JP4323780B2 - 防犯サムターン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、扉の施解錠操作に用いられる防犯サムターン、或いは既存のサムターンを覆う後付け用の防犯サムターンに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば扉に設けられる施錠装置は、屋外側に表出させたシリンダー錠の鍵孔に、合鍵(キー)を挿入して回動操作することにより、扉の木口より進退させたデッドボルトを扉枠に設けたストライクに係合・係合解除して施解錠を行うとともに、屋内側からは、サムターンの摘みを回動操作するのみで、デッドボルトを進退させて、扉の施解錠を簡便に行えるようにしている。
【0003】
ところが、近年、ポスト口や、機械工具によって開けた小さな穴から棒や針金等を挿入し、回転操作の容易なサムターンに係止して回転させ、施錠装置を解錠する不正解錠が増えている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0004】
【特許文献1】
実公平4−40362号公報
【0005】
このようなサムターンに針金等を係止して回転させることを防止するものに例えば上記特許文献1に開示されるサムターン用防犯カバーがある。
この防犯カバー1は、図19,図20に示すように、サムターン2が嵌入する嵌入孔3が形成されているとともに、回転時に円状軌跡2bを描くサムターン2の外面2aを覆う部分が、円状軌跡に沿う円形状に形成されている。そして、嵌入孔3内に螺入してサムターン2の側面に当接し、両側から挟持するセットスクリュー4,4が設けられている。
このような構成からなる防犯カバー1は、嵌入孔3にサムターン2を挿入することで、サムターン2に防犯カバー1を覆うように被せる。その後セットスクリュー4,4を螺入させて締め付けることで、防犯カバー1をサムターン2に固定する。従って、サムターン2に被せた防犯カバー1によって、針金等を係止させて回転させることが難しくなる。
【0006】
また、上記した防犯カバーの別態様として、図21に示すように、防犯カバー1を、取付部5及び本体部6から構成したものが開示されている。取付部5は、上記の防犯カバー1の外形を手での操作が容易となるように形成し、本体部6が係止する係止突部5aを設けている。取付部5は、サムターン2に被せた状態で、サムターン2を容易に回転させることができる。また、本体部6は、係止突部5aに係止可能な係止部6aを有している。
このようにすることで、係止作業という簡単な作業で、防犯カバー1の着脱が行える。さらに係止部6aで本体部6が空転することにより、針金等を係止させて回転させることが不可能となる。
【0007】
さらに、上記した防犯カバーの別態様として、図22に示すように、係止部6a内に、係止突部5aとの間にバネ部材8を設け、本体部6側の外周縁に複数の係合凹部5bと、この係合凹部5bに係合可能な係合凸部6bとを設けたものが開示されている。
このような構成とすれば、本体部6を常に取り付けたままとしておくことができる。すなわち、常時は係止突部5aと係止部6aとで本体部6が空転し、サムターン2を回転させたいときは、本体部6を手で押圧し、係合凸部6bを取付部5の係合凹部5bに係合させ、この係合状態のまま本体部6を回転させることにより、サムターン2を回転させることができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図19,図20に示した防犯カバーは、外形が円筒体形状であるため、サムターンに被せた場合、本来小判形状であることからその回転位置によって視認できたサムターンの施錠状態又は非施錠状態を視認不能にしてしまい、施解錠の操作性を低下させる問題があった。
また、図21に示した防犯カバーは、サムターンを回転操作可能にする取付部と、この取付部に対し空転しかつ着脱可能となる本体部とから構成されているため、脱着した本体部の保管管理が煩雑となり、本体部を紛失する虞もあった。
さらに、図22に示した防犯カバーは、サムターンを回転させたいときは、本体部を任意の回転位置で押圧すればよいため、何らかの方法により押圧が可能となれば、サムターンの回転が可能となり、防犯性を十分に高めることができなかった。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、針金や棒等によるサムターンの回転を阻止できるとともに、押圧操作のみによっては錠箱機構部に回転操作力を入力不可能とする、或いは、既存サムターンへの回転入力が行えない防犯サムターンを提供し、防犯性のさらなる向上を図ることにある。また、その第二の目的は、着脱部材が不要であり、且つサムターンの回転位置が容易に視認できる防犯サムターンを提供し、操作性の向上を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の防犯サムターン211は、錠箱機構部301に回動操作力を入力するサムターン軸221と、
該サムターン軸221の前記錠箱機構部301と反対側の端部に配設されるクラッチ213と、
前記サムターン軸221とクラッチ213とを覆うとともに、該サムターン軸221とクラッチ213とを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面87側に固設される基台部219と、
該サムターン軸221の前記錠箱機構部301と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部219より延出する軸部223と、
前記軸部223に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ213との相対回転を阻止する係合手段251を有した回転操作部材215と、
該回転操作部材215に取り付けられ前記軸部223に係止して該回転操作部材215の軸線方向の移動を規制するとともに摘み操作されることで該規制を解除して前記係合手段251と前記クラッチ213との係合を可能とする操作部217と、
を具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の防犯サムターン211は、錠箱機構部301に回動操作力を入力するサムターン軸221と、
該サムターン軸221の前記錠箱機構部301と反対側の端部に配設されるクラッチ213と、
前記サムターン軸221とクラッチ213とを覆うとともに、該サムターン軸221とクラッチ213とを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面87側に固設される基台部219と、
該サムターン軸221の前記錠箱機構部301と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部219より延出する軸部223と、
該軸部223に形成される段部227と、
前記軸部223に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ213との相対回転を阻止する係合手段251を有した回転操作部材215と、
該回転操作部材215に、該回転操作部材215の軸線と直交方向の揺動軸261を介して揺動自在に取り付けられ前記段部227に当接して該回転操作部材215の前記クラッチ213側への移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段251が係合する方向に前記回転操作部材215の移動を可能とする揺動摘み217と、
を具備したことを特徴とする。
【0012】
このような防犯サムターン211では、軸部223に対して、回転操作部材215が回動自在となり、これにより、針金や棒等を用いても、錠箱機構部301への回転力の入力が阻止される。そして、その操作力を錠箱機構部301へと伝達するには、揺動摘み217を摘み、揺動摘み217とともに回転操作部材215を押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘み217を不正に操作しようとしても、回転操作部材215が空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、揺動摘み217を摘んで、回転操作する動作は、従来からのサムターンの操作と略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0013】
また、回転操作部材215に設けられた揺動摘み217が段部227に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この揺動摘み217が揺動操作されることで、規制が解除されて、回転操作部材215の移動が可能となる。これにより揺動摘み217の揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、回転操作部材215を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0014】
請求項3記載の防犯サムターン211は、請求項2記載の防犯サムターン211であって、
