JP4998505B2 - ウインチ取付構造 - Google Patents
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Description
このウインチ取付構造は、旋回体に起伏可能に連結されるブームに、ブーム先端に設けられたジブを起伏させるためのジブ起伏用ウインチと、吊り荷用の主巻用ウインチと、補巻用ウインチとが取り付けられたものである。
このウインチ取付構造を備えるクレーンでは、主巻用ウインチ及び補巻用ウインチがそれぞれ吊り荷用の主巻ロープ及び補巻ロープの巻上げ及び巻下げを行う。また、ジブ起伏ウインチがジブ起伏ロープの巻取り及び繰出しを行うことにより、ブーム先端のジブが起伏する。
この構成によると、ジブ起伏用ウインチ、主巻用ウインチ、及び補巻用ウインチはともにブームに据付けられているため、このクレーンの分解作業(すなわちクレーン本体からブームを切り離す作業)が行われた場合、その作業後のクレーン本体に上記各ウインチは残らない。これにより、クレーン本体の輸送質量を効果的に低減させることができる。
一方で、ブームの輸送高さをより低くする観点から、これらのウインチを、ブーム背面からの突出量が小さくなるように当該ブームに対して配置したいという要望もある。この場合、各ウインチから延びるロープがブーム構成部材と干渉しないように、主巻用ウインチ及び補巻用ウインチのそれぞれに対して、ジブ起伏用ウインチから延びるロープを案内するガイドシーブに相当するガイドシーブを設ける必要が生じる。
しかしながら、この場合、2つのガイドシーブを取り付けるスペースがブーム背面に更に必要となり、ウインチ取付構造が大型化してしまうという問題がある。
また、主巻用ウインチから延びる主巻ロープを案内するガイドシーブの取付構造、及び、補巻用ウインチから延びる補巻ロープを案内するガイドシーブの取付構造は、それぞれ、主巻ロープ及び補巻ロープから作用する力に耐えうる強度が求められる。そのため、大幅にブームを補強する必要があり、ブームの質量を大幅に増加させてしまうという問題がある。
また、2つのシーブが、一の本体部材に対して設けられているので、当該2つのシーブをブームに取り付けるためのスペースを小さくすることができる。
また、本体部材は、ブームに対して回動自在に設けられているので、当該本体部材とブームとの結合部を介して、本体部材からブームにモーメントが伝達されることがない。そのため、本体部材とブームとの結合部を過度に補強する必要はなく、当該結合部の重量が過度に増加してしまうことを抑制できる。
また、位置固定部材には、本体部材の回動を妨げるための力が作用するが、2つのウインチを同時に使用した場合であっても、当該位置固定部材に作用する力が過度に大きくなることはない。つまり、2つのウインチのうちの一方のウインチを使用したとき(当該一方のウインチから延びるロープに張力が発生したとき)に位置固定部材に作用する力を「第1作用力」とし、他方のウインチを使用したとき(当該他方のウインチから延びるロープに張力が発生したとき)に位置固定部材に作用する力を「第2作用力」とすると、2つのウインチを同時に使用した場合であっても、当該位置固定部材に作用する力は、前記第1作用力と前記第2作用力のいずれか大きいほうを上回ることはない。したがって、位置固定部材の強度は、前記第1作用力と前記第2作用力とに耐えうる強度であればよく、当該位置固定部材の重量が過度に増加してしまうことを抑制できる。
尚、ブームの内側とは、ブームの背面(起立側の面)とブームの腹面(倒伏側の面)との間の領域を意味する。
図1に示すように、クレーン100は、本発明の実施形態に係るウインチ取付構造1を備えるクレーンであって、クレーン本体に相当する旋回体2と、この旋回体2を旋回可能に支持する走行体3と、旋回体2に設けられたブーム4と、ブーム4の先端側に設けられたジブ5と、ブーム起伏用部材であるマスト6とを備える。
