JP2006110721A - ワイヤ放電加工機の制御装置 - Google Patents

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正機 栗原
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Abstract

【課題】加工速度、加工精度を向上させ、ワイヤ状電極の断線をも回避できるワイヤ放電加工機の制御装置を得る。
【解決手段】所定時間毎ワイヤ状電極4と被加工物5間で生じた放電パルスの電流積分値を放電パルス電流積分値演算記憶装置19で求める。このこの積分値と基準放電パルス電流積分値記憶装置20に記憶する基準値を比較し、比率を放電パルス電流積分値比較判断装置21で求め、この比較、比率に応じて、送りパルス演算装置13で求める所定時間内の送り量を制御する。また、この比較、比率により、放電休止時間制御装置16によって、休止時間を制御する。さらにこの比率に応じて、液量制御装置17で冷却液の量を制御する。これにより、余剰エネルギーの投与を防止し、加工速度、加工精度を向上させ、ワイヤ状電極の断線を回避する。
【選択図】図2

Description

本発明はワイヤ放電加工機の制御装置に係り、特に加工速度向上と加工精度の向上を可能とする制御装置に関するものである。
図18は従来のワイヤ放電加工機の制御装置の概要を示す図である。放電パルス発生装置1は放電加工を行うため、ワイヤ状電極4と被加工物5間の間隙に電圧を印加するもので、直流電源、トランジスタ等のスイッチング素子からなる回路やコンデンサの充放電回路などで構成している。検出電圧発生装置2はワイヤ状電極4と被加工物5間の間隙が放電可能か否かを検出するためにワイヤ状電極4と被加工物5間にパルス電圧を印加する装置で、トランジスタなどの能動素子と抵抗、コンデンサ等からなる回路、直流電源等で構成している。
通電ブラシ3はワイヤ状電極4に通電するためのもので、放電パルス発生装置1及び検出電圧発生装置2の一方の端子にそれぞれ接続している。また被加工物5は放電パルス発生装置1及び検出電圧発生装置2の他方の端子にそれぞれ接続されている。走行するワイヤ状電極4と被加工物5間には、放電パルス発生装置1及び検出電圧発生装置2から発生するパルス電圧が印加される。
放電間隙検出装置6は被加工物5とワイヤ状電極4に接続され、検出電圧発生装置2からの検出パルス電圧の推移によって放電間隙が放電可能状態かを判断して放電パルス投入信号を生成する。さらに送り制御のために数μ秒から数十μ秒以上のパルス状間隙電圧を基準電圧と比較して送りパルス演算装置の処理速度に整合するための平均化処理回路22を通して、送り基準電圧設定装置23の出力と比較し電圧偏差を得る。そしてこの電圧偏差に基づいて送りパルス演算装置24は送りパルス間隔を制御したパルス列を生成し、送りパルス分配装置12に出力する。送りパルス分配装置12はこのパルス列より加工プログラムにしたがってX軸、Y軸の駆動パルスに分配し被加工物5を載置したテーブルを駆動するX軸モータ駆動装置10、Y軸モータ駆動装置11に出力する構成となっている。
まず、前述のように被加工物5とワイヤ状電極4との間で放電可能か否かを検出するために、検出電圧発生装置2より検出パルス電圧を発生させて被加工物5とワイヤ状電極4との間隙に印加する。被加工物5とワイヤ状電極4との間に通電を生じ、被加工物5とワイヤ状電極4との間に電圧降下が生じると、放電間隙検出装置6は、この電圧降下を検出し放電可能と判断し、放電パルス発生装置1に放電パルス投入信号を送り、該放電パルス発生装置1より放電パルスを発生させて、上記被加工物5とワイヤ状電極4の間隙に放電パルス電流を流す。しかる後に間隙が冷却する適当な休止時間を経て、再度上記検出パルスを上記間隙に印加する。この動作サイクルをくり返し実行し放電加工を行う。
このようにして被加工物5から放電パルス発生ごとにその被加工物5の一部を除去する加工を行う。即ち、検出パルス電圧によって、対向するワイヤ状電極4と被加工物5との間隙に形成する数十μm以下の微小な導電路を捜し、即座に放電パルス電流を投入して加熱、蒸散又は溶融飛散することによって放電を開始させる。放電パルス一発の除去量や加工性能は放電パルス電流の大きさやワイヤ状電極4及び被加工物5の材料の融解熱や熱伝導率、融解時の粘度などの特性と冷却液(加工液)による冷却やスラッジ排出に関連する特性等によって異なる。また前述の放電生成から続く次なる放電は主に放電終了直後の発生スラッジを介した微小導電路の多く存在する近傍で集中して発生する傾向がある。そのため次々に発生する放電が一ヶ所に集中しないように的確なサーボ送り制御と休止時間制御が必要となる。
図19は、図13に示すダイス鋼の角柱を従来方法によって切り出した時の加工電圧と加工電流及び加工速度のモニタ波形を示す図である。加工方向が直角に変わるコーナは一瞬、間隙分だけ空送りすることになる。そのために加工電流は減少して加工電圧も高くなる。したがって送り速度指令が大きくなる。方向変更後はワイヤ状電極と被加工物は必要以上に近接して間隙が狭まり、スムーズなスラッジの排出が行われない。その結果スラッジ密度が高まって放電集中を起こして短絡したり、ワイヤ状電極が断線するようになる。そのため従来制御ではコーナ直後から一定の期間又は距離でサーボ送り(ワイヤ状電極と被加工物の相対的な送り)や放電休止時間、さらには加工液の液圧を予め加工確認して評価した別処理を追加する必要があった。しかも被加工物の板厚変化やコーナ形状に対応する精度補正が非常に煩雑で困難な処理になっていた。
