JP3544633B2 - 酸化物磁性材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物磁性材料の製造方法に関するもので、より具体的には六方晶フェライトを用いた酸化物磁性材料の製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波用のEMI用素子や、コイル等に使用される磁性材料としは、従来一般にスピネルフェライト(Ni−Zn系フェライト)が用いられている。しかし、近年の機器の高速化に伴い、使用される周波数が高くなり、いままで使用されていたフェライトではノイズ対策が困難になってきている。
【0003】
そこで、スピネル系の磁性材料に比べより高い周波数まで対応できる磁性材として六方晶フェライトが注目されており、特にプラナ型フェライトと呼ばれている六方晶フェライトは、高い周波数領域まで良好な磁気特性(高透磁率)を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、六方晶フェライトは高周波での透磁率は優れているものの、焼成体密度が低いため機械的強度の点で不充分となり、電子機器の表面実装部品として使いづらかった。
【0005】
また、スピネルフェライトに比べて比抵抗が低いため、コイル製作時に絶縁のための対策をしなければならない場合があり、製作が面倒である。さらに、異相が発生しやすく、チップ材としたとき、銀電極のマイグレーションが発生するおそれもある。
【0006】
本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記した問題を解決し、高周波での磁気特性に優れ、比抵抗が高く、丈夫な六方晶フェライトからなる酸化物磁性材料の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法では、14〜24mol%のBaOと、55〜75mol%のFe23と、1〜31mol%のMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料に対し、仮焼後にMn34と、Bi23と、CoOのうち少なくともMn34を含む添加物を所定量添加し、本焼成するようにした。使用する添加物とその添加量の具体的な条件としては、以下のようになる。なお、BaOとFe23とMeO(Meは2価の金属イオン)の組成範囲を上記のように限定したのは、係る範囲が六方晶フェライト構造をとることができる範囲だからである。
【0008】
1つの解決手段としては、0.01〜3wt%のMnを添加するようにした(請求項1)。このように、六方晶フェライト原料を仮焼した後Mnを添加してから焼成して酸化物磁性材料を形成すると、仮焼後にMnが添加しなかった通常の酸化物磁性材料よりも、比抵抗が高くなる。さらに、添加量が少ないと高周波の磁気特性を向上(透磁率のアップ)できる。
【0009】
ここで、仮焼した六方晶フェライト原料にMnを微量でも添加すると、無添加のものに比べて比抵抗が上昇する。また、添加量が少ない領域では、透磁率が向上するという効果も期待できる。そこで、下限値を、添加量が十分制御可能な0.01wt%とした。
【0010】
一方、比抵抗は、添加量を多くするほど増加する。しかし、添加量が多すぎると、生成された酸化物磁性材料が六方晶フェライト単相にならず、磁気特性が悪くなることが確認されている。そこで、Mnを添加する量の上限を、六方晶フェライトを維持できる3wt%とした。係る理由から、添加量を請求項1で規定するような範囲内とした。
【0011】
また、別の解決手段としては、0.5〜2.5wt%のMnと、0.01〜0.5wt%のCoOを同時添加するようにした(請求項2)。このように、Mnを添加した場合の作用効果は、請求項1に記載したとおりである。さらに、本発明では、CoOを添加することで比抵抗がさらに向上する。
【0012】
ここで、仮焼した六方晶フェライト原料に添加されるCoOの量が少な過ぎると、焼成された酸化物磁性材料にCoOの作用が反映しにくくなるので下限値を0.01wt%とした。また、あまりCoOの添加量を多くすると、六方晶フェライトでなくなってしまう。そこで、上限値を六方晶フェライトを維持できる0.5wt%とした。
【0013】
また、Mnの上限値は、請求項1の単独添加のものに比べて小さくなっている。これは、CoOを所定量添加することにより、六方晶フェライト原料に対する添加量の総量が多くなると、最終的な燒結品が六方晶フェライトを構成しなくなるためである。そこで、CoOを添加する分だけ、Mnの添加量の上限値も小さくした。
