JP5027521B2 - 変速伝動装置 - Google Patents

変速伝動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5027521B2
JP5027521B2 JP2007025737A JP2007025737A JP5027521B2 JP 5027521 B2 JP5027521 B2 JP 5027521B2 JP 2007025737 A JP2007025737 A JP 2007025737A JP 2007025737 A JP2007025737 A JP 2007025737A JP 5027521 B2 JP5027521 B2 JP 5027521B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transmission
clutch
speed
unit
output
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007025737A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008189144A (ja
Inventor
実 平岡
吉郎 高尾
勝 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2007025737A priority Critical patent/JP5027521B2/ja
Application filed by Kubota Corp filed Critical Kubota Corp
Priority to PCT/JP2007/068533 priority patent/WO2008096473A1/ja
Priority to US12/297,245 priority patent/US8303448B2/en
Priority to EP07828350A priority patent/EP2116407B1/en
Priority to CN2007800310345A priority patent/CN101505986B/zh
Priority to KR1020117031318A priority patent/KR101240817B1/ko
Priority to KR1020097002861A priority patent/KR101143062B1/ko
Publication of JP2008189144A publication Critical patent/JP2008189144A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5027521B2 publication Critical patent/JP5027521B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles

Description

本発明は、エンジン駆動力が入力される無段変速部又は電動モータを備え、前記無段変速部の出力と前記無段変速部による変速作用を受けないエンジン駆動力とを、又は前記電動モータの出力とエンジン駆動力とを複数の遊星伝動機構によって合成する遊星伝動部を備え、前記遊星伝動部の合成駆動力を複数の速度レンジに段階分けして出力する速度レンジ設定部を備えた変速伝動装置に関する。
上記した変速伝動装置は、無段変速部を備えたものの場合、無段変速部が変速操作され、この変速操作に併せて速度レンジ設定部が適切に切り換え操作されることにより、エンジンと無段変速部とから出力されて合成された駆動力が複数の速度レンジに段階分けして、かつ、各段階の速度レンジにおいて無段階に変速して出力されるものである。電動モータを備えたものの場合、電動モータが変速操作され、この変速操作に併せて速度レンジ設定部が適切に切り換え操作されることにより、エンジンと電動モータとから出力されて合成された駆動力が複数の速度レンジに段階分けして、かつ、各段階の速度レンジにおいて無段階に変速して出力されるものである。
この種の変速伝動装置として、従来、特許出願(特願2005−286073号)されたものを先に開発した。図13は、先に開発した変速伝動装置Aが装備されたトラクタの走行伝動装置の線図である。この図に示すように、先に開発した変速伝動装置Aは、無段変速部20と遊星伝動部Pと速度レンジ設定部Cと副変速部Kと正逆回転切り換え部Bとを備えている。
遊星伝動部Pは、第1遊星伝動機構P1と第2遊星伝動機構P2と第3遊星伝動機構P3とを備えている。第1遊星伝動機構P1は、無段変速部20による変速作用を受けないエンジン駆動力が入力されるリングギヤと、無段変速部20からの出力が入力されるサンギヤとを備えている。第2遊星伝動機構P2は、第1遊星伝動機構P1のリングギヤに連動されたキャリヤと、第1遊星伝動機構P1のキャリヤに連動されたリングギヤとを備えている。第3遊星伝動機構P3は、第2遊星伝動機構P2のサンギヤに連動されたサンギヤと、第2遊星伝動機構P2のリングギヤに連動されたキャリヤとを備えている。速度レンジ設定部Cは、第1クラッチC1と第2クラッチC2とを備えている。正逆回転切り換え部Bは、前進クラッチCFと後進クラッチCRとを備えている。
尚、図13に示す3は、後輪差動機構であり、7は、前輪差動機構である。
図15は、先に開発した変速伝動装置Aにおける無段変速部20の変速状態と、速度レンジと、出力軸80の出力速度(以下、出力速度と称する。)との関係を示す説明図である。図15に示す「−MAX」は、無段変速部20の逆回転出力側の変速域における最高速度の変速状態を示し、「0」は、無段変速部20の中立状態を示し、「+MAX」は、無段変速部20の正回転出力側の変速域における最高速度の変速状態を示す。
図16は、先に開発した変速伝動装置Aにおける速度レンジと、クラッチの操作状態との関係を示す説明図である。図16に示す「入り」は、各クラッチC1,C2,CL,CHの入り状態を示し、「−」は、各クラッチC1,C2,CL,CHの切り状態を示す。
図14は、先に開発した変速伝動装置Aが備える変速操作部のブロック図である。この変速操作部は、変速レバー101と変速モード選択手段102と制御手段105とを備えている。制御手段105は、変速レバー101に連動された変速指令検出手段101による検出情報を基に、第1クラッチC1と第2クラッチC2とを切り換え操作するとともに無段変速部20を変速操作する。制御手段105は、変速モード選択手段102からの指令を基に低速クラッチCLと高速クラッチCHとを切り換え操作する。
これらの図に示すように、先に開発した変速伝動装置Aは、次の如きものである。
すなわち、副変速部Kの低速クラッチCLが入り状態に、速度レンジ設定部Cの第1クラッチC1が入り状態で第2クラッチC2が切り状態にそれぞれ操作され、この状態で無段変速部20が「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作されると、出力軸80が低速モードの一速レンジで駆動され、出力速度が「0」から無段階に増速していく。無段変速部20が「+MAX」に変速操作されると、出力速度が「Vlm」になる。この後、第1クラッチC1が切り状態に、第2クラッチC2が入り状態にそれぞれ切り換え操作され、この状態で、無段変速部20が「+MAX」から「−MAX」に向けて変速操作されると、出力軸80が低速モードのニ速レンジで駆動され、出力速度が「Vlm」から無段階に増速していく。無段変速部20が「−MAX」に変速操作されると、出力速度が「Vlh」になる。
副変速部Kの高速クラッチCHが入り状態に、速度レンジ設定部Cの第1クラッチC1が入り状態で第2クラッチC2が切り状態にそれぞれ操作され、この状態で無段変速部20が「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作されると、出力軸80が高速モードの一速レンジで駆動され、出力速度が「0」から無段階に増速していく。無段変速部20が「+MAX」に変速操作されると、出力速度が「Vhm」になる。この後、第1クラッチC1が切り状態に、第2クラッチC2が入り状態にそれぞれ切り換え操作され、この状態で、無段変速部20が「+MAX」から「−MAX」に向けて変速操作されると、出力軸80が高速モードのニ速レンジで駆動され、出力速度が「Vhm」から無段階に増速していく。無段変速部20が「−MAX」に変速操作されると、出力速度が「Vhh」になる。
また、先に開発した変速伝動装置Aは、トラクタの走行装置に装備されると、作業走行時に走行装置を高トルクで無段階に変速駆動し、移動走行時に走行装置を高速で無段階に変速駆動することができるよう速度レンジ設定部Cからの出力を副変速して出力回転体としての出力軸80に伝達することを可能にする。さらに、前進と後進とを操作簡単に切り換えて走行することができるよう速度レンジ設定部Cからの出力を正回転駆動力と逆回転駆動力とに変換して出力軸80に伝達することを可能にする。
先に開発した変速伝動装置の場合、トラクタを要望に応じて多機種化しようとすると、コスト面で不利になりがちであった。
