JP5520357B2 - 変速伝動装置 - Google Patents
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Description
この種の変速伝動装置として、従来、特許出願(特願2005−286073号)されたものを先に開発した。
変速出力部3bは、遊星伝動部3aの出力が入力されるクラッチ部Cと、このクラッチ部Cの出力が入力される副変速部100とを備えている。クラッチ部Cは、遊星伝動部3aの一対の出力部に入力側が各別に連結された第1クラッチC1と第2クラッチC2とを備えている。副変速部100は、この副変速部100の入力軸と出力軸との間に設けた低速クラッチCLと高速クラッチCHとを備えている。
これらの図に示すように、先に開発した変速伝動装置3は,次の如きものである。
すなわち、第1クラッチC1と低速クラッチCLとが入り状態に操作され、静油圧式無段変速部20が「−MAX」から「+MAX」に向けて変速操作されると、変速伝動装置3が1速レンジになって変速作動し、副変速出力の回転速度が「0」から無段階に増速していく。静油圧式無段変速部20が「+MAX」の変速状態になると、副変速出力の回転速度が「B11」になる。これに伴って第2クラッチC2と低速クラッチCLとが入り状態に操作され、かつ、静油圧式無段変速部20が「+MAX」から減速操作されると、変速伝動装置3が2速レンジになって変速作動し、副変速出力の回転速度が「B11」から無段階に増速していく。静油圧式無段変速部20が「+MAX」と「N」の間の変速状態「A」になると、副変速出力の回転速度が「B12」になる。これに伴って第1クラッチC1と高速クラッチCHとが入り状態に操作され、かつ、静油圧式無段変速部20が「A」から増速操作されると、変速伝動装置3が3速レンジになって変速作動し、副変速出力の回転速度が「B12」から無段階に増速していく。静油圧式無段変速部20が「+MAX」の変速状態になると、副変速出力の回転速度が「B13」になる。これに伴って第2クラッチC2と高速クラッチCHとが入り状態に操作され、かつ、静油圧式無段変速部20が「−MAX」に向けて変速操作されると、変速伝動装置3が4速レンジになって変速作動し、副変速出力の回転速度が「B13」から無段階に増速していく。静油圧式無段変速部20が「−MAX」の変速状態になると、副変速出力の回転速度が最高速度の「B14」になる。
すなわち、速度レンジが2速レンジと3速レンジの間で切り換わるレンジ超え変速は、全てのクラッチを切り状態と入り状態の一方から他方に切り換えることによって行われる。また、変速伝動装置に掛かる駆動負荷が変化し、クラッチに掛かる負荷が変化すると、クラッチには設計どおりの強さの切り換え操作力が付与されても、クラッチが設計タイミングとは異なったタイミングで切り換わる事態が発生しやすくなる。また、切り換えるべきクラッチの数が多いほど、設計タイミングとは異なったタイミングで切り換わるクラッチが発生しやすくなり、かつ、クラッチ間に発生する切り換りタイミングのずれが大きくなりやすい。このため、速度レンジが2速レンジと3速レンジの間で切り換わるレンジ超え変速が行われる際、各クラッチが所定の操作状態に切り換わって変速出力部が2速レンジあるいは3速レンジを現出する操作状態に切り換わるまでの途中において、長時間にわたって切り状態やスリップ状態になるクラッチが発生することがある。また、一部のクラッチが所定の操作状態に切り換わっても、他のクラッチが未だ所定の操作状態に切り換わっておらず、変速出力部が2速レンジや3速レンジを現出する操作状態に切り換わる前に1速レンジや4速レンジを現出する操作状態になってしまうという、不安定な変速作動が発生することがある。
前記変速出力部に、前記遊星伝動部における前記複数の出力部の駆動力を前記変速出力部の出力軸に伝達するように、かつ、前記出力軸の回転速度を相違させるように前記複数の出力部と前記出力軸とにわたって設けた4つの伝動機構と、前記4つの伝動機構に各別に設けた4つのクラッチとを備えており、
前記4つのクラッチは、1速クラッチと2速クラッチと3速クラッチと4速クラッチとから構成されており、
4段階の速度レンジに段階分けして前記出力軸から出力されるように、前記4つのクラッチを別々に入り状態と切り状態とに切換えるとともに、前記無段変速部を変速操作する制御手段を備え、
前記制御手段は、
1速レンジにおいて、前記出力軸の出力速度が無段階に増速するように、前記4つのクラッチのうち1速クラッチのみを入り状態に切換えて、前記無段変速部を逆回転方向の最高速度から出力を停止する中立状態を経由して正回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
1速レンジと2速レンジが切換わる点において、前記出力軸の出力速度が連続して変化するように、前記1速クラッチを入り状態から切り状態に切換えるとともに前記2速クラッチを入り状態に切換えて、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
2速レンジにおいて、前記出力軸の出力速度が無段階に増速するように、前記4つのクラッチのうち前記2速クラッチのみを入り状態に維持操作して、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
