JP5030569B2 - セルロースエーテルの製造方法 - Google Patents

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    • C08B11/193Mixed ethers, i.e. ethers with two or more different etherifying groups

Description

本発明は、アルカリセルロース及びこれを用いたセルロースエーテルの製造方法に関する。
セルロースエーテルの製造方法としては、高純度に精製されたパルプにアルカリ溶液を接触させてアルカリセルロースを調製し、エーテル化剤を用いてエーテル化反応することが知られている。得られた最終セルロースエーテルは、置換度を適当にコントロールすることにより水可溶性となるが、その中に水不溶部分が存在し、水溶液の透光度を下げたり、異物となってその商品価値を損ねる場合がある。
この未溶解部分は、水に溶解するのに十分な置換基を有さない低置換度部分が存在するため生じるものであり、アルカリセルロース中のアルカリ分布が不均一であることが原因の一つとして挙げられる。
このアルカリの働きは、セルロースを膨潤させてパルプ中の結晶構造を変えてエーテル化剤の浸透を助けること、アルキレンオキシドのエーテル化反応を触媒すること、ハロゲン化アルキルの反応剤であること等が挙げられる。従って、パルプとアルカリ水溶液が接触しない部分は、反応にあずからないために未溶解分となり、アルカリセルロースの均一性はそのまま未溶解分の多寡につながる。
ここで、アルカリセルロースの製法として広く行われているのは、特許文献1や特許文献2に例示される、パルプを粉砕して得られた粉末状パルプにアルカリをエーテル化反応に必要な量だけ添加し機械的に混合する方法が挙げられる。しかし、この方法ではアルカリがパルプ全体に行き渡らないことからアルカリに未接触のパルプが存在し、その部分がセルロースエーテルとは成り得ないことから製品中に未反応物として混入し、セルロースエーテルの品質不良を引き起こす問題があった。
このような問題を生じさせない方法として、特許文献3に示されるようにシート状のパルプを過剰のアルカリ溶液に浸漬し十分アルカリを吸収させた後、所定のアルカリ量になるように加圧プレスして余分なアルカリを除去する方法がある。この方法を工業的に実施する場合、ロール状に巻かれたパルプの中心管に支持用の軸を通して上昇させ床面からロール状パルプを浮き上がらせることにより、あるいはロール状のパルプをころの上に乗せることにより、ロール状パルプが自由に回転できるようにし、ロール状パルプからシート状パルプを引き出しながら浸漬槽に導入する方法が一般的である。しかし、この方法では浸漬中にシート状パルプが引っ張られることにより破断し、運転が続行不可能になる問題がしばしば発生した。また、大量生産するにあたってはシート状パルプを所定時間浸漬するためには非常に大きな浸漬槽が必要になり、十分な設置スペースがとれなかったり、投資コストが大きくなる欠点があった。一方、チップ状のパルプの場合、ケーキが平滑でないため該プレス機では圧搾むらを生じ、アルカリセルロース中のアルカリ分布の不均一化に基づく品質の低下を引き起こした。
非特許文献1には、ビスコース製造におけるアルカリセルロースの製造方法として、アルカリ溶液にパルプを加えてかゆ状のスラリーにし、スラリープレス装置にて圧搾する方法が記載されている。シート状パルプを用いることのいくつかの欠点は解消されるが、スラリープレス装置は圧搾むらを生じ、アルカリセルロース中のアルカリ分布の不均一化に基づく品質の低下を引き起こした。また、圧搾性能に限界があるためこの方法だけではセルロースエーテルの原料として要求される比較的アルカリ分の少ないアルカリセルロースを得ることは困難であり、よってセルロースエーテルへの応用は困難だった。
特許文献4にはセルロースと過剰のアルカリよりアルカリセルロースを製造後、親水性溶媒でアルカリセルロースを洗浄することによりアルカリ分を除去し、目的の組成にする方法が記載されているが、多大な設備及び工程が必要であり、使用した親水性溶媒がアルカリセルロースに残存し、エーテル化剤と副反応を起こすためエーテル化剤の反応効率が低下したり、また洗浄液を中和処理又はアルカリ分を回収しなければならないことから工業的には困難だった。
特許文献5では、ビスコース製造原料として、セルロース含有材料を苛性ソーダ水溶液中に分散させた後、遠心分離によりアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/セルロースの質量比率が0.316〜0.643の範囲のアルカリセルロースを得ている。この方法で使用できる苛性ソーダ水溶液は該明細書に記載されている通り、濃度14〜22質量%の苛性ソーダ水溶液のみである。なぜならば、セルロース含有材料を苛性ソーダ水溶液中に分散させる際に浸漬時間が管理・調節されておらず、そのためセルロース含有材料がその飽和吸収量近くに達するまで苛性ソーダ液を吸収してしまい、所望のアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/セルロースの質量比率のアルカリセルロースを得るために、極めて低濃度の苛性ソーダ水溶液を用いざるをえないからである。かかる低濃度の苛性ソーダ水溶液を原料に製造したアルカリセルロースは、次工程でセルロースエーテルを得る際にエーテル化反応剤が水と副反応するため経済的に不利であるばかりか、所望の置換度のセルロースエーテルを得ることができない。また、製造されるセルロースエーテルの水溶液の透明性が劣っている。
