JP5017747B2 - 酸化水酸化コバルト板状粒子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化水酸化コバルト板状粒子に関し、さらに詳しくは、コバルト層状酸化物からなる結晶配向セラミックスを製造するための反応性テンプレートとして好適な酸化水酸化コバルト板状粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
コバルト層状酸化物は、CoO層を副格子とする層状化合物、すなわち、CoO層からなる電導層と、種々の化合物層からなる絶縁層が所定の周期でc軸方向に積層された層状化合物である。近年、このコバルト層状酸化物の中から、優れた熱電特性を有する材料が発見されている。
【0003】
コバルト層状酸化物からなる熱電変換材料は、現在使用されているBi−Te−Se系に比べて環境負荷物質を必ずしも含まず、また、高温大気中において長時間使用しても熱電特性の劣化が少ないことから、高温熱電変換材料の候補材料の1つと考えられている。そのため、熱電特性の高い新材料やその製造方法について、従来から種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、NaCoは、熱電特性を示すコバルト層状酸化物の1つであり、CoO層と、絶縁層であるNa0.5層が交互に積層した層状構造を有している。また、NaCoのc面方向の抵抗率(ρ)及びゼーベック係数(S)は、室温において、それぞれ、200μΩ・cm及び100μV/mを示し、その電力因子(S/ρ)は、BiTeに匹敵することが知られている(例えば、寺崎一郎、固体物理、Vol.33、No.3、1998、p217-221参照)。
【0005】
また、CaCoも同様に、熱電特性を示すコバルト層状酸化物の1つであり、CoO層と、絶縁層であるCaCoO層が所定の周期で積層した層状構造を有していると考えられている。また、CaCoのc面方向の抵抗率(ρ)及びゼーベック係数(S)は、300Kにおいて、それぞれ、10〜40mΩ・cm及び125μV/mを示すことが知られている(例えば、A.C.Masset et al., Pys.Rev.B, 62(1), pp.166-175, 2000参照)。
【0006】
さらに、特開2000−211971号公報には、A(但し、Aは、Na、Li、K、Ca、Sr、Ba、Bi、Y又はLa。Bは、Mn、Fe、Co、Ni又はCu。1≦x≦2、2≦y≦4。)型構造を有し、c軸が一方向に配向した熱電素子材料が本願出願人により提案されている。また、同公報には、Co(OH)板状粒子又はCo板状粒子とNaCOの混合物を板状粒子が配向するように成形し、この成形体を焼成することにより、NaCoからなり、かつ、c軸が配向した熱電素子材料が得られる点が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
コバルト層状酸化物の熱電特性には、結晶方位に応じた異方性があり、c面方向の熱電特性の方がc軸方向より高いことが知られている。これは、層状の結晶構造を有していることに加え、電導層と絶縁層の界面に存在する格子不整合によって、キャリアやフォノンの散乱状況が異なるためと考えられている。従って、コバルト層状酸化物が本質的に有している高性能を引き出すためには、熱電特性の高い結晶面(c面)を一方向に配向させることが望ましい。
【0008】
しかしながら、コバルト層状酸化物の成分元素を含む単純化合物を出発原料に用いて、仮焼、成形及び焼結を行う通常のセラミックス製造プロセスでは、c面が一方向に配向した焼結体は得られない。そのため、本質的には高い熱電特性を有しているにもかかわらず、得られる焼結体の熱電特性は、不十分である。
【0009】
一方、単結晶は、製造コストが高いという問題がある。また、コバルト層状酸化物のような複雑な組成を有する固溶体からなる単結晶は、作製時に組成のずれを引き起こしやすく、実用材料としては不適当である。さらに、単結晶は、破壊靱性に劣るため、高応力下での使用は困難であり、応用範囲が限られるという問題がある。
【0010】