前記回転操作部材215が略平板状の摘みを備え、前記揺動摘み217が平板状の摘み部217bを有し、該摘み部217bが前記摘みと略平行に取り付けられることを特徴とする。
【0015】
この防犯サムターン211では、回転操作部材215を略平板状としたことで、施解錠の操作を行う際に、摘み易くなり、その操作性が向上する。
【0016】
請求項4記載の防犯サムターン211は、請求項1又は2又は3記載の防犯サムターンであって、
前記軸部223は前記回転操作部材215を貫通し、該軸部223の表出する先端面223aに回転位置表示手段226が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この防犯サムターン211では、回転自在な回転操作部材215により施錠状態或いは解錠状態の錠箱機構部301内の視認できなくなった状態が、回転位置表示手段126を介して知ることができ、操作性を向上させることができる。
【0018】
請求項5記載の防犯サムターン11,111は、既存サムターンの摘み21に被着され前記摘み21の回動中心と同軸の軸部23,123が突設されるクラッチ13,113と、
前記軸部23,123に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ13,113との相対回転を阻止する係合手段51,151を有したクラッチカバー15,115と、
該クラッチカバー15,115に取り付けられ前記軸部23,123に係止して該クラッチカバー15,115の軸線方向の移動を規制するとともに摘み操作されることで該規制を解除して前記係合手段51,151と前記クラッチ13,113との係合を可能とする操作部17,117と、
を具備したことを特徴とする。
【0019】
このような防犯サムターン11,111では、既存サムターンの摘み21がクラッチ13,113で覆われ、このクラッチ13,113がさらにクラッチカバー15,151で覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、操作部17,117の操作力を既存サムターンの摘み21に伝達するには、操作部17,117を摘み、操作部17,117とともにクラッチカバー15,115を押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘みを不正に操作しようとしても、クラッチカバー15,115が空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、操作部17,117を摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘み21と同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0020】
請求項6記載の防犯サムターン11は、既存サムターンの摘み21に被着され前記摘み21の回動中心と同軸の軸部23が突設されるクラッチ13と、
前記軸部23に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ13との相対回転を阻止する係合手段51を有したクラッチカバー15と、
該クラッチカバー15に揺動自在に取り付けられ前記軸部23に係止して該クラッチカバー15の移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段51と前記クラッチ13との係合を可能とする揺動摘み17と、
を具備したことを特徴とする。
【0021】
このような防犯サムターン11では、既存サムターンの摘み21がクラッチ13で覆われ、このクラッチ13がさらに円形のクラッチカバー15で覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、揺動摘み17の操作力を既存サムターンの摘み21に伝達するには、揺動摘み17を摘み、揺動摘み17とともにクラッチカバー15を押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘みを不正に操作しようとしても、クラッチカバー15が空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、揺動摘み17を摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘み21と同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0022】
請求項7記載の防犯サムターン11は、既存サムターンの摘み21に被着される円形基台部19を有し該円形基台部19に、前記摘み21の回動中心と同軸の軸部23が突設されるクラッチ13と、
該クラッチの前記軸部に形成された段部27と、
前記軸部23に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記円形基台部19を覆うとともに前記クラッチ13との相対回転を阻止する係合手段51を有したクラッチカバー15と、
該クラッチカバー15に、該クラッチカバー15の軸線と直交方向の揺動軸61を介して揺動自在に取り付けられ前記段部27に当接して該クラッチカバー15の前記クラッチ側への移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段51が係合する方向に前記クラッチカバー15の移動を可能とする揺動摘み17と、
を具備したことを特徴とする。
【0023】
この防犯サムターン11では、クラッチカバー15に設けられた揺動摘み17が段部27に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この揺動摘み17が揺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバー15の移動が可能となる。これにより揺動摘み17の揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバー15を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0024】
請求項8記載の防犯サムターン11は、請求項6又は7記載の防犯サムターンであって、
前記揺動摘み17が平板状の摘み部17bを有し、該摘み部17bが前記既存サムターンの摘み21と略平行に取り付けられたことを特徴とする。
【0025】
この防犯サムターン11では、揺動摘み17の平板状の摘み部17bが既存サムターンの摘み21と平行に取り付けられていることで、既存サムターンの施解錠状態が一目瞭然となり、所望の操作前に、クラッチカバー15を一旦回して既存サムターンの施解錠状態を確認するなどの動作が不要になり、操作性が向上する。
【0026】
請求項9記載の防犯サムターン111は、既存サムターンの摘み21に被着される円形基台部119を有し該円形基台部119に、前記摘み21の回動中心と同軸の軸部123が突設されるクラッチ113と、
該クラッチ113の前記軸部123に形成された段部127と、
前記軸部123に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記円形基台部119を覆うとともに前記クラッチ113との相対回転を阻止する係合手段151を有したクラッチカバー115と、
該クラッチカバー115に、該クラッチカバー115の軸線と直交方向に挿着されて摺動自在に取り付けられ前記段部127に当接して該クラッチカバー115の前記クラッチ113側への移動を規制するとともに摺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段151が係合する方向に前記クラッチカバー115の移動を可能とする摺動摘み117と、
を具備したことを特徴とする。
【0027】
この防犯サムターン111によれば、既存サムターンの摘み21がクラッチ113で覆われ、このクラッチ113がさらに円形のクラッチカバー115で覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、摺動摘み117の操作力を既存サムターンの摘み21に伝達するには、摺動摘み117を摘み、摺動摘み117とともにクラッチカバー115を押しながら回転しなければならないため、針金により摺動摘み117を不正に操作しようとしても、クラッチカバー115が空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、摺動摘み117を摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘み21と同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0028】
また、クラッチカバー115に設けられた摺動摘み117が段部127に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この摺動摘み117が摺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバー115の移動が可能となる。これにより摺動摘み117の摺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバー115を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0029】