すなわち、低速モードと高速モードとの切り換えを必要とする要望の他に、低速モードと高速モードとの切り換えを不要とする要望がある。トラクタにあっては、低速モードと高速モードとの切り換えが可能なものと、不可能なものとのいずれの機種にも、正逆回転切り換え部を装備する。すると、先に開発した変速伝動装置を基に多機種化を図るには、速度レンジ設定部Cの出力部と、正逆回転切り換え部Bの入力部とが副変速部Kを介して連動するものと、副変速部Kを介さないで連動するものとを製作することになる。速度レンジ設定部Cの出力部と、正逆回転切り換え部Bの入力部とを副変速部Kを介さないで連動させるには、構造が複雑であり、かつ大型な連動構造が必要になりがちであった。
本発明の目的は、トラクタに好適な走行装置を得ることができながら、トラクタの多機種化を有利に行いやすい変速伝動装置を提供することにある。
本第1発明は、エンジン駆動力が入力される無段変速部又は電動モータを備え、前記無段変速部の出力と前記無段変速部による変速作用を受けないエンジン駆動力とを、又は前記電動モータの出力とエンジン駆動力とを複数の遊星伝動機構によって合成する遊星伝動部を備え、前記遊星伝動部の合成駆動力を複数の速度レンジに段階分けして出力する速度レンジ設定部を備えた変速伝動装置において、
前記速度レンジ設定部の出力を正逆回転切り換え部と副変速部とを介して出力回転体に伝達するよう構成し、
前記副変速部を前記正逆回転切り換え部よりも伝動方向での下手側に配置し、
前記遊星伝動部と前記速度レンジ設定部と前記正逆回転切り換え部とを収容する伝動上手側ミッションケース部と、前記副変速部を収容する伝動下手側ミッションケース部との間にミッションケース分割線を設けて、前記ミッションケース分割線の位置を合わせ面として前記伝動上手側ミッションケース部と前記伝動下手側ミッションケース部とを連結し、
前記伝動上手側ミッションケース側からの駆動力を出力する出力軸の後端部と、前記伝動下手側ミッションケース部へ駆動力を入力する前記出力回転体の前端部とにわたって前記副変速部を設けてあり、
前記速度レンジ設定部に速度レンジ設定用のクラッチを備え、前記正逆回転切換え部に伝動回転方向設定用のクラッチを備え、
複数の前記遊星伝動機構における複数のサンギヤの夫々を支軸と同芯状に位置させ、且つ、その支軸に対して、前記速度レンジ設定用のクラッチにおける回転部材と前記伝動回転方向設定用のクラッチにおける回転部材とを外嵌し、その支軸の軸芯方向において、伝動方向の上手側から、前記遊星伝動部、前記速度レンジ設定部、前記正逆回転切り換え部の順に並ぶ状態で配置してある。
本第1発明の構成によると、エンジンと無段変速部とからの出力、又はエンジンと電動モータとからの出力が遊星伝動部によって合成され、この合成駆動力が速度レンジ設定部と正逆回転切り換え部と副変速部とを介して出力回転体に伝達される。これにより、無段変速部が変速操作され、又は電動モータが変速操作され、この変速操作に併せて速度レンジ設定部と副変速部とが適切に切り換え操作されると、出力回転体が低速モードの一速レンジで駆動されて出力回転体からの出力が無段階に増速していき、次に出力回転体が低速モードの二速レンジで駆動されて出力回転体からの出力が引き続いて無段階に増速していく。又は出力回転体が高速モードの一速レンジで駆動されて出力回転体からの出力が無段階に増速していき、次に出力回転体が高速モードの二速レンジで駆動されて出力回転体からの出力が引き続いて無段階に増速していく。そして、正逆回転切り換え部が切り換え操作されると、出力回転体からの出力の回転方向が、正逆回転切り換え部の操作状態に対応した正回転方向又は逆回転方向になる。これにより、トラクタの走行装置に装備すれば、走行装置を高トルクで無段階に変速駆動したり、走行装置を高速で無段階に変速駆動したりすることができ、正逆回転切り換え部の切り換えによって走行装置を前進駆動したり後進駆動したりできる。
また、本第1発明の構成によると、副変速部を正逆回転切り換え部よりも伝動方向での下手側に配置し、前記伝動上手側ミッションケースと、前記伝動下手側ミッションケースとの間にミッションケース分割線を設けて、ミッションケース分割線の位置を合わせ面として伝動上手側ミッションケース部と伝動下手側ミッションケース部とを連結したものだから、正逆回転切り換え部の出力部と出力回転体とが副変速部を介して連動するものと、副変速部を介さないで連動するものとを製作することにより、高速モードと低速モードとの切り換えが可能なものと、その切り換えが不能なものとを得ることができる。
従って、作業走行時に高トルクで無段階に変速走行でき、移動走行時に高速で無段階に変速走行でき、さらに、正逆回転切り換え部の切り換え操作だけで前進走行と後進走行との切り換えができるようトラクタに好適な走行装置を得ることができるものでありながら、正逆回転切り換え部の出力部と出力回転体とを連動させるだけの構造簡単かつコンパクトな連動構造を準備すれば高速モードと低速モードとの切り換えが不可能な機種を製作することができ、多機種化を安価に達成することができる。
本第2発明は、本第1発明の構成において、前記速度レンジ設定部に速度レンジ設定用の油圧クラッチを備え、前記正逆回転切換え部に伝動回転方向設定用の油圧クラッチを備えている。
本第2発明の構成によると、速度レンジ設定用の油圧クラッチを操作するための操作油路と、伝動回転方向設定用の油圧クラッチを操作するための操作油路とを前記支軸に設けて、速度レンジ設定部と正逆回転切り換え部とを操作することができる。
従って、速度レンジ設定部と正逆回転切り換え部とを操作するための油圧回路を、速度レンジ設定部のための操作油路も、正逆回転切り換え部のための操作油路も支軸に設けたコンパクトな状態に得て、この面から変速伝動装置をコンパクトに得ることができる。
本第3発明は、本第1発明の構成において、前記速度レンジ設定部に、速度レンジ設定用の一対の噛み合いクラッチと、前記一対の噛み合いクラッチに共用のシフト部材とを備え、
前記シフト部材に、前記一対の噛み合いクラッチが共に噛み合った状態となる操作位置を、前記一対の噛み合いクラッチの一方のみが噛み合った状態になる操作位置と他方のみが噛み合った状態になる操作位置との間に配置して備えてある。
本第3発明の構成によると、速度レンジ設定部は、一対の噛み合いクラッチの一方が噛み合い状態になり、他方の噛み合いクラッチが噛み合い解除状態になることによって一方の速度レンジ設定状態になり、一方の噛み合いクラッチが噛み合い解除状態になり、他方の噛み合いクラッチが噛み合い状態になることによって他方の速度レンジ設定状態になる。速度レンジ設定部が一方の速度レンジ設定状態と他方の速度レンジ設定状態とに切り換えられる際、切り換え途中においてシフト部材がいずれの噛み合いクラッチにも噛み合った状態になり、いずれの噛み合いクラッチも噛み合い解除状態になることによって発生する伝動遮断の発生を回避しながら行われる。
従って、速度レンジ設定部を噛み合いクラッチの採用によって構造面及びコスト面で有利に得るものでありながら、速度レンジ設定状態の切り換え途中において伝動遮断が発生せず、伝動遮断の発生による変速ショックが無いスムーズな変速を行うことができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施例に係る変速伝動装置Aが装備されたトラクタの走行伝動装置の線図である。この図に示すように、走行伝動装置は、エンジン1の出力軸1aからの出力が入力される主クラッチ2と、この主クラッチ2の出力軸2aに入力軸21が連結された変速伝動装置Aと、この変速伝動装置Aの出力回転体としての出力軸80に入力ギヤ3aが連結された後輪差動機構3と、前記出力軸80の駆動力が伝動ギヤ4aと伝動ギヤ4bと伝動軸5とを介して入力される前輪変速装置Dと、この前輪変速装置Dの出力軸94からの駆動力が伝動軸6を介して入力される前輪差動機構7と、前記伝動軸5に前記伝動ギヤ4bの近くに配置して設けたブレーキディスク8とを備えている。主クラッチ2の出力軸2aと、変速伝動装置Aの入力軸21とは、同一の軸になっている。
尚、図1に示す如くミッションケース9の後部に設けた動力取り出し軸10は、トラクタの車体後部に連結されたロータリ耕耘装置(図示せず)など、各種の作業装置に前記エンジン1の駆動力を伝達するものである。この動力取り出し軸10は、作業変速装置11と、伝動軸12と、作業クラッチ13と、伝動軸14とを介して前記入力軸21に連動されている。
図1に示すように、本第一実施例に係る変速伝動装置Aは、前記入力軸21と前記出力軸80とを備える他、前記入力軸21を有した無段変速部20、この無段変速部20の車体後方側に位置した遊星伝動部Pと、この遊星伝動部Pの車体後方側に位置した速度レンジ設定部Cと、この速度レンジ設定部Cの車体後方側に位置した正逆回転切り換え部Bと、この正逆回転切り換え部Bからの出力が伝達されるよう正逆回転切り換え部Bよりも伝動方向での下手側に配置した副変速部Kとを備えている。
前記無段変速部20は、クラッチハウジング15の内部に位置している。クラッチハウジング15は、前記ミッションケース9の前部に連設されている。遊星伝動部Pと速度レンジ設定部Cと正逆回転切り換え部Bと副変速部Kとは、前記ミッションケース9の内部に位置している。
