JP5007177B2 - シリンダ錠 - Google Patents

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本発明は、シリンダ錠に関するものである。
化粧リング内部に補強体を配置して化粧リングの押し潰しを規制し、不正解錠操作に対する耐性を高めたシリンダ錠としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、シリンダ錠は、プラグを回転可能に挿入した外筒部の周囲に化粧リングとリング部材とを巻装して形成される。
化粧リングは、中心部が貫通状に開口されるとともに、肉質部が後方に向けて開放される中空状をなす。リング部材は、化粧リングの後方から中空部に挿入され、化粧リングのつぶれ方向への変形を規制する。
特開2003-97104号公報
しかし、上述した従来例は、リング部材の先端が化粧リングの中間部にまでしか至っていないために、シリンダ錠におけるリング部材の未装着先端部をパイプレンチ等の工具により挟み付けて強引に回転操作された場合の脱落を完全に防止できないという欠点がある。
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、パイプレンチ等を使用した不正破壊操作に対する耐性の高いシリンダ錠の提供を目的とする。
シリンダ錠は、プラグ2を収容したハウジング1と、円錐形スカート部5によりハウジング1の前端部を包囲する化粧リング6とを有する。化粧リング6は、ハウジング1に前後方向移動自在に外嵌されており、扉体8への装着時におけるシリンダ錠の扉体8からの突出高さが変化しても、円錐形スカート部5の後端を扉体8表面に当接させることができ、扉体8表面との間の隙間発生が防止される。
シリンダ錠にパイプレンチ等を使用して回転トルクを付与し、シリンダ錠を脱落させる不正破壊操作に対する耐性を高めるために、ハウジング1にはガードリング7と補強体4とが装着される。ガードリング7はハウジング1の前端部に空転自在に装着されてハウジング1前端部へのパイプレンチ等を使用した回転トルク付加を防止する。
補強体4は、切断、あるいはパイプレンチ等により挟み付けの際の工具先端の食い込み等を有効に防止できるように、表面硬度、および変形強度を備えた硬質材料により形成される。この補強体4は、化粧リング6の円錐形スカート部5とハウジング1との境界に挿入する外周が円形形状をした補強筒部3によりハウジング1の周壁を包囲し、化粧リング6とともに、あるいは化粧リング6を不正に除去した後でのハウジング1への回転トルク付加を防止する。
補強体4の補強筒部3の前端がガードリング7との重合位置まで延びている本発明において、ハウジング1の化粧リング6で覆われる領域、すなわち、扉体8から外部への突出領域は、全域にわたってキャップ部材、あるいは補強体4により覆われる。この結果、パイプレンチ等を使用した不正破壊操作に対する耐性が向上する。
以上の本発明によれば、
ハウジング1内に回転操作可能に収容されるプラグ2と、
パイプレンチ等の工具によるトルク伝達不能な程度に十分な表面硬度、および変形強度を備えた硬質材料により形成されてハウジング1に連結され、連結状態において断面円形の補強筒部3によりハウジング1の外周壁を包囲する補強体4と、
ハウジング1に前後方向移動自在に外嵌され、円錐形スカート部5により補強体4の補強筒部3を包囲する化粧リング6と、
を有し、
前記ハウジング1の前端部にガードリング7を空転自在に連結するとともに、
補強体4の補強筒部3の前端が、少なくともガードリング7との重合領域に達するシリンダ錠を提供することも可能である。

本発明によれば、パイプレンチ等を使用した不正破壊操作に対する耐性を高めることができる。
図1から3に示すように、シリンダ錠は、ハウジング1と、ハウジング1内に収容されるシリンダ組立体10と、ハウジング1を保持する補強体4と、ハウジング1に装着される化粧リング6とを有する。
シリンダ組立体10は、シリンダケース10a内にプラグ2を回転自在に挿入して形成される。プラグ2には複数のタンブラピン2aが装着され、真正な解錠キーを挿入してタンブラピンを所定位置に移動させることによりシリンダケース10aに対してプラグ2を回転操作することができる。プラグ2の後端にはジョイント2bが連結されており、プラグ2への回転操作によりジョイント2bを介して箱錠11を施解錠操作することができる(図2参照)。
