JP3258621B2 - ワイヤ放電加工機 - Google Patents

ワイヤ放電加工機

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JP3258621B2
JP3258621B2 JP03794298A JP3794298A JP3258621B2 JP 3258621 B2 JP3258621 B2 JP 3258621B2 JP 03794298 A JP03794298 A JP 03794298A JP 3794298 A JP3794298 A JP 3794298A JP 3258621 B2 JP3258621 B2 JP 3258621B2
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賢男 上口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ放電加工機
に関するもので、特に、板厚変化のある被加工物に対す
る加工性能の向上を図ったワイヤ放電加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】図11は、従来のワイヤ放電加工機の概
要を示す図である。1は放電加工を行うため、ワイヤ電
極4と被加工物5間の間隙に電圧を印加するメインパル
ス発生装置で、直流電源、トランジスタ等のスイッチン
グ素子からなる回路やコンデンサの充放電回路などで構
成されている。2はワイヤ電極4と被加工物5の間隙が
放電可能か否かを検出するためにワイヤ電極4と被加工
物5間にパルス電圧(メインパルス電圧より低い電圧)
を印加する検出電圧発生装置でトランジスタ等の能動素
子と抵抗、コンデンサ等からなる回路、直流電源等で構
成されている。
【0003】3はワイヤ電極4に通電するための通電ブ
ラシで、メインパルス発生装置1、検出電圧発生装置2
の一方の端子に接続されている。また、被加工物5はメ
インパルス発生装置1、検出電圧発生装置2の他方の端
子に接続され、走行するワイヤ電極4と被加工物間に
は、メインパルス発生装置1、検出電圧発生装置2から
発生するパルス電圧が印加されるようになっている。
【0004】6は被加工物5とワイヤ電極4に接続さ
れ、検出パルス電圧の低下によって放電間隙が放電可能
状態かを判断する回路及び上記間隙の変化によって推移
する検出電圧によりサーボ送りのための信号を送りパル
ス演算装置7に出力する放電間隙検出装置である。送り
パルス演算装置7はサーボ送りのための信号に基づい
て、放電の繰り返しが最適となるように、通常間隙平均
電圧が一定になるように送りパルス間隔を制御したパル
ス列を生成し、送りパルス分配装置8に出力するもので
ある。送りパルス分配装置8はこのパルス列より加工プ
ログラムに基づいてX軸、Y軸の駆動パルスに分配し被
加工物5が載置されたテーブルを駆動するX軸モータ制
御装置9、Y軸モータ制御装置10に出力する。
【0005】まず、被加工物5とワイヤ電極4との間で
放電可能か否かを検出するために、検出電圧発生装置2
より検出パルス電圧を発生させて被加工物5とワイヤ電
極4との間隙に印加する。被加工物5とワイヤ電極4と
の間に通電が生じ、被加工物5とワイヤ電極4との間の
電圧降下が生じると、放電間隙検出装置6は、この電圧
降下を検出し、放電可能と判断し、メインパルス発生装
置1にメインパルス投入信号を送り、該メインパルス発
生装置1よりメインパルスを発生させて、上記被加工物
5とワイヤ電極4との間隙にメインパルス電流(放電加
工電流)を流す。しかる後に間隙が冷却する適当な休止
時間を経て、再度上記検出パルスを上記間隙に印加す
る。この動作サイクルを繰り返し実行し放電加工を行
う。
【0006】この繰り返し行う放電の状況を放電間隙検
出装置6と送りパルス演算装置7によって上記間隙の放
電の繰り返しが最適となるように、通常、間隙の平均電
圧が一定となるように送りパルス間隔を制御したパルス
列を送りパルス演算装置7から発生し、送りパルス分配
装置8はこのパルス列より加工プログラムに基づいてX
軸、Y軸の駆動パルスに分配し、それぞれX軸モータ制
御装置9及びY軸モータ制御装置10出力し、被加工物
5が載置されたテーブルを駆動し、被加工物5に対し
て、加工プログラムで指令された加工を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図13は図12に示す
断面を持つ被加工物5を、上述した従来のワイヤ放電加
工機の制御装置によってスライス加工を行ったとき、加
工平均電圧と加工平均電流のモニター波形である。図1
2に示されるように被加工物5は板厚が変化するもので
あるが、この板厚変化に対して加工平均電圧は全体的に
みればほぼ一定となるように推移している。同じく加工
平均電流もほぼ一定に推移している。
【0008】通常、被加工物5の板厚が変化する場合、
その板厚が変化する時の特に厚い部分から薄い部分に加
工が移行した直後にワイヤ電極4の断線が発生する。そ
れは板厚の薄い部分ではさらに電流が集中しやすいこと
が原因と考えられている。そのため、従来は板厚の薄い
部分で適正な加工平均電流となるように、加工開始から
加工条件を落として加工することが行われており、この
ことが加工速度の大幅な低下を招いている。
【0009】放電加工における放電は、電極と対向する
被加工物との間で形成する間隙が数十μm以下となるよ
うな微小な導電路を検出パルス等の手段にて捜し出した
後、メインパルス電流を流し、そこに発生する熱エネル
ギーによって強制的にその微小導電路又はそれに接する
電極や被加工物の微小部分を蒸散又は溶融飛散させるこ
とによって始まる。そして電流の休止と加工液の冷却作
用によって一連の放電加工サイクルが終わる。
【0010】急峻な立上がりを持つメインパルス電流ピ
ーク値の大きさ、電極及び被加工物材料の溶解熱や熱伝
導率などの熱的な関連特性、及び絶縁液の蒸発潜熱や粘
度などの冷却に関連する特性などの加工環境特性によっ
て、双方の微小部分での蒸散もしくは溶融飛散の度合い
が決定される。
【0011】上述の被加工物の板厚が薄いときには放電
部分近傍での次なる放電の発生に至るまでの期間が板厚