図2に示すように、前記ミッションケース9は、このミッションケース9の車体前後方向での中間部に設けたミッションケース分割線9aを備え、このミッションケース分割線9aによって伝動上手側ミッションケース部9bと、伝動下手側ミッションケース部9cとに分割できる。前記上手側ミッションケース部9bは、前記遊星伝動部Pと前記速度レンジ設定部Cと前記正逆回転切り換え部Bと前記前輪変速装置Dとを収容している。前記下手側ミッションケース部9cは、前記副変速部Kと前記後輪差動機構3と前記ブレーキディスク8とを収容している。
前記無段変速部20は、前記入力軸21をポンプ軸(以下、入力軸21をポンプ軸21と称する。)としているアキシャルプランジャ形でかつ可変容量形の油圧ポンプ22と、この油圧ポンプ22からの圧油によって駆動されるアキシャルプランジャ形の油圧モータ23とを備えて構成してある。無段変速部20は、静油圧式無段変速装置になっている。
つまり、無段変速部20は、油圧ポンプ22の斜板角を変更されることにより、正回転伝動状態と中立状態と逆回転伝動状態とに切り換わる。無段変速部20は、正回転伝動状態に切り換えられた状態において、油圧ポンプ22の斜板角を変更されることにより、エンジン1からの駆動力を正回転方向の駆動力に変換してかつ無段階に変速してモータ軸24から出力する。無段変速部20は、逆回転伝動状態に切り換えられた状態において、油圧ポンプ22の斜板角を変更されることにより、エンジン1からの駆動力を逆回転方向の駆動力に変換してかつ無段階に変速してモータ軸24から出力する。無段変速部20は、中立状態に切り換えられると、モータ軸24からの出力を停止する。
図3は、前記遊星伝動部Pの断面状態を示している。この図と図1とに示すように、前記遊星伝動部Pは、前記無段変速部20と前記速度レンジ設定部Cとの間に車体前後方向に並べて設けた第1遊星伝動機構P1と第2遊星伝動機構P2と第3遊星伝動機構P3とを備えている。
各遊星伝動機構P1,P2,P3は、前記伝動軸14と同芯状に位置したサンギヤ31,41,51と、このサンギヤ31,41,51の周囲に分散して位置するとともにサンギヤ31,41,51に噛み合った複数個の遊星ギヤ32,42,52と、各遊星ギヤ32,42,52を支軸部材33,43,53を介して自転自在に支持するキャリヤ34,44,54と、各遊星ギヤ32,42,52に内歯で噛合ったリングギヤ35,45,55とを備えている。第1遊星伝動機構P1のキャリヤ34は、前記伝動軸14に相対回転自在に外嵌している筒軸36にベアリングを介して相対回転自在に支持されている。第1遊星伝動機構P1のサンギヤ31は、前記筒軸36に支持されている。このサンギヤ31と筒軸36とは、スプラインによる係合によって一体回転自在に連結している。第2遊星伝動機構P2のキャリヤ44は、前記伝動軸14に支持されている。このキャリヤ44と伝動軸14とは、スプラインによる係合によって一体回転自在に連結している。第2遊星伝動機構P2のサンギヤ41は、前記伝動軸14に外嵌された筒軸46に支持されている。このサンギヤ41と筒軸46とはスプラインによる係合によって一体回転自在に連結している。第3遊星伝動機構P3のキャリヤ54は、前記筒軸46にベアリングを介して相対回転自在に支持されている。第3遊星伝動機構P3のサンギヤ51は、前記筒軸46に一体形成されており、この筒軸46と一体回転する。第1遊星伝動機構P1のリングギヤ35と第2遊星伝動機構P2のキャリヤ44とは、リングギヤ35の一端部とキャリヤ44の外周部との溶接によって一体回転自在に連結している。第1遊星伝動機構P1のキャリヤ34と、第2遊星伝動機構P2のリングギヤ45と、第3遊星伝動機構P3のキャリヤ54とは、両キャリヤ34,54とリングギヤ45の外周側にスプラインによって係合した筒形の連動部材37によって一体回転自在に連結している。第3遊星伝動機構P3のリングギヤ55は、このリングギヤ55の一端部に外周側が連結した円板形の連動部材56によって前記速度レンジ設定部Cの入力側部材61に一体回転自在に連結している。前記筒軸36は、これの端部に一体形成した伝動ギヤ38と、この伝動ギヤ38に噛み合った伝動ギヤ39と、この伝動ギヤ39を一体回転自在に支持する回転支軸39aとを介して前記モータ軸24に連動している。
つまり、遊星伝動部Pは、エンジン1の出力軸1aから主クラッチ2を介してポンプ軸21の前端側に伝達され、ポンプ軸21の後端側から出力される駆動力を、伝動軸14を介して第2遊星伝動機構P2のキャリヤ44と第1遊星伝動機構P1のリングギヤ35とに入力する。これにより、遊星伝動部Pは、エンジン1の出力軸1aから出力されたエンジン駆動力を無段変速部20による変速作用を受けない状態で、かつ、非減速状態で第2遊星伝動機構P2のキャリヤ44と第1遊星伝動機構P1のリングギヤ35とに入力する。遊星伝動部Pは、無段変速部20のモータ軸24からの出力を回転支軸39aと伝動ギヤ39と伝動ギヤ38と筒軸36とを介して第1遊星伝動機構P1のサンギヤ31に入力する。遊星伝動部Pは、このように入力したエンジン駆動力と、無段変速部20からの駆動力とを三つの遊星伝動機構P1,P2,P3によって合成し、この合成駆動力を筒軸46と連動部材56とに出力して前記速度レンジ設定部Cに伝達する。
図3は、前記速度レンジ設定部Cの断面状態を示している。この図と図1とに示すように、前記速度レンジ設定部Cは、前記筒軸46の周囲に筒軸46の軸芯方向に並べて設けた第1クラッチC1と第2クラッチC2とを備えている。
前記第1クラッチC1は、円筒形の前記入力側部材61と、この入力側部材61の外周側に位置した円筒形の出力側部材62と、この出力側部材62と前記入力側部材61とにわたって設けた多板式の摩擦クラッチ本体63と、前記出力側部材62の内側に摺動操作自在に設けた油圧ピストン64とを備えている。前記入力側部材61は、前記筒軸46にベアリングを介して相対回転自在に支持されている。この入力側部材61は、前記連動部材56に一体回転自在に連結している。前記出力側部材62は、これの内部に連設された取り付け部材65を介して前記筒軸46に相対回転自在に外嵌している。
油圧ピストン64は、前記伝動軸14の内部に設けた操作油路64aによる操作油圧の供給と排出によって摺動操作される。摩擦クラッチ本体63が油圧ピストン64によって加圧操作されると、第1クラッチC1は、前記リングギヤ55によって連動部材56を介して駆動される入力側部材61の駆動力を摩擦クラッチ本体63を介して出力側部材62に伝達するよう入り状態になる。油圧ピストン64による摩擦クラッチ本体63の加圧操作が解除されると、第1クラッチC1は、入力側部材61から出力側部材62への伝動を遮断するよう切り状態になる。
前記第2クラッチC2は、円筒形の入力側部材66と、この入力側部材66の外周側に位置した円筒形の出力側部材67と、この出力側部材67と前記入力側部材66とにわたって設けた多板式の摩擦クラッチ本体68と、出力側部材67の内側に摺動操作自在に設けた油圧ピストン69とを備えている。前記入力側部材66は、前記筒軸46にスプライン係合によって一体回転自在に連結している。
油圧ピストン69は、前記伝動軸14の内部に設けた操作油路69aによる操作油圧の供給と排出によって摺動操作される。摩擦クラッチ本体68が油圧ピストン69によって加圧操作されると、第2クラッチC2は、前記サンギヤ41,51によって筒軸46を介して駆動される入力側部材66の駆動力を摩擦クラッチ本体68を介して出力側部材67に伝達するよう入り状態になる。油圧ピストン69による摩擦クラッチ本体68の加圧操作が解除されると、第2クラッチC2は、入力側部材66から出力側部材67への伝動を遮断するよう切り状態になる。
第1クラッチC1の出力側部材62と、第2クラッチC2の出力側部材67とは、一体形成されている。第2クラッチC2の出力側部材67は、円形の連動部材70を介して前記正逆回転切換え部Bの入力筒軸71に一体回転自在に連結されている。これにより、第1クラッチC1の出力側部材62と、第2クラッチC2の出力側部材67とは、前記取り付け部材65と、この取り付け部材65が相対回転自在に外嵌している前記筒軸46とを介して支軸としての前記伝動軸14に相対回転自在に支持されている。第1クラッチC1の出力側部材62と、第2クラッチC2の出力側部材67とは、連動部材70を介して前記伝動筒軸71に一体回転自在に連動している。正逆回転切り換え部Bの前記入力筒軸71は、前記伝動軸14に相対回転自在に外嵌している。前記連動部材70と前記出力側部材67とは、連動部材70と出力側部材67との一方に設けた凹部と他方に設けた突部とを備えた係合型式の連結手段Eによって一体回転及び係脱自在に連結している。すなわち、前記連動部材70を組み付けた状態にある正逆回転切り換え部Bの入力筒軸71が伝動軸14にこれの後方側から外嵌され、正逆回転切り換え部Bが伝動軸14に組み付けられるに伴って連動部材70が第2クラッチC2の出力側部材67に一体回転自在に連結する。