【0014】
また、Mnの添加量の下限値は、請求項1の構成と異なり0.5wt%としたが、これはMn添加による密度増加により、CoO添加時の透磁率低下を防ぐためである。
【0015】
さらに別の解決手段としては、0.1〜4wt%のMn34と、0.1〜1.5wt%のBi23を同時添加することである(請求項3)。このようにしても、製造された酸化物磁性材料は、請求項2により製造された酸化物磁性材料と同様な作用を示す。すなわち、六方晶フェライト原料にMn34を添加して酸化物磁性材料を生成することでMn34を添加していない酸化物磁性材料より高周波の磁気特性を向上させるとともに、比抵抗も高くすることができる。また、Bi23が添加されていることで、酸化物磁性材料の密度が向上し、強度が増す。
【0016】
ここで、Biの添加量が少な過ぎる(0.1wt%未満)と、酸化物磁性材料の密度が小さく強度不足なる。また、添加量が多すぎる(1.5wt%より多い)と、六方晶フェライト構造がとれず、本来の磁気特性が得られない。そこで、上記した範囲に限定した。
【0017】
また、Mnを添加する量に上限や下限を設けているが、この上下限値が請求項1の構成におけるMnを添加する量の上限や下限と異なるのは、Mnと同時にBiが添加されていることにより、生成される酸化物磁性材料の特性が違ってくることに起因する。
【0018】
つまり、Mnの上限値は、請求項1の単独添加のものに比べ大きくなっている。これは、Biを所定量添加することにより、焼結性が向上し、Mnの添加量増加による磁気特性の低下を防止することが出来るからである。
【0019】
また、Mnの添加量の下限値は、請求項1の構成と異なり0.1wt%としたが、これは0.1wt%以下では、Biの影響が大きくMnを添加した効果が確認出来ないためである。
【0020】
さらに別の解決手段としては、0.1〜3wt%のMn34と、0.1〜1.5wt%のBi23と、0.01〜0.5wt%のCoOを同時添加することである(請求項4)。このようにすることで、上記したMn34,CoO,Bi23を添加することによる作用効果が相乗的に発揮し、磁気特性が良好になるとともに、酸化物磁性材料の密度が向上して強度が増し、比抵抗が向上して絶縁性が高くなる。
【0021】
そして、Bi23の添加量の制限は、請求項3におけるBi23の添加する量の制限と同じ理由である。また、Mn34の添加量の下限値は、請求項3におけるそれと同様である。さらに、Mn34の添加量の上限値はCoOを添加したことに応じて低下させている。これは、それ以上添加すると、六方晶フェライト構造がとれなくなるためである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第1の実施の形態を説明する。本形態の酸化物磁性材料は、BaOとFe23とMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料を仮焼した後に、本発明の要部となる添加物を加えてから所定形状に成形し、最終的に焼成して形成されたものである。
【0023】
具体的には、まず主成分として14〜24mol%のBaOと55〜75mol%のFeと1〜31mol%のMeOを主成分とする六方晶フェライト原料を秤量し、ボールミルにてこれらの材料を混合する。このMeOとして、本形態では、CoO、つまりMeがCoの例について示したが、Meは他の2価の金属イオンでも同等の作用効果が得られる。
【0024】
混合した材料は所定の温度(例えば1100から1200度)にて空気中で一定時間(例えば2時間)仮焼成し、その後ボールミルにて湿式粉砕する。そして、この紛体に対し0.1〜4wt%のMnと0.1〜2wt%のBiを添加物として同時に加え、造粒した後リングに成形してから本焼成(例えば1100度〜1300度2時間)して形成する。
【0025】
以下に、より具体的な製作手順を説明する。まず、70.59mol%のBaOと17.65mol%のFeと11.76mol%のCoOを秤量し、ボールミルにてこれらの材料を湿式混合する。 混合された原料は、乾燥機で乾燥後、解砕し、整粒し六方晶フェライト原料を得る。なお、BaOやFeやMeOはあくまで六方晶フェライト原料の主成分であるので、これらの成分や後に添加する添加物の作用を損なうことがなければ上記以外の成分が六方晶フェライト原料に含まれていても構わない。
【0026】
