JP2004308272A - 防犯サムターン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既存サムターン60の摘み61に被着されるクラッチ12と、既存サムターン60を囲繞して覆い隠し、先端部にクラッチ12を回転自在に支持する筒体19と、クラッチ12に対して接離自在に配設され、クラッチ12との相対回転を阻止する係合手段43を有する回転連結体39と、筒体19に回転自在に設けられるとともに、回転連結体39を支持する回転操作部30と、回転連結体39に設けられ、クラッチ12との係合を規制する進出位置と、クラッチ12との係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片48と、制御片48を後退位置に移動させる磁力を有する磁石54を備え、回転連結体39に対して着脱自在とされるとともに、回転操作部30に対して係脱自在とされる操作体52とを具備する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、扉の施解錠操作に用いられる防犯サムターン、或いは既存のサムターンを覆う後付け用の防犯サムターンに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば扉に設けられる施錠装置は、屋外側に表出させたシリンダー錠の鍵孔に、合鍵(キー)を挿入して回動操作することにより、扉の木口より進退させたデッドボルトを扉枠に設けたストライクに係合・係合解除して施解錠を行うとともに、屋内側からは、サムターンの摘みを回動操作するのみで、デッドボルトを進退させて、扉の施解錠を簡便に行えるようにしている。
【0003】
ところが、近年、ポスト口や、機械工具によって開けた小さな穴から棒や針金等を挿入し、回転操作の容易なサムターンに係止して回転させ、施錠装置を解錠する不正解錠が増えている。
【0004】
このようなサムターンに針金等を係止して回転させることを防止するものに例えば下記特許文献1に開示されるサムターン用防犯カバーがある。
この防犯カバー1は、図12,図13に示すように、サムターン2が嵌入する嵌入孔3が形成されているとともに、回転時に円状軌跡2bを描くサムターン2の外面2aを覆う部分が、円状軌跡に沿う円形状に形成されている。そして、嵌入孔3内に螺入してサムターン2の側面に当接し、両側から挟持するセットスクリュー4,4が設けられている。
このような構成からなる防犯カバー1は、嵌入孔3にサムターン2を挿入することで、サムターン2に防犯カバー1を覆うように被せる。その後セットスクリュー4,4を螺入させて締め付けることで、防犯カバー1をサムターン2に固定する。従って、サムターン2に被せた防犯カバー1によって、針金等を係止させて回転させることが難しくなる。
【0005】
また、上記した防犯カバーの別態様として、図14に示すように、防犯カバー1を、取付部5及び本体部6から構成したものが開示されている。取付部5は、上記の防犯カバー1の外形を手での操作が容易となるように形成し、本体部6が係止する係止突部5aを設けている。取付部5は、サムターン2に被せた状態で、サムターン2を容易に回転させることができる。また、本体部6は、係止突部5aに係止可能な係止部6aを有している。
このようにすることで、係止作業という簡単な作業で、防犯カバー1の着脱が行える。さらに係止部6aで本体部6が空転することにより、針金等を係止させて回転させることが不可能となる。
【0006】
さらに、上記した防犯カバーの別態様として、図15に示すように、係止部6a内に、係止突部5aとの間にバネ部材8を設け、本体部6側の外周縁に複数の係合凹部5bと、この係合凹部5bに係合可能な係合凸部6bとを設けたものが開示されている。
このような構成とすれば、本体部6を常に取り付けたままとしておくことができる。すなわち、常時は係止突部5aと係止部6aとで本体部6が空転し、サムターン2を回転させたいときは、本体部6を手で押圧し、係合凸部6bを取付部5の係合凹部5bに係合させ、この係合状態のまま本体部6を回転させることにより、サムターン2を回転させることができた。
【0007】
【特許文献1】
実公平4−40362号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12,図13に示した防犯カバーは、外形が円筒体形状であるため、サムターンに被せた場合、本来小判形状であることからその回転位置によって視認できたサムターンの施錠状態又は非施錠状態を視認不能にしてしまい、施解錠の操作性を低下させる問題があった。
また、図14に示した防犯カバーは、サムターンを回転操作可能にする取付部と、この取付部に対し空転しかつ着脱可能となる本体部とから構成されているが、本体部が脱落された場合には防犯性が失われる虞があった。
さらに、図15に示した防犯カバーは、サムターンを回転させたいときは、本体部を任意の回転位置で押圧すればよいため、何らかの方法により押圧が可能となれば、サムターンの回転が可能となり、防犯性を十分に高めることができなかった。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、針金や棒等によるサムターンの回転を阻止できるとともに、押圧操作のみによっては錠箱機構部に回転操作力を入力不可能とする、或いは、既存サムターンへの回転入力が行えない防犯サムターンを提供し、防犯性のさらなる向上を図ることにある。また、その第二の目的は、防犯状態と通常の操作が行える状態とに切り換えが可能とされ、さらには、サムターンの回転位置が容易に視認できる防犯サムターンを提供し、操作性の向上を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の防犯サムターンは、既存サムターン60の摘み61に被着されるクラッチ12と、
該クラッチ12に対して接離自在に配設され、該クラッチ12との相対回転を阻止する係合手段43を有する回転連結体39と、
該回転連結体39に設けられ、前記クラッチ12との係合を規制する進出位置と、該クラッチ12との係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片48と、
該制御片48を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石54を備え、前記回転連結体39に対して着脱自在とされる操作体52と、
を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の防犯サムターンは、既存サムターン60の摘み61に被着されるクラッチ12と、
前記既存サムターン60を囲繞して覆い隠し、先端部に前記クラッチ12を回転自在に支持する筒体19と、
前記クラッチ12に対して接離自在に配設され、該クラッチ12との相対回転を阻止する係合手段43を有する回転連結体39と、
前記筒体19に回転自在に設けられるとともに、前記回転連結体39を支持する回転操作部30と、
前記回転連結体39に設けられ、前記クラッチ12との係合を規制する進出位置と、該クラッチ12との係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片48と、
該制御片48を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石54を備え、前記回転連結体39に対して着脱自在とされるとともに、前記回転操作部30に対して係脱自在とされる操作体52と、
を具備することを特徴とする。
【0012】
このような防犯サムターンによれば、既存サムターン60を覆い隠すこととなり、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、操作力を既存サムターン60の摘み61に伝達するには、別体に構成した操作体52を用いて回転連結体39に配設された制御片48を、磁力による反発力或いは吸着力によって移動させ、クラッチ12との係合を許容できる状態とし、そして、回転連結体39を移動させた後に回転操作部30を回転しなければならないため、針金により不正に解錠操作しようとしても、別体の操作体52が無ければ操作不能であり、回転操作部30が空転するのみとなる。しかも、操作体52に内蔵される磁石48が、回転連結体39に設けられる各制御片48と対応し、各制御片48を移動させることが可能な磁力(磁極)を有していなければ、押圧動作も不可能となり、解錠操作を行うことができないこととなる。
