することが望まれる。上記の短絡は、本件発明者等の実験によれば、被加工物の上方に配置された通電端子および下方に配置された通電端子のいずれか一方を介してワイヤ電極に数パルスの電圧を印加しただけでも生じることがある。
このため、特許文献1に記載された放電加工装置におけるように一方の給電端子からワイヤ電極への給電と他方の給電端子からワイヤ電極への給電とを交互に行うだけでは、上記の短絡を効率よく抑制することはできない。特許文献2に記載されたワイヤカット放電加工装置におけるように一方の給電端子からワイヤ電極への給電と他方の給電端子からワイヤ電極への給電とを非同期で行った場合や、特許文献3に記載された放電加工装置におけるように一方の給電端子からワイヤ電極への給電と他方の給電端子からワイヤ電極への給電とを放電位置に応じて変更した場合においても同様であり、これらの給電形態では上記の短絡を効率よく抑制することはできない。ワイヤ電極と被加工物とが短絡すると放電が起きなくなるので、放電加工自体が停滞して平均の加工速度が低下する。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、ワイヤ電極と被加工物との短絡およびワイヤ断線をそれぞれ抑制して生産性を向上させ易いワイヤ放電加工機を得ることを目的とする。
上記の目的を達成する本発明のワイヤ放電加工機は、被加工物の板厚方向に走行するワイヤ電極と被加工物との間に加工液を供給しながら、被加工物の上下に配置された一対の給電部を介してワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加し、ワイヤ電極と被加工物との間に生じる放電により被加工物を加工するワイヤ放電加工機であって、一対の給電部のうちで被加工物の上側に配置された上側給電部には第1スイッチング素子部を介して高周波パルス電圧を印加し、被加工物の下側に配置された下側給電部には第2スイッチング素子部を介して高周波パルス電圧を印加するメイン電源と、第1スイッチング素子部に該第1スイッチング素子部の開閉動作を制御するパルス信号を供給する第1パルス発振器と、第2スイッチング素子部に該第2スイッチング素子部の開閉動作を制御するパルス信号を供給する第2パルス発振器と、第1スイッチング素子部および第2スイッチング素子部それぞれの開閉動作を規定して、上側給電部のみからワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加する上側給電状態と、下側給電部のみからワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加する下側給電状態と、上側給電部と下側給電部との両方から互いに同期してワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加する両側給電状態とが混在するように給電制御する給電制御データが格納されている記憶部と、給電制御データを基に第1パルス発振器および第2パルス発振器それぞれの動作を制御するパルス発振制御部と、を有することを特徴とするものである。
上述の上側給電状態や下側給電状態のときにはワイヤ電極と被加工物との短絡が起こり易くなるが、これら上側給電状態と下側給電状態とを交互に出現させると、ワイヤ電極と被加工物の間の放電点の位置が被加工物の板厚方向(厚さ方向)に変化するので、集中放電の発生を抑制してワイヤ断線を防止することができる。また、両側給電状態のときにはワイヤ電極と被加工物の間の放電が安定するので、ワイヤ電極と被加工物との短絡を防止することができる。
本発明のワイヤ放電加工機では、給電制御データを基にパルス発振制御部が第1パルス発振器および第2パルス発振器それぞれの動作を制御するので、放電加工の期間中に上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態とを任意のパターンで混在させることができる。予定している放電加工条件等に応じた適当な給電制御データを例えば実験により予め求めて記憶部に格納しておくことにより、ワイヤ電極と被加工物との短絡およびワイヤ断線をそれぞれ抑制することができる。そのため、生産性を向上させることも容易である。
図1は、本発明のワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。 図2は、図1に示した各パルス発振器から第1スイッチング素子部または第2スイッチング素子部に供給されるパルス信号の波形と、ワイヤ電極への給電状態との関係を示す概略図である。 図3は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで、メイン電源が第1メイン電源と第2メイン電源とを有するものの一例を概略的に示す構成図である。 図4は、図3に示したワイヤ放電加工機を両側給電状態としたときの放電位置と放電電流値との関係を概略的に示すグラフである。 図5は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで給電回路間でのインピーダンスの偏りに起因するワイヤ断線を防止することができるものの一例を概略的に示す構成図である。 図6は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで給電回路間でのインピーダンスの偏りに起因するワイヤ断線を防止することができるものの他の例を概略的に示す構成図である。 図7は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで給電回路間でのインピーダンスの偏りに起因するワイヤ断線を防止することができるものの更に他の例を概略的に示す構成図である。 図8は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで上側および下側それぞれの給電回路自体のインピーダンスに応じて各給電回路への高周波パルス電圧の供給条件を調節することが可能なものの一例を概略的に示す構成図である。 図9は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで上側および下側それぞれの給電回路自体のインピーダンスに応じて各給電回路への高周波パルス電圧の供給条件を調節することが可能なものの他の例を概略的に示す構成図である。 図10は、本発明のワイヤ放電加工機のうちでワイヤ断線回避機能が付加されたものの一例を概略的に示す構成図である。 図11は、図10に示したワイヤ放電加工機のパルス発振制御部に給電比率復帰機能を付加したときの給電パターンの一例を示す概略図である。 図12は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで短絡防止機能が付加されたものの一例を概略的に示す構成図である。 図13は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで加工液供給装置から上側ノズルおよび下側ノズルの各々に供給される加工液の流量に応じて第1パルス発振器および第2パルス発振器それぞれの動作を制御する機能が付加されたものの一例を概略的に示す構成図である。 図14は、本発明のワイヤ放電加工機のうちで入力部から入力された上側給電状態、下側給電状態、および両側給電状態の出現パターンを給電制御データに変換するデータ変換部が制御装置に設けられたものの一例を概略的に示す構成図である。 図15は、本発明のワイヤ放電加工機のうちでスイッチング素子部が1つの給電部に1つのみ設けられたものの一例を概略的に示す構成図である。
