JP5017438B2 - 電磁波吸収発熱体および電子レンジ用の調理用器具 - Google Patents

電磁波吸収発熱体および電子レンジ用の調理用器具 Download PDF

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Description

本発明は、電子レンジなどで使用される周波数の電磁波を吸収して優れた発熱性能を示す発熱体、およびそれを用いた電子レンジ用の調理用器具に関するものである。
電子レンジは、通常、2.45GHzの周波数の電磁波を食品に照射することで、食品中の水分子が電磁波を吸収して振動する現象を利用し、食品を加熱するという調理機器である。しかし、食品の状態によって加熱効率は大きく変動し、食品中の水分量が少ないもの、または冷凍状態のものは加熱されにくい。
また、電子レンジによる加熱は食品内部からになるため、食品の表面に「焦げ目」を付けることができず、焼き魚やハンバーグのように表面に焦げ目が求められる食品の加熱には適していない。
この点を解決するために、別に電気ヒータを取付けたものがあるが、ヒーター自体の発熱速度が遅いために、調理が迅速にできないという問題が残っていた。
これらの問題に対し、特許文献1および特許文献2には、陶磁器などの調理容器の内部または表面に誘電体や磁性体を挿入または塗布することで、電磁波による誘電損失または磁気損失の熱を利用し、調理容器自体を加熱する技術が提案されている。
特開平5−258857号公報 特開2002−272602号公報
しかしながら、近年の省電力化要求に対し、特許文献1および特許文献2に記載された技術では、昇温速度がいまだ不足し、調理時間、すなわちエネルギーを消費する時間の短縮化が図れないという問題を残していた。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、従来の誘電体や磁性体に比べて、昇温速度が格段に向上するだけでなく、食品の加熱に適している200〜300℃の範囲中、所期した温度で昇温を停止することができる電磁波吸収発熱体およびそれを用いた電子レンジ用の調理用器具を提供することを目的とする。
発明者らは、まず、電磁波による発熱効率を高めるため、磁性体の磁気損失に着目した。磁気損失とは、複素透磁率の虚数成分μ’’に関係し、磁気的な共鳴現象による熱的な損失をいう。従って、磁気損失が大きいほど熱の発生が多くなり、優れた発熱反応を示すことが分かっている。
なお、磁気損失により発生する熱エネルギーPは、以下の式で表すことができる。
P=(1/2)・μ’’ωH
但し、ω:角周波数(rad/s)、H:磁場の大きさ(A/m)である。
また、磁性体には大きく分けて、ケイ素鋼、パーマロイなどの金属系とフェライトと呼ばれる酸化物系とがある。ここで、金属系磁性体は電磁波を反射するため、発熱体の利用には適していないので、電磁波吸収発熱体として用いられることはない。また、酸化系磁性体は電磁波を吸収するため、電磁波を吸収する用途には、酸化物系のフェライトが従来から使用されている。
ここに、代表的なフェライトとしては、結晶構造がマグネトプランバイト型とスピネル型とがある。これらの内、マグネトプランバイト型は、組成的には、Ba系やSr系などがあり、広く永久磁石として使用されているものの、電磁波を吸収する用途に対しては実用化されていない。一方、スピネル型は、組成的には、MnZn系、NiZn系およびMgZn系フェライトがあり、主に電子部品であるトランス、チョークコイル、ノイズフィルターなどに使用されている。また、一部のスピネル型フェライトは、電磁波吸収用部材として、テレビゴースト対策用タイルおよび電波暗室用タイルなどの用途で実用化されている。
しかしながら、スピネル型フェライトのμ’’が最大値を示すのはMHz帯域の周波数である。この周波数帯域では電磁波吸収が大きいものの、GHz帯域の周波数になると、スピネル型フェライトはそれほどの電磁波吸収能を示さない。ただし、電子レンジで使用される2.45GHzの電磁波において、μ’’の値は低いがゼロではない。そのため、スピネル型フェライトはこの周波数の電磁波を多少なりとも吸収することができる。そのため、上述したような発熱用途にも用いられている。
