JP4064170B2 - 後付け防犯サムターン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、扉の施解錠操作に用いられる既存のサムターンを覆う後付け防犯サムターンに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば扉に設けられる施錠装置は、屋外側に表出させたシリンダー錠の鍵孔に、合鍵(キー)を挿入して回動操作することにより、扉の木口より進退させたデッドボルトを扉枠に設けたストライクに係合・係合解除して施解錠を行うとともに、屋内側からは、サムターンの摘みを回動操作するのみで、デッドボルトを進退させて、扉の施解錠を簡便に行えるようにしている。
【0003】
ところが、近年、ポスト口や、機械工具によって開けた小さな穴から針金等を挿入し、回転操作の容易なサムターンに係止して回転させ、施錠装置を解錠する不正解錠が増えている。このようなサムターンに針金等を係止して回転させることを防止するものに例えば実公平4−40362号公報に開示されるサムターン用防犯カバーがある。
【0004】
この防犯カバー1は、図4,図5に示すように、サムターン2が嵌入する嵌入孔3が形成されているとともに、回転時に円状軌跡2bを描くサムターン2の外面2aを覆う部分が、円状軌跡に沿う円形状に形成されている。そして、嵌入孔3内に螺入してサムターン2の側面に当接し、両側から挟持するセットスクリュー4,4が設けられている。
このような構成からなる防犯カバー1は、嵌入孔3にサムターン2を挿入することで、サムターン2に防犯カバー1を覆うように被せる。その後セットスクリュー4,4を螺入させて締め付けることで、防犯カバー1をサムターン2に固定する。従って、サムターン2に被せた防犯カバー1によって、針金等を係止させて回転させることが難しくなる。
【0005】
また、上記した防犯カバーの別態様として、図6に示すように、防犯カバー1を、取付部5及び本体部6から構成したものが開示されている。取付部5は、上記の防犯カバー1の外形を手での操作が容易となるように形成し、本体部6が係止する係止突部5aを設けている。取付部5は、サムターン2に被せた状態で、サムターン2を容易に回転させることができる。また、本体部6は、係止突部5aに係止可能な係止部6aを有している。このようにすることで、係止作業という簡単な作業で、防犯カバー1の着脱が行える。さらに係止部6aで本体部6が空転することにより、針金等を係止させて回転させることが不可能となる。
【0006】
さらに、上記した防犯カバーの別態様として、図7に示すように、係止部6a内に、係止突部5aとの間にバネ部材8を設け、本体部6側の外周縁に複数の係合凹部5bと、この係合凹部5bに係合可能な係合凸部6bとを設けたものが開示されている。
このような構成とすれば、本体部6を常に取り付けたままとしておくことができる。すなわち、常時は係止突部5aと係止部6aとで本体部6が空転し、サムターン2を回転させたいときは、本体部6を手で押圧し、係合凸部6bを取付部5の係合凹部5bに係合させ、この係合状態のまま本体部6を回転させることにより、サムターン2を回転させることができた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図4,図5に示された防犯カバーは、外形が円筒体形状であるため、サムターンに被せた場合、本来小判形状であることからその回転位置によって視認できたサムターンの施錠状態又は非施錠状態を視認不能にしてしまい、施解錠の操作性を低下させる問題があった。
【0008】
また、図6に示された防犯カバーは、サムターンを回転操作可能にする取付部と、この取付部に対し空転しかつ着脱可能となる本体部とから構成されているため、脱着した本体部の保管管理が煩雑となり、本体部を紛失する虞もあった。
【0009】
さらに、図7に示された防犯カバーは、本体部を常に取り付けたままとできるので、本体部の紛失はなくなるが、サムターンの回転操作時には本体部を手で押圧しながら回転させなければならないため、操作性を低下させた。
【0010】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、針金や棒等によるサムターンの回転を阻止できるとともに、着脱部材を不要にし、しかも、従来同様の回転のみによる操作が可能となる後付け防犯サムターンを提供し、もって、防犯性、操作性の向上を図ることにある。また、その第二の目的は、サムターンの回転位置が容易に視認できる後付け防犯サムターンを提供し、もって、操作性の向上を図ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の後付け防犯サムターン21は、扉25の屋内面25aに当接して取り付けられる化粧リング37と、該化粧リング37から回動自在に突出した摘み31とを有した既存サムターン23を覆う後付け防犯サムターン21であって、