符号の説明
1 ワイヤ電極
20a 上側給電部
20b 下側給電部
25a,28a 第1スイッチング素子部
25b,28b 第2スイッチング素子部
30 メイン電源
30a 第1メイン電源
30b 第2メイン電源
35a 第1パルス発振器
35b 第2パルス発振器
50 電圧検出装置
55 テーブル駆動装置
57 速度計測装置
60 加工液供給装置
65a 上側ノズル
65b 下側ノズル
70 インピーダンス計測部
75 断線予兆検出部
80,80A〜80D 加工機本体
85 記憶部
90,90a〜90f 演算・制御部
95,95a〜95f パルス発振制御部
100 板厚決定部
105 流量比較部
110,110A〜110J 制御装置
130,140,150,160,170,180,190 ワイヤ放電加工機
200,210,220,230,240 ワイヤ放電加工機
W 被加工物
以下、本発明のワイヤ放電加工機の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明のワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。同図に示すワイヤ放電加工機130は、数値制御の下に被加工物Wを所定形状に放電加工する加工機本体80と、該加工機本体80の動作を数値制御する制御装置110と、有線または無線により制御装置110に接続されて該制御装置110に指令やデータ等を入力する入力部115と、制御装置110に入力された指令やデータ等あるいは加工機本体80の運転状況等を表示する表示部120とを具備している。
上記の加工機本体80は、被加工物Wの板厚方向に走行するワイヤ電極1に高周波パルス電圧を印加し、ワイヤ電極1と被加工物Wとの間に生じる放電により被加工物Wを加工する。被加工物WはX−Y平面(水平面)上で移動可能なテーブル5に載置され、ワイヤ電極1は張力が付与された状態で被加工物Wをその板厚方向に横切るように走行する。
ワイヤ電極1を所定方向に走行させるために、テーブル5の上方にはワイヤボビン10、テンションローラ12a、ガイドローラ14a、およびワイヤガイド16aが配置され、テーブル5の下方にはワイヤガイド16b、ガイドローラ14b、およびテンションローラ12gが配置されている。ワイヤボビン10に巻回されたワイヤ電極1は、テンションローラ12aにより引き出され、ガイドローラ14a、ワイヤガイド16a、ワイヤガイド16b、およびガイドローラ14bにより鉛直方向に案内された後にテンションローラ12bに引き取られて、ワイヤ回収用箱18内に回収される。テンションローラ12bによるワイヤ電極1の引取り速度の方がテンションローラ12aによるワイヤ電極1の引き出し速度よりも速く設定される結果として、ワイヤ電極1は張力が付与された状態で被加工物Wをその板厚方向に横切るように走行する。
また、ワイヤ電極1に高周波パルス電圧を印加するために、一対の給電部20a,20bがテーブル5の上下に分かれて配置されている。テーブル5の上方に配置された給電部20a(以下、「上側給電部20a」という。)はワイヤガイド16aの上方に位置しており、テーブル5の下方に配置された給電部20b(以下、「下側給電部20b」という。)はワイヤガイド16bの下方に位置している。そして、上側給電部20aには少なくとも1つのスイッチング素子を有する第1スイッチング素子部25aが接続され、該第1スイッチング素子部25aにはメイン電源30と第1パルス発振器35aとが接続されている。また、下側給電部20bには少なくとも1つのスイッチング素子を有する第2スイッチング素子部25bが接続され、該第2スイッチング素子部25bにはメイン電源30と第2パルス発振器35bとが接続されている。メイン電源30は、被加工物Wにおける板厚方向中央部にも接続されている。
上記のメイン電源30は、その運転時に所定の高さの電圧を第1スイッチング素子部25aおよび第2スイッチング素子部25bの各々に供給し、第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bは、第1スイッチング素子部25aまたは第2スイッチング素子部25bに当該スイッチング素子部25a,25bの開閉動作を制御するパルス信号を供給する。第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を後述のパルス発振制御部95により制御して各スイッチング素子部25a,25bを所定のパターンで開閉させることにより、上側給電部20aもしくは下側給電部20bからワイヤ電極1に、または上側給電部20aと下側給電部20bの両方からワイヤ電極1に上述の高周波パルス電圧を印加することができる。
なお、被加工物Wの放電加工を開始あるいは再開するにあたっては、まず、ワイヤ電極1と被加工物Wとの間隙が所定の広さに収まっているか否か等を検出するために、サブ電源40から比較的低いパルス電圧が第3スイッチング素子部45aを介して上側給電部20aに供給されると共に第4スイッチング素子部45bを介して下側給電部20bに供給される。このとき、第3スイッチング素子部45aおよび第4スイッチング素子部45bの各々が互いに同期して閉とされる。そして、各給電部20a,20bと被加工物Wとの電位差が電圧検出装置50により検出され、当該検出結果が所定の範囲内にあったときに初めてメイン電源30が動作する。一方、上記の検出結果が所定の範囲に収まっていなかったときには、テーブル5を移動させることで被加工物Wとワイヤ電極1との間隙の広さが調節される。テーブル5を移動させるために、当該テーブル5にはテーブル駆動装置55が接続されている。このテーブル駆動装置55は、被加工物Wを放電加工する間も、テーブル5を所定方向に移動させる。なお、テーブル5はリニアエンコーダやロータリーエンコーダ等の速度センサ(図示せず。)を備えており、該速度センサの検出結果を基に速度計測装置(図示せず。)がテーブル5の駆動速度を計測して、計測結果を後述の演算・制御部90に伝える。
また、被加工物Wの放電加工時におけるワイヤ電極1の過熱を抑えて当該ワイヤ電極1の断線を防止するために、被加工物Wの放電加工時には、加工液供給装置60から上側ノズル65aと下側ノズル65bとを介して被加工物Wとワイヤ電極1との間に加工液が供給される。上側ノズル65aは被加工物Wの上方に配置されており、下側ノズル65bは被加工物Wの下方に配置されている。加工液供給装置60は、上側ノズル65aへの加工液の供給量(流量)および下側ノズル65bへの加工液の供給量(流量)をそれぞれ別個に計測する流量計測機能を有している。
一方、加工機本体80の動作を制御する制御装置110は、記憶部85と、演算・制御部90と、パルス発振制御部95とを備えている。
上記の記憶部85には、テーブル駆動装置55や加工液供給装置60等の動作の制御に用いられる数値制御データが格納されていると共に、第1スイッチング素子部25aおよび第2スイッチング素子部25bそれぞれの開閉動作を規定してワイヤ電極1への給電の形態を制御する給電制御データが格納されている。この給電制御データは、標準的な放電加工条件の下でワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡やワイヤ断線が防止されるように設定されたものであり、当該給電制御データは、第2スイッチング素子部25bを開にしたまま第1スイッチング素子部25aを開閉させるデータと、第1スイッチング素子部25aを開にしたまま第2スイッチング素子部25bを開閉させるデータと、第1スイッチング素子部25aおよび第2スイッチング25bの各々を互いに同期させて開閉させるデータとを含んでいる。