が厚いときと比較して短くなるため、この部分が充分に
冷却されない内に次なるメインパルス電流が投入される
ことになる。したがって上述の加工環境特性によっては
放電部分は過度に熱集中して、次なるメインパルス投入
時にはまだ溶融状態になっていると考えられる。このよ
うになると電極や被加工物の微小部分の蒸散又は溶融飛
散ができなく、加工効率は極端に低下し、これ以上加工
速度を出すことができない。それでも、さらにメインパ
ルスを投入しつづけると電極となるワイヤの損傷が甚だ
しくなって、ついには走行中ワイヤの抗張力に負けて断
線に至る。
【0012】一方、板厚が異なると一定距離進む間に発
生する放電の繰り返し数も異なる。そのためスラッジを
介した二次放電によるワイヤ電極と被加工物間の間隙拡
大の効果がより大きくなり、被加工物の板厚の異なる部
分の加工拡大代が一定にならないという問題の原因とな
る。このように、加工速度を上げようとすれば、被加工
物の材料や板厚などの加工環境により加工投入できるエ
ネルギーには限界があるとともに、被加工物の板厚の異
なる部分の加工拡大代は投入エネルギー対板厚比の差に
よって、結果的には一定にならないという大きな問題点
がある。
【0013】以上のように、被加工物の板厚が急激に変
化する段階状のものから、なだらかに変化するものま
で、また、予測できない板厚の変化に対してワイヤ電極
の断線が生じないようにするには、加工電流を落として
加工を行わねばならないが、そうすると、著しく加工速
度が遅くなり加工時間がかかることになる。そのうえ、
上述したように、板厚により加工拡大代が異なるため、
再度修正加工を行う必要があった。そこで、本発明の目
的は、被加工物に板厚変化があってもワイヤ電極の断線
発生を防止して加工速度を向上させ、かつ板厚変化によ
る加工拡大代のバラツキをも改善できるワイヤ放電加工
機を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、放電電流発生
装置からワイヤ電極と被加工物の間にパルス電流を投入
して放電加工を行うワイヤ放電加工機において、加工距
離演算手段を設けると共に、所定距離加工中に放電電流
発生装置から投入されたパルス数やパルス電流積分値等
によって投入エネルギーを求める手段を設ける。この求
められた投入エネルギーにより被加工物の板厚変化率を
求める板厚変化検出手段を設ける。そして、この該板厚
変化検出手段で求めた板厚変化率に基づいて加工電流密
度が変化しないように放電電流発生装置から投入される
エネルギーを休止時間や放電電流のピーク値やパルス幅
等によって調整する加工条件調整手段を設ける。これに
より、板厚が変化しても加工電流密度が変化しないよう
に調整することにより、加工拡大代のばらつきをなく
し、加工速度を向上させるようにした。特に、上記加工
条件調整手段に、検出された投入エネルギーの基準値に
対する変化率若しくは所定距離の加工毎の投入エネルギ
ーの変化率により被加工物の板厚変化率を求める板厚変
化検出手段を設けて、この求めた板厚変化率によって加
工電流密度が変化しないように放電電流発生装置から投
入されるエネルギー調整する。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係わるワイヤ放
電加工機の第1の実施形態の要部構成図である。図11
に示した従来のワイヤ放電加工機と同一の構成のものに
は同一符号を付している。従来のワイヤ放電加工機と異
なる点は、X軸モータ制御装置9、Y軸モータ制御装置
10に接続され、各軸のモータに取り付けられている位
置検出器からのフィードバック信号を入力し加工距離を
求め、所定加工距離移動する毎に信号を出力する加工距
離演算装置11、放電間隙検出装置6からのメインパル
ス投入信号を計数するメインパルス数記憶装置12、基
準となるメイパルス数を設定記憶する基準メインパルス
数記憶装置13、後述するようにメインパルス数記憶装
置12の出力と基準メインパルス数記憶装置13の出力
により被加工物の板厚変化率を算出する板厚演算装置1
4、この算出された板厚により、検出パルスの休止時間
を求める放電休止時間制御装置15を設けた点である。
【0016】すなわち、この第1の実施形態では、メイ
ンパルス数記憶装置12、基準メインパルス数記憶装置
13及び板厚演算装置14によって板厚変化検出手段を
構成し、加工条件調整手段として放電休止時間制御装置
15を設けている。検出電圧発生装置2より検出パルス
電圧を発生させて被加工物5とワイヤ電極4との間隙に
印加する。被加工物5とワイヤ電極4との間に通電が生
じ、被加工物5とワイヤ電極4との間の電圧降下が生じ
ると、放電間隙検出装置6は、この電圧降下を検出し、
放電可能と判断し、メインパルス発生装置1にメインパ
ルス投入信号を送り、該メインパルス発生装置1よりメ
インパルスを発生させて、上記被加工物5とワイヤ電極
4との間隙に所定幅のメインパルス電流(放電加工電
流)を流す。また、このメインパルス投入信号はメイン
パルス数記憶装置12に入力され計数される。
【0017】その後間隙が冷却する適当な休止時間を経
て、再度検出電圧発生装置2より上記検出パルスを上記
間隙に印加する動作サイクルを繰り返し実行する。さら
に、放電間隙検出装置6はサーボ送りのための信号を送
りパルス演算装置7に出力し、送りパルス演算装置7
は、間隙での放電の繰り返しが最適となるように、本実
施形態では、加工平均電圧が設定電圧(サーボ電圧)と
一致するように送りパルス間隔を制御したパルス列を生
成し送りパルス分配装置8に出力する。送りパルス分配
装置8はこのパルス列より加工プログラムに基づいてX
軸、Y軸の駆動パルスに分配して、それぞれX軸モータ
制御装置9及びY軸モータ制御装置10出力し、被加工
物5が載置されたテーブルを駆動し、被加工物5に対し
て、加工プログラムで指令された加工を行う。
【0018】加工距離演算装置11は、X軸、Y軸モー
タに取り付けられている位置検出器からの位置のフィー
ドバック信号によって、ワイヤ電極4の被加工物5に対
する相対的移動距離を求め、設定された所定加工距離を
移動する毎にメインパルス数記憶装置12と板厚演算装
