JP5546671B2 - 電磁波吸収発熱体および電子レンジ用の調理用器具 - Google Patents

電磁波吸収発熱体および電子レンジ用の調理用器具 Download PDF

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Description

本発明は、電子レンジなどで使用される2.45GHzの電磁波を吸収して優れた発熱性能を示す発熱体、およびそれを用いた電子レンジ用の調理用器具に関するものである。
電子レンジは、2.45GHzの電磁波を食品に照射して、食品中の水分子が電磁波を吸収し、振動する現象を利用して食品を加熱する調理機器である。しかし、食品の状態によって加熱効率は大きく変動し、食品中の水分量が少ないもの、または冷凍状態のものは加熱されにくい。
また、電子レンジによる加熱は食品内部からになるため、食品の表面に「焦げ目」を付けることができず、焼き魚やハンバーグのように表面に焦げ目が求められる食品の加熱には適していない。
この点を解決するために、別に電気ヒータを取付けたものがあるが、ヒータ自体の発熱速度が遅いために、調理が迅速にできないという問題が残っていた。
これらの問題に対し、特許文献1および特許文献2には、陶磁器などの調理容器の内部または表面に誘電体や磁性体を挿入または塗布することで、電磁波による誘電損失または磁気損失の熱を利用し、調理容器自体を加熱する技術が提案されている。
特開平5−258857号公報 特開2002−272602号公報
しかしながら、近年の省電力化要求に対し、特許文献1および特許文献2に記載された技術では、昇温速度がいまだ不足しているという問題を残していた。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、従来の誘電体や磁性体に比べて、昇温速度が格段に向上し、しかも食品の加熱に適した200〜300℃の範囲で昇温が停止する電磁波吸収発熱体およびそれを用いた調理用器具を提供することを目的とする。
発明者らは、まず、電磁波による発熱効率を高めるため、磁性体の磁気損失に着目した。磁気損失とは、複素透磁率の虚数成分μ’’に関係し、磁気的な共鳴現象による熱的な損失をいう。従って、磁気損失が大きいほど熱の発生が多くなり、優れた発熱反応を示すことが分かっている。
また、磁性体には大きく分けて、ケイ素鋼、パーマロイなどの金属系とフェライトと呼ばれる酸化物系がある。ここで、金属系磁性体は電磁波を反射するため、発熱体の利用には適さないことが分かっている。
従来から、電磁波吸収発熱体として提案されている磁性体としては、スピネル型と呼ばれるMnZn系、NiZn系立方晶フェライトがある。これらフェライトは一般的に、電子部品であるトランス、チョークコイル、ノイズフィルターなどに使用され、高周波電流・電圧を制御する。
また、電波吸収用途として、テレビゴースト対策用などに利用されるフェライトタイルがある。但し、MnZn系、NiZn系立方晶フェライトは、その特性上、実用の周波数がメガヘルツ帯域である。そのため、電子レンジの2.45GHzでは、磁気的性質が弱まり、複素透磁率の虚数成分μ’’の値が小さくなり、発熱効率も決して高くない。
従って、発熱性能をより高めるには、2.45GHzの周波数帯でより大きなμ’’を示すフェライトが求められている
近年、ギガヘルツ帯域用のフェライトとして、六方晶フェライトが研究されている。この六方晶フェライトにはいくつかの結晶構造があり、一番良く知られているのがM型と呼ばれ、永久磁石として広く利用されている。
本発明では、六方晶フェライトの中でも、電磁波吸収体として期待ができるY型に着目した。というのは、Y型六方晶フェライトは、ギガヘルツの周波数帯域において、不要ノイズの電磁波吸収体としての用途が従来から考えられていたためである。
しかし、電磁波吸収による発熱体として用いられたことは無かった。
Y型六方晶フェライトは、電子レンジの2.45GHzの電磁波中でも磁気的性質を保っていることが知られている。そのため、MnZn系、NiZn系立方晶フェライトよりも大きな発熱特性を示す可能性が考えられる。