また、エーテル化剤の利用率はアルカリセルロース中の水分と相関し、水分が低い程利用率が上昇、すなわち少ないエーテル化剤の使用量で目的の置換度を得ることができる。
水分の少ないアルカリセルロースの製造方法としては、細かくしたセルロースを不活性溶媒中に懸濁させ、第一段階において固体の水酸化ナトリウムを添加し、該セルロースを有機溶媒により部分的に予備膨潤し、引き続いて第二段階において40〜60%水酸化ナトリウム溶液を添加する方法が知られている(特許文献6)。しかし、この方法で得られたアルカリセルロースを用いて製造されたセルロースエーテルは、溶液の透明性が劣るものであり、また固形の水酸化ナトリウムが高価であるため、経済的に満足のいく方法ではなかった。
また、セルロースを水酸化ナトリウムでアルカリ化し、その後エーテル化反応を行う前にアルカリセルロースを適当な溶媒で洗浄することにより水分の少ないアルカリセルロースを得られることが知られているが(特許文献7)、洗浄の際に水分のみならず水酸化ナトリウムも洗い流され、その結果低置換度のメチルセルロースしか得られないという欠点があった。
一方、初めから高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルカリセルロースを製造しようとする場合、特許文献8や特許文献9に例示されているようなパルプを粉砕して得られた粉末状パルプにアルカリをエーテル化反応に必要な量だけ添加し機械的に混合する方法では、アルカリがパルプ全体に行き渡らないことからアルカリに未接触のパルプが存在し、その部分がセルロースエーテルとは成り得ず、製品中に未反応物として混入して、セルロースエーテルの品質不良を引き起こす問題があった。
更に、特許文献10に例示されるシート状のパルプを過剰のアルカリ溶液に浸漬し十分アルカリを吸収させた後、所定のアルカリ量になるように加圧プレスして余分なアルカリを除去する方法においては、高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いようとする場合、かなりの高温に維持しない限り水酸化ナトリウム水溶液から固形物(水酸化ナトリウム水和物)が析出し、装置トラブルを引き起こすという問題があった。
特公昭60−50801号公報 特開昭56−2302号公報 特開昭60−40101号公報 特公平3−73562号公報 特表2001−518127号公報 特開昭56−145901号公報 特開昭58−196202号公報 特開昭53−41356号公報 特開昭56−2302号公報 特開昭49−61272号公報 セルロース学会編「セルロースの事典」(2000年11月10日発刊)第433頁
本発明は、水分が少なく、アルカリの分布が均一なアルカリセルロースを効率よく製造する方法を用いるセルロースエーテルの製造方法を提供する。
本発明は、パルプと23〜60質量%のアルカリ金属水酸化物溶液とを連続的に接触させる工程と、得られた接触物を連続遠心分離機で脱液する脱液工程とを含む方法により得られたアルカリセルロースを、エーテル化剤と反応させるセルロースエーテルの製造方法であって、上記脱液工程で得られたケーキ中に含まれるアルカリ金属水酸化物と、上記パルプ中の固体成分の質量比率が、0.3〜1.5の範囲であるセルロースエーテルの製造方法を提供する。
また、本発明の好ましい形態の一つでは、さらに、上記脱液工程により分離されたアルカリ金属水酸化物含有液体を一部又は全部を濃縮する工程を含み、濃縮されたアルカリ金属水酸化物含有液体を上記接触させる工程に再利用する。
本発明により、水分が少なく、アルカリの分布が均一なアルカリセルロースを効率よく製造することができ、その結果として高いエーテル化率の透明性の高いセルロースエーテルを効率よく製造することができる。
本発明のパルプは、シート状、粉末状又はチップ状の形態のものが好ましい。
粉末状パルプは、シート状パルプを粉砕し得られるもので、粉末の形態を示すものである。通常平均粒子径が10〜1,000μmのものが用いられるが、これらに限定されない。粉末状パルプの製造方法は限定されないが、ナイフミルやハンマーミル等の粉砕機を用いることができる。
チップ状パルプの製造方法は限定されないが、シート状パルプをスリッターカッターの他、既存の裁断装置を利用することにより得られる。使用する裁断装置は連続的に処理できるものが投資コスト上有利である。
