JP5007488B2 - 絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法 - Google Patents

絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法 Download PDF

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本発明は、ゲート電極を形成する箇所両側の各々にエクステンション部とソース・ドレイン領域を有する絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法に関するものである。
MOS集積回路において、回路の動作速度を決める主要因は、MOSFETのオン電流と、オン電流によって充放電される負荷容量の大きさである。オン電流は、一般的には、ゲート長の短縮にともないチャネル抵抗が下がることによって増加する。したがって、ゲート長を短縮すればオン電流が増加し、集積回路の動作速度を上げることができる。
しかし、ゲート長が100nmを切るあたりから、ゲート長の短縮に見合うオン電流の増加を得ることが容易ではなくなってきている。その原因の1つを、以下に図11を用いて説明する。
図11(A)は、従来のプレーナー型MOSFETの断面構造の模式図である。
図11(A)の構造において、ソース領域およびドレイン領域は、外部配線との接続孔を設けるための領域であり、基板(ウェルがある場合はウェル)と逆導電型の不純物を高濃度に導入して形成された低抵抗の半導体領域である。この半導体領域と接続孔の電極プラグ(図示しない)との間の接触抵抗を下げるため、通常、ソース領域およびドレイン領域の表面にCoやNiと基板材料(Si)との合金層(シリサイド層)が設けられる。合金層は基板内部に向かって成長するが、これが基板とのPN接合に近づき過ぎると接合耐圧が低下し、基板リーク電流が増加する。そのため、ソース領域およびドレイン領域は、通常、合金層の厚さに対して十分に厚く形成される。たとえば、CoSiを形成する場合、接合深さは60nm以上、好ましくは、100nm以上が必要である。
ソース領域またはドレイン領域とゲートとの間には、エクステンション部が設けられる。エクステンション部の一部はゲート絶縁膜を挟んでゲート電極と重なり、オーバーラップ領域を形成する。チャネルの反転層は、ソース側とドレイン側の2つのエクステンション部間に形成される。
図11(A)に示す構造において、ゲート長を短縮した場合、いわゆるショートチャネル効果(SCE)が顕在化し、ソース領域、ドレイン領域あるいはエクステンション部からチャネルに向かって伸びる空乏層によって、しきい値電圧の低下や、サブスレッショルド傾斜の減少、DIBL(Drain Induced Barrier Lowering)の増加が起こる。
ショートチャネル効果を抑制するには、チャネル長の短縮にともなって、ソース領域およびドレイン領域の接合深さ、およびエクステンション部の接合深さ(図では、Xj)を十分浅くする必要がある。ところが、このような浅い拡散層において、不純物濃度を固溶限まで高めたとしても、電流断面積が小さいために高抵抗であり、これがオン電流を制限する要因の1つとなる。
この問題に対し、ソース領域およびドレイン領域、または、エクステンション部を、チャネルの反転層と同じ深さか、あるいはそれよりも上方に位置させる構造が提案されている。それらの構造を図11(B)および図11(C)に模式的に示す。
図11(B)は、「グルーブゲート」あるいは「リセスゲート」と呼ばれる構造の模式図である。
基板に形成されたトレンチあるいはリセス(以下、凹部という)の底部にチャネルが形成されるゲート電極構造にすることによって、エクステンション部と反転層との前述した位置関係を実現している(たとえば、特許文献1の第1〜第3および第7実施形態ならびに非特許文献1および2参照)。
ここで特許文献1においては、ゲートに隣接する凹部の内壁を斜めに形成し、凹部のゲート側部分に第1のソース・ドレイン領域を形成し、それより深い第2のソース・ドレイン領域をゲートから離れた位置に形成している。この第1のソース・ドレイン領域が、いわゆるエクステンション部に該当すると考えられる。
なお、特許文献1の他の実施形態、たとえば第4および第5実施形態において、これら第1および第2のソース・ドレイン領域をエピタキシャル成長層に形成したものが開示されている。
一方、図11(C)は、持ち上げエクステンション(Raised Extension)構造を示す模式図である。
この構造に関し、基板表面にチャネルの反転層が形成され、ゲートの両側に絶縁層を挟んで位置し、基板上のエピタキシャル成長層によりエクステンション部を形成し、このエクステンション部のゲート側端から反ゲート側に離れた部分およびその下の基板表面部に、エクステンション部の上方からイオン注入を行うことによりソース・ドレイン領域を形成する技術が知られている(たとえば、非特許文献3参照)。
特開2000−82813号公報 特開2001−144290号公報 西松、他:Groove Gate MOSFET, 8th Conf. on Solid State Devices, pp.179-183 (1976) K. Matsuo, et al, High Performance Damascene Gate CMOS FETs with Recessed Channel Formed by Plasma Oxidation and Etching Method (RC-POEM), IEDM 2002 Uchino, et al: A Raised Source/Drain Technology Using In-situ P-doped SiGe and B-doped Si for 0.1μm CMOS ULSIs, IEDM 1997, pp.479-482 (1977)