【0013】
すなわち、操作体52という別体の部材を必要とすることから、この操作体52を用いる以外の操作方法では解錠は困難となり、針金や棒を使用しての解錠が不可能となる。また、操作体52自体に内蔵される磁石54の構成が、回転連結体39の各制御片48に対応する構成でなければ操作不能であり、解錠は不可能である。そして、正規な操作体52を用いることで、回転操作部30に操作体52を取り付ける動作で、回転連結体39とクラッチ12とが相対回転を阻止された状態で係合しあい、回転操作部30の手指による回転操作という容易な操作で解錠が行われることとなり、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0014】
請求項3記載の防犯サムターンは、既存サムターン60の摘み61に被着されるクラッチ72と、
前記クラッチ72に対して接離自在に配設され、該クラッチ72との相対回転を阻止する係合手段99を有する回転連結体90と、
該回転連結体90に設けられ、前記クラッチ72との係合を規制する進出位置と、該クラッチ72との係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片110と、
該制御片110を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石131を備え、前記回転連結体90を覆うように着脱自在とされる操作体115と、
を具備することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の防犯サムターンは、既存サムターン60の摘み61に被着され該摘み61の回動中心と同軸の軸部74が突設されるクラッチ72と、
前記軸部74に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ72との相対回転を阻止する係合手段99を有した回転連結体90と、
該回転連結体90に設けられ、前記クラッチ72との係合を規制する進出位置と、該クラッチ72との係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片110と、
該制御片110を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石131を備え、前記回転連結体90を覆うように着脱自在とされる筒状操作体115と、
を具備することを特徴とする。
【0016】
このような防犯サムターン70によれば、既存サムターン60を覆い隠すこととなり、針金や棒等を用いても、通常時回転自在となっている回転連結体90により、空転や滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、操作力を既存サムターン60の摘み61に伝達するには、別体の筒状操作体115を用いて、回転連結体90に設けられた制御片110を、反発力などの磁力によって移動させ、クラッチ72との係合を許容できる状態とし、筒状操作体115とともに回転連結体90を押し込んだ後に回転操作しなければならないため、針金等により不正に解錠操作しようとしても、別体の筒状操作体115が無ければ操作不能であり、回転連結体90が空転するのみとなる。しかも、筒状操作体115に内蔵される磁石131が、回転連結体90に設けられる各制御片110と対応し、各制御片110を移動させることが可能な磁力と磁極を有していなければ、押圧操作も不可能であり、解錠操作を行うことができないこととなる。
【0017】
すなわち、筒状操作体115という別体の部材を必要とすることから、この筒状操作体115を用いる以外の操作方法では解錠は困難となり、針金や棒を使用しての解錠が不可能となる。また、筒状操作体115自体に内蔵される磁石131の配置位置構成が、回転連結体90の各制御片110の配置位置に対応する構成でなければ操作不能であり、解錠は不可能である。そして、正規な筒状操作体115を用いることで、回転連結体90に筒状操作体115を覆うように取り付ける動作で、回転連結体90とクラッチ72とが相対回転を阻止された状態で係合しあい、筒状操作体115の手指による回転操作という容易な操作で解錠が行われることとなり、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0018】
請求項5記載の防犯サムターンは、錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
該クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体に対して着脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の防犯サムターンは、錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
前記クラッチを回転自在に支持する筒体と、
前記クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
前記筒体に回転自在に設けられるとともに、前記回転連結体を支持する回転操作部と、
前記回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体に対して着脱自在とされるとともに、前記回転操作部に対して係脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の防犯サムターンは、錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
前記クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体を覆うように着脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の防犯サムターンは、錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
前記サムターン軸と同軸心とされて、前記クラッチより延設される軸部と、
該軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有した回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体を覆うように着脱自在とされる筒状操作体と、
を具備することを特徴とする。
【0022】
このような防犯サムターンによれば、上記と同様に、針金や棒等を用いても、空転や滑りにより錠箱機構部への回転操作力の入力が阻止される。そして、回転操作力を錠箱機構部に伝達するには、別体の操作体や筒状操作体を用いて、回転連結体に設けられた制御片を、磁力によって移動させ、クラッチとの係合を許容できる状態とし、操作体とともに回転連結体を回転操作しなければならないため、針金等により不正に解錠操作しようとしても、別体の操作体が無ければ操作不能であり、回転連結体側が空転するのみとなる。しかも、操作体に内蔵される磁石が、回転連結体に設けられる各制御片と対応し、各制御片を移動させることが可能な磁力と磁極を有していなければ、押圧操作も不可能であり、解錠操作を行うことができないこととなる。
【0023】
請求項9記載の防犯サムターンは、請求項4又は8記載の防犯サムターンにおいて、前記軸部74の先端が前記回転連結体90を貫通し、前記筒状操作体115には、前記軸部74に対して係脱自在な係止手段121を備えることを特徴とする。
【0024】
この防犯サムターン70では、筒状操作体115を回転連結体90に覆うように取り付けた状態で、係止手段121により、常時取り付け状態を構成することが可能となる。このように構成することで、例えば防犯状態としない状態を維持でき、在宅時などの場合や、出入りが多い場合などに好適となる。
【0025】
請求項10記載の防犯サムターンは、請求項4又は8又は9記載の防犯サムターンにおいて、前記軸部74の先端が前記筒状操作体115を貫通し、該軸部74の先端面に、回転位置表示手段80が設けられていることを特徴とする。
【0026】
