JP4080193B2 - 錠構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、扉面から突出したシリンダ錠の外周に、化粧リングを取り付けて成る錠構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンダ錠は、外筒の内側に、キー挿入孔を有した内筒を備え、キー挿入方向に配設した複数のピンを、キー溝の深さに合わせて内外筒の直径方向所定位置に移動することで、挿入キーと共に内筒を回転可能にし、扉内に設けた錠箱内施錠機構へ施解錠操作力を入力し、扉の木口からデッドボルトを進退させて扉の施解錠を可能にしている。
【0003】
このシリンダ錠1は、図7に示すように、固定筒3の内部に、スペーサ5を介して収容される。固定筒3の内壁には軸線方向の溝7を設けてあり、溝7はシリンダ錠1の外周に軸線方向で突設した突起9と嵌合してシリンダ錠1の回動を規制している。また、固定筒3の後部内周には周溝11を設けてあり、この周溝11には止めリング13を嵌入している。止めリング13は、リング状のライナー15を介してシリンダ錠1の後端面を押さえ、シリンダ錠1の後方(図7の右方)への移動を阻止している。
【0004】
固定筒3は、扉面17aに穿設した錠挿入穴19に後部を挿入し、扉17内に設けた図示しない錠箱に基端を固定する。扉面17aから突出した固定筒3の外周には、先端側を切除した円錐状の化粧リング21を、先端部がシリンダ錠1の先端側となるように外挿している。固定筒3の外周にはコイルバネ23を外挿支持してあり、コイルバネ23は付勢力によって化粧リング21を付勢し、その後端部を扉面17aに当接させている。
【0005】
このような化粧リング21の付勢構造を採用することで、シリンダ錠1の扉面17aからの突出長さが異なる場合であっても、常に化粧リング21の後端面を扉面17aに当接して錠挿入穴19を覆うことができ、厚みの異なる扉17に対する同一シリンダ錠1の取り付けを可能にしていた。
【0006】
また、図示はしないが、化粧リングの内周面に雌ねじを形成し、固定筒の外周面に雄ねじを形成して、固定筒に対して化粧リングを外挿し螺着することで扉面の錠挿入穴を覆うことを可能とする構造もあり、上記コイルバネ23の構成と同様に、厚みの異なる扉に対して、螺着長さを変えることで、上記同様に同一シリンダ錠の取り付けを可能にしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の錠構造は、厚みの異なる扉に対して同一シリンダ錠を取り付け可能にすることから、固定筒の外周に化粧リングを外挿し、固定筒に外挿支持したコイルバネの付勢力、或いは化粧リングのねじ込む長さによって化粧リングの後端部を扉面に当接させている。このため、化粧リングを回転させるなどして取り外し、表出したシリンダ錠に大きな外力を加えることで、シリンダ錠をもぎ取る暴力的な不正解錠も想定できる。また、コイルバネが収縮する距離だけ化粧リングを扉表面から浮き上がらせることが可能となり、それによって化粧リングをこじあける破壊も想定できる。
【0008】
さらに、化粧リングは、板金加工により製作した円錐状の筒体であることから、断面内に中空部21a(図7参照)を有し、固定筒に外挿した場合、固定筒との間に空洞を形成する。このため、化粧リングを潰して変形させれば、工具を用いて挟み持つことが可能となり、この状態で化粧リングと共に、固定筒及びシリンダ錠を無理やり回転し、錠装置を破壊することも想定できる。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、化粧リングを回転させながら取り外す破壊を阻止できる錠構造を提供することにある。
また、その第二の目的は、化粧リングを浮き上がらせることによるこじあけを防止できる錠構造を提供することにある。
さらに、その第三の目的は、化粧リングを潰して変形させ、変形させた化粧リングを掴み、シリンダ錠を無理やり回転することによる錠装置の破壊を防止できる錠構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の錠構造は、シリンダ錠31を固定筒43の内周に係着し、扉内に設けた錠箱に、扉面に穿設した錠挿入穴を介して該固定筒43の基端を固定し、前記扉面から突出した前記固定筒43の外周に、先端側を開口した略円錐状の化粧リング67を、後端面が前記扉面に当接して前記錠挿入穴を覆い、先端部が前記固定筒43の先端側となるように取り付けた錠構造において、