請求項10記載の防犯サムターン111は、請求項9記載の防犯サムターン111であって、
前記クラッチカバー115は前記軸部123が貫通され、該軸部123の表出する先端面123aに回転位置表示手段126が設けられていることを特徴とする。
【0030】
この防犯サムターン111では、クラッチカバー115等で覆われることで視認できなくなった摘み21の回転位置が、回転位置表示手段126を介して知ることができ、操作性を向上させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る防犯サムターンの好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
第一の実施の形態
まず、第一の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る防犯サムターンの第一の実施の形態の分解斜視図、図2は図1に示した防犯サムターンの一部を切り欠いた分解側面図、図3は図1に示した防犯サムターンにおける通常時の縦断面視を(a)、正面視を(b)に表した動作説明図、図4は図1に示した防犯サムターンにおける摘み操作時の縦断面視を(a)、正面視を(b)に表した動作説明図、図5は図1に示した防犯サムターンにおける押込み時の縦断面視を表した動作説明図である。
【0033】
この第一の実施の形態による防犯サムターン11は、その主要な構成として、図1に示すクラッチ13と、クラッチカバー15と、揺動摘み17とを有している。
【0034】
クラッチ13は、円形基台部19を有し、この円形基台部19には既存サムターンの摘み21の回動中心と同軸の軸部23が突設される。軸部23の基端には周溝25が形成されている。この周溝25は、後述の説明で明らかとなるように、クラッチカバー15を抜脱不能に規制するものとなる。
【0035】
軸部23の先端には段部27が形成されている。段部27は、先端側の小径部29と基端側の大径部31とが連設されることで形成されている。なお、段部27は、軸部23の中央部に形成することもできる。この段部27は、後述の説明で明らかとなるように、揺動摘み17が当接し、クラッチカバー15の軸線方向の移動を規制するものとなる。
【0036】
クラッチ13は、円形基台部19が既存サムターンの摘み21に被着される。この被着は、円形基台部19の軸部突出側の面13aと反対側の面13bに、摘み21の嵌入する嵌入溝33(図2参照)を形成し、この嵌入溝33に貫通するメネジ35に、止めネジ37を螺合することにより、止めネジ37の先端を既存サムターンの摘み21に圧接して行われる。この止めネジ37には、例えば、六角穴付きネジが好適となる。なお、この被着には、粘着テープや接着剤が使用されてもよい。
【0037】
クラッチ13は、円形基台部19の軸部突出側の面13aに、クラッチ側係合手段39を有している。クラッチ側係合手段39は、円形基台部19の周縁を軸線方向に突出させた複数の歯41を円周方向に等間隔で配設してなる。このクラッチ側係合手段39は、クラッチカバー15に設けられる後述のカバー側係合手段に噛合する。
【0038】
クラッチカバー15は、外形状が略円錐台形状に形成される。クラッチカバー15は、このような円形状となることで、針金等による引っ掛かりが防止できるようになっている。先細となった先端には枠状の挟持部43が突設されている。クラッチカバー15は、内部が中空となり、後端がフレア部45となって広がる。クラッチカバー15の内部には軸線と同軸の筒部47が後端に向けて突出され、筒部47の先端には内方へ突出した爪49が形成されている。この筒部47は、クラッチ13の軸部23に回動自在に外挿される。軸部23に外挿された筒部47は、爪49を周溝25に係合することにより、軸部23からの抜脱が規制される。
【0039】
ここで、爪49は、周溝25の軸線方向に移動自在に係合する。つまり、クラッチカバー15は、軸部23に対して回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿されている。クラッチカバー15は内部に係合手段としてのカバー側係合手段51を有している。カバー側係合手段51は、複数の歯53を筒部47と同一中心の円周方向に等間隔で配設してなる。このカバー側係合手段51は、上記したクラッチ側係合手段39に噛合可能となっている。
【0040】
クラッチカバー15は、上記のように爪49を周溝25に係合して軸部23に抜脱不能に外挿されて取り付けられる。このようにして取り付けられたクラッチ13とクラッチカバー15との間には付勢手段である圧縮バネ55が配設され、圧縮バネ55はクラッチカバー15を軸部23の突出方向に付勢する。したがって、クラッチカバー15は、押すことにより、圧縮バネ55の付勢力に抗してクラッチ13に接近する方向(図2の左方向)に移動される。クラッチ13とクラッチカバー15とは、この押込みにより、クラッチ側係合手段39とカバー側係合手段51とが噛合して、相対回転が規制されるようになっている。
【0041】
クラッチカバー15は、圧縮バネ55によって付勢された位置で、図3(a)に示すように、フレア部45によってクラッチ13の円形基台部19を覆うようになっている。つまり、フレア部45と円形基台部19とは、図3に示すように、オーバーハングしている。フレア部45には貫通穴57が穿設され、貫通穴57は、クラッチカバー15を押込んだ位置で円形基台部19のメネジ35に一致するようになっている。
【0042】
クラッチカバー15には、クラッチカバー15の軸線と直交方向の揺動軸61を介して揺動自在となった操作部としての一対の揺動摘み17,17が取り付けられている。揺動摘み17は、揺動軸61を挟み一端が揺動端17aとなり、他端が平板状の摘み部17bとなっている。この摘み部17bは、既存サムターンの摘み21と略平行となるように取り付けられている。
【0043】
一対の揺動摘み17,17は、枠状の挟持部43の内方に配設された圧縮バネ63によって摘み部17b,17b同士が離反方向に付勢されている。したがって、通常時、揺動摘み17の揺動端17a,17aは、軸部23先端の小径部29を挟持した状態となって段部27に当接し、クラッチカバー15のクラッチ13側への移動を規制している。
【0044】
一方、揺動摘み17は、図4に示すように、摘み部17b,17b同士が接近する方向に摘まれることで、揺動端17a,17aが離反し、段部27と当接状態でなくなる。つまり、クラッチカバー15の移動規制が解除されるようになっている。これにより、クラッチカバー15は、図5に示すように、カバー側係合手段51がクラッチ側係合手段39に係合する方向に押込み可能となる。
【0045】
なお、本実施の形態では、揺動摘み17が二つ設けられる場合を例に説明しているが、本発明に係る防犯サムターンは、揺動摘み17を一つとしても同様の作用を奏するものである。
【0046】
防犯サムターン11は、さらに、既存サムターンの摘み21,クラッチ13,クラッチカバー15の一部を覆う化粧リング71と、この化粧リング71を既存サムターンの化粧リング73に取り付けるための一対の取付板75,75とを備えている。
【0047】
後付け化粧リング71は、円錐筒状に形成され、止めネジ37を挿通するための貫通穴77が穿設される。また、内部後端側には、取付板75,75に係止するための係止爪79,79を有している。
【0048】
取付板75は、半円環状に形成され、両端が相互に係合する凹凸部81,83となっている。また、取付板75,75の円周方向略中央部には、枠状の係止部85が立設され、この係止部85は後付け化粧リング71の係止爪79に係止するようになっている。
【0049】
上記のように構成される防犯サムターン11を、既存サムターンの摘み21に取り付けるには、先ず、既存の化粧リング73と扉面87との間に図2に示す間隙89を形成し、この間隙89に上下から取付板75,75を挿入し、凹凸部81,83を係合させて円環状に組付ける。間隙89に挿入された取付板75,75は、図示しない化粧リング73のスプリングによって、化粧リング73と扉面87との間に挟着される。
【0050】
次いで、化粧リング73に後付け化粧リング71を外挿し、取付板75,75の係止部85に係止爪79を係止して後付け化粧リング71を取り付ける。次いで、クラッチ13,クラッチカバー15,揺動摘み17を予め一体に組み付けたものを、後付け化粧リング71に挿入する。そして、クラッチカバー15を押圧することにより、クラッチカバー15の貫通穴57を、後付け化粧リング71の貫通穴77,クラッチ13のメネジ35に一致させ、後付け化粧リング71の貫通穴77からメネジ35に止めネジ37を螺合し、六角レンチで締めることにより、クラッチ13を既存サムターンの摘み21に固定する。これにより、防犯サムターン11の取り付けが完了する。なお、貫通穴77には、図示しないがキャップ等を嵌め閉塞させることが好ましい。
【0051】