置14に信号を出力する。メインパルス数記憶装置12
はこの信号を受けて記憶値をリセットし、再度メインパ
ルス投入信号の計数を開始する。また、板厚演算装置1
4は、上記信号を受けて、リセットされる前のメインパ
ルス数記憶装置12に記憶するメインパルス数と基準メ
インパルス数記憶装置13に設定記憶している基準メイ
ンパルス数によって板厚を求め、この求めた板厚によっ
て、放電休止時間制御装置15が、掲出パルスの休止時
間を求め検出電圧発生装置2へ出力しこの休止時間を設
定する。
【0019】そこで、板厚演算装置14で行われる板厚
を求める方法について説明する。図9は、板厚がt(n)
からt(n+1) に変化する被加工物に対するワイヤ放電加
工における板厚算出方法の説明図である。 Δx:設定されている所定加工距離 g:加工拡大代 A:ワイヤ径 P:Δx分の加工時に発生する有効放電パルス数 Q:Δx分の加工時に発生する短絡放電パルス数 w1 :有効放電パルス1発あたりの加工量 w0 :短絡放電パルス1発あたりの加工量 とすると、設定されている所定加工距離Δxだけワイヤ
電極4が被加工物5に対して相対的に移動すると、加工
された量と加工した量が等しいから次の1式の関係式が
得られる。 (2g+A)×t×Δx=P×w1 +Q×w2 …(1) なお、tは図6におけるt(n) またはt(n+1) を意味す
る。
【0020】また、高い加工能率で加工が進んでいると
すると、短絡放電パルス数は少なくP>>Qであり、か
つ、短絡放電パルス1発あたりの加工量w0 は、有効放
電パルス1発あたりの加工量w1 に比べ非常に少量であ
り、w1>> w0 であるから、上記1式を整理すると板厚
tは次の2式で近似できる。 t=[w1 /(2g+A)]×(P/Δx) …(2) 上記2式において、w1 及びgは被加工物とワイヤ電極
の材質、パルス電流ピーク値、電流パルス幅によってほ
ぼ決まる値であり、同一条件で加工を進めていく限りで
は一定とみなすことができる。かつワイヤ径Aの値は使
用するワイヤ電極によって一律的に決まる値であるか
ら、これらの値を予め設定しておけば、(P/Δx)を
測定することによって上記2式から板厚tを求めること
ができる。
【0021】図9において、位置Xn での板厚をtn 、
及び所定加工距離Δxだけ加工したとき計数される有効
放電パルス数をP(n)とし、位置Xn+1 の部分の板厚を
t(n+1) 、有効放電パルス数をP(n+1) とすると、上記
2式より、 tn =[w1 /(2g+A)]×(P(n)/Δx) t(n+1) =[w1 /(2g+A)]×(P(n+1) /Δx) 故に、板厚変化率をβとすると、 β=t(n+1) /tn =P(n+1) /P(n) となる。なお、P(n+1) 、P(n)は、パルス電流ピーク
値、電流パルス幅が一定であれば、所定加工距離Δxの
加工を行うときの投入エネルギー量を意味する。そこ
で、基準の板厚ts を上記設定所定加工距離Δxだけ加
工する際に発生するメインパルス数(有効放電パルス
数)を基準パルス数Ps として基準メインパルス数記憶
装置13に記憶しておき、加工距離演算装置11で設定
所定加工距離Δx移動したことが検出される毎に、その
移動距離間にメインパルス数記憶装置12で計数し記憶
しているメインパルス数Pを求め、このメインパルス数
Pと基準パルス数Ps より板厚変化率をβ=P/Ps を
求めることができる。
【0022】なお、基準板厚に対する板厚変化率はβ=
t/t(s) であるから、求められた板厚変化率β(=P
/Ps )を基準の板厚ts に乗ずれば、加工中の被加工
物5の板厚tが分かる。t=ts ×(P/Ps )として
求めることができる。以上のようにして、板厚演算装置
14で板厚変化率βを求める。次にこうして求められた
板厚変化率βに基づいて、加工電流密度を板厚が変化し
ても変えないように制御することによって、加工電流を
最適に制御して、断線、加工拡大代の変化がないように
する方法を説明する。なお、図1に示す第1の実施形態
では、放電休止時間制御装置15によって放電休止時間
を制御することにより、加工電流を最適に制御するもの
である。
【0023】図10に示すように、検出電圧発生装置2
から検出電圧をワイヤ電極4と被加工物5間の間隙に印
加し、メインパルス電流を投入するまでの時間を無負荷
加工時間Tw とし、ワイヤ電極4と被加工物5間に導通
が生じ検出電圧が低下するとこれを放電間隙検出装置6
で検出してメインパルス投入信号が出力され、メインパ
ルス発生装置1からメインパルス電流が投入されたとき
の、電流ピーク値をIp 、その電流パルス幅をTonとす
る。また、検出電圧の上記間隙への印加停止時間を休止
時間としてToff とする。さらに、1放電サイクルにお
ける平均加工電流をIm 、加工電流密度をId とする。
そして、図9において、Xn 部分、Xn+1 の部分におけ
るそれぞれを次のように記す。
【0024】 電流ピーク値(A):Ip(n)、Ip(n+1) 電流パルス幅(μs):Ton(n) 、Ton(n+1) 休止時間(μs):Toff(n)、Toff(n+1) 無負荷加工時間(μs):Tw(n)、Tw(n+1) 平均加工電流(A):Im(n)、Im(n+1) 加工電流密度(A/mm2 ):Id(n)、Id(n+1) 板厚:t(n) 、t(n+1) そこで、上記平均加工電流Im(n)、Im(n+1)、加工電流
密度Id(n)、Id(n+1)は次の関係式によって求められ
る。
【0025】 Im(n)=Ip(n)×Ton(n) /(Tw(n)+Toff(n)) …(3) Id(n)=Im(n)/(t(n) ×(A+2g)) …(4) Im(n+1)=Ip(n+1)×Ton(n+1) /(Tw(n+1)+Toff(n+1)) …(5) Id(n+1)=Im(n+1)/(t(n+1) ×(A+2g)) …(6) 位置Xn とXn+1 の部分の電流密度を一定にする場合
(Id(n)=Id(n+1))、上記4式と6式より次の7式を
得る。
【0026】 Im(n)/(t(n) ×(A+2g))=Im(n+1)/(t(n+1) ×(A+2g)) …(7) 上記7式より、t(n+1) /t(n) =Im(n+1)/Im(n)と