前記固定筒43の外周に形成した雄ねじ71と前記化粧リング67の内周に形成した雌ねじ69とを螺合して前記固定筒43の外周に前記化粧リング67を螺着し、
前記固定筒43の外周と前記化粧リング67の内周との間には、前記化粧リング67の固定筒先端へ移動する側の回転を規制する逆回転規制手段77が設けられ、
該逆回転規制手段77は、
前記固定筒外周の雄ねじ71を切り欠いて、固定筒43の外周に軸線方向に略真直に設けた収容溝79と、
該収容溝79に位置する角柱状の規制部材81と、
前記収容溝79と前記規制部材81との間に介在して、該規制部材81を前記収容溝79から突出させる方向に付勢する付勢手段83と、
前記収容溝79から突出した状態の前記規制部材81の一部分を収容する係合溝85と、
で構成されており、
前記係合溝85は、前記化粧リング67が固定筒基端へ移動する側の回転方向側が傾斜面87とされ、前記化粧リング67の固定筒先端へ移動する側の回転方向側が垂直面89とされていることを特徴とする。
【0011】
この錠構造では、扉表面に後端が当接する位置までねじ込んだ化粧リング67は、それ以上のねじ込みが扉表面によって阻止されると共に、逆方向の回転が逆回転規制手段77によって規制され、すなわち規制部材81が係合溝85の垂直面89に当接し、回転不能となって固定筒43に固定される。これにより、化粧リング67の固定構造の剛性が高まり、化粧リング67を回転させて取り外す錠機構の破壊を防止できる。また、化粧リング67の後端を扉表面に当接するので、扉面からの化粧リング67の浮き上がりが無く、化粧リング67を浮き上がらせることによるこじあけ、すなわち鍵挿入穴を覆うことから行い難くできる。
【0012】
請求項2記載の錠構造は、前記化粧リング67を、リング本体73と、該リング本体73の表面を覆って被着した可動リング75とで構成し、
前記可動リング75が、一定の回転モーメント以下では前記リング本体73に対する回転が摩擦力によって規制される一方、該摩擦力を超える回転モーメントでは前記リング本体73に対して回転することを特徴とする。
【0013】
この錠構造では、リング本体73が逆回転規制手段と扉表面とによって回転ロックされた状態においても、化粧リング67を無理やり回そうとすれば可動リング75のみがリング本体73に対して空転することになる。これにより、化粧リング67の固定部に破壊力が加わり難くなると共に、外部から化粧リング67を挟持してシリンダ錠31を回すことは不可能になり、シリンダ錠31を無理やり回すことによる錠機構の破壊が防止できる。
【0014】
請求項3記載の錠構造は、前記リング本体73が、断面内に中空部を有しない中実の略円錐状筒体であることを特徴とする。
【0015】
この錠構造では、リング本体73を潰して変形することが困難になり、リング本体73と可動リング75とからなる化粧リング67が円錐形状のままを維持する。これにより、化粧リング67が掴み難くなって、変形させた化粧リング67を掴み、シリンダ錠31を無理やり回転することによる錠装置の破壊を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る錠構造の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る錠構造の分解斜視図、図2は図1に示した錠構造の縦断面図、図3は図1に示した錠構造の水平断面図、図4は図3のA−A矢視図、図5は図4の化粧リングを90度回転させた状態の図3のA−A矢視図、図6は図1に示した錠構造に用いる鍵の平面図である。なお、図2,図3は、軸線を境に上部と下部で、異なる厚みの扉にシリンダ錠を取り付けた場合の化粧リングの位置を表している。
【0017】
シリンダ錠31は、外筒33の内側に、図示しないキー挿入孔を有した内筒35を備える。シリンダ錠31は、本実施の形態では、外筒33と内筒35との間に亘って複数の図示しないピンをキー挿入方向に配設している。図6に示すキー37は、複数の凹部39を有し、キー挿入孔に挿入されることで、凹部39によってピンを内外筒直径方向の所定位置に移動し、シアーライン(図示せず)を外筒33と内筒35との境界に一致させることで、ピンによる外筒33と内筒35との回転規制を解除する。
【0018】