従来の送り制御は前述のように検出が間隙電圧で行うため送りの正確さに欠け、特にワイヤ状電極を強く張った状態では断線し易く加工速度向上の要望に応えることができなかった。また加工形状の特にコーナ部などでは断線し易く、これを防止するために予め送り速度や加工電流を落とすなどのコーナ制御処理などを追加する必要があった。本発明はこのような課題を解決することを目的とするものである。
ワイヤ状電極と被加工物とを相対移動させながら、前記ワイヤ状電極と被加工物との間に放電パルス電流を投入して放電加工を行うワイヤ放電加工機の制御装置において、請求項1に係る発明は、投入した放電パルス電流を所定時間ごとに積分演算する放電パルス電流積分値演算手段と、移動指令に基づいて前記ワイヤ状電極と被加工物を加工経路に沿って相対移動させる移動手段と、予め設定された基準となる放電パルス電流の時間積分値を記憶する基準放電パルス電流積分値記憶手段と、前記放電パルス電流積分値演算手段が得た数値と前記基準放電パルス電流積分値記憶手段に記憶した数値とを比較し、比率を求める手段と、設定送り速度と前記所定時間とで求まる前記ワイヤ状電極と被加工物の相対移動距離に前記比率を乗じて求めた距離を移動指令として前記所定時間毎前記移動手段に出力する手段とを設けることによって、ワイヤ状電極の断線を防止し、高速、高精度の加工を可能にした。
又、請求項2に係る発明は、投入した放電パルス電流を所定時間ごとに積分演算する放電パルス電流積分値演算手段と、移動指令に基づいて前記ワイヤ状電極と被加工物を加工経路に沿って相対移動させる移動手段と、予め設定された基準となる放電パルス電流の時間積分値を記憶する基準放電パルス電流積分値記憶手段と、前記放電パルス電流積分値演算手段が所定時間ごとに得た数値と前記基準放電パルス電流積分値記憶手段に記憶した数値とを比較する比較手段と、該比較結果に応じて、前記放電パルス電流積分値演算手段が所定時間ごとに得た数値が前記放電パルス電流積分値演算手段に記憶した数値と一致するように、放電休止時間を制御する手段とを設けることによってワイヤ状電極の断線を防止し、高速、高精度の加工を可能にした。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の放電休止時間を制御する手段の代わりに、前記比較手段の比較結果に応じてエネルギーの余剰投入を抑えるよう放電休止時間を制御する休止時間制御装置とを備えるものとし、これによって、ワイヤ状電極の断線を防止し、高速、高精度の加工を可能にした。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明に設けられた、設定送り速度と所定時間とで求まるワイヤ状電極と被加工物の相対移動距離に前記比率を乗じて求めた距離を移動指令として前記所定時間毎、移動手段に出力する手段の代わりに、前記比率が増加した場合には冷却液量を増加させ、該比率が減少した場合には冷却液量を減少させるように制御する液量制御装置とを設けることによって、ワイヤ状電極の断線を防止し、高速、高精度の加工を可能にした。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明に、前記比較結果に応じて、前記放電パルス電流積分値演算手段が所定時間ごとに得た数値が前記放電パルス電流積分値演算手段に記憶した数値と一致するように、放電休止時間を制御する手段を追加したものであり、請求項6に係る発明は、前記比較結果に応じてエネルギーの余剰投入を抑えるよう放電休止時間を制御する休止時間制御装置を追加したものである。
又、請求項7に係る発明は、請求項1,5,6に係る発明において、前記比率が増加した場合には冷却液量を増加させ、該比率が減少した場合には冷却液量を減少させるように制御する液量制御装置を追加したものである。さらに、請求項8に係る発明は、請求項2,3に係る発明において、前記比較手段で前記放電パルス数計数手段が所定時間ごとに得た数値と前記基準放電パルス数記憶手段に記憶した数値との比率をも求めるようにし、該比率が増加した場合には冷却液量を増加させ、該比率が減少した場合には冷却液量を減少させるように制御する液量制御装置を備えるものとした。
本発明にて放電パルス数に対応する加工送りが実現できたので次の効果が得られた。
a.最適な加工電流を維持することが可能となり、
b.加工量の変化する切込み開始時やコーナ通過直後などでのワイヤ断線を回避できた。
c.高いワイヤ張力での加工速度が大幅に向上した。
d.コーナ部の加工精度が向上した。
e.加工拡大しろのばらつきが少なくなった。
まず、本発明の動作原理について説明する。図3は、ワイヤ放電加工における投入加工エネルギーと加工量の関係の説明図である。被加工物5に対して、ΔS部分とΔX部分の加工が行われた場合、次の関係式が成り立つ。
S*w=ΔS*t*g
X*w=ΔX*t*g …・・(1)
すなわち、
Ps/Δs=Px/Δx=t*g/w …・・(2)
となる。
ここで、tは被加工物5の板厚、PS及びPXはそれぞれの部分において単位時間Tに発生する放電パルス数、wは放電パルス1発あたりの加工量、ΔSは放電パルス数PSで移動できる距離、ΔXは放電パルス数PXで移動できる距離、gは加工溝幅である。また、放電パルス1発あたりの加工量wが一定であれば、放電パルス数PS及びPXは単位時間Tに発生する加工量に比例する値を示している。
板厚tに変化がないことを条件として加工溝幅gを一定とすれば次式を得る。
S/PX=ΔS/ΔX ……・(3)
