JP4245929B2 - 防犯サムターン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、扉の施解錠操作に用いられる防犯サムターン、或いは既存のサムターンを覆う後付け用の防犯サムターンに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば扉に設けられる施錠装置は、屋外側に表出させたシリンダー錠の鍵孔に、合鍵(キー)を挿入して回動操作することにより、扉の木口より進退させたデッドボルトを扉枠に設けたストライクに係合・係合解除して施解錠を行うとともに、屋内側からは、サムターンの摘みを回動操作するのみで、デッドボルトを進退させて、扉の施解錠を簡便に行えるようにしている。
【0003】
ところが、近年、ポスト口や、機械工具によって開けた小さな穴から棒や針金等を挿入し、回転操作の容易なサムターンに係止して回転させ、施錠装置を解錠する不正解錠が増えている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0004】
【特許文献1】
実公平4−40362号公報
【0005】
このようなサムターンに針金等を係止して回転させることを防止するものに例えば上記特許文献1に開示されるサムターン用防犯カバーがある。
この防犯カバー1は、図17,図18に示すように、サムターン2が嵌入する嵌入孔3が形成されているとともに、回転時に円状軌跡2bを描くサムターン2の外面2aを覆う部分が、円状軌跡に沿う円形状に形成されている。そして、嵌入孔3内に螺入してサムターン2の側面に当接し、両側から挟持するセットスクリュー4,4が設けられている。
このような構成からなる防犯カバー1は、嵌入孔3にサムターン2を挿入することで、サムターン2に防犯カバー1を覆うように被せる。その後セットスクリュー4,4を螺入させて締め付けることで、防犯カバー1をサムターン2に固定する。従って、サムターン2に被せた防犯カバー1によって、針金等を係止させて回転させることが難しくなる。
【0006】
また、上記した防犯カバーの別態様として、図19に示すように、防犯カバー1を、取付部5及び本体部6から構成したものが開示されている。取付部5は、上記の防犯カバー1の外形を手での操作が容易となるように形成し、本体部6が係止する係止突部5aを設けている。取付部5は、サムターン2に被せた状態で、サムターン2を容易に回転させることができる。また、本体部6は、係止突部5aに係止可能な係止部6aを有している。
このようにすることで、係止作業という簡単な作業で、防犯カバー1の着脱が行える。さらに係止部6aで本体部6が空転することにより、針金等を係止させて回転させることが不可能となる。
【0007】
さらに、上記した防犯カバーの別態様として、図20に示すように、係止部6a内に、係止突部5aとの間にバネ部材8を設け、本体部6側の外周縁に複数の係合凹部5bと、この係合凹部5bに係合可能な係合凸部6bとを設けたものが開示されている。
このような構成とすれば、本体部6を常に取り付けたままとしておくことができる。すなわち、常時は係止突部5aと係止部6aとで本体部6が空転し、サムターン2を回転させたいときは、本体部6を手で押圧し、係合凸部6bを取付部5の係合凹部5bに係合させ、この係合状態のまま本体部6を回転させることにより、サムターン2を回転させることができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図17,図18に示した防犯カバーは、外形が円筒体形状であるため、サムターンに被せた場合、本来小判形状であることからその回転位置によって視認できたサムターンの施錠状態又は非施錠状態を視認不能にしてしまい、施解錠の操作性を低下させる問題があった。
また、図19に示した防犯カバーは、サムターンを回転操作可能にする取付部と、この取付部に対し空転しかつ着脱可能となる本体部とから構成されているため、脱着した本体部の保管管理が煩雑となり、本体部を紛失する虞もあった。
さらに、図20に示した防犯カバーは、サムターンを回転させたいときは、本体部を任意の回転位置で押圧すればよいため、何らかの方法により押圧が可能となれば、サムターンの回転が可能となり、防犯性を十分に高めることができなかった。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、針金や棒等によるサムターンの回転を阻止できるとともに、押圧操作のみによっては錠箱機構部に回転操作力を入力不可能とする、或いは、既存サムターンへの回転入力が行えない防犯サムターンを提供し、防犯性のさらなる向上を図ることにある。また、その第二の目的は、着脱部材が不要であり、かつ、防犯状態と通常の操作が行える状態とに切り換えが可能とされ、さらには、サムターンの回転位置が容易に視認できる防犯サムターンを提供し、操作性の向上を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の防犯サムターンは、錠箱機構部21,121に回動操作力を入力するサムターン軸11,111と、
該サムターン軸11,111の前記錠箱機構部21,121と反対側の端部に配設されるクラッチ13,113と、
前記サムターン軸11,111とクラッチ13,113とを覆うとともに、該サムターン軸11,111とクラッチ13,113とを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面側に固設される基台部27,127と、
該サムターン軸11,111の前記錠箱機構部21,121と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部27,127より延出する軸部33,133と、
前記軸部33,133に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ13,113との相対回転を阻止する係合手段63,163を有した回転操作部材15,115と、
該回転操作部材15,115に取り付けられ前記軸部33,133に係止して該回転操作部材15,115の軸線方向の移動を規制するとともに摘み操作されることで該規制を解除して前記係合手段63,163と前記クラッチ13,113との係合を可能とする操作部17,117と、
前記クラッチ13,113と前記係合手段63,163とが係合された状態を維持して前記回転操作部材15,115と前記軸部33,133とを連結状態とする保持手段19,119と、
を具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の防犯サムターンは、錠箱機構部21に回動操作力を入力するサムターン軸11と、
該サムターン軸11の前記錠箱機構部21と反対側の端部に配設されるクラッチ13と、
前記サムターン軸11とクラッチ13とを覆うとともに、該サムターン軸11とクラッチ13とを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面側に固設される基台部27と、
該サムターン軸11の前記錠箱機構部21と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部27より延出する軸部33と、
該軸部33に形成される段部35と、
前記軸部33に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ13との相対回転を阻止する係合手段63を有した回転操作部材15と、
該回転操作部材15に、該回転操作部材15の軸線と直交方向に挿着されて摺動自在に取り付けられ前記段部35に当接して該回転操作部材15の前記クラッチ13側への移動を規制するとともに摺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段63が係合する方向に前記回転操作部材15の移動を可能とする摺動摘み17と、
前記クラッチ13と前記係合手段63とが係合された状態を維持して前記回転操作部材15と前記軸部33とを連結状態とする保持手段19と、
を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の防犯サムターンは、錠箱機構部121に回動操作力を入力するサムターン軸111と、
該サムターン軸111の前記錠箱機構部121と反対側の端部に配設されるクラッチ113と、
前記サムターン軸111とクラッチ113とを覆うとともに、該サムターン軸111とクラッチ113とを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面側に固設される基台部127と、
該サムターン軸111の前記錠箱機構部121と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部127より延出する軸部133と、
該軸部133に形成される段部135と、
前記軸部133に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ113との相対回転を阻止する係合手段163を有した回転操作部材115と、
該回転操作部材115に、該回転操作部材115の軸線と直交方向の揺動軸153を介して揺動自在に取り付けられ前記段部135に当接して該回転操作部材115の前記クラッチ113側への移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段163が係合する方向に前記回転操作部材115の移動を可能とする揺動摘み117と、
前記クラッチ113と前記係合手段163とが係合された状態を維持して前記回転操作部材115と前記軸部133とを連結状態とする保持手段119と、
を具備したことを特徴とする。
【0013】
このような防犯サムターンでは、軸部33,133に対して、回転操作部材15,115が回動自在となり、これにより、針金や棒等を用いても、錠箱機構部21,121への回転力の入力が阻止される。そして、その操作力を錠箱機構部21,121へと伝達するには、操作部17,117を摘み、操作部17,117とともに回転操作部材15,115を押しながら回転しなければならないため、針金により操作部17,117を不正に操作しようとしても、回転操作部材15,115が空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、操作部17,117を摘んで、回転操作する動作は、従来からのサムターンの操作と略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0014】
また、回転操作部材15,115に設けられた摺動摘み17或いは揺動摘み117が段部35,135に当接してクラッ13,113側への移動が規制される一方、この摺動摘み17或いは揺動摘み117が摺動若しくは揺動操作されることで、規制が解除されて、回転操作部材15,115の移動が可能となる。これにより摺動摘み17の摺動操作或いは揺動摘み117の揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、回転操作部材15,115を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0015】