このように、筒状操作体115の中心位置に貫通穴118を形成したことで、軸部74の先端に設けた回転位置表示手段80を視認することができ、これにより、クラッチ72や筒状操作体115で覆われることで視認できなくなった既存サムターン60の摘み61の回転位置、或いは、サムターン軸の回転位置を、回転位置表示手段80を介して知ることができ、操作性を向上させることが可能となる。
【0027】
なお、磁石よりなる制御片48,110を複数で構成することで、操作体52,115の磁石54,131も複数で構成する必要があり、また、磁極の方向をそれぞれ変えることで、その組合せにより操作体52,115がマグネットキーと同様の合鍵を構成でき、サムターンとしての防犯性をさらに向上させることが可能となる。すなわち、専用の操作体52,115を使うことで、サムターンの操作は、その使用者のみの施解錠操作となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る防犯サムターンの好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に説明する第一,第二の実施の形態では、既存のサムターンに対して後付けにて取り付けられる防犯サムターンとして説明する。
【0029】
第一の実施の形態
まず、第一の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る防犯サムターンの第一の実施の形態の概略斜視図、図2は防犯サムターンの分解側面図、図3は同防犯サムターンにおける操作時における縦断面視を(a),正断面視を(b)に表した説明図である。
【0030】
この第一の実施の形態による防犯サムターン10は、その主要な構成として、図1に示すクラッチ12と、筒体19と、回転操作部30と、回転連結体39と、制御片48と、操作体52とで略構成されている。
【0031】
クラッチ12は、基台部13を有し、この基台部13が既存サムターン60の摘み61に被着される。この被着は、基台部13の基端側の面に形成される嵌入溝14(図2参照)に、摘み61を嵌入することで行われる。なお、クラッチ12の基台部13を摘み61に被着させる手段としては、嵌入溝14内に摘み61を嵌入することで行う方法以外に、例えば、この嵌入溝14に直交して貫通するメネジを設け、止めネジを螺合することにより、止めネジの先端を既存サムターン60の摘み61に圧接して取り付けを行う方法や、粘着テープや接着剤を使用する方法としてもよく、その場合、上記したメネジ,止めネジは設けられなくとも良い。
【0032】
クラッチ12の先端側外周面にはフランジ状の大径部15が形成されている。この大径部15は、その外周縁で略円形であり、後述の説明で明らかとなるように、筒体19に係止される。
【0033】
また、クラッチ12は、基台部12の先端面の中央に軸状凸部16が形成され、この軸状凸部16の周囲にクラッチ側係合手段17を有している。クラッチ側係合手段17は、基台部12の先端面を突出形成させた複数の歯を円周方向に等間隔で配設してなる。このクラッチ側係合手段17は、回転連結体39に設けられる後述の連結体側係合手段43に噛合する。
【0034】
筒体19は、既存サムターン60を囲繞する略円筒状に形成されており、被覆部20と支持部21と取付爪25とで略構成されている。被覆部20は筒体19の基端側略半部を構成し、既存サムターン60の周囲に位置し、この既存サムターン60を覆い隠すようになっている。支持部21は、筒体19の先端側略半部を構成し、外周面に転動溝22が形成され、また内周面に支持溝23が形成されている。転動溝22には、支持球24が複数配設され、これら支持球24の外側に回転操作部30が取り付けられる。すなわち、支持球24を介して筒体19の外周に回転操作部30が回転自在に支持される。また、支持溝23には、上記したクラッチ12の大径部15が嵌まり、筒体19に対してのクラッチ12の回転を支持するようになる。取付爪25は、被覆部20の基端側内周面に配設される。この取付爪25は、先端が中心方向に突出した略鉤状に形成されており、既存サムターン60の化粧リング62と扉面63との間隙に挿入され、化粧リング62に係止される。
【0035】
また、この筒体19には、支持部21の先端縁に、筒状に延出形成される当接縁部26が形成されるとともに、この当接縁部26の外周に位置して、装着溝27が形成されている。当接縁部26は、後述する回転連結体39の後端面と対向する。また、装着溝27には圧縮コイルバネよりなる付勢部材28の一端が装着される。
【0036】
回転操作部30は、円筒状に形成され、外径が筒体19と略同等に形成されているとともに、外周面に、図1に示すように軸線方向に沿う凹部31が複数形成されている。これら凹部31は、浅く形成されており、かつ、この回転操作部30を手指にて保持し易いよう形成されている。
【0037】
この回転操作部30は、基端側内周面に、周方向に連続する凹溝32が形成され、上記した筒体の転動溝22と対向し、各支持球24を介して、この筒体19に対して回転自在となって、筒体19の先端側略半部に外装されるように設けられる。
【0038】
また、この回転操作部30の先端側内周面には、軸線方向に沿って形成されるガイド溝33が複数、本実施の形態では、図3に示すように3本形成される。これらガイド溝33は、後述する回転連結体39を、相対回転しないように支持し、かつ、軸線方向に沿って移動自在に支持するようになっている。
【0039】
さらに、回転操作部30は、先端の開口部分における内縁に、中心方向に突出し、開口径をやや狭める突条35が形成されている。この突条35は、上記ガイド溝33の終端を構成するとともに、後述する操作体52を保持するようになっている。
なお、この開口部分の形状は、図1に示すように、円形の一部が切欠された略C字状に形成され、嵌合部36が形成されている。
【0040】
次に、回転連結体39は、本実施の形態では、連結基板40と蓋板41とで略構成されている。連結基板40は、略円板形状に形成され、蓋板41は連結基板40の後端面側に固着される薄板状に形成される。これら連結基板40と蓋板41とは例えばネジなどの固定手段(図示せず)にて一体に構成される。連結基板40は、外周縁に複数の突部42を有し、回転操作部30の各ガイド溝33に係止される。そして、これらガイド溝33に沿って突部42が摺動移動可能となり、すなわち、回転操作部30に対して相対回転不能で、軸線方向にスライド移動自在とされる。
【0041】
連結基板40は、後端面の中央寄りに、係合手段としての連結体側係合手段43を有している。連結体側係合手段43は、複数の歯が中心に対して円周方向に等間隔で放射状に配設されて構成される。この連結体側係合手段43は、上記したクラッチ側係合手段17に噛合可能となっている。
【0042】
また、連結基板40は、後端面に略長丸形状の複数の凹部44が形成されている。これら凹部44は、図3(b)に示すように、本実施の形態では、6個で構成され、軸線方向が放射状とされる溝状に形成され、互いに等間隔となるように並設されている。
【0043】
各凹部44は、それぞれ大径部44aと小径部44bとが連続した形状に構成されており、小径部44bが中心側とされ、大径部44aが外周縁側とされている。そして、各凹部44の大径部44aには、後述する制御片が装入される。また、各凹部44の外周側端部を連結するように、連結基板40の後端面には、リング状凹溝よりなる進入部45が形成されている。
【0044】
制御片48は、略円柱形状の磁石よりなり、凹部44の大径部44aに、凹部44の長手方向にスライド自在となって装入される。本実施の形態では、この制御片48が、上記した各凹部44の全てに装入されているのではなく、選択された1つあるいは複数箇所に装入される。本実施の形態では図3(b)に示すように4箇所の凹部44に制御片48が装入される。なお、装入状態では、各磁極が連結基板40の表裏面方向となるように設定され、すなわち各制御片48の軸線と連結基板40の軸線とが平行となるように設定される。また、各制御片48の各凹部44への装入状態では、磁極の方向を、全て同方向としてもよく、或いは、磁極の方向を種々組み合せて構成しても良い。
【0045】
また、各制御片48には、進出手段としての進出バネ50が設けられている。この進出バネ50は、本実施の形態では、圧縮コイルバネよりなり、凹部44の小径部44bに配設されて、制御片48を連結基板40の中心から放射方向に進出させる付勢力を有している。そして、連結基板40は、各凹部44に制御片48及び進出バネ50が装入された状態で、蓋板41にて閉塞されるようになっている。閉塞された状態では、連結基板40の後端面の進入部45のみリング状に開口し、また中央付近には連結体側係合手段43が突出している。