非特許文献3に記載された技術によれば、エクステンション部の基板表面に対する接合深さXjは、エピタキシャル成長後の熱履歴により、エピタキシャル層の不純物が基板表面部に拡散する深さであり、この深さは、イオン注入により形成されるエクステンション部の接合深さより低減されている。また、この接合深さを小さくしても、エクステンション部の抵抗は、そのエピタキシャル成長層の厚さや濃度で決まることから、それらを十分大きく設定することによってエクステンション部の高抵抗化は回避できる。これに対し、イオン注入によるエクステンション部の形成では、その接合深さを小さくすると、抵抗値が上昇し必要なオン電流を達成することが難しくなる。
ところが、近年のゲート長の短縮化に伴って要求される接合深さXjも益々小さくなってきている。このため、イオン注入を用いない、非特許文献3に記載の方法を用いてもエクステンション部の基板表面に対する接合深さXjを浅くすることが十分でなくなってきている。つまり、この非特許文献3に記載された技術のみでは、オン電流が十分でなくなる状況にまでMISトランジスタの微細化が進むことが予想され、このことが更なるMISトランジスタの微細化を妨げる要因の1つとなっている。
本発明が解決しようとする課題は、ゲート長の短縮にともなって、最適な接合深さのエクステンション部を形成できなくなってきていることである。
本発明に係る絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法は、ゲート絶縁膜を介してゲート電極と対向しチャネルが形成される半導体基板の領域と、当該領域に各々接し互いに離れて形成されている2つのエクステンション部と、前記2つのエクステンション部の対向端から互いに離反する向きにさらに離れて形成されている2つのソース・ドレイン領域とを有する絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法であって、ゲート絶縁膜とゲート電極との積層体を半導体基板に形成し、当該積層体の両側面に所定幅のスペーサを形成する第1ステップと、前記スペーサをマスクとする不純物のイオン注入と活性化アニールにより、前記2つのソース・ドレイン領域を半導体基板に形成する第2ステップと、前記スペーサを除去し、前記積層体の両側面に所定厚の隔離絶縁膜を形成する第3ステップと、前記隔離絶縁膜が形成された前記積層体の幅方向両側に露出し前記2つのソース・ドレイン領域を含む半導体基板領域に選択的なエピタキシャル成長により半導体材料を成長させ、前記積層体と前記隔離絶縁膜により分離する2つのエクステンション部を形成する第4ステップと、を有する。
本発明に係る絶縁ゲート電界効果トランジスタおよびその製造方法によれば、ゲート長を極めて短くしても、最適な接合深さのエクステンション部の形成が可能であるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を、N型のMISトランジスタを例として図面を参照して述べる。なお、P型のMISトランジスタについては、適宜導電型を逆にすることによって以下の記述と同様な方法により製造できる。
[第1の実施の形態]
図1(A)〜図4(D)は、第1実施の形態における方法を適用して製造されるMISトランジスタのチャネル方向の断面図である。
まず、完成したMISトランジスタの基本構造を、図4(D)を参照して述べる。
図解したMISトランジスタにおいて、たとえばシリコンウェハからなる基板1の表面部に素子分離絶縁層、たとえばSTI(Shallow Trench Isolation)2が形成されている。このSTI2が形成されていない領域(活性領域)にチャネルの反転層が形成されるP型領域、たとえばPウェル3が形成されている。
Pウェル3上にゲート絶縁膜4とゲート電極5を含む積層体(ゲートスタック)7が形成され、その側面が隔壁絶縁膜11と側壁絶縁膜13により覆われている。隔壁絶縁膜11に形成位置が決められたエピタキシャル成長によりエクステンション部12がPウェル3上に形成されている。また、側壁絶縁膜13により形成位置が決められたサリサイド(Self-aligned silicide)プロセスにより、エクステンション部12およびゲート電極5のそれぞれに合金層としてのシリサイド層14Aおよび14Bが形成されている。エクステンション部12の下面に接するPウェル3の表面部にN型のソース・ドレイン領域10が形成されている。トランジスタの全面が層間絶縁膜15に覆われ、シリサイド層14Aに接触する接続層16が層間絶縁膜15内に形成されている。
図4(D)において以上の構成は、ゲートを中心にしてチャネル方向で対称に形成され、バイアス印加条件に応じて、その一方側がソース、他方側がドレインとして機能する。
本実施の形態において、ソース・ドレイン領域10のゲート側端の水平方向位置を、好ましくは、エクステンション部12のゲート側端と、その上のシリサイド層14Aのゲート側端との間に位置させ、この位置を、ソース抵抗あるいはドレイン抵抗、さらにはソース・ドレイン間のリークを低減するなどの観点から最適化している。また、エクステンション部12のゲート側端部に傾斜端面を備え、この傾斜端面を側壁絶縁膜13で覆うことによって、ゲートとソースまたはゲートとドレインとの寄生容量を低減している。
エクステンション部12は、Pウェル3のゲート直下部分(実効チャネル領域)に電流を供給する層である。エクステンション部12がないと、ソース・ドレイン領域10を実効チャンネル領域に近接させなければならず、この場合、とくにドレイン側で電界が集中し、短チャネル効果が顕著となりリーク電流が増大する。また、空乏層がチャネル電流経路内に大きく伸びてキャリアが枯渇し、その部分でチャネル抵抗が増大し、また、その部分でチャネル走行キャリアが飽和速度に達すると、これによってオン電流値が制限される。