プラグ2の前端には焼き入れ材等により形成される硬質キャップ2cが固定され、プラグ2へのドリル等を使用した破壊操作が防止される。
ハウジング1は、クロムモリブデン鋼等の硬質鋼材により形成され、中心部に開設されるシリンダ挿入孔1a内にシリンダ組立体10を保持する。シリンダ組立体10の前方への脱離を防止するために、シリンダ挿入孔1aの前端には、内周壁が硬質キャップ2cの外周を包囲する内向きフランジ1bが突設される。
上記ハウジング1の前端部にはガードリング7が装着される。この実施の形態において、ガードリング7は、内輪部11と外輪部12とからなり、各々十分な耐工具切削性を有する硬質鋼により形成される。内輪部11は、外周部から後方に突出する筒部11aを有してキャップ形状に形成され、筒部11a内周とハウジング1の外周に各々形成される止め輪装着溝1c、11cに装着される止め輪13を使用してハウジング1前端部に空転自在に外嵌される。
この内輪部11の中心部には、キャップ露出開口11bが開設されるとともに、外周部には適数のベアリングボール14が転動自在保持される。ハウジング1にガードリング7を装着した状態においてシリンダ組立体10の硬質キャップ2c先端はこのキャップ露出開口11bから露出し、解錠キーによるプラグ2への操作が可能になる。
一方、外輪部12は、筒形状に形成され、内周壁面全周に渡って上記内輪部11のベアリングボール14が転動自在に嵌合する凹溝12aが形成される。また、外輪部12の後端には、内向きのストッパフランジ12bが突設され、該ストッパフランジ12bを内輪部11の筒部11a後端に当接させることにより抜去が規制される(図2参照)。
したがってこの実施の形態において、プラグ2前面は硬質キャップ2cに覆われているために、プラグ2への直接の切削操作が規制される。さらに、シリンダ錠正面からプラグ2周囲をホルソ工具等を使用してくり抜き、プラグ2を引き抜こうとしても、ホルソ工具の切削刃の回転に追随してガードリング7の内輪部11が回転して切削加工を不可能にする。加えて、ハウジング1前端を例えばパイプレンチ等により挟み付けてシリンダ錠全体に回転トルクを加えようとした場合、ガードリング7の外輪部12が空転してハウジング1への回転トルク伝達を防止する。
補強体4は、焼入鋼等の硬質材料により形成され、前端部に位置する補強筒部3内にハウジング1を保持する。ハウジング1を補強体4に脱離不能に連結するために、ハウジング1には連結ボルト15がねじ込まれるネジ孔1dが、補強体4には、連結ボルト15の挿通孔4aが設けられる。
ハウジング1が組み込まれた補強体4は、図2に示すように、扉体8の壁面に開設された錠取付孔8aに後端部を挿入して扉体8に固定される。扉体8への固定は、扉体8の開閉側端面から挿入されて箱錠11に連結される固定ピン16を使用して行われ、補強体4の後端部には、この固定ピン16が挿通するピン挿入孔(固定部9)が開設される。
上記補強筒部3は、パイプレンチ等により挟み付けた際に把持部が滑って回転トルクを伝達することができないように、断面円形に形成される。この補強筒部3は、扉体8の錠取付孔8aへの挿入に支障がなく、かつ、可及的に肉厚を厚くして強度を高めるために、前後方向中心部に行くに従って漸次太径となる中高(クラウン)形状に形成される。
化粧リング6は、金属板材に絞り加工等を施して形成され、ハウジング1に外嵌される。図3に示すように、化粧リング6は、底壁部にハウジング1が挿通するハウジング挿通孔6aを備えて有底筒状に形成される筒部6bと、筒部6bの前端から後方に延びる円錐形スカート部5とを有する。
この化粧リング6は、補強体4の補強筒部3の前端部内周壁をやや拡径して形成される化粧リング収容部3aに筒部6bを挿入した姿勢でハウジング1に外嵌される。ハウジング1への装着状態において、円錐形スカート部5は補強筒部3を包囲して覆い隠す。
また、化粧リング6の筒部6bの内周壁とハウジング1の外周壁との間の間隙にはハウジング1の周囲に巻装される圧縮スプリング17が収容され、化粧リング6を後方側に付勢する。