【0046】
そして、回転連結体39は、回転操作部30内に配設され、各ガイド溝33に各突部42が案内されて軸線方向にスライド自在となる。回転連結体39の後端面における周縁部分は、筒体19の装着溝27と対向し、付勢部材28が介設される。これにより、回転連結体39は、回転操作部30内にて、筒体19に対して離脱する方向に常に付勢されることとなり、また、回転連結体39は、回転操作部30の突条35の位置で保持されることとなる。また、回転連結体39の進入部45は、筒体19の当接縁部26に対向する。
【0047】
次に、操作体52は、略円板形状に形成されており、摘み部53と磁石54を備えている。操作体52は、上記回転連結体39と略同等の外径に形成されているとともに、外周縁の後端面側に、周方向に連続する係止突条55が形成されている。この係止突条55は、回転操作部30の開口に形成された突条35と係合するようになっている。また、この操作体52には、外側縁の一部に摘み部53が突設されている。この摘み部53は、図1に示すように、略台形状に形成され、操作体52を摘み持つことを可能とするタブ状に形成されている。摘み部53は、回転操作部30の嵌合部36に嵌入可能とされ、回転操作部30に対し、取り付ける向きを特定させ、相対回転しないようになっている。
【0048】
操作体52に備えられる磁石54は、操作体52に内蔵されるように設けられる。磁石54は、上述した回転連結体39に設けられる制御片48に対応するように、この制御片48と同数で構成される。また、これら磁石54は、制御片48の配置位置に対応し、操作体52の中心に対して放射状に配置されるとともに、磁極の方向を放射状としている。なお、各磁石54の配置位置は、回転操作部30に操作体52を取り付けた状態、すなわち、回転操作部30の嵌合部36に摘み部53を一致させて、操作体52と回転連結体39とを重ね合わせた状態で、回転連結体39の各制御片48と対応する位置である。
【0049】
上記のように構成される防犯サムターン10を、既存サムターン60の摘み61に取り付けるには、先ず、筒体19,回転操作部30,クラッチ12,回転連結体39が予め一体に組み付けたものを、化粧リング62に筒体19を外挿した状態として取り付ける。この取り付けの際、クラッチ12の嵌入溝14を既存サムターン60の摘み61に沿わせて、筒体19を扉面63へと押しつけるようにする。そして、この押圧により、筒体19の取付爪25が、扉面63と化粧リング62との間隙に進入し、取り付けられることとなる。
なお、クラッチ12にメネジを備えた構成の場合では、止めネジを螺合し、六角レンチなどの工具で締めることにより、クラッチ12を既存サムターン60の摘み61に固定する。
これにより、防犯サムターン10の取り付けが完了する。また、操作体52は、既存サムターン60側、すなわち、回転連結体39に取り付けてしまうのではなく、別途保管等される。
【0050】
次に、このようにして、既存サムターン60の摘み61に取り付けられた防犯サムターン10の動作を説明する。
防犯サムターン10は、通常時、回転操作部30が筒体19に対して回動自在となる。一方、筒体19内に位置するクラッチ12は回動しない。また、回転連結体39は、回転操作部30とともに回動することとなる。そして、この回転連結体39は、図4(a),(b)に示すように、各凹部44内の制御片48が、それぞれ進入バネ50によって外周縁方向に付勢されていることから、進入部45内に進出しており、これにより進入部45内に筒体19の当接縁部26が進入不可となって互いに当接することから、軸線方向には移動(押込み)不能となる。
【0051】
次に、解錠操作時には、操作体52を回転連結体39に近づける。このとき、操作体52の摘み部53を回転操作部30の嵌合部36に合せて(図6(c)参照)、図5に示すように、回転連結体39と操作体52とを重ね合わせるようにする。
【0052】
すると、操作体52の各磁石54により、回転連結体39の各制御片48が、互いの反発力及び吸着力により、進入バネ50の付勢力に抗して凹部44の大径部44a内を後退移動し、小径部44bに近接する方向へと移動する。各制御片48が、磁力により移動すると、各凹部44を連結する進入部45が開放状態となり、筒体19の当接縁部26が進入可能となる(図6(b)参照)。
【0053】
進入部45内に当接縁部26が進入されると、回転連結体39は、回転操作部30のガイド溝33に沿って軸線方向に移動可能となる。回転連結体39が移動すると、この回転連結体39に設けられた連結体側係合手段43が、クラッチ12のクラッチ側係合手段17に噛合して、回転連結体39とクラッチ12との相対回転が規制される(図6(a)参照)。このとき、操作体52は、回転連結体39とともに、軸線方向に移動となり、操作体52の係止突条55が回転操作部30の突条35に係合し、回転操作部30の開口部分に操作体52が嵌入するように係着される。すなわち、回動操作部30に操作体52が押し込まれる状態となって、回動操作部30と操作体52とが略一体状となる。これにより、回転操作部30の回転操作力をクラッチ12へ伝達可能となる。
【0054】
そして、回転操作部30を摘み、回転操作を行うと、クラッチ12が回転され、クラッチ12に被着された既存サムターン60の摘み61が解錠回転される。
【0055】
解錠操作後は、操作体52を取り外すことで、回転連結体39が、付勢部材28の付勢力によりクラッチ12から離脱し、すなわちクラッチ側係合手段17と連結体側係合手段43とが噛合を解かれ、回転操作部30の回転操作力がクラッチ12へと伝達しないこととなる。同時に、磁石54が離れることから、各制御片48が進出バネ50の付勢力により、凹部44内を移動する。なお、この取り外しの際、摘み部53の外側先端縁に指を掛け手前に引くことで、容易に取り外すことが可能である。
【0056】
施錠方法は、この解錠方法と同様にして行うことができる。
【0057】
このように、上記したこの防犯サムターン10によれば、既存サムターン60を覆い隠すこととなり、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、操作力を既存サムターン60の摘み61に伝達するには、別体に構成した操作体52を用いて回転連結体39に配設された制御片48を、磁力によって移動させ、クラッチ12との係合を許容できる状態とし、そして、回転連結体39を押し込んだ後に回転操作部30を回転しなければならないため、針金により不正に解錠操作しようとしても、別体の操作体52が無ければ操作不能であり、回転操作部30が空転するのみとなる。しかも、操作体52に内蔵される磁石48が、回転連結体39に設けられる各制御片48と対応し、各制御片48を移動させることが可能な磁力(磁極)を有していなければ、押圧動作も不可能となり、解錠操作を行うことができないこととなる。
【0058】
すなわち、操作体52という別体の部材を必要とすることから、この操作体52を用いる以外の操作方法では解錠は困難となり、針金や棒を使用しての解錠が不可能となる。また、操作体52自体に内蔵される磁石54の構成が、回転連結体39の各制御片48に対応する構成でなければ操作不能であり、解錠は不可能である。
【0059】
そして、正規な操作体52を用いることで、回転操作部30の全面に操作体52を嵌め込む動作で、回転連結体39とクラッチ12とが相対回転を阻止された状態で係合しあい、回転操作部30の手指による回転操作という容易な操作で解錠が行われることとなり、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0060】
なお、回転連結体39及び操作体52の中心位置を透明な部材とし、クラッチ12の先端面中央の軸状凸部16に回転位置表示手段を設けることで、クラッチ12,回転連結体39及び操作体52で覆われることで視認できなくなった摘み61の回転位置を、回転位置表示手段を介して知ることができ、操作性を向上させることが可能となる。
【0061】
第二の実施の形態
次に第二の実施の形態について説明する。
図7は本発明に係る防犯サムターンの第二の実施の形態の概略斜視図を(a),筒状操作体の背断面図を(b)に示した説明図、図8は同防犯サムターンの分解側面図、図9は同防犯サムターンの操作時における縦断面視を(a),正断面視を(b)に表した説明図である。