本実施の形態においては、エクステンション部12が存在することによって、ソース・ドレイン領域10を実効チャネル領域から離すことができる。エクステンション部12は、N型不純物が導入されているエピタキシャル層であり、いわゆる持ち上げエクステンション構造となっている。エクステンション部12は、ここではソース・ドレイン領域10より低濃度としているが、抵抗値を下げる意味でソース・ドレイン領域10と同等以上のN型不純物濃度としてもよい。
なお、詳細は後述するが、エクステンション部をイオン注入により形成した場合、深さ方向の濃度分布がすそ引きし、基板との境界では急峻なPN接合が形成されにくい。
これに対し、本実施の形態においては、たとえばエピタキシャル成長途中の不純物導入(In-suit doping)によってエクステンション部12と基板(Pウェル3)との界面で急峻なPN接合が形成され、その結果、エクステンション部12からの空乏層の延びが抑えられている。
また、エクステンション部12が基板表面より上方に持ち上げられていることによって、動作バイアス印加時にエクステンション部12の直列抵抗を上げることなく、そのウェル表面からのPN接合深さを浅くすることができることから、エクステンション部12から伸びる空乏層の実効チャネル領域に対する影響および電界集中を抑えることができる。
以上の結果、本実施の形態においては短チャネル効果が抑圧され、また、リーク電流の増大およびチャネル抵抗の局部的増大を防止している。
なお、エピタキシャル成長途中の加熱、および、その後の熱履歴によって、エクステンション部12内のN型不純物がPウェル3に多少なりとも熱拡散する。
ただし、本実施の形態においては後述する製造方法の適用によって、この熱拡散が必要最小限に抑えられる。これにより、図4(D)には現れていないが、エクステンション部12の熱拡散部の深さは数nm、最大でも10nm程度である。また、隔壁絶縁膜11の幅にもよるが、その幅を、たとえば2nmと薄くし、エクステンション部12からの横方向の熱拡散によって、その熱拡散部の一部がゲート電極5とオーバーラップすることが望ましい。本実施の形態では、熱拡散量が比較的小さいことから、そのオーバーラップ幅も必要最小限に制御されている。
このオーバーラップ部には、とくにソース側においてゲート電極5による電界によってキャリア蓄積層が形成され、低抵抗化が図られる。このためオーバーラップ部の存在自体は好ましいが、あまりオーバーラップ量が大きいと、ゲート寄生容量の増加を招き、論理ゲートの動作速度が低下する。また、オーバーラップ部から伸びる空乏層の影響(キャリアの枯渇)が大きくなり、また、実効チャネル長の減少にともない短チャネル効果が大きくなる。このためオーバーラップ量にはトレードオフが存在するが、従来構造では、過度にオーバーラップ部の幅が大きく、そのため、特性低下を招くことが多い。
本実施の形態においては、このオーバーラップ量を隔壁絶縁膜11の膜厚で制御できることから最適化が容易で、特性低下が起きない。
本実施の形態においては、後述するようにソース・ドレイン領域10をエクステンション部12より先に形成し、その活性化アニールによりエクステンション部12からの熱拡散が過度に起きないようにしている。
このため、ソース・ドレイン領域10内の不純物は、エクステンション部12との境界付近までしか存在せず、成長直後のエクステンション部12の表面側濃度は、ソース・ドレイン領域10の濃度と比べると低いことがある。このような低い濃度のエクステンション部12に直接、接続層16を接触させると、そのコンタクト抵抗が大きくなる。
したがってシリサイド層14Aが設けられているのであるが、本実施形態においては、シリサイド層14Aがエピタキシャル成長層を厚さ方向に貫いて高濃度なソース・ドレイン領域10にまで達し、これによって良好なコンタクトが実現されている。その一方、シリサイド層14Aが余り深くまで達すると、ソース・ドレイン領域10の接合リークが増大する。
このシリサイド層14Aの深さ制御は、合金材料、合金時の条件に大きく依存するが、エクステンション部12の厚さにも依存する。エクステンション部12の厚さと濃度分布は、この観点と、ソースまたはドレインの直列抵抗低減の観点、さらには、その傾斜端面形状(とくに傾き)なども考慮して決められる。
つぎに、本実施の形態におけるMISトランジスタの製造方法を、図面を参照して述べる。
なお、CMOSプロセスにおいては、基板の図示しない他の部分にP型のMISトランジスタが形成される。以下は、記述の簡潔化のために、N型のMISトランジスタの手順を抽出して述べるが、CMOSプロセスにおいては、必要な箇所で以下と類似の工程を、その都度繰り返すことによってN型のMISトランジスタとP型のMISトランジスタを同一基板に作製する。
まず、図1(A)に示すように、基板1に、既知の方法を用いて素子間分離のためのSTI2を形成する。
つぎに、基板1を熱酸化し、表面に、たとえば8nmの酸化膜(図示せず)を形成する。続いて、トランジスタの活性領域となるSTI2が形成されていない基板部分を露出するパターンのレジスト(図示せず)を形成する。その後、イオン注入を行い、レジストを除去してから活性化アニールを行うと、図1(B)に示すように、Pウェル3が形成される。Pウェル形成のためのイオン注入のイオン種は、たとえばホウ素Bである。活性化アニールの条件は、たとえばRTA(Rapid Thermal Anneal)法において1010℃、10秒である。
なお、Pウェル形成と前後してしきい値電圧調整のためのチャネル注入を行ってもよい。また、CMOSプロセスの場合は、Pウェル形成(および、そのチャネル注入)と前後して、同様の手順でNウェル(図示せず)を形成してもよい。この場合のNウェルの不純物は、たとえば燐Pである。また、この場合の活性化アニールは、PウェルとNウェルを形成後に一括して行うとよい。
図1(C)に示すように、基板表面にゲート絶縁膜4とゲート層5aを順次形成する。ゲート絶縁膜4の形成は熱酸化によって行い、その厚さは、たとえば1〜3nmである。酸化後に窒素プラズマに曝して、ゲート絶縁膜4を酸窒化膜に改質してもよい。