また、保持手段19,119により、クラッチ13,113と係合手段63,163とを係合状態で維持し、回転操作部材15,115と軸部33,133とを連結状態とすることで、上記した防犯状態を一時的に無効とすることができ、すなわち、回転操作部材15,115とサムターン軸11,111とを直結状態とすることができ、従来通りのサムターンによる施解錠操作と略同様の操作を行うことの可能な状態に切り換えることが可能となる。
【0016】
請求項4記載の防犯サムターンは、請求項3記載の防犯サムターンであって、
前記回転操作部材115が略平板状の摘みを備え、前記揺動摘み117が平板状の摘み部117bを有し、該摘み部117bが前記摘みと略平行に取り付けられることを特徴とする。
【0017】
この防犯サムターンでは、回転操作部材115を略平板状としたことで、施解錠の操作を行う際に、摘み易くなり、その操作性が向上する。
【0018】
請求項5記載の防犯サムターンは、請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の防犯サムターンであって、
前記回転操作部材15,115には、前記軸部33,133の端部を表出させる貫通穴57,157を有し、該貫通穴57,157を介して、前記軸部33,133の端部に前記保持手段19,119が取り付けられることを特徴とする。
【0019】
この防犯サムターンでは、貫通穴57,157を有することで、その貫通穴57,157を介し、軸部33,133の端部に対して容易に保持手段19,119を取り付けることが可能となり、上記した通常の防犯状態と、サムターンとして頻繁に使用する状態とで切り換えが可能なものとなる。
【0020】
請求項6記載の防犯サムターンは、既存サムターン221の摘み222に被着され前記摘み222の回動中心と同軸の軸部233が突設されるクラッチ213と、
前記軸部233に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチ213との相対回転を阻止する係合手段263を有したクラッチカバー215と、
該クラッチカバー215に取り付けられ前記軸部233に係止して該クラッチカバー215の軸線方向の移動を規制するとともに摘み操作されることで該規制を解除して前記係合手段263と前記クラッチ213との係合を可能とする操作部217と、
前記クラッチ213と前記係合手段263とが係合された状態を維持して前記クラッチカバー215と前記軸部233とを連結状態とする保持手段219と、
を具備したことを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の防犯サムターンは、既存サムターン221の摘み222に被着される取付基台部227を有し該取付基台部227に、前記摘み222の回動中心と同軸の軸部233が突設されるクラッチ213と、
該クラッチ213の前記軸部233に形成された段部234と、
前記軸部233に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記取付基台部227を覆うとともに前記クラッチ213との相対回転を阻止する係合手段263を有したクラッチカバー215と、
該クラッチカバー215に、該クラッチカバー215の軸線と直交方向に挿着されて摺動自在に取り付けられ前記段部234に当接して該クラッチカバー215の前記クラッチ213側への移動を規制するとともに摺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段263が係合する方向に前記クラッチカバー215の移動を可能とする摺動摘み217と、
前記クラッチ213と前記係合手段263とが係合された状態を維持して前記クラッチカバー213と前記軸部233とを連結状態とする保持手段219と、
を具備したことを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の防犯サムターンは、既存サムターンの摘みに被着される取付基台部を有し該取付基台部に、前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
該クラッチの前記軸部に形成された段部と、
前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記取付基台部を覆うとともに前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有したクラッチカバーと、
該クラッチカバーに、該クラッチカバーの軸線と直交方向の揺動軸を介して揺動自在に取り付けられ前記段部に当接して該クラッチカバーの前記クラッチ側への移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段が係合する方向に前記クラッチカバーの移動を可能とする揺動摘みと、
前記クラッチと前記係合手段とが係合された状態を維持して前記クラッチカバーと前記軸部とを連結状態とする保持手段と、
を具備したことを特徴とする。
【0023】
このような防犯サムターン210では、既存サムターン221の摘み222がクラッチ213で覆われ、このクラッチ213がさらにクラッチカバー215で覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、摺動摘み217や揺動摘みなど操作部の操作力を既存サムターン221の摘み222に伝達するには、摺動摘み217或いは揺動摘みなど操作部を摘み、操作部217とともにクラッチカバー215を押しながら回転しなければならないため、針金により操作部217を不正に操作しようとしても、クラッチカバー215が空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、操作部217を摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘みと略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0024】
また、クラッチカバー215に設けられた摺動摘み217或いは揺動摘みが段部234に当接してクラッチ213側への移動が規制される一方、この摺動摘み217或いは揺動摘みが摺動若しくは揺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバー215の移動が可能となる。これにより摺動摘み217の摺動操作或いは揺動摘みの揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバー215を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0025】
また、保持手段219により、クラッチ213と係合手段263とを係合状態で維持し、クラッチカバー215と軸部233とを連結状態とすることで、上記した防犯状態を一時的に無効とすることができ、すなわち、クラッチカバー215と既存サムターン221とを直結状態とすることができ、従来通りのサムターンによる施解錠操作と略同様の操作を行うことの可能な状態に切り換えることが可能となる。
【0026】
請求項9記載の防犯サムターンは、請求項8記載の防犯サムターンであって、
前記揺動摘みが平板状の摘み部を有することを特徴とする。
【0027】
この防犯サムターンでは、揺動摘みの平板状の摘み部により既存サムターンの施解錠状態が一目瞭然となり、所望の操作前に、クラッチカバーを一旦回して既存サムターンの施解錠状態を確認するなどの動作が不要になり、操作性が向上する。
【0028】
請求項10記載の防犯サムターンは、請求項6,7,8,9のいずれか1つに記載の防犯サムターンであって、
前記クラッチカバー215には、前記軸部233の端部を表出させる貫通穴257を有し、該貫通穴257を介して、前記軸部233の端部に前記保持手段219が取り付けられることを特徴とする。
【0029】
この防犯サムターンでは、貫通穴257を有することで、その貫通穴257を介し、軸部233の端部に対して容易に保持手段219を取り付けることが可能となり、上記した通常の防犯状態と、サムターンとして頻繁に使用する状態とで切り換えが可能なものとなる。
【0030】
請求項11記載の防犯サムターンは、請求項5又は10記載の防犯サムターンであって、
前記軸部の表出する先端面に回転位置表示手段41,141,241が設けられていることを特徴とする。
【0031】
この防犯サムターンでは、回転自在な回転操作部材15,151により施錠状態或いは解錠状態の錠箱機構部21,121内の視認できなくなった状態、或いは、クラッチカバー215等で覆われることで視認できなくなった摘み222の回転位置が、回転位置表示手段41,141,241を介して知ることができ、操作性を向上させることができる。
【0032】
請求項12記載の防犯サムターンは、請求項5又は10又は11記載の防犯サムターンであって、
前記貫通穴57,157,257には、開口を閉塞するキャップ61が取り付けられることを特徴とする。
【0033】
この防犯サムターンでは、回転操作部材15,115或いはクラッチカバー215に形成される貫通穴57,157,257をキャップ61により閉塞でき、これにより、不要な凹凸などを防ぐことができ、すなわち、針金や棒などを用いても、滑ることとなる。
【0034】
請求項13記載の防犯サムターンは、請求項12記載の防犯サムターンであって、
前記キャップ61は、透明部材よりなることを特徴とする。
【0035】
この防犯サムターンでは、キャップ61にて閉塞された貫通穴57,157,257を、透明な部材とすることで貫通穴57,157,257の奥方を視認でき、これにより、例えば、軸部33,133,233の端部に回転位置表示手段41,141,241が構成されている場合に、これを確認することが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る防犯サムターンの好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
第一の実施の形態
まず、第一の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る防犯サムターンの第一の実施の形態の一部を切り欠いた分解側面図、図2は図1に示した防犯サムターンの一部拡大分解斜視図、図3は図1に示した防犯サムターンにおける通常時の縦断面図、図4は図1に示した防犯サムターンの正面図、図5は図1に示した防犯サムターンの通常時の横断面図、図6は図1に示した防犯サムターンにおける操作時の縦断面視を表した動作説明図、図7(a)(b)は図1に示した防犯サムターンにおける操作切換時の縦断面視を表した動作説明図である。
【0038】