また、Y型六方晶フェライトは、強磁性体であるため、温度を上げた場合に、磁気的性質が失われる温度、つまりキュリー温度を有している。そのため、発熱体として利用した場合、その発熱体の温度がキュリー温度近傍で停止することが期待できる。
さらに、Y型六方晶フェライトは、いろいろな元素置換が可能であることから、この元素置換を行うことでキュリー温度を変えることができる。つまり、加熱時の到達温度を制御できる可能性がある。
そこで、上述した種々の考察を確認すべく、以下の実験を行った。
まず、Ba2M2Fe12O22になるY型六方晶フェライトの粉末を作製した。なお、Mは、Mg,Ni,Co,CuおよびZnの内から1種または2種以上の組合せを適宜選択(以下、本発明に置いてMは同義に使用する)し、Baを一部Srと置換したものも作製した。このY型六方晶フェライトの粉末を、耐熱性樹脂と混合し、所定の形状に成形した。この成形体を電子レンジ中に入れ、電磁波を印加した時の昇温特性を確認した。
ついで、MnZn系、NiZn系立方晶フェライトおよび各種誘電体も同様にして耐熱性樹脂と混合して成形体を作製し、比較実験を行った。
その結果、Y型六方晶フェライトの昇温速度が最も大きく、昇温停止温度も、食品加熱に適した200〜300℃に制御できることが分かった。さらに、このY型六方晶フェライトを陶磁器およびガラス製容器の、内部に挿入してまたは表面に塗布することによって、電子レンジで発熱する調理器具として利用できることも合わせて見出した。
また、通常、金属は電磁波を反射するため、発熱体にはなりにくいが、電磁波が照射される面にY型六方晶フェライトの粉末を塗布する、あるいはY型六方晶フェライトの粉末と耐熱性樹脂とを混合したシートを貼り付けることによって、そのシートが電磁波を吸収し、優れた発熱効果を有し、調理器具に適用できることも見出した。
以上のような知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、上記知見に基づく本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)電磁波を吸収する発熱体であって、該発熱体がY型六方晶フェライトからなり、
前記Y型六方晶フェライトが、次式
式:(Ba1-nSrFe
Mは、Mg単独、またはMgならびにその一部がNi,Co,CuおよびZnのうちから選ばれた1種または2種以上であり、
x:1.8〜2.2
y:1.8〜2.2
z:11.8〜12.2
w:21.8〜22.2
n:0.1〜0.25
の組成になることを特徴とする電磁波吸収発熱体。
(2)前記Y型六方晶フェライトが焼結体であることを特徴とする前記(1)に記載の電磁波吸収発熱体。
(3)前記電磁波吸収発熱体が、前記Y型六方晶フェライトの他さらに樹脂を20〜50mass%の範囲で含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の電磁波吸収発熱体。
(4)調理用器具の少なくとも一部に、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電磁波吸収発熱体を有することを特徴とする電子レンジ用の調理用器具。
本発明のY型六方晶フェライトを電磁波吸収発熱体として用いることにより、電子レンジの2.45GHzの電磁波を吸収して急速に加熱すると共に、所定の温度でその昇温を停止することができる。その結果、個々の食品に適した温度で加熱することができる種々の電子レンジ用の調理用器具を提供することができる。
Y型六方晶フェライトを用いた場合の温度測定結果と比較材の温度測定結果とを示した図である。 Y型六方晶フェライト焼結体とそれを装着した耐熱ガラス製皿を示した断面図である。 Y型六方晶フェライトを用いた場合の温度測定結果と比較材の温度測定結果とを示した図である。 Y型六方晶フェライトとステンレス製容器からなる調理用器具の断面図である。 Y型六方晶フェライトを用いた場合の温度測定結果と比較材の温度測定結果とを示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、発熱体が六方晶フェライトの中でも特に、Y型であることが最も重要なところである。