チップの平面積は通常4〜10,000mm2、特に10〜2,500mm2である。4mm2より小さいと、チップ状のパルプの製造が困難であり、逆に10,000mm2より大きいと、接触装置への投入、接触装置内部の送り、連続遠心分離機への投入等の取り扱いが困難になる場合がある。ここで、チップの平面積は、一片のチップ状パルプを六面体としてとらえた場合、六面のうち最も面積の大きい面の面積をいう。
これらのパルプのなかでは、成型操作の容易さと、遠心分離機の孔の目詰まりのしにくさから、チップ状の形態のパルプが最も好ましい。
本発明で用いるパルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させる装置は、パルプがアルカリ金属水酸化物溶液に完全に浸漬され、パルプがアルカリ金属水酸化物溶液に接触しはじめてから後工程の遠心分離機で脱液されるまでの時間が調節可能であり、かつその時間の分布が小さい、すなわちピストン流れに近いものが好ましい。例として、パイプ型のもの、バケットコンベア型のもの、スクリューコンベア型のもの、ベルトコンベアー型のもの、ロータリーフィーダー型のもの等である。
必要に応じて接触混合物に適当な撹拌力又は剪断力を加える等して接触混合物をかゆ状にしてもよい。
本発明において単位時間当たりに用いるパルプ質量とアルカリ金属水酸化物溶液の体積の比は、好ましくは0.15kg/L以下、より好ましくは0.10kg/L以下、更に好ましくは0.05kg/L以下である。0.15kg/Lを超えると完全な浸漬が困難になるため、アルカリセルロース中のアルカリの分布が不均一となり製品の品質の低下をきたす場合がある。なお、パルプ質量とアルカリ溶液の体積の比の下限は、0.0001kg/Lが好ましく、これを満たさないと設備が過大となり、現実的ではない場合がある。
本発明で使用するパルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させる装置は、アルカリ金属水酸化物溶液の温度又は接触時間を任意にコントロールできることが好ましい。なぜなら所望の組成のアルカリセルロースを得ようとするとき、アルカリセルロースの組成はパルプがアルカリ金属水酸化物溶液を吸収した量に依存し、その吸収量は接触時間およびアルカリ金属水酸化物溶液の温度を制御することにより調節できるからである。
アルカリ金属水酸化物溶液の温度の調整方法は、公知の技術を用いることができるが、熱交換器を利用するのが好ましく、その熱交換器は接触装置の内部であっても外部であってもよい。アルカリ金属水酸化物溶液の温度は、特に限定されないが、好ましくは20〜80℃の範囲で調節される。接触装置は、連続的に処理できるものが好ましい。バッチ式に比べ装置本体を小さくする事ができるので、スペース面で有利だからである。
本発明では、接触時間の調整法として、好ましくは接触ゾーンの長さを変える他、スクリューコンベア式やロータリーフィーダー式の場合は回転数を変え、また配管式の場合は液の流速を変えることが挙げられる。接触時間は、1秒〜15分間、特に2秒〜2分間の範囲が好ましい。1秒未満だと吸収量のコントロールがはなはだ困難な場合があり、15分を超えると装置が過大となり又は生産性が悪くなるばかりか、パルプのアルカリ吸収量が過大となり、いかなる脱液装置をもってしてもセルロースエーテルの製造に適した所望の組成のアルカリセルロースが得ることが難しくなる場合がある。
パルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させる装置は、連続的に処理できるものが好ましい。バッチ式に比べ装置本体を小さくする事ができスペース面で有利である。また、接触装置はパルプをピストンフロー的に通過させるのが好ましい。なぜなら前述のように、アルカリセルロースの組成が接触時間に依存するため、接触時間がばらつかないほうが、アルカリセルロースの組成が均等になり、品質上好ましいからである。従って、供給したパルプがアルカリに全く触れずに通過するのは品質上避けねばならない。特にパルプはアルカリ金属水酸化物溶液に浮遊しやすいことに注意し、接触装置内では、完全にアルカリ金属水酸化溶液と接触できるようにパルプを通過させることが好ましい。
接触装置の中に、パルプ、アルカリ金属水酸化物溶液の順に投入するか又は接触装置に投入する前にパルプ、アルカリ金属水酸化物溶液を予混合しておく方法が好ましい。予混合する場合はパルプとアルカリ金属水酸化物溶液の接触がすでに行われているため、この接触時間を管理することが好ましい。
また、パルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させる装置は、酸素存在下でのアルカリセルロースの重合度低下を防止するため、真空又は窒素置換ができるものがより好ましい。同時に酸素の存在下における重合度コントロールを目的とする場合は、酸素量を調整可能な構造を持つものが好ましい。