記憶部85に格納する給電制御データは1種類のみであってもよいし、ワイヤ放電加工機130により複数種の製品を作製することが予想ないし予定される場合には、製品毎に対応付けられた複数種の給電制御データであってもよい。
演算・制御部90は、ワイヤ放電加工機130の運転開始を指示する指令が後述の入力部115から入力されたときに、まずサブ電源40を起動させる。そして、電圧検出装置50の検出結果が所定の範囲に収まっているか否かを判断し、所定の範囲に収まっていたときにはメイン電源30を起動させる。その後、記憶部85に格納されている数値制御データに基づいてテーブル駆動装置55や加工液供給装置60等の動作を制御する。被加工物Wの放電加工時には、数値制御データに基づいてテーブル駆動装置55の動作が制御されてテーブル5が所定方向に移動すると共に、数値制御データに基づいて加工液供給装置60から各ノズル65a,65bにそれぞれ所定流量の加工液が供給される。
また、演算・制御部90は、電圧検出装置50による電位差の検出結果を基にワイヤ電極1から被加工物Wに印加される高周波パルス電圧のエネルギーを求めると共に、前述の速度計測装置によるテーブル5の駆動速度を基に加工速度を求める。そして、これら高周波パルス電圧のエネルギーと加工速度等とから被加工物Wの板厚を逐次算出し、該板厚に応じた制御データを上記の数値制御データから読み出して、ワイヤ電極1に印加する高周波パルス電圧のエネルギーをフィードバック制御する。具体的には、印加する高周波パルス電圧のパルス間隔をフィードバック制御する。さらに、この演算・制御部90は表示部120の動作を制御して、制御装置110に入力された指令やデータ等、あるいは加工機本体80の運転状況等を表示120に表示させる。
パルス発振制御部95は、演算・制御部95による制御の下に動作を開始し、記憶部85に格納されている所定の給電制御データを読み出して、該給電制御データを基に第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。記憶部85に複数種の給電制御データが格納されている場合、ユーザは被加工物Wの放電加工に先だって所望の給電制御データを入力部115により指定する。このとき、ユーザが所望の給電制御データを選択し易いように、記憶部85に格納されている給電制御データが表示部120に表示される。
パルス発振制御部95が読み出す給電制御データには、上述したように、第2スイッチング素子部25bを開にしたまま第1スイッチング素子部25aを開閉させるデータと、第1スイッチング素子部25aを開にしたまま第2スイッチング素子部25bを開閉させるデータと、第1スイッチング素子部25aおよび第2スイッチング25bの各々を互いに同期させて開閉させるデータとが含まれている。そのため、被加工物Wを放電加工する期間中は、上側給電部20aのみからワイヤ電極1に高周波パルス電圧が印加される上側給電状態と、下側給電部20bのみからワイヤ電極1に高周波パルス電圧が印加される下側給電状態と、上側給電部20aおよび下側給電部20bの両方からワイヤ電極1に高周波パルス電圧が印加される両側給電状態とが所定のパターンで混在することになる。
図2は、各パルス発振器35a,35bから第1スイッチング素子部25aまたは第2スイッチング素子部25bに供給されるパルス信号の波形と、ワイヤ電極1への給電状態との関係を示す概略図である。
同図に示すように、第1パルス発振器35aから第1スイッチング素子部25aに供給されるパルス信号がローレベルLとハイレベルHとを所定の周期で繰り返すパルス波形で、第2パルス発振器35bから第2スイッチング素子部25bに供給されるパルス信号がローレベルLのままであるときには、第2スイッチング素子部25bが開のまま第1スイッチング素子部25aが開閉する結果として、上側給電状態UFとなる。逆に、第1パルス発振器35aから第1スイッチング素子部25aに供給されるパルス信号がローレベルLのままで、第2パルス発振器35bから第2スイッチング素子部25bに供給されるパルス信号がローレベルLとハイレベルHとを所定の周期で繰り返すパルス波形であるときには、第1スイッチング素子部25aが開のまま第2スイッチング素子部25bが開閉するので、下側給電状態LFとなる。そして、第1パルス発振器35aから第1スイッチング素子部25aに供給されるパルス信号と第2パルス発振器35bから第2スイッチング素子部25bに供給されるパルス信号とが互いに同期したパルス波形であるときには、第1スイッチング素子部25aおよび第2スイッチング素子部25bが互いに同期して開閉するので、両側給電状態BFとなる。
本件発明者等は、ワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡の発生頻度やワイヤ断線の発生の難易は、ワイヤ電極1の材質や線径、使用する加工液の液質や各ノズル65a,65bからの加工液の供給量、被加工物Wの材質や当該被加工物Wから作製しようとする製品の形状等、加工条件に応じて変動するものの、上述した各給電状態を短い周期で切り換えると短絡が頻発して加工速度が上がらなくなり易いことを実験により明らかにした。また、各給電状態下でのパルス数を多くしすぎるとワイヤ断線が起こり易くなることも、実験的に明らかにした。
例えば、上側給電状態下でワイヤ電極1に印加する高周波パルス電圧のパルス数と下側給電状態下でワイヤ電極1に印加する高周波パルス電圧のパルス数との和を、両側給電状態下でワイヤ電極1に印加する高周波パルス電圧のパルス数と同数にした場合には、各給電状態下でのパルス数を3未満にするとワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡が頻発して加工速度が大幅に低下することがある。また、各給電状態下でのパルス数を10000以上にすると、ワイヤ電極1と被加工物Wとの間での放電点の位置が被加工物Wの板厚方向にそれ程分散しなくなって、ワイヤ断線が起こり易くなることがある。
さらに、本件発明者等は、ワイヤ電極1に印加する総パルス数に占める両側給電状態下でのパルス数の割合が少なすぎるとワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡の発生頻度が高くなり、多すぎるとワイヤ断線が起こり易くなることを実験的に明らかにした。例えば、上記の割合が50%未満では短絡が起こり易くなり、95%以上ではワイヤ断線が起こり易くなることがある。
これらのことを考慮すると、ワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡およびワイヤ断線は、上側給電状態、下側給電状態、および両側給電状態を適宜混在させることで抑制可能であることが判る。
上述したワイヤ放電加工機130では、記憶部85に格納されている前述の給電制御データを基にパルス発振制御部95が第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する結果として、上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態とが所定のパターンで混在するように給電制御される。したがって、適当な給電制御データを実験により求めて記憶部85に予め格納しておくことにより、ワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡およびワイヤ断線をそれぞれ抑制することできる。そのため、ワイヤ放電加工機130では生産性を向上させることが容易である。
実施の形態2.