図4は、前記副変速部Kの断面状態を示している。この図と図1とに示すように、前記副変速部Kは、前記出力軸80を備える他、前記正逆回転切り換え部Bの出力軸72の後端部と前記出力軸80の前端部とにわたって設けた低速伝動ギヤ機構81と、前記出力軸72の後端部と前記出力軸80の前端部とにわたって設けた高速クラッチCHと、前記出力軸80の前端部と前記低速伝動ギヤ機構81が備えている伝動ギヤ82とにわたって設けた低速クラッチCLとを備えてある。
前記高速クラッチCHは、前記低速伝動ギヤ機構81が備えている伝動ギヤ83の側部に一体回転自在に設けた高速ギヤ84と、前記出力軸80の端部にギヤ支持体85を介して一体回転及び摺動操作自在に設けたシフトギヤ86とを備えて構成してある。前記伝動ギヤ83は、前記出力軸72に一体形成されている。これにより、伝動ギヤ83は、出力軸72と一体回転する。
前記低速クラッチCLは、前記伝動ギヤ82の側部に一体回転自在に設けた低速ギヤ87と、前記シフトギヤ86とを備えて構成してある。前記伝動ギヤ82は、前記出力軸80に相対回転自在に支持されている。これにより、低速ギヤ87は、出力軸80と相対回転する。
前記シフトギヤ86は、ギヤ支持体85に沿わせて摺動操作され、ギヤ支持体85と前記高速ギヤ84とにわたって噛み合った高速位置と、ギヤ支持体85と前記低速ギヤ87とにわたって噛み合った低速位置とに切り換え操作される。シフトギヤ86が高速位置に切り換えられると、高速クラッチCHは、高速ギヤ84の駆動力をシフトギヤ86とギヤ支持体85とを介して出力軸80に伝達するよう入り状態になる。すると、副変速部Kは、正逆回転切り換え部Bの出力軸72の駆動力を高速クラッチCHを介して出力軸80の前端側に伝達し、この出力軸80の後端側から後輪差動機構3と前輪変速装置Dとに伝達するよう高速状態になる。シフトギヤ86が高速ギヤ84から離脱操作されると、高速クラッチCHは、高速ギヤ84から出力軸80への伝動を遮断するよう切り状態になる。
シフトギヤ86が前記低速位置に切り換え操作されると、低速クラッチCLは、低速ギヤ87の駆動力をシフトギヤ86とギヤ支持体85とを介して出力軸80に伝達するよう入り状態になる。すると、副変速部Kは、正逆回転切り換え部Bの出力軸72の駆動力を低速伝動ギヤ機構81と低速クラッチCLとを介して出力軸80の前端側に伝達してこの出力軸80の後端側から後輪差動機構3と前輪変速装置Dとに出力するよう低速状態になる。シフトギヤ86が低速ギヤ87から離脱操作されると、低速クラッチCLは、低速ギヤ87から出力軸80への伝動を遮断するよう切り状態になる。
図5は、前記各クラッチC1,C2,CL,CHの操作状態と、速度レンジ設定部Cによって設定される速度レンジと、副変速部Kによって設定される速度モードとの関係を示す説明図である。図5に示す「入り」は、各クラッチC1,C2,CL,CHの入り状態を示し、「−」は、各クラッチC1,C2,CL,CHの切り状態を示す。図6は、無段変速部20の変速状態と、速度レンジ設定部Cによって設定された速度レンジと、副変速部Kによって設定された速度モードと、出力軸80の駆動速度(以下、出力速度と称する。)との関係を示す説明図である。図6の横軸は、無段変速部20の変速状態を示し、縦軸は、出力速度を示す。図6の「−MAX」は、無段変速部20の逆回転伝動状態での最高速度の変速状態を示す。「0」は、無段変速部20の中立状態を示す。「+MAX」は、無段変速部20の正回転伝動状態での最高速度の変速状態を示す。
これらの図に示すように、速度レンジ設定部Cは、各クラッチC1,C2が適切に切り換え操作されることにより、遊星伝動部Pからの合成駆動力を一速レンジと二速レンジとの二段階の速度レンジに段階分けして正逆回転切り換え部Bと副変速部Kとを介して出力軸80に伝達するよう速度レンジ設定を行う。
図4と図5に示すように、副変速部Kは、低速クラッチCLが入り状態に、高速クラッチCHが切り状態にそれぞれ切り換え操作されると、正逆回転切り換え部Bの出力軸72から出力された駆動力を低速伝動機構81と低速クラッチCLとを介して出力軸80の前端側に伝達し、この出力軸80の後端側から後輪差動機構3と前輪差動機構7とに伝達するよう低速モードになる。副変速部Kは、低速クラッチCLが切り状態に、高速クラッチCHが入り状態にそれぞれ切り換え操作されると、正逆回転切り換え部Bの出力軸72から出力された駆動力を高速クラッチCHを介して出力軸80の前端側に伝達し、この出力軸80の後端側から後輪差動機構3と前輪差動機構7とに伝達するよう高速モードになる
すなわち、第1クラッチC1と低速クラッチCLとが入り状態に操作され、第2クラッチC2と高速クラッチCHとが切り状態に操作された場合、速度レンジ設定部Cと副変速部Kとは、無段変速部20が「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作されるに伴って出力速度が「0」から無段階に増速し、無段変速部20が「+MAX」になると、出力速度が「Vlm」になるよう低速モードの一速レンジを設定する。
第2クラッチC2と低速クラッチCLとが入り状態に操作され、第1クラッチC1と高速クラッチCHとが切り状態に操作された場合、速度レンジ設定部Cと副変速部Kとは、無段変速部20が「+MAX」から「−MAX」に向けて変速操作されるに伴って出力速度が「Vlm」から無段階に増速し、無段変速部20が「−MAX」になると、出力速度が「Vlh」になるよう低速モードの二速レンジを設定する。
第1クラッチC1と高速クラッチCHとが入り状態に操作され、第2クラッチC2と低速クラッチCLとが切り状態に操作された場合、速度レンジ設定部Cと副変速部Kとは、無段変速部20が「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作されるに伴って出力速度が「0」から無段階に増速し、無段変速部20が「+MAX」になると、出力速度が「Vhm」になるよう高速モードの一速レンジを設定する。
第2クラッチC2と高速クラッチCHとが入り状態に操作され、第1クラッチC1と低速クラッチCLとが切り状態に操作された場合、速度レンジ設定部Cと副変速部Kとは、無段変速部20が「+MAX」から「−MAX」に向けて変速操作されるに伴って出力速度が「Vhm」から無段階に増速し、無段変速部20が「−MAX」になると、出力速度が「Vhh」になるよう高速モードの二速レンジを設定する。
図4は、前記正逆回転切り換え部Bの断面を示している。この図と図1とに示すように、正逆回転切り換え部Bは、前記入力筒軸71と前記出力軸72とを備える他、前記入力筒軸71に車体前後方向に並べて設けた前進クラッチCFと後進クラッチCRと、前記前進クラッチCFの出力側部材73と前記出力軸72とにわたって設けた前進伝動ギヤ機構74と、前記後進クラッチCRの出力側部材75と前記出力軸72とにわたって設けた後進伝動ギヤ機構76とを備えている。前記前進伝動ギヤ機構74は、前記出力側部材73に一体回転自在に設けたギヤ74aと、このギヤ74aに噛み合ったギヤ74bとを備えている。ギヤ74bは、前記出力軸72に一体回転自在に連結している。前記後進伝動ギヤ機構76は、前記出力側部材75に一体回転自在に設けたギヤ76aと、このギヤ76aに噛み合った逆転用の中継ギヤ76bと、この中継ギヤ76bに噛み合ったギヤ76cとを備えている。ギヤ76cは、前記出力軸72に一体回転自在に連結している。
前進クラッチCFと後進クラッチCRとは、入力側部材77と出力側部材73,75とにわたって設けた多板式の摩擦クラッチ本体73a,75aと、入力側部材77の内側に摺動自在に設けた油圧ピストン78,79とを備えている。
すなわち、前進クラッチCFと後進クラッチCRとは、前記油圧ピストン78,79が前記伝動軸14の内部に設けた操作油路78a,79aによる操作油圧の供給と排出によって摺動操作され、この油圧ピストン78,79が前記摩擦クラッチ本体73a,75aを加圧操作すると、前記入力筒軸71によって駆動される入力側部材77の駆動力を摩擦クラッチ本体73a,75aを介して出力側部材73,75に伝達するよう入り状態になる。前進クラッチCFと後進クラッチCRとは、摩擦クラッチ本体73a,75aの油圧ピストン78,79による加圧操作が解除されると、入力側部材77から出力側部材73,75への伝動を遮断するよう切り状態になる。
前進クラッチCFと後進クラッチCRとの入力側部材77は、一体部材になっている。この入力側部材77は、これの内側に連設された取り付け部材77aと、この取り付け部材77aと前記入力筒軸71とにわたって装着した複数本の連結ピン90とを介して入力筒軸71に一体回動自在に連結している。前記各連結ピン90は、これの両端側に開口した貫通孔を有した中空ピンになっており、前進クラッチCF、後進クラッチCRの内部を伝動軸14の内部に設けた排油路91に連通させるドレン油路を貫通孔によって形成している。