なり、これは板厚変化率βを意味し、次の8式が成立す
る。
【0027】 β=t(n+1) /t(n) =Im(n+1)/Im(n) …(8) すなわち、電流密度を一定にする場合加工平均電流Im
の変化率は板厚変化率と一致し、加工平均電流Im は板
厚tに比例する。一方、ワイヤ放電加工の加工条件は通
常次なる条件と考えてよい。 Ton(n)<< Tw(n)+Toff(n) Ton(n+1))<<Tw(n+1)+Toff(n+1) Ip(n)=Ip(n+1)と近似できる。またTon(n) =Ton(n
+1) と近似できる。
【0028】そこで、上記3,5,7式と上述の条件か
ら整理すると、 β=Im(n+1)/Im(n)=(Tw(n)+Toff(n))/(Tw(n+1)+Toff(n+1)) …(9) 上記9式は、位置Xn とXn+1 の部分の電流密度を一定
にするには、位置X(n) の部分の無負荷加工時間Tw(n)
に休止時間Toff(n)を加算した、加工を休止している時
間(Tw(n)+Toff(n))に板厚変化率βの逆数をかけた
値を位置X(n+1) の部分加工を休止している時間(Tw
(n+1)+Toff(n+1))とすればよいことを意味する。
【0029】一方、加工平均電圧が一定になるようサー
ボ送り制御を行うと、図9の位置Xn とXn+1 の部分の
加工電圧がほぼ等しくなるので次式を得る。 Tw(n)/(Tw(n)+Toff(n))=Tw(n+1)/(Tw(n+1)
+Toff(n+1)) この式より、 Tw(n+1)/Tw(n)=(Tw(n+1)+Toff(n+1))/(Tw(n)+Toff(n)) …(10) 9式と10式より、 Tw(n+1)=Tw(n)/β …(11) Toff(n+1)=Toff(n)/β …(12) その結果、板厚変化時に加工電流密度を一定にするに
は、板厚変化後の休止時間Toff(n+1)を、板厚変化前の
休止時間Toff(n)に板厚変化率βの逆数(1/β)を乗
じた値に変更すればよいことを意味する。
【0030】そこで、図1に示す第1の実施形態に戻
り、上述したように、板厚演算装置14では、メインパ
ルス数記憶装置12で計数したメインパルス数Pと基準
メインパルス数記憶装置13に記憶する基準パルス数P
s によって基準板厚ts に対する板厚変化率βが求めら
れるので、放電休止時間制御装置15は、12式より設
定されている基準板厚ts を加工する際の休止時間Tof
f(s)に板厚変化率βの逆数を乗じ、当該加工中の被加工
物5の板厚に最適な休止時間Toff を求め、検出電圧発
生装置2に出力する。該検出電圧発生装置2は、この休
止時間Toff を、被加工物5とワイヤ電極4間の間隙に
検出電圧を印加するサイクルにおける休止時間Toff と
する。これによって、基準板厚ts を加工する際の加工
電流密度と同一の加工電流密度による加工が行われるこ
とになり、板厚が変更になってもワイヤ電極の断線発生
がなく、かつ加工拡大代が変化することを防止できる。
【0031】図14は、図12に示す被加工物のスライ
ス加工をこの第1の実施形態のワイヤ放電加工機の制御
装置によって上述した制御を実行したときのモニター波
形である。この図14で分かるように、板厚変化に応じ
て電流が適正に制御されていることを示している。その
ため、図13に示す従来の制御と比較して加工平均電流
を大きくすることが可能になり加工時間が大幅に短縮し
ていることを示している。 <第2の実施形態>図2は、本発明の第2の実施形態で
ある。この第2の実施形態と第1の実施形態において同
一の構成のものは同一符号を付している。そして相違す
る点は放電電流を検出する電流検出回路21を設け、第
1の実施形態における板厚変化検出手段のメインパルス
数記憶装置12、基準メインパルス数記憶装置13及び
板厚演算装置14の代わりに、板厚変化検出手段として
メインパルス電流積分値演算記憶装置22、基準メイン
パルス電流積分値記憶装置23及びこれら電流積分値に
よって板厚変化率を求める板厚演算装置24を設けた点
である。すなわち、加工のための投入エネルギー量を第
1の実施形態ではメインパルス数で計数したが、この第
2の実施形態ではメインパルス電流積分値で求めるよう
にしたものである。
【0032】メインパルス電流積分値演算記憶装置22
は、加工距離演算装置11から設定された加工距離Δx
の加工が進む毎に出力される信号の間、電流検出回路2
1で検出される放電電流(メインパルス電流)の電流値
を積分しその積分値を板厚演算装置24に出力する。ま
た、基準メインパルス電流積分値記憶装置23は、基準
の板厚ts を加工する際に加工距離Δxの加工が進む間
の放電電流(メインパルス電流)の電流値の積分値を記
憶しておくものであり、板厚演算装置24はこの基準の
積分値と、メインパルス電流積分値演算記憶装置22か
ら出力される積分値によって、板厚変化率βを求めるも
のである。なお、この板厚演算装置24は電流積分値に
よって板厚変化率βを求める点において、第1の実施形
態の板厚演算装置14と相違する。
【0033】すなわち、上述した1式、2式において、
Pを放電電流(メインパルス電流)の積分値、w1 を放
電電流(メインパルス電流)の単位量あたりの加工量と
しても、2式は成立する。そして、2式におけるw1 、
gは被加工物とワイヤ電極の材質によってほぼ決まる値
であり、一定である。その結果、板厚変化前の放電電流
(メインパルス電流)の積分値をP(n) 、変化後の積分
値をP(n+1) とすると、前述したように、 β=t(n+1) /tn =P(n+1) /P(n) となり、基準板厚ts に対する板厚変化率βは、 β=t/ts =P/P(s) として現される。
【0034】そこで、この第2の実施形態では、設定さ
れた加工距離Δxの加工が進む毎、メインパルス電流積
分値演算記憶装置22で積分されたその間の放電電流
(メインパルス電流)の積分値Pと、基準メインパルス
電流積分値記憶装置23に記憶する基準の板厚ts をΔ
xの加工する際の放電電流(メインパルス電流)の積分
値P(s)より、基準板厚ts に対する板厚変化率βを板
厚演算装置14で求め、この板厚変化率βに基づいて、
第1の実施形態と同様に、放電休止時間制御装置15
