JP2016201358A - マイクロ波吸収発熱粉およびマイクロ波吸収発熱体 - Google Patents

マイクロ波吸収発熱粉およびマイクロ波吸収発熱体 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の温度で昇温停止できるだけでなく、昇温停止温度までより高速に到達可能なマイクロ波吸収発熱体に供して有利なマイクロ波吸収発熱粉を提供する。【解決手段】MnZn系フェライトを66〜96mass%、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン(アナターゼ型)およびZnO−SiO2複合粉の群から選ばれる少なくとも1種を合計で4〜34mass%の範囲とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子レンジなどで使用される周波数の電磁波(マイクロ波)を吸収して優れた発熱性能を示す発熱粉およびそれを用いた発熱体に関するものである。特に、本発熱体は、電子レンジ用発熱調理器、マイクロ波を利用した保温材および温熱医療用発熱体を始めとして産業用加熱用途などに広く利用することができる。
電子レンジは、通常、2.45GHzのマイクロ波を食品に照射し、食品中の水分子がマイクロ波を吸収して振動する現象を利用し、食品を加熱する調理機器である。ちなみに、マイクロ波を吸収できるのは水分子に限定されるものではなく、誘電損失や磁気損失の高い材料であれば、食品と同様にマイクロ波を吸収して温度が上昇することが知られている。
かように、誘電損失を利用したマイクロ波吸収発熱体は、マイクロ波を吸収すると、温度上昇をし続けるため、安全に使用するためには、発熱体中の発熱粉の含有量を調整して放熱とのバランスを考慮する必要があった。
そして、このように含有量を調整すると、昇温速度が低下するという問題がある。
そこで、発明者らは、磁性体であるMnZn系フェライトに注目して、マイクロ波を吸収して優れた発熱性能(昇温速度)を示し、なおかつ、所定温度で昇温を停止するマイクロ波吸収発熱体用MnZn系フェライトを提案した(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術は、優れた昇温特性を有すると共に、キュリー温度で磁性体の磁気損失がなくなる性質を利用して所望の温度でその昇温を止めることができるという優れた技術である。なお、特許文献1に記載のMnZn系フェライト粉:75mass%と樹脂:25mass%からなるシート状発熱体(40×40×1mm)は、500Wのマイクロ波を30秒程度照射することで190℃まで急速に温度上昇することができる。
特許第5017438号公報
しかしながら、ヒーターの加熱時間の短縮、すなわち食材の調理時間の短縮や、発熱粉の使用量の削減などの観点から、より使用量が少なく、より高速で所定の温度まで昇温できるフェライト粉が望まれていた。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、所望の温度で昇温停止できるだけでなく、昇温停止温度までより高速に到達可能であり、かつ、より少ない発熱粉量で従来並み以上の発熱性能を有するマイクロ波吸収発熱粉を、それを用いたマイクロ波吸収発熱体と共に提案することを目的とする。
発明者らは、前記した発熱体用MnZn系フェライト粉の昇温速度をさらに高めるために、誘電体である添加物を添加した際の、MnZn系フェライト粉の昇温速度を比較した。その結果、ある特定の添加物をMnZn系フェライト粉に加えて混合粉とすることによって、昇温速度の向上が認められることを見出した。
この知見に基づき、MnZn系フェライトの一部をある特定の添加物で置き換えることで、MnZn系フェライト粉の昇温停止挙動を300℃以下に維持したまま、昇温の高速化が期待できると考え、さらに研究を重ねて本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.MnZn系フェライトを66〜96mass%の範囲で含み、かつ酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン(アナターゼ型)およびZnO−SiO2複合粉の群から選んだ1種以上を合計で4〜34mass%の範囲で含む成分組成を有するマイクロ波吸収発熱粉。