これに対し、特開2000−211971号公報に開示されているように、Co(OH)板状粒子又はCo板状粒子を成形体中に配向させ、この板状粒子とアルカリ金属塩とを反応させる方法によれば、板状粒子が反応性テンプレートとして機能し、コバルト層状酸化物からなり、かつ、C軸が配向した焼結体(結晶配向セラミックス)を容易かつ安価に製造することができる。従って、コバルト層状酸化物からなる熱電変換材料の高性能化、低コスト化を図るためには、反応性テンプレートとして機能する板状粒子の開発が重要である。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、特に、コバルト層状酸化物からなる結晶配向セラミックスを製造するための反応性テンプレートとして好適な新規な板状粒子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る酸化水酸化コバルト板状粒子は、酸化水酸化コバルト(CoO(OH))からなり、かつ、{001}面を発達面とする板状粒子であって、前記板状粒子の板面の長さの平均値で示される平均粒径が0.3μm以上4μm以下であることを要旨とする。
【0013】
酸化水酸化コバルトの{001}面は、コバルト層状酸化物の一部を構成するCoO層のc面と極めて良好な格子整合性を有している。そのため、{001}面を発達面とする酸化水酸化コバルト板状粒子は、コバルト層状酸化物からなる結晶配向セラミックスを製造するための極めて良好な反応性テンプレートとして機能する。
【0014】
化水酸化コバルト板状粒子の製造方法は、2価のCo塩水溶液にアルカリ水溶液を加えて、水酸化コバルト(Co(OH))板状粒子を生成させる沈殿生成工程と、前記水酸化コバルト板状粒子に含まれる2価のCoを3価のCoに変換する強酸化工程とを備えている。
【0015】
2価のCo塩を含む水溶液中にアルカリ水溶液を加えると、水酸化コバルトの板状粒子が生成する。次いで、種々の方法を用い、かつ、適切な条件下でこの水溶液を強酸化雰囲気に曝すと、水酸化コバルト板状粒子に含まれる2価のCoが3価のCoに変換され、酸化水酸化コバルト板状粒子となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る本発明に係る板状粒子は、酸化水酸化コバルト(CoO(OH))からなり、かつ、{001}面を発達面(最も広い面積を占める面)とすることを特徴とする。
【0017】
板状粒子の形状については、特に限定されるものではないが、本発明に係る板状粒子をコバルト層状酸化物からなる結晶配向セラミックスの反応性テンプレートとして用いる場合には、板状粒子は、成形時に配向させるのが容易な形状を有していることが望ましい。
【0018】
具体的には、板状粒子の平均アスペクト比(=板状粒子の板面の長さ/厚さの平均値)は、2以上であることが望ましい。平均アスペクト比が2未満であると、成形時に板状粒子を一方向に配向させるのが困難となる。板状粒子の平均アスペクト比は、好ましくは3以上であり、さらに好ましくは5以上である。
【0019】
一般に、板状粒子の平均アスペクト比が大きくなるほど、板状粒子の配向が容易化される傾向がある。但し、平均アスペクト比が過大になると、他の原料と混合する際に板状粒子が破砕され、板状粒子が配向した成形体が得られない場合がある。従って、板状粒子の平均アスペクト比は、100以下が好ましく、さらに好ましくは50以下である。
【0020】
また、板状粒子の板面の長さの平均値(平均粒径)は、0.05μm以上20μm以下が好ましい。板状粒子の平均粒径が0.05μm未満であると、成形時に作用する剪断応力によって板状粒子を一定の方向に配向させるのが困難になる。一方、板状粒子の平均粒径が20μmを超えると、焼結性が低下し、高密度の焼結体は得られない。板状粒子の平均粒径は、さらに好ましくは、0.1μm以上10μm以下である。
【0021】
次に、本発明に係る板状粒子の作用について説明する。酸化水酸化コバルト自体は公知であるが、酸化水酸化コバルトの板状粒子を合成した例は、従来にはない。本願発明者は、コバルト層状酸化物からなる結晶配向セラミックスを製造するための反応性テンプレートとして使用可能な板状粒子を探索した結果、酸化水酸化コバルトの板状粒子が特に好適であることを見出した。
【0022】
すなわち、酸化水酸化コバルトの{001}面は、コバルト層状酸化物の一部を構成するCoO層のc面と極めて良好な格子整合性を有している。従って、コバルト層状酸化物が得られるように化学量論比で配合された酸化水酸化コバルト板状粒子と、絶縁層を構成する各種の陽イオン元素を含有する化合物(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等)とを反応させると、酸化水酸化コバルトの{001}面がコバルト層状酸化物のc面として承継される。
【0023】