【0062】
この第二の実施の形態による防犯サムターン70は、その主要な構成として、図8に示すクラッチ72と、回転連結体としてのクラッチカバー90と、制御片110と、筒状操作体115とを有している。
【0063】
クラッチ72は、円形基台部73を有し、この円形基台部73には既存サムターン60の摘み61の回動中心と同軸の軸部74が突設される。本実施の形態では、円形基台部73と軸部74とが別体構成とされ、図8に示すように、ネジなどの固定手段78にて締結固定されている。
【0064】
軸部74の先端側にはフランジ状の大径部75が形成され、段部76が形成されている。段部76は、後述の説明で明らかとなるように、クラッチカバー90が当接し、このクラッチカバー90の軸線方向の移動を規制するものとなる。
【0065】
また、軸部74は、先端にやや細径な端部77を有している。この端部77には、中途部に周溝79が形成され、後述する筒状操作体115の摺動摘み121が嵌入される。またこの端部77の先端面には、回転位置表示手段80が設けられる。この回転位置表示手段80は、微小な凹凸による標示、印刷や刻印、或いは部分的な着色による色分け等とされる。例えば、図7に示すように、解錠時では回転位置表示手段80は縦長状とされており、施錠する場合、すなわち、時計回りに90度回転させると、横長状となり、解錠時と施錠時とが容易に識別可能となっており、これら向きが後述する嵌入溝の向きと一致するように設けられる。
【0066】
クラッチ72は、円形基台部73が既存サムターン60の摘み61に被着される。この被着は、円形基台部73の軸部74突出側の面と反対側の面に、摘み61の嵌入する嵌入溝81を形成し、この嵌入溝81に貫通するメネジに、止めネジ83を螺合することにより、止めネジ83の先端を既存サムターン60の摘み61に圧接して行われる。なお、この被着には、粘着テープや接着剤が使用されてもよく、その場合、上記したメネジ,止めネジは設けられなくとも良い。
【0067】
クラッチ72は、円形基台部73の軸部74突出側の面に、クラッチ側係合手段85を有している。クラッチ側係合手段85は、円形基台部73の周縁を軸線方向に突出させた複数の歯を円周方向に等間隔で配設してなる。このクラッチ側係合手段85は、クラッチカバー90に設けられる後述のカバー側係合手段99に噛合する。
【0068】
また、クラッチ72のクラッチ側係合手段85の周囲には、規制爪87が設けられる。この規制爪87は、リング状の環状基板88に、フォーク状に複数突設されて構成され、本実施の形態では、4つの矩形板形状とされる。各規制爪87は、クラッチ側係合手段85の各歯の周囲に位置し、軸部74と同方向となって突設されている。なお、これら規制爪87は、クラッチ72に対しては固定されず、環状基板88が、クラッチ側係合手段85の周囲を摺接状態で回動可能となっている。
【0069】
クラッチカバー90は、本実施の形態では、基端側カバー90Aと先端側カバー90Bとの2分割構造とされている。基端側カバー90Aは、略円筒形状に形成され、先端側カバー90Bは略円板状に形成される。これら基端側カバー90Aと先端側カバー90Bとはネジなどの固定手段91にて一体に連結されている。なお、互いを連結する固定手段であるネジ91は、基端側カバー90A内より螺着され、表面にはネジ頭が表出しない。
【0070】
基端側カバー90Aは、内部が中空となり、後端が筒状のフレア部92となっている。また、基端側カバー90Aの先端側は、周縁に複数の凸部93が形成がされ、本実施の形態では、図7,9に示すように、4箇所の凸部93が周縁に形成される。各凸部93は、図9に示すように、略半円形に形成されるものと略矩形に形成されるものとで構成される。なお、各凸部93のうちの2つが上記固定手段(ネジ)91が貫通する。また、基端側カバー90Aの先端側には、中央に貫通穴94が形成され、クラッチ72の軸部74が貫通し回動自在に外挿される。この貫通穴94の先端側周縁部分は、軸部74の大径部75の後端である段部76に当接となる。
【0071】
先端側カバー90Bは、基端側カバー90Aの4箇所の凸部93と同外形の凸部96を周縁に備えている。また、先端側カバー90Bは、中央に貫通穴97が形成され軸部74の先端に外挿される。この貫通穴97は後端面側が軸部74の大径部75外径と略同等の内径の大径貫通穴とされ、先端面側が、軸部74の端部77外径と略同等の内径の小径貫通穴とされる。そして、この軸部74に外挿されたこれら基端側カバー90Aと先端側カバー90Bとで、軸部74からの抜脱が規制される。
【0072】
そして、基端側カバー90Aの貫通穴94は、軸部74の軸線方向に移動自在に外挿となる。つまり、クラッチカバー90は、軸部74に対して回転自在かつ軸線方向に移動自在となって軸部74の段部76によって抜脱不能に外挿されている。また、クラッチカバー90の軸部74に対する移動ストロークは、先端側カバー90Bの大径貫通穴の軸線方向の深さである長さとされる。さらに、先端側カバー90Bの小径貫通穴から、軸部74の端部77が進退することとなる。この端部77が、先端側カバー90Bより突出した際には、周溝79が先端側カバー90Bの表面より表出する。
【0073】
基端側カバー90Aは内部に係合手段としてのカバー側係合手段99を有している。カバー側係合手段99は、複数の歯を貫通穴94と同一中心の円周方向に等間隔で配設してなる。このカバー側係合手段99は、上記したクラッチ側係合手段85に噛合可能となっている。また、この基端側カバー90Aには、外周縁に近接して複数箇所の貫通スリット101が設けられている。各貫通スリット101は、上記規制爪87に対応しており、各規制爪87が挿通状態とされる。
【0074】
挿通する各規制爪87は、基端側カバー90Aの各凸部93間に位置する湾曲外側面102に沿って位置し、その外側を先端側カバー90Bに延設される各周壁部103で覆われる。各周壁部103は、湾曲外側面102に沿って形成されており、湾曲外側面102と対向する内面に、貫通スリット101に連続する凹溝104が形成されている。凹溝104には、貫通スリット101を貫通する各規制爪87が進入されるようになっている。そして、これら周壁部103にて覆われる各湾曲外側面102には、後述する制御片110が設けられる。
【0075】
クラッチカバー90は、上記のように基端側カバー90Aと先端側カバー90Bのそれぞれの凸部93,96が軸線方向に重ねられた状態でネジ91により連結固定され、貫通穴94により軸部74に抜脱不能に外挿されて取り付けられる。このようにして取り付けられたクラッチ72とクラッチカバー90との間には付勢手段である圧縮バネ105が配設され、圧縮バネ105はクラッチカバー90を軸部74の突出方向に付勢する。本実施の形態では、基端側カバー90Aの2箇所の凸部93に形成される穴部106に圧縮バネ105が装着され、この穴部106とクラッチ72側の環状基板88間に介装される。したがって、クラッチカバー90は、押すことにより、圧縮バネ105の付勢力に抗してクラッチ72に接近する方向(図9(a)の左方向)に移動される。クラッチ72とクラッチカバー90とは、この押込みにより、クラッチ側係合手段85とカバー側係合手段99とが噛合して、相対回転が規制されるようになっている。また、この押込み時には、貫通スリット101に規制爪87が貫通し、かつ凹溝104に進入していることで、軸線方向に沿って移動される。
【0076】
クラッチカバー90は、圧縮バネ105によって付勢された位置で、図9(a)に示すように、フレア部92によってクラッチ72の円形基台部73を覆うようになっている。つまり、フレア部92と円形基台部73とは、図に示すように、オーバーハングしている。
なお、フレア部92には側壁部分に貫通穴を穿設して、この貫通穴が、クラッチカバー90を押込んだ位置で円形基台部73のメネジ82に一致するように構成させてもよい。
【0077】
制御片110は、クラッチカバー90を構成する基端側カバー90Aの湾曲外側面102に設けられている。制御片110は、略円柱形状の磁石よりなり、各湾曲外側面102に設けられる凹穴111に進退自在に取り付けられている。制御片110は、凹穴111内に配設される圧縮コイルバネよりなる進出バネ112にて進出方向に付勢されている。なお、この第二の実施の形態の制御片110についても、上述した第一の実施の形態と同様に、全ての凹穴111に配設されてもよく、或いは少なくとも1箇所に配設されるなどとされる。