2.前記MnZn系フェライトが、
Fe酸化物がFe23換算で50〜60mol%、およびZn酸化物がZnO換算で0〜26mol%(ゼロは含まず)を含み、残部がMn酸化物および不可避的不純物からなる前記1に記載のマイクロ波吸収発熱粉。
3.前記MnZn系フェライトが、
Fe酸化物がFe23換算で50〜60mol%、Zn酸化物がZnO換算で0〜26mol%(ゼロは含まず)、
およびNi酸化物がNiO換算で0〜4mol%(ゼロは含まず)を含み、残部がMn酸化物および不可避的不純物からなる前記1に記載のマイクロ波吸収発熱粉。
4.前記1〜3のいずれかに記載のマイクロ波吸収発熱粉を40〜85mass%の範囲で含有し、樹脂を15〜60mass%の範囲で含有するマイクロ波吸収発熱体。
本発明に従うマイクロ波吸収発熱粉およびそれを用いたマイクロ波吸収発熱体は、電子レンジの2.45GHzのマイクロ波を効果的に吸収して急速に発熱、昇温し、かつ、100〜300℃の所望の温度で昇温を停止することができる。
また、本発明に従うマイクロ波吸収発熱体は、マイクロ波出力:500Wの場合、30秒という短時間で、昇温停止温度の80%以上の温度まで急速昇温することができる。
さらに、本発明に従うマイクロ波吸収発熱粉をマイクロ波吸収発熱体に用いれば、50mass%程度の少ない発熱粉量であっても、従来の75mass%程度の発熱粉量の場合と同等以上の発熱性能を得ることができる。
本発明の複合発熱粉を用いた発熱シートを用いた場合の表面温度測定結果と比較材の表面温度とを示した図である。 本発明の複合発熱粉を用いた発熱シートを用いた場合の表面温度測定結果と比較材の表面温度とを示した図である。 本発明の複合発熱粉を用いた発熱シートを用いた場合の表面温度測定結果と比較材の表面温度とを示した図である。 本発明の複合発熱粉を用いた発熱シートを用いた場合の表面温度測定結果と比較材の表面温度とを示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明のMnZn系フェライト粉の基本組成について説明する。鉄酸化物:Fe23換算で50〜60mol%
鉄は、フェライト相の安定性に大きく影響することで、マイクロ波印加による発熱性能に作用する。鉄酸化物量がFe23換算で50mol%に満たないと、Mn酸化物などの異相が析出しやすくなり、発熱性能が低下する傾向にある。一方、鉄酸化物量がFe23換算で60mol%を超えると、鉄酸化物相が生成してフェライト単相を得ることが難しくなって、やはり発熱性能が低下する傾向にある。従って、鉄酸化物量はFe23換算で50〜60mol%の範囲が好ましい。より好ましくは52〜57mol%の範囲である。
亜鉛酸化物:ZnO換算で0〜26mol%(ゼロは含まず)
亜鉛は、フェライトのキュリー温度(Tc)に影響する。ZnOを含有しないMnフェライトのTcは約300℃であり、ZnO量が増加するほどTcは低温化する。一方、ZnO量が26mol%を超えるとTcが100℃未満に低下するため、発熱体の昇温停止温度を100℃以上にすることができない。
従って、亜鉛酸化物量はZnO換算で0〜26mol%(ゼロは含まず)の範囲が好ましい。より好ましくは5〜23mol%の範囲である。
ニッケル酸化物:NiO換算で0〜4mol%
ニッケルの含有量は、フェライトの2.45GHzにおける磁気損失に関係のある複素透磁率の虚数成分μ"に影響を与える。そして、NiOは、含有させるとμ"が増大して発熱性能を向上させるという作用がある。
しかしながら、2.45GHzにおけるμ"には温度依存性が認められる。すなわち、NiO含有量が4mol%以下の場合は、室温付近でμ"が大きくなるだけでなく、NiO含有量が4mol%に近づけば近づくほどより高温でのμ"も大きくなる傾向にある。一方、NiO含有量が4mol%を超えると、高温でのμ"は引続き大きくなるものの、逆に室温付近ではμ"は小さくなってゆくため、結果として、発熱体の温度の立上りが遅くなって、昇温速度が上がらなくなる。