前述したとおり、電磁波を印加した場合、Y型六方晶フェライトは種々の誘電体および磁性体の中でも特に優れた昇温速度を示した。なお、六方晶フェライトは、Y型の他に、M,W,Z型があるが、このY型というのは通常のX線回折法により相同定が可能である。
ここに、Y型六方晶フェライトの基本組成式は、A22Fe1222(AはBa,Sr等、MはMg,Zn等)で示される。
本発明では、上記の組成で示されるY型六方晶フェライトを発熱体として用いるが、かかるY型六方晶フェライトの中でも、次式で表され、
式:(Ba1-nSrFe
Mは、前述したとおり、Mg単独、またはMgならびにその一部をNi,Co,CuおよびZnのうちから選ばれた1種または2種以上であり、また、係数x、y、z、wおよびnがそれぞれ、
x:1.8〜2.2
y:1.8〜2.2
z:11.8〜12.2
w:21.8〜22.2
n:0.1〜0.25
で示される組成のものがとりわけ有利に適合する。
以下に、上記した好適組成範囲の設定理由を説明する。
x:1.8〜2.2
xは、後述するBa+Srの原子比を表す。その値が1.8以上2.2以下の範囲を逸脱すると、Y型相以外に、MFeなどの異相が出現するため、本発明の所定の性質、性能等を発揮できないおそれがある。
y:1.8〜2.2
yは、Mの原子比である。その値が1.8以上2.2以下の範囲を逸脱すると、Y型相以外に、MFeなどの異相が出現するため、本発明の所定の性質、性能等を発揮できないおそれがある。
n:0.1〜0.25
nは、Ba中の置換したSrの原子比を表す。その値は、0.25以下に限定することが好ましい、というのは、0.25を超えると、前記したμ’’が低下するため、本発明の所定の性質、性能等を発揮できないおそれがあるからである。
なお、n値の下限は0.1とする。n値が0.1以上の場合、目標温度との差が小さくなるからである。
z:11.8〜12.2、w:21.8〜22.2
zはFe、wはOの原子比を表し、いずれもフェライトの主成分である。これらの値は、上記したその他の成分に応じて変動することができる。但し、zは11.8〜12.2、また、wは21.8〜22.2の範囲とすることが好ましい。
本発明は、上記のMとして金属元素を有しているところに特徴がある。このMは、種々の組合せが可能であるが、前記した元素またはその組合せ群により、前述したとおりに、いわゆるキュリー温度を適宜変えることができる。つまり、本発明の電磁波吸収発熱体は、その高い昇温速度を維持しながら、昇温停止温度を、100〜400℃のなかで設定することができる。
特に、250℃前後の一般的な食品を加熱するのに最も適した組成は、例えば、上記したMとして、Mg単独またはMgならびにその一部をNi,Co,CuおよびZnとした組成である。
本発明の電磁波吸収発熱体は、粉末または焼結体で供することができるが、樹脂に混合して用いることもできる。
なお、本発明に用いる樹脂は、シリコーン樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等が挙げられ、樹脂の添加量は、20〜50mass%程度とすることが好ましい。
ついで、本発明の電磁波吸収発熱体の代表的な製造方法について説明する。
まず、Fe2O3、BaCO3、MOを出発原料とする。ついで、各原料をY型六方晶フェライトの組成となるように秤量し、混合器を用いて混合する。その後、1000〜1200℃で焼成する。焼成後は粉砕機等で解砕し、平均粒径を数μm程度の粉末とする。
焼結体とするためには、上記した粉末に結合剤等を入れ造粒した後、金型等で成形し、1000〜1200℃で再び焼結すればよい。この焼結体は、単独で用いることもできるし、陶磁器等の容器に組込んで使用することもできる。
粉末および焼結体の態様は、用途または使用する調理器具の種類によって、適宜選択される。
例えば、上記した方法で得られた電磁波吸収発熱体であるY型六方晶フェライト粉末と耐熱樹脂を、混合し、所定の形に成形し、電子レンジの電磁波による発熱体として用いることができる。また、上記のY型六方晶フェライト粉末と耐熱樹脂などを混合し、陶磁器またはガラス製容器の内部に挿入あるいは表面に塗布または接着等することによって、電子レンジの電磁波による発熱体として用いることができる。さらに、上記のY型六方晶フェライト粉末と耐熱樹脂などを混合し、金属製板や金属製容器の電磁波照射面(電磁波に対し対向する面)に塗布あるいは接着等することで、電子レンジの電磁波による発熱体として用いることができる。
