JP2004035105A - 電磁波加熱用塗料、樹脂及び容器等の化成品 - Google Patents

電磁波加熱用塗料、樹脂及び容器等の化成品 Download PDF

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Abstract

【課題】通常のセラミックス製品や金属容器では、電子レンジでは暖めることができない問題があった。
【解決手段】通常のセラミックス製品の構成材料に電磁波吸収体を添加して電子レンジで加熱することができるようにし、この際、過昇温しないように磁性材料や誘電体材料のキュリー点を変えたり、温度により電気抵抗が変化することを用いて温度制御機構を持たせることできた。更に添加する電磁波吸収体が発熱した時に周囲の構成材料に熱ダメージを与えないように電磁波吸収体の表面に断熱層を形成することにより、食器や食品包装物に熱ダメージを与えないで加熱することができた。電磁調理器により加熱する際に温度により抵抗が変化する性質を持たせることにより温度制御機構を持たせることができた。更には、電磁調理器と加熱する容器の間に金属粉を置くことにより絶縁性のガラス製品も加熱することができた。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子レンジや電磁調理器を用いて、食品の包装紙、缶ジュース、レトロ食品や容器等の化成品の温度制御加熱ができるようにする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に使われているレトロ食品や缶詰、缶ジュース等の食品では加熱する方法として、お湯に入れて暖めるか、赤外線加熱方法があった。一部のもので直接、保存容器内の飲食物を電子レンジで加熱するものもあった。また、一般的に使用されている電磁調理器では鉄板に流す渦電流で加熱するものであるため、金属製のフライパンや、やかん、なべを加熱するものとして用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常のセラミックスや金属材料は電子レンジで直接加熱することができないため、ガスや電気ヒーターを用いた加熱により暖めることが一般的な方法であった。この理由として、通常のセラミックスでは、電子レンジに用いる2.45GHzの電波を吸収する能力が小さく、また金属容器では電磁波を反射する性能があるので、電子レンジでは暖めることができない問題があった。電磁調理器に用いる周波数は数十kHz低いために、例えば金属製のフライパンでも電磁波により発生する渦電流により過熱するものであるが、これも金属の肉厚が薄いものや電磁波が入射される面が平面形状でない場合には、加熱することが難しい問題があった。
【0004】更には電磁波加熱で大きな問題となることは入力される電磁波エネルギーで瞬間的にも温度が上がりすぎる問題がある。例えばチタン酸バリウムのような誘電体粉を電子レンジで加熱すると、1000℃近い温度に瞬間的に昇温されることがあり、実際に焼結体の作製方法として用いている。このように電磁波加熱を行うにしても、電波吸収体が非常に高温になるために、電波吸収体が分散された構成材料自体が熱ダメージを強烈に受けやすい問題もあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】電磁波吸収体による過熱方法や電磁波による渦電流加熱方法に対して、過昇温しないように温度制御機構を持たせることや、電波吸収体の場合には、発熱した時に周囲の構成材料に熱ダメージを与えないように断熱層を形成することにより、食器や食品包装物を適度に過熱することができるようにするものである。以下に詳細に本発明を説明する。