この第一の実施の形態による防犯サムターン10は、その主要な構成として、図1に示すサムターン軸11と、クラッチ13と、回転操作部材15と、操作部としての摺動摘み17と、保持手段19とを有している。
【0039】
サムターン軸11は、施解錠装置の機構部分である錠箱機構部21に装着されて連結され、この錠箱機構部21に回動操作力を入力する。錠箱機構部21は、例えば扉23の戸先側に配設され、室外側にシリンダ錠25が連結される。本実施の形態では、この錠箱機構部21は、図1に示すように扉23の室内面23aに設けられている例で説明する。
サムターン軸11は、本実施の形態では、先端が錠箱機構部21に連結される。このサムターン軸11の先端部分は、錠箱機構部21を覆う基台部27に回転自在に取り付けられるとともに、その先端には、カム板29などが連結されており、抜脱不能に、かつ回転自在に取り付けられる。そして、錠箱機構部21内に回動操作力を入力し、これにより、図4に示すような杆形状のデッドボルト29或いは鎌形状のデッドボルト30を進退させる。
【0040】
基台部27は、本実施の形態では、図1及び図4に示すように、略方形箱状に形成され、室内側扉面23aに位置する化粧枠を兼ねるように構成される。そして、この基台部27と錠箱機構部21とは、錠箱機構部21が固定ネジなどの固定手段22にて扉面23aに固定され、この錠箱機構部21表面を覆うように基台部27が固定される。なお、この基台部27には、サムターン軸11を囲繞するように、カラー部28が突出形成されている。
【0041】
クラッチ13は、本実施の形態では、サムターン軸11と一体に構成され、このサムターン軸11の錠箱機構部21とは反対側となる端部に設けられている。また、クラッチ13の構成されるサムターン軸11の端部には、後述する軸部33を取り付ける雌ねじ部31が形成されている。
【0042】
また、このクラッチ13のサムターン軸11側外周面には、後述する付勢手段を支持するフランジ部32が設けられている。
【0043】
軸部33は、基端に雄ねじ部34が形成されている。この雄ねじ部34は、サムターン軸11端部の雌ねじ部31に螺着されることで、このサムターン軸11と一体構成となる。また、軸部33の先端外周面には段部35が形成されている。段部35は、先端側の小径部36とフランジ状の大径部37とが連設されることで形成されている。この段部35は、後述の説明で明らかとなるように、摺動摘み17が当接し、回転操作部材15の軸線方向の移動を規制するものとなる。また、軸部33の先端面には、中央に、雌ねじ部39が形成が形成される。この雌ねじ部39は、後述する保持手段19が取り付けられる。さらに、この軸部33の先端面には、十字形又は−字形の溝33aが形成されている。この溝33aは、サムターン軸11との組み付けに用いられるほか、回転位置表示手段41を兼ねる。
【0044】
クラッチ13は、外周面に、クラッチ側係合手段43を有している。クラッチ側係合手段43は、外周面を軸線方向に沿った複数の歯44を等間隔で配設してなる。このクラッチ側係合手段43は、回転操作部材15に設けられる後述の操作部材側係合手段63に噛合する。
【0045】
回転操作部材15は、本実施の形態では、図1,2に示すように、基端部15Aと先端部15Bとの2分割構造とされている。基端部15Aは、略円筒形状に形成され、先端部15Bは表面が略球面状の湾曲面とされた略円板状に形成される。これら基端部15Aと先端部15Bとは、固定手段にて一体に連結される。本実施の形態では、この固定手段として、先端部15Bに突設された一対の鉤爪47と、これに係止する基端部15Aに穿設された係止穴部48とで構成され、基端部15Aに対して先端部15Bを圧入することで一体に組み立てられる。これら部材15A,15Bよりなる回転操作部材15は、このような略円形状となることで、針金等による引っ掛かりが防止できるようになっている。なお、互いを連結する固定手段はネジなどとしてもよく、この場合、基端部15A内より螺着し、表面にはネジ頭が表出しない構成が好ましい。
【0046】
基端部15Aは、内部が中空となり、後端がフレア部51となって筒状に延出形成されている。基端部15Aの先端側には、中央に貫通穴53が形成され、軸部33が貫通し回動自在に外挿される。また、この貫通穴53には先端側に大径となる段部55が形成され、軸部33の段部35の大径部37の後端に当接となる。先端部15Bは、中央に貫通穴57が形成され軸部33の先端が進退自在な逃げとなっているとともに、先端部15B表面からこの貫通穴57を通して軸部33の先端が覗けるようになっている。そして、この軸部33に外挿されたこれら基端部15Aと先端部15Bとで、軸部33からの抜脱が規制される。なお、先端部15Bの貫通穴33は、図1に示すように、基端部15A側の開口径に対して表面側の開口径が段部59を介して小径に形成されるとともに、表面側の内周面に係止段部60を有している。そして、この貫通穴57には、後述する保持手段19が表面側から挿通されるようになっているとともに、その開口にキャップ61を取り付け可能としている。
【0047】
ここで、基端部15Aの貫通穴53は、軸部33の軸線方向に移動自在に外挿となる。つまり、回転操作部材15は、軸部33に対して回転自在かつ軸線方向に移動自在となって軸部33の段部35によって抜脱不能に外挿されている。
基端部15Aは内部に係合手段としての操作部材側係合手段63を有している。操作部材側係合手段63は、複数の歯64を貫通穴53の内周面に、軸線方向に沿って、周方向に等間隔で配設してなる。この操作部材側係合手段63は、上記したクラッチ側係合手段43に噛合可能となっている。
【0048】
回転操作部材15は、上記のように基端部15Aと先端部15Bのそれぞれの貫通穴53,57により軸部33に抜脱不能に外挿されて取り付けられる。このようにして取り付けられたクラッチ13と回転操作部材15との間には付勢手段である圧縮バネ65が配設され、圧縮バネ65は回転操作部材15を軸部33の突出方向に付勢する。したがって、回転操作部材15は、押すことにより、圧縮バネ65の付勢力に抗してクラッチ13に接近する方向(図1の右方向)に移動される。クラッチ13と回転操作部材15とは、この押込みにより、クラッチ側係合手段43と操作部材側係合手段63とが噛合して、相対回転が規制されるようになっている。
【0049】
回転操作部材15は、圧縮バネ65によって付勢された位置で、図3,5に示すように、フレア部51によって基台部27のカラー部28外周を覆うようになっている。つまり、フレア部51と基台部27とは、図1に示すように、オーバーハングしている。
【0050】
回転操作部材15には、回転操作部材15の軸線と直交方向に摺動自在となった操作部としての一対の摺動摘み17,17が取り付けられている。この摺動摘みは、先端部15Bの基端側15A面に凹設された摺動溝67内に配設される。摺動溝37は、先端部15B中央の貫通穴57に連通し、この貫通穴57に対して半径方向外側に向いて対となって形成され、基端部15Aの先端側端面との間で略管状の空間を形成する。すなわち、これら摺動摘み17,17は先端部15Bと基端部15Aとに挟持されるように配設される。摺動摘み17,17は、図2,4に示すように、略コ字状に形成され、一端が係合部17aとされ、他端が操作部17bとなっている。操作部17bは、外側面が湾曲形成され回転操作部材15の外周面に表出し、中途部分が軸部33の半部をオーバーハングして、係合部17aが操作部17bに対して軸部33を挟み反対側に延出するように取り付けられる。
【0051】
一対の摺動摘み17,17は、各摺動溝67内を軸部33の軸線方向に対して直交する方向に摺動するとともに、摺動溝67内に形成される取付凹部68との間に装着される圧縮バネ69によって、各操作部17bが互いに離反方向に付勢されている。したがって、通常時、摺動摘み17の係合部17aは、軸部33先端の小径部36に当接し、互いで挟持した状態となって段部35に当接し、回転操作部材15のクラッチ13側への移動を規制している。また、この状態で、各操作部17bが回転操作部材15の外周面からやや突出して位置する(図4参照)。
【0052】
一方、摺動摘み17,17は、操作部17b,17b同士が接近する方向に摘まれ摺動されることで、係合部17a,17aが軸部33から離反し、段部35と当接状態でなくなる。つまり、回転操作部材15の軸線方向の移動規制が解除されるようになっている。これにより、回転操作部材15は、図6に示すように、操作部材側係合手段63がクラッチ側係合手段43に係合する方向に押込み可能となる。
【0053】
なお、図2,4,5に示すように、基端部15A及び先端部15Bの外周面における各摺動溝67の開口部分の周囲には、連続した平坦に近い凹面71が形成され、回転操作部材15自体を摘み易くしているとともに、各摺動摘み17の操作部17bが凹面71より突出し、これら操作部17bの摘み操作を行いやすくしている。
また、本実施の形態では、摺動摘み17,17が二つ設けられる場合を例に説明しているが、本発明に係る防犯サムターン10は、摺動摘み17を一つとしても同様の作用を奏するものである。
【0054】
また、回転操作部材15の先端部15Bには、通常時、キャップ61が装着されている。キャップ61は、例えば樹脂素材とされ、表面が略球面状に形成されるとともに、裏面に係止爪61aを備えている。そして、先端部15Aの貫通穴57に、係止爪61aを段部60に係合させ、先端部15A表面から着脱自在に取り付けられる。なお、このキャップ61は、好ましくは透明な樹脂素材などで構成され、回転操作部材15の正面側から貫通穴57内を視認可能とし、貫通穴57の奥方に位置する軸部33先端面が目視可能とされる。
【0055】
保持手段としての保持部材19は、本実施の形態では、図1に示すように、一端に頭部19aを有した雄ねじよりなる螺子部材で構成される。この保持部材19は、上記したキャップ61に換え、回転操作部材15の表面から貫通穴57を通して軸部33に形成された雌ねじ部39に螺着される。この保持部材19の螺着は、上述したクラッチ側係合手段43と操作部材側係合手段63とを互いに噛み合わせた状態でのみ螺着でき、この螺着により、これら係合手段43,63の係合状態を維持するようになっている。なお、この保持部材19は、頭部19aを球面状に形成することが好ましく、また例えば六角孔付き頭部などとしてもよい。
【0056】
次に、このような構成の防犯サムターン10の動作を説明する。
防犯サムターン10は、通常時、回転操作部材15が回転自在となる。その一方、回転操作部材15は、摺動摘み17の係合部17aが段部35に当接していることで、軸線方向には移動(押込み)不能となる(図4,5参照)。なお、この通常時の操作状態では、回転操作部材15の先端部15Bには、キャップ61が貫通穴57に装着され閉塞された状態とされる。
【0057】
解錠操作時には、摺動摘み17,17を摘む。すると、摺動摘み17の係合部17aが段部35から外れ、回転操作部材15の移動規制が解除されて、クラッチ13に接近する方向への移動、すなわち押込みが可能となる。この状態で、摺動摘み17を摘みながら、回転操作部材15を押込むと、回転操作部材15の操作部材側係合手段63が、クラッチ13のクラッチ側係合手段43に噛合して、回転操作部材15とクラッチ13との相対回転が規制されて、回転操作部材15の回転操作力がクラッチ13へ伝達可能となる。