ゲート層5aは、たとえば熱CVD法で堆積したポリシリコン層であり、その厚さは、100〜150nmである。
続いて、図示のようにゲート層5aにイオン注入法で不純物を導入し、その後、活性化アニールを行い、ゲート層5aに注入された不純物を活性化する。ゲート層5aに導入する不純物は、たとえば燐Pである。
図1(D)に示すように、ゲート層5aの上にハードマスク層6aを積層する。ハードマスク層6aは、たとえば、30nmのSiO膜と30nmのSiN膜を順次堆積した2層膜とし、その成膜は熱CVD法によって行う。
ハードマスク層6aにレジスト(図示せず)を堆積し、光学リソグラフィ、電子線リソグラフィ、または、それらを組み合わせた方法によって、レジストにゲートパターンを形成する。つぎに、パターンニングしたレジストを酸素プラズマで等方的に細らせ目的のパターン寸法を得た後、反応性イオンエッチング(RIE)を行い、レジストパターンをハードマスク層6aに転写し、ハードマスク6を形成する。続いて、ハードマスク6をマスクとして、ゲート層5aをRIEによりパターンニングする。
レジストを除去すると、図2(A)に示すように、ゲート絶縁膜4と、ゲート層5aからなるゲート電極5と、ハードマスク6とからなるゲートスタック7が基板上に形成された状態になる。なお、図2(A)においてはゲートスタック7周囲の領域でゲート絶縁膜4がエッチオフされているが、ゲート層5aのRIE時に、この領域にゲート絶縁膜4が残るようにエッチング条件を定めることが好ましい。
図2(B)に示すようにカバレッジのよい絶縁膜8を堆積し、ゲートスタック7を完全に絶縁膜8で被覆する。絶縁膜8として、たとえば熱CVD法によって形成されるSiN膜が選択できる。
絶縁膜8をRIEでエッチバックすることにより、図2(C)に示すように、ゲートスタック7の両側に側壁絶縁膜9を形成する。この図示のように側壁絶縁膜9、ゲート絶縁膜4およびハードマスク6によりゲート電極5の周囲が絶縁膜で覆われた状態となる。
このゲートスタック7と側壁絶縁膜9からなる構造物は、つぎに形成される2つのソース・ドレイン領域10の間隔D1(図3(B)参照)を規定することから、本発明における「スペーサ」の具体例である。本実施の形態は、このスペーサの中に最初からゲート電極5が埋め込まれている点で他の幾つかの実施の形態(後述)と異なる。
側壁絶縁膜9の幅は、ゲート長(ゲートスタック7の幅)と、つぎの工程で形成するソース・ドレイン領域10の接合深さXj1(図3(A)参照)との関係で最適値が決められる。一例を挙げると、ゲート長を20nm、ソース・ドレイン領域10の接合深さXj1を150nmとした場合、側壁絶縁膜9の底面の幅は70nm程度が望ましい。
P型のMISトランジスタ側をレジスト(図示せず)で被覆した後、図2(D)に示すようにゲートスタック7と側壁絶縁膜9をマスクとしてイオン注入を行い、ソース・ドレイン領域となる不純物の導入領域10aをPウェル3に形成する。不純物は、たとえば燐Pであり、その場合に、たとえば、イオン注入のドーズが5×1015/cm、注入エネルギーが5keVの条件を選択できる。
レジストを除去した後に活性化アニールを行い、図2(D)に示す工程でPウェル3に導入した不純物を活性化させる。活性化アニールは、たとえば、ピーク温度1050℃のスパイクアニールによって行う。このとき熱拡散によって分布が多少変化し、図3(A)に示すように、ゲートスタック7と側壁絶縁膜9をスペーサとして、その幅に応じた距離D1だけ離れ(図3(B)参照)、それぞれの接合深さがXj1の2つのソース・ドレイン領域10がPウェル3に形成される。
基板1を加熱した燐酸に浸漬し、側壁絶縁膜9とハードマスク6を構成するSiN膜をエッチングし除去する。ハードマスク6は、下層のSiO膜と上層のSiN膜とから構成されていたことから、このエッチング後のゲートスタック7において、図3(B)に示すようにハードマスク6の下層膜(SiO膜6b)がゲート電極5上に残される。また、エッチング後にゲート電極5の側面が露出する。
図2(B)および図2(C)と同様の手順で絶縁膜の堆積とエッチバックを行い、図3(C)に示すようにゲートスタック7の両側面に隔壁絶縁膜11を形成する。隔壁絶縁膜11は後述するシリサイド形成の前に追加する追加スペーサとなる側壁絶縁膜13(図4(C)参照)に比較してエッチング選択比が高い絶縁材料、たとえばSiNからなる。このときのエッチバックで異方性を高くすると、隔壁絶縁膜11の幅が、堆積直後のSiN膜厚によりほぼ決定される。このためゲート電極5と、つぎに形成するエクステンション部12との隔離幅の制御性が高くなり、結果として、前述したエクステンション部12のゲート電極5とのオーバーラップ幅を最適化しやすい。
この図3(C)に示す工程と、その前の図3(B)に示す工程が、図3(A)で形成したスペーサのエッジを幅方向に後退させるステップに該当する。
スペーサを後退させる方法は図示の方法に限らないが、上述のようにスペーサの側壁部分を一旦除去して新たな薄い膜を形成すると、後退幅の制御性がよく、また側壁部分の材質を変えることができる意味で好ましい。
基板1に形成されている半導体層や絶縁層の表面を洗浄した後、エクステンション部12を800℃以下の温度でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長層の材料はSi単結晶、または、シリコンSiとゲルマニウムGe、炭素Cあるいはその両方との混晶である。
エピタキシャル成長層は、図3(D)に示すように、露出した半導体層、すなわちソース・ドレイン領域10が形成されているPウェル3から成長するが、SiO膜6bおよび隔壁絶縁膜11に保護されてゲート電極5からは成長しない。隔壁絶縁膜11は、このエピタキシャル成長層(エクステンション部12)とゲート電極5との隔壁として機能する。エピタキシャル成長は、絶縁膜と半導体層との境界部分では片側(半導体層側)でのみ成長することから、半導体層の結晶構造や条件にもよるが通常、その端部が、上方ほど隔壁絶縁膜11から離れる斜めの傾斜端面状になる。
