JP5027190B2 - 容器入り調味パスタの製造方法 - Google Patents
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(1) 水を添加吸収させていないパスタと、デキストリンを溶解してなる調味液状物とを容器に充填、密封する充填工程と、
前記容器を加熱処理することにより、前記パスタと前記調味液状物とからなる内容物を、殺菌する加熱殺菌工程と、
を含むことを特徴とする、容器入り調味パスタの製造方法。
(2) 上記パスタの水分含量が5質量%〜30質量%であることを特徴とする、(1)記載の方法。
(3) 前記パスタがショートパスタであることを特徴とする、(1)又は(2)記載の方法。
(4) 前記調味液状物の平均DE値が0.5〜4.0の範囲内にあることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 前記パスタが、予め蒸気加熱処理されたものであることを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 前記加熱殺菌工程後に、前記容器入り調味パスタを冷蔵する冷蔵工程を含むことを特徴とする、(1)から(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 前記冷蔵工程が、−10〜10℃の雰囲気下で2〜72時間の条件で行われることを特徴とする、(6)記載の方法。
また、電子レンジなどで加熱して得られたパスタは、しっかりした歯応えを有している。
また、本発明の方法で得られた上記パスタは、長期間にわたり、ふやけずに、しっかりした歯応えをゆうしている。
パスタ
本発明では、水を添加吸収させていないパスタを用いることがひとつの特徴である。水を添加吸収させたパスタを用いると、パスタの中心まで速やかに澱粉が糊化し加熱殺菌工程および保管時にふやけてしまうことになり、本発明の目的を達成することができなくなる。
上記パスタは、小麦(デュラム・セモリナ)を主原料とし、水と合わせて練ったものをいろいろな形状に成形し、乾燥したものを指す。
また、使用するパスタとしては、喫食時にしっかりした歯応えを残すという点から蛋白質含量がより多い方が好ましい。
本発明は、調味液状物にデキストリンが溶解されていることをひとつの特徴とする。
本発明において調味液状物とは、水に、塩、醤油、砂糖などの調味料や、各種だし、油、各種食材などを添加して適宜調理してもよく、また喫食時に更に調味料や、各種だし、油、各種食材などを添加してもよい。また、必要により加熱処理を施してもよい。
本発明で用いられるデキストリンとは、原料澱粉を低分子化したもので、乾式分解した焙焼デキストリンでも、湿式分解したもの、例えば酸処理澱粉、酸化澱粉、酵素変性デキストリンでもよい。又、これらのデキストリンに、水素添加し還元したものを使用してもよく、特に限定されるものではない。
調味液状物の平均DE値=10×0.09+5×0.06=1.2
即ち、上記の例の場合の調味液状物の平均DE値は1.2ということになる。
なお、調味液状物には更に、デキストリンの保水能を補う目的で、調味液状物のベタツキに影響を与えない範囲で、ゼラチンや、澱粉、加工澱粉、ペクチン、キサンタンガム、寒天などの多糖類が適宜添加されてもよい。
充填工程は、水を添加吸収させていないパスタと、デキストリンを溶解してなる調味液状物とを容器に充填、密封する工程である。
前記調味液状物は、容器に充填され、更に玉葱、人参、馬鈴薯、トマト、キノコ類などの野菜、牛肉、豚肉、鶏肉といった肉類や、海老、イカ、ホタテなどの魚介類のような各種具材が容器に充填されてもよい。これらの具材は上述したように調味液状物の調味段階に由来するものであってもよいし、充填工程で新たに添加されたものであってもよい。
加熱殺菌工程は、前記容器内に密封充填された、前記パスタと前記調味液状物とからなる内容物を殺菌する工程である。また、同時に、当該工程において前記パスタを調味液状物で調理するようにしてもよい。
加熱方法としては、例えば、レトルト釜などの圧力調整できる圧力釜により加熱する方法が挙げられる。この方法によれば、容器内に気体が含まれていたとしても、容器を破袋させることなく加熱して、内容物を殺菌することができ、更には加熱調理することもできる。加熱条件としては、所定の殺菌価が達成される条件、例えば常温流通させるための殺菌価としてF120℃=4分以上という条件を例示することができ、また、チルド流通させるための殺菌価としてはF100℃=10〜30分という条件を例示することができる。こうした加熱殺菌処理により、常温やチルド流通で長期間保存できる調味パスタを提供することもできる。
冷蔵工程は、殺菌工程後の前記パスタを冷蔵する工程である。殺菌工程後、容器ごと冷蔵する。この冷蔵により、パスタが老化し、調味液状物中の水分を吸収する能力が低下するため、パスタのしっかりした歯応えを、長時間、維持することができる。冷蔵工程では、−10℃〜10℃の雰囲気下で、2時間〜72時間、より好ましくは、−5℃〜5℃で、4時間〜60時間の条件で行うのが良い。冷蔵温度が10℃より高くなってくると、老化速度が遅くなり、その間にパスタが水分を吸収してふやけてしまう可能性がある。
一方−10℃より低くなると、パスタが凍結し、糊化した状態を維持するため、老化が促進しないことになる。
(1)ペンネ(水分12%(W/W),外径8mm,肉厚1.3mm,長さ40mm)32gを130mm×150mmの大きさのレトルト用パウチに充填する。
(2)油で歩留り50%まで炒めた玉葱5g、魚介系エキス1g、食塩2g、カットトマト10g、トマトペースト10g、および、DE8のデキストリン20.5gを水69.5gに分散・溶解させて、平均DE値1.4のスープを得る。