即ち、単位時間T当たりの放電パルス数の変化とそれによる送り移動量の変化をそれぞれ等しくなるように送ることができれば加工溝幅gは一定になることを意味する。
単位時間T当たりの基準移動量ΔSは設定入力する基準となる設定送り速度SPDから次式により得る。
ΔS=SPD*T ……・(4)
(3)式と(4)式から移動量ΔXは次式より得る。
ΔX=SPD*T*(PX/PS) ……・(5)
なお、上記(5)式は、設定送り速度SPDが変更され、SPD*(Px/Ps)の送り速度にすることを意味する。
図4は横軸を移動量Δ、縦軸を放電パルス数Pとして(3)、及び(5)式の関係を表している。基準となる放電パルス数PSと基準となる設定送り速度SPDを予め点線のごとく設定すれば加工中の時々刻々変化する単位時間T当たりの放電パルス数PXを計数することによって移動量ΔXを生成することができる。
この移動量Δxは、(1)式から、
Δx=(Px*w)/(t*g)
と表わすこともできる。この式のPx*wは、放電パルスがPxだけ発生した時の加工量である。移動量Δxはこの加工量を被加工物の板厚と加工溝幅との積で除したものであるから、移動量Δxだけワイヤ電極を移動させるということは、Pxの放電パルスによって加工された量だけワイヤ電極を移動させることとなる。すなわち、(5)式は、基準となる放電パルス数Psと単位時間T当たりの放電パルス数の計数値Pxから、放電パルスによる加工量に対応するワイヤ電極の移動量Δxを生成するものである。
一般的に、移動量Δと放電パルス数Pとの関係は、被加工物の材質、被加工物の板厚t、加工溝幅gなどによって変化する。
例えば、被加工物の板厚tと加工溝幅gを一定とした場合、移動量Δと放電パルス数Pの関係は図5(a)に示すようになる。図5(a)の直線の傾きαは、(2)式の(t*g/w)に相当するが、tとgを一定としているため、傾きαは(2)式の(1/w)を表している。図5(a)において、超硬WCの方がダイス鋼よりも傾きαが大きいということは、超硬WCの方がダイス鋼よりも放電パルス1発あたりの加工量wが小さいことを意味している。これは、超硬WCの方がダイス鋼よりも放電加工がしにくいことと一致している。
又、加工溝幅gを一定とし、同じ材質の被加工物で板厚tを変化させた場合、移動量Δと放電加工パルス数Pとの関係は図5(b)に示すようになる。この場合(2)式におけるgとwが一定なので、図5(b)の直線の傾きβは、被加工物の板厚tを表している。
さらに、図5(c)は、加工溝幅gを一定とし、放電パルス数Pと移動量Δとの比(P/Δ)と、被加工物の板厚tとの関係を示す(2)式から、
t=(w/g)*(P/Δ)
なので、図5(c)の直線の傾きγは、(w/g)となる。ここで、加工溝幅gを一定としているので、直線の傾きγは、放電パルス1発あたりの加工量wを表している。図5(c)において、アルミの傾きγが大きく、超硬WCの傾きγが小さいということは、放電パルス1発あたりの加工量wが、アルミは大きく、超硬WCでは小さいことを意味している。これは、一般に、アルミは放電加工がしやすく、超硬WCは放電加工がしにくいことと一致する。
上述したように、移動量Δと放電パルス数Pとの関係は、被加工物の材質、被加工物の板厚t、加工溝幅gなどによって変化するため、(5)式に基づいてワイヤ状電極に移動量Δxを制御するに当たっては、基準となる放電パルス数Psと基準となる設定送り速度SPD(=Δs/T)との関係を予め求めておく。即ち、種々の材質の被加工物について、被加工物の板厚とワイヤ電極の径(加工溝幅)を種々変化させて、単位時間T当たりの放電パルス数P/T(=Ps)と単位時間Tあたりの移動速度Δ/T(=Δs)との関係を求め、放電パルス数Pと移動量Δとの比、
κ=P/Δ…・・(6)
を表1〜表3に示すように求めておく。なお、求めておいたκに設定送り速度SPDを乗じれば、基準となる放電パルス数Ps(=κ*SPD)を求めることができる。
Figure 2006110721
Figure 2006110721
Figure 2006110721
放電加工を始めるに当たり、加工条件として設定された被加工物の材質・被加工物の板厚・ワイヤ状電極の径に基づいて、κを上記の表から読み出し、読み出したκに設定送り速度SPDを乗じて基準となる放電パルス数Ps(=κ*SPD)を求める。そして、放電加工を行っている際は、単位時間当たりの放電パルス数Pを検出しながら(5)式に基づいて被加工物に対するワイヤ状電極の移動量(相対移動量)を制御する。
なお、加工条件として設定された板厚が上記の表に存在するとは限らないが、そのような場合は、表に存在する既知のκから設定板厚に対応するκを求めればよい。例えば、設定板厚が板厚1と板厚2との間にある場合は、板厚1に対応するκ1と板厚2に対応するκ2とから比例配分などの方法によって、設定板厚に対応するκを求めることができる。又、板厚1〜板厚Nに対応するκの値から板厚に対するκの近似曲線を求めて、設定板厚に対応するκを求めることもできる。あるいは、表を参照しながら、κを手動で設定することも可能である。