ブーム起伏用ウインチ21は、旋回体2に据え付けられる。一方、ジブ起伏用ウインチ22、主巻用ウインチ23、及び補巻用ウインチ24は、いずれもブーム4における基端側部材4Aに据え付けられる。
ブーム起伏用ウインチ21は、ブーム起伏用ロープ21aの巻取り及び繰出しを行い、この巻取り及び繰出しによりマスト6が回動するようにブーム起伏用ロープ21aが配置される。
具体的には、マスト6の回動端部及び旋回体2の後端部にはそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック14,15が設けられ、ブーム起伏用ウインチ21から引き出されたブーム起伏用ロープ21aがシーブブロック14,15間に掛け渡される。従って、ブーム起伏用ウインチ21は、ブーム起伏用ロープ21aの巻取りや繰出しによって両シーブブロック14,15間の距離を変化させ、これによってマスト6、さらにはこれと連動するブーム4を起伏方向に回動させる。
ジブ起伏用ウインチ22は、ジブ起伏用ロープ22aの巻取り及び繰出しを行い、この巻取り及び繰出しによりフロントストラット8が回動するようにジブ起伏用ロープ22aが配置される。
具体的には、基端側部材4Aの先端部背面側にガイドシーブ16が設けられ、先端側部材4Cの先端部背面側にガイドシーブ17が設けられる。そして、リヤストラット7の回動端部及びフロントストラット8の回動端部にそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック18,19が設けられ、ジブ起伏用ウインチ22から引き出されたジブ起伏用ロープ22aがガイドシーブ16,17に掛けられ、かつ、シーブブロック18,19間に掛け渡される。従って、ジブ起伏用ウインチ22は、ジブ起伏用ロープ22aの巻取りや繰出しによって、両シーブブロック18,19間の距離を変化させ、これによってフロントストラット8、さらにはこれと連動するジブ5を起伏方向に回動させる。
主巻用ウインチ23は、主巻ロープ23aの巻取り及び繰出しを行い、これにより、主巻ロープ23aによる吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。
具体的には、リヤストラット7の基端近傍部位、フロントストラット8の基端近傍部位、及びジブ5の先端部にはそれぞれ主巻用ガイドシーブ31M,32M,33Mが回転可能に設けられ、さらに主巻用ガイドシーブ33Mに隣接する位置に複数のシーブが幅方向に配列された主巻用シーブブロック34が設けられており、主巻用ウインチ23から引き出された主巻ロープ23aが主巻用ガイドシーブ31M,32M,33Mに順に掛けられ、かつ、主巻用シーブブロック34と、吊荷用の主フック35に設けられたシーブブロック36との間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ23は、主巻ロープ23aの巻取りや繰出しによって、両シーブブロック34,36間の距離を変化させ、これによって、主フック35の巻上げ及び巻下げを行う。
補巻用ウインチ24は、補巻ロープ24aの巻取り及び繰出しを行い、これにより、補巻ロープ24aによる吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。
具体的には、主巻用ガイドシーブ31M,32M,33Mとそれぞれ同軸に補巻用ガイドシーブ31S,32S,33Sが回転可能に設けられ、さらに補巻用ガイドシーブ33Sに隣接する位置にポイントシーブ37が回転可能に設けられており、補巻用ウインチ24から引き出された補巻ロープ24aが補巻用ガイドシーブ31S,32S,33Sに順に掛けられ、かつ、ポイントシーブ37から垂下される。従って、補巻用ウインチ24は、補巻ロープ24aの巻取りや繰出しによって、補巻ロープ24aの末端に連結された吊荷用の補フック38の巻上げ及び巻下げを行う。