次に、このようにして、既存サムターンの摘み21に取り付けられた防犯サムターン11の動作を説明する。
防犯サムターン11は、通常時、クラッチカバー15が回動自在となる。その一方、クラッチカバー15は、揺動摘み17の揺動端17aが段部27に当接していることで、軸線方向には移動(押込み)不能となる。
【0052】
解錠操作時には、揺動摘み17,17を摘む。すると、揺動摘み17の揺動端17aが段部27から外れ、クラッチカバー15の移動規制が解除されて、クラッチ13に接近する方向への移動、すなわち押込みが可能となる。この状態で、揺動摘み17,17を摘みながら、クラッチカバー15を押込むと、クラッチカバー15のカバー側係合手段51が、クラッチ13のクラッチ側係合手段39に噛合して、クラッチカバー15とクラッチ13との相対回転が規制されて、クラッチカバー15の回転操作力がクラッチ13へ伝達可能となる。
【0053】
すなわち、揺動摘み17,17を摘みながらクラッチカバー15を押込み、さらにクラッチカバー15を解錠方向に回転することで、クラッチ13が回転され、クラッチ13に固着された既存サムターンの摘み21が解錠回転される。
【0054】
施錠方法は、この解錠方法と同様にして行うことができる。
【0055】
このように、上記したこの防犯サムターン11によれば、既存サムターンの摘み21がクラッチ13で覆われ、このクラッチ13がさらに円形のクラッチカバー15で覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、揺動摘み17の操作力を既存サムターンの摘み21に伝達するには、揺動摘み17を摘み、揺動摘み17とともにクラッチカバー15を押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘み17を不正に操作しようとしても、クラッチカバー15が空転するのみとなる。
すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、揺動摘み17を摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘み21と同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0056】
また、クラッチカバー15に設けられた揺動摘み17が段部27に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この揺動摘み17が揺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバー15の移動が可能となる。これにより揺動摘み17の揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバー15を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0057】
さらに、揺動摘み17の平板状の摘み部17bが既存サムターンの摘み21と平行に取り付けられていることで、操作時における既存サムターンの施解錠状態が一目瞭然となり、所望の操作前に、クラッチカバー15を一旦回して既存サムターンの施解錠状態を確認するなどの必要がなくなり、操作性が向上する。
【0058】
第二の実施の形態
次に第二の実施の形態について説明する。
図6は本発明に係る防犯サムターンの第二の実施の形態の分解斜視図、図7は図6に示した防犯サムターンの一部を切り欠いた分解側面図、図8は同防犯サムターンのクラッチカバーの一部を示す分解斜視図、図9は図6に示した防犯サムターンにおける通常時の縦断面視を(a),正面視を(b)に表した動作説明図、図10は図6に示した防犯サムターンにおける摘み操作時の縦断面視を表した動作説明図、図11は図6に示した防犯サムターンにおける押込み時の縦断面視を表した動作説明図である。
【0059】
この第二の実施の形態による防犯サムターン111は、その主要な構成として、図6に示すクラッチ113と、クラッチカバー115と、摺動摘み117とを有している。
【0060】
クラッチ113は、円形基台部119を有し、この円形基台部119には既存サムターンの摘み21の回動中心と同軸の軸部123が突設される。本実施の形態では、円形基台119と軸部123とが別体構成とされ、図7に示すように、ネジ124などの固定手段にて締結固定されている。
【0061】
軸部123の先端側には段部127が形成されている。段部127は、先端側の小径部129とフランジ状の大径部131とが連設されることで形成されている。この段部127は、後述の説明で明らかとなるように、摺動摘み117が当接し、クラッチカバー115の軸線方向の移動を規制するものとなる。
また、軸部123は先端にやや細径な端部125を有し、その先端面123aには、回転位置表示手段126が設けられる。この回転位置表示手段126は、微小な凹凸による標示、印刷や刻印、或いは部分的な着色による色分け等とされる。例えば、図9に示すように、解錠時では回転位置表示手段126は縦長状とされており、施錠する場合、すなわち、時計回りに90度回転させると、横長状となり、解錠時と施錠時とが容易に識別可能となっており、これら向きが後述する嵌入溝133の向きと一致するように設けられる。
【0062】
クラッチ113は、円形基台部119が既存サムターンの摘み21に被着される。この被着は、円形基台部119の軸部突出側の面113aと反対側の面113bに、摘み21の嵌入する嵌入溝133(図7参照)を形成し、この嵌入溝133に貫通するメネジ135に、止めネジ137を螺合することにより、止めネジ137の先端を既存サムターンの摘み21に圧接して行われる。なお、この被着には、粘着テープや接着剤が使用されてもよく、その場合、上記したメネジ135,止めネジ137は設けられなくとも良い。
【0063】
クラッチ113は、円形基台部119の軸部突出側の面113aに、クラッチ側係合手段139を有している。クラッチ側係合手段139は、円形基台部119の周縁を軸線方向に突出させた複数の歯141を円周方向に等間隔で配設してなる。このクラッチ側係合手段139は、クラッチカバー115に設けられる後述のカバー側係合手段151に噛合する。
【0064】
クラッチカバー115は、本実施の形態では、基端側カバー115Aと先端側カバー115Bとの2分割構造とされている。基端側カバー115Aは、略円筒形状に形成され、先端側カバー115Bは表面が略球面状の湾曲面とされた円板状に形成される。これら基端側カバー115Aと先端側カバー115Bとはネジなどの固定手段(図示せず)にて一体に連結されており、これら部材よりなるクラッチカバー115は、このような円形状となることで、針金等による引っ掛かりが防止できるようになっている。なお、互いを連結する固定手段であるネジは、基端側カバー115A内より螺着され、表面にはネジ頭が表出しない。
【0065】
基端側カバー115Aは、内部が中空となり、後端がフレア部145となって広がる。基端側カバー115Aの先端側には、中央に貫通穴147が形成され、クラッチ113の軸部123が貫通し回動自在に外挿される。また、この貫通穴147には先端側に大径となる段部147aが形成され、軸部123の段部127の大径部131の後端に当接となる。先端側カバー115Bは、中央に貫通穴148が形成され軸部123の先端に外挿される。そして、この軸部123に外挿されたこれら基端側カバー115Aと先端側カバー115Bとで、軸部123からの抜脱が規制される。
【0066】
ここで、基端側カバー115Aの貫通穴148は、軸部123の軸線方向に移動自在に外挿となる。つまり、クラッチカバー115は、軸部123に対して回転自在かつ軸線方向に移動自在となって軸部123の段部127によって抜脱不能に外挿されている。
基端側カバー115Aは内部に係合手段としてのカバー側係合手段151を有している。カバー側係合手段151は、複数の歯153を貫通穴147と同一中心の円周方向に等間隔で配設してなる。このカバー側係合手段151は、上記したクラッチ側係合手段139に噛合可能となっている。
【0067】
クラッチカバー115は、上記のように基端側カバー115Aと先端側カバー115Bのそれぞれの貫通穴147,148により軸部123に抜脱不能に外挿されて取り付けられる。このようにして取り付けられたクラッチ113とクラッチカバー115との間には付勢手段である圧縮バネ155が配設され、圧縮バネ155はクラッチカバー115を軸部123の突出方向に付勢する。したがって、クラッチカバー115は、押すことにより、圧縮バネ155の付勢力に抗してクラッチ113に接近する方向(図7の左方向)に移動される。クラッチ113とクラッチカバー115とは、この押込みにより、クラッチ側係合手段139とカバー側係合手段151とが噛合して、相対回転が規制されるようになっている。
【0068】
クラッチカバー115は、圧縮バネ155によって付勢された位置で、図9(a)に示すように、フレア部145によってクラッチ113の円形基台部119を覆うようになっている。つまり、フレア部145と円形基台部119とは、図9に示すように、オーバーハングしている。フレア部145には貫通穴157が穿設され、貫通穴157は、クラッチカバー115を押込んだ位置で円形基台部119のメネジ135に一致するようになっている。