【0078】
凹穴111に配設される制御片110は、両磁極の方向を凹穴111の軸線方向と一致させており、また、その配設状態では、磁極の方向を、全て同方向としてもよく、或いは、磁極の方向を種々組み合わせて構成しても良い。
そして、各制御片110は、進出バネ112の付勢力により進出状態とされた状態では、先端側カバー90Bの周壁部103の凹溝104内に進出となり、貫通スリット101から連続するこの凹溝104内を塞ぐようになり、すなわち、この凹溝104内への規制爪87の進入を規制している。
【0079】
次に、筒状操作体115は、略円筒状に形成されるとともに、先端側が閉塞されて被覆面116を備えた形状とされる。筒状操作体115の外周側面には、軸線方向に沿う浅い溝部117が複数形成されている。また、先端側の被覆面中央には、貫通穴118が穿設されている。この貫通穴118は、上記した軸部74の端部77が貫通可能な内径に形成されている。筒状操作体115の内周面は、クラッチカバー90の外形に対応する形の凹形状とされ、すなわち、クラッチカバー90の外形を構成する各凸部93,96が嵌入可能な複数の凹状溝119を備え、このクラッチカバー90の先端側外周を覆うように、着脱自在に取り付けられるようになっている。筒状操作体115がクラッチカバー90に取り付けられた状態では、これら凸部93,96と凹状溝119により相対回転が規制された状態となり、すなわち略一体状となって、互いが連結状態となる。
【0080】
筒状操作体115には、筒状操作体115の軸線と直交方向に摺動自在となった係止手段としての一対の摺動摘み121が取り付けられている。この摺動摘み121は、筒状操作体115の被覆面116の内側面に凹設される摺動溝122内に配設される。摺動溝122は、被覆面中央の貫通穴118に連通し、この貫通穴118に対して半径方向外側に向いて対となって形成され、かつ、外側を貫通するスリット状の挿通孔123に連通する。そして、被覆面116の内側面に取り付けられる閉塞板125にて、この摺動溝122は、略管状の空間を形成する。すなわち、各摺動摘み121は、被覆面116の内側面と閉塞板125とに挟持されるように配設される。
【0081】
各摺動摘み121は、図7(b)に示すように、略コ字状に形成される板状の部材で、一端が係合部127とされ、他端が操作部128となっている。操作部128は、外側端部が湾曲形成され筒状操作体115の挿通孔より外周面に表出し、中途部分が軸部74の半部をオーバーハングして、係合部127が操作部128に対して軸部74を挟み反対側に延出するように取り付けられる。
【0082】
一対の摺動摘み121は、摺動溝122内を軸部74の軸線方向に対して直交する方向に摺動するとともに、摺動溝122の中途に形成される係合部127との間に装着される圧縮バネ129によって、各操作部128が互いに離反方向に付勢されている。したがって、摺動摘み121の係合部127は、軸部74先端の周溝49内に係止し、互いで挟持した状態となっており、筒状操作体115の軸線方向の移動を規制する。また、この状態で、各操作部128が筒状操作体115の外周面にやや突出して位置する(図7参照)。
【0083】
一方、摺動摘み121は、操作部128同士が接近する方向に摘まれ摺動されることで、係合部127が軸部74から離反し、周溝79から離脱する。つまり、筒状操作体115の軸線方向の移動規制が解除されるようになっている。これにより、筒状操作体115は、軸部74から取り外されることとなる。
【0084】
なお、図7に示すように、摺動摘み121の操作部128が突出する位置、すなわち挿通孔123の位置は、筒状操作体115の外側における溝部117の位置とされ、筒状操作体115自体を摘むと同時に、操作部128を摘める操作が行えるようになっている。
また、本実施の形態では、摺動摘み128が二つ設けられる場合を例に説明しているが、本発明に係る防犯サムターンは、摺動摘み128を一つとしても同様の作用を奏するものである。
【0085】
また、この筒状操作体115には、磁石131が設けられている。この磁石131は、上記した制御片110に対応し、筒状操作体115の側壁部分に内蔵されている。本実施の形態では、筒状操作体115の側壁部分における、各凹状溝119の間に位置するやや後端側とされ、制御片110に対して反発力を与える磁極を内周面側に向けてそれぞれ配設される。すなわち、この筒状操作体115をクラッチカバー90を覆うように、各凸部93,96と各凹状溝119を一致させて装着を行うと、クラッチカバー90に設けられる各制御片110に対して磁力による反発力を働かせ、各制御片110を進出バネ112の付勢力に抗して凹穴111内に後退させるようになる。
【0086】
防犯サムターン70は、さらに、既存サムターン60の摘み61,クラッチ72,クラッチカバー90の一部、及び既存サムターン60の化粧リング62を覆う後付け化粧リング135を備えている。この後付け化粧リング135は、円錐筒状に形成され、止めネジ83を挿通するための貫通穴136が穿設される。また、内部における基端側の端縁には、内側に向かって突出する鉤状の係止爪137が複数形成されている。
【0087】
なお、この第二の実施の形態における後付け化粧リング135は、既存サムターン60の化粧リング62の形状や大きさ(外径)に合わせ選択可能な構成、すなわち既存の化粧リング62に適合可能な形状としておくことで、いずれの形状の既存のサムターン60に取り付け可能となる。
【0088】
上記のように構成される防犯サムターン70を、既存サムターン60の摘み61に取り付けるには、先ず、クラッチ72,クラッチカバー90を予め一体に組み付けたものを、化粧リング62に後付け化粧リング135を外挿した状態とし取り付ける。そして、正規な筒状操作体115を用い、クラッチカバー90に装着させて押圧することにより、クラッチカバー90の貫通穴を、後付け化粧リング135の貫通穴136,クラッチ72のメネジ82に一致させ、後付け化粧リング135の貫通穴からメネジ82に止めネジ83を螺合し、六角レンチなどの工具で締めることにより、クラッチ72を既存サムターン60の摘み61に固定する。これにより、防犯サムターン70の取り付けが完了する。なお、貫通穴136には、キャップ138等を嵌め閉塞させることが好ましい。また、筒状操作体115は、既存サムターン60側、すなわち、クラッチカバー90に取り付けてしまうのではなく、別途保管等される。
【0089】
次に、このようにして、既存サムターン60の摘み61に取り付けられた防犯サムターン70の動作を説明する。
まず、図9に示すように、防犯サムターン70は、通常時、筒状操作体115は装着されておらず、クラッチカバー90が軸部74に対して回動自在となる。一方、クラッチ72は、回動しない。また、クラッチカバー90は、各制御片110が凹溝104内に進出している状態であり、これにより規制爪87が凹溝104内に進入することがなく、互いに当接してしまうことから、軸線方向には移動(押込み)不能となる。また、クラッチカバー90の回動に伴って、規制爪87も回動となる。
【0090】
次に、解錠操作時には、筒状操作体115をクラッチカバー90に被せるように、クラッチカバー90の各凸部93,96に、筒状操作体115の各凹状溝119を合せて、外装させる。
【0091】
すると、図10(a)に示すように、筒状操作体115の各磁石131により、クラッチカバー90の各制御片110が、磁力による反発力により、進出バネ112の付勢力に抗して凹穴111内を後退し移動する。各制御片110が磁力により移動すると、凹溝104内は貫通スリット101から連通状態となり、規制爪87が進入可能となる。また、筒状操作体115を、クラッチカバー90に対して外装させると同時に、各摺動摘み121の操作部128を摘む。これにより、各摺動摘み121の各係合部127間が拡がり、これら係合部127間に軸部74の端部77が進入される(図10(b)参照)。
【0092】