エクステンション部12に対する不純物の導入は、エピタキシャル成長時に不純物含有ガスを供給することにより行い、不純物はたとえば、砒素Asあるいは燐Pである。
基板1に、絶縁膜を堆積し、これをRIEでエッチバックすることによって、図4(A)に示すように、ゲートスタック7の両側に追加スペーサとしての側壁絶縁膜13を形成する。側壁絶縁膜13は、たとえば、TEOSを原料ガスとして用いる熱CVD法により形成するSiO膜であり、その膜厚は、ゲート側壁容量(ソースとゲート間またはドレインとゲート間の寄生容量)を考慮して、たとえば10〜60nmの間で任意に選択される。
基板1にレジスト(図示せず)を塗布し、レジストをエッチバックしてゲートスタック7の最上部のみを露出させた後、反応性イオンエッチングを行うことによって、図4(B)に示すように、ゲートスタック7の最上層に残されていたSiO膜6bが除去される。
図4(C)に示すように、エクステンション部12にシリサイド層14Aを、ゲート電極5にシリサイド層14Bを同時に形成する。シリサイド層14Aおよび14Bは、たとえばCoSiあるいはNiSiである。このシリサイド層の形成は、コバルトCoまたはニッケルNiの金属膜を形成した後に熱処理し、その半導体材料と接触する部分を合金化し、薬液処理により非合金化部分(絶縁材料と接触する部分)を除去することにより行う。このうちシリサイド層14Aは、ソース・ドレイン領域10と直接接触する。
図4(D)に示すように、接続層16をシリサイド層14A上に形成する。より詳細には、層間絶縁膜15を堆積し、その表面を化学的機械研磨(CMP)により平坦化し、リソグラフィによりシリサイド層14Aの上方で開口するパターンのレジスト(図示せず)を層間絶縁膜15上に形成する。このレジストをマスクとするRIEによりシリサイド層14Aに達する接続孔を形成し、レジストを除去した後、接続孔に金属を充填して平坦化すると、図示のように接続層16が形成される。
その後は、とくに図示しないが、接続層16上に配線を形成する。なお、ゲート電極5上のシリサイド層14Bに対する上層の配線との接続は、図示しない部分で同様に接続層を用いて達成される。
[第2の実施の形態]
本実施の形態は、エクステンション部の斜めの傾斜端面にゲート電極を部分的に精度よく重ねているMISトランジスタの構造と、その形成方法とに関する。
図5(A)〜図6(D)は、第2実施の形態における方法を適用して製造されるMISトランジスタのチャネル方向の断面図である。
まず、完成したMISトランジスタの基本構造を、図6(D)を参照して述べる。
図解したMISトランジスタが第1の実施の形態におけるMISトランジスタ(図4(D)参照)と異なるのは、ゲート電極19がエクステンション部12の斜めの傾斜端面に対しゲート絶縁膜17を介して部分的にオーバーラップしていること、ゲート電極19の上部にシリサイド層が形成されていないこと、さらに、ゲート電極19の両側面に隔壁絶縁膜11(図4(D)参照)が形成されていないことである。他の構成は共通することから、ここでの記述を省略する。また、以下の記述において第1の実施の形態と同じ材料および形状の構成は同一符号を付して説明を簡潔にする。
このMISトランジスタの製造において、図4(A)に示す工程までは第1の実施の形態で記述した方法と同様である。
本実施の形態においては図4(B)に示すゲートスタック7の最上層のSiO膜6bを除去することなくシリサイド層の形成を行う。これにより、図5(A)に示すように、エクステンション部12に対してシリサイド層14Aが形成され、ゲート電極5に対してシリサイド層が形成されない。
層間絶縁膜15を堆積し、その表面部を、CMPによりSiO膜6bが露出するまでエッチングおよび研磨することによって平坦化する。図5(B)に、この平坦化後の素子断面を示す。層間絶縁膜15は、プラズマCVDにより形成するSiO膜である。
側壁絶縁膜13の表面に露出するSiO膜6bおよび、その下のゲート電極5をエッチングにより除去する。より詳細には、弗酸を含む溶液を用いたエッチングによりゲートスタック7のSiO膜6bを除去し、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液などのアルカリ溶液によるウエットエッチング、あるいは、シランCFと酸素Oの混合ガスを用いたケミカルドライエッチングによってゲート電極5を除去する。図5(C)に、このエッチングにより形成されたゲート開口部7aを示す。
続いて、ゲート開口部7a内のゲート絶縁膜4および隔壁絶縁膜(SiN膜)11を、弗酸を含む溶液などを用いてエッチングにより除去し、ゲート開口部7aの底面にPウェル3の表面を露出させる。図5(D)に、このエッチング後の素子断面を示す。このエッチングによって側壁絶縁膜13の一部もエッチングされ、ゲート開口部7aの底部にエクステンション部12の傾斜端面が露出する。
図6(A)に示すように、ゲート開口部7a内で露出したPウェル3およびエクステンション部12の傾斜端面にゲート絶縁膜17を形成する。ゲート絶縁膜17は、熱酸化によるSiO膜、これをプラズマ窒化して形成するSiON膜、あるいは、ALD(Atomic Layer Deposition)法により形成するHfO膜などである。
図6(B)に示すように、ゲート金属18を厚く形成し、ゲート開口部7aをゲート金属18により埋め込む。ゲート金属18の形成は、たとえば、Cuシード層のPVDと、それに続くCuの無電解めっきによって行うことができる。
余分なゲート金属18をCMP法により除去し、ゲート開口部7a内にのみゲート金属18を残す。これにより、図6(C)に示すように層間絶縁膜15および側壁絶縁膜13に埋め込まれたゲート電極19が形成される。
図4(D)に示す工程と同様な方法によって、図6(D)に示すようにシリサイド層14A上に接触し層間絶縁膜15内に埋め込まれた接続層16を形成する。