すなわち、正逆回転切り換え部Bは、前進クラッチCFが入り状態に、後進クラッチCRが切り状態にそれぞれ操作されると、入力筒軸71の駆動力を前進クラッチCFと前進伝動ギヤ機構74とを介して出力軸72に伝達し、この出力軸72から前記副変速部Kに出力するよう正回転伝動状態になる。正逆回転切り換え部Bは、前進クラッチCFが切り状態に、後進クラッチCRが入り状態にそれぞれ操作されると、入力筒軸71の駆動力を後進クラッチCRと後進伝動ギヤ機構76とを介して出力軸72に伝達し、この出力軸72から前記副変速部Kに出力するよう逆回転伝動状態になる。
前輪変速装置Dは、等速クラッチ95と増速クラッチ96との切り換え操作によって等速伝動状態と増速伝動状態とに切り換えられる。前輪変速装置Dは、等速伝動状態に切り換えられると、左右一対の前車輪の平均周速度が左右一対の後車輪の平均周速度と等しくなる状態で前車輪が駆動されるよう前輪差動機構7に伝動する。前輪増速装置Dは、増速伝動状態に切り換えられると、左右一対の前車輪の平均周速度が左右一対の後車輪の平均周速度の約2倍の速さとなる状態で前車輪が駆動されるよう前輪差動機構7に伝動する。
図7は、走行伝動装置が備える変速操作部のブロック図である。この図に示すように、変速操作部は、変速レバー100と、この変速レバー100に装着された変速指令検出手段101と、変速モード選択手段102と、前後進レバー103と、この前後進レバー103に装着された前後進検出手段104と、前記変速指令検出手段101と変速モード選択手段102と前後進検出手段104とに連係された制御手段105とを備えている。変速レバー100と変速モード選択手段102と前後進レバー103とは、トラクタの運転部に設けてある。制御手段105は、前記無段変速部20の変速操作部を操作する変速アクチュエータ(図示せず)を介して前記無段変速部20に連係されている。制御手段105は、前記第1クラッチC1と前記第2クラッチC2と前記前進クラッチCFと前記後進クラッチCRとを各別に操作するクラッチバルブ(図示せず)を介して前記第1クラッチC1と前記第2クラッチC2と前記前進クラッチCFと前記後進クラッチCRとに連係されている。制御手段105は、前記低速クラッチCLと前記高速クラッチCHとの前記シフトギヤ86をシフト操作するアクチュエータ(図示せず)を介して前記低速クラッチCLと前記高速クラッチCHとに連係されている。制御手段105には、変速検出手段106とエンジン回転センサ107と無段変速部回転センサ108と車速センサ109とが連係されている。
変速レバー100は、中立位置Nから最高速位置maxに至る操作域Sにおいて揺動操作する。前記操作域Sのうち、中立位置Nから中間位置mに至る部分が低速側操作域Lとなり、前記中間位置mから最高速位置maxに至る部分が高速側操作域Hとなっている。
変速モード選択手段102は、低速位置と高速位置とに切り換え自在な切り換えスイッチによって構成してある。この変速モード選択手段102は、低速位置に切り換え操作されると、低速モード指令を制御手段105に出力し、高速位置に切り換え操作されると、高速モード指令を制御手段105に出力する。
変速指令検出手段101は、変速レバー100に連動された回転ポテンショメータによって構成してある。この変速指令手段101は、変速レバー100の操作位置を変速指令として検出し、この検出結果を制御手段105に出力する。
変速検出手段106は、無段変速部20の変速操作部に連動された回転ポテンショメータによって構成してある。この変速検出手段106は、無段変速部20の変速状態を検出し、この検出結果を制御手段105にフィードバックする。無段変速部回転センサ108は、無段変速部20のモータ軸24による出力回転数を検出し、この検出結果を制御手段105に出力する。車速センサ109は、前記出力軸80の回転数を車速として検出し、この検出結果を制御手段105に出力する。
前後進レバー103は、前進位置Fと中立位置Nと後進位置Rとに切り換え操作する。前後進検出手段104は、前後進レバー103に連動された回転ポテンショメータによって構成してある。この前後進検出手段104は、前後進レバー103の操作位置を検出し、この検出結果を制御手段105に出力する。
制御手段105は、マイクロコンピュータを利用して構成してある。この制御手段105は、変速モード選択手段102が低速位置に操作されると、変速モード選択手段102からの低速モード指令を基に低速モードになる。制御手段105は、低速モードになった場合、変速レバー100が低速側操作域Lにあれば、変速指令検出手段101による検出情報を基に、第1クラッチC1と低速クラッチCLとを入り状態に、第2クラッチC2と高速クラッチCHとを切り状態にそれぞれ操作し、かつ、変速レバー100が中立位置Nから中間位置mに向けて操作されるに伴い、変速指令検出手段101と変速検出手段106とによる検出情報を基に、無段変速部20を「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作する。このとき、制御手段105は、変速指令検出手段101と変速検出手段106とによる検出情報を基に、無段変速部20をこれの逆回転伝動状態における変速域SR(図6参照、以下、逆回転変速域SRと称する。)の全体と、正回転伝動状態における変速域SF(図6参照、以下、正回転変速域SFと称する。)の全体とにわたって変速操作し、変速レバー100が中間位置mになると、無段変速部20を「+MAX」に操作する。
制御手段105は、低速モードになった場合、変速レバー100が高速側操作域Hにあれば、変速指令検出手段101による検出情報を基に、第2クラッチC2と低速クラッチCLとを入り状態に、第1クラッチC1と高速クラッチCHとを切り状態にそれぞれ操作し、かつ、変速レバー100が中間位置mから最高速位置maxに向けて操作されるに伴い、変速指令検出手段101と変速検出手段106とによる検出情報を基に、無段変速部20を「+MAX」から「−MAX」に向けて変速操作する。このとき、制御手段105は、変速指令検出手段101と変速検出手段106とによる検出情報を基に、無段変速部20をこれの正回転変速域SFの全体と、逆回転変速域SRの全体とにわたって変速操作し、変速レバー100が最高速位置maxになると、無段変速部20を「−MAX」に操作する。
制御手段105は、変速モード選択手段102が高速位置に操作されると、変速モード選択手段102からの高速モード指令を基に高速モードになる。制御手段105は、高速モードになった場合、変速レバー100が低速側操作域Lにあれば、変速指令検出手段101による検出情報を基に、第1クラッチC1と高速クラッチCHとを入り状態に、第2クラッチC2と低速クラッチCLとを切り状態にそれぞれ操作し、かつ、変速レバー100が中立位置Nから中間位置mに向けて操作されるに伴い、変速指令検出手段101と変速検出手段106とによる検出情報を基に、無段変速部20を「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作する。このとき、制御手段105は、変速指令検出手段101と変速検出手段106とによる検出情報を基に、無段変速部20をこれの逆回転変速域SRの全体と、正回転変速域SFの全体とにわたって変速操作し、変速レバー100が中間位置mになると、無段変速部20を「+MAX」に操作する。
制御手段105は、高速モードになった場合、変速レバー100が高速側操作域Hにあれば、変速指令検出手段101による検出情報を基に、第2クラッチC2と高速クラッチCHとを入り状態に、第1クラッチC1と低速クラッチCLとを切り状態にそれぞれ操作し、かつ、変速レバー100が中間位置mから最高速位置maxに向けて操作されるに伴い、変速指令検出手段101と変速検出手段106とによる検出情報を基に、無段変速部20を「+MAX」から「−MAX」に向けて変速操作する。このとき、制御手段105は、変速指令検出手段101と変速検出手段106とによる検出情報を基に、無段変速部20をこれの正回転変速域SFの全体と、逆回転変速域SRの全体とにわたって変速操作し、変速レバー100が最高速位置maxになると、無段変速部20を「−MAX」に操作する。
制御手段105は、無段変速部回転センサ108と車速センサ109とエンジン回転センサ107との検出情報を基に、一速レンジと二速レンジとが切り換わる点T1,T2(図6参照)を検出する。
つまり、トラクタを走行させるに当たり、変速モード選択手段102を操作して変速モードを選択し、この状態で変速レバー100を操作すれば、トラクタは、選択した変速モードと変速レバー100の操作位置とに対応した車速で走行する。
すなわち、変速モード選択手段102を低速位置に操作し、変速レバー100を中立位置Nから中間位置mに向けて操作する。すると、変速モード選択手段102によるモード設定情報と、変速指令検出手段101による検出情報とを基に制御手段105が第1クラッチC1と低速クラッチCLとを入り状態に操作する。これにより、速度レンジ設定部Cと副変速部Kとが遊星伝動部Pからの合成駆動力を低速モードの一速レンジに段階分けして出力軸80から出力する。さらに、変速指令検出手段101による検出情報を基に制御手段105が無段変速部20を「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作する。これにより、車速としての出力速度が「0」から「Vlm」に向けて無段階に増速する。変速レバー100が中間位置mになると、制御手段105が無段変速部20を「+MAX」に変速操作し、出力速度が「Vlm」になる。