なお、このクラッチカバー115の基端側カバー115Aのフレア部145外周面には、フランジ状の係合突条146が設けられている。この係合突条146は、後述する後付け化粧リング171を支持する。
【0069】
クラッチカバー115には、クラッチカバー115の軸線と直交方向に摺動自在となった操作部としての一対の摺動摘み117,117が取り付けられている。この摺動摘み117は、先端側カバー115Bの基端側面に凹設された摺動溝158内に配設される。摺動溝158は、先端側カバー115B中央の貫通穴148に連通し、この貫通穴148に対して半径方向外側に向いて対となって形成され、基端側カバー115Aの先端側端面との間で略管状の空間を形成する。すなわち、これら摺動摘み117,117は先端側カバー115Bと基端側カバー115Aとに挟持されるように配設される。摺動摘み117は、図8に示すように、略コ字状に形成され、一端が係合部117aとされ、他端が操作部117bとなっている。操作部117bは、外側面が湾曲形成されクラッチカバー115の外周面に表出し、中途部分が軸部123の半部をオーバーハングして、係合部117aが操作部117bに対して軸部123を挟み反対側に延出するように取り付けられる。
【0070】
一対の摺動摘み117,117は、各摺動溝158内を軸部123の軸線方向に対して直交する方向に摺動するとともに、摺動溝158の中途に形成される屈曲段部158aとの間に装着される圧縮バネ163,163によって、各操作部117b,117bが互いに離反方向に付勢されている。したがって、通常時、摺動摘み117の係合部117a,117aは、軸部123先端の小径部129に当接し、互いで挟持した状態となって段部127に当接し、クラッチカバー115のクラッチ113側への移動を規制している。また、この状態で、各操作部117b,117bがクラッチカバー115の外周面にやや突出して位置する(図9(b)参照)。
【0071】
一方、摺動摘み117は、図10に示すように、操作部117b,117b同士が接近する方向に摘まれ摺動されることで、係合部117a,117aが軸部123から離反し、段部127と当接状態でなくなる。つまり、クラッチカバー115の軸線方向の移動規制が解除されるようになっている。これにより、クラッチカバー115は、図11に示すように、カバー側係合手段151がクラッチ側係合手段139に係合する方向に押込み可能となる。
【0072】
なお、図6,図9(b)に示すように、基端側カバー115A及び先端側カバー115Bの外周面における各摺動溝158の開口部分の周囲には、連続した平坦面161が形成され、クラッチカバー115自体を摘み易くしているとともに、各摺動摘み117の操作部117bが平坦面161より突出し、これら操作部117bの摘み操作を行いやすくしている。
また、本実施の形態では、摺動摘み117が二つ設けられる場合を例に説明しているが、本発明に係る防犯サムターンは、摺動摘み117を一つとしても同様の作用を奏するものである。
【0073】
防犯サムターン111は、さらに、既存サムターンの摘み21,クラッチ113,クラッチカバー115の一部、及び既存サムターンの化粧リング73を覆う後付け化粧リング171を備えている。
後付け化粧リング171は、円錐筒状に形成され、止めネジ137を挿通するための貫通穴177が穿設される。また、内部には、基端内周面が既存サムターンの化粧リング73に当接するテーパ面171aを有し、基端側に圧縮バネ181が当接する段部178が形成されており、先端縁には、内側に向かって突出する鉤状の係止爪179が複数形成されている。
【0074】
この後付け化粧リング171は、クラッチカバー115の基端側1を覆うように取り付けられ、すなわち後付け化粧リング171内に圧縮バネ181を内設させ、先端側からクラッチカバー115の基端側を係合突条146を爪部179内側に圧入するように嵌め入れ、後付け化粧リング171の段部178と係合突条146との間に圧縮バネ181が配置される状態となる。圧縮バネ181により係合突条146に対して段部178が扉面87の方向に押圧されるように、すなわち後付け化粧リング171がクラッチカバー115に対して扉面87側に押圧付勢され。後付け化粧リング171が化粧リング73を抑え、かつこの化粧リング73を扉面87に押圧付勢することとなる。
【0075】
なお、この第二の実施の形態における後付け化粧リング171は、既存サムターンの化粧リング73の形状や大きさ(外径)に合わせ選択可能な構成、すなわち既存の化粧リング73に適合可能な形状としておくことで、いずれの形状の既存のサムターンに取り付け可能となる。また、この後付け化粧リング171は、上記した圧縮バネ181による構成に換えて、上述した第1の実施の形態の取付板75,75と同様の構造にて既存サムターンの化粧リング73に取り付ける構成としても良い。
【0076】
上記のように構成される防犯サムターン111を、既存サムターンの摘み21に取り付けるには、先ず、クラッチ113,クラッチカバー115,摺動摘み117を予め一体に組み付けたものを、化粧リング73に後付け化粧リング171を外挿した状態とし取り付ける。そして、クラッチカバー115を押圧することにより、クラッチカバー115の貫通穴157を、後付け化粧リング171の貫通穴177,クラッチ113のメネジ135に一致させ、後付け化粧リング171の貫通穴177からメネジ135に止めネジ137を螺合し、六角レンチなどの工具で締めることにより、クラッチ113を既存サムターンの摘み21に固定する。これにより、防犯サムターン111の取り付けが完了する。なお、貫通穴177には、図示しないがキャップ等を嵌め閉塞させることが好ましい。
【0077】
次に、このようにして、既存サムターンの摘み21に取り付けられた防犯サムターン111の動作を説明する。
防犯サムターン111は、通常時、クラッチカバー115が回動自在となる。その一方、クラッチカバー115は、摺動摘み117の係合部117aが段部127に当接していることで、軸線方向には移動(押込み)不能となる。
【0078】
解錠操作時には、摺動摘み117,117を摘む。すると、摺動摘み117の係合部117aが段部127から外れ、クラッチカバー115の移動規制が解除されて、クラッチ113に接近する方向への移動、すなわち押込みが可能となる。この状態で、摺動摘み117,117を摘みながら、クラッチカバー115を押込むと、クラッチカバー115のカバー側係合手段151が、クラッチ113のクラッチ側係合手段139に噛合して、クラッチカバー115とクラッチ113との相対回転が規制されて、クラッチカバー115の回転操作力がクラッチ113へ伝達可能となる。
【0079】
すなわち、摺動摘み117,117を摘みながらクラッチカバー115を押込み、さらにクラッチカバー115を解錠方向に回転することで、クラッチ113が回転され、クラッチ113に固着された既存サムターンの摘み21が解錠回転される。
【0080】
施錠方法は、この解錠方法と同様にして行うことができる。
【0081】
このように、上記したこの防犯サムターン111によれば、既存サムターンの摘み21がクラッチ113で覆われ、このクラッチ113がさらに円形のクラッチカバー115で覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、摺動摘み117の操作力を既存サムターンの摘み21に伝達するには、摺動摘み117を摘み、摺動摘み117とともにクラッチカバー115を押しながら回転しなければならないため、針金により摺動摘み117を不正に操作しようとしても、クラッチカバー115が空転するのみとなる。
すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、摺動摘み117を摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘み21と同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0082】
また、クラッチカバー115に設けられた摺動摘み117が段部127に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この摺動摘み117が摺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバー115の移動が可能となる。これにより摺動摘み117の摺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバー115を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0083】
さらに、クラッチカバー115等で覆われることで視認できなくなった摘み21の回転位置が、回転位置表示手段126を介して知ることができ、操作性を向上させることができる。
【0084】
第三の実施の形態
次に第三の実施の形態について説明する。