製造した六方晶フェライト原料を1200度で仮焼する。この仮焼はバッチ炉で2時間行ったが、仮焼条件は適時変更して構わない。仮焼後は、ボールミルにて湿式粉砕を行う。粉砕完了後に、添加物としてMnとBiを六方晶フェライト原料に加え混合する。なお、添加物の添加量については後に説明する。ミキサー混合後に造粒を行うが、これにはポリビニル酢酸(PVA)を加え練合し、その後、リング状に成形する。
【0027】
所定形状に整えられたリングは焼成され酸化物磁性材料となる。焼成にはバッチ炉で大気中焼成を行うものとし、1100度〜1300度の範囲に保ちながら2時間行って完成させる。
【0028】
そして、上記添加物の添加量を変えて各材料を製造し、製造された酸化物磁性材料の磁気特性や密度や抵抗を測定した。磁気特性の測定には、インピーダンスアナライザやネットワークアナライザを用いて透磁率―周波数特性を調べている。また、各酸化物磁性材料の抵抗は絶縁抵抗計にて測定し、密度は水中法で調べている。
【0029】
添加物の添加量を変えて上記の製造プロセスにより各材料を製造し、製造された酸化物磁性材料の磁気特性や密度や抵抗を測定していくことで、六方晶フェライト原料にMnとBiを同時に添加するときの妥当な添加量の範囲を求めた。
【0030】
結論として、Mnの添加量は0.1〜4wt%の範囲とし、Biの添加量は0.1〜1.5wt%とするのが良いことがわかった。これは、BiやMnを同時に添加することで、BiとMnが同時に添加されていない酸化物磁性材料よりも酸化物磁性材料の磁気特性を良好に保ちつつその材料の密度や比抵抗を向上させられるからである。
【0031】
また、Mnの添加量が0.1wt%より少なかったり、Biの添加量が0.1wt%より少なかったりすると、酸化物磁性材料にこれらの添加物を添加した効果が得られない。
【0032】
一方、Mnの添加量が4wt%より多かったり、Biの添加量が1.5wt%より多かったりすると、六方晶フェライト構造とならず、係るフェライトが持つ磁気特性(高透磁率)が得られなくなってしまう。
【0033】
そこで、酸化物磁性材料に添加する添加量の上限を上記のように制限した。このように、添加物の添加量の制限の絞り込みは以下に示すような実験を繰り返していくことで求めた。
【0034】
図1は、Mnの添加量を2wt%で固定し同時に添加するBiの添加量を変えて形成した各種の材料の10MHzにおける透磁率や密度を測定した図である。実験をすることで、Biの添加量が増えるほどMnのみを添加した酸化物磁性材料よりも密度が向上し、添加量が約1wt%を超えると、密度の上昇は飽和する。
【0035】
また、この酸化物磁性材料の透磁率に注目してみると、Biの添加量が1wt%までは徐々に増加し、1wt%を超えると減少傾向にある。そして、添加量が1.5wt%を超えると、六方晶フェライトにならなくなる。
【0036】
一方、図2に示すように、Biの添加量を図1に示す実験結果で最も良好であった1wt%に固定し、同時に添加するMnの添加量を変えて形成した各種の材料の透磁率と密度を測定してみた。すると、同図に示すように、Mnの添加量に関係なく透磁率はほぼ一定であり、酸化物磁性材料の密度は、Mnの添加量が上昇するにつれて向上することがわかる。
【0037】
また、図3に、本実施の形態の酸化物磁性材料の測定結果の主な数値と、比較例として仮焼後に添加物を添加せず(無添加)に焼成した酸化物磁性材料の測定結果を示した。比抵抗や密度が高いことが確認できる。
【0038】
さらに、図4に、添加物の加えられていない酸化物磁性材料と、本実施の形態である酸化物磁性材料の周波数に対する複素透磁率(μ)を調べた結果を示している。ちなみに、本実施の形態である酸化物磁性材料に含まれるBiとMnのどちらの添加量も1wt%である。
【0039】
同図に示すように、1000MHz以上の特に高めの高周波における複素透磁率は実数部(μ′),虚数部(μ″)のどちらのパラメータにおいても、本実施の形態が無添加の酸化物磁性材料よりも高い値を示している。
【0040】
さらに、ここで特筆すべきことは、1000MHz以下、特に100MHz附近の周波数帯域においては、複素透磁率(μ)の虚数部(μ″)の値が、添加物の加えられていない酸化物磁性材料のものに比べて本実施の形態のものが非常に小さくなっていることがわかる。具体的には、90MHzにおける測定では、本実施の形態の虚数部(μ″)の値が0.16程度であるのに対し、無添加の酸化物磁性材料の虚数部(μ″)の値はいずれも0.6程度となる。
【0041】