は、基準板厚ts を加工する際の休止時間Toff(s)に板
厚変化率βの逆数を乗じ当該加工中の被加工物5の板厚
に最適な休止時間Toff を求め、検出電圧発生装置2に
出力する。 <第3の実施形態>図3は、本発明の第3の実施形態で
ある。この第3の実施形態と第2の実施形態と同一の構
成のものは同一符号を付している。そして相違する相違
点は、第2の実施形態における加工条件調整手段として
の放電休止時間制御装置15の代わりに放電パルス電流
ピーク値制御装置25を備え、この放電パルス電流ピー
ク値制御装置25で求めた放電パルスの電流ピーク値I
p をメインパルス発生装置1に出力するようにしたもの
である。なお、電流ピーク値Ip はメインパルス発生装
置1からワイヤ電極4と被加工物5間の間隙に印加する
メインパルス電圧によって決まるものであり、求められ
た電流ピーク値によって、このメインパルス電圧が切換
えられるものである。
【0035】この第3の実施形態の制御原理を説明する
と、本発明では加工平均電圧が一定となるサーボ送りを
前提にしているので、次なる条件と考えてよい。
【0036】 Toff(n)=Toff(n+1)、Ton(n) =Ton(n+1) Tw(n)+Toff(n)=Tw(n+1)+Toff(n+1) そこで、上記3式、5式、7式と上記条件から整理する
と、 β=Im(n+1)/Im(n)=Ip(n+1)/Ip(n) …(13) したがって、 Ip(n+1)=β×Ip(n) …(14) となり、板厚変化時に加工電流密度を一定にするには、
板厚変化後のメインパルス電流ピーク値Ip(n+1)を、板
厚変化前のメインパルス電流ピーク値Ip(n)に板厚変化
率βを乗じた値に変更すればよい。
【0037】そこで、この第3の実施形態では、第2の
実施形態と同様に、板厚演算装置24で基準板厚ts に
対する板厚変化率βを求め、放電パルス電流ピーク値制
御装置25で、予め設定されている基準板厚ts に対す
るメインパルスピーク値Ipsに板厚変化率βを乗じて、
その値をメインパルス発生装置1に送出し、メインパル
ス発生装置1は、この値に応じて、メインパルス電圧を
変更してワイヤ電極4と被加工物5間の間隙に印加する
ことになる。 <第4の実施形態>図4は、本発明の第4の実施形態の
構成図である。第3の実施形態と相違する点は、加工条
件調整手段として第3の実施形態の放電パルス電流ピー
ク値制御装置25の代わりに放電パルス電流パルス幅制
御装置26を設け、該装置26の出力によりメインパル
ス発生装置1から発生するメインパルスの電流パルス幅
Tonを変えるようにしたものである。
【0038】加工平均電圧が一定となるサーボ送り制御
の場合、次なる条件と考えてよい。
【0039】 Toff(n)=Toff(n+1)、Ip(n)=Ip(n+1) Tw(n)+Toff(n)=Tw(n+1)+Toff(n+1) そこで、上記3式、5式、7式と上記条件から整理する
と、 β=Im(n+1)/Im(n)=Ton(n+1) /Ton(n) …(15) したがって Ton(n+1) =β×Ton(n) …(16) この結果、板厚変化時に加工電流密度を一定にするに
は、板厚変化後のメインパルス電流のパルス幅Ton(n+
1) を、板厚変化前のメインパルス電流のパルス幅Ton
(n) に板厚変化率βを乗じた値に変更すればよい。
【0040】そこで、この第4の実施形態では、第3の
実施形態と同様に、板厚演算装置24で基準板厚ts に
対する板厚変化率βを求め、放電パルス電流パルス幅制
御装置26で、予め設定されている基準板厚ts に対す
るメインパルス電流のパルス幅Ton(s) に板厚変化率β
を乗じて、その値をメインパルス発生装置1に送出す
る。メインパルス発生装置1は、この値に応じて、メイ
ンパルス印加時間を変更してワイヤ電極4と被加工物5
間の間隙に印加することになる。 <第5の実施形態>図5は本発明の第5の実施形態の構
成図である。上述した第1〜第4の実施形態では、基準
板厚t(s) に対する板厚変化率βを求めて、基準板厚t
(s) の加工に対する放電休止時間、放電パルス電流ピー
ク値、放電パルス電流パルス幅とこの板厚変化率βによ
って加工電流密度が変化しないように放電休止時間、放
電パルス電流ピーク値、放電パルス電流パルス幅等を制
御したが、この第5の実施形態では、設定された加工距
離Δxの加工毎に、前回のΔxの加工中における板厚と
今回のΔxの加工中における板厚の板厚変化率βを求
め、その板厚変化率βの逆数を前回の設定加工距離Δx
の加工中の放電休止時間Toff に乗じて新たな放電休止
時間として求めるものである。
【0041】すなわち、12式に示されるように、板厚
変化前の休止時間Toff(n)に板厚変化率βの逆数を乗じ
れば、板厚変化後において加工電流密度が変化しない一
定の加工が得られることを示している。
【0042】そこで、この第5の実施形態では、第1の
実施形態と比較して、第1の実施形態の基準メインパル
ス数記憶装置13の代わりに前回メインパルス数記憶装
置30を設けた点で相違し、他の構成は同一であるの
で、同一構成要素は図1と同一符号を付している。設定
加工距離Δxの加工が進む毎に、加工距離演算装置11
から出力される信号によって、設定加工距離Δx加工を
行う間にメインパルス数記憶装置12で計数したメイン
パルス数(放電回数)P(n+1) 及び前回メインパルス数
記憶装置30に記憶する前回のΔxの加工距離の間に発
生ししたメインパルス数P(n)を板厚演算装置14に取
り込むと共に、前回メインパルス数記憶装置30は、メ
インパルス数記憶装置12で計数したメインパルス数P
(n+1) を取り込み記憶する。そして、板厚演算装置14
は、前回メインパルス数P(n)と今回のメインパルス数
P(n+1) とにより、板厚変化率β=P(n+1) /P(n)
(=t(n+1) /t(n) )を求め、加工条件調整手段とし
ての放電休止時間制御装置31に出力する。放電休止時
間制御装置31は、12式に示されるように前回の設定
加工距離Δxの加工を行う際の休止時間Toff(n)に上記
板厚変化率βの逆数を乗じて、新たな休止時間Toff(n+
1)を求め、検出電圧発生装置2に出力する(なお、図1