また、キー37は、本実施の形態では、挿入方向に複数の磁石片41を備えている。磁石片41は、シリンダ錠31内に設けた複数の図示しない磁気可動子を磁力によって、内外筒直径方向に移動し、外筒33と内筒35との回転規制を解除する。従って、キー37をキー挿入孔に挿入することで、ピン及び磁気可動子による規制が解除されて、内筒35は、キー37と共に、外筒33に対して回転可能となる。これにより、扉内に設けた図示しない錠箱内の施錠機構へ施解錠操作力を入力し、扉の木口から図示しないデッドボルトを進退させて施解錠を可能にしている。
【0019】
このシリンダ錠31は、固定筒43の内周に係着している。固定筒43の内壁には軸線方向の溝43aを設けてあり、溝43aはシリンダ錠31の外周に軸線方向で突設した突起31aと嵌合してシリンダ錠31の回動を規制している。固定筒43の後部内周には周溝47を設けてあり、この周溝47には止めリング49を嵌入する。止めリング49は、リング状のライナー51を介してシリンダ錠31の後端面を押さえ、シリンダ錠31の後方(図2の左方)への移動を阻止している。
【0020】
固定筒43は、前部に、直径方向外側から穿設した一対の嵌入孔53,53を有する。この嵌入孔53,53には超硬チップ55を嵌着してあり、超硬チップ55は固定筒43の先端側から軸線方向へのドリル状工具などによる破壊防止のため補強している。固定筒43の先端には超硬チップ55とともに覆うようにして飾り筒57を外挿し、飾り筒57は中央部の穴から内筒35のキー挿入孔を表出させる。固定筒43は、先端外周に固定溝59を有している。飾り筒57は、半径方向内側に突出させた切出片61を、固定溝59に係合することで、固定筒43の先端から脱落不能となって、この固定筒43に対し回転自在となる。
【0021】
固定筒43は、後端部に、軸線に直交方向の一対の凸部64を外周の上下に有し、これら凸部64に固定穴65が形成されている。固定筒43は、扉面に穿設した図示しない錠挿入穴に後部を挿入し、扉内に設けた図示しない錠箱にこの固定穴65を介して固定する。これにより、シリンダ錠31は、固定筒43を介して錠箱に回動不能に固定されることになる。
【0022】
扉面から突出する固定筒43の外周には、先端側を切除した略円錐状の化粧リング67を、先端部がシリンダ錠31の先端側となるように取り付けている。化粧リング67は、内周に雌ねじ69を有している。また、固定筒43は、外周に雄ねじ71を有している。化粧リング67は、固定筒43の雄ねじ71に、雌ねじ69を螺合して、固定筒43の外周に螺着している。このような螺合構造とすることで、シリンダ錠31の扉面からの突出長さが異なる場合であっても、化粧リング67を回動させて常に後端面を扉面に当接させることができ、厚みの異なる扉に対する同一シリンダ錠31の取り付けを可能にしている。
【0023】
化粧リング67は、上記の雌ねじ69を有したリング本体73と、このリング本体73の表面を覆って被着する可動リング75とによる二重構造から成る。可動リング75は、図2に示すように、小径側の先端を、化粧リング67の内周側へ折り曲げたかしめ構造によってリング本体73に被着している。この可動リング75は、一定の回転モーメント以下ではリング本体73に対する回転が摩擦力によって規制される。一方、可動リング75は、この摩擦力を超える回転モーメントでは、リング本体73に対して滑り、相対回転するようになっている。
【0024】
つまり、可動リング75は、化粧リング67をねじ込む際などは、リング本体73との摩擦で連れまわり、ねじ込み等の回転が可能となるが、リング本体73の回転が停止した状態(係合状態や扉面に当接した状態)では、空転するようになっている。
【0025】
リング本体73は、断面内に中空部を有しない中実の略円錐状筒体から成る。リング本体73は、例えば、ステンレス、鋳鉄等の金属を切削加工して製作することができる。
【0026】
固定筒43の外周と、化粧リング67の内周との間には、化粧リング67の固定筒先端へ移動する側の回転を規制する図3に示す逆回転規制手段77を設けている。逆回転規制手段77は、固定筒外周の雄ねじ71を切り欠いて、固定筒43の外周に軸線方向に略真直に設けた収容溝79と、この収容溝79に位置する角柱状の規制部材としてのクリップピース81と、収容溝79とクリップピース81との間に介在してクリップピース81を収容溝79から突出させる方向に付勢する付勢手段としての板バネ83と、図4に示すように収容溝79から突出した状態のクリップピース81の一部分を収容する一対の係合溝85,85とからなる。
【0027】