ここに、μ’’と昇温速度との関係は、室温から目標温度までの範囲でμ’’が大きければ、昇温速度が速いと考えてよい。また、目標温度である発熱体の停止温度では、μ’’がほぼ0になる温度と考えてよい。これは、発熱体の停止温度である目標温度が、発熱体の磁性を失う温度、すなわち、キュリー温度にほぼ等しいことを意味する。
従って、発熱体の特性として、キュリー温度を目標温度である200〜300℃の温度範囲とすること。また、温度が室温から目標温度までの範囲の時および電磁波が2.45GHzの周波数帯域の範囲の時、発熱体のμ’’の値を、それぞれ従来のフェライトのμ’’の値より大きい値とすることが望まれていた。
そこで、発明者らは、上記した種々の特性を有する発熱体を得るために、フェライトの特性に関して鋭意検討を実施した。その結果、MnZn系フェライトのうち所定の組成のものが上記した特性を有していることを突き止めた。
また、通常、金属は電磁波を反射するため、それ自身は発熱体になりにくいが、電磁波が照射される面にMnZn系フェライトの粉末を塗布する、あるいはMnZn系フェライトの粉末と耐熱性樹脂とを混合して成形したシートを貼り付けることで、その塗布された粉末やシートが電磁波を吸収して優れた発熱効果を発現し、調理用器具として好適に使用できることも併せて見出した。
以上のような知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、上記知見に基づく本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)電磁波を吸収する発熱体であって、該発熱体が、Fe酸化物(FeO換算):53〜57mol%、Zn酸化物(ZnO換算):4〜11mol%およびNi酸化物(NiO換算):0.5〜4mol%を含み、残部がMn酸化物からなるMnZn系フェライトであることを特徴とする電磁波吸収発熱体。
(2)前記MnZn系フェライトが、焼結体であることを特徴とする前記(1)に記載の電磁波吸収発熱体。
(3)前記発熱体が、前記MnZn系フェライトの他さらに樹脂を20〜50mass%の範囲で含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の電磁波吸収発熱体。
(4)調理用器具の少なくとも一部に、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電磁波吸収発熱体を備えることを特徴とする電子レンジ用の調理用器具。
本発明のMnZn系フェライトの発熱体は、電子レンジの2.45GHz帯域の電磁波を吸収して急速に昇温することができると共に、200〜300℃の範囲中、所期した温度でその昇温を適切に停止することができる。その結果、加熱速度が早く、かつ個々の食品に対して最適な温度で加熱することができる、種々の電子レンジ用の調理用器具を提供することができる。
本発明のMnZn系フェライトを用いた場合の表面温度測定結果と比較材の表面温度測定結果とを示した図である。 本発明のMnZn系フェライト焼結体とそれを装着した耐熱ガラス製皿を示した断面図である。 本発明のMnZn系フェライトを用いた場合の表面温度測定結果と比較材の表面温度測定結果とを示した図である。 本発明のMnZn系フェライトを表面に有するステンレス製容器の断面図である。 本発明のMnZn系フェライトを用いた場合の表面温度測定結果と比較材の表面温度測定結果とを示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
前述したように、電磁波吸収体の発熱が停止する温度は、磁性体のキュリー温度にほぼ等しい。キュリー温度は、磁性体の磁性が失われる温度であるため、その温度では、磁性損失、すなわち電磁波の吸収がなくなって、もはや発熱せずに放熱のみとなる。しかし、放熱のみとなると、磁性体の温度が下がるために、磁性が復活し再び発熱する。
このようにして、MnZn系フェライトの発熱体は一定の温度域に保持される。
本発明において、発熱停止とは電磁波吸収体の発熱と放熱が釣り合っている状態を言う。従って、キュリー温度が高いと発熱停止温度は高くなり、キュリー温度が低いと発熱停止温度は低くなる。そのため、発熱停止温度を調整するためには、キュリー温度を最適な範囲にする必要があるが、キュリー温度はフェライトの成分組成に密接に関係するために、それぞれの組成の含有量を適切な値にする必要がある。