【0006】通常のセラミックスや金属容器を電子レンジで加熱することが難しい。そこで特にセラミックスに関しては誘電性を持たせて加熱できるようなものも出ているが、一般的にはセラミックスの昇温防止を行うようなメカニズムを持つものはなく過昇温するという問題があり、そこで、本発明では誘電体や磁性材料、結晶水を含む化合物を用いて電子レンジで加熱するときに、発生熱を抑える、または急激な発熱による熱衝撃を抑える方法として、発熱する材料の周りに熱伝導率の小さいものを皮膜したものを、セラミックスやプラスチック等の容器の構成材料に添加することにより発生する熱衝撃が緩和できることを見出した。
【0007】また、電磁波吸収による発生熱を抑える方法として、特に誘電体や磁性材料のキュリー点温度を制御することにより、電磁波の吸収エネルギーを温度により変わるようにすることで、目的とする温度以上の昇温を抑えることができることが分った。
【0008】具体的には、化成品やセラミックス容器、金属容器を電磁波吸収により加熱することができるようにするために、平均粒径が100ミクロン以下の誘電体、または磁性材料、含結晶水の結晶材料等の中から一種以上用いて容器構成材料に0.5から90重量%の範囲で添加する。この時、粒径として0.1〜30ミクロンが好ましく、これ以上の大きさであると混合したときに不均一になりやすく、また小さ過ぎても混合しにくい問題やコストが掛かり、この範囲が妥当な粒径範囲である。添加重量は、少なすぎても発熱効果が小さく、多すぎても母体材料との均一混合に支障があり、また容器の強度に問題が生じるため、添加重量としては、1〜10%範囲が好ましい。但し、発熱量を要求される容器の場合に、例えばパンを焼くような容器に使用する際、添加重量は数10%を越えたほうが良い場合もある。
【0009】化成品やセラミックス容器、金属容器を電磁波吸収により加熱することができるようにするために、化成品やセラミックス容器、金属容器の構成材料に初期から電磁波吸収体となるものを添加するものではなく、電磁波吸収体となる誘電体粉、または磁性粉、結晶水を含む化合物を塗料化して化成品の表面に塗布して化成品を加熱できるようにする。この場合も、塗布して表面に皮膜を構成する材料中に平均粒径が100ミクロン以下の誘電体、または磁性材料、含結晶水の結晶材料等の中から一種以上用いて容器構成材料に0.5から90重量%の範囲で添加することがよく、更には粒径として0.1〜30ミクロンが望ましいく、且つ添加重量としては、1〜数10%範囲が好ましい。但し、発熱量を要求される容器の場合には、添加重量は数10%を越えたほうが良い場合もある。
【0010】電磁波吸収による発熱を起こす際に、このような発熱体となる誘電体、または磁性材料、含結晶水の結晶材料の粉の表面に誘電率が200以下、または熱伝導率が1cal/deg・cm・K以下であるものを10nm以上0.1mm以下に形成し、粉の表面に熱伝導率を下げたものを形成することにより化成品構成材料に対して熱的な損傷を低減させることができた。熱伝導率が低い方が瞬間的な発生熱を化成品構成物に対する熱衝撃を下げることができるので好ましく、また厚みは0.01〜2μの範囲がより好ましい。この組織を作製する方法としては、発熱体の粉をガラスの融液中に分散した後に冷却し粉砕することや、表面処理剤を表面に皮膜形成すること、または酸性液中にイオン化した状態にした皮膜形成物をアルカリ添加により沈殿させ粉の表面に付着させる方法などがある。
【0011】前述のように断熱素材を表面に形成させるときに、材料固有の熱伝導率がある程度高くても、膜質を非常に多孔化することにより熱伝導率を下げることができ、比表面積が10m/g以上、または平均ポアサイズが0.1μ以下の組織からなる断熱層を形成することにより化成品構成材料に対して熱的な損傷を低減させことができる。
【0012】このような誘電体として、キュリー点が800℃以下であることを用いて、電磁波による化成品の加熱温度を誘電体材料のキュリー温度を変えることにより制御することができる。誘電体のキュリー温度を制御することは基本的に化合物を変えることや、化合物の基本組成を変えることにより対応できるが、特にキュリー温度付近は吸収も大きくなるので、室温以下か、500℃以上にあった方がよい。具体的には誘電損を持つものとして有機系であればカーボンゴム、カーボン含有発砲ウレタン、カーボン含有発砲ポリスチロールがあるが、キュリー温度制御の観点では無機化合物の組成制御がしやすい。