本発明のワイヤ放電加工機においては、被加工物の板厚方向中央部でのワイヤ電極の過熱を抑えるために、メイン電源を第1メイン電源と第2メイン電源の2つに分けることができる。
図3は、メイン電源が第1メイン電源と第2メイン電源とを有するワイヤ放電加工装置の一例を概略的に示す構成図である。同図に示すワイヤ放電加工装置140では、メイン電源30が第1メイン電源30aと第2メイン電源30bとを有している。第1メイン電源30aは第1スイッチング素子部25aを介して上側給電部20aに接続されていると共に、被加工物Wにおける板厚方向上部に接続されている。また、第2メイン電源30bは第2スイッチング素子部25bを介して下側給電部20bに接続されていると共に、被加工物Wにおける板厚方向下部に接続されている。これら第1メイン電源30aおよび第2メイン電源30bの動作は、演算・制御部90aにより制御される。
ワイヤ放電加工機140における上述以外の構成は図1に示したワイヤ放電加工機130における構成と同様であるので、図3に示した構成部材のうちで図1に示した構成部材と共通するものについては、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。なお、ワイヤ放電加工機140を構成する加工機本体には新たな参照符号80Aを付し、制御装置には新たな参照符号110Aを付してある。
このように構成されたワイヤ放電加工機140では、第1メイン電源30aが被加工物Wにおける板厚方向上部に接続され、第2メイン電源30bが被加工物Wにおける板厚方向下部に接続されていることから、両側給電状態のときの第1メイン電源30aから放電点までのインピーダンスおよび第2メイン電源30bから放電点までのインピーダンスは、それぞれ、放電点の位置が被加工物Wの板厚方向中央部に近づくほど大きくなる。その結果として、ワイヤ電極1と被加工物Wとの間の放電電流値は、放電点の位置が被加工物Wの板厚方向中央部に近づくほど小さくなる。
図4は、ワイヤ放電加工機140を両側給電状態としたときの放電位置(放電点の位置)と放電電流値との関係を概略的に示すグラフである。同図中の実線L1が上記の関係を示している。参考のために、図1に示したワイヤ放電加工機130における上記の関係を図4中に破線L2で示す。実線L1で示す放電電流値と破線L2で示す放電電流値とは、同一加工条件下で得られたものである。
図4から明らかなように、ワイヤ放電加工機130,140のいずれにおいても、ワイヤ電極と被加工物との間の放電電流値は放電点の位置が被加工物の板厚方向中央部に近づくほど小さくなるが、その低下の度合いはワイヤ放電加工機140における方がワイヤ放電加工機130におけるよりも大きい。そして、被加工物の板厚方向中央部での放電電流値自体も、同一加工条件下であればワイヤ放電加工機140における方がワイヤ放電加工機130におけるよりも小さい。
一般に、ワイヤ放電加工機ではワイヤ電極と被加工物との間に加工液を供給することで放電加工時におけるワイヤ電極の過熱が抑えられているが、被加工物の板厚方向中央部では、当該被加工物の板厚方向上部や板厚方向下部に比べて加工液による冷却が行われにくく、そのため被加工物の板厚方向中央でワイヤ電極が過度に過熱してワイヤ断線を起こすことがしばしばある。
しかしながら、図3に示したワイヤ放電加工機140においては、両側給電状態としたときの放電電流値が被加工物Wの板厚方向中央部に近づくほど小さくなるので、被加工物Wの板厚方向中央部においてもワイヤ電極1の過度の過熱を抑え易い。そのため、実施の形態1で説明したワイヤ放電加工機130(図1参照)に比べて、ワイヤ断線を防止することが容易である。
したがって、ワイヤ放電加工機140によれば、ワイヤ放電加工機130と同様に上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態とを所定のパターンで混在させることによってワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を防止することができると共に、ワイヤ放電加工機130に比べてワイヤ断線を抑制することが容易になる。その結果として、ワイヤ放電加工機130に比べて生産性を向上させることが容易になる。
実施の形態3.
ワイヤ放電加工機では、Z軸高さ(上側給電部の相対的な高さ)や被加工物の板厚が変わると放電点から各給電部までの距離が変わり、これに伴って上側給電部を経て放電点に達する給電回路(以下、「上側給電回路」という。)、および下側給電部を経て放電点に達する給電回路(以下、「下側給電回路」という。)それぞれのインピーダンスに偏りが生じる。このようなインピーダンスの偏りは各給電回路での放電電流の大きさに差異をもたらし、放電電流の大きい給電回路(インピーダンスの小さい給電回路)ではワイヤ断線が起こり易くなる。
本発明のワイヤ放電加工機では、上側給電回路と下側給電回路との間でのインピーダンスの偏りに応じて上側給電回路および下側給電回路それぞれへの高周波パルス電圧の供給条件を調節して、給電回路間でのインピーダンスの偏りに起因するワイヤ断線を防止するように構成することができる。
図5〜図7は、それぞれ、給電回路間でのインピーダンスの偏りに起因するワイヤ断線を防止することができるワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。これらの図に示す構成部材のうちで図1に示した構成部材と共通するものについては、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図5に示すワイヤ放電加工機150は、パルス発振制御部95aを有する制御装置110Bを備えている。パルス発振制御部95aは、ユーザによって記憶部85に予め格納されたZ軸高さ(下側給電部20bに対する上側給電部20aの高さ)のデータを読み出し、または記憶部85に格納されている数値制御データからZ軸高さを求め、このZ軸高さを基準値と比較して上側給電回路および下側給電回路それぞれでのインピーダンスの大小関係を求める。そして、記憶部85から読み出した給電制御データをインピーダンスの小さい給電回路での放電電流値がインピーダンスの大きい給電回路での放電電流値に近づくように例えば演算により改変し、該改変した給電制御データを基に当該パルス発振制御部95aが第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。
例えば、高周波パルス電圧でのパルス長またはパルス間隔を変更したり、供給するパルス数を変更したりしてワイヤ電極1に供給する高周波パルス電圧のエネルギーを調節することにより、放電電流値を調節することができる。第1スイッチング素子部25aおよび第2スイッチング素子部25bがそれぞれ複数のスイッチング素子を有する場合には、開にするスイッチング素子の数を変更することでワイヤ電極1に供給する高周波パルス電圧のエネルギーを調節することもできる。なお、上記の基準値としては給電制御データの作成時に想定していたZ軸高さが用いられ、当該基準値は例えば記憶部85に予め格納される。このワイヤ放電加工機150は、被加工物Wとして平板状物を用いる場合に特に好適である。
図6に示すワイヤ放電加工機160は、演算・制御部90bおよびパルス発振制御部95bを有する制御装置110Cを備えている。演算・制御部90bは、図1に示した演算・制御部90(図1参照)と同様に、ワイヤ電極1から被加工物Wに印加される高周波パルス電圧のエネルギーと加工速度等を用いて被加工物Wの板厚を逐次算出する機能を有しており、算出結果をパルス発振制御部95bに送る。図6には、図1において図示を省略した速度計測装置57が示されている。
パルス発振制御部95bは、演算・制御部90bから送られてくる上記の算出結果を基準値と比較して上側給電回路および下側給電回路それぞれでのインピーダンスの大小関係を求める。そして、記憶部85から読み出した給電制御データをインピーダンスの小さい給電回路での放電電流値がインピーダンスの大きい給電回路での放電電流値に近づくように例えば演算により改変し、該改変した給電制御データを基に当該パルス発振制御部95bが第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。なお、上記の基準値としては給電制御データの作成時に想定していた板厚が用いられ、当該基準値は例えば記憶部85に予め格納される。このワイヤ放電加工機160は、被加工物Wとして平板状物を用いる場合は勿論、被加工物Wに凹部や孔が予め形成されている場合にも好適である。
図7に示すワイヤ放電加工機170は、演算・制御部90c、パルス発振制御部95c、および板厚決定部100を有する制御装置110Dを備えており、記憶部85には被加工物の3次元データが更に格納されている。演算制御部90cは、板厚決定部100の動作を制御し、該板厚決定部100は、上記の3次元データと記憶部85に格納されている数値制御データ(テーブル駆動装置55用の数値制御データ)とを基に放電加工箇所を特定すると共に当該放電加工箇所での被加工物Wの板厚を求め、該板厚のデータをパルス発振制御部95bに送る。パルス発振制御部95cは、演算・制御部90cから送られてくる上記板厚のデータを基準値と比較して上側給電回路および下側給電回路それぞれでのインピーダンスの大小関係を求める。そして、記憶部85から読み出した給電制御データをインピーダンスの小さい給電回路での放電電流値がインピーダンスの大きい給電回路での放電電流値に近づくように例えば演算により改変し、該改変した給電制御データを基に当該パルス発振制御部95cが第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。なお、上記の基準値としては給電制御データの作成時に想定していた板厚が用いられ、当該基準値は例えば記憶部85に予め格納される。このワイヤ放電加工機170は、被加工物Wとして平板状物を用いる場合は勿論、被加工物Wに凹部や孔が予め形成されている場合にも好適である。
上述した各ワイヤ放電加工機150,160,170においては、給電回路間でのインピーダンスの大小関係(偏り)に応じて上側給電回路および下側給電回路それぞれへの高周波パルス電圧の供給条件が調節されるので、給電回路間でのインピーダンスの偏りに起因するワイヤ断線を防止することが容易である。したがって、これらのワイヤ放電加工機150,160,170によれば、図1に示したワイヤ放電加工機130と同様に上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態とを所定のパターンで混在させることによってワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を防止することができると共に、ワイヤ放電加工機130に比べてワイヤ断線を抑制することが容易になる。その結果として、ワイヤ放電加工機130に比べて生産性を向上させることが容易になる。
実施の形態4.