また、本発明では、昇温速度が速いことも特徴である。そのためには、前記したμ’’が、室温から目標温度までの範囲で、かつ電磁波が2.45GHzの周波数帯域において、従来のフェライトより大きいことが必要である。
そこで、本発明では、発熱体であるMnZn系フェライトの各成分を、次に示す酸化物換算で以下の範囲に限定した。
FeO:53〜57mol%
本発明では、発熱体の停止温度を、調理に適した200〜300℃の範囲にする。FeOの含有量が53mol%未満の場合、キュリー温度が下がり過ぎ、発熱体の停止温度を200℃以上にできない。一方、57mol%超の場合、キュリー温度が上がり過ぎ、発熱体の停止温度を300℃以下にできない。従って、FeOの含有量は53〜57mol%の範囲とする。
ZnO:4〜11mol%
キュリー温度は、FeOの含有量に関係するのと同様にZnOの含有量にも関係する。ZnOの含有量が4mol%未満では、キュリー温度が上がり過ぎ、発熱体の停止温度を300℃以下にできない。一方、11mol%超では、キュリー温度が下がり過ぎ、発熱体の停止温度を200℃以上にできない。従って、ZnOの含有量は4〜11mol%の範囲とする。
NiO:0.5〜4mol%
前記したμ’’の値に関係するのが、NiOの含有量である。
NiOの含有量が0.5mol%に満たないと、2.45GHzの周波数帯域でのμ’’の値は、室温では大きいものの、発熱体の温度が高くなると小さくなり過ぎてしまう。そのため、発熱体の温度の立ち上がりは速いものの、その後遅くなってしまうので、結果的に発熱停止温度までの到達温度が長くなってしまう。一方、4mol%を超えると、2.45GHzの周波数帯域でのμ’’の値は、発熱体の温度が高い場合に大きくなるものの、室温では小さくなり過ぎてしまう。そのため、発熱体の温度の立ち上がりが遅くなり、結果的に発熱停止温度までの到達温度が長くなってしまう。従って、NiOの含有量は0.5〜4mol%の範囲とする。
本発明における基本成分は、上記したとおりであり、残部はMn酸化物である。ここに、Mn酸化物の含有量は、キュリー温度にも昇温速度にも影響がないため、その含有量に特段の限定の必要はなく、上記した成分の残部を調整する含有量でよい。
本発明におけるMnZn系フェライトは、粉末状またはバルク状(焼結体)で供することができる。ここに、その態様は、用途または調理用器具の種類や形状によって適宜選択されるが、主に粉末状のMnZn系フェライトは、耐熱樹脂との混合による成形体またはシートに用いるのに適しており、一方、バルク状のMnZn系フェライトは、陶磁器などの内部に埋め込んで用いるのに適している。
本発明に用いる耐熱樹脂は、シリコーン樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等が挙げられ、樹脂の添加量は、20〜50mass%程度とすることが好ましい。
ついで、本発明の電磁波吸収発熱体の代表的な製造方法について説明する。
まず、Fe2O3、ZnO、NiOおよびMn3O4など、Fe,Zn,NiおよびMnの各酸化物を出発原料とする。なお、本発明では、上記酸化物の化合形態に特段の制限はなく、従来公知の酸化物のいずれもが使用できる。
ついで、各原料を本発明に従う所定の組成となるように秤量し、混合器を用いて混合する。その後、大気中において800〜1200℃で仮焼する。仮焼後、平均粒度が1μm程度になるまで粉砕する。その後、得られた粉末に結合剤を入れ、造粒し、適当な金型で成形する。ついで、窒素雰囲気中、1300〜1400℃で本焼成して焼結したバルクを得る。さらに、粉末として使用する場合は、上記バルクを、粉砕機等で解砕して平均粒径を数μm程度の任意の粒径の粉末とすればよい。
上記した方法で得られた電磁波吸収発熱体であるMnZn系フェライト粉末と前記した耐熱樹脂とを、混合して所定の形に成形し、電子レンジの電磁波による発熱体として用いることができる。また、MnZn系フェライト粉末と耐熱樹脂などを混合し、陶磁器またはガラス製容器の内部あるいは表面に塗布、または接着等、装着し、電子レンジの電磁波によって発熱する調理用器具を作製することができる。さらに、MnZn系フェライト粉末と耐熱樹脂などを混合し、金属製板や金属製容器の電磁波照射面(電磁波に対し対向する面)に塗布あるいは接着等することで、電子レンジの電磁波によって発熱する発熱体や調理用器具を作製することができる。