【0058】
すなわち、摺動摘み17を摘みながら回転操作部材15を押込み、さらに回転操作部材15を解錠方向に回転することで、クラッチ13が回転され、クラッチに連結されたサムターン軸11が回転し、錠箱機構部21へ解錠操作力が入力される。
【0059】
施錠方法は、この解錠方法と同様にして行うことができる。
【0060】
このように、上記した防犯サムターン10によれば、回転操作部材15の外表面が円形であり、また、軸部33に対して、回転操作部材15が回動自在となり、これにより、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、摺動摘み17の操作力を錠箱機構部21へと伝達するには、摺動摘み17を摘み、摺動摘み17とともに回転操作部材15を押しながら回転しなければならないため、針金により摺動摘み17を不正に操作しようとしても、回転操作部材15が空転するのみとなる。
すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、摺動摘み17を摘んで、回転操作する動作は従来からのサムターンの操作と略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0061】
また、回転操作部材15に設けられた摺動摘み17が段部35に当接してクラッチ13側への移動が規制される一方、この摺動摘み17が摺動操作されることで、規制が解除されて、回転操作部材15の移動が可能となる。これにより摺動摘み17の摺動操作(すなわち、摘み操作)によって、回転操作部材15を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0062】
さらに、回転操作部材15の手前側である表面に、透明部材よりなるキャップ61を設けたことで、サムターン軸11に連結される軸部33の端面が視認できることから、この軸部端面に設けられた回転位置表示手段41を容易に視認でき、このことから、錠箱機構部21の施解錠状態が確認でき、その操作性を向上することが可能となる。
【0063】
次に、上記した防犯性を得る通常の操作状態から、常時サムターン軸11の回転を可能とする状態、すなわち、施解錠の操作が頻繁に行われる場合や、防犯性を一時的に無効にしたい場合などの際について説明する。
このような常時施解錠操作可能な状態とするには、まず、回転操作部材15の表面に取り付けられているキャップ61を取り除く(図7(a)参照)。次に、キャップ61を取り除かれた回転操作部材15の先端部15Bの貫通穴57に、保持部材19を貫通させ、軸部33の雌ねじ部39に螺着させる。この螺着は、上記した施解錠操作時と同様に、摺動摘み17を摘み、回転操作部材15を押込み移動させて行う。すなわち、回転操作部材15の操作部材側係合手段63を、クラッチ13のクラッチ側係合手段43に噛合させ、軸部33の先端と貫通穴57とを近接状態とし、回転操作部材15とクラッチ13との相対回転の規制状態とさせ、その状態で保持部材19を螺着させる。この保持部材19の螺着により、図7(b)に示すように、保持部材19の頭部19aが貫通穴57の段部60に係止し、軸部33に対する回転操作部材15の先端部15Bの近接状態を保持して各係合手段43,63の係合状態が維持される。
【0064】
従って、このように保持部材19を取り付けた状態とすることで、回転操作部材15とクラッチ13とが常時、相対回転を規制された状態であり、すなわち回転操作部材15とサムターン軸11とが直結状態となる。このことから、回転操作部材15の回転が、両係合手段43,63を介してサムターン軸11に伝達され、従って、回転操作部材15の回転操作が錠箱機構部21に対して回転操作力として入力されることとなる。
そして、このような保持部材19による直結状態により、従来同様に簡便な施解錠が行えるサムターンとなる。
【0065】
また、上記したような、常時施解錠操作可能な状態から、上述した防犯性を得る通常の状態へと戻すには、保持部材19を取り除くことで、クラッチ13と回転操作部材15との間に配設された圧縮バネ65の付勢力により、回転操作部材15が軸部33の突出方向に付勢されて、上述した通常の状態に復帰する。なお、回転操作部材15には、キャップ61を取り付け、貫通穴57開口を閉塞させる。
【0066】
第二の実施の形態
次に第二の実施の形態について説明する。
図8は本発明に係る防犯サムターンの第二の実施の形態の一部を切り欠いた分解平断面図、図9(a)は図8に示した防犯サムターンにおける通常時の正面図、図9(b)は同側断面図、図10は図8に示した防犯サムターンにおける操作時の平断面視を表した動作説明図、図11は図8に示した防犯サムターンにおける操作切換時の平断面視を表した動作説明図である。
【0067】
この第二の実施の形態の防犯サムターン110は、その主要な構成として、図8に示すサムターン軸111と、クラッチ113と、回転操作部材115と、操作部としての揺動摘み117と、保持手段119とを有している。
【0068】
サムターン軸111は、施解錠装置の機構部分である錠箱機構部121に装着されて連結され、この錠箱機構部121に回動操作力を入力する。錠箱機構部121は、例えば扉123の戸先側に内設され、室外側にシリンダ錠(図示せず)が連結される。
サムターン軸111は、断面略十字形に形成され、先端が錠箱機構部121に挿着され、基端には連結カラー124が連結される。連結カラー124は、扉面123aに固定される基台部127及び座金部材129に、Eリングなどの抜止部材124aを介して、抜脱不能に取り付けられ、かつ回転自在に支持されて取り付けられる。
【0069】
基台部127は、正面視で図9に示すように、略小判状に形成され、室内側扉面123aに配置される化粧リングを兼ねるように構成される。そして、この基台部127と座金部材129とは、固定ネジなどの固定手段122にて扉面123及び錠箱機構部121に固定される。
基台部127の略中央下部には、支持穴130が貫通形成され、上記連結カラー124が回転自在に配置される。
【0070】
クラッチ113は、サムターン軸111の錠箱機構部121とは反対側となる端部に設けられる。クラッチ113は、連結基部131を有し、この連結基部131が上記連結カラー124に連結され、サムターン軸111と略一体となる。
クラッチ113は、連結基部131の突出する面と反対側の面に、クラッチ側係合手段143を有している。クラッチ側係合手段143は、周縁を軸線方向に突出させた複数の歯144を円周方向に等間隔で配設してなる。このクラッチ側係合手段143は、回転操作部材115に設けられる後述の操作部材側係合手段163に噛合する。
また、このクラッチ113には、面113aにサムターン軸111の回動中心と同軸の軸部133が延設される。
本実施の形態では、連結基部131とともに貫通する取付穴113bを介し、連結基部131側から螺着される固定ネジなどの固定手段132にて、クラッチ113と軸部133が略一体となる。
【0071】
軸部133は、真直な軸状部材で、中途部にはフランジ部134が形成される。フランジ部134の先端側段部135は、後述の説明で明らかとなるように、揺動摘み117が当接し、回転操作部材115の軸線方向の移動を規制するものとなる。また、フランジ部134の基端側段部136は、回転操作部材115の段部137に当接し、回転操作部材115を抜脱不能に規制するものとなる。
【0072】
軸部133の先端は、後述する回転操作部材115を貫通して表出し、その先端面133aには、回転位置表示手段141が設けられる。この回転位置表示手段141は、微小な凹凸による標示、印刷や刻印、或いは部分的な着色による色分け等とされる。例えば、図9(a)に示すように、解錠時では回転位置表示手段141は縦長状とされており、施錠する場合、すなわち、時計回りに90度回転させると、横長状となり、解錠時と施錠時とが容易に識別可能となっている。また、この軸部133の先端外周面には、雄ねじが形成され、雄ねじ部139となっている。
【0073】
回転操作部材115は、略矩形枠状の挟持部145を備え、基部に略円筒形状の連結部146が形成される。回転操作部材115の連結部146は、筒状の被覆部151が外周に設けられ、基台部127に形成される筒状支持部128に外挿される。また連結部146は、軸部133に回動自在に外挿される。連結部146には、挟持部145側に段部137が形成され軸部133の基端側段部136に当接し、これにより、この連結部146が軸部133からの抜脱が規制され軸部133の基端側で軸線方向に移動自在となる。つまり、回転操作部材115は、軸部133に対して回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿されている。
なお、回転操作部材115は、挟持部145が、図9(b)に示すように、一側が開放した略コ字状の挟持部本体145aと、この開放部分を閉じる前端板145bとで構成される。そして、この前端板145bは挟持部本体145bにネジなどの固定手段147にて固定される。前端板145bの中央には貫通穴157が穿設されている。この貫通穴157は、軸部133の先端が貫通し、通常の状態では、その先端面が面一となって位置する。
【0074】
回転操作部材115は連結部146の基端面側に操作部材側係合手段163を有している。操作部材側係合手段163は、複数の歯164を連結部146と同一中心の円周方向に等間隔で配設してなる。この操作部材側係合手段163は、上記したクラッチ側係合手段143に噛合可能となっている。
【0075】
回転操作部材115は、上記のように軸部133に抜脱不能に外挿されて取り付けられる。このようにして取り付けられたクラッチ113と回転操作部材115との間には付勢手段である圧縮バネ165が配設され、圧縮バネ165は回転操作部材115を軸部133の突出方向に付勢する。したがって、回転操作部材115は、押すことにより、圧縮バネ165の付勢力に抗してクラッチ113に接近する方向(図8の右方向)に移動される。クラッチ113と回転操作部材115とは、この押込みにより、クラッチ側係合手段143と操作部材側係合手段163とが噛合して、相対回転が規制されるようになっている。
【0076】
回転操作部材115は、圧縮バネ165によって付勢された位置で、被覆部151によって基台部127の筒状支持部128を覆うようになっている。つまり、被覆部151と筒状支持部128とは、に示すように、オーバーハングしている。
【0077】
回転操作部材115には、回転操作部材115の軸線と直交方向の揺動軸153を介して揺動自在となった操作部としての一対の揺動摘み117が取り付けられている。すなわち、枠状に形成される挟持部145の中空部分に揺動摘み117が位置し、これら挟持部145と各揺動摘み117とで略矩形平板状の摘み形状となる。揺動摘み117は、揺動軸153を挟み一端が揺動端117aとなり、他端が平板状の摘み部117bとなっている。