又、実際に放電加工しようとする被加工物の材質が上記の表に存在しない場合も、以下のような考え方でκを設定することができる。(6)式に示すように、κが大きいことは、同じ距離を加工するのに必要な放電パルス数が多いということ、即ち、放電パルス1発当たりの加工量wが小さいということを意味する。逆に、κが小さいということは、同じ距離を加工するのに必要な放電パルス数が少ないということ、即ち、放電パルス1発当たりの加工量wが大きいということを意味する。このことから、放電加工が容易だとされる材質ではκが小さくなり、放電加工が難しいとされる材質ではκが大きくなる。従って、実際に放電加工しようとする被加工物の材質が上記の表に存在しない場合でも、過去の経験等から、その材質の加工難易度がわかる場合は、その材質の加工難易度と同じ位の加工難易度の材質を上記の表から探して、被加工物の材質として設定すればよい。あるいは、実際に放電加工しようとする被加工物の加工難易度が、材質Aの加工難易度と材質Bの加工難易度との中間位であるということが分かる場合は、材質Aのκと材質Bのκとの中間の値を手動で設定してもよい。
次に、休止時間の制御について説明する。
図8は、休止時間を説明するための被加工物5の加工状態と被加工物5とワイヤ状電極4間における加工電圧、電流の状態を示す図である。
図8において、PX及びPX+1はΔX及びΔX+1位置での単位時間Tあたりの放電パルス数、VX、VX+1はそれぞれの平均加工電圧、VPは無負荷電圧、TONは電流パルス巾、TOFFは休止時間、TW(X)及びTW(X+1)はそれぞれ単位時間Tあたりの平均無負荷時間とする。又、PS、VS、TW(S)は、単位時間Tあたりの基準となる放電パルス数、平均加工電圧、平均無負荷時間とする。
X=T/(TW(X)+TON+TOFF
X+1=T/(TW(X+1)+TON+TOFF
S=T/(TW(S)+TON+TOFF
X=VP*TW(X)/(TW(X)+TON+TOFF
X+1=VP*TW(X+1)/(TW(X+1)+TON+TOFF
S=VP*TW(S)/(TW(S)+TON+TOFF
さらに、TON<<TW+TOFFとして、それぞれのTW+TON+TOFFを実質の休止時間τに置き換え上式を整理する。
W(X)+TOFF=τX ……・(7)
W(X+1)+TOFF=τX+1 ……・(8)
W(S)+TOFF=τS ……・(9)
X=T/τX ……・(10)
X+1=T/τX+1 ……・(11)
S=T/τS ……・(12)
X=VP*(τX―TOFF)/τX =VP*(1―TOFFX) …(13)
X+1=VP*(τX+1―TOFF)/τX+1
=VP*(1―TOFFX+1)……・(14)
S=VP*(τS―TOFF)/τS
=VP*(1―TOFFS) ……・(15)
また、それぞれの単位時間Tあたりの平均加工電流Im(S)、Im(X)、Im(X+1)、及び平均加工電流密度Id(S)、Id(X)、Id(X+1)は次式により得られる。なおtは板厚、gは加工溝幅である。
m(S)=Ip*TON*PS ……・(16)
d(S)=Im(S)/(t*g) ……・(17)
m(X)=Ip*TON*PX ……・(18)
d(X)=Im(X)/(t*g) ……・(19)
m(X+1)=Ip*TON*PX+1 ……・(20)
d(X+1)=Im(X+1)/(t*g) ……・(21)
前記(3)式と上式により次式を得る。
ΔS/ΔX=PS/PX=Id(S)/Id(X) ……・(22)
ΔS/ΔX+1=PS/PX+1=Id(S)/Id(X+1)……・(23)
即ち、この(22)式、(23)式が意味することは、前記(5)式に基づいて加工送りすると、単位時間Tあたりの平均加工電流密度も増減することを意味している。
この点、図6について説明する。図6(a)は、横軸は放電間隙内のスラッジ濃度SC、縦軸は平均加工電圧Vmである。グラフは放電加工時のスラッジ濃度SCと平均加工電圧Vmの推移を表している。スラッジ濃度SCが高くなり始めるとスラッジを介した微小導電路が放電のきっかけとして数多く検出されて平均加工電圧Vmはグラフのような曲線を辿ると考えられる。図6(b)について説明する。横軸は放電間隙内のスラッジ濃度SC、縦軸は単位時間当たりに発生する放電パルス数Pと実質休止時間τである。グラフは放電加工時の時々刻々変化するスラッジ濃度SCと単位時間当たりの放電パルス数P及び実質休止時間τの推移を表している。スラッジ濃度SCが高くなり始めるとスラッジを介した微小導電路が放電のきっかけとして数多く検出されて放電パルスの投入が増加し、実質休止時間τが最小になるグラフのような曲線を辿る。無負荷時間TWも短くなり、前述の放電生成の特殊性から集中放電に移行して、ワイヤ断線や面荒さの悪化及び溝幅の不均一の原因となる。従来は予め休止時間TOFFを大きめに設定してこのような最悪の状況となるのを回避した。さらに被加工物端面の切込み時に加工面積が小さいために放電が集中したり、また放電部への加工液量が逃げて冷却が不足する場合も予め大きめの休止時間TOFFを設定していた。
本発明ではかかる問題に対し放電パルス数が限度を越えて増加しないよう自動的に休止時間(TOFF)を変えることで解決した。図7(a)について説明する。
横軸は実質の休止時間τ、縦軸は単位時間Tあたりの放電パルス数Pをとり、(11)、(12)式を図示したものである。前記(5)式に基づいて加工すると単位時間Tあたりの放電パルス数Pと実質休止時間τは加工量とスラッジ濃度SCにしたがって図7(a)に示す実線を辿るようにして変化する。いま最適な放電パルス密度が得られる基準放電パルス数PSとその時の実質休止時間τSを線上のB点に設定して、基準放電パルス数PSを越える放電パルス数PX+1が発生する時の休止時間制御について説明する。