【0013】磁性体として、キュリー点が800℃以下であることを用いて、電磁波による化成品の加熱温度を磁性材料のキュリー温度を変えることにより制御する場合には、誘電体と同様に化合物を変えることや、化合物の基本組成を変えることによりキュリー温度を変えることができる。特に磁性体のキュリー温度を越えると熱吸収が低下するために、キュリー温度を少なくとも100℃以上であることが望ましい。
【0014】磁性材料、誘電体材料や含水結晶材料、ヒドロキシ塩の粉を用いて塗料化する方法としては、これらの粉を少なくとも数μ以下にまで粉砕し、望ましくは0.5μ以下にした方が沈殿凝集を防ぐのに適している。特にインクにする場合では液粘度が小さいために沈殿しやすく、0.3μ以下が好ましい。また、液との親和性を高めることにより凝集を抑えることができるので、液中の粉の表面電荷状態により、界面活性剤の種類をカチオン系、アニオン系で選択することで分散がよくなり凝集を防ぐことができる。粉の表面電位がプラスならば、例えばアニオン系としては−NH、−NHR、−NR(R:アルキル基等)を分子に含む界面活性剤が妥当である。また、粉の表面電位がマイナスならばカチオン系としては−COOH、−SOH等を分子に含む界面活性剤が妥当である。
【0015】化成品やセラミックス製品の表面に形成する形成する膜の組成物として、誘電体、または磁性材料、結晶水含有材料、ヒドロキシ塩の粉に1300℃以下の軟化点を持つSiO,Al,B等を含んだガラス構成物を0.1から99重量%の範囲で添加し塗膜を形成した後に、加熱して化成品に固定化して付ける。この添加量としては目的とする温度により変わり、300℃以上であればガラス構成物は80パーセント以下が妥当であり、逆に300℃以下であればガラス構成物は20パーセント以上が妥当である。膜厚としては0.1μ以上、望ましくは1μ以上が良い。
【0016】また、膜を形成する塗料として、シロキサン、またはシラン化合物を含んだ硬化性樹脂に誘電体粉、または磁性粉、または含結晶水の結晶粉、ヒドロキシ塩粉を0.1から90重量%の範囲で添加し、塗料膜を形成することによりガラス構成物を主成分にしなくても耐熱性を持たせたが可能である。特にこの場合、膜を形成した後に数百℃の加熱処理をすることにより、シロキサン結合で固定化された誘電体や磁性体等ができるために耐熱性が非常に強いものができる。このように耐熱性がある樹脂としてはフッ素樹脂、ホォスファゼン等もあり、同様である。
【0017】以上のような電磁波で加熱することができる化成品として、保存容器、食器またはシートやフィルム、缶等の形状であっても良く、これらの様々な形状品に対して、前述の誘電体や磁性体、含結晶水材料を用いることにより、所定の温度で加熱することができる。
【0018】電磁波加熱用化成品において、電磁波に対して電磁波吸収する水と同じ振動数に近いとして、結晶水を含んだ結晶またはヒドロキシ塩を用いることにより、通常の電子レンジの電波を吸収することができることを確認し、これらの化合物を容器に添加して、分解により結晶水がでない範囲で安定した加熱が再現できる。例えば、青鉛鉱のPbCu(SO)(OH)、リチアトルマリンのNaLiAlSi(O,OH)O(OH,F)、明礬石のKAl(SO(OH)12、ハロイサイトのSi2Al205(OH)4・2H2O、ホウ砂のNa[B(OH)]・8HO、リョウ沸石のCa[AlSi12]・6HO等の結晶水やOH基を持つ鉱石や、含水酸化鉄のFeOOHや含水酸化ニッケルのNiOOH、γA100H、オパールのSiO・nHOなどがある。
【0019】次に電磁波加熱用容器において、一般的に遠赤外線放射や空気の熱対流により容器そのものが冷却されていくが、電磁波加熱用容器に遠赤外線波長に対して吸収する材料を0.1から90重量%の範囲で添加することにより冷めにくいものにすることができる。