【0078】
一対の揺動摘み117は、枠状の挟持部145の内方に配設された圧縮バネ155によって摘み部117b同士が離反方向に付勢されている。したがって、通常時、揺動摘み117の揺動端117aは、軸部133先端側を挟持した状態となって段部135に当接し、回転操作部材115のクラッチ113側への移動を規制している。
【0079】
一方、揺動摘み117は、摘み部117b同士が接近する方向に摘まれることで、揺動端117aが離反し、段部135と当接状態でなくなる。つまり、回転操作部材115の移動規制が解除されるようになっている。これにより、回転操作部材115は、図10に示すように、操作部材側係合手段163がクラッチ側係合手段143に係合する方向に押込み可能となる。
【0080】
なお、本実施の形態では、揺動摘み117が二つ設けられる場合を例に説明しているが、本発明に係る防犯サムターン110は、揺動摘み117を一つとしても同様の作用を奏するものである。
【0081】
保持手段としての保持部材119は、この第二の実施の形態では、図1に示すように、雌ねじよりなる螺子部材で構成される。この保持部材119は、回転操作部材115の前面となる前端板145bの表面より貫通穴157を通して突出する軸部133先端に形成された雄ねじ部139に螺着される。この保持部材119の螺着は、上述したクラッチ側係合手段143と操作部材側係合手段163とを互いに噛み合わせた状態でのみ螺着でき、この螺着により、これら係合手段143,163の係合状態を維持するようになっている。なお、この保持部材119は、略ナット状に形成されてもよく、或いは平板状に形成されて略中央に雌ねじ穴を有する構成や、図1に示すような表面側を略球面状に形成するものなどとしてもよい。
【0082】
次に、このような構成の防犯サムターン110の動作を説明する。
防犯サムターン110は、通常時、回転操作部材115が回動自在となる。その一方、回転操作部材115は、揺動摘み117の揺動端117aが段部135に当接していることで、軸線方向には移動(押込み)不能となる。
【0083】
解錠操作時には、揺動摘み117を摘む。すると、揺動摘み117の揺動端117aが段部135から外れ、回転操作部材115の移動規制が解除されて、クラッチ113に接近する方向への移動、すなわち押込みが可能となる。この状態で、揺動摘み117を摘みながら、回転操作部材115を押込むと、回転操作部材115の操作部材側係合手段163が、クラッチ113のクラッチ側係合手段143に噛合して、回転操作部材115とクラッチ113との相対回転が規制されて、回転操作部材115の回転操作力がクラッチ113へ伝達可能となる。
【0084】
すなわち、揺動摘み117を摘みながら回転操作部材115を押込み、さらに回転操作部材115を解錠方向に回転することで、クラッチ113が回転され、クラッチ113に連結されたサムターン軸111が回転し、錠箱機構部121へ施錠操作力が入力される。
【0085】
施錠方法は、この解錠方法と同様にして行うことができる。
【0086】
このように、上記したこの防犯サムターン110によれば、軸部133に対して、回転操作部材115が回動自在となり、これにより、針金や棒等を用いても、錠箱機構部121への回転力の入力が阻止される。そして、その操作力を錠箱機構部121へと伝達するには、揺動摘み117を摘み、揺動摘み117とともに回転操作部材115を押しながら回転しなければならないため、針金により揺動摘み117を不正に操作しようとしても、回転操作部材115が空転するのみとなる。
すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、揺動摘み117を摘んで、回転操作する動作は、従来からのサムターンの操作と略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0087】
また、回転操作部材115に設けられた揺動摘み117が段部135に当接してクラッチ113側への移動が規制される一方、この揺動摘み117が揺動操作されることで、規制が解除されて、回転操作部材115の移動が可能となる。これにより揺動摘み117の揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、回転操作部材115を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0088】
さらに、回転操作部材115の手前側の端面となる挟持部145の前端板145b中央に、サムターン軸111に連結される軸部133の先端面133aが表出し、その先端面133aに回転位置表示手段141を設けたので、錠箱機構部121での施解錠状態が一目瞭然となり、施解錠状態の確認を行うことができ、そして、操作性を向上させることができる。
【0089】
また、この防犯サムターン110によれば、錠箱機構部121側の施錠状態及び解錠状態を軸部先端面133aの回転位置表示手段141にて容易に視認できることから、実際に施錠操作或いは解錠操作を行う回転操作部材115の軸部133に対する傾き角度位置について、既存のサムターンのように水平状態或いは垂直状態に固定されることがなく、例えば施解錠操作範囲の回転角度が90度であったとしても、任意の位置から90度回転操作を行うことで施錠或いは解錠とすることができ、施解錠を操作する操作者にとって摘み易い角度位置から施錠或いは解錠へと回転操作を行うことが可能となる。
【0090】
次に、上記した防犯性の得られる通常の操作状態から、常時サムターン軸111の回転を可能とする状態、すなわち、施解錠の操作が頻繁に行われる場合や、防犯性を一時的に無効にしたい場合などの際について説明する。
このような常時施解錠操作可能な状態とするには、まず、上記した施解錠操作時と同様に、揺動摘み117を摘み、回転操作部材115を押込み移動させる。すなわち、回転操作部材115の操作部材側係合手段163を、クラッチ113のクラッチ側係合手段143に噛合させ、回転操作部材115とクラッチ113との相対回転の規制状態とし、軸部133の先端を貫通穴157から突出状態とさせて、その状態で軸部先端に保持部材119を螺着させる。この保持部材119の螺着により、図11に示すように、保持部材119の縁部119aが前端板145bの貫通穴157の周囲の表面に係止し、軸部133に対する回転操作部材115の移動状態を保持して各係合手段143,163の係合状態が維持される。
【0091】
従って、このように保持部材119を取り付けた状態とすることで、回転操作部材115とクラッチ113とが常時、相対回転を規制された状態であり、すなわち回転操作部材115とサムターン軸111とが直結状態となる。このことから、回転操作部材115の回転が、両係合手段143,163を介してサムターン軸111に伝達され、従って、回転操作部材115の回転操作が錠箱機構部121に対して回転操作力として入力されることとなる。
そして、このような保持部材119による直結状態により、従来同様に簡便な施解錠が行えるサムターンとなる。
また、上記したような、常時施解錠操作可能な状態から、上述した防犯性を得る通常の状態へと戻すには、保持部材119を取り除くことで、クラッチ113と回転操作部材115との間に配設された圧縮バネ165の付勢力により、回転操作部材115が軸部133の突出方向に付勢されて、上述した通常の状態に復帰する。
【0092】
第三の実施の形態
次に第三の実施の形態について説明する。
図12は本発明に係る防犯サムターンの第三の実施の形態の分解側面図、図13は図12に示した防犯サムターンにおける通常時の正面図、図14は同防犯サムターンのクラッチカバーの一部を示す分解斜視図、図15は図12に示した防犯サムターンにおける操作時の縦断面視を表した動作説明図、図16は図12に示した防犯サムターンにおける動作説明図である。
【0093】
この第三の実施の形態による防犯サムターン210は、上記した第一,第二の実施の形態のように錠箱機構部に直接連結され施解錠装置の室内側操作部分であるサムターンとして構成される構造ではなく、扉223に既に配設された既存のサムターン221に後付けで構成することのできる防犯サムターンである。
この第三の実施の形態による防犯サムターン210は、その主要な構成として、図12に示すクラッチ213と、クラッチカバー215と、操作部としての摺動摘み217と、保持手段219とを有している。
【0094】
クラッチ213は、略円筒形状の取付基台部227を有し、この取付基台部227には既存サムターン221の摘み222の回動中心と同軸の軸部233が突設される。本実施の形態では、取付基台部227と軸部233とが別体構成とされ、図12に示すように、ネジなどの固定手段232にて締結固定されている。
【0095】
軸部233の先端側には段部234が形成されている。段部234は、先端側の小径部235とフランジ状の大径部236とが連設されることで形成されている。この段部234は、後述の説明で明らかとなるように、摺動摘み217が当接し、クラッチカバー215の軸線方向の移動を規制するものとなる。
また、軸部233は先端にやや細径な端部237を有し、その外周面には雄ねじが形成され雄ねじ部239とされる。また、この端部237の先端面には、回転位置表示手段241が設けられる。この回転位置表示手段241は、微小な凹凸による標示、印刷や刻印、或いは部分的な着色による色分け等とされる。例えば、図13に示すように、解錠時では回転位置表示手段241は縦長状とされており、施錠する場合、すなわち、時計回りに90度回転させると、横長状となり、解錠時と施錠時とが容易に識別可能となっており、これら向きが後述する嵌入溝の向きと一致するように設けられる。
【0096】
クラッチ213は、取付基台部227が既存サムターン221の摘み222に被着される。この被着は、取付基台部227の軸部突出側の面と反対側の面に、摘み222の嵌入する嵌入溝228(図12参照)を形成し、この嵌入溝228に貫通するメネジ229に、止めネジを螺合することにより、止めネジの先端を既存サムターン221の摘み222に圧接して行われる。なお、この被着には、粘着テープや接着剤が使用されてもよく、その場合、上記したメネジ,止めネジは設けられなくとも良い。
【0097】
クラッチ213は、取付基台部227の軸部突出側の面に、クラッチ側係合手段243を有している。クラッチ側係合手段243は、取付基台部227の周縁を軸線方向に突出させた複数の歯244を円周方向に等間隔で配設してなる。このクラッチ側係合手段243は、クラッチカバー215に設けられる後述のカバー側係合手段263に噛合する。
【0098】
クラッチカバー215は、本実施の形態では、基端側カバー215Aと先端側カバー215Bとの2分割構造とされている。基端側カバー215Aは、略円筒形状に形成され、先端側カバー215Bは表面が略球面状の湾曲面とされた円板状に形成される。これら基端側カバー215Aと先端側カバー215Bとはネジなどの固定手段(図示せず)にて一体に連結されており、これら部材よりなるクラッチカバー215は、このような円形状となることで、針金等による引っ掛かりが防止できるようになっている。なお、互いを連結する固定手段であるネジは、基端側カバー215A内より螺着され、表面にはネジ頭が表出しない。