一対の係合溝85,85は、リング本体73の内周の円周方向に180度の間隔で、雌ねじ69を切り欠いて軸線方向に設けている。この係合溝85は、図4に示すように、リング本体73の一方の回転方向側、すなわち化粧リング67が固定筒基端へ移動する側の回転方向側である正転方向側が、傾斜面87となり、他方の回転方向側、すなわち化粧リング67の固定筒先端へ移動する側の回転方向側である逆転方向側が、垂直面89となっている。傾斜面87は、化粧リング67が固定筒基端へ移動する側の回転方向のとき、クリップピース81を収容溝79内へ押圧して、この方向の回転を規制することはない。収容溝79に押し込められたクリップピース81は、図5に示すように化粧リング67の回転に伴ってリング本体73の内周を摺動する。一方、垂直面89は、化粧リング67の固定筒先端へ移動する側の回転方向のとき、クリップピース81に当接し、リング本体73のこの方向(図4中の矢印a方向)での回転を規制する。
【0028】
また、逆回転規制手段77は、化粧リング67が固定筒基端へ移動する側の方向(図4中の矢印b方向)で回転すると、180度ごとにクリップピース81が垂直面89側から収容溝79に衝接することとなり、クリック感が生じるようになっている。これにより、化粧リング67の回転回数等が容易に認識できるようになっている。
【0029】
次に、このような構成を有する錠構造の扉への組み付け手順を説明する。
この錠構造では、先ず、リング本体73に可動リング75をかしめ加工等により固定して化粧リング67を組立て、この化粧リング67を固定筒43の雄ねじ71に螺合する。また、固定筒43の先端部に、超硬チップ55を圧入し、飾り筒57をかしめ加工等により固定する。
【0030】
次いで、固定筒43にシリンダ錠31を後部から挿入した後、その後方にライナー51を挿入する。ライナー51を挿入した後、固定筒43の周溝47に、さらに止めリング49を嵌入し、ライナー51を介してシリンダ錠31の後端面を押さえ、シリンダ錠31の後方への移動を阻止して、シリンダ錠31と固定筒43とを一体に組み立てる。
【0031】
次いで、化粧リング67を取り付けた固定筒43の後部を、扉面に穿設した図示しない錠挿入穴に挿入し、扉内に設けた図示しない錠箱に、固定筒43の基端を扉の木口から固定する。そして、化粧リング67を、固定筒基端へ移動する側(正回転方向)へ回転させ、後端面を扉面に当接させ、扉への組み付けが完了する。
【0032】
なお、化粧リング67は、固定筒43を錠箱から取り外し、後部からクリップピース81を収容溝79内へ押し込みながらであれば、固定筒先端へ移動する側への回転が可能となって、固定筒43からの取り外しが可能となる。
また、化粧リング67の後端面が扉面に当接した位置にて、図4に示すように、係合溝85内の垂直面89にクリップピース81が当接状態であれば、化粧リング67の固定筒先端へ移動する側の回転(逆回転)を規制する。
【0033】
上記した錠構造によれば、扉表面に後端が当接する位置までねじ込んだ化粧リング67は、それ以上のねじ込みが扉表面によって阻止される。また、逆方向の回転が逆回転規制手段77によって規制され回転不能となる。これにより、化粧リング67の固定構造の剛性が高まり、化粧リング67を回転させて取り外す錠機構の破壊を防止できる。また、逆回転規制手段77により、化粧リング67の後端の扉表面からの浮き上がりが無くなり、化粧リング67を浮き上がらせるこじあけを行い難くできる。
【0034】
また、化粧リング67が逆回転規制手段77と扉面とによって回転ロックされた状態において、化粧リング67を無理やり回そうとすれば可動リング75のみがリング本体73に対して空転することになる。これにより、化粧リング67の固定部に破壊力が加わり難くなると共に、外部から化粧リング67を挟持してシリンダ錠31とともに回すことは不可能になり、シリンダ錠31を無理やり回すことによる錠機構の破壊が防止できる。
【0035】