図12は本発明に係る防犯サムターンの第三の実施の形態の一部を切り欠いた分解平断面図、図13は図12に示した防犯サムターンにおける通常時の縦断面図、図14は同防犯サムターンの正面図、図15は同防犯サムターンの平断面図、図16は図12に示した防犯サムターンにおける摘み操作時の平断面視を表した動作説明図、図17は図12に示した防犯サムターンにおける押込み時の平断面視を表した動作説明図、図18は同押込み時の縦断面視を表した動作説明図である。
【0085】
この第三の実施の形態による防犯サムターン211は、上記した第一,第二の実施の形態のように既存のサムターンの摘み21に対して後付けとして構成するものではなく、施解錠装置としての室内側操作部分であるサムターンである。
この第三の実施の形態の防犯サムターン211は、その主要な構成として、図12に示すサムターン軸221と、クラッチ213と、回転操作部材215と、操作部としての揺動摘み217とを有している。
【0086】
サムターン軸221は、施解錠装置の機構部分である錠箱機構部301に装着されて連結され、この錠箱機構部301に回動操作力を入力する。錠箱機構部301は、例えば扉88の戸先側に内設され、室外側にシリンダ錠302が連結される。
サムターン軸221は、断面略十字形に形成され、先端が錠箱機構部301に挿着され、基端には連結カラー222が連結される。連結カラー222は、扉面87に固定される基台部219及び座金部材220に、Eリングなどの抜止部材229を介して、抜脱不能に取り付けられ、かつ回転自在に支持されて取り付けられる。
【0087】
基台部219は、正面視で図14に示すように、略小判状に形成され、室内側扉面87に配置される化粧リングを兼ねるように構成される。そして、この基台部219と座金部材220とは、固定ネジなどの固定手段231にて扉面87及び錠箱機構部301に固定される。
基台部219の略中央下部には、支持穴219aが貫通形成され、上記連結カラー222が回転自在に配置される。
【0088】
クラッチ213は、サムターン軸221の錠箱機構部301とは反対側となる端部に設けられる。クラッチ213は、連結基部218を有し、この連結基部218が上記連結カラー222に連結され、サムターン軸221と略一体となる。
クラッチ213は、連結基部218の突出する面と反対側の面213aに、クラッチ側係合手段239を有している。クラッチ側係合手段239は、周縁を軸線方向に突出させた複数の歯241を円周方向に等間隔で配設してなる。このクラッチ側係合手段239は、回転操作部材215に設けられる後述の操作部材側係合手段251に噛合する。
また、このクラッチ213には、面213aにサムターン軸221の回動中心と同軸の軸部223が延設される。
本実施の形態では、連結基部218とともに貫通する取付穴213bを介し、連結基部218側から螺着される固定ネジなどの固定手段233にて、クラッチ213と軸部223が略一体となる。
【0089】
軸部223は、真直な軸状部材で、中途部にはフランジ部224が形成される。フランジ部224の先端側段部227は、後述の説明で明らかとなるように、揺動摘み217が当接し、回転操作部材215の軸線方向の移動を規制するものとなる。また、フランジ部224の基端側段部225は、回転操作部材215の段部249に当接し、抜脱不能に規制するものとなる。
【0090】
軸部223の先端は、後述する回転操作部材215を貫通して表出し、その先端面223aには、回転位置表示手段226が設けられる。この回転位置表示手段226は、微小な凹凸による標示、印刷や刻印、或いは部分的な着色による色分け等とされる。例えば、図14に示すように、解錠時では回転位置表示手段226は縦長状とされており、施錠する場合、すなわち、時計回りに90度回転させると、横長状となり、解錠時と施錠時とが容易に識別可能となっている。
【0091】
回転操作部材215は、略矩形枠状の挟持部243を備え、基部に略円筒形状の連結部247が形成される。回転操作部材215の連結部247は、筒状の被覆部245が外周に設けられ、基台部219に形成される筒状支持部219bに外挿される。また連結部247は、軸部223に回動自在に外挿される。連結部247には、挟持部243側に段部249が形成され軸部223の基端側段部225に当接し、これにより、この連結部247が軸部223からの抜脱が規制され軸部223の基端側で軸線方向に移動自在となる。つまり、回転操作部材215は、軸部223に対して回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿されている。
なお、回転操作部材215は、図12,13に示すように、挟持部243が、一側が開放した略コ字状の挟持部本体243aと、この開放部分を閉じる前端板243bとで構成される。そして、この前端板243bは挟持部本体243aにネジなどの固定手段235にて固定される。前端板243bの中央には貫通穴260が穿設されている。この貫通穴260は、軸部223の先端が貫通し、通常の状態では、その先端面223aが面一となって位置する。
【0092】
回転操作部材215は連結部247の基端面側に操作部材側係合手段251を有している。操作部材側係合手段251は、複数の歯253を連結部247と同一中心の円周方向に等間隔で配設してなる。この操作部材側係合手段251は、上記したクラッチ側係合手段239に噛合可能となっている。
【0093】
回転操作部材215は、上記のように軸部223に抜脱不能に外挿されて取り付けられる。このようにして取り付けられたクラッチ213と回転操作部材215との間には付勢手段である圧縮バネ255が配設され、圧縮バネ255は回転操作部材215を軸部223の突出方向に付勢する。したがって、回転操作部材215は、押すことにより、圧縮バネ255の付勢力に抗してクラッチ213に接近する方向(図12の左方向)に移動される。クラッチ213と回転操作部材215とは、この押込みにより、クラッチ側係合手段239と操作部材側係合手段251とが噛合して、相対回転が規制されるようになっている。
【0094】
回転操作部材215は、圧縮バネ255によって付勢された位置で、図13に示すように、被覆部245によって基台部219の筒状支持部219bを覆うようになっている。つまり、被覆部245と筒状支持部219bとは、図13に示すように、オーバーハングしている。
【0095】
回転操作部材215には、回転操作部材215の軸線と直交方向の揺動軸261を介して揺動自在となった操作部としての一対の揺動摘み217,217が取り付けられている。すなわち、枠状に形成される挟持部243の中空部分に揺動摘み217が位置し、これら挟持部243と各揺動摘み217とで略矩形平板状の摘み形状となる。揺動摘み217は、揺動軸261を挟み一端が揺動端217aとなり、他端が平板状の摘み部217bとなっている。
【0096】
一対の揺動摘み217,217は、枠状の挟持部243の内方に配設された圧縮バネ263によって摘み部217b,217b同士が離反方向に付勢されている。したがって、通常時、揺動摘み217の揺動端217a,217aは、軸部223先端側を挟持した状態となって段部227に当接し、回転操作部材215のクラッチ213側への移動を規制している。
【0097】
一方、揺動摘み217は、図16に示すように、摘み部217b,217b同士が接近する方向に摘まれることで、揺動端217a,217aが離反し、段部227と当接状態でなくなる。つまり、回転操作部材215の移動規制が解除されるようになっている。これにより、回転操作部材215は、図17に示すように、操作部材側係合手段251がクラッチ側係合手段239に係合する方向に押込み可能となる。
【0098】
なお、本実施の形態では、揺動摘み217が二つ設けられる場合を例に説明しているが、本発明に係る防犯サムターンは、揺動摘み217を一つとしても同様の作用を奏するものである。
【0099】
次に、このような構成の防犯サムターン211の動作を説明する。
防犯サムターン211は、通常時、回転操作部材215が回動自在となる。その一方、回転操作部材215は、揺動摘み217の揺動端217aが段部227に当接していることで、軸線方向には移動(押込み)不能となる。
【0100】
解錠操作時には、揺動摘み217,217を摘む。すると、揺動摘み217の揺動端217aが段部227から外れ、回転操作部材215の移動規制が解除されて、クラッチ213に接近する方向への移動、すなわち押込みが可能となる。この状態で、揺動摘み217,217を摘みながら、回転操作部材215を押込むと、回転操作部材215の操作部材側係合手段251が、クラッチ213のクラッチ側係合手段239に噛合して、回転操作部材215とクラッチ213との相対回転が規制されて、回転操作部材215の回転操作力がクラッチ213へ伝達可能となる。
【0101】
すなわち、揺動摘み217,217を摘みながら回転操作部材215を押込み、さらに回転操作部材215を解錠方向に回転することで、クラッチ213が回転され、クラッチ213に連結されたサムターン軸221が回転し、錠箱機構部301へ施錠操作力が入力される。
【0102】
施錠方法は、この解錠方法と同様にして行うことができる。
【0103】