前記扉25の屋内面25aと前記化粧リング37との間に挟持される弧状板51と、
該弧状板51に係合手段53を介して取り付けられることで前記既存サムターン23を覆い、頂部に支持穴55を有する略円錐筒状のカバー部材57と、
該カバー部材57の支持穴55に回動自在に挿入されて基端部が前記摘み31と相対回転不能に接続されるとともに前記カバー部材57から抜脱不能とされる軸体59と、
前記カバー部材57から突出した該軸体59に相対回転不能となって同一中心で取り付けられる回動円板61と、
該回動円板61より大外径で形成され該回動円板61を表裏から挟んで前記軸体59に対して回動自在となりかつ前記回動円板61の周縁を表出させる窓部63を有した空転部材65と、
を具備したことを特徴とする。
【0012】
この後付け防犯サムターン21では、既存サムターン23がカバー部材57によって覆われ、既存サムターン23の摘み31が回動円板61によって操作可能となり、回動円板61には、回動円板61の一部を表出する空転部材65が被される。従って、針金や棒等を用いても回動円板61は滑りにより、また、空転部材65は空回りにより摘み31へ回転力を伝達しない。そして、摘み31の操作時には、空転部材65と共に窓部63から表出した回動円板61を摘むことで、従来同様の回転操作のみにより施解錠操作することが可能となる。
【0013】
請求項2記載の後付け防犯サムターン21は、請求項1記載の後付け防犯サムターン21において、
前記係合手段53が、
前記弧状板51に形成されたL字溝51cと、前記カバー部材57に突設され該L字溝51cに係合する突起57aとからなることを特徴とする。
【0014】
この後付け防犯サムターン21では、扉25の屋内面25aと化粧リング37との間に弧状板51を挟着し、この弧状板51のL字溝51cに、カバー部材57の突起57aを一致させてカバー部材57を回転することにより、L字溝51cに突起57aが係合し、弧状板51とカバー部材57とが容易に取り付けることができ、かつ離脱不能となる。
【0015】
請求項3記載の後付け防犯サムターン21は、請求項1記載の後付け防犯サムターン21において、
前記係合手段が、
前記カバー部材57の内面と、該内面に対向する前記弧状板51の外面とに形成される凸部91と凹部93の組み合わせで構成されることを特徴とする。
【0016】
この後付け防犯サムターン21では、例えば、弧状板51に凹部93を形成し、カバー部材57に凸部91を形成する構成とすれば、扉25の屋内面25aと化粧リング37との間に弧状板51を挟着し、この弧状板51の凹部93に、カバー部材57の凸部91を押込めば、凹部93に凸部91がワンタッチで係合し、弧状板51とカバー部材57とが簡便に取り付けることができ、かつ離脱不能となる。
【0017】
請求項4記載の後付け防犯サムターン21は、請求項1,2又は3のいずれか1つに記載の後付け防犯サムターン21において、
前記カバー部材57から外方へ突出した前記軸体59の先端面に、回転位置表示手段59eが設けられたことを特徴とする。
【0018】
この後付け防犯サムターン21では、カバー部材57に覆われることで視認できなくなった摘み31の回転位置が、回転位置表示手段59eを介して知ることができ、施錠及び解錠の操作性が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る後付け防犯サムターンの好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る後付け防犯サムターンを既存サムターンと共に表した縦断面図、図2は図1に示した後付け防犯サムターンの分解斜視図、図3は図2に示したカバー部材と弧状板との変形例を断面視(a)、側面視(b)で表した説明図である。
【0020】
まず、本実施の形態による後付け防犯サムターン21の説明に先立ち、後付け防犯サムターン21によって覆われることとなる既存サムターン23について説明する。
図1に示すように、扉25には図示しない錠箱が設けられ、この錠箱にはラッチボルト,デッドボルト,及びこれらを扉25の木口から進退させる錠箱機構部を内設している。