従って、NiOの含有量は0〜4mol%の範囲が好ましい。
本発明におけるMnZn系フェライト粉の基本成分は、上記したとおりであり、残部はMn酸化物および不可避的不純物である。
ここに、Mn酸化物の含有量は、Tcにも昇温速度にも影響がないため、その含有量に特段の限定はなく、上記した成分の残部を調整する含有量でよい。Mn酸化物の含有量は、MnO換算で22.0〜38.0mol%、より好ましくは25.0〜35.0mol%である。
なお、フェライト粉中には、原料成分や製造過程で、SiO2やMn、Ca、AlおよびPなどが不可避的不純物として混入する場合があるが、これらは、合計量が0.5mol%以下であれば特に問題はない。
以上、本発明のMnZn系フェライト粉の主成分組成について説明したが、本発明では、MnZn系フェライト粉だけでは不十分であり、添加物として誘電体を含む複合発熱粉(マイクロ波吸収発熱粉)を用いることで、所期した温度での昇温停止能に加えて、速い昇温速度を得ることができるのである。
添加物:酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン(アナターゼ型)およびZnO−SiO2複合粉の群から選んだ1種以上
添加量:MnZn系フェライト粉と添加物の合計量に対して、添加物量が4〜34mass%
これらの添加物は、それぞれ単体で高い発熱性能を有するものであるが、MnZn系フェライトのように昇温を停止する機能を有さず、マイクロ波の照射時間に応じて、その温度がだらだらと上昇してしまう。
しかしながら、上記一群の添加物は、MnZn系フェライト粉に少量添加することで、昇温停止性能を維持したまま、MnZn系フェライト粉の昇温の立ち上りを速くすることができる。
ここで、その添加量がMnZn系フェライト粉と添加物の合計量(すなわちマイクロ波吸収発熱粉量)に対して34mass%を超えると、発熱粉が昇温停止挙動を示さなくなる。一方、添加物の添加量がマイクロ波吸収発熱粉量に対して4mass%に満たないと、発熱粉の昇温速度の向上効果が不十分となり、後述するW500≧80%を実現できない。 従って、添加物の添加量は4〜34mass%の範囲に限定する。好ましくは6〜26mass%の範囲である。
なお、ZnO−SiO2複合粉は、特開2013−110095号公報に記載の混合方法および焼成方法を用いて、所定量のZnOとSiO2を混合した後に、焼成する方法で得ることができる。
本発明におけるマイクロ波吸収発熱粉は粉末状であるため、樹脂との混合による成形品として用いるのに適している。樹脂の組成は、使用用途および昇温停止温度によって、適宜、公知の樹脂の中から選択されるが、例えば200℃を超える高温であれば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの耐熱樹脂を用いることが好ましい。
マイクロ波吸収発熱粉と樹脂との混合比率は、発熱性能および成形品の品質に影響する。樹脂の混合比率がマイクロ波吸収発熱体に対して60mass%を超えると、マイクロ波吸収発熱粉の含有量が少ないため、マイクロ波吸収発熱体の昇温速度が遅くなるばかりか、昇温停止温度も低下してしまう。一方、樹脂の混合比率がマイクロ波吸収発熱体に対して15mass%未満では、粉体同志の結着力が弱く、実用的な機械的強度の成形品を得ることができない。さらには、マイクロ波吸収発熱粉の使用量が増えてしまう。
従って、マイクロ波吸収発熱粉と樹脂の混合比率はマイクロ波吸収発熱粉が40〜85mass%、樹脂が15〜60mass%の範囲に限定する。好ましくは、マイクロ波吸収発熱粉:60〜80mass%および樹脂:20〜40mass%である。
ここで、本発明における昇温停止温度:Ts(℃)とは、マイクロ波吸収発熱粉と耐熱樹脂を混練してシート成形し、40×40mmに切断加工して得たマイクロ波吸収発熱体を、市販の電子レンジを用いて、500Wのマイクロ波を照射した後の試料表面温度が、ほとんど温度変化なく一定とみなされた時の温度とする。
また、昇温速度については、500Wのマイクロ波を30秒間照射した時の試料表面温度:T30と昇温停止温度:Tsの比率である、T30/Ts×100(%)を用いて、温度到達率:W500(%)として評価する。本発明での目標温度到達率は、W500:80%以上である。