そのため、酸化水酸化コバルト板状粒子と各種の化合物を含む原料を、板状粒子が配向するように成形し、この成形体を所定の温度で焼成すれば、酸化水酸化コバルト板状粒子が反応性テンプレートとして機能し、c面を発達面とするコバルト層状酸化物の板状結晶が一定の方向に配向した結晶配向セラミックスを得ることができる。
【0024】
次に、本発明に係る酸化水酸化コバルト板状粒子の製造方法について説明する。本発明に係る製造方法は、沈殿生成工程と、強酸化工程とを備えている。
【0025】
初めに、沈殿生成工程について説明する。沈殿生成工程は、2価のCo塩水溶液にアルカリ水溶液を加えて、水酸化コバルト(Co(OH))板状粒子を生成させる工程である。
【0026】
本発明において用いることができる「2価のCo塩」としては、具体的には、硝酸コバルト(Co(NO))、塩化コバルト(CoCl)、硫酸コバルト(CoSO)等が好適な一例として挙げられる。これらのCo塩は、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0027】
また、形状の揃ったCo(OH)板状粒子を効率よく合成するためには、2価のCo塩水溶液の濃度は低い方が望ましい。例えば、2価のCo塩水溶液としてCo(NO)水溶液を用いる場合、Co(NO)水溶液の濃度は、具体的には、0.001N以上10N以下が好ましく、さらに好ましくは、0.01N以上10N以下である。
【0028】
また、本発明において用いることができる「アルカリ水溶液」としては、具体的には、NaOH水溶液、KOH水溶液、アンモニア水等が好適な一例として挙げられる。
【0029】
また、形状の揃ったCo(OH)板状粒子を効率よく合成するためには、アルカリ水溶液の濃度は、低い方が望ましい。例えば、アルカリ水溶液として、NaOH、KOH等の水酸化アルカリ金属水溶液を用いる場合、水酸化アルカリ金属水溶液の濃度は、具体的には、0.001N以上10N以下が好ましく、さらに好ましくは、0.01N以上1N以下である。また、例えば、アルカリ水溶液としてアンモニア水を用いる場合、アンモニア水の濃度は、具体的には、0.001N以上5N以下が好ましく、さらに好ましくは、0.01N以上1N以下である。
【0030】
なお、Co塩水溶液とアルカリ水溶液の反応によって生成するCo(OH)板状粒子の粒子特性(平均粒径、平均アスペクト比等)は、Co塩水溶液の濃度及びアルカリ水溶液の濃度以外にも、アルカリ水溶液の滴下時間、アルカリ水溶液の滴下量、反応温度、反応時間、撹拌速度等の影響を受ける。
【0031】
これらの合成条件は、Co(OH)板状粒子に要求される粒子特性に応じて、最適な値を選択すればよく、特に限定されるものではない。一般的には、低濃度のCo塩水溶液に対して低濃度のアルカリ水溶液を徐々に加え、反応を穏やかに進行させるほど、形状の揃った大きなCo(OH)板状粒子を合成することができる。
【0032】
次に、強酸化工程について説明する。強酸化工程は、Co(OH)板状粒子に含まれる2価のCoを3価のCoに変換する工程である。2価のCoを3価のCoに変換する方法としては、具体的には、撹拌処理、過酸化水素処理、バブリング処理、水熱処理等が好適な一例として挙げられる。また、これらの処理は、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0033】
ここで、撹拌処理とは、沈殿生成工程において生成したCo(OH)板状粒子を含む水溶液を大気中で撹拌する処理をいう。Co(OH)板状粒子を含む水溶液に対して撹拌処理を行うと、Co(OH)板状粒子及び/又は水溶液中に含まれる2価のCoが空気によって徐々に酸化され、3価のCoとなる。また、撹拌処理によって得られるCoO(OH)板状粒子の粒子特性は、撹拌時間、水溶液の温度、水溶液のpH等の処理条件を最適化することによって、制御することができる。
【0034】
また、過酸化水素処理とは、アルカリ水溶液を加える前のCo塩水溶液、又は、アルカリ水溶液を加えた後のCo塩水溶液に対し、さらに過酸化水素水を加える処理をいう。アルカリ水溶液を加える前又は後の水溶液に対して過酸化水素処理を行うと、Co(OH)板状粒子及び/又は水溶液中に含まれる2価のCoが過酸化水素によって徐々に酸化され、3価のCoとなる。また、過酸化水素処理によって得られるCoO(OH)板状粒子の粒子特性は、過酸化水素水の濃度、過酸化水素水の添加量、水溶液の温度、水溶液のpH等の処理条件を最適化することによって、制御することができる。
【0035】