その後、必要ならば上層の配線(不図示)などの形成を行って、当該MISトランジスタを完成させる。
このような構造のMISトランジスタにおいて、ゲート絶縁膜17を介してゲート電極19と重なるエクステンション部12の傾斜端部に、動作時に蓄積層が形成される。この蓄積層によって、チャネルとソース・ドレイン領域10とが低抵抗で接続され、さらなるオン電流の増加が実現される。
以上述べてきた第2の実施の形態に示すMISトランジスの製造において、ソース・ドレイン領域10のイオン注入マスクとして機能するスペーサを除去して、新たにゲート絶縁膜17とゲート電極19とを埋め込みゲートプロセスにより形成する。
この埋め込みゲートプロセスの採用を前提とすると、第2の実施の形態で記述したごとく上記スペーサをゲートスタック7、すなわち導電性のゲート電極5を含む積層体で形成する必要は必ずしもなく、その代わりに絶縁性スペーサを用いることができる。
以下の第3および第4実施の形態は、絶縁性の側壁スペーサを用いる例を示すものである。このうち第3の実施の形態はゲート電極をエクステンション部に重ねない場合、第4の実施の形態は重ねる場合を示す。
なお、以下の実施の形態において、第2の実施の形態と同様、記述を簡潔にするため今までと異なる点のみ述べ、既に述べた構成は同一符号を付して図示のみ行う。
[第3の実施の形態]
図7(A)〜図9(C)は、第3実施の形態における方法を適用して製造されるMISトランジスタのチャネル方向の断面図である。
このMISトランジスタの製造において、図1(B)に示す工程までは第1の実施の形態で記述した方法と同様である。
図7(A)に示すように、パッド層としてのSiO膜20を熱酸化などにより活性領域(Pウェル3)に形成する。その上にパッド層に比較してエッチング選択比が高い絶縁膜、たとえばSiN膜をCVDにより堆積し、SiN膜上にレジストを形成し、これをリソグラフィによりパターンニングする。つぎに、パターンニングしたレジストをマスクとしてRIEを行い、レジストパターンをSiN膜に転写する。
レジストを除去すると、図示のように所定幅のスペーサ21がSiO膜20上に形成される。スペーサ21の幅は、ゲート長と、つぎの工程で形成するソース・ドレイン領域10の接合深さXj1(図7(C)参照)との関係で最適値が決められる。
P型のMISトランジスタ側をレジスト(図示せず)で被覆した後、図7(B)に示すようにスペーサ21をマスクとしてイオン注入を行い、ソース・ドレイン領域となる不純物の導入領域10aをPウェル3に形成する。イオン注入条件は、図2(D)に示す工程と同じものを選択できる。
レジストを除去した後に活性化アニールを行い、図7(C)に示す工程でPウェル3に導入した不純物を活性化させる。活性化アニールは、たとえば、ピーク温度1050℃のスパイクアニールによって行う。このとき熱拡散によって分布が多少変化し、スペーサ21の幅に応じた距離D1だけ離れ、それぞれの深さがXj1の2つのソース・ドレイン領域10がPウェル3に形成される。
つぎに、スペーサ21を、たとえばプラズマドライエッチングにより細らせて、ソース・ドレイン領域10の形成位置を規定する幅方向両側のエッジを後退させる。続いて、スペーサ21周囲のSiO膜20を、弗酸を含む溶液などを用いてエッチングにより除去する。これにより、図8(A)に示すように、SiO膜20とスペーサ21の積層体がエピタキシャル成長時の分離層として所定幅に調整される。なお、この幅の制御を精度よく行うために、スペーサ21をエッチング速度が異なる絶縁材料の2重の構造、たとえば中心部と、その両側面に形成される側壁部とからなる構造により予め形成し、ソース・ドレイン領域10のイオン注入後に側壁部のみ選択的に除去するようにしてもよい。
続いて、図3(D)と同様な方法により、同様な材料のエピタキシャル成長を行い、2つのエクステンション部12を形成する。図8(A)に、このエクステンション部を形成した後の素子断面を示す。
形成したエクステンション部12およびスペーサ21を覆う絶縁膜22を厚く堆積し、その表面を、CMPなどによりスペーサ21の上面が露出するまで平坦化する。図8(B)は、この平坦化後の素子断面を示す。
基板1を、加熱した燐酸を含む溶液などに浸漬することによって、スペーサ21をエッチングにより除去し、続いて、弗酸を含む溶液などを用いて基板表面のSiO膜20をエッチングにより除去する。これにより、図8(C)に示すように、絶縁膜22にゲート開口部22aが形成され、ゲート開口部22a内に基板表面(Pウェル3の表面)が露出する。
露出したウェル表面を洗浄した後、図9(A)に示すようにゲート絶縁膜17を形成する。
続いて、第2の実施の形態における図6(B)と同様な方法により、ゲート開口部22aに埋め込まれたゲート電極19を形成する。なお、本実施の形態におけるゲート電極19は、エクステンション部12とオーバーラップしない。
このゲート電極19と、その下のゲート絶縁膜17は、図8(A)に示すスペーサ21とSiO膜を置き換えたものであり、つぎに、追加スペーサとしての側壁絶縁膜13を、図4(A)と同様な方法により、ゲート電極19の両側面に接し、エクステンション部12の傾斜端面を覆って形成する。図9(C)に、この側壁絶縁膜13が形成された後の素子断面を示す。
その後は、とくに図示しないが、第1の実施の形態における図4(C)と同様な方法によって、エクステンション部12およびゲート電極19にシリサイド層を同時に形成する。
また、図4(D)と同様な方法によって、層間絶縁膜の堆積、接続層の形成を行い、その後、必要な配線の形成などを行って、当該MISトランジスタを完成させる。
[第4の実施の形態]
図10(A)〜図10(C)は、第4実施の形態における方法を適用して製造されるMISトランジスタのチャネル方向の断面図である。
このMISトランジスタの製造方法は、第3の実施の形態における製造方法を一部変更したものであり、図8(C)に示す工程までは第3の実施の形態で記述した方法と同様である。