の第1の実施形態では基準板厚に対する休止時間Toff
に板厚変化率βの逆数を乗じて、休止時間を求めたが、
この第5の実施形態では、今まで出力している休止時間
に板厚変化率の逆数を乗じて休止時間を求め更新するよ
うにしている点において、第1の実施形態の放電休止時
間制御装置15とこの第5の実施形態の放電休止時間制
御装置31は相違している。)。該検出電圧発生装置2
は、この休止時間Toff(n+1)を、被加工物5とワイヤ電
極4間の間隙に検出電圧を印加するサイクルにおける休
止時間とする。 <第6の実施形態>図6は、本発明の第6の実施形態の
構成図である。この6図の第6の実施形態と図5の第5
の実施形態の差異は、加工条件調整手段として、放電休
止時間制御装置31の代わりに放電パルス電流ピーク値
制御装置32を設け、この装置32で求めた放電パルス
電流ピーク値をメインパルス発生装置1に出力するよう
にした点である。他は、図5の第5の実施形態と同一で
あるので、同一構成要素は同一の符号を付している。
【0043】板厚演算装置14で求められた板厚変化率
βに基づいて、14式に示すように、前回のΔxの加工
を行う間に出力した放電パルスの電流ピーク値Ip(n)に
この板厚変化率βを乗じた値を電流ピーク値Ip(n+1)と
してメインパルス発生装置1に出力し、次に行う加工距
離Δxの加工では、この電流ピーク値Ip(n+1)の放電電
流で加工を行う。
【0044】この第6の実施形態では、板厚演算装置1
4で板厚の変化が検出され、その板厚変化率βに基づい
て放電パルスの電流ピーク値が変更されるから、この電
流ピーク値が変更させる前後の加工距離Δxの加工にお
けるメインパルス数の数によって、次の板厚変化率を板
厚演算装置14で求めることになる。メインパルス(放
電パルス)1発のエネルギー量が異なり1発あたりの加
工量が異なることになるから、正確な板厚変化率を求め
ることができない。そのため、板厚が急激に変化すると
きなどは、板厚変化後の電流ピーク値が振動するといっ
た現象が生じ、加工精度が他の実施形態よりも若干悪く
なる。しかし、板厚が徐々に変化するような場合では、
この第6の実施形態による加工によっても、充分に板厚
変化に対応して、電流ピーク値が制御され、加工速度を
向上させ、かつ加工拡大代のバラツキをなくすことがで
きる。
【0045】この第6の実施形態の放電パルス電流ピー
ク値制御装置32の代わりに放電パルス電流パルス幅制
御装置を用いて図4に示す第4の実施形態のように、メ
インパルス発生装置から出力するメインパルスのパルス
幅を制御するようにしてもよい。 <第7の実施形態>図7は、本発明の第7の実施形態の
構成図である。この第7の実施形態は、図2に示す第2
の実施形態と同様に、板厚によって放電休止時間を制御
するものであり、図2に示す実施形態と同一の構成のも
のは同一符号を付している。相違する点は、板厚変化検
出手段において、板厚変化を基準メインパルス電流積分
値に基づいて求めるものではなく、Δxの加工が進む
毎、その前後のメインパルス電流積分値の変化によって
求めるようにしたもので、そのために、図2の基準メイ
ンパルス電流積分値記憶装置の代わりに前回メインパル
ス電流積分値記憶装置40を備え、さらに、放電休止時
間制御装置31は、前回の設定距離Δxの加工を行う際
の放電休止時間に板厚変化率の逆数を乗じて求めるもの
を使用するものである。
【0046】加工距離演算装置11は設定された加工距
離Δxの加工が進む毎信号を出力する。メインパルス電
流積分値演算記憶装置22はこの信号が出力される間の
電流検出回路で検出される放電電流(メインパルス電
流)の積分値を求める。加工距離演算装置11から信号
が出力されると、メインパルス電流積分値演算記憶装置
22及び前回メインパルス電流積分値記憶装置40に記
憶するメインパルス電流積分値P(n) 、P(n+1) を板厚
演算装置24に出力すると共に、前回メインパルス電流
積分値記憶装置40にメインパルス電流積分値演算記憶
装置22に記憶する積分値P(n+1) を格納する。
【0047】板厚演算装置24では、メインパルス電流
積分値演算記憶装置22から出力される積分値P(n+1)
を前回メインパルス電流積分値記憶装置40から出力さ
れる積分値P(n) で割って、板厚変化率β(=P(n+1)
/P(n) )を求める。この板厚変化率βに基づいて、放
電休止時間制御装置31は、今まで出力していた放電休
止時間Toff(n)に板厚変化率βの逆数を乗じ当該加工中
の被加工物5の板厚に最適な休止時間Toff(n+1)を求
め、検出電圧発生装置2に出力する。検出電圧発生装置
2は次の放電サイクルから、この休止時間Toff(n+1)を
用いる。 <第8の実施形態>図8は、本発明の第8の実施形態の
構成図である。この第8の実施形態は、設定距離Δxの
加工を行う間のメインパルス電流積分値の変化によって
板厚変化率を求め、放電パルス電流ピーク値をこの求め
た板厚変化率に比例して変化させることにより、加工電
流密度を一定にした加工を得るようにしたものであり、
図7の第7の実施形態と相違する点は、加工条件調整手
段として、第7の実施形態における放電休止時間制御装
置31の代わりに放電パルス電流ピーク値制御装置32
を設け、この放電パルス電流ピーク値制御装置32の出
力をメインパルス発生装置1に入力するようにした点で
あり、他は第7の実施の形態と同一である。
【0048】すなわち、この第8の実施形態では、加工
移動距離Δxの加工を行う毎に、前回のΔxの加工中に
積算したメインパルス電流積分値P(n) と今回のΔxの
加工中のメインパルス電流積分値P(n+1) より、板厚演
算装置24で板厚変化率β(=P(n+1) /P(n) )を求
め、この求められた板厚変化率βを今まで出力していた
放電パルス電流ピーク値IP に乗じて得られる値を、更
新された放電パルス電流ピーク値IP として出力するも
のである。
【0049】なお、この第8の実施形態において、放電
パルス電流ピーク値制御装置32の代わりに、放電パル
ス電流パルス幅制御装置を設け、メインパルス電流のパ
ルス幅を制御することによって、加工電流密度を一定に
保持するように制御してもよい。
【0050】図16は、図15に示す板厚が40mm、