ここに、上記したMnZn系フェライト粉末と耐熱樹脂との混合物を、単独で容器に成形しても、本発明に従う電子レンジの電磁波によって発熱する調理用器具とすることができる。
以下に、本発明の実施例を記載する。
〔実施例1〕
組成を、次に示した酸化物換算(以下、単に組成という)で、Fe2O3:55.0mol%,ZnO:7.5mol%,NiO:2.5mol%およびMnO:35.0mol%とし、組織の平均粒径が約20μmのMnZn系フェライト粉と、シリコーン樹脂とを、フェライト粉:樹脂=75:25の質量比で混練し、40mm×40mm×1mmのシートを作製した。得られたシートを市販の電子レンジの中に置き、500Wの電磁波を10秒〜120秒間照射した時のシートの温度を赤外放射温度計で測定した。
次に、比較材として、本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト粉やNiZn系フェライト粉、誘電体のBaTiO3粉やTiO2粉も同様の工程でシートを作製し、上記と同様に試験を実施した。なお、本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト粉の組成を、Fe2O3:52.8mol%,MnO:35.3mol%,ZnO:11.9mol%とし、NiZn系フェライト粉の組成を、Fe2O3:49.0mol%,NiO:21.9mol%,ZnO:23.1mol%,CuO:6.0mol%とした。
上記した本発明のMnZn系フェライトを用いた場合の表面温度測定結果と比較材を用いた場合の表面温度測定結果とを図1に示す。
同図に示したとおり、本発明のMnZn系フェライト粉のシートは、本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト粉、NiZn系フェライト粉、BaTiO3粉およびTiO2粉のシートに比べて、昇温速度が速いことが分かる。
〔実施例2〕
組成が、Fe2O3:55.0mol%,ZnO:7.5mol%,NiO:2.5mol%,MnO:35.0mol%で、150mm×150mm×10mmのタイル状の焼結体を作製した。このMnZn系フェライト焼結体を、図2に示す耐熱ガラス製の皿状容器の底部に合うように、120mmφ×7mm厚に加工し、熱硬化性樹脂で装着した。この皿状容器を市販の電子レンジの中に置き、800Wの電磁波を10秒〜300秒間照射した時の、測温として同図に図示した皿上面中央部の温度を赤外放射温度計で測定した。
次に、比較材として、同様に本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト焼結体およびNiZn系フェライト焼結体を耐熱ガラス製の皿状容器の底部にそれぞれ装着したもの、また、何も装着しない耐熱ガラス製の皿状容器を用意し、上記と同様に電磁波を照射する試験を実施した。なお、本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト粉の組成を、Fe2O3:52.8mol%,MnO:35.3mol%,ZnO:11.9mol%とし、NiZn系フェライト粉の組成を、Fe2O3:49.0mol%,NiO:21.9mol%,ZnO:23.1mol%,CuO:6.0mol%とした。
本発明のMnZn系フェライトを用いた場合の表面温度測定結果と比較材を用いた場合の表面温度測定結果とを図3に示す。
同図に示したとおり、何も装着しない耐熱ガラス製の皿状容器は、ほとんど昇温していないことが分かる。一方、本発明のMnZn系フェライト焼結体を装着した皿状容器の昇温速度は、本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト焼結体や、NiZn系フェライト焼結体を装着した皿状容器の昇温速度と比べると、極めて速く、また昇温停止温度に到達後の温度変動が小さいことが分かる。
〔実施例3〕
組成が、Fe2O3:53.5mol%,ZnO:8.0mol%,NiO:2.0mol%,MnO:37.0mol%で、平均粒径が約15μmのMnZn系フェライト粉とシリコーン樹脂とを、フェライト粉:樹脂=70:30の重量比で混練した後、図4に示すステンレス製容器の外側に1mm厚で塗布した。この容器を市販の電子レンジの中に置き、600Wの電磁波を10秒〜180秒間照射した時の、同図に示した容器側面部の温度を赤外放射温度計で測定した。