使用されるアルカリ金属水酸化物溶液は、アルカリセルロースが得られれば特に限定されないが、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液、特に好ましくは経済的観点から水酸化ナトリウムである。また、その濃度は23〜60質量%、特に35〜55質量%が好ましい。23質量%未満だと、次工程でセルロースエーテルを得る際に、エーテル化反応剤が水と副反応するため経済的に不利であり、かつ所望の置換度のセルロースエーテルを得ることができず、製造されるセルロースエーテルの水溶液の透明性が劣る場合がある。一方、60質量%を超えると、粘性が高くなるため取り扱いが困難である。なお、パルプとの接触に供されるアルカリ金属水酸化物溶液の濃度は、アルカリセルロースの組成を安定させ、セルロースエーテルの透明性を確保するために一定の濃度に保たれることが好ましい。
また、本発明は、基本的には低級アルコール(好ましくは炭素数1〜4のアルコール)やその他の不活性溶媒を使用しなくてもアルカリの分布の均一性は改善可能であるが、これらの溶媒を使用しても差し支えない。これらの溶媒の使用により、アルカリの分布の均一性の改善に加えてアルカリセルロースの嵩密度改善も可能である。
本発明で用いる連続遠心分離機は、遠心力を利用して液と固形分を分離する分離機である。連続遠心分離機には、デカンターのように孔のない回転体を有するものと、回転バスケットのように孔のある回転体を有するものがある。孔のない回転体を有するものは、遠心沈降操作に重点をおいた装置である。一方、孔のある回転体を有するものは沈降操作に加え遠心濾過、遠心脱水操作を利用する装置である。脱液の容易さから孔のある回転体を有する連続遠心分離機が好ましい。なぜなら、セルロースの真密度と苛性ソーダ水溶液の密度が比較的近接しており、遠心沈降操作だけに頼るよりも、遠心沈降操作に加えて遠心濾過、遠心脱水操作を利用した方が処理能力においてより有利だからである。孔のある回転体を有する連続遠心分離機の例としては、自動排出型遠心脱水機、スクリュー排出型遠心脱水機、振動排出型遠心脱水機、押し出し板型遠心脱水機が挙げられる。なお、脱水機による脱水は、所謂「水」だけではなく、液体一般を指す。
これらの遠心脱水機うち、トラブルが少なく運転でき、工業的に特に好ましいのは、スクリュー排出型遠心脱水機と押し出し板型遠心脱水機である。孔のある回転体(例えば回転バスケット)の形状は、円錐型、円筒型、縦型タイプ、横型タイプいずれも使用可能である。孔のある回転体におけるスクリーンの孔の形状は、特に限定されないが、ワイヤーメッシュ、丸孔、三角孔、コニードル型、スリット型等が使用可能である。スクリーンの孔の目開きは、特に限定されないが、0.1〜10mmのものが好ましい。
連続遠心分離機は、パルプとアルカリ金属水酸化物溶液の接触時間、温度及び必要な脱液度に応じ回転数、すなわち遠心効果を調節することができる。なぜなら遠心効果を調節することによりパルプとの接触に繰り返し供されるアルカリ金属水酸化物溶液の濃度を一定に保つことができ、透明性の高いセルロースエーテルを得られるからである。現在の運転条件に対して、接触時間を延長させるとき及び/又は接触温度を上昇させるときは、遠心効果を減少させることができる。接触時間を短縮させるとき及び/又は接触温度を低下させるときは、遠心効果を増加させることができる。アルカリ金属水酸化物溶液の濃度の変動率は±10%以内、特に±5%以内に抑えるのが好ましい。
遠心効果は、好ましくは100以上、より好ましくは200以上である。これより小さいと脱液が不十分になる場合がある。遠心効果の上限は特にないが、通常市販の遠心分離機として購入できる範囲内であり、例として5,000が挙げられる。なお、遠心効果が前述の範囲であれば、後述の回収されたアルカリ金属水酸化物溶液を再利用する場合のアルカリ金属水酸化物溶液の濃度を低く抑えることができる。
必要に応じ、脱液最中にケーキにアルカリ液を滴下、スプレーすることが可能である。
なお、遠心効果は、「社団法人化学工学協会編 新版化学工学事典」昭和49年5月30日発行に記載される通り、遠心力の大きさの程度を示す数値であり、遠心力と重力の比で与えられる。遠心効果Zは、下記式で表される。
Z=(ω2r)/g=V2/(gr)=π22r/(900g)
上式中、rは回転体の回転半径(単位m)、ωは回転体の角速度(単位rad/秒)、Vは回転体の周速度(m/秒)、Nは回転体の回転数(rpm)、gは重力加速度(m/sec2)を表す。
脱液により回収されたアルカリ金属水酸化物溶液は、再利用可能である。再利用する場合、アルカリセルロースとして系外に持ち出されたアルカリ金属水酸化物溶液と同じ量のアルカリ金属水酸化物溶液を連続的に系内に供給するのが好ましい。この場合、脱液により回収されたアルカリ金属水酸化物溶液を一旦バッファータンクに受入れた後、このタンクから接触器に供給され、タンクレベルを一定に保つように新しいアルカリ金属水酸化物溶液を添加することができる。