本発明のワイヤ放電加工機では、上側給電回路のインピーダンスと下側給電回路のインピーダンスとに応じて各給電回路への高周波パルス電圧の供給条件を調節して、給電回路間でのインピーダンスの偏りに起因するワイヤ断線を防止するように構成することができる。
図8および図9は、それぞれ、上側給電回路のインピーダンスと下側給電回路のインピーダンスとに応じて各給電回路への高周波パルス電圧の供給条件を調節することができるワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。これらの図に示す構成部材のうちで図1に示した構成部材と共通するものについては、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図8に示すワイヤ放電加工機180は、インピーダンス計測部70を有する加工機本体80Bと、パルス発振制御部95dを有する制御装置110Eとを備えている。インピーダンス計測部70は、上側給電回路におけるメイン電源30と上側給電部20aとの間のインピーダンス、および下側給電回路におけるメイン電源30と下側給電部20bとの間のインピーダンスをそれぞれ実測し、この実測結果をパルス発振制御部95dに伝える。パルス発振制御部95dは、インピーダンス計測部70による実測結果を基準値と比較して上側給電回路および下側給電回路それぞれでのインピーダンスの大小関係を求める。そして、記憶部85から読み出した給電制御データをインピーダンスの小さい給電回路での放電電流値がインピーダンスの大きい給電回路での放電電流値に近づくように例えば演算により改変し、該改変した給電制御データを基に当該パルス発振制御部95dが第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。なお、上記の基準値としては給電制御データの作成時に想定していたインピーダンスが用いられ、当該基準値は例えば記憶部85に予め格納される。
図9に示すワイヤ放電加工機190は、パルス発振制御部95eを有する制御装置110Fを備えており、記憶部85には、ワイヤ放電加工機190のメーカまたはユーザが予め測定した上側給電給回路および下側給電回路それぞれのインピーダンスが予め格納されている。具体的には、上側給電回路におけるメイン電源30と上側給電部20aとの間のインピーダンスの実測データと、下側給電回路におけるメイン電源30と下側給電部20bとの間のインピーダンスの実測データとが予め格納されている。パルス発振制御部95eは、記憶部85に格納されている上記各インピーダンスの実測データを直接比較して、または基準値と比較して、上側給電回路および下側給回路それぞれでのインピーダンスの大小関係を求める。そして、記憶部85から読み出した給電制御データをインピーダンスの小さい給電回路での放電電流値がインピーダンスの大きい給電回路での放電電流値に近づくように例えば演算により改変し、該改変した給電制御データを基に当該パルス発振制御部95eが第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。なお、上記の基準値としては給電制御データの作成時に想定していたインピーダンスが用いられ、当該基準値は例えば記憶部85に予め格納される。
上述した各ワイヤ放電加工機180,190においては、上側給電回路自体のインピーダンスと下側給電回路自体のインピーダンスとに応じて各給電回路への高周波パルス電圧の供給条件が調節されるので、給電回路間でのインピーダンスの偏り(大小関係)に起因するワイヤ断線を防止することが容易である。したがって、これらのワイヤ放電加工機180,190は、実施の形態3で説明した各ワイヤ放電加工機150,160,170と同様の技術的効果を奏する。
実施の形態5.
本発明のワイヤ放電加工機には、ワイヤ断線の予兆(以下、「断線予兆」という。)が検出されたときに第1パルス発振器および第2パルス発振器それぞれの動作をワイヤ断線が防止されるように制御するワイヤ断線回避機能を付加することができる。
図10は、ワイヤ断線回避機能が付加されたワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。同図に示すワイヤ放電加工機200は、断線予兆検出部75を有する加工機本体80Cと、パルス発振制御部95fを有する制御装置110Gとを備えており、記憶部85には、実施の形態1〜4で説明した給電制御データ(以下、本実施の形態においては「基本給電制御データ」という。)の他に、断線予兆があったときにワイヤ断線を回避するための給電制御データ(以下、「断線回避用給電制御データ」という。)が更に格納されている。図10に示す構成部材のうちで図1に示した構成部材と共通するものについては、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
上記の断線予兆検出部75は、上側給電部20aと下側給電部20bと被加工物Wとに電気的に接続されて、例えば上側給電回路と下側給電回路とでの電流の分流比から放電点の位置を求め、放電点が一箇所に集中する集中放電が検出されたときにワイヤ断線の予兆があったものと判断して、所定の信号(以下、「断線予兆検出信号」という。)をパルス発振制御部95fに送る。
断線予兆検出信号を受けたパルス発振制御部95fは、記憶部85から断線回避用給電制御データを読み出すことで給電制御データを改変し、この断線回避用給電制御データを基に第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御してワイヤ断線を回避する。例えば、上側給電状態と下側給電状態とが交互に出現するように第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれを動作制御し、これにより放電点の位置を経時的に分散させてワイヤ断線を回避する。
ワイヤ放電加工機200は上述のワイヤ断線回避機能を有しているので、実施の形態1〜4で説明した各ワイヤ放電加工機に比べてワイヤ断線を防止することが容易である。したがって、当該ワイヤ放電加工機200によれば、図1に示したワイヤ放電加工機130と同様に上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態とを所定のパターンで混在させることによってワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を防止することができると共に、ワイヤ放電加工機130に比べてワイヤ断線を抑制することが容易になる。その結果として、ワイヤ放電加工機130に比べて生産性を向上させることが容易になる。
なお、ワイヤ放電加工機にワイヤ断線回避機能を付加する場合、パルス発振制御部には、長期的(1〜2秒程度)な視野にたったときの給電比率を所定の比率、すなわち基本給電制御データを基に第1パルス発振器および第2パルス発振器それぞれの動作を制御したときの上側給電状態、下側給電状態、および両側給電状態それぞれによる給電比率に戻す機能(以下、「給電比率復帰機能」という。)を付加することができる。