【0020】10GHz以下の電磁波に対して加熱ができる容器として、容器の抵抗率が0.0001から1000000Ωcmの範囲にすることにより、容器がこれらの電磁波でも加熱することができるが、特に抵抗率が1Ωcm以上10000Ωcm以下であることが望ましい。抵抗率が高すぎても低すぎても、発生する熱エネルギーが小さくなる。
【0021】更に10GHz以下の電磁波に対して加熱ができる容器で温度制御ができるようにする方法として、加熱した時に容器材質が熱膨張することにより導電率が変化して加熱前後により導電率が変化することを用いて容器の加熱温度を制御することができる。具体的には扁平銅粉や扁平アルミ粉等を用いて容器の加熱面に、電磁波が入射する方向に対して直角に配向して、加熱されると容器材質が膨張することにより金属粉間の接触抵抗が高くなり、その結果、発熱量が低下し温度制御が可能となる。この金属粉としては扁平ではなく球状でも、不定形粉でも良いが、望ましくは板状、扁平形状で配向させたものが良い。
【0022】また、導電性金属粉の接触抵抗の変化による温度制御以外の温度制御方法として、容器の温度が上昇することにより、構成材料の中の電波吸収体である材料が結晶変態に起こし、その時の導電率の変化を用いて容器の加熱温度を制御することができる。
【0023】このような誘電体や磁性体、及び含水結晶材料等の電磁波吸収体による加熱方法や導電性金属粉等による渦電流加熱方法により加熱することができる容器として、例えばレトロ食品、缶ジュース等の飲食物を含んだ容器があり、また飲食物を含まないものでもビニール袋、包装紙、茶碗、皿等に応用することにより電子レンジやの電磁波加熱装置で加熱ができるようになる。具体的には電磁波を反射するスチール缶の表面に、誘電体や磁性体、及び含水結晶材料、ヒドロキシ塩等の電磁波吸収体を1〜10μ程度の範囲で塗膜して、電子レンジにより缶を加熱することができる。また、包装材料や容器材料としてポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン(PVCD;塩化ビニルとの共重合体を含む)などのポリオレフィン、ポリエステル(PET)、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・ビニルアルコール(EVOH)などの合成樹脂フィルム、セルロースなどの天然高分子系フィルム、或は天然パルプ繊維及び/又は熱可塑性繊維から製造した紙類(ビスコース加工紙を含む)を材質とするものでも良く、またフィルムとしては例えばポリエチレン系プラスチックフィルム、ポリプロピレン系プラスチックフィルム、塩化ビニル系プラスチックフィルム、ポリエステル系プラスチックフィルム、アクリル系プラスチックフィルム、ポリアミド系プラスチックフィルムなどが挙げられ、これらフィルムに電磁波加熱層を形成したり、または材料自体に添加したりすることにより電磁波による加熱ができる。
【0024】また、これらの電磁波により加熱することができる容器に対して、示温材料を形成して加熱されて状態を視覚化できるようにすることにより、加熱状態を確認することができるために効率的な加熱をすることができる。示温材料としては加熱温度によるが、酸化鉄や有機色素系、HgI系の化合物等があるが、具体的には示温材料や示温シール等を用いても良い。
【0025】更には電磁調理器の渦電流加熱を用いて飲食物を含んだ容器を効率良く加熱する方法として、容器自体に加熱する特性がない場合でも容器の周囲に平均粒径が0.01から10mmの範囲の金属粒を置き、金属粒を渦電流により加熱することにより間接的に容器を過熱することも効率的な加熱方法である。例えば、金属粉としてガスアトマイズ法や円盤アトマイズ等で作製した銅や鉄等が安価であり、且つ廃棄の際には環境汚染にならない点で望ましい。電子レンジを用いた場合にも同様に、電子レンジに用いる2.45GHzの電磁波を吸収する粉、粒を用いて、これらの加熱を用いて間接的に目的物を加熱することができる。また、これら金属粉ではなく、この周波数帯域で磁気的にエネルギーを吸収し発熱するものにおいて、その磁性材料のキュリー温度を制御することで、加熱温度を制御することもできる。