脱液により回収されたアルカリ金属水酸化物溶液をパルプとの接触のために再利用する場合、適当な手段で濃縮した後に再利用することが特に好ましい。この場合、脱液により回収されたアルカリ金属水酸化物溶液は、パルプとの接触に供せられたアルカリ金属水酸化物溶液よりも低濃度であることが望ましい。これは、低濃度である程、蒸気圧が高く濃縮が容易であり、また濃縮により固形物が析出するのを防止できるからである。濃縮後のアルカリ金属水酸化物溶液の濃度は23〜65質量%、特に35〜60質量%が好ましい。
回収されたアルカリ金属水酸化物溶液の濃縮装置は特に限定しないが、蒸発缶を用いることが好ましい。その際、減圧下で行うのがエネルギーコスト上好ましい。濃縮装置は、遠心分離機により分離されたアルカリ金属水酸化物溶液を繰り返し用いるループ内であれば、いずれの位置に配置されても良い。
濃縮装置は、遠心分離機からの分離液の一部又は全部を連続的に直接受け入れて濃縮することができる。また、遠心分離機からの分離液を一旦バッファータンクに受け入れた後、バッファータンクから濃縮装置に分離液を送って連続的に濃縮し濃縮液をバッファータンクに戻すことも可能である。バッファータンクから接触装置に至る途中に濃縮装置を配置することも可能である。
濃縮による水分の除去量は、水分が除去された結果、パルプと接触させるアルカリ金属水酸化物溶液の濃度が系外から新たに補給されるアルカリ金属水酸化物溶液の濃度を超えない程度に維持されるのが好ましい。なぜなら、濃度が高すぎるとかなりの高温に維持しない限り水酸化ナトリウム水溶液から固形物(水酸化ナトリウム水和物)が析出し、閉塞等の装置トラブルをおこす危険性があるからである。
なお、濃縮により除去された水は廃棄して良い。
脱液により回収されたアルカリ液を再利用する場合、特に好ましいのは孔のある回転体を有する連続遠心分離機と孔のない回転体を有する連続遠心分離機を併用する方法である。これにより孔のある回転体を有する遠心分離機の目詰まりを防止することができ、ろ過不良やそれに伴う遠心分離機の振動を防止することができる。パルプとアルカリ金属水酸化物溶液の接触物は、先ず孔のある回転体を有する連続遠心分離機を用いて液と固形分に分離される。その後、分離液中の微細な固形分が孔のない回転体を有する連続遠心分離機により回収される。孔のある回転体を有する連続遠心分離機からの分離液は、その全部又は一部を直接孔のない回転体を有する連続遠心分離機に導入することができるが、一旦タンクに受け入れられた後、そのタンクから孔のない回転体を有する連続遠心分離機に導入することもできる。分離液から孔のない回転体を有する連続遠心分離機により回収された固形分は、アルカリセルロースとして利用することができる。
図1は、パルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させ接触物を得るための接触装置10と、得られた接触物をアルカリセルロースとアルカリ金属水酸化物含有液体とに分離する遠心分離機20と、分離されたアルカリ金属水酸化物含有液体の一部又は全部を濃縮するための濃縮装置25と、遠心分離機20で分離され、かつ/又は濃縮装置25で濃縮されたアルカリ金属水酸化物含有液体をアルカリ金属水酸化物溶液と混合するためのタンク30とを備えるアルカリセルロースの製造装置の一例を示す。タンク30で得られる混合液は、接触装置10に送られ、パルプとの接触に再利用できる。図1では、遠心分離機で分離されたアルカリ金属水酸化物含有液体は、ポンプ21を用いて濃縮装置25に送られ、タンク30内のアルカリ金属水酸化物含有液体は、ポンプ31を用いて接触装置10に送られる。
図1では濃縮装置25がタンク30の上流に配置されているが、図2に示すように、濃縮装置35をタンク30の下流に配置し、遠心分離機20で分離されたアルカリ金属水酸化物含有液体とアルカリ金属水酸化物溶液との混合液の一部又は全部を濃縮して再びタンク30に戻す態様もある。タンク30内のアルカリ金属水酸化物の濃度が所定の濃度より低くなった場合に、この態様はアルカリ金属水酸化物溶液を添加することなく、タンク30内の濃度を所定の濃度に戻すことができる。
脱液手段で得られたケーキ中に含まれるアルカリ金属水酸化物と、上記パルプ中の固体成分の質量比率(アルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分)は、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.65〜1.30、更に好ましくは0.90〜1.30の範囲である。上記質量比率が0.3〜1.5の場合、得られるセルロースエーテルの透明性が高くなる。ここで、パルプ中の固体成分には、主成分のセルロースの他、ヘミセルロース、リグニン、樹脂分等の有機物、Si分、Fe分等の無機物が含まれる。
なお、アルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分は 以下に示す滴定法により求める
ことができる。
まず、ケーキ4.00gを採取し、中和滴定によりケーキ中のアルカリ金属水酸化物質量%を求める(0.5mol/L H2SO4、指示薬:フェノールフタレイン)。同様の方法で空試験を行う。