このように変速モード選択手段102を低速位置に操作した状態で、変速レバー100を中間位置mから最高速位置maxに向けて操作する。すると、変速モード選択手段102によるモード設定情報と、変速指令検出手段101による検出情報とを基に制御手段105が第2クラッチC2と低速クラッチCLとを入り状態に操作する。これにより、速度レンジ設定部Cと副変速部Kとが遊星伝動部Pからの合成駆動力を低速モードの二速レンジに段階分けして出力軸80から出力する。さらに、変速指令検出手段101による検出情報を基に制御手段105が無段変速部20を「+MAX」から「−MAX」に向けて変速操作し、車速としての出力速度が「Vlm」から「Vlh」に向けて無段階に増速する。変速レバー100が最高速位置maxになると、制御手段105が無段変速部20を「−MAX」に変速操作し、出力速度が「Vlh」になる。
変速モード選択手段102を高速位置に操作した状態で、変速レバー100を中立位置Nから中間位置mに向けて操作する。すると、変速モード選択手段102によるモード設定情報と、変速指令検出手段101による検出情報とを基に制御手段105が第1クラッチC1と高速クラッチCHとを入り状態に操作する。これにより、速度レンジ設定部Cと副変速部Kとが遊星伝動部Pからの合成駆動力を高速モードの一速レンジに段階分けして出力軸80から出力する。さらに、変速指令検出手段101による検出情報を基に制御手段105が無段変速部20を「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作する。これにより、車速としての出力速度が「0」から「Vhm」に向けて無段階に増速する。変速レバー100が中間位置mになると、制御手段105が無段変速部20を「+MAX」に変速操作し、出力速度が「Vhm」になる。
このように変速モード選択手段102を高速位置に操作した状態で、変速レバー100を中間位置mから最高速位置maxに向けて操作する。すると、変速モード選択手段102によるモード設定情報と、変速指令検出手段101による検出情報とを基に制御手段105が第2クラッチC2と高速クラッチCHとを入り状態に操作する。これにより、速度レンジ設定部Cと副変速部Kとが遊星伝動部Pからの合成駆動力を高速モードの二速レンジに段階分けして出力軸80から出力する。さらに、変速指令検出手段101による検出情報を基に制御手段105が無段変速部20を「+MAX」から「−MAX」に向けて変速操作し、車速としての出力速度が「Vhm」から「Vhh」に向けて無段階に増速する。変速レバー100が最高速位置maxになると、制御手段105が無段変速部20を「−MAX」に変速操作し、出力速度が「Vhh」になる。
このようにトラクタを走行させる際、前後進レバー103を前進側に操作しておくと、前後進検出手段104による検出情報を基に、制御手段105が前進クラッチCFを入り状態に操作する。これにより、正逆回転切換え部Bが正回転伝動状態になり、トラクタが前進走行する。
前後進レバー103を後進側に操作しておくと、前後進検出手段104による検出情報を基に、制御手段105が後進クラッチCRを入り状態に操作する。これにより、正逆回転切り換え部Bが逆回転伝動状態になり、トラクタが後進走行する。
尚、前後進レバー103を中立位置Nに操作すると、前後進検出手段104による検出情報を基に、制御手段105が前進クラッチCFと後進クラッチCRとを切り状態に操作する。これにより、正逆回転切り換え部Bが中立状態になって出力せず、トラクタが停止する。
図8は、本第二実施例に係る変速伝動装置Aが装備されたトラクタの走行伝動装置の線図である。本第二実施例に係る変速伝動装置Aと本第一実施例に係る変速伝動装置Aとを比較すると、遊星伝動部Pと速度レンジ設定部Cと正逆回転切り換え部Bと副変速部Kとの点において同一の構成を備え、無段変速自在な駆動力を入力する構成において本第二実施例に係る変速伝動装置Aと本第一実施例に係る変速伝動装置Aとが相違している。この相違点について次に説明する。
本第二実施例に係る変速伝動装置Aは、電動モータ110を備えている。遊星伝動部Pは、前記電動モータ110の出力を伝動ギヤ機構112を介して第1遊星伝動機構P1のサンギヤ31に入力する。遊星伝動部Pは、エンジン1の出力軸1aからの出力を主クラッチ2を介して第1遊星伝動機構P1のリングギヤ35と第2遊星伝動機構P2のキャリヤ44とに入力する。遊星伝動部Pは、エンジン1の駆動力と電動モータ110の駆動力とを入力して合成し、この合成駆動力を速度レンジ設定部Cに伝達する。電動モータ110のドライバ111によって電動モータ100の回転速度を無段階に変速操作し、この変速操作に合わせて速度レンジ設定部Cと副変速部Kとを切り換え操作することにより、本第一実施例に係る変速伝動装置Aと同様に、出力軸80の出力速度が一速レンジで無段階に変速されたり、二速レンジで無段階に変速されたりする。
図9は、本第三実施例に係る変速伝動装置Aが装備されたトラクタの走行伝動装置の線図である。本第三実施例に係る変速伝動装置Aと本第一実施例に係る変速伝動装置Aとを比較すると、無段変速部20と遊星伝動部Pと副変速部Kとの点において同一の構成を備え、速度レンジ設定部Cと正逆回転切り換え部Bとの構成において本第三実施例に係る変速伝動装置Aと本第一実施例に係る変速伝動装置Aとが相違している。この相違点について次に説明する。
図10は、本第三実施例に係る変速伝動装置Aが備える速度レンジ設定部Cの断面状態を示す。この図に示すように、本第三実施例に係る変速伝動装置Aの速度レンジ設定部Cにおける第1クラッチC11は、前記リングギヤ55に連動部材56を介して連動された円筒形の入力側部材61と、正逆回転切り換え部Bの入力筒軸71にスプライン係合によって一体回転自在に連動された出力側部材120と、この出力側部材120と前記入力側部材61とにわたって外嵌された円筒形のシフト部材121とを備えて構成してある。
本第三実施例に係る変速伝動装置Aの速度レンジ設定部Cにおける第2クラッチC12は、前記筒軸46にスプライン係合によって一体回転自在に連動された入力側部材66と、前記出力側部材120と、前記シフト部材121とを備えて構成してある。第2クラッチC12のシフト部材121と、第1クラッチC11のシフト部材121とは、共用のシフト部材になっている。
前記シフト部材121は、これの内周側にシフト部材摺動方向に並べて設けた内歯形の入力ギヤ122と、内歯形の出力ギヤ123とを備えている。このシフト部材121は、シフト部材121の外周面側に係合しているシフトフォーク124が油圧シリンダ125によって移動操作されることにより、前記入力側部材61,66と前記出力側部材120との外周面側に沿って摺動操作される。前記入力ギヤ122は、シフト部材121が摺動操作されることにより、前記入力側部材61の外周面側に設けられた外歯ギヤ61aと、前記入力側部材66の外周面側に設けられた外歯ギヤ66aとに係脱する。このようにシフト部材121が摺動操作されると、前記出力ギヤ123は、前記出力側部材120の外周面側に設けられた外歯ギヤ120aに噛み合った状態を維持しながらこの外歯ギヤ120aに対して摺動する。
第1クラッチC11と第2クラッチC12とは、シフト部材121が入力側部材61,66と出力側部材120とに噛み合った状態になることによって入り状態になり、シフト部材121の入力側部材61,66との噛み合いが外れることによって切り状態になるよう噛み合いクラッチになっている。
図11(イ)は、速度レンジ設定部Cの一速レンジ設定状態での断面状態を示している。この図に示すように、シフト部材121が摺動操作されて入力側部材61と出力側部材120とにわたって噛み合い、シフト部材121の入力側部材66との噛み合いが外れた状態になると、第1クラッチC11が入り状態になり、第2クラッチC12が切り状態になる。すると、速度レンジ設定部Cは、一速レンジ設定状態になる。
図11(ハ)は、速度レンジ設定部Cの二速レンジ設定状態での断面状態を示している。この図に示すように、シフト部材121が摺動操作されて入力側部材66と出力側部材120とにわたって噛み合い、シフト部材121の入力側部材61との噛み合いが外れた状態になると、第1クラッチC11が切り状態になり、第2クラッチC12が入り状態になる。すると、速度レンジ設定部Cは、二速レンジ設定状態になる。
図11(ロ)は、速度レンジ設定部Cの一速レンジ設定状態と二速レンジ設定状態との一方から他方に切り換わる途中での断面状態を示している。この図に示すように、シフト部材121は、第1クラッチC11を噛み合い状態に、第2クラッチC12を噛み合い解除状態にそれぞれ操作する操作位置と、第1クラッチC11を噛み合い解除状態に、第2クラッチC12を噛み合い状態にそれぞれ操作する操作位置との間に配置した操作位置に操作されると、第1クラッチC11と第2クラッチC12とを共に噛み合い状態に操作する。