扉25は屋内側の面である屋内面25aに既存サムターン23を突設している。上記した錠箱のデッドボルトは、扉25の屋外側の面に設けたシリンダー錠をキーによって、又はこの既存サムターン23の摘み31を回動することによって扉25の木口から進退可能となる。
【0021】
既存サムターン23は、筒状支持部27と、筒状支持部27に嵌挿されるサムターン軸29と、サムターン軸29と相対回転不能に連結、若しくはこのサムターン軸29と一体に形成される摘み31と、筒状支持部27の先端部に外嵌される飾り筒33と、飾り筒33に外嵌され、筒状支持部27に外挿されたコイルバネ35によって屋内面25aに押付けられる略円錐形状の化粧リング37とを主要な構成部材として有している。
【0022】
筒状支持部27は、略円筒形に形成されている。筒状支持部27の後端部27aには、軸線に直交方向の一対の凸部39,39が外周の上下に設けられている。これら凸部39,39には固定穴41が形成されている。筒状支持部27の後端部は、屋内面25aに穿設した挿入穴25bに挿入され、扉25内に設けた図示しない錠箱にこの固定穴41を介して固定される。これにより、筒状支持部27は、錠箱に回動不能に固定され、この錠箱を介して扉25の屋内面25a側に固設されることになる。
【0023】
筒状支持部27の先端は、屋内面25aより突出し、その外周には、先端側を切除した略円錐状の化粧リング37を、先端部が筒状支持部27の先端となるように取り付けている。また、筒状支持部27の先端には、飾り筒33が設けられ、筒状支持部27の先端面を覆っている。
【0024】
サムターン軸29は、基端部が断面十字形状の入力部43となり、この入力部43が図示しない錠箱機構部の入力軸に相対回転不能に嵌入される。サムターン軸29は、筒状支持部27に挿通支持され、図示しないEリングなどの移動規制部材が取り付けられて、筒状支持部27に対して抜脱が規制され、回動自在に支持される。サムターン軸29の先端部は、飾り筒33の先端面から突出する摘み31に相対回転不能に連結される。従って、既存サムターン23は、摘み31が回動されることで、サムターン軸29を介して入力部43により錠箱機構部内が操作され、デッドボルトが扉25の木口から進退するようになっている。
【0025】
本実施の形態による後付け防犯サムターン21は、この既存サムターン23に後付けすることができる。
後付け防犯サムターン21は、屋内面25aと化粧リング37との間に挟持される弧状板51と、この弧状板51に後述の係合手段53を介して取り付けられることで既存サムターン23を覆い、平坦に形成された頂部に支持穴55を有する略円錐筒状のカバー部材57と、このカバー部材57の支持穴55に回動自在に挿入されて基端部が摘み31と相対回転不能に接続されるとともにカバー部材57から抜脱不能となった軸体59と、カバー部材57から突出した軸体59に相対回転不能となって同一中心で取り付けられた回動円板61と、この回動円板61より大外径で形成され回動円板61を表裏から挟んで軸体59に回動自在となりかつ回動円板61の周縁61aを表出させる窓部63(図2参照)を有した空転部材65とを備えている。
【0026】
弧状板51は、略半円環状のフランジ部51aと、このフランジ部51aの外周に沿って立設された略半円筒状の側板部51bを有する。側板部51bの円周方向両端側には、一端が開放した係合手段53の一方を構成するL字溝51cと、一端が開放した直線溝51dとが形成されている。
弧状板51は、化粧リング37をコイルバネ35の付勢力に抗して屋内面25aから離反方向に移動させ、フランジ部51aを屋内面25aと化粧リング37との間に挿入した後、再び化粧リング37をコイルバネ35の付勢力によって屋内面25aへ押付けることによって、フランジ部51aが挟持されて扉25に固定される。
【0027】
カバー部材57の内周面にはL字溝51c,直線溝51dに対応して係合手段53の他方を構成する一対の突起57aが設けられ、一対の突起57aはL字溝51c,直線溝51dへ進入可能となっている。したがって、カバー部材57は、化粧リング37に挟持された弧状板51に対し、各突起57aをL字溝51c,直線溝51dに進入させた後、例えば図2の反時計回りに回すことで、突起57aがL字溝51c、直線溝51dに係合し、弧状板51を介して扉25に容易に固定されるようになっている。
【0028】
摘み31には、摘片31aに連結部材67が取り付けられる。連結部材67は、後面側に、摘片31aを挿入するスリット67aが形成され、前面側に、軸体59の基端と連結する略方形箱状の連結部67bが形成されている。連結部67bの両側面には、係合孔67eが穿設されている。