20mm、10mmと変化する被加工物を上述した第1
の実施形態による電流制御を行い加工を行ったときのモ
ニター波形の図である。この図16から分かるように加
工平均電圧は板厚が変化しても一定に保持されるが、加
工平均電流は、板厚が変化するにつれて変化し、加工電
流密度が一定に保持されていることが分かる。
【0051】また、図17は、従来の加工方法と、本発
明の板厚検出による電流制御による加工方法(第1の実
施形態)で、図15の被加工物を加工した際の加工溝幅
の測定結果を示す図である。この図17から分かるよう
に、従来の方法では、板厚が薄くなる程溝幅が大きくな
り、40mmの板厚と10mmの板厚での溝幅の差は
0.015mmとなっている。一方本発明を適用したと
きは、溝幅は板厚の変化があってもほぼ一定であり、
0.001mmの誤差しかない。
【0052】なお、上述した加工条件調整手段としての
実施形態以外にも、サーボ送り制御における設定電圧を
板厚変化率によって調整することによって無負荷加工時
間Tw を調整し、メインパルス発生装置から投入される
エネルギー量を調整するようにしてもよい。この場合、
直接エネルギーを調整していないため、二次放電の存在
により多少精度は低下するが、ワイヤ断線の防止目標を
果たすことが可能である。即ち、ワイヤ電極と被加工物
間の間隙の平均加工電圧が設定電圧と一致するようにフ
ィードバック制御されるサーボ制御においては、設定電
圧は平均加工電圧Vm に等しい。また、平均加工電圧V
m は、次の式で表される。
【0053】Vm(n)=V×Tw(n)/(Tw(n)+Toff ) 上記式において、Vm(n)は平均加工電圧、Tw(n)は無負
荷加工時間、Toff は無負荷ピーク電圧で一定としてい
る。上記式から、平均加工電圧Vm(n)が大きくなれば、
無負荷加工時間Tw(n)が大きくなることを意味する。即
ち、平均加工電圧Vm(n)と無負荷加工時間Tw(n)は、あ
る比例関係にある。その結果、サーボ送り制御の設定電
圧と平均加工電圧Vm(n)は等しいから、該設定電圧を調
整することにより無負荷加工時間Tw(n)を調整すること
ができ、その結果メインパルス発生装置から投入される
エネルギー量を調整して電流密度を制御することができ
る。
【0054】一例として予め基準板厚に対する板厚変化
率を対応する設定電圧を評価関数やテーブル等にて取り
決めておき、実際の加工時には板厚変化率に対応して設
定電圧を変化させ、間隙の平均加工電圧を調整すること
により、無負荷加工時間Twを調整し電流密度を調整す
る。即ち板厚の減少に対しては設定電圧を高めに設定す
ることにより、無負荷加工時間Tw を増加させメインパ
ルスエネルギーの休止時間を長くする。そして電流密度
を下げるようにして電流密度を維持する。板厚の増加に
対しては設定電圧を低めに設定することにより、無負荷
加工時間Tw を減少させメインパルスエネルギーの休止
時間を短くする。そして電流密度を上げるようにして電
流密度を維持する。
【0055】また、サーボ送り制御においては、設定電
圧と平均加工電圧が一致するように被加工物に対するワ
イヤ電極の送り速度がフィードバック制御され、設定電
圧と平均加工電圧との偏差に応じてこの送り速度が決ま
る。そこで、この設定電圧と平均加工電圧との偏差に乗
じて送り速度を求めるゲイン、即ちサーボ送り制御のフ
ィードバックゲインを変えることによって、定常偏差時
の送り速度を変えることができる。この送り速度が変わ
れば無負荷加工時間Tw が変り、メインパルスエネルギ
ーの休止時間を調整し、電流密度を調整することができ
る。
【0056】一例として、予め板厚変化率に対応するサ
ーボ送りのフィードバックゲインを評価関数やテーブル
等にて取り決めておき、実際の加工時には板厚変化率に
対応して上記ゲインを調整し間隙の平均加工電圧を調整
し電流密度を調整する。即ち、板厚の減少に対してはゲ
インを小さくして送り速度を遅くすることにより無負荷
加工時間Tw を増大させてメンパルスエネルギーの休止
時間を長くする。そして、電流密度を下げるようにして
電流密度を維持する。板厚の増加に対してはゲインを大
きくして送り速度を速くすることにより、無負荷加工時
間Tw を減少させメインパルスエネルギーの休止時間を
短くする。そして電流密度を上げるようにして電流密度
を維持する。
【0057】また、サーボ送り制御ではなく、プログラ
ム等で指令された送り速度で加工が制御される場合に
は、板厚変化率に応じてこの指令された送り速度を調整
するようにすればよい。例えば、最初はプログラム等で
指令された送り速度で放電加工を行い、板厚変化率を求
め、それまでに指令していた送り速度(最初はプログラ
ム指令された送り速度)に求めた板厚変化率を乗じて新
たに送り速度とすることによって、板厚変化に応じて送
り速度を変えるようにする。たとえは、板厚が増大し、
板厚変化率が「1」をこえると、送り速度は増大し無負
荷加工時間Tw を減少させメインパルスエネルギーの休
止時間を短くし、電流密度を上げるようにして電流密度
を維持する。また、板厚が減少し板厚変化率が「1」よ
り小さくなると、新たな送り速度は遅くなり無負荷加工
時間Tw を増大させてインパルスエネルギーの休止時間
を長くし電流密度を維持する。
【0058】
【発明の効果】本発明においては、板厚をリアルタイム
で検出し、自動的に加工条件を変えて、加工電流密度に
変化がないようにしたから、板厚変化時のワイヤ断線を
防止することができる。さらに、板厚が変化しても加工
条件が板厚に応じた最適条件に自動的に変えられるか
ら、加工拡大代が著しく少なくすることができる。ま
た、板厚に応じて自動的に最適の加工条件で加工を行う
ようにしたから、従来のように、被加工物を加工する際
に加工条件を板厚が薄い部分の最適加工条件に固定する
ことがないから、加工速度が大幅に短縮できるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の構成図である。
【図4】本発明の第4の実施形態の構成図である。
【図5】本発明の第5の実施形態の構成図である。
【図6】本発明の第6の実施形態の構成図である。
【図7】本発明の第7の実施形態の構成図である。