なお、上記試料表面温度は、赤外線放射温度計で測定する。
次に、本発明のマイクロ波吸収発熱体の代表的な製造方法について説明する。
本発明に用いるMnZn系フェライト粉は、Fe23、ZnO、NiOおよびMn34など、Fe、Zn、NiおよびMnの各酸化物を出発原料とする。なお、本発明では、上記酸化物の化合物形態に特段の制限はなく、従来公知のFe、Zn、NiおよびMnの酸化物のいずれもが使用できる。
ついで、MnZn系フェライト粉の各原料を、例えば、上記した本発明の好ましい組成となるように秤量し、混合器を用いて混合する。その後、大気中において800〜1200℃の温度範囲で仮焼する。仮焼後、平均粒径が1μm程度になるまで粉砕する。さらに、得られた粉砕粉末に、造粒用の結合剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA))を入れ、造粒して適当な大きさの金型で、粉砕粉末を成形する。
その後、例えば空気に窒素ガスを混合するなどによって酸素濃度を21vol%以下に調整した窒素雰囲気中で、1280〜1400℃の温度範囲で本焼成して焼結体を得る。さらに、粉末として使用するため、焼結体を粉砕機等で解砕して、平均粒径を数〜数十μm程度の粒径の粉末とする。
かかる方法で、本発明に用いるMnZn系フェライト粉末が得られる。
そして、そのMnZn系フェライト粉末に、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン(アナターゼ型)およびZnO−SiO2複合粉の群から選んだ1種以上よりなる添加物を前記した所定量にて添加して、マイクロ波吸収発熱粉を得ることができる。
さらに、このマイクロ波吸収発熱粉を、前記した所定量の樹脂と混練した後に、任意の形状に成形することで、本発明に従うマイクロ波吸収発熱体を作製することができる。
その他の、MnZn系フェライト粉、マイクロ波吸収発熱粉およびマイクロ波吸収発熱体を製造する工程は、特に限定はなく、いわゆる常法に従えば良い。
以下、本発明を具体的に実施した例について説明する。
〔実施例1〕
組成を、Fe23:55.0mol%、ZnO:7.5mol%、NiO:2.5mol%およびMnO:35.0mol%とし、平均粒径を約20μmとしたMnZn系フェライト粉を作製し、これに、酸化インジウムIn23を、MnZn系フェライト粉:In23=80:20(mass%)となるように添加して本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例1)を作製した。
さらに、上記マイクロ波吸収発熱粉とシリコーン樹脂を75:25の質量比で混練し、40×40×1mmの大きさのシートを作製した。かくして得られたシートを、市販の電子レンジの中に置き、500Wのマイクロ波を10〜120秒間照射した時のシートの温度を赤外線放射温度計((株)堀場製作所製IT-545N型)で測定した。
次に、比較材として、上記のMnZn系フェライト粉にIn23を添加せず(比較例1)に、同様の工程でシートを作製し、同様の条件で試験を行った。
上記した本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例1)を用いた場合の表面温度測定結果と比較例1を用いた場合の表面温度測定結果を図1に示す。
同図に示したとおり、本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例1)を用いたシートは、比較例1と同様に、約270℃で昇温停止することが判る。また、本発明に従う発明例1では、マイクロ波の照射が30秒間でTsの84%(W500)の温度まで昇温しており、比較例1(W500=70%)に比べて昇温速度が速いことが判る。
〔実施例2〕
組成を、Fe23:52.5mol%、ZnO:13.0mol%、NiO:1.5mol%およびMnO:33.0mol%とし、平均粒径を約20μmとしたMnZn系フェライト粉を作製し、これに、表1に示す各種添加物(誘電体)を、所定量添加して本発明のマイクロ波吸収発熱粉を作製した。