図7(a)のPX+1>PSなるA点の放電パルス数PX+1を基準放電パルス数PSに近づけるようにするためには実質休止時間τX+1とτSの差だけ、即ち無負荷休止時間TWが短くなった分だけ設定基準休止時間TOFF(S)を図9のように延長すればよい。図9は、ワイヤ状電極と被加工物間の電圧波形を示す図であり、図9(c)は図7(a)におけるB点の電圧波形で、基準電圧波形である。又、図9(b)は図7(a)におけるA点の電圧波形で、本発明を適用する前の波形である。そして、図9(a)は図7(a)における本発明を適用したときのA点の電圧波形を示すものである。この図9から明かのように、図9(b)では放電回数が多いが、図9(a)では少なくなっていることが分かる。
制御する休止時間をTOFF(X+1)とすれば次式を得る。
τS−τX+1=TOFF(X+1)−TOFF(S) ……・(24)
∴ TOFF(X+1)=τS−τX+1+TOFF(S)……・(25)
(11)、(12)式より次式を得る。
OFF(X+1)=(1/PS−1/PX+1)*T+TOFF(S)
……(26)
即ち、最適な放電パルス密度を得るB点に一致させるよう休止時間を制御するには、B点の基準となる放電パルス数PSの逆数とA点における放電パルス数PX+1の逆数との差分を単位時間Tごとに求め、その差分だけ基準休止時間TOFF(S)から延長することにより達成される。
次に図7(b)において基準放電パルス数PSを下回るC点、即ち放電パルス数PXが発生する時の休止時間制御について説明する。図7(a)と同様に横軸は実質の休止時間τ、縦軸に放電パルス数P及び平均加工電圧Vmをとり(10)、(12)及び(13)、(15)式からそれぞれのグラフを辿るようにして変化する。通常C点は加工量が少ないために、長い無負荷時間TW(X)をもつ実質休止時間の長い放電パルスが図10(b)のように発生する。しかし、前述の放電生成の特殊性からスラッジを介する無負荷時間TW(x)の短い放電パルスの連続する可能性も内包してワイヤ断線の原因となっていた。即ち、平均加工電圧のC'点からB'点を越えて瞬時に電圧が低下、無負荷時間TW(X)の短い放電パルスが間隙に投入される現象をよく観察する。したがってこの短い放電パルスが間隙に投入されないようにするには平均加工電圧が加工中にB'点を越えて低下しても実質休止時間τXがτSを越えてそれ以下にならないよう図10(a)で示すように予め休止時間を延長しておけば本目的は達成される。
即ち、点B'とC'の平均加工電圧を等しくすることから制御する休止時間をTOFF(X)とすれば(13)、(15)式より次式を得る。
P*(τX−TOFF(X))/τX=VP*(τS−TOFF(S))/τS
……・(27)
∴ TOFF(X)=TOFF(S)*τX/τS ……・(28)
(10)、(12)式より整理すれば次式を得る。
OFF(X)=TOFF(S)*(PS/PX) ……・(29)
即ち、基準休止時間TOFF(S)に基準となる放電パルス数PSと放電パルス数PXの比率の逆数を乗じた値に休止時間TOFF(X)を変更することにより本目的は達成される。このように(26)式、(29)式に基づく評価関数に基づいて、予めエネルギーの余剰投入を抑えるように放電休止時間を制御する。
なお、(26)、(29)式に基づいて放電休止時間を制御するに当たっては、上述したのと同様に、種々の材質、板厚、ワイヤ状電極の径について予め求めておいたκを用いることができる。この場合、求めたκに設定送り速度SPDを乗じて基準となる放電パルス数Ps(=κ*SPD)を求め、この放電パルス数Psを用いて、(26)、(29)式の演算を行う。
図10は、ワイヤ状電極と被加工物間の電圧波形を示す図であり、図10(c)は図7(b)におけるB点の電圧波形で、基準電圧波形である。又、図10(b)は図7(b)におけるC点の電圧波形で、本発明を適用する前の波形である。そして、図10(a)は図7(b)における本発明を適用したときのC点の電圧波形を示すものである。
加工開始時やコーナ部での空送りが生じる部分の加工では、ワイヤ状電極と被加工物間に電圧を印加しても放電が発生しにくく(無負荷休止時間TWが大きい)、放電パルス数Pxは基準パルス数Psよりも小さい。そのため、(29)式で求められる休止時間TOFF(X)は、基準の休止時間TOFF(S)よりも大きなものとなる。しかし、その間被加工物に対してワイヤ状電極は相対的に移動してそのギャップは小さくなることから、無負荷休止時間TWが小さくなり放電が早く生じ単位時間T内の放電パルス数Psは増加することになる。放電パルス数Psが増加すれば、(29)式で求められる休止時間TOFF(X)は短く
なり、基準の休止時間TOFF(S)に近づいてくる。
放電パルス数Pxが基準パルス数Psを越えると、(26)式の演算によって、休止時間TOFF(X+1)が求められ、この休止時間TOFF(X+1)は、基準の休止時間TOFF(S)より長くなる。休止時間TOFF(X+1)が長くなればなるほど放電パルス数PX+1は小さくなる方に作用する(無負荷休止時間TWが一定であるとすると、休止時間TOFF(X+1)が長くなれば放電パルス数PX+1は小さくなる)。
このようにして、放電パルス数Pxが基準パルス数Psに一致するように休止時間TOFF(X)が制御されることになる。
一方、放電パルス数が変動すれば、その放電によって加工される加工量、及び温度上昇が変動することになる。そこで、本発明は、単位時間Tあたりの放電パルス数の増減に伴う間隙の温度上昇を制御し、加工によって生じるスラッジを排出するための冷却液(加工液)の液量(流量)を制御する。すなわち、単位時間T当たりの放電パルス数が増大し加工量が多い時には間隙の温度上昇を抑えるために冷却液量を増大し、スムーズにスラッジを排除する。また加工量が小さく単位時間Tあたりの放電パルス数が少ない時は冷却液量を少なくして過冷却を防ぎ、ワイヤの振動を抑制して放電を安定させる。