【0029】
軸体59は、基端に、スリット溝59aが形成され、このスリット溝59aの内側に連結部材67の連結部67bが嵌入するようになっている。また、軸体59の外周には、軸線方向に平行となって一対の回転規制溝59cが形成されている。さらに、軸体59の先端部は略円板状に拡径された頭部59dとなり、この頭部59dの先端面には回転位置表示手段59eが設けられている。
【0030】
回転位置表示手段59eは、微小な凹凸による標示、印刷や刻印、あるいは部分的な着色による色分け等とされている。例えば、図2に示すように、解錠時では回転位置表示手段59eは縦長状とされており、施錠する場合、すなわち、時計回り方向にサムターン軸29を90度回転させると、横長状となり、解錠時と施錠時とが容易に識別可能となっている。
【0031】
空転部材65は、碗状の後部材65aと前部材65bとからなる。後部材65aと前部材65bとは、中央部に軸体59の挿通される貫通穴69を有している。後部材65aは、碗部71の曲面から突出して、貫通穴69から曲面に沿って放射状に延在する複数、本実施の形態では4つの凸条部73を有している。それぞれの凸条部73は、碗部71の裾から延出している。また、前部材65bも同様に、碗部75の曲面から突出して、貫通穴69から曲面に沿って放射状に延在する複数、本実施の形態では4つの凸条部77を有している。それぞれの凸条部77は、碗部75の裾から延出している。
【0032】
後部材65aと前部材65bとは、凸条部73と凸条部77との延出先端同士を嵌合することで一体に組み合わされる。このようにして組み合わされた後部材65aと前部材65bとの間、すなわち、空転部材65の内側には、回動円板61が遊嵌される収容空間が形成される。また、空転部材65は、凸条部73,77同士の周方向の間隙が窓部63となって、収容空間を開放している。つまり、収容空間に収容される回動円板61は、この窓部63を介して周縁61aの一部が表出するようになっている。
【0033】
軸体59は、収容空間に回動円板61を収容した空転部材65に挿通される。回動円板61には貫通穴61bが形成され、貫通穴61bには規制突起61cが中心に向いて突設されている。従って、回動円板61は、貫通穴61bに軸体59が挿通されるとともに、軸体59の回転規制溝59cに規制突起61cを嵌合することで、軸体59に対して相対回転が規制される。回動円板61の外周面にはローレット61dが形成され、窓部63から表出した周縁61aが滑り難く摘めるようになっている。
【0034】
空転部材65と回動円板61とを貫通した軸体59は、頭部59dによって空転部材65の脱落を規制するとともに、基端部がカバー部材57の支持穴55に挿入され、スリット溝59aが連結部材67の連結部67bを挟持する。軸体59には、軸線に直交方向の一対の係合孔59fが穿設され、係合孔59fはスリット溝59aに開口している。この係合孔59fは、スリット溝59aが連結部67bを挟持した状態で、連結部67bの係合孔67eと一致する。このようにして一致した係合孔59f及び係合孔67eには、例えばC字状に形成された止め輪81(図1参照)が嵌着される。
これにより、軸体59は、連結部67bと一体に固定されるとともに、止め輪81がカバー部材57の前壁57bに当接して、カバー部材57から抜脱しないようになっている。連結部材67と軸体59とは、止め輪81に加え、両者に亘って設けた凹凸係合部82(図1参照)によって係合されるものであってもよい。なお、軸体59は、図1に示すワッシャー84a,84bにてもカバー部材57に抜け止め支持される。
【0035】
これにより、カバー部材57には、軸体59を介して、空転部材65,回動円板61,連結部材67が一体に組み付けられることになる。そして、これら諸部材を組付けたカバー部材57は、上述のようにして、弧状板51に取り付けられることになる。
【0036】
次に本実施の形態の動作について説明する。
まず、屋内側から施錠する場合について説明する。
操作者は、窓部63から表出している回動円板61の周縁61aを摘む。このとき、摘んだ手指は、空転部材65も同時に摘むこととなっても良い。
【0037】
摘んだ手を捻って回動円板61を例えば時計回りに回転させると、軸体59,摘み31もそれに伴って回動する。そして、例えば90度回動されると、サムターン軸29の入力部43により錠箱機構部内が操作され、デッドボルトが扉25の木口に進出する。
【0038】