すなわち、速度レンジ設定部Cは、入力側部材61と入力側部材66との回転速度が同じになった状態にして一速レンジ設定状態と二速レンジ設定状態とに切り換えることができる。このため、シフト部材121は、第1クラッチC11と第2クラッチC12とが共に噛み合い解除状態になって伝動切れが発生することの回避を図りながら速度レンジ設定部Cを一速レンジ設定状態と二速レンジ設定状態との一方から他方に切り換える。
図10は、本第三実施例に係る変速伝動装置Aが備える正逆回転切り換え部Bの断面状態を示す。この図に示すように、本第三実施例に係る変速伝動装置Aの正逆回転切り換え部Bにおける前進クラッチCFは、前記筒軸71に連結ピン90によって一体回転自在に連動された入力側部材77と、前記筒軸71に相対回転自在に支持された出力側部材73と、シフト部材130とを備えて構成してある。
本第三実施例に係る変速伝動装置Aの正逆回転切り換え部Bにおける後進クラッチCRは、前記入力側部材77と、筒軸71に相対回転自在に支持された出力側部材75と、前記シフト部材130とを備えて構成してある。後進クラッチCRのシフト部材130と、前進クラッチCFのシフト部材130とは、共用のシフト部材になっている。
前記シフト部材130は、これの内周側に設けた内歯ギヤ130aを備えている。このシフト部材130は、シフト部材130の外周面側に係合しているシフトフォーク131が油圧シリンダ132によって移動操作されることにより、前記入力側部材77と前記出力側部材73,75との外周面側に沿って摺動操作される。前記内歯ギヤ130aは、シフト部材130が摺動操作されることにより、前記入力側部材77の外周面側に設けた外歯ギヤ77bと、前記各出力側部材73,75の外周面側に設けた外歯ギヤ73b,75bとに係脱する。
前進クラッチCFと後進クラッチCRとは、シフト部材130が入力側部材77と出力側部材73,75とに噛み合った状態になることによって入り状態になり、シフト部材130の出力側部材73,75との噛み合いが外れることによって切り状態になるよう噛み合いクラッチになっている。
図11(イ)は、正逆回転切り換え部Bの正回転伝動状態での断面状態を示している。この図に示すように、シフト部材130が摺動操作されて入力側部材77と出力側部材73とにわたって噛み合い、シフト部材130の出力側部材75との噛み合いが外れた状態になると、前進クラッチCFが入り状態になり、後進クラッチCRが切り状態になる。すると、正回転切り換え部Bは、正回転伝動状態になる。
図11(ハ)は、正逆回転切り換え部Bの逆回転伝動状態での断面状態を示している。この図に示すように、シフト部材130が摺動操作されて入力側部材77と出力側部材75とにわたって噛み合い、シフト部材130の出力側部材73との噛み合いが外れた状態になると、前進クラッチCFが切り状態になり、後進クラッチCRが入り状態になる。すると、正回転切り換え部Bは、逆回転伝動状態になる。
図11(ロ)は、正逆回転切り換え部Bの正回転伝動状態と逆回転伝動状態との一方から他方に切り換わる途中での断面状態を示している。この図に示すように、シフト部材130は、前進クラッチCFを噛み合い状態、後進クラッチCRが噛み合い解除状態にそれぞれ操作する操作位置と、前進クラッチCFを噛み合い解除状態に、後進クラッチCRを噛み合い状態にそれぞれ操作する操作位置との間に配置した操作位置に操作されると、前進クラッチCFと後進クラッチCRとを共に噛み合い状態に操作する。
すなわち、正逆回転切り換え部Bは、無段変速部20の変速制御によって正逆回転切り換え部Bの回転速度がゼロになった状態で正回転伝動状態と逆回転伝動状態とに切り換え操作する。このため、シフト部材130は、前進クラッチCFと後進クラッチCRとが共に噛み合い状態になる操作位置を経て、正逆回転切り換え部Bを正回転伝動状態と逆回転伝動状態との一方から他方に切り換える。これにより、シフト部材130に両出力部材73,75から離脱した操作位置を備えさせない分、シフト部材130の操作ストロークを少なく済ませることができる。これにより、正逆回転切り換え部Bを正回転伝動状態と逆回転伝動状態との一方から他方に切り換えるためのシフト部材130のシフト操作を迅速に行うことができる。
図12は、本第四実施例に係る変速伝動装置Aが装備されたトラクタの走行伝動装置の線図である。本第四実施例に係る変速伝動装置Aと本第一実施例に係る変速伝動装置Aとを比較すると、無段変速部20と遊星伝動部Pと正逆回転切り換え部Bと副変速部Kとの点において同一の構成を備え、速度レンジ設定部Cの構成において本第四実施例に係る変速伝動装置Aと本第一実施例に係る変速伝動装置Aとが相違している。この相違点について次に説明する。
本第四実施例に係る変速伝動装置Aの速度レンジ設定部Cは、本三実施例に係る変速電動装置Aの速度レンジ設定部Cが備える第1クラッチC11、第2クラッチC12と同じ構成を有した第1クラッチC11、第2クラッチC12とを備えて構成してある。
〔別実施例〕
第一実施形態の変速伝動装置を備えたトラクタの走行伝動装置の線図 ミッションケースの断面図 遊星伝動部と速度レンジ設定部との断面図 正逆回転切り換え部と副変速部との断面図 クラッチの操作状態と、速度レンジと、速度モードとの関係を示す説明図 無段変速部の変速状態と、速度レンジと、速度モードと、出力速度との関係を示す説明図 変速操作部のブロック図 第二実施形態の変速伝動装置を備えたトラクタの走行伝動装置の線図 第三実施形態の変速伝動装置を備えたトラクタの走行伝動装置の線図 第三実施形態の変速伝動装置の速度レンジ設定部と正逆回転切り換え部との断面図 (イ)は、速度レンジ設定部の一速レンジ設定状態と、正逆回転切り換え部の正回転伝動状態とでの断面図、(ロ)は、速度レンジ設定部と正逆回転切り換え部との切り換わり途中での断面図、(ハ)は、速度レンジ設定部の二速レンジ設定状態と、正逆回転切り換え部の逆回転伝動状態とでの断面図、 第四実施形態の変速伝動装置を備えたトラクタの走行伝動装置の線図 先に開発した変速伝動装置を備えたトラクタの走行伝動装置の線図 先に開発した変速伝動装置の変速操作部のブロック図 先に開発した変速伝動装置の無段変速部の変速状態と、速度レンジと、速度モードと、出力速度との関係を示す説明図 先に開発した変速伝動装置のクラッチの操作状態と、速度レンジと、速度モードとの関係を示す説明図
符号の説明
9a ミッションケース分割線
9b 伝動上手側ミッションケース部
9c 伝動下手側ミッションケース部
14 支軸
20 無段変速部
80 出力回転体
110 電動モータ
121 シフト部材
62,67 速度レンジ設定部の油圧クラッチの回転部材
66,77,120 クラッチの回転部材
77 正逆回転切り換え部の油圧クラッチの回転部材
B 正逆回転切り換え部
C 速度レンジ設定部
C1,C2 速度レンジ設定部の油圧クラッチ
C11,C12 速度レンジ設定部の噛み合いクラッチ
CF,CR 正逆回転切り換え部の油圧クラッチ
K 副変速部
P 遊星伝動部
P1,P2,P3 遊星伝動機構

Claims (3)

  1. エンジン駆動力が入力される無段変速部又は電動モータを備え、前記無段変速部の出力と前記無段変速部による変速作用を受けないエンジン駆動力とを、又は前記電動モータの出力とエンジン駆動力とを複数の遊星伝動機構によって合成する遊星伝動部を備え、前記遊星伝動部の合成駆動力を複数の速度レンジに段階分けして出力する速度レンジ設定部を備えた変速伝動装置であって、
    前記速度レンジ設定部の出力を正逆回転切り換え部と副変速部とを介して出力回転体に伝達するよう構成し、
    前記副変速部を前記正逆回転切り換え部よりも伝動方向での下手側に配置し、
    前記遊星伝動部と前記速度レンジ設定部と前記正逆回転切り換え部とを収容する伝動上手側ミッションケース部と、前記副変速部を収容する伝動下手側ミッションケース部との間にミッションケース分割線を設けて、前記ミッションケース分割線の位置を合わせ面として前記伝動上手側ミッションケース部と前記伝動下手側ミッションケース部とを連結し、
    前記伝動上手側ミッションケース部側からの駆動力を出力する出力軸の後端部と、前記伝動下手側ミッションケース部側へ駆動力を入力する前記出力回転体の前端部とにわたって前記副変速部を設けてあり、
    前記速度レンジ設定部に速度レンジ設定用のクラッチを備え、前記正逆回転切換え部に伝動回転方向設定用のクラッチを備え、
    複数の前記遊星伝動機構における複数のサンギヤの夫々を支軸と同芯状に位置させ、且つ、その支軸に対して、前記速度レンジ設定用のクラッチにおける回転部材と前記伝動回転方向設定用のクラッチにおける回転部材とを外嵌し、その支軸の軸芯方向において、伝動方向の上手側から、前記遊星伝動部、前記速度レンジ設定部、前記正逆回転切り換え部の順に並ぶ状態で配置してある変速伝動装置。
  2. 前記速度レンジ設定部に速度レンジ設定用の油圧クラッチを備え、前記正逆回転切換え部に伝動回転方向設定用の油圧クラッチを備えている請求項1記載の変速伝動装置。
  3. 前記速度レンジ設定部に、速度レンジ設定用の一対の噛み合いクラッチと、前記一対の噛み合いクラッチに共用のシフト部材とを備え、