【0026】電子レンジにより加熱できる誘電体材料としては、代表的にはチタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、PLZT、PZT、酸化タンタル、(NHSO型構造を持つ強誘電体やBaNaNb15等があり、他にも窒化物系や塩類の化合物もある。また、磁性材料の代表的なものとして、マグネタイト、γFe、NiZnフェライトのNi1−xZnFe、MnZnフェライトのMn1−xZnFe、バリウムフェライトのBaFe1219、ストロンチウムフェライトのSrFe1219やパーマロイ、センダスト、サマリウムコバルト、NdFe14などが挙げられ、金属、塩類、酸化物、窒化物、硫化物のいずれにしても同様な効果を持つ。特にこの中でも電磁波を吸収させるには電子レンジの電波周波数帯域での共鳴吸収が必要とされるので、フェロクスプレーナーやMnZnフェライトのような高い周波数帯域で電波吸収性を持つものが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
【実施例1】本発明の電磁波吸収による加熱を行った実施例を以下に説明する。シロキサン結合を骨格としたシリコン樹脂に平均粒径が100ミクロン以下の誘電体、または磁性材料、ヒドロキシ塩材料を添加したときの混合性や成形性を調べた結果を示す。この時に用いた誘電体、または磁性材料、含結晶水の結晶材料としては、それぞれチタン酸バリウムBaTiO、ニッケル亜鉛フェライトNi0.5Zn0.5Fe、ジャロサイトを用いた。それぞれをボールミルで粉砕して平均粒径を変えてシリコン樹脂に対して10重量%を添加した時の粉砕粒径と混合性、成形性を調べた結果を表1に示す。この結果から平均粒径は100ミクロン程度以下が望ましいことが分かった。またチタン酸バリウム、ニッケル亜鉛フェライトも同様な結果が得られた。この成形品を電子レンジで加熱した結果、5分程度で100℃に到達することが確認できた。
【表1】
Figure 2004035105
【0028】また、チタン酸バリウムを樹脂固形分に対して0.1から95.0重量%の範囲で添加して、容器を電子レンジで電磁波吸収による加熱を調べた結果を表2に示した。この結果、望ましくは0.5から90重量%の範囲で添加することが良いことが分かった。
【表2】
Figure 2004035105
【0029】次にペイント化したときの結果を以下に示す。ペイント化するときに用いた樹脂としてはアクリル樹脂を用いて、溶剤はエタノールを用いた。樹脂の固形分濃度としては10重量%になるようにした。この液に樹脂重量に対して10重量%になるようにチタン酸バリウム、ニッケル亜鉛フェライト、ジャロサイトをそれぞれ添加して、攪拌し塗料を形成した。この塗料をステンレスに塗膜して、塗膜性や塗料の液状態を調べた結果を表3に示す。この結果から、インクやペイント塗料としては10μ程度以下が望ましいことが分かった。この塗料を缶ジュースの表面に塗布し、電子レンジで加熱した結果、70℃に到達することが確認できた。
【表3】
Figure 2004035105
【0030】
【実施例2】実施例1の誘電体、または磁性材料、ヒドロキシ塩材料の粉の表面に、熱伝導率を下げたものを形成し、母材の化成品やセラミックス品に対して熱ダメージを下げる方法に関する実施例を説明する。平均粒径10ミクロンのニッケルフェライトをホウ酸が溶融した中に分散し、更にホウ酸中に比誘電率が2000程度の0.1ミクロンのSrTiOを添加し、その添加量でホウ酸の比誘電率を変えた。この溶融ホウ酸を冷却し、粉砕してニッケルフェライト表面に皮膜を形成した。膜厚は溶融ホウ酸に対するニッケルフェライト量で変えた。この粉を用いてシリコン樹脂に添加して10センチ角、厚み2mmの板に成形し、1kWの電子レンジを用いて20分間加熱することを繰り返して熱ダメージを評価した。この結果を以下の表4に示す。熱伝導率はほぼ、ホウ酸の値0.002cal/deg・cm・K程度であつた。サンプル8〜10の比誘電率はほぼ添加量に比例して決まり、SrTiOの比誘電率2000に添加量のパーセント値をかけたものであった。この結果から、膜厚は薄くても良くなく、逆に厚いと粉のサイズに問題があるので、0.1〜数十ミクロンの厚みが妥当であることが分かり、最大でも十ミクロンの厚みでよい結果となった。また、膜の比誘電率は少ない方がいいが、多くても200以下が妥当であった。