図10(A)に示すように、絶縁膜22に形成したゲート開口部22aの幅を、ドライエッチングにより広げた後、ゲート開口面22aの底面に露出するPウェル3とエクステンション部12の傾斜端面上にゲート絶縁膜17を形成する。
その後は、同様な方法によりゲート開口部22a内に埋め込まれたゲート電極19を形成し(図10(B))、側壁絶縁膜13を形成する(図10(C))。
また、同様にして層間絶縁膜の堆積、接続層の形成を行い、その後、必要な配線の形成などを行って、当該MISトランジスタを完成させる。
以上で、構造および製造方法に関する記述を終える。
ところで、前述した非特許文献3においては、エクステンション部の形成を、深いソース・ドレインの形成のためのイオン注入および活性化アニール(RTA)より前に、基板上にエピタキシャル成長層(P-doped SiGe)を形成することによって達成している。
しかし、非特許文献3のようにエピタキシャル成長層の形成後に、ソース・ドレイン領域の形成を行う場合、その導入不純物の活性化アニールによってエピタキシャル成長層から不純物の熱拡散が生じる。
また、特許文献1のように、エピタキシャル成長層にソース・ドレイン領域(第2のソース・ドレイン領域)およびエクステンション部(第1のソース・ドレイン領域)を形成する場合、イオン注入とそれに続く活性化アニールが必要で、この場合も、不純物の熱拡散が生じる。
ところで、国際半導体技術ロードマップ(ITRS)上において、たとえば技術ノードhp32では、物理ゲート長が13nm(この場合、実効ゲート長が10nm前後)になることが予想されている。
本発明者は、本発明を考案するに際して、このような極微細ゲートトランジスタを対象としたシミュレーションを行い、その結果、実効ゲート長10nm前後で許容されるエクステンション部12の接合深さは、数nm〜10nm程度であるとの知見を得た。
また、上述したエクステンション部における不純物の熱拡散はゲート長が大きい場合は問題とならないが、実効ゲート長が10nm前後まで短くなると大きな問題となることが分かった。つまり、実効ゲート長10nm前後のMISトランジスタにおいては、上記エクステンション部の不純物の熱拡散が原因で、基板とエクステンション部との間に反転層の電子濃度より高い不純物濃度で、かつ急峻なPN接合を形成することが難しく、このことがデバイス特性に決定的な影響を与えるとの結論に至った。
この結論に至った考察を、以下に述べる。
まず、イオン注入による不純物分布は、理想的な場合でもガウス分布であり、通常は、チャネリングによるテールを生じる。したがって、数nmという尺度で急峻なプロファイルを得るのは困難である。
つぎに、その後の活性化アニールで十分な活性化率を得られるように、たとえば1000℃前後に温度を設定すると、不純物の再分布が起きる。このとき濃度が高いほど、プロファイルの傾斜が拡大してしまう。
急峻なPN接合ができないと、バイアスを印加しない状況で、エクステンション部と基板間のPN接合面の上下が広く空乏化する。空乏化した領域には、ゲートバイアスの印加時に十分に高い濃度の蓄積層が形成されないから、エクステンション部とゲートとのオーバーラップ領域の寄生抵抗を十分下げることができない。よって、実質的にゲート長が増加したことと等価となり、高いオン電流を得ることはできない。
さらに、エクステンション部への不純物導入を十分に高い濃度で急峻に行った場合も、その後のソース・ドレイン領域の活性化アニールで不純物の再分布が起き、エクステンション部と基板の不純物が互いに拡散するため、基板との間に高濃度で急峻なPN接合を維持し、高いオン電流を得ることは難しい。
以上の理由から、背景技術によっては、チャネルが形成される基板面からの接合深さが数nm〜10nm程度の極めて浅いエクステンション部12の形成が困難である。
これに対し、本実施の形態におけるMISトランジスタの製造方法では、スペーサとしてゲートスタック7および側壁絶縁膜9(あるいは絶縁性のスペーサ21)を形成後に、これをマスクに深いソース・ドレイン領域10をイオン注入および活性化アニールにより形成し、その後、不純物をドーピングしながら選択的にエピタキシャル成長を行い、これによりエクステンション部12を形成している。
この製造方法ではエクステンション部12の形成において、エピタキシャル成長中に不純物をドープすることにより、イオン注入では得られない高濃度で急峻なPN接合を、基板(Pウェル3)とエクステンション部12との間に形成可能となる。
また、深いソース・ドレイン領域10を形成するための高温の活性化アニールをエクステンション部12の形成前に行うことにより、エクステンション部12と基板との境界で不純物の再分布が相互に抑えられ、上記の急峻な不純物プロファイルを維持可能となる。
エクステンション部12の拡散深さが低減されたことによりショートチャネル効果が抑えられる。それと同時に、基板とエクステンション部12間のPN接合が高濃度かつ急峻化したことにより、エクステンション部12の空乏化が抑えられ、空乏化した領域の抵抗によるゲート長の実効的長大化が防がれ、それによるオン電流の減少が低減される。
本発明は、MIS型電界効果トランジスタを有する半導体製品およびその製造に広く適用できる。
(A)〜(D)は、第1実施の形態における方法を適用して製造されるMISトランジスタのチャネル方向の断面図であり、ハードマスク層の形成までを示すものである。 図1(D)に続く同断面図であり、ソース・ドレイン領域形成のためのイオン注入までを示すものである。 図2(D)に続く同断面図であり、エクステンション部の形成までを示すものである。 図3(D)に続く同断面図であり、接続層の形成までを示すものである。 (A)〜(D)は、第2実施の形態における方法を適用して製造されるMISトランジスタのチャネル方向の断面図であり、ゲート開口部の形成までを示すものである。 図5(D)に続く同断面図であり、接続層の形成までを示すものである。 (A)〜(C)は、第3実施の形態における方法を適用して製造されるMISトランジスタのチャネル方向の断面図であり、ソース・ドレイン領域の形成までを示すものである。 図7(D)に続く同断面図であり、ゲート開口部の形成までを示すものである。 図8(D)に続く同断面図であり、側壁絶縁膜の形成までを示すものである。 (A)〜(C)は、第4実施の形態における方法を適用して製造されるMISトランジスタのチャネル方向の断面図であり、側壁絶縁膜の形成までを示すものである。 (A)は、従来のプレーナー型MOSFETの断面構造の模式図である。(B)は、「グルーブゲート」あるいは「リセスゲート」と呼ばれる構造の模式図である。(C)は、持ち上げエクステンション構造を示す模式図である。