つまり、BiとMnを1wt%づつ仮焼後に添加して焼成された酸化物磁性材料は、従来の酸化物磁性材料に比べて、目的とする帯域(高周波)での透磁率だけを強くできる。従って、比較的高い1000MHz以上の高周波の電磁波だけを通過し、その他の周波数の信号を遮蔽する電波吸収体等の材料に適する。また、前述したように、Biを添加したことにより、密度も高くなるので強度的に丈夫な部材となっている。
【0042】
このように、Mn或いはBiのどちらか一方の添加量を固定し、もう一方の添加量を変化させながら酸化物磁性材料を複数形成し、それぞれの材料の磁気特性や抵抗や密度を測定していく作業を繰り返すことで、上記したようなMnやBiの添加する量の上限や下限を求めた。
【0043】
なお、上記した実施の形態では、六方晶フェライト原料には含まれる2価の金属イオンとしてCoOを用いているが、CoOに限らず、ZnやCu等を用いても、上記の組成で六方晶フェライト原料を構成し、添加量を適時設定することで、同様の効果を得られるようになる。
【0044】
以下、本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態も第1の実施の形態と同様に、BaOとFe23とMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料を仮焼した後に、添加物を加え、最終的に焼成して形成する。
【0045】
本実施の形態と第1の実施の形態の違いは基本的に仮焼後に添加する添加物のみであり、製造方法等はすべて同一である。従って、係る酸化物磁性材料の製造方法については説明を省略し、以下に添加物をある特定範囲内の量だけ添加することによって得られる酸化物磁性材料の特徴や、その特徴を示す実験データの一部を示す。
【0046】
係る酸化物磁性材料に含まれる添加物はMnとCoOを同時添加したものとなっている。そして、本実施の形態に添加される添加物の制限量は、Mnを0.5〜2.5wt%の範囲に制限し、CoOを0.01〜0.5wt%の範囲に制限した。
【0047】
このように主成分とする六方晶フェライト原料を仮焼した後に、所定の制限範囲内の量で添加物を加えて焼成された酸化物磁性材料は、MnとCoOが添加されていない酸化物磁性材料よりも、高周波の磁気特性が良好であり、抵抗が高い酸化物磁性材料を形成できるようになる。なお、MnやCoOを添加する制限量の設定は、第1の実施の形態と同様に添加量を変えて製作した各種の酸化物磁性材料の特徴を実験により見極めた上で決定した。
【0048】
すなわち、例えば、Mnの添加量が0.5wt%未満であったり、CoOの添加量が0.01wt%未満であると、主成分である六方晶フェライト原料に加えられるこれらの添加物の作用の発現が弱すぎて、何も添加していない酸化物磁性材料と比べて実用上差が出ない。そこで、添加したことによる効果が生じる範囲ということで、上記のように添加する下限値を設定した。
【0049】
また、Mnの添加量が2.5wt%を超えたり、CoOの添加量が0.5wt%を超えてしまうと、形成される酸化物磁性材料の主成分である六方晶フェライトの構造が崩れすぎて所望の磁気特性が得られなくなってしまう。そこで、上記のように添加する量の上限を設定した。
【0050】
以下に、MnとCoOを添加した酸化物磁性材料の10MHz附近の高周波の透磁率や抵抗値を測定した実験結果の一部を示す。係る実験は、第1の実施の形態と同様の方法で測定されている。CoOの添加量を例えば0.5wt%に固定し、同時に添加するMnの添加量を変化(添加量0も含む)させて酸化物磁性材料を製造し、その透磁率と抵抗を測定した。すると、図5に示すような結果が得られた。
【0051】
すると、Mnの添加量が1wt%程度までは添加量の上昇に対応して透磁率も増え、その後はほぼ一定の値を保つことが確認できた。また、Mnの添加量が増加されるにともなって、酸化物磁性材料の抵抗はMnが添加されなかった場合に比べて大きくなることがことがわかった。
【0052】
一方、上記とは逆にMnの添加量を1wt%に固定し、同時に添加するCoOの添加量を異ならせた場合の酸化物磁性材料を作製し、その時の透磁率と抵抗を測定した。すると、図6に示すような結果が得られた。
【0053】
図から明らかなように、CoOの添加量が増えるにつれて、CoOを添加しなかった場合、つまり、Mnが1wt%だけ添加されている状態よりも酸化物磁性材料の透磁率が下がり、抵抗が上昇するのが確認できた。抵抗の上昇は好ましいが、透磁率の低下は避けたい。そこで、CoO無添加のときの70%程度の低下で収まる0.5wt%を上限値とした。この上限値よりも添加量が多くなると、六方晶フェライト構造も得られない。