そして、上記のような操作により、筒状操作体115は、クラッチカバー90に対して、外装状態となるが、同時にクラッチカバー90を軸線方向に押し込むこととなり、これにより、圧縮バネ105の付勢力に抗することとなってカバー側係合手段99がクラッチ側係合手段85に噛合して、クラッチカバー90とクラッチ72との相対回転が規制される(図11(a)参照)。また、この噛合状態で、各操作部128より手指を離すと、各摺動摘み121の係合部127が周溝79に係合される。これにより、クラッチカバー90側に対して筒状操作体115が離脱不能となって、被覆状態で保持され、すなわち、クラッチカバー90と筒状操作体115とが略一体状となり、クラッチカバー90側の回転操作力をクラッチ72側に伝達可能となる。
【0093】
そして、筒状操作体115を摘み、回転操作を行うと、クラッチ72が回転され、クラッチ72に被着された既存サムターン60の摘み61が解錠回転される。
【0094】
解錠操作を終えたら、筒状操作体115は、摺動摘み121の操作部128を摘むことで、軸部74の端部77に対する係止を解除され、引き抜くことでクラッチカバー90から取り外される(図11(b)参照)。同時にクラッチカバー90が圧縮バネ105の付勢力により軸方向に移動してクラッチ72から離脱する。これにより、クラッチ側係合手段85とカバー側係合手段99とが噛合を解かれ、クラッチカバー90側の回転操作力がクラッチ72へと伝達しないこととなる。また、筒状操作体115を取り外すことで、各制御片110に対する磁力が解除されることとなり、各制御片110は進出バネ112により進出し、凹溝104を塞ぐこととなる。
【0095】
施錠方法は、この解錠方法と同様にして行うことができる。
【0096】
このように、上記した防犯サムターン70によれば、既存サムターン60を覆い隠すこととなり、針金や棒等を用いても、通常時回転自在となっているクラッチカバー90により、空転や滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、操作力を既存サムターン60の摘み61に伝達するには、別体の筒状操作体115を用いて、クラッチカバー90に設けられた制御片110を、磁力によって移動させ、クラッチ72との係合を許容できる状態とし、筒状操作体115とともにクラッチカバー90を押し込んだ後に回転操作しなければならないため、針金等により不正に解錠操作しようとしても、別体の筒状操作体115が無ければ操作不能であり、クラッチカバー90が空転するのみとなる。しかも、筒状操作体115に内蔵される磁石131が、クラッチカバー90に設けられる各制御片110と対応し、各制御片110を移動させることが可能な磁力と磁極を有していなければ、押圧操作も不可能であり、解錠操作を行うことができないこととなる。
【0097】
すなわち、筒状操作体115という別体の部材を必要とすることから、この筒状操作体115を用いる以外の操作方法では解錠は困難となり、針金や棒を使用しての解錠が不可能となる。また、筒状操作体115自体に内蔵される磁石131の配置位置構成が、クラッチカバー90の各制御片110の配置位置に対応する構成でなければ操作不能であり、解錠は不可能である。
【0098】
そして、正規な筒状操作体115を用いることで、クラッチカバー90に筒状操作体115を外装させる動作で、クラッチカバー90とクラッチ72とが相対回転を阻止された状態で係合しあい、筒状操作体115の手指による回転操作という容易な操作で解錠が行われることとなり、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0099】
なお、筒状操作体115の中心位置に貫通穴118を形成したことで、クラッチ72の軸部74の先端面中央に設けた回転位置表示手段80を視認することができ、これにより、クラッチ72,クラッチカバー90及び筒状操作体115で覆われることで視認できなくなった摘み61の回転位置を、回転位置表示手段80を介して知ることができ、操作性を向上させることが可能となる。
【0100】
また、この第二の実施の形態の防犯サムターン70では、筒状操作体115をクラッチカバー90に被せた状態で、摺動摘み121により、常時取り付け状態を構成することが可能となる。このように構成することで、例えば防犯状態としない状態を維持でき、在宅時などの場合や、出入りが多い場合などに好適となる。
【0101】
なお、上述した各実施の形態では、既存のサムターン60に後付け加工として防犯サムターンを構成させる例として述べたが、本発明の防犯サムターンは、上記のような後付けによる構成に限定されることはない。すなわち、扉に配設される施解錠装置を構成する錠箱機構部に対して、屋内側から回転操作力を入力するサムターン軸に、上記した防犯サムターンの構造を備える構成とさせる。
【0102】
すなわち、図示しないが、錠箱機構部に設けられるサムターン軸に、上記各実施の形態と同様のクラッチを、錠箱機構部とは反対側となる端部に設け、このクラッチに対して接離自在となる回転連結体を配設する。この回転連結体には、上記同様に磁石よりなる制御片を、進退自在に設ける。そして、この回転連結体に対して着脱自在な操作体を構成させる。操作体には、制御片に対応し、この制御片を後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備えている。
【0103】
また、操作体については、上記した各実施の形態と同様に、略円板形状としてもよく、或いは筒状としてもよい。さらに、制御片と磁石とについても、上記した各実施の形態と同様に、複数或いは少なくとも1つで組合せる。なお、磁石よりなる制御片を複数で構成することで、操作体の磁石も複数で構成する必要があり、また、磁極の方向をそれぞれ変えることで、その組合せにより操作体が合鍵として構成でき、サムターンとしての防犯性をさらに向上させることが可能となる。すなわち、専用の操作体を使うことで、サムターンの操作は、その操作者のみの施解錠操作となる。
【0104】
このような防犯サムターンによれば、上記各実施の形態と同様に、針金や棒等を用いても、空転や滑りにより錠箱機構部への回転操作力の入力が阻止される。そして、回転操作力を錠箱機構部に伝達するには、別体の操作体を用いて、回転連結体に設けられた制御片を、磁力によって移動させ、クラッチとの係合を許容できる状態とし、操作体とともに回転連結体を回転操作しなければならないため、針金等により不正に解錠操作しようとしても、別体の操作体が無ければ操作不能であり、回転連結体側が空転するのみとなる。しかも、操作体に内蔵される磁石が、回転連結体に設けられる各制御片と対応し、各制御片を移動させることが可能な磁力と磁極を有していなければ、押圧操作も不可能であり、解錠操作を行うことができないこととなる。
【0105】
すなわち、操作体という別体の部材を必要とすることから、この操作体を用いる以外の操作方法では解錠等の操作は困難となり、針金や棒を使用しての不正な操作が不可能となる。また、操作体自体に内蔵される磁石の構成が、回転連結体の各制御片に対応する構成でなければ操作不能であり、解錠は不可能である。そして、正規な操作体を用いることで、回転連結体に操作体を取り付ける動作で、クラッチカバーとクラッチとが相対回転を阻止された状態で係合しあい、手指による回転操作という容易な操作で解錠が行われることとなり、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による防犯サムターンでは、既存のサムターンに取り付ける構成のものによれば、この既存サムターンを覆い隠すこととなることから、針金や棒等を用い不正に解錠操作を行おうとしても、滑りにより回転操作力の入力が阻止される。そして、この回転操作力を既存サムターンの摘みに伝達するには、別体で構成した操作体を用いて回転連結体に配設した制御片を、磁力による反発力或いは吸着力によって移動させ、クラッチとの係合を許容できる状態とし、そして、回転連結体を移動させた後に回転操作を行わなければならないため、針金により不正に解錠操作しようとしても、別体構成とした操作体が無ければ操作不能であり、すなわち防犯性を得ることができる。しかも、操作体に内蔵される磁石が、回転連結体に設けられる制御片と対応し、制御片を移動させることが可能な磁力と磁極を有していなければ、押圧動作なども不可能となり、解錠操作を行うことが不可能となり、防犯性を得られることとなる。
【0107】