【表4】
Figure 2004035105
【0031】この試験でSrTiOを添加して比誘電率を変えるのではなく、ホウ酸中にPt粉を用いて熱伝導率を変えて膜厚を10ミクロン程度で一定にして、同様な熱ダメージを測定した結果を表5に示した。この結果から熱伝導率は1cal/deg・cm・K程度以下が望ましいことが分かった。
【表5】
Figure 2004035105
【0032】
【実施例3】請求項5の熱伝導率を下げる方法で形成する膜として、多孔質膜を形成することにより、熱ダメージを低減させる方法に関する実施例を示す。誘電体、または磁性材料、含水結晶材料、ヒドロキシ塩として、SrTiO,Fe0.8Si0.2,ハロイサイトのSi2Al205(0H)4・2H20の粉を用いた。この粉を粉砕して、平均粒径1ミクロン以下にし、この粉をエタノールに20重量パーセント添加した後に、テトラオキシシリコンを添加した後に、水を添加して粉の表面に酸化ケイ素の皮膜を形成した。この時の皮膜の厚みはテトラオキシシリコンの添加量で制御し、粉の比表面積を制御するために、乾燥後の焼成温度200℃〜1000℃で変えて制御した。この粉に形成した被膜厚と比表面積を変えたものを用いて、シリコン樹脂に添加し、10センチ角、厚み2mmの板に成形し1kWの電子レンジを用いて20分間加熱することを繰り返して熱ダメージを評価した。ハロイサイトのSi2Al205(OH)4・2H20の粉を用いた結果を以下の表6に示す。他の2つも同様であったが、比表面積は少なくとも10m2/g以上が望ましく、また膜厚は0.01μm以上あることが望ましい。
【表6】
Figure 2004035105
【0033】次に平均粒径3μmのSrTiO3に酸化ケイ素膜厚を0.2μm程度に一定にして平均ポアサイズを1〜0.005μmで変えて作製した断熱層を形成した粉を用いて同様な条件で熱ダメージを評価した結果を表7に示す。この結果から、平均ポアサイズとしては0.1μm以下であることが望ましいことが分かった。
【表7】
Figure 2004035105
【0034】
【実施例4】電磁波による化成品の加熱温度を誘電体材料のキュリー温度を変えることにより制御することを実施例を用いて以下に説明する。フッ素樹脂に平均粒径が1ミクロン以下のSr1−xTiOを10重量パーセント添加し10センチ角、厚み2mmの板に成形した。このとき、SrTiO組成xを変えてキュリー温度を変えた。この1kWの電子レンジを用いてキュリー温度を変えたものを添加して作製した成形体の到達加熱温度を調べた。この結果を表8に示す。この結果、キュリー温度に従って、加熱される温度が制御されていることが分かり、電子レンジで加熱したい化成品の温度をキュリー温度の変えることにより、制御できることが分かった。
【表8】
Figure 2004035105
【0035】
【実施例5】電磁波による化成品の加熱温度を磁性材料のキュリー温度を変えることにより温度を制御する実施例を用いて以下に説明する。フッ素樹脂に平均粒径が1ミクロン以下のニッケル亜鉛フェライトNiMnZnFe(組成 x+y+z=1 x,y,zは0以上の数値)を20重量パーセント添加し10センチ角、厚み2mmの板に成形した。このとき、フェライトの組成x,z,yを変えてキュリー温度を変えた。この1kWの電子レンジを用いてキュリー温度を変えたものを添加して作製した成形体の到達加熱温度を調べた。この結果を表9に示す。この結果、キュリー温度に従って、加熱される温度が制御されていることが分かり、電子レンジで加熱したい化成品の温度をキュリー温度の変えることにより、制御できることが分かった。