これにより屋内側から扉25が施錠される。このとき、軸体59の頭部59dの回転位置表示手段59eは横長になっており、屋内側から施錠されていることが視認される。
【0039】
なお、回動円板61の周縁61aを摘んだ指が回動円板61の回動に伴って凸条部73,凸条部77の側部に当接し、これによって、空転部材65は回動円板61と同方向に回転する。
【0040】
次に、施錠状態から解錠するときは、凸条部73及び凸条部77同士の間から表出している回動円板61の周縁61aを摘む。回動円板61を反時計回り方向に回転させると、サムターン軸29もそれに伴って回転する。回動円板61が90度回動されると、サムターン軸29の入力部43により錠箱機構部内が操作され、扉25の木口に進出しているデットボルトが扉25の木口から後退させられる。
【0041】
これにより屋内側から扉25が解錠される。このとき、軸体59の頭部59dの回転位置表示手段59eは縦長になっており、屋内側から解錠されていることが視認される。
【0042】
また、施錠時において、扉25等に設けられた小窓を割り、或いは扉25と扉枠の隙間から針金を差し入れて、外部より後付け防犯サムターン21を不正に操作しようとする場合、回動円板61に係止しようとしても円板形状であるために係止することができす、針金が円周方向に滑ることとなる。
【0043】
また、針金が凸条部73,凸条部77に係止されようとしても、空転部材65自身が軸体59に対して回転自在であるため、空転部材65が空転するのみであり、軸体59及び摘み31を回動させることができず、デッドボルトも進退しないこととなる。したがって、不正解錠を防止することができる。
【0044】
このように、上記の後付け防犯サムターン21によれば、既存サムターン23がカバー部材57によって覆われ、既存サムターン23の摘み31が回動円板61によって操作可能となり、回動円板61には、回動円板61の一部を表出する空転部材65が被される。従って、針金や棒等を用いても回動円板61は滑りにより、また、空転部材65は空回りにより摘み31へ回転力を伝達しない。そして、摘み31の操作時には、窓部63から表出した回動円板61を摘むことで、従来同様の回転操作のみにより施解錠操作することが可能となる。
【0045】
そして、回動円板61の外側に空転部材65を設けたので、空転部材65と共に、窓部63から表出した回動円板61を摘むことができ、回動円板61のみを摘む場合に比べて、指が滑り難くなり、またこの回動操作により空転部材65が回動円板61とともに回動することから、操作者の操作感を得られ、操作性を良好にすることができる。
【0046】
また、扉25の屋内面25aと化粧リング37との間に弧状板51を挟着し、この弧状板51のL字溝51cに、カバー部材57の突起57aを一致させてカバー部材57を回転することにより、L字溝51cに突起57aが係合し、弧状板51とカバー部材57とを容易に、離脱不能に取り付けることができる。
【0047】
さらに、カバー部材57に覆われることで視認できなくなった摘み31の回転位置が、回転位置表示手段59eを介して知ることができ、操作性を向上させることができる。
【0048】
なお、上述した実施の形態では、凸条部73,凸条部77を周方向に4つ形成することとしたが、4つに限定されることはなく、例えば、1個〜3個であってもよく、また5個以上であってもよい。この場合、凸条部73,凸条部77の間隔は、回動円板61が指に摘まれて回動操作可能となる程度の間隔であればよい。
【0049】
また、上記の実施の形態では、係合手段53が、カバー部材57の内面に突設した突起57aと、弧状板51に形成したL字溝51c及び直線溝51dである場合を例に説明したが、この他、係合手段は、図3に示すように、カバー部材57の内周後部に突設した凸部91と、弧状板51に形成されこの凸部91が進入する凹部93とからなるものなど、これら凸部91と凹部93との組み合わせの構成であってもよい。このような係合手段によれば、扉25の屋内面25aと化粧リング37との間に弧状板51を挟着し、この弧状板51の凹部93に、カバー部材57の凸部91を押込めば、凹部93に凸部91がワンタッチで係合し、弧状板51とカバー部材57とを簡便に離脱不能に取り付けできる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る請求項1記載の後付け防犯サムターンによれば、既存サムターンがカバー部材によって覆われ、既存サムターンの摘みが回動円板によって操作可能となり、回動円板には、回動円板の一部を表出する空転部材が被されるので、針金や棒等を用いても回動円板は滑りにより、また、空転部材は空回りによりサムターンへの回転力の入力を阻止することができる。そして、サムターンの操作時には、窓部から表出した回動円板を摘むことで、従来同様の回転操作のみにより施解錠操作することができる。この結果、着脱部材を不要にし、防犯性、操作性を向上させることができる。