アルカリ金属水酸化物質量%
=規定度係数×(H2SO4滴下量ml−空試験でのH2SO4滴下量ml)
得られたケーキ中のアルカリ金属水酸化物質量%を用いて、次式に従いアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分を求める。
(アルカリ金属水酸化物の質量)/(パルプ中の固体成分の質量)
=(アルカリ金属水酸化物質量%)÷[{100−(アルカリ金属水酸化物質量%)/
(B/100)}×(S/100)]
ここで、Bは用いたアルカリ金属水酸化物溶液の濃度(質量%)であり、Sはパルプ中の固体成分の濃度(質量%)である。パルプ中の固体成分の濃度は、パルプ約2gを採取し105℃で2時間乾燥させた後の質量が、採取した質量に占める割合を質量%で表したものである。
本発明のアルカリセルロースは、本発明では、接触装置へのパルプの供給速度と、脱液後のアルカリセルロースの回収速度又はアルカリ金属水酸化物溶液の消費速度とを各々測定し、両者の質量比から現在のアルカリセルロースの組成を算出し、算出された組成が目標の値になるよう接触時間、接触装置のアルカリ金属水酸化物溶液の温度、脱液圧を調節することが可能である。また、その測定操作と計算、調節操作をオートメーション化することも可能である。
アルカリセルロースの組成は、これを用いて得られるセルロースエーテルのエーテル化の程度、すなわち置換モル数によって決定することができる。
上記の製造方法で得られたアルカリセルロースを原料として公知の方法でセルロースエーテルを製造する事ができる。
反応方法としては、バッチ式と連続式が挙げられ、本発明のアルカリセルロースの製造方法が連続式であることから連続反応方式が好ましいが、バッチ式でも問題はない。
バッチ式の場合は、脱液装置より排出されたアルカリセルロースをバッファータンクに貯蔵するか又は直接エーテル化反応容器に仕込んでも良いが、エーテル化反応容器の占有時間を短くするためバッファータンクに貯蔵後、短時間で反応釜に仕込む方が生産性は高い。バッファータンクは、重合度低下を抑制するため、真空又は窒素置換による酸素フリーの雰囲気が望ましい。
得られたアルカリセルロースを出発原料として得られるセルロースエーテルとしては、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
アルキルセルロースとしては、メトキシル基(DS)が1.0〜2.2のメチルセルロース、エトキシル基(DS)が2.0〜2.6のエチルセルロース等が挙げられる。なお、DSは、置換度(degree of substitution)を表し、セルロースのグルコース環単位当たり、メトキシル基で置換された水酸基の平均個数であり、MSは、置換モル数(molar substitution)を表し、セルロースのグルコース環単位当たりに付加したヒドロキシプロポキシル基あるいはヒドロキシエトキシル基の平均モル数である。
ヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシエトキシル基(MS)が0.05〜3.0のヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロポキシル基(MS)が0.0 5〜3.3のヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルアルキルセルロースの例としては、メトキシル基 (DS)が1.0〜2.2、ヒドロキシエトキシル基(MS)が0.1〜0.6のヒドロキシエチルメチルセルロース、メトキシル基(DS)が1.0〜2.2、ヒドロキシプロポキシル基(MS)が0.1〜0.6のヒドロキシプロピルメチルセルロース、エトキシル基(DS)が1.0〜2.2、ヒドロキシエトキシル(MS)が0.1〜0.6のヒドロキシエチルエチルセルロースが挙げられる。
また、カルボキシメトキシル基(DS)が0.2〜2.0のカルボキシメチルセルロースも挙げられる。
エーテル化剤としては、塩化メチル、塩化エチル等のハロゲン化アルキル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、モノクロル酢酸等が挙げられる。
以下、実施例を示し本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
[実施例1]
内径38mm、長さ10mのパイプを設置した。パイプの入り口にホッパー付きスネークポンプ(ヘイシンNVL40PL型)を接続し、スネークポンプのホッパーに40℃の23質量%水酸化ナトリウム水溶液を900L/hrの速度で供給した。同時に木材由来で4mm角、固体成分濃度93質量%のチップ状パルプを50kg/hrの速度で投入した。パイプ出口はスクリュー排出型連続式回転バスケットに接続されており、パイプから排出されるチップ状パルプと苛性ソーダ液の混合物を遠心効果1,150にて連続的に脱液した。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.25だった。