図11は、上述したパルス発振制御部95fに給電比率復帰機能を付加したときの給電パターンの一例を示す概略図である。同図に示す例では、時刻T1までは基本給電制御データを基にパルス発振制御部95fが第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御している。当該基本給電制御データの下では、上側給電状態および下側給電状態を1周期ずつ行った後に両側給電状態を2周期分行うという動作が繰り返される。
時刻T1で断線予兆検出部75からパルス発振制御部95fに断線予兆検出信号が送られてくると、パルス発振制御部95fは断線回避用給電制御データを基に第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御し始め、上側給電状態と下側給電状態とが交互に出現するように第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。そして、断線予兆検出部75からの断線予兆検出信号が時刻T2で止むと、パルス発振制御部95fは給電比率復帰機能を発現させて、上側給電状態、下側給電状態、および両側給電状態それぞれによる給電比率が基本給電制御データの下での給電比率となるように、第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。
具体的には、時刻T1から時刻T2までの間で両側給電状態を1周期も行っていないので、上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態との比率が1:1:2となるように第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御し、時刻T2から時刻T3までの間で上側給電状態および下側給電状態をそれぞれ1周期ずつ出現させ、かつ両側給電状態を8周期分出現させる。これにより、上側給電状態、下側給電状態、および両側給電状態それぞれによる給電比率が基本給電制御データの下での給電比率に戻される。
パルス発振制御部95fに付与された給電比率復帰機能は、基本給電制御データの下での給電比率を算出する機能と、断線回避用給電制御データの下での上側給電状態、下側給電状態、および両側給電状態それぞれの出現回数を計数する機能と、断線回避用給電制御データの下で給電を行うことにより生じた給電比率のズレ、すなわち基本給電制御データの下での給電比率からのズレを算出する機能と、当該ズレを補正する機能とを含んでいる。パルス発振制御部95fは、時刻T3以後は再び基本給電制御データを基に第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。
実施の形態6.
本発明のワイヤ放電加工機には、ワイヤ電極と被加工物との短絡の予兆または短絡が検出されたときに上記の短絡が防止されるように、または上記の短絡が解消されるように第1パルス発振器および第2パルス発振器それぞれの動作を制御する機能(以下、「短絡防止機能」という。)を付加することができる。
図12は、短絡防止機能が付加されたワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。同図に示すワイヤ放電加工機210は、演算・制御部90dとパルス発振制御部95gとを有する制御装置110Hを備えており、記憶部85には上記短絡の予兆または短絡があったときに短絡を防止するか、または短絡を解消するための給電制御データ(以下、「短絡防止用給電制御データ」という。)が更に格納されている。図12に示す構成部材のうちで図1に示した構成部材と共通するものについては、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
上記の演算・制御部90dは、電圧検出装置50によって検出される各給電部20a,20bと被加工物Wとの電位差を基にワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡の予兆または短絡を検出する。具体的には、電圧検出装置50によって検出される各給電部20a,20bと被加工物Wとの電位差から放電電圧値を算出し、この値がワイヤ電極1の材質、被加工物Wの材質、加工液の液質、およびワイヤ電極1に印加する高周波パルス電圧の大きさ等を基に予め設定される平均放電電圧値を下回ったときには短絡の予兆または短絡の発生であると判断する。そして、短絡の予兆または短絡を検出すると、当該演算・制御部90dは所定の信号(以下、「短絡・予兆検出信号」という。)をパルス発振制御部95gに送る。なお、上記の平均放電電圧値は、ワイヤ放電加工機210のメーカまたはユーザによって求められて予め記憶部85に格納される。
演算・制御部90dから短絡・予兆検出信号を受けたパルス発振制御部95gは、記憶部85から短絡防止用給電制御データを読み出すことで給電制御データを改変し、この短絡防止用給電制御データを基に第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御して、ワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を防止するか、またはワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を解消させる。例えば、両側給電状態となるように第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御することでワイヤ電極1と被加工物Wとの間の放電を安定させ、これによりワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を防止するか、またはワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を解消させる。
ワイヤ放電加工機210は上述の短絡防止機能を有しているので、実施の形態1〜5で説明した各ワイヤ放電加工機に比べてワイヤ断線1と被加工物Wとの短絡を防止することが容易である。したがって、当該ワイヤ放電加工機210によれば、図1に示したワイヤ放電加工機130と同様に上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態とを所定のパターンで混在させることによってワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を防止することができると共に、ワイヤ放電加工機130に比べてワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を抑制することが容易になる。その結果として、ワイヤ放電加工機130に比べて生産性を向上させることが容易になる。なお、ワイヤ放電加工機に短絡防止機能を付加する場合も、パルス発振制御部には実施の形態5で説明した給電比率復帰機能を付加することができる。
実施の形態7.