【0051】
請求項2記載の後付け防犯サムターンによれば、係合手段を、弧状板に形成したL字溝と、カバー部材に形成した突起とで構成したので、扉の屋内面と化粧リングとの間に弧状板を挟着し、この弧状板のL字溝に、カバー部材の突起を一致させてカバー部材を回転すれば、L字溝に突起が係合し、弧状板とカバー部材との取り付け作業が容易なものとなり、これらが離脱不能に取り付けが可能となる。これにより、既存サムターンに対して簡便に防犯性を高める構成を得ることが可能となる。
【0052】
請求項3記載の後付け防犯サムターンによれば、係合手段を、凹部と凸部の組み合わせの構成し、これらを弧状板とカバー部材とに設けたので、扉の屋内面と化粧リングとの間に弧状板を挟着し、凹部に対し凸部を押込めば、凹部に凸部がワンタッチで係合し、弧状板とカバー部材とが容易に取り付けることができ、離脱不能となる。これにより、後付け防犯サムターン全体を簡便に扉の屋内面に取り付けることができ、既存サムターンに対して簡便に防犯性を高める構成を得ることが可能となる。
【0053】
請求項4記載の後付け防犯サムターンによれば、軸体の先端面に回転位置表示手段を設けたので、カバー部材に覆われることで視認できなくなった摘みの回転位置を、回転位置表示手段を介して知ることができ、施錠及び解錠の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る後付け防犯サムターンを既存サムターンと共に表した縦断面図である。
【図2】図1に示した後付け防犯サムターンの分解斜視図である。
【図3】図2に示したカバー部材と弧状板との変形例を断面視(a)、側面視(b)で表した説明図である。
【図4】従来の防犯カバーの扉への取り付け状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示した防犯カバーの内部状態を表す断面図である。
【図6】図4に示した防犯カバーの別態様を表す部分破断側面図である。
【図7】図4に示した防犯カバーのさらに別態様を表す部分破断側面図である。
【符号の説明】
21…後付け防犯サムターン
23…既存サムターン
25…扉
25a…屋内面
31…摘み
37…化粧リング
51…弧状板
51c…係合手段(L字溝)
53…係合手段
55…支持穴
57…カバー部材
57a…係合手段(突起)
59…軸体
59e…回転位置表示手段
61…回動円板
63…窓部
65…空転部材
91…係合手段(凸部)
93…係合手段(凹部)
Claims (4)
- 扉の屋内面に当接して取り付けられる化粧リングと、該化粧リングから回動自在に突出した摘みとを有した既存サムターンを覆う後付け防犯サムターンであって、
前記扉の屋内面と前記化粧リングとの間に挟持される弧状板と、
該弧状板に係合手段を介して取り付けられることで前記既存サムターンを覆い、頂部に支持穴を有する略円錐筒状のカバー部材と、
該カバー部材の支持穴に回動自在に挿入されて基端部が前記摘みと相対回転不能に接続されるとともに前記カバー部材から抜脱不能とされる軸体と、
前記カバー部材から突出した前記軸体に相対回転不能となって同一中心で取り付けられる回動円板と、
該回動円板より大外径で形成され該回動円板を表裏から挟んで前記軸体に対し回動自在となりかつ前記回動円板の周縁を表出させる窓部を有した空転部材と、
を具備したことを特徴とする後付け防犯サムターン。 - 請求項1記載の後付け防犯サムターンにおいて、
前記係合手段が、
前記弧状板に形成されたL字溝と、前記カバー部材に突設され該L字溝に係合する突起とからなることを特徴とする後付け防犯サムターン。 - 請求項1記載の後付け防犯サムターンにおいて、
前記係合手段が、
前記カバー部材の内面と、該内面に対向する前記弧状板の外面とに形成される凸部と凹部の組み合わせで構成されることを特徴とする後付け防犯サムターン。 - 請求項1,2又は3のいずれか1つに記載の後付け防犯サムターンにおいて、
前記カバー部材から外方へ突出した前記軸体の先端面に、回転位置表示手段が設けられたことを特徴とする後付け防犯サムターン。
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