【0099】
基端側カバー215Aは、内部が中空となり、後端がフレア部251となって広がる。基端側カバー215Aの先端側には、中央に貫通穴253が形成され、クラッチ213の軸部233が貫通し回動自在に外挿される。また、この貫通穴253には先端側に大径となる段部254が形成され、軸部233の段部234の大径部236の後端に当接となる。先端側カバー215Bは、中央に貫通穴257が形成され軸部233の先端に外挿される。そして、この軸部233に外挿されたこれら基端側カバー215Aと先端側カバー215Bとで、軸部233からの抜脱が規制される。
【0100】
ここで、基端側カバー215Aの貫通穴253は、軸部233の軸線方向に移動自在に外挿となる。つまり、クラッチカバー215は、軸部233に対して回転自在かつ軸線方向に移動自在となって軸部233の段部234によって抜脱不能に外挿されている。
基端側カバー215Aは内部に係合手段としてのカバー側係合手段263を有している。カバー側係合手段263は、複数の歯264を貫通穴253と同一中心の円周方向に等間隔で配設してなる。このカバー側係合手段263は、上記したクラッチ側係合手段243に噛合可能となっている。
【0101】
クラッチカバー215は、上記のように基端側カバー215Aと先端側カバーBのそれぞれの貫通穴253,257により軸部233に抜脱不能に外挿されて取り付けられる。このようにして取り付けられたクラッチ213とクラッチカバー215との間には付勢手段である圧縮バネ255が配設され、圧縮バネ255はクラッチカバー215を軸部233の突出方向に付勢する。したがって、クラッチカバー215は、押すことにより、圧縮バネ255の付勢力に抗してクラッチ213に接近する方向(図12の左方向)に移動される。クラッチ213とクラッチカバー215とは、この押込みにより、クラッチ側係合手段243とカバー側係合手段263とが噛合して、相対回転が規制されるようになっている。
【0102】
クラッチカバー215は、圧縮バネ255によって付勢された位置で、フレア部251によってクラッチ213の取付基台部227を覆うようになっている。つまり、フレア部251と取付基台部227とは、オーバーハングしている。フレア部251には貫通穴251aが穿設され、貫通穴251aは、クラッチカバー215を押込んだ位置で取付基台部227のメネジ229に一致するようになっている。
なお、このクラッチカバー215の基端側カバー215Aのフレア部251外周面には、フランジ状の係合突条252が設けられている。この係合突条252は、後述する後付け化粧リング273を支持する。
【0103】
クラッチカバー215には、クラッチカバー215の軸線と直交方向に摺動自在となった操作部としての一対の摺動摘み217が取り付けられている。この摺動摘み217は、図14に示すように、先端側カバー215Bの基端側面に凹設された摺動溝267内に配設される。摺動溝267は、先端側カバー215B中央の貫通穴257に連通し、この貫通穴257に対して半径方向外側に向いて対となって形成され、基端側カバー215Aの先端側端面との間で略管状の空間を形成する。すなわち、これら摺動摘み217は先端側カバー215Bと基端側カバー215Aとに挟持されるように配設される。摺動摘み217は、図14に示すように、略コ字状に形成され、一端が係合部217aとされ、他端が操作部217bとなっている。操作部217bは、外側面が湾曲形成されクラッチカバー215の外周面に表出し、中途部分が軸部233の半部をオーバーハングして、係合部217aが操作部217bに対して軸部233を挟み反対側に延出するように取り付けられる。
【0104】
一対の摺動摘み217,217は、各摺動溝267内を軸部233の軸線方向に対して直交する方向に摺動するとともに、摺動溝267の中途に形成される屈曲段部268との間に装着される圧縮バネ269によって、各操作部217bが互いに離反方向に付勢されている。したがって、通常時、摺動摘み217の係合部217aは、軸部233先端の小径部235に当接し、互いで挟持した状態となって段部234に当接し、クラッチカバー215のクラッチ213側への移動を規制している。また、この状態で、各操作部217bがクラッチカバー215の外周面にやや突出して位置する(図13参照)。
【0105】
一方、摺動摘み217は、操作部217b同士が接近する方向に摘まれ摺動されることで、係合部217aが軸部233から離反し、段部234と当接状態でなくなる。つまり、クラッチカバー215の軸線方向の移動規制が解除されるようになっている。これにより、クラッチカバー215は、図15に示すように、カバー側係合手段263がクラッチ側係合手段243に係合する方向に押込み可能となる。
【0106】
なお、図13,14,15に示すように、基端側カバー215A及び先端側カバー215Bの外周面における各摺動溝267の開口部分の周囲には、連続した平坦面271が形成され、クラッチカバー215自体を摘み易くしているとともに、各摺動摘み217の操作部217bが平坦面271より突出し、これら操作部217の摘み操作を行いやすくしている。
また、本実施の形態では、摺動摘み217が二つ設けられる場合を例に説明しているが、本発明に係る防犯サムターン210は、摺動摘み217を一つとしても同様の作用を奏するものである。
【0107】
保持手段としての保持部材219は、本実施の形態では、上述の第二の実施の形態と略同様の構成とされ、図1に示すように、雌ねじよりなる螺子部材で構成される。この保持部材219は、クラッチカバー215の先端側カバー215B表面より貫通穴257を通して突出する軸部233に形成された雄ねじ部239に螺着される。この保持部材219の螺着は、上述したクラッチ側係合手段243とカバー側係合手段263とを互いに噛み合わせた状態でのみ螺着でき、この螺着により、これら係合手段243,263の係合状態を維持するようになっている。なお、この保持部材219は、略ナット状に形成されてもよく、或いは平板状に形成されて略中央に雌ねじ穴を有する構成や、図1に示すような表面側を略球面状に形成するものなどとしてもよい。
【0108】
防犯サムターン210は、さらに、既存サムターン221の摘み222,クラッチ213,クラッチカバー215の一部、及び既存サムターン221の化粧リング224を覆う後付け化粧リング273を備えている。
後付け化粧リング273は、略円錐筒状に形成され、止めネジを挿通するための貫通穴275が側面に穿設される。また、内部には、基端内周面が既存サムターン221の化粧リング224に当接するテーパ面277を有し、基端側に圧縮バネ281が当接する段部279が形成されており、先端縁には、内側に向かって突出する鉤状の係止爪283が複数形成されている。
【0109】
この後付け化粧リング273は、クラッチカバー215の基端側を覆うように取り付けられ、すなわち後付け化粧リング273内に圧縮バネ281を内設させ、先端側からクラッチカバー215の基端側を係合突条252を係止爪283内側に圧入するように嵌め入れ、後付け化粧リング273の段部279と係合突条252との間に圧縮バネ281が配置される状態となる。圧縮バネ281により係合突条252に対して段部279が扉面223aの方向に押圧されるように、すなわち後付け化粧リング273がクラッチカバー215に対して扉面223a側に押圧付勢され、後付け化粧リング273が化粧リング224を抑え、かつこの化粧リング224を扉面223aに押圧付勢することとなる。
【0110】
なお、この第三の実施の形態における後付け化粧リング273は、既存サムターン221の化粧リング224の形状や大きさ(外径)に合わせ選択可能な構成、すなわち既存の化粧リング224に適合可能な形状としておくことで、いずれの形状の既存のサムターン221に取り付け可能となる。なお、この後付け化粧リング273の取り付け構造としては、その他の構造としても良い。
【0111】
上記のように構成される防犯サムターン210を、既存サムターン221の摘み222に取り付けるには、先ず、クラッチ213,クラッチカバー215,摺動摘み217を予め一体に組み付けたものを、化粧リング224に後付け化粧リング273を外挿した状態とし取り付ける。そして、クラッチカバー215を押圧することにより、クラッチカバー215の貫通穴251aを、後付け化粧リング273の貫通穴275,クラッチ213のメネジ229に一致させ、後付け化粧リング273の貫通穴275からメネジ229に止めネジを螺合し、六角レンチなどの工具で締めることにより、クラッチ213を既存サムターン221の摘み222に固定する。これにより、防犯サムターン210の取り付けが完了する。なお、貫通穴275には、図示しないがキャップ等を嵌め閉塞させることが好ましい。
【0112】
次に、このようにして、既存サムターン221の摘み222に取り付けられた防犯サムターン210の動作を説明する。
防犯サムターン210は、通常時、クラッチカバー215が回動自在となる。その一方、クラッチカバー215は、摺動摘み217の係合部217aが段部234に当接していることで、軸線方向には移動(押込み)不能となる。
【0113】
解錠操作時には、摺動摘み217を摘む。すると、摺動摘み217の係合部217aが段部234から外れ、クラッチカバー215の移動規制が解除されて、クラッチ213に接近する方向への移動、すなわち押込みが可能となる。この状態で、摺動摘み217を摘みながら、クラッチカバー215を押込むと、クラッチカバー215のカバー側係合手段263が、クラッチ213のクラッチ側係合手段243に噛合して、クラッチカバー215とクラッチ213との相対回転が規制されて、クラッチカバー215の回転操作力がクラッチ213へ伝達可能となる(図15参照)。
【0114】
すなわち、摺動摘み217を摘みながらクラッチカバー215を押込み、さらにクラッチカバー215を解錠方向に回転することで、クラッチ213が回転され、クラッチ213に固着された既存サムターン221の摘み222が解錠回転される。
【0115】
施錠方法は、この解錠方法と同様にして行うことができる。
【0116】
このように、上記したこの防犯サムターン210によれば、既存サムターン221の摘み222がクラッチ213で覆われ、このクラッチ213がさらに円形のクラッチカバー215で覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、摺動摘み217の操作力を既存サムターン221の摘みに伝達するには、摺動摘み217を摘み、摺動摘み217とともにクラッチカバー215を押しながら回転しなければならないため、針金により摺動摘みを不正に操作しようとしても、クラッチカバー215が空転するのみとなる。
すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、摺動摘み217を摘んで、回転操作する動作は既存サムターン221の摘み222と略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
【0117】
また、クラッチカバー215に設けられた摺動摘み217が段部234に当接してクラッチ213側への移動が規制される一方、この摺動摘217みが摺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバー215の移動が可能となる。これにより摺動摘み217の摺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバー215を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0118】
さらに、クラッチカバー215等で覆われることで視認できなくなった摘み222の回転位置が、回転位置表示手段241を介して知ることができ、操作性を向上させることができる。
【0119】
次に、上記した防犯性の得られる通常の操作状態から、常時既存サムターン221の回転を可能とする状態、すなわち、施解錠の操作が頻繁に行われる場合や、防犯性を一時的に無効にしたい場合などの際について説明する。
このような常時施解錠操作可能な状態とするには、まず、上記した施解錠操作時と同様に、摺動摘み217を摘み、クラッチカバー215を押込み移動させる。すなわち、クラッチカバー215のカバー側係合手段263を、クラッチ213のクラッチ側係合手段243に噛合させ、クラッチカバー215とクラッチ213との相対回転の規制状態とし、軸部233の先端を貫通穴257から突出状態とさせて、その状態で軸部先端に保持部材219を螺着させる。この保持部材219の螺着により、図16に示すように、保持部材219の縁部219aが先端側カバー215Bの貫通穴257の周囲の表面に係止し、軸部233に対するクラッチカバー215の移動状態を保持して各係合手段243,263の係合状態が維持される。
【0120】
従って、このように保持部材219を取り付けた状態とすることで、クラッチカバー215とクラッチ213とが常時、相対回転を規制された状態であり、すなわちクラッチカバー215と既存サムターン221とが直結状態となる。このことから、クラッチカバー215の回転が、両係合手段243,263を介して既存サムターン221に伝達され、従って、クラッチカバー215の回転操作が錠箱機構部に対して回転操作力として入力されることとなる。
そして、このような保持部材219による直結状態により、従来同様に簡便な施解錠が行えるサムターンとなる。
【0121】
また、上記したような、常時施解錠操作可能な状態から、上述した防犯性を得る通常の状態へと戻すには、保持部材219を取り除くことで、クラッチ213とクラッチカバー215との間に配設された圧縮バネ255の付勢力により、クラッチカバー215が軸部233の突出方向に付勢されて、上述した通常の状態に復帰する。
【0122】
なお、上述した第三の実施の形態では、クラッチカバー215の外形状を略円筒形状とし、その外周面に摺動摘み217を備えるような例について述べたが、上述した第二の実施の形態のように、クラッチカバー215の形状を略矩形枠状の挟持部と揺動摘みとで略矩形平板状の摘みを備えた構成としても良い。
【0123】
また、上述した各実施の形態では、保持部材19,119,219とされた保持手段を、別体構成とし、必要時に螺着などの手段で取り付けることで、回転操作部材15,115とサムターン軸11,111或いはクラッチカバー215と既存サムターン221とを直結状態とした構成について説明したが、この保持手段として、回転操作部材15,115或いはクラッチカバー215に予め設けられる構造などとし、例えば上述した第一の実施の形態と同様な雄ねじよりなる構成とし、回転操作部材の表面に回転自在に取り付け、回転操作部材を軸線方向に押し込んだ際にのみ、螺着を可能とする構成や、切換レバーなどにて構成し、回転操作部材の外表面のいずれかの位置に設け、同様に回転操作部材を押込み操作した際にのみ、両係合手段を係合した状態とし、これを維持する構造などとしてもよい。
【0124】
さらに、上述した第二,第三の実施の形態では、軸部133,233の先端が回転操作部材115或いはクラッチカバー215を貫通して突出し、この軸部先端に雌ねじを備えた保持部材119,219を螺着させる例としたが、上述した第一の実施の形態と同様に、軸部を短尺なものとして構成し、回転操作部材或いはクラッチカバーの表面から突出しない構成としてもよく、このような構成とした場合には、軸部先端に雌ねじを構成し、保持手段としては、第一の実施の形態同様に雄ねじで構成される保持部材とすればよい。なお、この場合は、通常の使用時において、貫通穴が開口した状態であることとなるので、上記同様、キャップにて閉塞させる。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る請求項1記載の防犯サムターンによれば、軸部に対して、回転操作部材が回動自在となり、これにより、針金や棒等を用いても、錠箱機構部への回転力の入力が阻止される。そして、その操作力を錠箱機構部へと伝達するには、操作部を摘み、操作部とともに回転操作部材を押しながら回転しなければならないため、針金により操作部を不正に操作しようとしても、回転操作部材が空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、操作部を摘んで、回転操作する動作は、従来からのサムターンの操作と略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
また、保持手段により、クラッチと係合手段とを係合状態で維持し、回転操作部材と軸部とを連結状態とすることで、上記した防犯状態を一時的に無効とすることができ、すなわち、回転操作部材とサムターン軸とを直結状態とすることができ、従来通りのサムターンによる施解錠操作と略同様の操作を行うことの可能な状態に切り換えることが可能となる。
【0126】
請求項2記載の防犯サムターンによれば、回転操作部材に設けられた揺動摘みが段部に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この摺動摘みが摺動操作されることで、規制が解除されて、回転操作部材の移動が可能となる。これにより摺動摘みの摺動操作、すなわち、摘み操作によって、回転操作部材を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0127】
請求項3記載の防犯サムターンによれば、回転操作部材に設けられた揺動摘みが段部に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この揺動摘みが揺動操作されることで、規制が解除されて、回転操作部材の移動が可能となる。これにより揺動摘みの揺動操作、すなわち、摘み操作によって、回転操作部材を移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0128】
請求項4記載の防犯サムターンによれば、回転操作部材を略平板状としたことで、施解錠の操作を行う際に、摘み易くなり、その操作性を向上させることが可能となる。
【0129】
請求項5記載の防犯サムターンによれば、貫通穴を有することで、その貫通穴を介し、軸部の端部に対して容易に保持手段を取り付けることが可能となり、上記した通常の防犯状態と、サムターンとして頻繁に使用する状態とで切り換えが可能なものとなる。
【0130】
請求項6記載の防犯サムターンによれば、既存サムターンの摘みがクラッチで覆われ、このクラッチがさらにクラッチカバーで覆われるので、針金や棒等を用いても、滑りにより回転力の入力が阻止される。そして、操作部の操作力を既存サムターンの摘みに伝達するには、操作部を摘み、操作部とともにクラッチカバーを押しながら回転しなければならないため、針金により操作部を不正に操作しようとしても、クラッチカバーが空転するのみとなる。すなわち、摘みながら押して回すという三つの動作を同時に行わなければならず、指による直接的な操作以外では操作が極めて困難となり、針金や棒を使用しての解錠が殆ど不可能となる。また、操作部を摘んで、回転操作する動作は既存サムターンの摘みと略同じとなり、それに新たに押す動作が加わるものの、手指による操作時ではこの押し動作は比較的容易に行えるので、違和感のない施解錠操作が可能となる。
また、保持手段により、クラッチと係合手段とを係合状態で維持し、クラッチカバーと軸部とを連結状態とすることで、上記した防犯状態を一時的に無効とすることができ、すなわち、クラッチカバーと既存サムターンとを直結状態とすることができ、従来通りのサムターンによる施解錠操作と略同様の操作を行うことの可能な状態に切り換えることが可能となる。
【0131】
請求項7記載の防犯サムターンによれば、クラッチカバーに設けられた摺動摘みが段部に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この摺動摘みが摺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバーの移動が可能となる。これにより摺動摘みの摺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバーを移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0132】
請求項8記載の防犯サムターンによれば、クラッチカバーに設けられた揺動摘みが段部に当接してクラッチ側への移動が規制される一方、この揺動摘みが揺動操作されることで、規制が解除されて、クラッチカバーの移動が可能となる。これにより揺動摘みの揺動操作(すなわち、摘み操作)によって、クラッチカバーを移動規制及び規制解除する機構が簡単な構造で実現可能となる。
【0133】
請求項9記載の防犯サムターンによれば、揺動摘みの平板状の摘み部により、既存サムターンの施解錠状態が一目瞭然となり、所望の操作前に、クラッチカバーを一旦回して既存サムターンの施解錠状態を確認するなどの動作が不要になり、操作性が向上する。
【0134】
請求項10記載の防犯サムターンによれば、貫通穴を有することで、その貫通穴を介し、軸部の端部に対して容易に保持手段を取り付けることが可能となり、上記した通常の防犯状態と、サムターンとして頻繁に使用する状態とで切り換えが可能なものとなる。
【0135】
請求項11記載の防犯サムターンによれば、回転自在な回転操作部材により施錠状態或いは解錠状態となる錠箱機構部内の視認できなくなった状態、或いは、クラッチカバー等で覆われることで視認できなくなった摘みの回転位置が、回転位置表示手段を介して知ることができ、操作性を向上させることが可能となる。
【0136】
請求項12記載の防犯サムターンによれば、回転操作部材或いはクラッチカバーに形成される貫通穴をキャップにより閉塞でき、これにより、不要な凹凸などを防ぐことができ、すなわち、針金や棒などを用いても、滑ることとなる。