本発明のワイヤ放電加工機には、加工液供給装置から上側ノズルおよび下側ノズルの各々に供給される加工液の流量に応じて第1パルス発振器および第2パルス発振器それぞれの動作を制御する機能を付加することができる。
図13は、上記の機能が付加されたワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。同図に示すワイヤ放電加工機220は、演算・制御部90e、パルス発振制御部95h、および流量比較部105を有する制御装置110Iを備えている。図13に示す構成部材のうちで図1に示した構成部材と共通するものについては、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
上記の演算・制御部90eは、記憶部85に格納されている数値制御データ(加工液供給装置60用の数値制御データ)に基づいて加工液供給装置60の動作を制御したときに当該加工液供給装置60から上側ノズル65aに供給される加工液の流量、および下側ノズル65bに供給される加工液の流量それぞれについてのデータを流量比較部105に送る。これらのデータを送られた流量比較部105は各データを基準値と比較し、その結果をパルス発振制御部95hに送る。流量比較部105は、例えば給電制御データの作成時に想定していた加工液の流量のデータを上記の基準値として有している。
パルス発振制御部95hは、記憶部85から給電制御データを読み出して第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する一方で、流量比較部105による比較結果から加工液の流量が基準値を超えていると判断されるノズルがあったときには、上記の給電制御データを例えば演算により改変する。すなわち、上側給電部20aおよび下側給電部20bのうちで加工液の流量が基準値を超えていると判断されるノズルと同じ側にある給電部からワイヤ電極1に供給される高周波パルス電圧の給電比率が低くなるように、上記の給電制御データを改変する。そして、改変された給電制御データを基に第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。
被加工物をワイヤ放電加工する場合、加工液供給装置から上側ノズルおよび下側ノズルの各々に供給される加工液の流量は放電加工の全過程で一定というわけではなく、例えばワイヤ電極の相対的な移動経路が直線状の箇所と円弧状の箇所とでは上記加工液の流量が異なる。また、上側ノズル65aと下側ノズル65bとで加工液の流量が異なることもある。そして、上側ノズル65aと下側ノズル65bとで加工液の流量が異なっているときには、加工液の流量が多いノズルから加工溝(ワイヤ電極1と被加工物Wとの間隙)に流入する加工液の液量の方が、加工液の流量が少ないノズルから加工溝に流入する加工液の液量よりも少なくなり、加工液の流量が多いノズル側で加工溝に加工屑等が溜まり易くなる。その結果として、加工液の流量が多いノズル側で放電周波数が高くなってワイヤ断線が起こり易くなる。
図13に示したワイヤ放電加工機220では、加工液の流量が基準値を超えていると判断されるノズルがあったときに、該ノズルと同じ側にある給電部からワイヤ電極1に供給される高周波パルス電圧の給電比率が低くなるように第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作が制御されるので、上側ノズル65aおよび下側ノズル65bの各々に供給される加工液の流量が変動したときでもワイヤ断線が抑制される。
したがって、当該ワイヤ放電加工機220によれば、図1に示したワイヤ放電加工機130と同様に上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態とを所定のパターンで混在させることによってワイヤ電極1と被加工物Wとの短絡を防止することができると共に、ワイヤ放電加工機130に比べてワイヤ断線を抑制することが容易になる。その結果として、ワイヤ放電加工機130に比べて生産性を向上させることが容易になる。
以上、7つの形態を例示して本発明のワイヤ放電加工機について説明したが、本発明は上述した7つの形態に限定されるものではない。例えば、所望の給電制御データをユーザが記憶部に容易に格納することができるように、上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態との混在パターン(出現パターン)を入力部から入力するだけで所望の給電制御データが記憶部に格納されるように、制御装置にデータ変換部を設けることもできる。
図14は、上記のデータ変換部が制御装置に設けられたワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。同図に示すワイヤ放電加工機230の制御装置110Jには、上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態との混在パターン(出現パターン)が入力部から入力されたときに、当該出現パターンに応じた給電制御データを作成するデータ変換部108が設けられている。このデータ変換部108により作成された給電制御データは、演算・制御部90fを介して記憶部85に格納される。パルス発振制御部95は、上記の給電制御データを基に第1パルス発振器35aおよび第2パルス発振器35bそれぞれの動作を制御する。なお、図14に示す構成部材のうちで図1に示した構成部材と共通するものについては、図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
また、図示を省略するが、本発明のワイヤ放電加工機においては、メイン電源が接続される第1スイッチング素子部と第2スイッチング素子部とを当該メイン電源とは別の部材とすることもできるし、メイン電源の一構成部材とすることもできる。同様に、サブ電源が接続される第3スイッチング素子部と第4スイッチング素子部とを当該サブ電源とは別の部材とすることもできるし、サブ電源の一構成部材とすることもできる。第1パルス発振器および第2パルス発振器の各々についても同様であり、これらはメイン電源またはサブ電源の一構成部材とすることもできる他、パルス発振制御の一構成部材とすることもできる。
さらには、スイッチング素子部を1つの給電部に1つのみ設けることもできる。図15は、スイッチング素子部が1つの給電部に1つのみ設けられたワイヤ放電加工機の一例を概略的に示す構成図である。同図に示すワイヤ放電加工機240の加工機本体80Dでは、上側給電部20aに対応して1つのスイッチング素子部28a(以下、「第1スイッチング素子部28a」という。)が設けられ、該第1スイッチング素子部28a以外のスイッチング素子部は上側給電部20aに接続されていない。同様に、下側給電部20bに対応して1つのスイッチング素子部28b(以下、「第2スイッチング素子部28b」という。)が設けられ、該第2スイッチング素子部28b以外のスイッチング素子部は下側給電部20bに接続されていない。個々のスイッチング素子部28a,28bは、メイン電源30とサブ電源40とにより共用される。第1スイッチング素子部28aには第1パルス発振器35aが接続されており、第2スイッチング素子部28bには第2パルス発振器35bが接続されている。
上記の第1スイッチング素子部28aは、メイン電源30およびサブ電源40のいずれとも別個の部材とすることもできるし、メイン電源30またはサブ電源40の一構成部材とすることもできる。同様に、第2スイッチング素子部28bは、メイン電源30およびサブ電源40のいずれとも別個の部材とすることもできるし、メイン電源30またはサブ電源40の一構成部材とすることもできる。
1つの給電部に幾つのスイッチング素子部を設けるかに拘わらず、本発明のワイヤ放電加工機では、放電加工の期間中に上側給電状態と下側給電状態と両側給電状態とを任意に混在(出現)させることが可能であるので、ワイヤ電極と被加工物との短絡やワイヤ断線を防止しつつ被加工物の板厚方向での放電加工量を適宜変化させて、当該板厚方向での加工精度を向上させることも可能である。上側給電状態での給電比率を高めれば被加工物における板厚方向上部での放電加工を進行させることができ、下側給電状態での給電比率を高めれば被加工物における板厚方向下部での放電加工を進行させることができるので、これらの給電状態を適宜組み合わせることにより被加工物の板厚方向での加工精度を向上させることができる。
また、放電加工箇所での被加工物の板厚は、図7に示したワイヤ放電加工機170のように被加工物の3次元データを用いて求めることができるので、当該3次元データを用いて放電加工箇所での被加工物の板厚を求める機能を有するワイヤ放電加工機では、ワイヤ電極から被加工物に印加される高周波パルス電圧のエネルギーと加工速度等とから被加工物の板厚を算出する機能を省略することも可能である。本発明のワイヤ放電加工機については、上述した以外にも種々の変形、修飾、組合せ等が可能である。

Claims (13)

  1. 被加工物の板厚方向に走行するワイヤ電極と前記被加工物との間に加工液を供給しながら、前記被加工物の上下に配置された一対の給電部を介して前記ワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加し、前記ワイヤ電極と前記被加工物との間に生じる放電により前記被加工物を加工するワイヤ放電加工機であって、