さらに、リング本体73が中空部のない中実構造であることから、このリング本体73を潰して変形することが困難になり、リング本体73と可動リング75とからなる化粧リング67が円錐形状のままを維持する。これにより、化粧リング67が掴み難くなって、変形させた化粧リング67を掴み、シリンダ錠31を無理やり回転することによる錠装置の破壊を防止することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る錠構造によれば、固定筒の外周に化粧リングを螺着し、固定筒の外周と化粧リングの内周との間に、化粧リングの固定筒先端へ移動する側の回転を規制する逆回転規制手段を設けたので、後端が扉表面に当接する位置までねじ込んだ化粧リングは、それ以上のねじ込みが扉表面によって阻止されると共に、逆方向の回転が逆回転規制手段の垂直面に規制部材が当接することで規制され、回転不能となって固定筒に固定されることになる。これにより、化粧リングの固定構造の剛性を高め、化粧リングを回転させて取り外す錠機構の破壊を防止できる。また、逆回転規制手段により化粧リングの後端を扉面よりの浮き上がりを無くすことができ、鍵挿入穴を覆い、化粧リングを浮き上がらせることによるこじあけを行い難くでき、化粧リングをこじりあけ、表出したシリンダ錠に大きな外力を加えることによる錠装置の破壊を阻止することができる。この結果、錠構造の防犯性を高めることができる。
【0037】
また、本発明に係る錠構造によれば、化粧リングを、リング本体と、このリング本体の表面を覆って被着する可動リングとで構成し、可動リングが一定の回転モーメント以上でリング本体に対して回転するようにしたので、リング本体が逆回転規制手段によって回転がロックされた状態においても、化粧リングを無理やり回そうとすれば可動リングのみがリング本体に対して空転することになる。これにより、外部から化粧リングを挟持してシリンダ錠を回すことは不可能になり、シリンダ錠を無理やり回すことによる錠機構の破壊を防止して錠構造の防犯性を高めることができる。
【0038】
さらに、本発明に係る錠構造によれば、リング本体を、中空部のない中実の略円錐状筒体で形成しているので、リング本体を潰して変形することが困難になり、その結果、リング本体と可動リングとからなる化粧リングが円錐形状のままを維持する。これにより、化粧リングが掴み難くなって、変形させた化粧リングを掴み、シリンダ錠を無理やり回転することによる錠装置の破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る錠構造の分解斜視図である。
【図2】図1に示した錠構造の縦断面図である。
【図3】図1に示した錠構造の水平断面図である。
【図4】図3のA−A矢視図である。
【図5】図4の化粧リングを90度回転させた状態の図3のA−A矢視図である。
【図6】図1に示した錠構造に用いる鍵の平面図である。
【図7】従来の錠構造の断面図である。
【符号の説明】
31…シリンダ錠
43…固定筒
67…化粧リング
69…雌ねじ
71…雄ねじ
73…リング本体
75…可動リング
77…逆回転規制手段
Claims (3)
- シリンダ錠を固定筒の内周に係着し、扉内に設けた錠箱に、扉面に穿設した錠挿入穴を介して該固定筒の基端を固定し、前記扉面から突出した前記固定筒の外周に、先端側を開口した略円錐状の化粧リングを、後端面が前記扉面に当接して前記錠挿入穴を覆い、先端部が前記固定筒の先端側となるように取り付けた錠構造において、
前記固定筒の外周に形成した雄ねじと前記化粧リングの内周に形成した雌ねじとを螺合して前記固定筒の外周に前記化粧リングを螺着し、
前記固定筒の外周と前記化粧リングの内周との間には、前記化粧リングの固定筒先端へ移動する側の回転を規制する逆回転規制手段が設けられ、
該逆回転規制手段は、
前記固定筒外周の雄ねじを切り欠いて、固定筒の外周に軸線方向に略真直に設けた収容溝と、
該収容溝に位置する角柱状の規制部材と、
前記収容溝と前記規制部材との間に介在して、該規制部材を前記収容溝から突出させる方向に付勢する付勢手段と、
前記化粧リング内周の雌ねじを切り欠いて軸線方向に設けられ、前記収容溝から突出した状態の前記規制部材の一部分を収容する係合溝と、
で構成されており、
前記係合溝は、前記化粧リングが固定筒基端へ移動する側の回転方向側が傾斜面とされ、前記化粧リングの固定筒先端へ移動する側の回転方向側が垂直面とされていることを特徴とする錠構造。 - 前記化粧リングを、リング本体と、該リング本体の表面を覆って被着した可動リングとで構成し、
前記可動リングが、一定の回転モーメント以下では前記リング本体に対する回転が摩擦力によって規制される一方、該摩擦力を超える回転モーメントでは前記リング本体に対して回転することを特徴とする請求項1記載の錠構造。 - 前記リング本体が、断面内に中空部を有しない中実の略円錐状筒体であることを特徴とする請求項2記載の錠構造。
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