【0137】
請求項13記載の防犯サムターンによれば、キャップにて閉塞された貫通穴を、透明な部材とすることで貫通穴の奥方を視認でき、これにより、例えば、軸部の端部に回転位置表示手段が構成されている場合に、これを確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防犯サムターンの第一の実施の形態の一部を切り欠いた分解側面図である。
【図2】図1に示した防犯サムターンの一部拡大分解斜視図である。
【図3】図1に示した防犯サムターンにおける通常時の縦断面図である。
【図4】図1に示した防犯サムターンの正面図である。
【図5】図1に示した防犯サムターンの通常時の横断面図である。
【図6】図1に示した防犯サムターンにおける操作時の縦断面視を表した動作説明図である。
【図7】は図1に示した防犯サムターンにおける操作切換時の縦断面視を表した動作説明図である。
【図8】本発明に係る防犯サムターンの第二の実施の形態の一部を切り欠いた分解平断面図である。
【図9】(a)は図8に示した防犯サムターンにおける通常時の正面図、(b)は同側断面図である。
【図10】図8に示した防犯サムターンにおける操作時の平断面視を表した動作説明図である。
【図11】図8に示した防犯サムターンにおける操作切換時の平断面視を表した動作説明図である。
【図12】本発明に係る防犯サムターンの第三の実施の形態の分解側面図である。
【図13】図12に示した防犯サムターンにおける通常時の正面図である。
【図14】同防犯サムターンのクラッチカバーの一部を示す分解斜視図である。
【図15】図12に示した防犯サムターンにおける操作時の縦断面視を表した動作説明図である。
【図16】図12に示した防犯サムターンにおける動作説明図である。
【図17】従来の防犯カバーの扉への取り付け状態を示す斜視図である。
【図18】図17に示した防犯カバーの内部状態を表す断面図である。
【図19】図17に示した防犯カバーの別態様を表す部分破断側面図である。
【図20】図17に示した防犯カバーのさらに別態様を表す部分破断側面図である。
【符号の説明】
10,110,210…防犯サムターン
11,111…サムターン軸
13,113,213…クラッチ
15,115…回転操作部材
17,217…操作部(摺動摘み)
19,119,219…保持手段(保持部材)
21,121…錠箱機構部
27,127…基台部
33,133,233…軸部
35,135,234…段部
41,141,241…回転位置表示手段
57,157,257…貫通穴
61…キャップ
63,163…係合手段(操作部材側係合手段)
117…操作部(揺動摘み)
153…揺動軸
215…クラッチカバー
221…既存サムターン
222…摘み
227…取付基台部
263…係合手段(カバー側係合手段)

Claims (13)

  1. 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
    前記サムターン軸とクラッチとを覆うとともに、該サムターン軸とクラッチとを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面側に固設される基台部と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部より延出する軸部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有した回転操作部材と、
    該回転操作部材に取り付けられ前記軸部に係止して該回転操作部材の軸線方向の移動を規制するとともに摘み操作されることで該規制を解除して前記係合手段と前記クラッチとの係合を可能とする操作部と、
    前記クラッチと前記係合手段とが係合された状態を維持して前記回転操作部材と前記軸部とを連結状態とする保持手段と、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  2. 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
    前記サムターン軸とクラッチとを覆うとともに、該サムターン軸とクラッチとを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面側に固設される基台部と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部より延出する軸部と、
    該軸部に形成される段部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有した回転操作部材と、
    該回転操作部材に、該回転操作部材の軸線と直交方向に挿着されて摺動自在に取り付けられ前記段部に当接して該回転操作部材の前記クラッチ側への移動を規制するとともに摺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段が係合する方向に前記回転操作部材の移動を可能とする摺動摘みと、
    前記クラッチと前記係合手段とが係合された状態を維持して前記回転操作部材と前記軸部とを連結状態とする保持手段と、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  3. 錠箱機構部に回動操作力を入力するサムターン軸と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に配設されるクラッチと、
    前記サムターン軸とクラッチとを覆うとともに、該サムターン軸とクラッチとを回動自在とし抜脱不能に支持して扉面側に固設される基台部と、
    該サムターン軸の前記錠箱機構部と反対側の端部に同軸となって設けられ、前記基台部より延出する軸部と、
    該軸部に形成される段部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有した回転操作部材と、
    該回転操作部材に、該回転操作部材の軸線と直交方向の揺動軸を介して揺動自在に取り付けられ前記段部に当接して該回転操作部材の前記クラッチ側への移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段が係合する方向に前記回転操作部材の移動を可能とする揺動摘みと、
    前記クラッチと前記係合手段とが係合された状態を維持して前記回転操作部材と前記軸部とを連結状態とする保持手段と、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  4. 請求項3記載の防犯サムターンであって、
    前記回転操作部材が略平板状の摘みを備え、前記揺動摘みが平板状の摘み部を有し、該摘み部が前記摘みと略平行に取り付けられることを特徴とする防犯サムターン。
  5. 請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の防犯サムターンであって、
    前記回転操作部材には、前記軸部の端部を表出させる貫通穴を有し、該貫通穴を介して、前記軸部の端部に前記保持手段が取り付けられることを特徴とする防犯サムターン。
  6. 既存サムターンの摘みに被着され前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有したクラッチカバーと、
    該クラッチカバーに取り付けられ前記軸部に係止して該クラッチカバーの軸線方向の移動を規制するとともに摘み操作されることで該規制を解除して前記係合手段と前記クラッチとの係合を可能とする操作部と、
    前記クラッチと前記係合手段とが係合された状態を維持して前記クラッチカバーと前記軸部とを連結状態とする保持手段と、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  7. 既存サムターンの摘みに被着される取付基台部を有し該取付基台部に、前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
    該クラッチの前記軸部に形成された段部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記取付基台部を覆うとともに前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有したクラッチカバーと、
    該クラッチカバーに、該クラッチカバーの軸線と直交方向に挿着されて摺動自在に取り付けられ前記段部に当接して該クラッチカバーの前記クラッチ側への移動を規制するとともに摺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段が係合する方向に前記クラッチカバーの移動を可能とする摺動摘みと、
    前記クラッチと前記係合手段とが係合された状態を維持して前記クラッチカバーと前記軸部とを連結状態とする保持手段と、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  8. 既存サムターンの摘みに被着される取付基台部を有し該取付基台部に、前記摘みの回動中心と同軸の軸部が突設されるクラッチと、
    該クラッチの前記軸部に形成された段部と、
    前記軸部に回転自在かつ軸線方向に移動自在となって抜脱不能に外挿され前記取付基台部を覆うとともに前記クラッチとの相対回転を阻止する係合手段を有したクラッチカバーと、
    該クラッチカバーに、該クラッチカバーの軸線と直交方向の揺動軸を介して揺動自在に取り付けられ前記段部に当接して該クラッチカバーの前記クラッチ側への移動を規制するとともに揺動操作されることで該規制を解除して前記係合手段が係合する方向に前記クラッチカバーの移動を可能とする揺動摘みと、
    前記クラッチと前記係合手段とが係合された状態を維持して前記クラッチカバーと前記軸部とを連結状態とする保持手段と、
    を具備したことを特徴とする防犯サムターン。
  9. 請求項8記載の防犯サムターンであって、
    前記揺動摘みが平板状の摘み部を有することを特徴とする防犯サムターン。
  10. 請求項6,7,8,9のいずれか1つに記載の防犯サムターンであって、
    前記クラッチカバーには、前記軸部の端部を表出させる貫通穴を有し、該貫通穴を介して、前記軸部の端部に前記保持手段が取り付けられることを特徴とする防犯サムターン。
  11. 請求項5又は10記載の防犯サムターンであって、
    前記軸部の表出する先端面に回転位置表示手段が設けられていることを特徴とする防犯サムターン。
  12. 請求項5又は10又は11記載の防犯サムターンであって、
    前記貫通穴には、開口を閉塞するキャップが取り付けられることを特徴とする防犯サムターン。
  13. 請求項12記載の防犯サムターンであって、
    前記キャップは、透明部材よりなることを特徴とする防犯サムターン。
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