【0054】
このように、Mn或いはCoOのどちらか一方の添加量を固定し、もう一方の添加量を変化させながら酸化物磁性材料を複数形成し、それぞれの特徴量を測定していくことで、MnやCoOの添加する量の制限が求まった。
【0055】
なお、本実施の形態と第1の実施の形態はどちらも添加物にMnが加えられているが、その添加する量の制限が異なるのは互いの酸化物磁性材料の磁気特性が他の添加物の影響で微妙に異なるからである。
【0056】
以下、本発明の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態も第1の実施の形態と同様に、BaOとFe23とMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料を仮焼した後に、添加物を加え、最終的に焼成して形成するものである。
【0057】
本実施の形態と上記各実施の形態の違いは基本的に添加物のみであり、製造方法等はすべて同一である。従って、係る酸化物磁性材料の製造方法については説明を省略し、以下に添加物をある特定範囲内の量だけ添加することによって得られる酸化物磁性材料の特徴や、その特徴を示す実験データの一部を示す。
【0058】
係る酸化物磁性材料に含まれる添加物はMnのみである。そして、その添加量の制限を0.01〜3wt%とした。このように主成分とする六方晶フェライト原料を仮焼した後に、添加物を加えて焼成された酸化物磁性材料は、Mnが添加されていない酸化物磁性材料よりも、比抵抗が向上する。
【0059】
そして、Mnは、添加することにより、無添加のものに比べて上記効果が発揮する。また、Mnの添加量が3wt%より多くなると、形成される酸化物磁性材料の主成分である六方晶フェライトの構造が崩れすぎて所望の磁気特性が得られなくなってしまう。そこで、添加する量を上記の範囲となるように設定した。
【0060】
図7は、Mnの添加量を変えて製作した材料の10MHz附近の高周波の透磁率や抵抗を測定した実験結果を示している。同図に示すように、仮焼された酸化物磁性材料に2wt%未満の範囲でMnを添加すると、Mnが添加されていない酸化物材よりも高い透磁率を示した。そして、添加量が増えるにつれて、抵抗も上昇することがわかる。よって、絶縁性を考慮すると、Mnの添加量を増やすほど好ましいが、透磁率を考慮すると、あまり入れ過ぎると六方晶フェライト構造が採れず、透磁率が低下する。そこで、仕様に応じて両者(透磁率・抵抗)のいずれを重要視するかを決定し、それに応じた添加量に設定する。
【0061】
以下、本発明の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態も第1の実施の形態と同様に、BaOとFe23とMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料を仮焼した後に、添加物を加え、最終的に焼成して形成されたものである。
【0062】
本実施の形態と第1の実施の形態の違いは基本的に添加物のみであり、製造方法等はすべて同一である。従って、係る酸化物磁性材料の製造方法については説明を省略し、以下に添加物をある特定範囲内の量だけ添加することによって得られる酸化物磁性材料の特徴のみを説明する。
【0063】
係る酸化物磁性材料に含まれる添加物はMnとBiとCoOである。そして、その添加する量の制限をMnは0.1〜3wt%とし、Biは0.1〜1.5wt%とし、CoOは0.01〜0.5wt%とした。このように主成分とする六方晶フェライト原料を仮焼した後に、添加物を加えて焼成された酸化物磁性材料は、MnやBiやCoOが添加されていない酸化物磁性材料よりも、磁気特性を良好にできる。
【0064】
なお、上記した各添加物の制限量は、いずれも以下のように求めた。添加物の添加量をいろいろ変化させて形成した材料の磁気特性や抵抗や密度を測定し、上記の添加物を添加しなかった酸化物磁性材料よりも添加物を添加する手間をかけた分の効果があると思われる範囲内の添加量を本実施の形態の構成とした。
【0065】