    前記一対の給電部のうちで前記被加工物の上側に配置された上側給電部には第1スイッチング素子部を介して高周波パルス電圧を印加し、前記被加工物の下側に配置された下側給電部には第2スイッチング素子部を介して高周波パルス電圧を印加するメイン電源と、 前記第1スイッチング素子部に該第1スイッチング素子部の開閉動作を制御するパルス信号を供給する第1パルス発振器と、
    前記第2スイッチング素子部に該第2スイッチング素子部の開閉動作を制御するパルス信号を供給する第2パルス発振器と、
    前記第1スイッチング素子部および前記第2スイッチング素子部それぞれの開閉動作を規定して、前記上側給電部のみから前記ワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加する上側給電状態と、前記下側給電部のみから前記ワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加する下側給電状態と、前記上側給電部と前記下側給電部との両方から互いに同期して前記ワイヤ電極に高周波パルス電圧を印加する両側給電状態とが総パルス数に占める両側給電状態下でのパルス数の割合が予め定めた割合となる所定のパターンで混在するように給電制御する給電制御データが格納されている記憶部と、
    前記給電制御データを基に前記第1パルス発振器および前記第2パルス発振器それぞれの動作を制御するパルス発振制御部と、
    を有することを特徴とするワイヤ放電加工機。
  2. 前記メイン電源は、
    前記第1スイッチング素子部を介して前記上側給電部に接続されると共に前記被加工物における板厚方向上部に接続される第1メイン電源と、
    前記第2スイッチング素子部を介して前記下側給電部に接続されると共に前記被加工物における板厚方向下部に接続される第2メイン電源と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  3. 前記パルス発振制御部は、前記メイン電源から前記第1スイッチング素子部および前記上側給電部を経て放電点に達する上側給電回路でのメイン電源−上側給電部間のインピーダンスと、前記メイン電源から前記第2スイッチング素子部および前記下側給電部を経て放電点に達する下側給電回路でのメイン電源−下側給電部間のインピーダンスとに応じて、インピーダンスの小さい方の給電回路での放電電流値がインピーダンスの大きい方の給電回路での放電電流値に近づくように前記給電制御データを改変し、該改変した給電制御データを基に前記第1パルス発振器および前記第2パルス発振器それぞれの動作を制御することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  4. 前記記憶部には、前記給電制御データの作成時に想定していたZ軸高さについてのデータが更に格納されており、
    前記パルス発振制御部は、前記被加工物を放電加工しているときのZ軸高さと前記記憶部に格納されている前記Z軸高さについてのデータとを基に、上側給電回路での前記インピーダンスと下側給電回路での前記インピーダンスとの大小関係を判断する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工機。
  5. 前記被加工物を載置した状態で2軸方向に移動することができるテーブルと、
    前記テーブルを2軸方向に移動させるテーブル駆動装置と、
    前記テーブルの駆動速度を計測する速度計測装置と、
    前記上側給電部および前記下側給電部の各々と前記被加工物との電位差を検出する電圧検出装置と、
    前記速度計測装置により計測される前記テーブルの駆動速度を基に加工速度を算出すると共に、前記電圧検出装置により検出される電位差を基に前記ワイヤ電極から前記被加工物に印加される高周波パルス電圧のエネルギーを算出し、前記加工速度と前記高周波パルス電圧のエネルギーとを用いて前記被加工物の板厚を算出する演算・制御部と、
    を更に有し、
    前記パルス発振制御部は、前記演算・制御部が算出した前記被加工物の板厚を基に、上側給電回路での前記インピーダンスと下側給電回路での前記インピーダンスとの大小関係を判断する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工機。
  6. 前記被加工物を載置した状態で2軸方向に移動することができるテーブルと、
    前記テーブルを2軸方向に移動させるテーブル駆動装置と、
    前記テーブル駆動装置の動作を制御する演算・制御部と、
    放電加工している箇所での前記被加工物の板厚を算出する板厚決定部と、
    を更に有すると共に、前記記憶部には、前記テーブル駆動装置の動作を数値制御するための数値制御データと前記被加工物の3次元データとが更に格納されており、
    前記演算・制御部は前記数値制御データを基に前記テーブル駆動装置の動作を制御し、
    前記板厚決定部は、放電加工している箇所での前記被加工物の板厚を前記数値制御データと前記3次元データとを基に算出し、
    前記パルス発振制御部は、前記板厚決定部が算出した前記被加工物の板厚を基に、上側給電回路での前記インピーダンスと下側給電回路での前記インピーダンスとの大小関係を判断する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工機。
  7. 上側給電回路での前記インピーダンスと下側給電回路での前記インピーダンスとを実測するインピーダンス計測部を更に有し、
    前記パルス発振制御部は、前記インピーダンス計測部の実測結果を基に上側給電回路での前記インピーダンスと下側給電回路の前記インピーダンスとの大小関係を判断する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工機。
  8. 前記記憶部には、上側給電回路での前記インピーダンスおよび下側給電回路での前記インピーダンスそれぞれの実測データが予め格納されており、
    前記パルス発振制御部は、前記記憶部に格納されている上側給電回路での前記インピーダンスおよび下側給電回路での前記インピーダンスそれぞれの実測データを基に、上側給電回路での前記インピーダンスと下側給電回路での前記インピーダンスとの大小関係を判断する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工機。
  9. 前記上側給電部と前記下側給電部と前記被加工物とに接続されてワイヤ断線の予兆を検出する断線予兆検出部を更に有し、
    前記パルス発振制御部は、前記断線予兆検出部がワイヤ断線の予兆を検出したときに、前記ワイヤ電極と前記被加工物との間での放電の位置が経時的に分散するように前記給電制御データを改変し、該改変した給電制御データを基に前記第1パルス発振器および前記第2パルス発振器それぞれの動作を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  10. 前記パルス発振制御部は、前記断線予兆検出部がワイヤ断線の予兆を検出したときに、前記上側給電状態と前記下側給電状態とが交互に出現するように前記給電制御データを改変することを特徴とする請求項9に記載のワイヤ放電加工機。
  11. 前記上側給電部および前記下側給電部の各々と前記被加工物との電位差を検出する電圧検出装置と、
    前記電圧検出装置による検出結果を基に前記ワイヤ電極と前記被加工物との短絡または該短絡の予兆があるか否かを判断する演算・制御部と、
    を更に有し、
    前記パルス発振制御部は、前記演算・制御部が前記短絡または該短絡の予兆があると判断したときに、前記ワイヤ電極と前記被加工物との間での放電が安定するように前記給電制御データを改変し、該改変した給電制御データを基に前記第1パルス発振器および前記第2パルス発振器それぞれの動作を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  12. 前記パルス発振制御部は、前記演算・制御部が前記短絡または該短絡の予兆があると判断したときに、前記両側給電状態となるように前記給電制御データを改変することを特徴とする請求項11に記載のワイヤ放電加工機。
  13. 前記被加工物の上方に配置された上側ノズルと、
    前記被加工物の下方に配置された下側ノズルと、
    前記上側ノズルおよび前記下側ノズルの各々に加工液を供給する加工液供給装置と、
    前記加工液供給装置の動作を制御して、該加工液供給装置から前記上側ノズルおよび前記下側ノズルの各々に所定流量の加工液を供給させる演算・制御部と、
    前記上側ノズルおよび前記下側ノズルの各々への加工液の供給量と前記給電制御データの作成時に想定していた加工液の供給量との大小関係を求める流量比較部と、
    を更に有すると共に、
    前記記憶部には、前記加工液供給装置の動作を数値制御するための数値制御データが更に格納されており、
    前記演算・制御部は前記数値制御データを基に前記加工液供給装置の動作を制御し、
    前記パルス発振制御部は、前記流量比較部による比較の結果、前記給電制御データの作成時に想定していた加工液の供給量よりも加工液の供給量が多いノズルがあったときには、該ノズルと同じ側の給電部から前記ワイヤ電極への給電比率が低くなるように前記給電制御データを改変し、該改変した給電制御データを基に前記第1パルス発振器および前記第2パルス発振器それぞれの動作を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
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