ついで、表1に示す比率でマイクロ波吸収発熱粉とシリコーン樹脂とを混練し、40×40×1.5mmのシートを作製した。得られたシートを市販の電子レンジの中に置き、500Wのマイクロ波を10〜120秒間照射した時のシートの温度を赤外線放射温度計(実施例1と同じ機種)で測定した。
同様に、比較例として、本発明の条件を外れる範囲で発熱体シートを作製し、実施例1と同様の試験を行った。
本発明のマイクロ波吸収発熱粉を用いた発熱シートと比較例の発熱シートを用いた場合の昇温停止温度Tsおよび30秒における表面温度T30のTsに対する到達率(W500)を表1に併記する。
Figure 2016201358
同表に示したとおり、本発明のマイクロ波吸収発熱粉を用いた発熱シートの昇温特性は、30秒でTsの80%以上(W500)の温度に発熱し、かつ、昇温停止挙動を示すことが判る。
〔実施例3〕
組成を、Fe23:53.0mol%、ZnO:22.0mol%およびMnO:25.0mol%とし、平均粒径を約20μmとしたMnZn系フェライト粉を作製し、これに、酸化インジウムIn23を、MnZn系フェライト粉:In23=80:20(mass%)となるように添加して本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例12)を作製した。
さらに、上記マイクロ波吸収発熱粉とシリコーン樹脂を75:25の質量比で混練し、40×40×1mmの大きさのシートを作製した。かくして得られたシートを、市販の電子レンジの中に置き、500Wのマイクロ波を10〜120秒間照射した時のシートの温度を赤外線放射温度計(実施例1と同じ機種)で測定した。
次に、比較材として、上記のMnZn系フェライト粉にIn23を添加せず(比較例5)に、同様の工程でシートを作製し、同様の条件で試験を行った。
上記した本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例12)を用いた場合の表面温度測定結果と比較例5を用いた場合の表面温度測定結果とを図2に示す。
同図に示したとおり、本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例12)を用いたシートは、比較例5と同様に約150℃で昇温停止することが判る。また、本発明に従う発明例12では、マイクロ波の照射が30秒間でTsの87%(W500)まで昇温しており、比較例5(W500=71%)に比べて昇温速度が速いことが判る。
〔実施例4〕
組成を、Fe23:53.5mol%、ZnO:11.0mol%およびMnO:35.5mol%とし、平均粒径を約10μmとしたMnZn系フェライト粉を作製し、これに、表2に示す各種添加物(誘電体)を、所定量添加して本発明のマイクロ波吸収発熱粉を作製した。
ついで、表2に示す比率でマイクロ波吸収発熱粉とシリコーン樹脂とを混練し、40×40×1.5mmのシートを作製した。得られたシートを市販の電子レンジの中に置き、500Wのマイクロ波を10〜120秒間照射した時のシートの温度を赤外線放射温度計(実施例1と同じ機種)で測定した。
同様に、比較例として、本発明の条件を外れる範囲で発熱体シートを作製し、実施例1と同様の試験を行った。
本発明のマイクロ波吸収発熱粉を用いた発熱シートと比較例の発熱シートを用いた場合の昇温停止温度Tsおよび30秒における表面温度T30のTsに対する到達率(W500)を表2に併記する。
Figure 2016201358
同表に示したとおり、本発明のマイクロ波吸収発熱粉を用いた発熱シートの昇温特性は、30秒でTsの80%以上(W500)の温度に発熱し、かつ、昇温停止挙動を示すことが判る。
〔実施例5〕
実施例2のMnZn系フェライト粉を用いて、MnZn系フェライト粉:In23=70:30(mass%)となるように添加して本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例20)を作製した。