【図8】本発明の第8の実施形態の構成図である。
【図9】本発明の板厚検出の方法を説明するための説明
図である。
【図10】加工電圧、加工電流の説明図である。
【図11】従来の放電加工制御装置の構成を示す説明図
である。
【図12】本発明と従来例との比較のために加工を行う
被加工物の断面図である。
【図13】図12に示す断面図を有する被加工物を従来
の放電加工制御装置で加工を行ったときのモニター図で
ある。
【図14】図12に示す断面図を有する被加工物を本発
明の第1の実施形態で加工を行ったときのモニター図で
ある。
【図15】本発明の効果をみるために加工を行う被加工
物の断面図である。
【図16】図15に示す被加工物を本発明の第1の実施
形態で加工を行ったときのモニター図である。
【図17】図15に示す被加工物を従来の放電加工制御
装置によって、及び本発明の第1の実施形態で加工を行
ったときの溝幅測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 メインパルス発生装置 2 検出電圧発生装置 3 通電ブラシ 4 ワイヤ電極 5 被加工物 6 放電間隙検出装置 7 送りパルス演算装置 8 送りパルス分配装置 9 X軸モータ制御装置 10 Y軸モータ制御装置 11 加工距離演算装置 12 メインパルス数記憶装置 13 基準メインパルス数記憶装置 14,24 板厚演算装置 15,31 放電休止時間制御装置 21 電流検出回路 22 メインパルス電流積分値演算記憶装置 23 基準メインパルス電流積分値記憶装置 25,32 放電パルス電流ピーク値制御装置 26 放電パルス電流パルス幅制御装置 30 前回メインパルス数記憶装置 40 前回メインパルス電流積分値記憶装置
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−13498(JP,A) 特開 昭57−205024(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23H 1/00 - 11/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電電流発生装置からワイヤ電極と被加
    工物の間にパルス電流を投入して放電加工を行うワイヤ
    放電加工機において、加工距離演算手段と、所定距離加
    工中に放電電流発生装置から投入されたエネルギーを求
    める手段と、求められたエネルギーにより被加工物の板
    厚変化率を求める板厚変化検出手段を有し、該板厚変化
    検出手段で求めた板厚変化率に基づいて加工電流密度が
    変化しないように放電電流発生装置から投入されるエネ
    ルギーを調整する加工条件調整手段とを備えたことを特
    徴とするワイヤ放電加工機。
  2. 【請求項2】 上記板厚変化検出手段は、予め設定され
    ている基準エネルギーと、当該加工において上記所定距
    離加工中に放電電流発生装置から投入されたエネルギー
    によって被加工物の板厚変化率を求める請求項記載の
    ワイヤ放電加工機。
  3. 【請求項3】 上記板厚変化検出手段は、所定距離加工
    中に放電電流発生装置から投入されたエネルギーを積算
    し記憶する手段と、前回の上記所定距離加工における該
    積算エネルギーを記憶する手段を備え、所定距離加工が
    進む毎に、前回と今回の積算エネルギーにより被加工物
    の板厚変化率を求める請求項記載のワイヤ放電加工
    機。
  4. 【請求項4】 上記板厚変化検出手段は、放電電流発生
    装置から投入されたパルス数をエネルギーとして被加工
    物の板厚変化率を求める請求項,請求項又は請求項
    記載のワイヤ放電加工機。
  5. 【請求項5】 上記板厚変化検出手段は、放電電流発生
    装置から投入されたパルス電流の積分値をエネルギーと
    して被加工物の板厚変化率を求める請求項,請求項
    又は請求項記載のワイヤ放電加工機。
  6. 【請求項6】 上記加工条件調整手段は、板厚変化率に
    よってワイヤ電極と被加工物間の間隙に電圧印加を休止
    する加工休止時間の長さを調整して、放電電流発生装置
    から投入されるエネルギーを調整する請求項1乃至5
    載の内1項記載のワイヤ放電加工機。
  7. 【請求項7】 上記加工条件調整手段は、板厚変化率に
    よってパルス電流ピーク値を調整して、放電電流発生装
    置から投入されるエネルギーを調整する請求項1,請求
    項2,請求項3又は請求項5記載のワイヤ放電加工機。
  8. 【請求項8】 上記加工条件調整手段は、板厚変化率に
    よってパルス電流のパルス幅を調整して、放電電流発生
    装置から投入されるエネルギーを調整する請求項1,請
    求項2,請求項3又は請求項5記載のワイヤ放電加工
    機。
  9. 【請求項9】 上記加工条件調整手段は、ワイヤ電極と
    被加工物間の間隙の平均加工電圧が設定電圧と一致する
    ようにフィードバック制御されるサーボ送り制御におけ
    る設定電圧を板厚変化率によって調整して、放電電流発
    生装置から投入されるエネルギーを調整する請求項1乃
    至5記載の内1項記載のワイヤ放電加工機。
  10. 【請求項10】 上記加工条件調整手段は、ワイヤ電極
    と被加工物間の間隙の平均加工電圧が設定電圧と一致す
    るようにフィードバック制御されるサーボ送り制御にお
    けるフィードバックゲインを板厚変化率によって調整し
    て、放電電流発生装置から投入されるエネルギー量を調
    整する請求項1乃至5記載の内1項記載のワイヤ放電加
    工機。
  11. 【請求項11】 上記加工条件調整手段は、被加工物に
    対するワイヤ電極の相対送り速度を板厚変化率によって
    調整して、放電電流発生装置から投入されるエネルギー
    量を調整する請求項1乃至5記載の内1項記載のワイヤ
    放電加工機。
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