図11、図12は、加工状態と冷却液量の関係を説明するための説明図である。この図11から次の関係を得る。
S∝QS/w ……・(30)
X∝QX/w ……・(31)
X/FRX∝QS/FRS ……・(32)
ここでwは放電パルス1発あたりのスラッジ量、QS、QXは放電パルス数PS、PXで除去されるスラッジ量、FRS、FRXはそれぞれの液量である。
上式(30)、(31)、(32)より次式を得る。
FRX∝FRS*(PX/PS) ……・(33)
即ちスラッジの量に応じて液量を制御するには基準となる設定FRSに基準となる放電パルス数PSと変化時の放電パルス数PXの比率を乗じた値になるような評価関数を作成して液量FRを変更することにより達成される。
なお、(33)式に基づいて液量FRを変更するに当たっては、上述したのと同様に、種々の材質、板厚、ワイヤ状電極の径について予め求めておいたκを用いることができる。すなわち、求めたκに設定送り速度SPDを乗じて基準となる放電パルス数Ps(=κ*SPD)を求め、この放電パルス数Psを用いて(33)式の演算を行う。
以上説明した本発明の原理に基づいて、以下本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態のワイヤ放電加工機の制御装置の要部を示すブロック図である。なお、図18に示した従来例と同一の要素は同一符号を付している。図1において1は放電パルス電流を生成するトランジスタなどの能動素子からなる回路、コンデンサの充放電回路、直流電源等から構成する放電パルス発生装置で、出力の一方は上下にある通電ブラシ3に接続され、他方は被加工物5に接続され、走行するワイヤ状電極4と被加工物5の間に放電パルス電流を供給する。2は間隙の状況を検出するための検出電圧を生成するトランジスタなどの能動素子と抵抗、コンデンサ等からなる回路、直流電源等から構成する検出電圧発生装置で、出力の一方は被加工物5に接続され、もう一方は上下にある通電ブラシ3に接続されている。被加工物5を搭載したテーブル(図示せず)は、移動手段を構成するX軸モータ駆動装置10,Y軸モータ駆動装置11及び送りパルス分配装置12によって駆動制御される。
6は検出電圧によって間隙が放電可能か否かを判別する放電間隙検出装置で、入力の一方は被加工物5に接続され、もう一方は上下にある通電ブラシ3に接続されている。そして放電可能と判断されたとき放電パルス投入信号を放電パルス発生装置1に出力する。同時に放電パルス数計数装置7にも出力する。
放電パルス数計数装置7は、演算クロック14から出力される単位時間(所定周期)T毎の信号に基づいて、該周期間の放電パルス投入信号を計数するものであり、実質的にワイヤ状電極4と被加工物5間に生じる放電パルスを計数するものである。
8は予め入力する基準となる放電パルス数Psを記憶しておく基準放電パルス数記憶装置である。
放電パルス数比較判断装置9は、放電パルス数計数装置7で単位時間(所定周期)T毎計数し記憶した放電パルス数Pxと基準放電パルス数記憶装置8から入力される予め記憶している基準放電パルス数Psとを前記単位時間(所定周期)T毎比較し、放電パルス数Pxと基準放電パルス数Ps比率(Px/Ps)を送りパルス演算装置13、放電休止時間制御装置16及び液量制御装置17に出力する。
送りパルス演算装置13は、演算クロック14からの所定周期T毎の信号ごとに、送り速度設定手段15から送られてくる送り速度SPDと所定周期Tより求められる距離(SPD*T)に、放電パルス数比較判断装置9から送られてくる放電パルス数Pxと基準放電パルス数Psとの比率(Px/Ps)を乗じて移動量(距離)Δxを求める。すなわち前記(5)式の演算を行って移動量Δxを求め、この移動量Δxだけのパルス列を、送りパルス分配装置12に出力する。送りパルス分配装置12は、このパルス列より加工プログラムに従ってX軸、Y軸の駆動パルスをX軸モータ駆動装置10,Y軸モータ駆動装置11に分配し、被加工物を搭載したテーブルを駆動するX軸モータ、Y軸モータをそれぞれ駆動する。
放電休止時間制御装置16は放電パルス数比較判断装置9から出力される比率(Px/Ps)に応じて、Px≦Psの場合には、(29)式の演算を行い、Px>Psの場合には、(26)式の演算を行い、休止時間TOFFを求め、検出電圧発生装置2に出力する。検出電圧発生装置2は、この休止時間TOFFだけ休止した後に、ワイヤ状電極4と被加工物5間に電圧を印加することになる。このようにして、予めエネルギーの余剰投入を抑えるように設定した評価関数に基づき放電休止時間を制御する。
又、液量制御装置17は放電パルス数比較判断装置9から出力される放電パルス数Pxと基準放電パルス数Ps比率(Px/Ps)に基づいて、(33)式で示されるような評価関数に基づいて液量を制御する。
以上のようにして、所定時間毎に、放電パルス数Pxと基準放電パルス数Psとの比率(Px/Ps)等に基づいて、移動距離、休止時間、冷却液量が制御されエネルギーの過剰投入を抑え、加工速度を向上させると共に加工精度をも向上させることができた。
図2は本発明の第2の実施形態に係わるワイヤ放電加工機の制御装置の要部ブロック図である。図1に示す第1の実施形態と異なる部分のみを説明する。この第2の実施形態では、放電パルス数を計数記憶する代わりに放電パルス電流の積分値を電流検出回路18と放電パルス電流積分値演算記憶装置19とから求め、基準となる放電パルス数の代わりに基準放電パルス電流積分値記憶装置20を設け、そして比較する放電パルス電流積分値比較判断回路21によって送りパルス、放電休止時間、液量制御のための比率を演算出力する。