【表9】
Figure 2004035105
【0036】
【実施例6】ハロイサイトのSi2Al205(0H)4・2H20の粉を10重量%を含んだシリコン樹脂に添加して10センチ角、厚み2mmの板に成形体の添加物として、加熱されると遠赤外線波長を発する炭化珪素を用いて、0.1から50重量%の範囲で添加して冷めやすさを測定した結果を表10に示す。試験では電子レンジで加熱して取り出した後の3分後の温度を、添加量0を基準に規格化した数値を示した。この結果、添加量に従って増えることがわかり、好ましくは1重量%以上を添加することが望ましいことがわかった。この試験では添加量を90重量%以上に増やすと成型できなくなるため、少なくともこれより少なくすることが望ましい。
【表10】
Figure 2004035105
【0037】
【実施例7】10GHz以下の電磁波に対して加熱できる容器において、容器の抵抗率を変えて電子レンジで加熱したときの実施例を以下に示す。平均粒径1ミクロンの銅粉の添加量を変えてシリコン樹脂に添加して10センチ角、厚み2mmの板に成形体に作製した。抵抗率の変化幅としては0.1から10000000Ωcmで変えた。抵抗率の最適化試験では電子レンジで加熱して取り出した後の3分後の温度をベースに最大温度を規格化して100と表現した。この結果を表11に示した。この結果から抵抗率は望ましくは1から10000Ωcmの範囲であることが良いこと分かった。
【表11】
Figure 2004035105
【0038】
【実施例8】請求項11において、加熱されて容器材質が熱膨張することにより導電率が変化して加熱前後により導電率が変化することを用いて容器の加熱温度を制御する実施例を以下に示す。有機材質で熱膨張しやすいものを用いて、加熱により有機材質に分散している導電材の接触状態を変えることにより導電率を変えるような有機材質としては、マイクロカプセル化した組織が挙げられる。この中で、アクリル樹脂を用いて平均粒径10ミクロンのマイクロカプセルを用いて厚み1センチ、10センチ角の板を成型した場合の結果を表12に示す。添加した粉は平均粒径10ミクロン程度の球状の銅粉を10重量パーセントを添加した。この時の材質の抵抗率は100Ωcm以下であった。室温の抵抗率を基準に取り、各温度での材質の抵抗率を測定した結果、温度が上昇するに従って抵抗率が変わり、電子レンジで加熱できる温度が変わることが分かった。材質の抵抗率を100Ωcm程度に固定して熱膨張率の異なるサンプルを用いたときの到達加熱温度を比較した結果を表13に示す。この時の到達加熱温度は電子レンジで3分間加熱したときの最大温度を100にして規格化した数値である。この結果より、材質の熱膨張により抵抗率が変化して、加熱できる温度を変えられることが分かった。
【表12】
Figure 2004035105
【表13】
Figure 2004035105
【0039】
【実施例9】請求項1及び2、11で作製された電磁波加熱容器に対して、示温材料を形成して加熱されて状態を視覚化できるようにした実施例として、実施例4で作製した成形体に示温塗料を厚さ10ミクロン程度で塗布した後、電子レンジで加熱した結果、成形体が電子レンジ加熱されていくときに示温塗料の色が変化して加熱されている状態が確認できた。
【0040】
【実施例10】電磁調理器の渦電流加熱を用いて飲食物を含んだ容器を加熱する方法の実施例を以下に示す。電磁調理器の上に直径25cm程度のガラス製フライパンを置いて加熱したが、加熱できなかった。ガラス製フライパンの下に平均粒径が0.01mmの鉄粉を置き、同様に加熱した結果、ガラス製フライパンを加熱することができた。この時、金属粉の大きさを変えて評価した結果、以下の表14のようになり金属粉の最適なサイズは10mm以下が望ましいことが分かった。表の到達加熱温度は電磁調理器で3分間、加熱した時の最大温度を100として規格化した数値を示した。この結果から、導電性材質の金属粉としては平均粒径は10mm以下が望ましいことが分かった。
【表14】