このように、上記したこの防犯サムターン211によれば、軸部223に対して、回転操作部材215が回動自在となり、これにより、針金や棒等を用いても、錠箱機構部301への回転力の入力が阻止される。そして、その操作力を錠箱機構部301へと伝達するには、揺動摘み217を摘み、揺動摘み217とともに回転操作部材215を押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘み217を不正に操作しようとしても、回転操作部材215が空転するのみとなる。
すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、揺動摘み217を摘んで、回転操作する動作は、従来からのサムターンの操作と略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0104】
また、回転操作部材215に設けられた揺動摘み217が段部227に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この揺動摘み217が揺動操作されることで、規制が解除されて、回転操作部材215の移動が可能となる。これにより揺動摘み217の揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、回転操作部材215を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0105】
さらに、回動操作部材215の手前側の端面となる挟持部243の前端板243b中央に、サムターン軸221に連結される軸部223の先端面が表出し、その先端面223aに回転位置表示手段226を設けたので、錠箱機構部301での施解錠状態が一目瞭然となり、施解錠状態の確認を行うことができ、そして、操作性を向上させることができる。
【0106】
また、この防犯サムターン211によれば、錠箱機構部301側の施錠状態及び解錠状態を軸部先端面223aの回転位置表示手段226にて容易に視認できることから、実際に施錠操作或いは解錠操作を行う回動操作部材215の軸部223に対する傾き角度位置について、既存のサムターンのように水平状態或いは垂直状態に固定されることがなく、例えば施解錠操作範囲の回転角度が90度であったとしても、任意の位置から90度回転操作を行うことで施錠或いは解錠とすることができ、施解錠を操作する操作者にとって摘み易い角度位置から施錠或いは解錠へと回転操作を行うことが可能となる。
【0107】
なお、上述した第三の実施の形態では、回転操作部材215の形状を略矩形枠状の挟持部243と揺動摘み217とで略矩形平板状の摘みとされる例について述べたが、上述した第二の実施の形態のように、回転操作部材の外形状を略円筒形状とし、その外周面に摺動摘みを備えるような構成としても良い。この場合も、錠箱機構部301に回動操作力を入力するサムターン軸を構成させ、このサムターン軸及びこれに連結される軸部に対して回転自在となる回転操作部材として構成させる。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る請求項1記載の防犯サムターンによれば、軸部に対して、回転操作部材が回動自在となり、これにより、針金や棒等を用いても、錠箱機構部への回転力の入力が阻止される。そして、その操作力を錠箱機構部へと伝達するには、揺動摘みを摘み、揺動摘みとともに回転操作部材を押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘みを不正に操作しようとしても、回転操作部材が空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、揺動摘みを摘んで、回転操作する動作は、従来からのサムターンの操作と略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0109】
請求項2記載の防犯サムターンによれば、回転操作部材に設けられた揺動摘みが段部に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この揺動摘みが揺動操作されることで、規制が解除されて、回転操作部材の移動が可能となる。これにより揺動摘みの揺動操作、すなわち、摘み操作によって、回転操作部材を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0110】
請求項3記載の防犯サムターンによれば、回転操作部材を略平板状としたことで、施解錠の操作を行う際に、摘み易くなり、その操作性を向上させることが可能となる。
【0111】
請求項4記載の防犯サムターンによれば、回転自在な回転操作部材により施錠状態或いは解錠状態となる錠箱機構部内の視認できなくなった状態が、回転位置表示手段を介して知ることができ、施錠操作及び解錠操作の操作性を向上させることができる。
【0112】
請求項5記載の防犯サムターンによれば、既存サムターンの摘みがクラッチで覆われ、このクラッチがさらにクラッチカバーで覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、操作部の操作力を既存サムターンの摘みに伝達するには、操作部を摘み、操作部とともにクラッチカバーを押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘みを不正に操作しようとしても、クラッチカバーが空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、操作部を摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘みと同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0113】
請求項6記載の防犯サムターンによれば、既存サムターンの摘みがクラッチで覆われ、このクラッチがさらに円形のクラッチカバーで覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、揺動摘みの操作力を既存サムターンの摘みに伝達するには、揺動摘みを摘み、揺動摘みとともにクラッチカバーを押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘みを不正に操作しようとしても、クラッチカバーが空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、揺動摘みを摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘みと同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。この結果、着脱部材を不要にし、防犯性、操作性を向上させることができる。
【0114】
請求項7記載の防犯サムターンによれば、クラッチカバーに設けられた揺動摘みが段部に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この揺動摘みが揺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバーの移動が可能となる。これにより揺動摘みの揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバーを移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0115】
請求項8記載の防犯サムターンによれば、揺動摘みの平板状の摘み部が既存サムターンの摘みと平行に取り付けられていることで、既存サムターンの施解錠状態が一目瞭然となり、所望の操作前に、クラッチカバーを一旦回して既存サムターンの施解錠状態を確認するなどの動作が不要になり、操作性が向上する。
【0116】
請求項9記載の防犯サムターンによれば、既存サムターンの摘みがクラッチで覆われ、このクラッチがさらに円形のクラッチカバーで覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、摺動摘みの操作力を既存サムターンの摘みに伝達するには、摺動摘みを摘み、摺動摘みとともにクラッチカバーを押しながら回転しなければならないため、針金により摺動摘みを不正に操作しようとしても、クラッチカバーが空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、摺動摘みを摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘みと同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0117】
また、クラッチカバーに設けられた摺動摘みが段部に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この摺動摘みが摺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバーの移動が可能となる。これにより摺動摘みの摺動操作、すなわち、摘み操作によって、クラッチカバーを移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0118】