2速レンジと3速レンジが切換わる点において、前記出力軸の出力速度が連続して変化するように、前記2速クラッチを入り状態から切り状態に切換えるとともに前記3速クラッチを入り状態に切換えて、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に変速操作する途中の正回転速度において、変速操作方向を逆転させて正回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
3速レンジにおいて、前記出力軸の出力速度が無段階に増速するように、前記4つのクラッチのうち前記3速クラッチのみを入り状態に維持操作して、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に変速操作する途中の正回転速度にて変速操作方向を逆転させて正回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
3速レンジと4速レンジが切換わる点において、前記出力軸の出力速度が連続して変化するように、前記3速クラッチを入り状態から切り状態に切換えるとともに前記4速クラッチを入り状態に切換えて、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
4速レンジにおいて、前記出力軸の出力速度が無段階に増速するように、前記4つのクラッチのうち前記4速クラッチのみを入り状態に維持操作して、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に向けて変速操作するように構成しており、
2速レンジと3速レンジが切換わる点となる前記正回転速度は、前記無段変速部の前記中立状態と正回転方向の最高速度との間の回転速度であり、
2速レンジと3速レンジが切換わる点において、前記2速クラッチを入り状態とすることで前記伝動機構によって前記出力部から前記出力軸に伝動される回転速度と前記3速クラッチを入り状態とすることで前記伝動機構によって前記出力部から前記出力軸に伝動される回転速度とが同一又は略同一となる回転速度となるように設定されている。
つまり、速度レンジが1速レンジと2速レンジの間で切り換わるレンジ超え変速と、2速レンジと3速レンジの間で切り換わるレンジ超え変速と、3速レンジと4速レンジの間で切り換わるレンジ超え変速とのいずれのレンジ超え変速が行われる場合も、4つのクラッチのうちのいずれか二つのクラッチを切り換え操作するだけで済む。
〔第一実施例〕
図1は、本発明の第一実施例に係る変速伝動装置3の線図である。この図に示すように、本発明の第一実施例に係る変速伝動装置3は、トラクタが備える走行伝動装置に装備されている。
尚、図1に示す如くミッションケース10の後部に設けた動力取り出し軸11は、トラクタの車体後部に連結されたロータリ耕耘装置(図示せず)など、各種の作業装置に前記エンジン1の駆動力を伝達するものである。この動力取り出し軸11は、伝動軸12と、作業クラッチ13と、伝動ギヤ14a,14bと、伝動ギヤ14bの回転支軸15とを介して前記変速伝動装置3の入力軸21に連動されている。
尚、前後進レバー81を中立位置S2に操作すると、制御手段84が前進クラッチCF及び後進クラッチCRを切り状態に切換え操作する。これにより、前後進切換え装置30が中立状態になって後輪差動機構5および前輪差動機構9への伝動が停止され、トラクタが停止状態になる。
図9は、本発明の参考例としての第二実施例に係る変速伝動装置3の線図である。この図に示すように、本発明の参考例としての第二実施例に係る変速伝動装置3は、トラクタが備える走行伝動装置に装備されている。この走行伝動装置は、エンジン1の出力軸1aからの出力が入力される主クラッチ2と、この主クラッチ2からの出力が入力される前記変速伝動装置3と、この変速伝動装置3の出力軸70に連動された前後進切換え装置30と、この前後進切換え装置30の出力軸32に連動された後輪差動機構5と、前記前後進切換え装置30の出力軸32に連動された前輪差動機構9とを備えている。
他の参考例としては、上記の各実施例の変速伝動装置に替え、遊星伝動部の複数の出力部と変速出力部の出力軸とにわたって設けた3つの伝動機構と、この3つの伝動機構に各別に設けた3つのクラッチとを備え、エンジン出力が3段階の速度レンジに段階分けされ、かつ、1速から3速の各速度レンジにおいて無段階に変速して出力される変速伝動装置、あるいは、遊星伝動部の複数の出力部と変速出力部の出力軸とにわたって設けた5つの伝動機構と、この5つの伝動機構に各別に設けた5つのクラッチとを備え、エンジン出力が5段階の速度レンジに段階分けされ、かつ、1速から5速の各速度レンジにおいて無段階に変速して出力される変速伝動装置など、4段階よりも少数あるいは多数の複数段階の速度レンジに段階分けされる変速伝動装置が挙げられる。
3a 遊星伝動部
3b 変速出力部
20 静油圧無段変速部
41,42,43 出力部
70 出力軸
71,72,73,74 伝動機構
96 出力側回転部材
PF,PR 遊星伝動機構
CL1,CL2,CL3,CL4 クラッチ
Claims (1)