また、バブリング処理とは、沈殿生成工程において生成したCo(OH)板状粒子を含む水溶液に対して酸素及び/又はオゾンをバブリングする処理をいう。Co(OH)板状粒子を含む水溶液に対してバブリング処理を行うと、Co(OH)板状粒子及び/又は水溶液中に含まれる2価のCoが酸素及び/又はオゾンによって徐々に酸化され、3価のCoとなる。また、バブリング処理によって得られるCoO(OH)板状粒子の粒子特性は、バブリング時間、バブリング量、水溶液の温度、水溶液のpH等の処理条件を最適化することによって、制御することができる。
【0036】
さらに、水熱処理とは、Co(OH)板状粒子を含む水溶液をオートクレーブ中で加熱する処理をいう。水熱処理は、Co(OH)板状粒子を水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液中と共にオートクレーブ中で加熱するものであっても良く、あるいは、Co(OH)板状粒子を水と共にオートクレーブ中で加熱するものであっても良い。Co(OH)板状粒子を含む水溶液に対して水熱処理を行うと、Co(OH)板状粒子及び/又は水溶液中に含まれる2価のCoが徐々に酸化され、3価のCoとなる。また、水熱処理によって得られるCoO(OH)板状粒子の粒子特性は、圧力、加熱温度、加熱時間、水溶液のpH等の処理条件を最適化することによって、制御することができる。
【0037】
次に、本発明に係る製造方法の作用について説明する。まず、2価のCo塩を含む水溶液に、所定の濃度のアルカリ水溶液を所定量加えると、Co(OH)の沈殿が生成する。Co(OH)は、六方晶系に属するCdI型の結晶構造を有しており、そのc面は、他の結晶面に比して表面エネルギーが小さい。従って、Co(OH)は、c面を発達面とする板状粒子となって沈殿する。また、この時、処理条件を最適化すれば、平均粒径及び/又はアスペクト比の異なるCo(OH)板状粒子が得られる。
【0038】
次いで、種々の処理方法を用い、かつ、適切な条件下で、Co(OH)板状粒子を含む水溶液に対して強酸化処理を行うと、Co(OH)板状粒子に含まれる2価のCoが3価のCoに変換され、CoO(OH)となる。この時、Co(OH)板状粒子の発達面(c面)とCoO(OH)の{001}面との間には、良好な格子整合性があるので、Co(OH)板状粒子のc面がCoO(OH)の{001}面として承継され、{001}面を発達面とするCoO(OH)板状粒子が生成する。また、この時、処理条件を最適化すれば、平均粒径及び/又はアスペクト比の異なるCo(OH)板状粒子が得られる。
【0039】
粒子形状を制御する方法としては、トポタクティック反応、又は、トポタクティックライク反応を利用する方法が知られている。トポタクティック反応とは、全体の結晶構造が大きく変化せず、一部の元素が出入りして起こる反応であり、反応前後で形状の変化を伴わないものをいう。また、トポタクティックライク反応とは、一部の元素が出入りすることによって結晶構造の変化は起こるが、反応前後で形状の変化を伴わないものをいう。
【0040】
本発明に係る製造方法によって、特定の結晶面を発達面とし、かつ、粒子形状が制御されたCoO(OH)板状粒子が比較的容易に得られるのは、Co(OH)の強酸化によるCoO(OH)の生成反応が、トポタクティック反応又はトポタクティックライク反応であることによる。この点は、本願発明者らによって初めて見出されたものである。
【0041】
また、CoO(OH)は、高温(≧200℃)で不安定な化合物であるが、本発明に係る製造方法によれば、不安定なCoO(OH)を比較的容易に合成できる。これは、CoO(OH)板状粒子を合成するために、合成温度が低く、比較的不安定な化合物を作製するのに適した沈殿法を用いていることによる。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
以下の手順に従い、CoO(OH)板状粒子を合成した。まず、Co(NO)及びNaOHを、それぞれ、イオン交換水に完全に溶解させ、濃度0.1NのCo(NO)水溶液及び濃度0.2NのNaOH水溶液を作製した。
【0043】
次に、Co(NO)水溶液500mlに対して、NaOH水溶液500mlを3分間の滴下時間で滴下し、Co(OH)板状粒子を沈殿させた。次いで、この水溶液を大気中において72時間撹拌し、Co(OH)板状粒子を強酸化させた。撹拌終了後、得られた沈殿を吸引濾過により回収し、80℃の乾燥器中で乾燥させ、CoO(OH)板状粒子を得た。
【0044】
(実施例2)
NaOHの滴下時間を3時間とし、大気中における撹拌時間を24時間とした以外は、実施例1と同一の手順に従い、CoO(OH)板状粒子を合成した。