ここに、上記した樹脂との混合物は、単独で容器に成形しても用いることもできる。
以下に、本発明の実施例を記載する。
〔参考例1〕
原料として、BaCO3,MgO,Fe2O3を使用し、それらのモル比率がBaCO3:MgO:Fe2O3=2:2:6となるように秤量し、ボールミルで湿式混合する。ついで、乾燥をし、大気中1150℃×3時間で焼成した、その後、焼成体を解砕し、平均粒径が約3.5μmのBa2Mg2Fe12O22のY型六方晶フェライト粉を得た。この粉末にシリコーン樹脂を、フェライト粉:樹脂=75:25の質量比率で混練し、40mm×40mm×1mmのシートを作製した。得られたシートを市販の電子レンジの中に置き、500Wの電磁波を10秒〜120秒間照射した時のシートの温度を赤外放射温度計で測定した。
次に、比較材として、立方晶フェライトのMnZn系フェライト粉やNiZn系フェライト粉、および誘電体のBaTiO3粉やTiO2粉も同様の工程でシートを作製し、上記と同様に試験を実施した。なお、MnZn系フェライト粉の組成は、酸化物換算でFe2O3=52.8mol%,MnO=35.3mol%,ZnO=11.9mol%とし、NiZn系フェライト粉の組成は、Fe2O3=49.0mol%,NiO=21.9mol%,ZnO=23.1mol%,CuO=6.0mol%とした。
上記したY型六方晶フェライトを用いた場合の測定結果と比較材を用いた場合の測定結果とを図1に示す。
同図に示したとおり、Y型六方晶フェライト粉のシートは、MnZn系フェライト粉、NiZn系フェライト粉、BaTiO3粉およびTiO2粉のシートに比べて、昇温速度が速いことが分かる。
〔参考例2〕
原料として、BaCO3,MgO,Fe2O3を使用し、それらのモル比率がBaCO3:MgO:Fe2O3=2:2:6となるように秤量し、振動ミルで乾式混合する。ついで、大気中950℃×2時間で仮焼した、その後、アトライターミルで湿式解砕し、平均粒径が約1.5μmのBa2Mg2Fe12O22のY型六方晶フェライト仮焼粉を得た。この仮焼粉にバインダーとしてPVA水溶液を加え、スプレイドライヤーを用いて、粒径が50〜150μm程度の造粒粉を得た。
次に、この造粒粉を金型に充填し、プレス成形を施した後、大気中1150℃×3時間で焼成し、150mm×150mm×10mmのタイル状の焼結体を作製した。このY型六方晶フェライト焼結体を図2に示す耐熱ガラス製の皿状容器の底部に合うように、120mmφ×7mm厚に加工し、熱硬化性樹脂で装着した。この皿状容器を市販の電子レンジの中に置き、800Wの電磁波を10秒〜300秒間照射した時の、同図に示した皿上面中央部の温度を赤外放射温度計で測定した。
次に、比較材として、同様にNiZn系フェライト焼結体を耐熱ガラス製の皿状容器の底部に装着したもの、および何も装着しない耐熱ガラス製の皿状容器を用意し、上記と同様に試験を実施した。なお、NiZn系フェライト粉の組成は、Fe2O3=49.0mol%,NiO=21.9mol%,ZnO=23.1mol%,CuO=6.0mol%とした。
上記したY型六方晶フェライトを用いた場合の測定結果と比較材を用いた場合の測定結果とを図3に示す。
同図に示したとおり、何も装着しない耐熱ガラス製の皿状容器は、ほとんど昇温していないことが分かる。一方、Y型六方晶フェライト焼結体を装着した皿状容器の昇温速度は、NiZn系フェライト焼結体を装着した皿状容器の昇温速度と比べると、極めて速く、また昇温停止温度到達後の温度変動が小さいことが分かる。
〔参考例3〕
原料として、BaCO3,MgO,NiO,Fe2O3を使用し、それらのモル比率がBaCO3:MgO:NiO:Fe2O3=2:1.6:0.4:6となるように秤量し、ボールミルで湿式混合する。ついで、乾燥をし、大気中1150℃×3時間で焼成した、その後、焼成体を解砕し、平均粒径が約3.9μmのBa2(Mg0.8Ni0.2)2Fe12O22のY型六方晶フェライト粉を得た。この粉末にシリコーン樹脂を、フェライト粉:樹脂=70:30の重量比率で混練した後、図4に示すステンレス製容器の外側に1mm厚で塗布した。この容器を市販の電子レンジの中に置き、600Wの電磁波を10秒〜180秒間照射した時の、同図に示した容器側面部の温度を赤外放射温度計で測定した。