さらに、上記マイクロ波吸収発熱粉とシリコーン樹脂を45:55の質量比で混練し、40×40×1mmの大きさのシートを作製した。かくして得られたシートを、市販の電子レンジの中に置き、500Wのマイクロ波を10〜120秒間照射した時のシートの温度を赤外線放射温度計(実施例1と同じ機種)で測定した。
上記した本発明のマイクロ波吸収発熱粉を用いた場合の表面温度測定結果と上記した比較例4のシートを用いた場合の表面温度測定結果とを図3に示す。
同図に示したとおり、本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例20)を用いたシートは、比較例4と同等の約195℃で昇温停止することが判る。また、本発明に従う発明例20では、マイクロ波の照射が30秒間でTsの85%(W500)まで昇温しており、比較例4(W500=74%)に比べて昇温速度が速いことが判る。
比較例4では発熱粉とシリコーン樹脂の質量比が75:25であるが、発明例20では45:55であり、より少ない発熱粉量で従来材並み以上の発熱性能が得られることが判る。
〔実施例6〕
実施例4のMnZn系フェライト粉を用いて、MnZn系フェライト粉:In23=68:32(mass%)となるように添加して本発明のマイクロ波吸収発熱粉(発明例21)を作製した。
さらに、上記マイクロ波吸収発熱粉とシリコーン樹脂を45:55の質量比で混練し、40×40×1mmの大きさのシートを作製した。かくして得られたシートを、市販の電子レンジの中に置き、500Wのマイクロ波を10〜120秒間照射した時のシートの温度を赤外線放射温度計(実施例1と同じ機種)で測定した。
上記した本発明のマイクロ波吸収発熱粉を用いた場合の表面温度測定結果と上記した比較例8のシートを用いた場合の表面温度測定結果とを図4に示す。
同図に示したとおり、発明例21のマイクロ波吸収発熱粉を用いたシートは、比較例8と同等の約180℃で昇温停止することが判る。また、本発明に従う発明例21では、マイクロ波の照射が30秒間でTsの87%(W500)まで昇温しており、比較例8(W500=72%)に比べて昇温速度が速いことが判る。
比較例8では発熱粉とシリコーン樹脂の質量比が75:25であるが、発明例21では45:55であり、より少ない発熱粉量で従来材並み以上の発熱性能が得られることが判る。
以上のように、本発明に従うマイクロ波吸収発熱粉を用いることで、所期した温度で昇温停止できるだけでなく、昇温停止の温度までより高速に到達可能であり、かつ、より少ない発熱粉量で従来並み以上の発熱性能を有するマイクロ波吸収発熱体を得ることができる。
また、本発明に従うマイクロ波吸収発熱体は、電子レンジ用発熱調理器や、マイクロ波を利用した保温材、温熱医療用発熱体を始めとして,産業用加熱用途品などに好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. MnZn系フェライトを66〜96mass%の範囲で含み、かつ酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン(アナターゼ型)およびZnO−SiO2複合粉の群から選んだ1種以上を合計で4〜34mass%の範囲で含む成分組成を有するマイクロ波吸収発熱粉。
  2. 前記MnZn系フェライトが、
    Fe酸化物がFe23換算で50〜60mol%、およびZn酸化物がZnO換算で0〜26mol%(ゼロは含まず)を含み、残部がMn酸化物および不可避的不純物からなる請求項1に記載のマイクロ波吸収発熱粉。
  3. 前記MnZn系フェライトが、
    Fe酸化物がFe23換算で50〜60mol%、Zn酸化物がZnO換算で0〜26mol%(ゼロは含まず)、
    およびNi酸化物がNiO換算で0〜4mol%(ゼロは含まず)を含み残部がMn酸化物および不可避的不純物からなる請求項1に記載のマイクロ波吸収発熱粉。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロ波吸収発熱粉を40〜85mass%の範囲で含有し、樹脂を15〜60mass%の範囲で含有するマイクロ波吸収発熱体。
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