符号の説明
1…基板、3…Pウェル、4…ゲート絶縁膜、5…ゲート電極、7…ゲートスタック、10…ソース・ドレイン領域、11…隔壁絶縁膜、12…エクステンション部、13…側壁絶縁膜、14A,14B…シリサイド層、17…ゲート絶縁膜、19…ゲート電極

Claims (8)

  1. ゲート絶縁膜を介してゲート電極と対向しチャネルが形成される半導体基板の領域と、当該領域に各々接し互いに離れて形成されている2つのエクステンション部と、前記2つのエクステンション部の対向端から互いに離反する向きにさらに離れて形成されている2つのソース・ドレイン領域とを有する絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法であって、
    ゲート絶縁膜とゲート電極との積層体を半導体基板に形成し、当該積層体の両側面に所定幅のスペーサを形成する第1ステップと、
    前記スペーサをマスクとする不純物のイオン注入と活性化アニールにより、前記2つのソース・ドレイン領域を半導体基板に形成する第2ステップと、
    前記スペーサを除去し、前記積層体の両側面に所定厚の隔離絶縁膜を形成する第3ステップと、
    前記隔離絶縁膜が形成された前記積層体の幅方向両側に露出し前記2つのソース・ドレイン領域を含む半導体基板領域に選択的なエピタキシャル成長により半導体材料を成長させ、前記積層体と前記隔離絶縁膜により分離する2つのエクステンション部を形成する第4ステップと、
    を有する絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
  2. 前記2つのエクステンション部を形成するために前記第4ステップで行う前記エピタキシャル成長中に、前記チャネルが形成される半導体基板の領域と逆導電型の不純物を、成長中の層に導入する
    請求項1に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
  3. 前記第4ステップの後に、
    前記第3ステップで前記隔離絶縁膜が形成された前記積層体の幅方向両側の前記2つのエクステンション部の端部上に追加スペーサを形成し、全体のスペーサの幅を太くする第5ステップと、
    全面に金属膜を形成し、前記追加スペーサを含むスペーサ全体を分離層として前記2つのエクステンション部の各々で前記金属膜と接触する領域を熱処理で合金化することによって、深さ方向において前記ソース・ドレイン領域に接続する2つの合金層を形成し、合金化していない金属膜部分を除去する第6ステップと、
    を更に有する請求項1または2に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
  4. 前記隔離絶縁膜は、前記第5ステップで形成する前記追加スペーサの絶縁材料とのエッチング選択比が高い絶縁材料からなる
    請求項3に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
  5. 前記第4ステップで行う前記エピタキシャル成長中の加熱、及び、その後の熱履歴で前記エクステンション部内の不純物が熱拡散して前記半導体基板の領域に形成される熱拡散領域の前記ゲート電極との重ね幅を、前記隔離絶縁膜の前記所定厚で規定する
    請求項3または4に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
  6. 記合金層が形成されたエクステンション部上を覆う層間絶縁膜を形成する第7ステップと、
    形成した前記層間絶縁膜の表面から前記積層体および前記隔離絶縁膜を選択的に除去する第8ステップと、
    前記積層体および前記隔離絶縁膜を除去した箇所に露出する半導体基板の領域に新たなゲート絶縁膜を形成し、当該新たなゲート絶縁膜上の空間に新たなゲート電極を埋め込む第9ステップと、
    を更に有する請求項3に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
  7. 前記第8ステップでは、前記積層体および前記隔離絶縁膜を除去した後に、前記追加スペーサの一部をエッチングすることで前記新たなゲート絶縁膜と前記新たなゲート電極が形成される空間を幅方向に拡大し、前記エピタキシャル成長時に形成されている前記エクステンション部の傾斜端面の一部を露出させ、
    前記第9ステップでは、露出された前記傾斜端面および半導体基板の表面に前記新たなゲート絶縁膜を形成して、その上の前記空間を新たなゲート電極で埋め込むことによって、新たなゲート電極の一部を新たなゲート絶縁膜を介して前記エクステンション部の前記傾斜端面に重ねる
    請求項6に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
  8. 前記隔離絶縁膜は、前記第1ステップにおいて形成する前記スペーサの材料、および、前記第5ステップで形成する前記追加スペーサの絶縁材料とのエッチング選択比が高い絶縁材料からなる
    請求項7に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
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