Figure 2004035105
【0041】
【発明の効果】電子レンジや電磁調理器では直接加熱しにくいような容器や飲食物でもダメージを抑えながら加熱することができ、また電子レンジや電磁調理器を用いた加熱方法において温度上昇を化成品に添加する材質の性質を用いて抑えることができ、過昇温を防止することができた。

Claims (15)

  1. 電磁波加熱用化成品において、平均粒径が100ミクロン以下の誘電体、磁性材料、含結晶水結晶材料、ヒドロキシ塩等の中から一種以上用いて容器構成材料に0.5から90重量%の範囲で添加して、容器を電磁波吸収による加熱で容器を暖めることを特徴とする化成品。
  2. 電磁波加熱用化成品において、化成品構成材料自体では電磁波加熱ができない化成品に対して、平均粒径が10ミクロン以下の誘電体粉、磁性粉、含結晶水の結晶材料、ヒドロキシ塩等の中から一種以上用いて塗料化して化成品の表面に塗布して、膜組成の0.5から90重量%の範囲になるように添加された膜により化成品を加熱できるようにしたことを特徴とする化成品。
  3. 請求項1及び2の誘電体、磁性材料、含結晶水の結晶材料、ヒドロキシ塩等からなる粉の表面に比誘電率が200以下であるものを10nm以上0.1mm以下に形成し、粉の表面に熱伝導率を下げたものを形成することにより化成品構成材料に対して熱的な損傷を低減させたものであることを特徴とする誘電体の粉。
  4. 請求項1及び2の誘電体、磁性材料、含結晶水の結晶材料、ヒドロキシ塩等からなる粉の表面に熱伝導率が1cal/deg・cm・K以下であるものを10nm以上0.1mm以下に形成し、粉の表面に熱伝導率を下げたものを形成することにより化成品構成材料に対して熱的な損傷を低減させたものであることを特徴とする誘電体の粉。
  5. 請求項1及び2の誘電体、磁性材料、含結晶水の結晶材料、ヒドロキシ塩等からなる粉の表面に比表面積が10m2/g以上の組織からなる膜厚0.01μm以上の断熱層を形成することにより化成品構成材料に対して熱的な損傷を低減させたものであることを特徴とする誘電体の粉。
  6. 請求項5の断熱層が平均ポアサイズが0.1μ以下の組織からなるものであることを特徴とする誘電体の粉。
  7. 請求項1及び2の誘電体として、電磁波による化成品の加熱温度を誘電体材料のキュリー温度を変えることにより制御することができることを特徴とする温度制御方法。
  8. 請求項1及び2の磁性体として、電磁波による化成品の加熱温度を磁性材料のキュリー温度を変えることにより制御することができることを特徴とする温度制御方法。
  9. 請求項2の塗料として、シロキサンを含んだ硬化性樹脂に誘電体粉、磁性粉に0.5から90重量%の範囲で添加したことを特徴とする塗料。
  10. 請求項1及び2の化成品として、容器、食器またはシートやフィルム、缶等の形状であることを特徴とする化成品。
  11. 請求項1及び2の電磁波加熱用容器において、遠赤外線波長に対して吸収する材料を1.0から90重量%の範囲で添加することにより冷めにくいものであることを特徴とする容器。
  12. 10GHz以下の電磁波に対して加熱できる容器において、容器の抵抗率が1から10000Ωcmの範囲であることを特徴とした容器。
  13. 電磁波加熱用容器において、加熱されて容器材質が熱膨張することにより導電率が変化して加熱前後により導電率が変化することを用いて容器の加熱温度を制御したことを特徴とする電磁波加熱用容器。
  14. 請求項1及び2、12、13で作製された電磁波加熱容器に対して、示温材料を形成して加熱されて状態を視覚化できるようにしたことを特徴とする容器。
  15. 電磁調理器の渦電流加熱を用いて飲食物を含んだ容器を加熱する方法において、容器の周囲に平均粒径が10mm以下の金属粒を置き、金属粒を渦電流により加熱することにより容器を過熱することを特徴とする加熱方法。
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