請求項10記載の防犯サムターンによれば、クラッチカバー等で覆われることで視認できなくなった摘みの回転位置が、回転位置表示手段を介して知ることができ、操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防犯サムターンの分解斜視図である。
【図2】図1に示した防犯サムターンの一部を切り欠いた分解側面図である。
【図3】図1に示した防犯サムターンにおける通常時の縦断面視を(a)、正面視を(b)に表した動作説明図である。
【図4】図1に示した防犯サムターンにおける摘み操作時の縦断面視を(a)、正面視を(b)に表した動作説明図である。
【図5】図1に示した防犯サムターンにおける押込み時の縦断面視を表した動作説明図である。
【図6】本発明に係る防犯サムターンの第二の実施の形態の分解斜視図である。
【図7】図6に示した防犯サムターンの一部を切り欠いた分解側面図である。
【図8】同防犯サムターンのクラッチカバーの一部を示す分解斜視図である。
【図9】図6に示した防犯サムターンにおける通常時の縦断面視を(a),正面視を(b)に表した動作説明図である。
【図10】図6に示した防犯サムターンにおける摘み操作時の縦断面視を表した動作説明図である。
【図11】図6に示した防犯サムターンにおける押込み時の縦断面視を表した動作説明図である。
【図12】本発明に係る防犯サムターンの第三の実施の形態の一部を切り欠いた分解平断面図である。
【図13】図12に示した防犯サムターンにおける通常時の縦断面図である。
【図14】同防犯サムターンの正面図である。
【図15】同防犯サムターンの平断面図である。
【図16】図12に示した防犯サムターンにおける摘み操作時の平断面視を表した動作説明図である。
【図17】図12に示した防犯サムターンにおける押込み時の平断面視を表した動作説明図である。
【図18】同押込み時の縦断面視を表した動作説明図である。
【図19】従来の防犯カバーの扉への取り付け状態を示す斜視図である。
【図20】図19に示した防犯カバーの内部状態を表す断面図である。
【図21】図19に示した防犯カバーの別態様を表す部分破断側面図である。
【図22】図19に示した防犯カバーのさらに別態様を表す部分破断側面図である。
【符号の説明】
11,111,211…防犯サムターン
13,113,213…クラッチ
15,115…クラッチカバー
17,217…操作部(揺動摘み)
19,119…円形基台部
21…既存サムターンの摘み
23,123,223…軸部
27,127,227…段部
51…係合手段(カバー側係合手段)
61,261…揺動軸
117…操作部(摺動摘み)
123a,223a…先端面
126,226…回転位置表示手段
215…回転操作部材
251…係合手段(操作部材側係合手段)
301…錠箱機構部

Claims (10)

  1. 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
    前記サムターン軸とクラッチとを覆うとともに、該サムターン軸とクラッチとを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面側に固設される基台部と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部より延出する軸部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有した回転操作部材と、
    該回転操作部材に取り付けられ前記軸部に係止して該回転操作部材の軸線方向の移動を規制するとともに摘み操作されることで該規制を解除して前記係合手段と前記クラッチとの係合を可能とする操作部と、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  2. 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
    前記サムターン軸とクラッチとを覆うとともに、該サムターン軸とクラッチとを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面側に固設される基台部と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部より延出する軸部と、
    該軸部に形成される段部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有した回転操作部材と、
    該回転操作部材に、該回転操作部材の軸線と直交方向の揺動軸を介して揺動自在に取り付けられ前記段部に当接して該回転操作部材の前記クラッチ側への移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記クラッチ側へ前記回動操作部材を移動させる揺動摘みと、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  3. 請求項2記載の防犯サムターンであって、
    前記回転操作部材が略平板状の摘みを備え、前記揺動摘みが平板状の摘み部を有し、該摘み部が前記摘みと略平行に取り付けられることを特徴とする防犯サムターン。
  4. 請求項1又は2又は3記載の防犯サムターンであって、
    前記軸部は前記回転操作部を貫通し、該軸部の表出する先端面に回転位置表示手段が設けられていることを特徴とする防犯サムターン。
  5. 既存サムターンの摘みに被着され前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有したクラッチカバーと、
    該クラッチカバーに取り付けられ前記軸部に係止して該クラッチカバーの軸線方向の移動を規制するとともに摘み操作されることで該規制を解除して前記係合手段と前記クラッチとの係合を可能とする操作部と、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  6. 既存サムターンの摘みに被着され前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有したクラッチカバーと、
    該クラッチカバーに揺動自在に取り付けられ前記軸部に係止して該クラッチカバーの移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段と前記クラッチとの係合を可能とする揺動摘みと、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  7. 既存サムターンの摘みに被着される円形基台部を有し該円形基台部に、前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
    該クラッチの前記軸部に形成された段部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記円形基台部を覆うとともに前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有したクラッチカバーと、
    該クラッチカバーに、該クラッチカバーの軸線と直交方向の揺動軸を介して揺動自在に取り付けられ前記段部に当接して該クラッチカバーの前記クラッチ側への移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記クラッチ側へ前記クラッチカバーを移動させる揺動摘みと、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  8. 請求項6又は7記載の防犯サムターンであって、
    前記揺動摘みが平板状の摘み部を有し、該摘み部が前記既存サムターンの摘みと略平行に取り付けられたことを特徴とする防犯サムターン。
  9. 既存サムターンの摘みに被着される円形基台部を有し該円形基台部に、前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
    該クラッチの前記軸部に形成された段部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記円形基台部を覆うとともに前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有したクラッチカバーと、
    該クラッチカバーに、該クラッチカバーの軸線と直交方向に挿着されて摺動自在に取り付けられ前記段部に当接して該クラッチカバーの前記クラッチ側への移動を規制するとともに摺動操作されることで該規制を解除して前記クラッチ側へ前記クラッチカバーを移動させる摺動摘みと、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  10. 請求項9記載の防犯サムターンであって、
    前記クラッチカバーは前記軸部が貫通され、該軸部の表出する先端面に回転位置表示手段が設けられていることを特徴とする防犯サムターン。
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