したがってこの実施の形態において、シリンダ錠を扉体8の錠装着孔8aに挿入すると、化粧リング6の円錐形スカート部5の後端縁は、図2において鎖線で示すように、扉体8表面に押されて前方に移動する。この結果、シリンダ錠の扉体8表面からの突出高さが異なっても、化粧リング6の後端縁は圧縮スプリング17の復元力により扉体8表面に押し付けられて密着状態が維持され、隙間の発生が防止される。
この状態で扉体8表面には化粧リング6とハウジング1の前端部、およびプラグ2前端面が露出しており、上述したように、ハウジング1の前端部、およびプラグ2前端面への不正破壊操作に対して十分な耐性を有する。また、化粧リング6を取り去った状態においては、ハウジング1の周壁は、ガードリング7、あるいは補強体4の補強筒部3により囲まれる。この状態からシリンダ錠の扉体8からの突出部をパイプレンチで挟み付けてシリンダ錠全体に回転トルクを与え、シリンダ錠と扉体8との連結部を破壊させようとした場合、まず、ハウジング1に対して空転自在なガードリング7からの回転トルク伝達は不可能であり、ガードリング7を作用点とする不正操作は完全に防止される。
また、ハウジング1の残余の部位は、補強体4の補強筒部3により全域にわたって包囲されており、かつ補強筒部3は、円形断面を有するとともに、パイプレンチが食い込むことができない程度の十分な表面硬度を有しているために、当該補強筒部3をパイプレンチで挟んでも、回転トルクを付与することはできない。
なお、以上において、補強体4は扉体8への固定部9を備えてハウジング1に対するケースとしての機能をもたせる場合を示したが、図4に示すように、ハウジング1に対して空転自在に連結するように構成することができる。
この場合、補強体4は、補強筒部3の後端部から内向きにストッパフランジ3bを突出させて形成され、ハウジング1周りに空転自在に装着される。補強体4の前方への抜去を防止するために、ハウジング1には上記ストッパフランジ3bが衝接するストッパリング18が固定される。
以上のように構成されるシリンダ錠は、ハウジング1の後端に連結ボルト15を使用して一体に連結される固定ブロック19を扉体8に固定することにより扉体8に装着される。固定ブロック19には固定部9が形成され、扉体8への装着状態において、ハウジング1の扉体8からの突出部は、ハウジング1に対して空転自在な補強体4とガードリング7とにより全域にわたって包囲される。この結果、過小リングを取り去った後でも、ハウジング1は全域にわたって空転部材により囲まれるために、パイプレンチ等を使用した不正操作に対する耐性がより向上する。
本発明を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(b)の1C方向矢視図である。 シリンダ錠の断面図である。 図2の分解図である。 図1の変形例を示す図である。
符号の説明
1 ハウジング
2 プラグ
3 補強筒部
4 補強体
5 円錐形スカート部
6 化粧リング
7 ガードリング
8 扉体
9 固定部

Claims (4)

  1. ハウジング内に回転操作可能に収容されるプラグと、
    パイプレンチ等の工具によるトルク伝達不能な程度に十分な表面硬度、および変形強度を備えた硬質材料により形成されてハウジングに連結され、連結状態において断面円形の補強筒部によりハウジングの外周壁を包囲する補強体と、
    ハウジングに前後方向移動自在に外嵌され、円錐形スカート部により補強体の補強筒部を包囲する化粧リングと、
    を有し、
    前記ハウジングの前端部に、耐工具切削性を有する硬質鋼により形成されたガードリングを連結するとともに、
    補強体の補強筒部の前端が、少なくともガードリングとの重合領域に達し、
    かつ、前記ガードリングは、
    外周部から後方に突出する筒部を有してキャップ形状に形成され、前記ハウジングの前端部に空転自在に連結される内輪部と、
    筒形状に形成されて前記内輪部の外周側に空転自在に連結され、内輪部の筒部後端に当接する内向きのストッパフランジが後端に突設された外輪部とを有するシリンダ錠。
  2. 前記補強筒部は、前後方向中心部が肉厚に形成されてクラウン形状をなす請求項1記載のシリンダ錠。
  3. 前記補強体は、扉体への固定部を備える請求項1または2記載のシリンダ錠。
  4. 前記補強体は、ハウジングに対して空転自在である請求項1または2記載のシリンダ錠。
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