ジブ起伏用ウインチ22、主巻用ウインチ23、及び補巻用ウインチ24並びにその取付構造を図2〜図6に示す。尚、図2において、ジブ起伏用ウインチ22及びジブ起伏用ロープ22aのガイドシーブ16は二点差線で示し、図3において、これらは省略している。また、図6において、第2ガイドシーブ62の近傍を図4におけるA−A断面として示している。
これらのブラケット44,45,46は、それぞれ、隣り合う桟材41F間に、左右一対で掛け渡されている。また、これらのブラケット44,45,46は、この順で、基端側部材4Aの先端側(中間部材4Bとの接続部側)から基端側(連結部43側)に向かって並んで配置されている。
さらに、ブーム長手方向におけるジブ起伏用ウインチ22と主巻用ウインチ23との間に位置する桟材41Bには、主巻ロープ23a及び補巻ロープ24aの双方を案内するためのガイドシーブユニット60が固定されている。
図4〜図6に示すように、このガイドシーブユニット60は、以下のように構成される。
即ち、当該ガイドシーブユニット60は、主巻ロープ23aを案内するための第1ガイドシーブ61と、補巻ロープ24aを案内するための第2ガイドシーブ62とを備えている。そして、これらの第1ガイドシーブ61及び第2ガイドシーブ62は、それぞれ回動自在且つ回動軸方向にスライド自在に、第1回動軸63及び第2回動軸64に支持されている。当該第1回動軸63及び第2回動軸64の両端は、一対の側板65(本体部材)に回動自在に支持されている。当該一対の側板65は、棒状の連結部材68,69で連結されている。また、ブーム4には、一対の連結部材66が固定されており、当該一対の連結部材66に対して、一対の側板65が回動自在に連結されている。また、第2回動軸64の端部と本体フレーム51とが一対の連結ロッド67(位置固定部材)によって連結されている。
尚、本実施形態においては、第1回動軸63の回動中心と側板65の連結部材66に対する回動中心との距離が、第2回動軸64の回動中心と側板65の連結部材66に対する回動中心との距離に比べて、やや長くなるように形成されている。
また、当該連結ロッド67の他端は、本体フレーム51の背面側の端部に回動自在に連結されている。この連結ロッド67により、側板65の連結部材66に対する回動が拘束される。尚、連結ロッド67と本体フレーム51との連結は、ピン51aを連結ロッド67の端部に設けられた取付孔と本体フレーム51に設けられた取付孔とに差し込むことにより行われている。
具体的には、第1ガイドシーブ61は、主巻用ウインチ23よりもブーム先端側に配置されている。そして、当該第1ガイドシーブ61は、その回動中心が、ブーム4の背面からブーム4の外側(起立側)に所定量離れて位置するように配置されている。また、主巻用ウインチ23から引き出される主巻ロープ23aに張力が生じたときに、連結部材66に対して矢印R1方向に回動する力が当該側板65に作用するように構成されている。
具体的には、第2ガイドシーブ62は、第1ガイドシーブ61と略同じ形状のシーブであって、その回動中心が、第1ガイドシーブ61の回動中心よりもブーム基端側に位置し、且つ、第1ガイドシーブ61の回動中心よりも、ブーム4の背面からブーム4の外側(起立側)に離れるように配置されている。また、補巻用ウインチ24から引き出される補巻ロープ24aに張力が生じたときに、連結部材66に対して矢印R2方向に回動する力が当該側板65作用するように構成されている。
クレーン100では、主巻用ウインチ23及び補巻用ウインチ24がそれぞれ主巻ロープ23a及び補巻ロープ24aの巻取り及び繰出しを行うことにより、吊り荷の巻上げ及び巻下げが行われる。
主巻用ウインチ23のみ使用して吊り荷の巻上げ及び巻下げが行われる場合は、ガイドシーブユニット60には、以下のように力が作用する。
主巻用ウインチ23から引き出される主巻ロープ23aに張力が生じるため、第1ガイドシーブ61を介して、側板65に、ピン66aを中心とした矢印R1方向への回動力が作用する。そのため、連結ロッド67には、その軸方向に、当該回動力に対応した引張の力が作用する。
補巻用ウインチ24のみ使用して吊り荷の巻上げ及び巻下げが行われる場合は、ガイドシーブユニット60には、以下のように力が作用する。