【0045】
(実施例3)
実施例1で作製したCo(NO)水溶液500mlに対して、濃度10%のH水溶液を100ml加えて混合した。次いで、実施例1で作製したNaOH水溶液500mlを1時間の滴下時間で滴下した。さらに、沈殿生成後、この水溶液を大気中において24時間撹拌した。撹拌終了後、得られた沈殿を吸引濾過により回収し、80℃の乾燥器中で乾燥させ、CoO(OH)板状粒子を得た。
【0046】
(実施例4)
実施例1で作製したCo(NO)水溶液500mlに対して、実施例1で作製したNaOH水溶液500mlを3分間の滴下時間で滴下し、Co(OH)板状粒子を沈殿させた。次いで、この水溶液中にオゾンをバブリング(バブリング量:500ml/min)しながら、24時間撹拌を続け、Co(OH)板状粒子を強酸化させた。バブリング終了後、得られた沈殿を吸引濾過により回収し、80℃の乾燥器中で乾燥させ、CoO(OH)板状粒子を得た。
【0047】
(実施例5)
実施例1で作製したCo(NO)水溶液500mlに対して、実施例1で作製したNaOH水溶液500mlを3分間の滴下時間で滴下し、Co(OH)板状粒子を沈殿させた。次いで、この水溶液をそのまま水熱装置に移し、圧力:0.6MPa、加熱温度:150℃、加熱時間:1時間の条件下で水熱処理を行った。水熱処理終了後、得られた沈殿を吸引濾過により回収し、80℃の乾燥器中で乾燥させ、CoO(OH)板状粒子を得た。
【0048】
実施例1〜5で得られた粉末について、目視による粉末の色の評価、SEMによる粒子形状、平均粒径及びアスペクト比の評価、並びに、XRDによる生成相の同定を行った。表1にその結果を示す。
【0049】
【表1】
Figure 0005017747
【0050】
実施例1〜5で得られた粉末は、いずれも茶色の板状粉末であった。また、平均粒径は、0.3〜4μmであり、アスペクト比は、いずれも3以上であった。さらに、X線回折パターンから、実施例1〜5で得られた粉末は、いずれもCoO(OH)であることがわかった。
【0051】
図1に、実施例1で得られた粒子のSEM写真を示す。図1より、本発明に係る製造方法によって、アスペクト比の大きな板状粒子が得られていることがわかる。
【0052】
また、図2に、実施例1で得られた粒子のX線回折パターンを示す。図2より、(003)面のピークが最も強くなっていることがわかる。また、図2の回折パターンとJCPDSカード:07−0169とを比較したところ、第2最強ピークである(012)面のピークは、JCPDSカード:07−0169の値より弱いことがわかった。XRD試料は、粉末をガラス板に押し付けて作製するため、板状粒子の発達面は、ガラス板面に対して平行に配列する。従って、図2より、この板状粒子の発達面は、{001}面と考えられる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係る酸化水酸化コバルト板状粒子は、{001}面を発達面とし、しかも、{001}面は、コバルト層状酸化物の一部を構成するCoO層のc面との間に良好な格子整合性を有しているので、コバルト層状酸化物からなる結晶配向セラミックスを製造するための極めて良好な反応性テンプレートとして機能するという効果がある。
【0055】
化水酸化コバルト板状粒子の製造方法は、酸化水酸化コバルトと格子整合性を有する水酸化コバルト板状粒子を沈殿法により合成し、次いで、この水溶液を強酸化雰囲気に曝すことによって、水酸化コバルト板状粒子に含まれる2価のCoを3価のCoに変換しているので、{001}面を発達面とする酸化水酸化コバルト板状粒子が容易に得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたCoO(OH)板状粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】 実施例1で得られたCoO(OH)板状粉末のX線回折パターンである。

Claims (2)

  1. 酸化水酸化コバルト(CoO(OH))からなり、かつ、{001}面を発達面とする板状粒子であって、前記板状粒子の板面の長さの平均値で示される平均粒径が0.3μm以上4μm以下である酸化水酸化コバルト板状粒子。
  2. 前記板状粒子の厚さに対する板面の長さの比の平均値で示される平均アスペクト比が2以上である請求項1に記載の酸化水酸化コバルト板状粒子。
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