得られたアルカリセルロースをセルロース分として5.5kgを耐圧反応器に仕込み、真空引き後、塩化メチル11kg、プロピレンオキサイド2.7kgを加えて反応させ、洗浄、乾燥、粉砕を経てヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。得られたセルロースエーテルの置換度、2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。なお、2質量%水溶液の20℃における透光度は、光電比色計PC-50型、セル長20mm、可視光線を用いて測定した。
[実施例2]
40℃の30質量%水酸化ナトリウム水溶液を1,300L/hrの速度で供給する以外は実施例1と同様に実施し、アルカリセルロースを得た。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.25だった。
得られたアルカリセルロースを用いて実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例3]
スクリュー径154mm、シャフト径90mm、スクリュー長1,500mm、スクリューピッチ100mmのスクリューコンベアを設置し、スクリューコンベアを30rpmで
回転させた。実施例1で用いたのと同じパルプをスクリューコンベア型浸漬槽に50kg/hrの速度で投入した。同時に、水酸化ナトリウム供給口より40℃の40質量%水酸化ナトリウム水溶液を1,700L/hrの速度で供給した。スクリューコンベア型浸漬槽の出口に連続遠心分離機として0.2mmスリットスクリーンを備えた押し出し板型遠心脱水機を設置し、遠心効果1,000にてスクリューコンベア型浸漬槽から排出されるチップ状パルプと苛性ソーダ液の接触混合物を連続的に脱液した。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.25だった。
得られたアルカリセルロースを用いて実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例4]
ドラム内径240mm、チャンバー高さ15mm、チャンバー幅100mm、スクリーン径80μmのロータリーフィーダー型装置(回転式フィルター)を設置した。ドラム回転数を75rphとした。このロータリーフィーダー型装置に実施例1で用いたのと同じパルプを15kg/hrの速度で投入し同時に40℃の49質量%水酸化ナトリウム水溶液を450L/hrの速度で供給した。
ロータリーフィーダー型装置出口に連続遠心分離機として0.2mmスリットスクリーンを備えた押し出し板型遠心脱水機を設置し、遠心効果1,000にてロータリーフィーダー装置から排出されるチップ状パルプと苛性ソーダ液の接触混合物を連続的に脱液した。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.25だった。
得られたアルカリセルロースを用いて実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例5]
55質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いる以外は、実施例4と同様に行い、アルカリセルロースを得た。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.25だった。
得られたアルカリセルロースを用いて実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例6]
ドラム内径240mm、チャンバー高さ15mm、チャンバー幅100mm、スクリーン径80μmのロータリーフィーダー型装置(回転式フィルター)を設置した。ドラム回転数を110rphとした。このロータリーフィーダー型装置に実施例1で用いたのと同じパルプを15kg/hrの速度で投入し同時にタンクより40℃の44質量%水酸化ナトリウム水溶液を450L/hrの速度で供給した。
ロータリーフィーダー型装置出口に連続遠心分離機として0.2mmスリットスクリーンを備えた押し出し板型遠心脱水機を設置し、遠心効果600にてロータリーフィーダー型装置から排出されるチップ状パルプと苛性ソーダ液の接触混合物を連続的に脱液した。分離液はタンクに受け入れられ、パルプとの接触に再利用された。タンクのレベルが一定になるよう49質量%水酸化ナトリウム水溶液をタンクに連続的に供給した。タンク内の濃度は44質量%のままであった。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.00だった。
塩化メチル9kg、プロピレンオキサイド1.4kgを加える以外は実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例7]