したがって、上記した制限量よりもいずれかの添加物の添加する量が下回ると、上記添加物が添加されていない酸化物磁性材料と比べて、添加物を添加した効果が実用上意味の無い程度にしか示されない。また、上記した制限量よりもいずれかの添加物の添加する量が多くなると、主成分とする六方晶フェライトの構造がとれず所望の磁気特性が得られなくなってしまう。そこで、添加する添加量の上限や下限を上記のように設定した。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、請求項1のように仮焼後にMn34を添付したことで、Mn34が添加されていない酸化物磁性材料よりも、比抵抗が高くなり、絶縁性が向上する。また、添加量が少ない領域では、磁気特性も良好となる。
【0067】
また、請求項2のように、仮焼後にMn34とCoOを添加することで構成成分にCoOが含まれるので生成される酸化物磁性材料は、高透磁率としながらも比抵抗の高い酸化物磁性材料になる。
【0068】
あるいは、請求項3のようにすると、仮焼後にBi23を添加することにより、高密度で丈夫な構造を採ることができる。そして、Mn34も構成成分に含まれていることで、比抵抗の高い、高周波の磁気特性も優れた酸化物磁性材料となる。
【0069】
さらに、請求項4のようにすると、上記した各効果が相乗的に発揮する。つまり、Bi23、Mn34、CoOが仮焼した六方晶フェライト原料に添加されることで、六方晶フェライトの欠点である焼成密度と抵抗値の低さを高周波の磁気特性を損なうことなく改善することができ、電子機器の高周波化に対応した磁性材料となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第1の実施の形態に含まれる添加物の制限量を求めるために行われた実験結果を示した図である。
【図2】本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第1の実施の形態に含まれる添加物の制限量を求めるために行われた実験結果を示した図である。
【図3】本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第1の実施の形態に含まれる添加物の制限量を求めるために行われた実験結果の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第1の実施の形態と従来の酸化物磁性材料の周波数ごとの透磁率を示した図である。
【図5】本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第2の実施の形態に含まれる添加物の制限量を求めるために行われた実験結果を示した図である。
【図6】本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第2の実施の形態に含まれる添加物の制限量を求めるために行われた実験結果を示した図である。
【図7】本発明に係る酸化物磁性材料の製造方法の第3の実施の形態に含まれる添加物の制限量を求めるために行われた実験結果を示した図である。

Claims (4)

  1. 14〜24mol%のBaOと、55〜75mol%のFe23と、1〜31mol%のMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料に対し、
    仮焼後に0.01〜3wt%のMn34を添加し、焼成すること特徴とする酸化物磁性材料の製造方法。
  2. 14〜24mol%のBaOと、55〜75mol%のFe23と、1〜31mol%のMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料に対し、
    仮焼後に0.5〜2.5wt%のMn34と、0.01〜0.5wt%のCoOを同時添加し、焼成することを特徴とする酸化物磁性材料の製造方法。
  3. 14〜24mol%のBaOと、55〜75mol%のFe23と、1〜31mol%のMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料に対し、
    仮焼後に0.1〜4wt%のMn34と、0.1〜1.5wt%のBi23を同時添加し、焼成することを特徴とする酸化物磁性材料の製造方法。
  4. 14〜24mol%のBaOと、55〜75mol%のFe23と、1〜31mol%のMeO(Meは2価の金属イオン)を主成分とする六方晶フェライト原料に対し、
    仮焼後に0.1〜3wt%のMn34と、0.1〜1.5wt%のBi23と、0.01〜0.5wt%のCoOを同時添加し、焼成することを特徴とする酸化物磁性材料の製造方法。
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