補巻用ウインチ24から引き出される補巻ロープ24aに張力が生じるため、第2ガイドシーブ62を介して、側板65に、ピン66aを中心とした矢印R2方向への回動力が作用する。そのため、連結ロッド67には、その軸方向に、当該回動力に対応した圧縮の力が作用する。
主巻用ウインチ23及び補巻用ウインチ24の双方を同時に使用して吊り荷の巻上げ及び巻下げが行われる場合は、ガイドシーブユニット60には、以下のように力が作用する。
主巻ロープ23a及び補巻ロープ24aに張力が生じるため、第1ガイドシーブ61を介して側板65に作用する矢印R1方向への回動力(以下、「第1回動力」という)と、第2ガイドシーブ62を介して側板65に作用する矢印R2方向への回動力(以下、「第2回動力」という)とが側板65に対して作用する。
以上説明したように、本実施形態に係るウインチ取付構造1は、ブーム4に設けられた主巻用ウインチ23及び補巻用ウインチ24と、当該ブーム4に対して回動自在に設けられた一対の側板65(本体部材)と、一対の側板65に対して回動自在に設けられた第1ガイドシーブ61及び第2ガイドシーブ62と、一対の側板65のブーム4に対する回動を拘束するように、ブーム4と一対の側板65との間に設けられた一対の連結ロッド67(位置固定部材)と、を備えている。
そして、第1ガイドシーブ61には、主巻用ウインチ23からブーム4の先端に向かって延びる主巻ロープ23aが掛けられ、当該主巻ロープ23aに張力が生じたときに、一対の側板65に対して、当該一対の側板65を一の方向(図4における矢印R1方向)に回動する力が作用する。
また、第2ガイドシーブ62には、補巻用ウインチ24からブーム4の先端に向かって延びる補巻ロープ24aが掛けられ、当該補巻ロープ24aに張力が生じたときに、一対の側板65に対して、当該一対の側板65を前記一の方向とは逆の方向(図4における矢印R2方向)に回動する力が作用する。
尚、側板65を連結部材66に連結するためのピン66a及び連結ロッド67を本体フレーム51に連結するためのピン51aを取り外すことで、ガイドシーブユニット60をブーム4から容易に取り外すことができる。そのため、ブーム4の背面側に突出するように設けられるガイドシーブユニット60を取り外して輸送することも容易である。
4 ブーム
23 主巻用ウインチ
24 補巻用ウインチ
50 ウインチドラム
51 本体フレーム(ドラム支持部材)
60 ガイドシーブユニット
61 第1ガイドシーブ
62 第2ガイドシーブ
65 側板(本体部材)
67 連結ロッド(位置固定部材)
100 クレーン
Claims (3)
- ブームに設けられた2つのウインチと、
当該ブームに対して回動自在に設けられた本体部材と、
前記本体部材に対して回動自在に設けられた2つのシーブと、
前記本体部材の前記ブームに対する回動を拘束するように、当該ブームと当該本体部材との間に設けられた位置固定部材と、
を備え、
前記2つのシーブのうちの一方のシーブには、前記2つのウインチのうちの一方のウインチから前記ブームの先端に向かって延びるロープが掛けられ、当該ロープに張力が生じたときに、前記本体部材に対して、当該本体部材を一の方向に回動する力が作用し、
前記2つのシーブのうちの他方のシーブには、前記2つのウインチのうちの他方のウインチから前記ブームの先端に向かって延びるロープが掛けられ、当該ロープに張力が生じたときに、前記本体部材に対して、当該本体部材を前記一の方向とは逆の方向に回動する力が作用する、
ウインチ取付構造。 - 前記位置固定部材は、前記本体部材と、前記ウインチのドラムを支持するドラム支持部材とを連結する
請求項1に記載のウインチ取付構造。 - 前記2つのウインチは、当該ウインチの回動中心が前記ブームの内側に位置するように、当該ブームに設けられている
請求項1又は2に記載のウインチ取付構造。
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