即ち、基準となる放電パルス数Psの代わりに、基準となる放電パルス電流積分値を設定し、加工中の時々刻々変化する単位時間T当たりの放電パルス数Pxを計数する代わりに、加工中の放電パルス電流積分値を演算すればよい。又、κを求めたのと同様に、種々の材質、板厚、ワイヤ状電極の径について基準となる値を求めておき、これを利用することもできる。
この第2実施形態では、放電パルス数の代わりに、放電パルス電流積分値を用いる点で相違するものであり、他は第1の実施形態と同一であり、動作作用、効果も同一である。
図14はφ0.2mm(材質真鍮)のワイヤ状電極を使って板厚60mmの被加工物(材質SKD11)に端面から切込み加工した時のモニタ波形である。横軸は加工経過時間(10秒/目盛)、左側の縦軸に加工電圧(V)、休止時間(μ秒)、単位時間あたりの放電パルス数を、右側の縦軸に加工速度(mm/分)、加工電流(A)を取る。以下、加工経過時間にしたがって説明する。
モニタを始めてから18秒経過位までは加工電圧70V、休止時間は12μ秒、放電パルス数は0レベル、加工電流は0A、加工速度は3.5mm/分で推移、従来方法による加工送りを実行している。18秒から20秒に至るまでに加工電圧が60V以下まで下がり、加工電流が流れ始める。この時点を検出して本発明の送りが始まる。加工量が増えるにつれて放電パルス数も対応して徐々に増え、同時に休止時間も徐々に設定休止時間に漸近する。加工速度は約1mm/分から徐々に速度を上げ、約60秒後にほぼ目標の加工性能レベルに達している。この結果から端面切込みの際の課題である集中放電と加工液の逃げによる放電部分への液量不足などによる断線から回避できていることが確認できた。
図15は図13に示すパンチ形状を切り取り加工した時のコーナ部分通過時のモニタ波形である。ワイヤ状電極はφ0.2mm(材質真鍮)、被加工物は板厚60mm(材質SKD11)である。横軸は加工経過時間(10秒/目盛)、左側の縦軸に加工電圧(V)、休止時間(μ秒)、単位時間あたりの放電パルス数を、右側の縦軸に加工速度(mm/分)、加工電流(A)を読む。加工時間の経過にしたがって説明する。
モニタを始めてから26秒経過まではコーナ直前を示している。加工電圧は約42V、休止時間は約12μ秒、放電パルス数は約30レベル、加工電流は約3.6A、加工速度は約1.5mm/分で推移している。26秒過ぎで直角コーナに入り、約32秒経過時点で間隙分を追い込むまでに加工電圧は約50V、休止時間は約20μ秒、放電パルス数は約20レベル、加工電流は約2A、加工速度は約1mm/分に推移し、投入エネルギーを低下させている。
その後、徐々に速度を上げて約60秒後にほぼコーナ直前の加工状態に復帰している。従来制御によるコーナでの課題、即ち送り過ぎと投入エネルギー過多による集中放電が回避されていることが確認できる。
図16はφ0.2mm(材質:真鍮)のワイヤ状電極を使って板厚60mmの被加工物(材質:ダイス鋼)を図17に示す1辺が10mmでピッチが1.5mmのジグザグ形状を約1時間に亘って連続加工を行い、加工電圧、加工電流、休止時間、加工速度をモニタしたものである。横軸は加工経過時間(2分/目盛)、左側の縦軸に加工電圧(V)、休止時間(μ秒)を、右側の縦軸に加工速度(mm/分)、加工電流(A)を読む。加工時間の経過にしたがって説明する。加工スタートは端面からの切込みになるので本発明の制御により休止時間が約20μ秒に延長され、また対応して加工電流、加工速度もそれぞれ制御されている。加工速度の最大はコーナから約5mm程度のところで迎える。その時の加工電圧は約35V、休止時間は約10μ秒、加工電流は約6.7A、加工速度は約2.6mm/分である。コーナ通過直後は本発明の制御により加工電圧が約47V前後まで上がるが、加工速度は逆に約1.5mm/分に低下し、加工電流は約3.6Aに減少している。
このように従来制御における課題、即ち被加工物端面の切込み加工直後、及びコーナ通過直後における断線回避が本発明による長時間に亘る加工で確認されている。
本発明の実施例を示すワイヤ放電加工機の制御装置の要部ブロック図である。 本発明の他の実施例を示すワイヤ放電加工機の制御装置の要部ブロック図である。 加工量変化による移動量の生成を説明するための図である。 加工量変化に対する移動量の説明図である。 被加工物の材質による放電加工の特性を説明する説明図である。 スラッジ濃度と平均加工電圧、放電パルス数、実質休止時間の関係を説明する図である。 実質休止時間と放電パルス数、平均加工電圧の関係を説明するための図である。 休止時間と加工量等の関係を説明するための図である。 図7(a)におけるA点での休止時間制御を説明するための図である。 図7(b)におけるC点での休止時間制御を説明するための図である。 加工量変化による液量の制御を説明するための図である。 同加工量変化による液量の制御を説明するための図である。 図14、図15、図19のモニタ波形を取得したときの被加工物の形状である。 図13に示す形状を加工したときの加工開始直後の加工電圧、加工電流、放電パルス数、加工速度、休止時間のモニタ波形である。 図13に示す形状を加工したときのコーナ通過直後の加工電圧、加工電流、放電パルス数、加工速度、休止時間のモニタ波形である。 図17の形状を加工した時の加工電圧、加工電流、放電パルス数、加工速度、休止時間のモニタ波形である。 加工形状の例を示す図である。 従来の放電加工機の制御装置の要部ブロック図である。 従来の放電加工機にて図13を加工したときの加工電圧、加工電流、放電パルス数、加工速度、休止時間のモニタ波形である。