    前記シフト部材に、前記一対の噛み合いクラッチが共に噛み合った状態となる操作位置を、前記一対の噛み合いクラッチの一方のみが噛み合った状態になる操作位置と他方のみが噛み合った状態になる操作位置との間に配置して備えてある請求項1記載の変速伝動装置。
JP2007025737A 2007-02-05 2007-02-05 変速伝動装置 Active JP5027521B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007025737A JP5027521B2 (ja) 2007-02-05 2007-02-05 変速伝動装置
US12/297,245 US8303448B2 (en) 2007-02-05 2007-09-25 Speed change transmission apparatus
EP07828350A EP2116407B1 (en) 2007-02-05 2007-09-25 Speed change power transmission device
CN2007800310345A CN101505986B (zh) 2007-02-05 2007-09-25 变速传动装置
PCT/JP2007/068533 WO2008096473A1 (ja) 2007-02-05 2007-09-25 変速伝動装置
KR1020117031318A KR101240817B1 (ko) 2007-02-05 2007-09-25 변속 전동 장치
KR1020097002861A KR101143062B1 (ko) 2007-02-05 2007-09-25 변속 전동 장치

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007025737A JP5027521B2 (ja) 2007-02-05 2007-02-05 変速伝動装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008189144A JP2008189144A (ja) 2008-08-21
JP5027521B2 true JP5027521B2 (ja) 2012-09-19

Family

ID=39749661

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007025737A Active JP5027521B2 (ja) 2007-02-05 2007-02-05 変速伝動装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5027521B2 (ja)
CN (1) CN101505986B (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010076748A (ja) * 2008-08-29 2010-04-08 Kanzaki Kokyukoki Mfg Co Ltd 車輌の走行系伝動構造
JP5331569B2 (ja) * 2009-05-13 2013-10-30 ヤンマー株式会社 作業車両の変速装置
US8956256B2 (en) 2009-05-13 2015-02-17 Yanmar Co., Ltd. Transmission device for work vehicles
JP5331570B2 (ja) * 2009-05-13 2013-10-30 ヤンマー株式会社 作業車両の変速装置
CN103109111B (zh) * 2010-07-16 2016-03-23 沃尔沃建筑设备公司 连续可变变速器和包括连续可变变速器的工程机械
EP2618027B1 (en) * 2010-09-14 2019-05-22 Kubota Corporation Transmission apparatus for a tractor
WO2013095213A1 (en) * 2011-12-23 2013-06-27 Volvo Construction Equipment Ab Continuously variable transmission and a working machine including a continuously variable transmission
JP5826042B2 (ja) * 2012-01-12 2015-12-02 株式会社クボタ 電動作業車
CN105556173B (zh) * 2013-09-27 2019-04-09 株式会社久保田 联合收割机
CN108691978B (zh) * 2017-06-30 2019-10-11 重庆大学 手自一体动力换挡带动力换向传动箱
JP7300713B2 (ja) 2018-10-19 2023-06-30 株式会社 神崎高級工機製作所 トランスミッション構造及び作業車輌
EP3798468A3 (en) 2019-09-26 2021-10-06 Kubota Corporation Traveling transmission device of tractor

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01164630A (ja) * 1987-12-21 1989-06-28 Mazda Motor Corp 自動変速機を備えた4輪駆動車の制御装置
JP2714879B2 (ja) * 1990-11-30 1998-02-16 株式会社小松製作所 機械―油圧伝動装置
JP4157658B2 (ja) * 1999-10-06 2008-10-01 ヤンマー株式会社 油圧−機械式変速装置
JP3868257B2 (ja) * 2001-10-22 2007-01-17 ヤンマー農機株式会社 作業車両の変速装置
JP2003276461A (ja) * 2002-01-18 2003-09-30 Kanzaki Kokyukoki Mfg Co Ltd 作業車輌
JP3891885B2 (ja) * 2002-06-05 2007-03-14 三菱農機株式会社 作業用走行車
JP2004069028A (ja) * 2002-08-09 2004-03-04 Iseki & Co Ltd 動力車輌の変速装置
JP4261944B2 (ja) * 2003-03-06 2009-05-13 株式会社Ihiシバウラ 油圧・機械式無段変速装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN101505986A (zh) 2009-08-12
JP2008189144A (ja) 2008-08-21
CN101505986B (zh) 2013-06-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5027521B2 (ja) 変速伝動装置
EP2116407B1 (en) Speed change power transmission device
JP4467501B2 (ja) トラクタの変速伝動装置
JP4594840B2 (ja) トラクタの変速伝動装置
WO2008004360A1 (fr) Dispositif de déplacement et de transmission de puissance
JP4740174B2 (ja) 変速伝動装置
JP5492038B2 (ja) トラクタの伝動装置
JP4901666B2 (ja) 変速伝動装置
JP4901382B2 (ja) トラクタの変速伝動装置
JP5677340B2 (ja) 変速伝動装置
JP4972186B2 (ja) トラクタの変速伝動装置
JP5492037B2 (ja) トラクタの伝動装置
JP2010159883A5 (ja)
JP2008195334A (ja) 変速伝動装置
JP5243703B2 (ja) トラクタの変速伝動装置
KR100725549B1 (ko) 트랙터의 트랜스미션
JP7213683B2 (ja) 作業車
JP5520357B2 (ja) 変速伝動装置
JP2003083420A (ja) ホイール式車両の機械−油圧トランスミッション
JP5065810B2 (ja) 変速伝動装置
JP4891867B2 (ja) 変速伝動装置
JP2009074616A (ja) 変速伝動装置
JP2023005474A (ja) 作業車両の動力伝達装置
JPH09123776A (ja) 作業車の動力伝達装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111020

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120524

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120622

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5027521

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150