ドラム内径240mm、チャンバー高さ15mm、チャンバー幅100mm、スクリーン径80μmのロータリーフィーダー型装置(回転式フィルター)を設置した。ドラム回転数を110rphとした。このロータリーフィーダー型装置に実施例1で用いたのと同じパルプを15kg/hrの速度で投入し同時にタンクより40℃の44質量%水酸化ナトリウム水溶液を450L/hrの速度で供給した。
ロータリーフィーダー型装置出口に連続遠心分離機として0.2mmスリットスクリーンを備えた押し出し板型遠心脱水機を設置し、遠心効果600にてロータリーフィーダー型装置から排出されるチップ状パルプと苛性ソーダ液の接触混合物を連続的に脱液した。分離液はタンクに受け入れられ、ここからポンプを介して遠心効果2500で運転中のデカンターに送られ、微細な固形分を回収した。回収された微細な固形分はアルカリセルロースに混入させた。デカンターを通過した液は再びタンクに戻り、パルプとの接触に再利用された。タンクのレベルが一定になるよう49質量%水酸化ナトリウム水溶液をタンクに連続的に供給した。タンク内の濃度は44質量%のままであった。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.00だった。
塩化メチル9kg、プロピレンオキサイド1.4kgを加える以外は実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例8]
44質量%水酸化ナトリウム水溶液の温度を20℃に変更し、押し出し板型遠心脱水機の遠心効果を1000に変更した以外は実施例7と同様にして、アルカリセルロースを得た。タンク内の水酸化ナトリウム水溶液濃度は44質量%のままであった。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、0.60だった。塩化メチル6.5kg、プロピレンオキサイド1.2kgを加える以外は実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例9]
ロータリーフィーダー型装置の回転数を75rphに変更し、押し出し板型遠心脱水機の遠心効果を300に変更した以外は、実施例7と同様にして、アルカリセルロースを得た。タンク内の水酸化ナトリウム水溶液濃度は44質量%のままであった。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.25だった。
得られたアルカリセルロースを用いて実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例10]
ロータリーフィーダー型装置の回転数を75rphに変更した以外は実施例7と同様にして、アルカリセルロースを得た。押し出し板型遠心脱水機の遠心効果は600のままとした。タンク内の水酸化ナトリウム水溶液濃度は46質量%となった。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.00だった。
得られたアルカリセルロースを用いて実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
[実施例11]
連続遠心分離機からの分離液を蒸発缶にて連続的に濃縮することにより3.1kg/hrの速度で水分を除去する以外は実施例6と同様にしてアルカリセルロースを製造した。タンク内の濃度は49質量%だった。得られたアルカリセルロース中のアルカリ金属水酸化物/パルプ中の固体成分の質量比率を滴定法により求めたところ、1.00だった。
塩化メチル9kg、プロピレンオキサイド2.4kgを加える以外は、実施例1と同様にセルロースエーテルを製造した。2質量%水溶液の20℃における粘度、2質量%水溶液の20℃における透光度を表1に示す。
アルカリセルロースの製造装置の例を示す。 アルカリセルロースの製造装置の例を示す。
符号の説明
1 パルプ
2 アルカリ金属水酸化物溶液
3 アルカリセルロース
10 接触装置
20 遠心分離機
21,31 ポン
25,35 濃縮装置
30 タンク

Claims (3)

  1. パルプと23〜60質量%のアルカリ金属水酸化物溶液とを連続的に接触させる工程と、得られた接触物を連続遠心分離機で脱液する脱液工程とを含む方法により得られたアルカリセルロースを、エーテル化剤と反応させるセルロースエーテルの製造方法であって、
    上記脱液工程で得られたケーキ中に含まれるアルカリ金属水酸化物と、上記パルプ中の固体成分の質量比率が、0.3〜1.5の範囲であるセルロースエーテルの製造方法。
  2. 上記連続遠心分離機が、孔のある回転体を有する装置である請求項1に記載のセルロースエーテルの製造方法。
  3. さらに、上記脱液工程により分離されたアルカリ金属水酸化物含有液体の一部又は全部を濃縮する工程を含み、濃縮されたアルカリ金属水酸化物含有液体が上記接触させる工程に再利用される請求項1又は請求項2に記載のセルロースエーテルの製造方法。
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