符号の説明
1 放電パルス発生装置
2 検出電圧発生装置
3 通電ブラシ
4 ワイヤ状電極
5 被加工物
6 放電間隙検出装置
7 放電パルス数計数装置
8 基準放電パルス数記憶装置
9 放電パルス数比較判断装置
10 X軸モータ駆動装置
11 Y軸モータ駆動装置
12 送りパルス分配装置
13 送りパルス演算装置
14 演算クロック
15 送り速度設定手段
16 放電休止時間制御装置
17 液量制御装置
18 電流検出回路
19 放電パルス電流積分値演算記憶装置
20 基準放電パルス電流積分値記憶装置
21 放電パルス電流積分値比較判断装置

Claims (8)

  1. ワイヤ状電極と被加工物とを相対移動させながら、前記ワイヤ状電極と被加工物との間に放電パルス電流を投入して放電加工を行うワイヤ放電加工機の制御装置において、
    投入した放電パルス電流を所定時間ごとに積分演算する放電パルス電流積分値演算手段と、
    移動指令に基づいて前記ワイヤ状電極と被加工物を加工経路に沿って相対移動させる移動手段と、
    予め設定された基準となる放電パルス電流の時間積分値を記憶する基準放電パルス電流積分値記憶手段と、
    前記放電パルス電流積分値演算手段が得た数値と前記基準放電パルス電流積分値記憶手段に記憶した数値とを比較し、比率を求める手段と、
    設定送り速度と前記所定時間とで求まる前記ワイヤ状電極と被加工物の相対移動距離に前記比率を乗じて求めた距離を移動指令として前記所定時間毎前記移動手段に出力する手段とを有することを特徴とするワイヤ放電加工機の制御装置。
  2. ワイヤ状電極と被加工物とを相対移動させながら、前記ワイヤ状電極と被加工物との間に放電パルス電流を投入して放電加工を行うワイヤ放電加工機の制御装置において、
    投入した放電パルス電流を所定時間ごとに積分演算する放電パルス電流積分値演算手段と、
    移動指令に基づいて前記ワイヤ状電極と被加工物を加工経路に沿って相対移動させる移動手段と、
    予め設定された基準となる放電パルス電流の時間積分値を記憶する基準放電パルス電流積分値記憶手段と、
    前記放電パルス電流積分値演算手段が所定時間ごとに得た数値と前記基準放電パルス電流積分値記憶手段に記憶した数値とを比較する比較手段と、
    該比較結果に応じて、前記放電パルス電流積分値演算手段が所定時間ごとに得た数値が前記放電パルス電流積分値演算手段に記憶した数値と一致するように、放電休止時間を制御する手段とを有することを特徴とするワイヤ放電加工機の制御装置。
  3. ワイヤ状電極と被加工物とを相対移動させながら、前記ワイヤ状電極と被加工物との間に放電パルス電流を投入して放電加工を行うワイヤ放電加工機の制御装置において、
    投入した放電パルス電流を所定時間ごとに積分演算する放電パルス電流積分値演算手段と、
    移動指令に基づいて前記ワイヤ状電極と被加工物を加工経路に沿って相対移動させる移動手段と、
    予め設定された基準となる放電パルス電流の時間積分値を記憶する基準放電パルス電流積分値記憶手段と、
    前記放電パルス電流積分値演算手段が所定時間ごとに得た数値と前記基準放電パルス電流積分値記憶手段に記憶した数値とを比較する比較手段と、
    該比較結果に応じてエネルギーの余剰投入を抑えるよう放電休止時間を制御する休止時間制御装置とを備えたワイヤ放電加工機の制御装置。
  4. ワイヤ状電極と被加工物とを相対移動させながら、前記ワイヤ状電極と被加工物との間に放電パルス電流を投入して放電加工を行うワイヤ放電加工機の制御装置において、
    投入した放電パルス電流を所定時間ごとに積分演算する放電パルス電流積分値演算手段と、
    移動指令に基づいて前記ワイヤ状電極と被加工物を加工経路に沿って相対移動させる移動手段と、
    予め設定された基準となる放電パルス電流の時間積分値を記憶する基準放電パルス電流積分値記憶手段と、
    前記放電パルス電流積分値演算手段が所定時間ごとに得た数値と前記基準放電パルス電流積分値記憶手段に記憶した数値との比率を求める手段と、
    該比率が増加した場合には冷却液量を増加させ、該比率が減少した場合には冷却液量を減少させるように制御する液量制御装置とを備えたワイヤ放電加工機の制御装置。
  5. 該比較結果に応じて、前記放電パルス電流積分値演算手段が所定時間ごとに得た数値が前記放電パルス電流積分値演算手段に記憶した数値と一致するように、放電休止時間を制御する手段を有する請求項1に記載のワイヤ放電加工機の制御装置。
  6. 該比較結果に応じてエネルギーの余剰投入を抑えるよう放電休止時間を制御する休止時間制御装置を有する請求項1に記載のワイヤ放電加工機の制御装置。
  7. 該比率が増加した場合には冷却液量を増加させ、該比率が減少した場合には冷却液量を減少させるように制御する液量制御装置を備えた請求項1,請求項5又は請求項6の内いずれかに記載のワイヤ放電加工機の制御装置。
  8. 前記比較手段は前記放電パルス数計数手段が所定時間ごとに得た数値と前記基準放電パルス数記憶手段に記憶した数値との比率をも求め、該比率が増加した場合には冷却液量を増加させ、該比率が減少した場合には冷却液量を減少させるように制御する液量制御装置を備えた請求項2又は請求項3に記載のワイヤ放電加工機の制御装置。
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