次に、比較例として、同様に本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト粉末にシリコーン樹脂を混練したものを塗布したステンレス製容器、および何も塗布しないステンレス製容器を用意し、上記と同様に電磁波を照射する試験を実施した。なお、MnZn系フェライト粉の組成を、Fe2O3:52.8mol%,MnO:35.3mol%,ZnO:11.9mol%とした。
本発明のMnZn系フェライトを用いた場合の表面温度測定結果と比較材を用いた場合の表面温度測定結果とを図5に示す。
同図に示したとおり、何も装着しないステンレス製容器は、ほとんど昇温していないことが分かる。一方、本発明のMnZn系フェライト焼結体を塗布したステンレス製容器の昇温速度は、本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト焼結体を塗布したステンレス製容器の昇温速度に比べると速いことが分かる。
〔実施例4〕
表1に示す組成になるMnZn系フェライト粉とシリコーン樹脂とを、フェライト粉:樹脂=80:20の質量比で混練し、40mm×40mm×2mmのシートを作製した。得られたシートを市販の電子レンジの中に置き500Wの電磁波を照射して、シートの温度が赤外放射温度計で200℃となるまでの時間を測定した。また、シートの昇温が停止する温度、および停止までにかかった時間を併せて測定した。
次に、比較例として、表1に示したように、本発明の組成範囲を外れるMnZn系フェライト粉やNiZn系フェライト粉、MgZn系フェライト粉、および誘電体のMnO2粉やグラファイトのシートを、上記と同様に電磁波を照射する試験を実施した。
本発明のMnZn系フェライトを用いた場合の表面温度測定結果と比較例の表面温度測定結果とを表1に併記する。
なお、表中の評価は、
○:昇温停止温度が目標温度の200〜300℃を満たし、かつ試料温度が200℃になる電磁波照射時間が40秒以内である
△:昇温停止温度は目標温度の200〜300℃を満たすが、試料温度が200℃になる電磁波照射時間が40秒を超える
×:昇温停止温度が200℃より低い、もしくは昇温が停止せず試料温度が上がり続ける、またはスパークが発生する
とした。
同表に示したとおり、本発明のMnZn系フェライトの昇温特性は、どの比較例と比べても良好で、200℃になるまでの時間およびシートの昇温が最終的に停止するまでの時間が共に短く、かつ停止温度がいずれも200〜300℃の範囲であり、最も食品の加熱に適した温度域で昇温を停止することが分かる。
また、同表より、本発明のMnZn系フェライト発熱体は、そのいずれもが、昇温の停止する目標温度と実際に昇温の停止する温度との差がわずか10〜35℃程度の範囲内であることが分かる。
所定の組成のMnZn系フェライトを電磁波吸収発熱体として被加熱物に装着することで、効果的に電子レンジの電磁波を吸収して、被加熱物を急速に加熱することができる。その結果、電子レンジの使用が短時間で済むため、省エネルギーにも貢献でき、さらに、このような短時間の処理でも食品の正面に「焦げ目」を付けることが可能となる。

Claims (4)

  1. 電磁波を吸収する発熱体であって、該発熱体が、Fe酸化物(FeO換算):53〜57mol%、Zn酸化物(ZnO換算):4〜11mol%およびNi酸化物(NiO換算):0.5〜4mol%を含み、残部がMn酸化物からなるMnZn系フェライトであることを特徴とする電磁波吸収発熱体。
  2. 前記MnZn系フェライトが、焼結体であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収発熱体。
  3. 前記発熱体が、前記MnZn系フェライトの他さらに樹脂を20〜50mass%の範囲で含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波吸収発熱体。
  4. 調理用器具の少なくとも一部に、請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収発熱体を備えることを特徴とする電子レンジ用の調理用器具。
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