(3)(2)のスープを(1)のパウチに充填、密封する。
(4)上記パウチの最遅点のF0値が、3.1分以上になる熱量を加えて、加熱殺菌処理を施すとともに、パスタを調理して容器包装入り調味パスタを得た。
(5)加熱殺菌処理後、5℃の雰囲気下で上記容器包装入り調味パスタを24時間冷却した。
予めペンネ(水分12%(W/W))を常圧飽和蒸気(100℃)で30分間、蒸気加熱処理を施して、水分15%の蒸煮パスタを充填する以外は、実施例1と同様の方法にて、容器包装入り調味パスタを製造した。
<実施例3>
DE17.5のデキストリンを20.5gスープに溶解させて、平均DE値3.0のスープを得た以外は、実施例1と同様の方法にて、容器包装入り調味パスタを製造した。
<実施例4>
DE24.5のデキストリンを20.5g溶解させて、平均DE値4.3のスープを得た以外は、実施例1と同様の方法にて、容器包装入り調味パスタを製造した。
(1)ペンネ32gを1分間ボイルした後、湯切りして、水分33%(W/W)のボイルパスタを得た。
(2)(1)のボイルしたペンネ42gと、実施例1と同じ配合比で作成したソース118gを130mm×150mmの大きさのパウチに充填した。
(3)上記パウチの最遅点のF0値が、3.1分以上になる熱量を加えて、調理とともに、加熱殺菌処理を施した。
(4)加熱殺菌処理後、5℃の雰囲気下で24時間冷却し、容器包装入りリゾットを製造した。
ボイル時間が5分間で、水分45%(W/W)のボイルしたペンネを52g充填する以外は、比較例1と同様の方法にて容器包装入り調味パスタを製造した。
<比較例3>
ボイル時間が10分間で、水分54%(W/W)のボイルしたペンネを62g充填する以外は、比較例1と同様の方法にて容器包装入り調味パスタを製造した。
実施例1〜2と比較例1〜3のペンネについて、製造直後に、下記の方法に従い、テンシプレッサー(タケトモ電気製)にて、ペンネ1本の表層の硬さと破断強度を測定した。
(1)電子レンジで各容器包装入り調味パスタを、品温70℃〜100℃に温めて喫食状態にした。
(2)次いで、各調味パスタ中のペンネを取り出し、乾燥させないように、これらペンネを25℃の密閉下にて、2時間放置した。
(3)測定試料載置面を有する、該測定試料載置面の垂線方向に移動可能な試料台と、幅2mmのV型のプランジャーであって、前記試料接触面が前記測定試料載置面に対向する位置に固定して配置されているプランジャーとを備えるテンシプレッサー(タケトモ電機製の引張圧縮試験装置)の前記測定試料載置面上に前記放置後のペンネ1本を、前記プランジャーと垂直の位置関係になるように置いた。
(4)前記試料台を再び、前記プランジャーに2mm/秒の速度で接近させ、前記ペンネを、前記試料台の測定試料載置面と前記プランジャーの試料接触面との間で、ペンネの厚みの30%分を圧縮し、引き続き、前記試料台と前記プランジャーとを2mm/秒の速度で遠ざけ、前記プランジャーの試料接触面から前記ペンネを引き離した。この操作の間に、ペンネからプランジャーが受ける圧縮応力の最大値を測定し、「表層の硬さ」の値とした。その結果を図2に示す。
(5)前記試料台を前記プランジャーに2mm/秒の速度で接近させ、前記ペンネを、前記試料台の測定試料載置面と前記プランジャーの試料接触面との間で、ペンネの厚みの95%分を圧縮し、引き続き、前記試料台と前記プランジャーとを2mm/秒の速度で遠ざけ、前記プランジャーの試料接触面から前記ペンネを引き離した。この操作の間、ペンネが破断する時に受ける応力を「破断強度」として測定した(図1参照)。その結果を図3に示す。
(6)尚、図2および図3の値は、表層の硬さ、破断強度を繰り返し10本、測定したときの平均値である。
実施例1〜4と比較例1〜3の容器入り調味パスタについて、製造直後と、30℃で7日間保存した後、電子レンジなどで品温70℃以上になるまで温めて、ペンネとソースの食感・風味を官能評価した。
また、実施例3で、平均DE値が3.1のソースで、ペンネを調理・殺菌すると、ソースの甘味がやや強くなるものの、比較的しっかりした歯応えのものが得られた。実施例4については、実施例3より甘みが強くなり、風味バランスへの影響が見られ、30℃−7日後には実施例3の歯ごたえよりも少し劣る結果がでていた。
それらに対して、比較例1〜3は、パウチに充填するまでに、ペンネが水を含むため、殺菌時に小麦澱粉の糊化が促進し、ペンネが水分を多く吸収した結果、ペンネは、しっかりとした歯応えが失われ、ふやけたような感じがあった。これを、30℃−7日間保存すると、さらに食感が柔らかくなった。
Claims (5)
- 水を添加吸収させていない水分含量5重量%〜30重量%のパスタと、デキストリンを溶解してなる平均DE値が0.3〜4.5の範囲内にある調味液状物とを容器に充填、密封する充填工程と、
前記容器を加熱処理することにより、前記パスタと前記調味液状物とからなる内容物を殺菌する加熱殺菌工程と、
前記加熱殺菌工程後に、前記容器入り調味パスタを冷蔵する冷蔵工程と、
を含むことを特徴とする、容器入り調味パスタの製造方法。 - 前記パスタがショートパスタであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 前記調味液状物の平均DE値が0.5〜4.0の範囲内にあることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
- 前記パスタが、予め蒸気加熱処理されたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記冷蔵工程が、−10〜10℃の雰囲気下で2〜72時間の条件で行われることを特徴とする、請求項1記載の方法。
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