すなわち、操作体という別体の部材を必要とすることから、この操作体を用いる以外の操作方法では解錠は困難となり、針金や棒等を使用しての不正な解錠が不可能となる。また、操作体自体に内蔵される磁石の構成が、回転連結体の制御片に対応する構成でなければ操作不能であり、一致しない操作体では解錠を不可能とする。そして、正規な操作体を用いることで、操作体を取り付ける動作で、回転連結体とクラッチとが相対回転を阻止された状態で係合しあい、手指による回転操作という容易な操作で解錠が行われることとなり、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0108】
また、上記操作体を筒状操作体とした構成であっても同様であり、この筒状操作体を回転連結体に覆うように取り付ける動作を行うことで、回転連結体とクラッチとが相対回転を阻止された状態で係合しあい、筒状操作体の手指による回転操作という容易な操作で解錠が行われることとなり、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0109】
さらに、上記した既存のサムターンではなく、錠箱機構部に連動連結されるサムターン軸に構成される防犯サムターンであっても、上記同様の効果を得られるものである。
【0110】
また、軸部の先端が回転連結体を貫通し、筒状操作体に軸部に対して係脱自在な係止手段を備えた構成の防犯サムターンによれば、筒状操作体を回転連結体に覆うように取り付けた状態で、係止手段により、常時取り付け状態を構成することが可能となる。このように構成することで、例えば防犯状態としない状態を維持でき、在宅時などの場合や、出入りが多い場合などに好適となる。
【0111】
さらに、軸部の先端が筒状操作体を貫通し、軸部の先端に回転位置表示手段を設けた構成の防犯サムターンとすれば、クラッチや筒状操作体で覆われることで視認できなくなった既存サムターンの摘みの回転位置、或いは、サムターン軸の回転位置を、回転位置表示手段を介して知ることができ、施解錠の操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防犯サムターンの第一の実施の形態の概略斜視図である。
【図2】同防犯サムターンの分解側面図である。
【図3】同防犯サムターンにおける操作時における縦断面視を(a),A−A線正断面視を(b)に表した説明図である。
【図4】同防犯サムターンにおける操作時における縦断面視を(a),正断面視を(b),正面図を(c)に表した説明図である。
【図5】同防犯サムターンにおける操作時における縦断面図である。
【図6】同防犯サムターンにおける操作時における縦断面視を(a),正断面視を(b),正面図を(c)に表した説明図である。
【図7】本発明に係る防犯サムターンの第二の実施の形態の概略斜視図を(a),筒状操作体の背断面図を(b)に示した説明図である。
【図8】同防犯サムターンの分解側面図である。
【図9】同防犯サムターンの操作時における縦断面視を(a),B−B線正断面視を(b)に表した説明図である。
【図10】同防犯サムターンの操作時における縦断面視を(a),(b)に表した説明図である。
【図11】同防犯サムターンの操作時における縦断面視を(a),正断面視を(b)に表した説明図である。
【図12】従来の防犯カバーの扉への取り付け状態を示す斜視図である。
【図13】図12に示した防犯カバーの内部状態を表す断面図である。
【図14】図12に示した防犯カバーの別態様を表す部分破断側面図である。
【図15】図12に示した防犯カバーのさらに別態様を表す部分破断側面図である。
【符号の説明】
10,70…防犯サムターン
12,72…クラッチ
19…筒体
30…回転操作部
39…回転連結体
43…係合手段(連結体側係合手段)
48,110…制御片
52…操作体
54,131…磁石
60…既存サムターン
61…摘み
74…軸部
80…回転位置表示手段
90…回転連結体(クラッチカバー)
99…係合手段(カバー側係合手段)
115…筒状操作体
121…摺動摘み
Claims (10)
- 既存サムターンの摘みに被着されるクラッチと、
該クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体に対して着脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする防犯サムターン。 - 既存サムターンの摘みに被着されるクラッチと、
前記既存サムターンを囲繞して覆い隠し、先端部に前記クラッチを回転自在に支持する筒体と、
前記クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
前記筒体に回転自在に設けられるとともに、前記回転連結体を支持する回転操作部と、
前記回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体に対して着脱自在とされるとともに、前記回転操作部に対して係脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする防犯サムターン。 - 既存サムターンの摘みに被着されるクラッチと、
前記クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体を覆うように着脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする防犯サムターン。 - 既存サムターンの摘みに被着され前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有した回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体を覆うように着脱自在とされる筒状操作体と、
を具備することを特徴とする防犯サムターン。 - 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
該クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体に対して着脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする防犯サムターン。 - 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
前記クラッチを回転自在に支持する筒体と、
前記クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
前記筒体に回転自在に設けられるとともに、前記回転連結体を支持する回転操作部と、
前記回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体に対して着脱自在とされるとともに、前記回転操作部に対して係脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする防犯サムターン。 - 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
前記クラッチに対して接離自在に配設され、該クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有する回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体を覆うように着脱自在とされる操作体と、
を具備することを特徴とする防犯サムターン。 - 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
前記サムターン軸と同軸心とされて、前記クラッチより延設される軸部と、
該軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有した回転連結体と、
該回転連結体に設けられ、前記クラッチとの係合を規制する進出位置と、該クラッチとの係合を許容する後退位置との間を移動自在とされる磁石よりなる制御片と、
該制御片を前記後退位置に移動させる磁力を有する磁石を備え、前記回転連結体を覆うように着脱自在とされる筒状操作体と、
を具備することを特徴とする防犯サムターン。 - 前記軸部の先端が前記回転連結体を貫通し、前記筒状操作体には、前記軸部に対して係脱自在な係止手段を備えることを特徴とする請求項4又は8記載の防犯サムターン。
- 前記軸部の先端が前記筒状操作体を貫通し、該軸部の先端面に、回転位置表示手段が設けられていることを特徴とする請求項4又は8又は9記載の防犯サムターン。
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