- エンジンの出力が入力される静油圧式無段変速部と、前記静油圧式無段変速部から出力される駆動力と前記静油圧式無段変速部による変速作用を受けないエンジン駆動力とを複数の遊星伝動機構によって合成する遊星伝動部と、前記遊星伝動部の複数の出力部から出力される合成駆動力を複数段階の速度レンジに段階分けして出力する変速出力部とを備えた変速伝動装置であって、
前記変速出力部に、前記遊星伝動部における前記複数の出力部の駆動力を前記変速出力部の出力軸に伝達するように、かつ、前記出力軸の回転速度を相違させるように前記複数の出力部と前記出力軸とにわたって設けた4つの伝動機構と、前記4つの伝動機構に各別に設けた4つのクラッチとを備えており、
前記4つのクラッチは、1速クラッチと2速クラッチと3速クラッチと4速クラッチとから構成されており、
4段階の速度レンジに段階分けして前記出力軸から出力されるように、前記4つのクラッチを別々に入り状態と切り状態とに切換えるとともに、前記無段変速部を変速操作する制御手段を備え、
前記制御手段は、
1速レンジにおいて、前記出力軸の出力速度が無段階に増速するように、前記4つのクラッチのうち1速クラッチのみを入り状態に切換えて、前記無段変速部を逆回転方向の最高速度から出力を停止する中立状態を経由して正回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
1速レンジと2速レンジが切換わる点において、前記出力軸の出力速度が連続して変化するように、前記1速クラッチを入り状態から切り状態に切換えるとともに前記2速クラッチを入り状態に切換えて、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
2速レンジにおいて、前記出力軸の出力速度が無段階に増速するように、前記4つのクラッチのうち前記2速クラッチのみを入り状態に維持操作して、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
2速レンジと3速レンジが切換わる点において、前記出力軸の出力速度が連続して変化するように、前記2速クラッチを入り状態から切り状態に切換えるとともに前記3速クラッチを入り状態に切換えて、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に変速操作する途中の正回転速度において、変速操作方向を逆転させて正回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
3速レンジにおいて、前記出力軸の出力速度が無段階に増速するように、前記4つのクラッチのうち前記3速クラッチのみを入り状態に維持操作して、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に変速操作する途中の正回転速度にて変速操作方向を逆転させて正回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
3速レンジと4速レンジが切換わる点において、前記出力軸の出力速度が連続して変化するように、前記3速クラッチを入り状態から切り状態に切換えるとともに前記4速クラッチを入り状態に切換えて、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に向けて変速操作し、
4速レンジにおいて、前記出力軸の出力速度が無段階に増速するように、前記4つのクラッチのうち前記4速クラッチのみを入り状態に維持操作して、前記無段変速部を正回転方向の最高速度から逆回転方向の最高速度に向けて変速操作するように構成しており、
2速レンジと3速レンジが切換わる点となる前記正回転速度は、前記無段変速部の前記中立状態と正回転方向の最高速度との間の回転速度であり、
2速レンジと3速レンジが切換わる点において、前記2速クラッチを入り状態とすることで前記伝動機構によって前記出力部から前記出力軸に伝動される回転速度と前記3速クラッチを入り状態とすることで前記伝動機構によって前記出力部から前記出力軸に伝動される回転速度とが同一又は略同一となる回転速度となるように設定されている変速伝動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012236570A JP5520357B2 (ja) | 2012-10-26 | 2012-10-26 | 変速伝動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012236570A JP5520357B2 (ja) | 2012-10-26 | 2012-10-26 | 変速伝動装置 |
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JP2005337467A (ja) * | 2004-05-31 | 2005-12-08 | Fuji Univance Corp | 合成動力変速装置 |
-
2012
- 2012-10-26 JP JP2012236570A patent/JP5520357B2/ja active Active
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