次に、比較例として、同様にMnZn系フェライト粉末にシリコーン樹脂を混練したものを塗布したステンレス製容器、および何も塗布しないステンレス製容器を用意し、上記と同様に試験を実施した。なお、MnZn系フェライト粉の組成は、Fe2O3=52.8mol%,MnO=35.3mol%,ZnO=11.9mol%とした。
上記したY型六方晶フェライトを用いた場合の測定結果と比較材を用いた場合の測定結果とを図5に示す。
同図に示したとおり、何も装着しないステンレス製容器は、ほとんど昇温していないことが分かる。一方、Y型六方晶フェライト焼結体を塗布したステンレス製容器の昇温速度は、NiZn系フェライト焼結体を塗布したステンレス製容器の昇温速度に比べると速く、また昇温停止温度到達後の温度変動が小さいことが分かる。
〔実施例1〕
表1に示す組成になるY型六方晶フェライト粉を、参考例1と同様な方法および条件で作製した。この粉末にシリコーン樹脂を、フェライト粉:樹脂=80:20の質量比率で混練し、40mm×40mm×2mmのシートを作製した。得られたシートを市販の電子レンジの中に置き500Wの電磁波を照射して、シートの温度が赤外放射温度計で200℃となるまでの時間を測定した。また、シートの昇温が停止する温度、およびそこまでかかった時間を併せて測定した。
次に、比較例として、表1に示した組成になる立方晶フェライトのMnZn系フェライト粉やNiZn系フェライト粉、および誘電体のMnO2粉やグラファイトも同様の工程でシートとし、上記と同様に試験を実施した。
上記した本発明のY型六方晶フェライトを用いた場合の測定結果と比較例の測定結果とを表1に併記する。
Figure 0005546671
同表に示したとおり、本発明のY型六方晶フェライトの昇温特性は、どの比較例と比べても良好で、200℃になるまでの時間、シートの昇温の停止までの時間は共に短く、かつ停止温度は、200〜300℃であり、最も食品の加熱に適した温度域が実現できていることが分かる。
また、同表より、10〜30℃程度の差で、昇温が停止する目標温度を達成できていることが分かる。
本発明に従い、Y型六方晶フェライトを電磁波吸収発熱体として用いることで、効果的に電子レンジの電磁波を吸収して、被加熱物を急速に加熱することができる。その結果、電子レンジの使用が短時間で済むため、省エネルギーにも貢献でき、さらに、このような短時間の処理でも「焦げ目」を付けることが可能となる。

Claims (4)

  1. 電磁波を吸収する発熱体であって、該発熱体がY型六方晶フェライトからなり、
    前記Y型六方晶フェライトが、次式
    式:(Ba1-nSrFe
    Mは、Mg単独、またはMgならびにその一部がNi,Co,CuおよびZnのうちから選ばれた1種または2種以上であり、
    x:1.8〜2.2
    y:1.8〜2.2
    z:11.8〜12.2
    w:21.8〜22.2
    n:0.1〜0.25
    の組成になることを特徴とする電磁波吸収発熱体。
  2. 前記Y型六方晶フェライトが焼結体であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収発熱体。
  3. 前記電磁波吸収発熱体が、前記Y型六方晶フェライトの他さらに樹脂を20〜50mass%の範囲で含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波吸収発熱体。
  4. 調理用器具の少なくとも一部に、請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収発熱体を有することを特徴とする電子レンジ用の調理用器具。
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