JP4995472B2 - 感熱性粘着材料および感熱性粘着シート - Google Patents
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Description
その記録方式もインクジェット記録方式、感熱記録方式、感圧記録方式等様々な方式がある。従来より、ラベルの情報記録面とは反対面に、粘着剤層と剥離紙を積層した一般的な粘着シートが広く使用されている。
しかし、一般的な構成の粘着材料は、剥離紙を剥がして使用するが、剥がされた剥離紙は回収されて再利用され難く、ほとんどの場合廃棄処分されている。そこで近年では、常温では粘着性を示さず剥離紙を必要としない感熱性粘着材料が注目されている。
また、感熱性粘着剤は、非特許文献1に記載されているように、基本的には熱可塑性樹脂と固体可塑剤のような熱溶融性物質及び必要に応じて粘着付与剤を含有してなるものである。
このような感熱性粘着剤を用いる際の粘着力発現には、貼り付ける相手である被着体表面との密着性が重要であり、被着体表面の凹凸が大きい場合に感熱性粘着剤が十分な機能を発現しにくいことになる。
一般にこのような凹凸の大きな表面(粗面)に対して粘着性を発現するには、感熱性粘着剤に限らず一般の粘着剤も含めて、粘着剤層の厚さを大きくすることが有効であり、その厚さによって被着体表面の凹凸を埋めることが行われてきた。
しかしながら、粘着剤層としての厚さを大きくすることは、価格的なデメリットが大きいことに加えて、感熱粘着剤層全体を加熱する際に非常に多くの熱エネルギーを必要とするため非効率であり実用的な方法とは言いがたい。
例えば、特許文献1、特許文献2においては、熱可塑性樹脂として、ガラス転移点が0℃以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体又はガラス転移点が−5℃以上の熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)等を用いることが提案されている。しかし、これらはステンレス板等に対する粘着力は比較的良好な結果が得られるものの、塩化ビニルラップやポリオレフィンラップ等に対する粘着力は、未だ実用レベルに達していないものであった。
例えば、特許文献3には、基材と感熱発色層の間に非発泡中空粒子を含有させたアンダーコート層を設けてなる感熱性粘着材料であって、フタル酸ジシクロヘキシルを固体可塑剤とする感熱性粘着剤を用いたものが提案されている。この感熱性粘着材料はアンダーコート層が設けられているため、感熱発色層の熱感度向上と熱活性化時生じる感熱発色層の地肌発色防止の点でほぼ満足できるレベルであるが、該粘着材料を重ね合わせる際に発生するブロッキング性(意図しない粘着機能発現)に関して、それが40℃程度で発生してしまい、実用化レベルには達していないものである。
特許文献6では、2層以上の感熱性粘着剤層を設け、各層の最大粘着力を発現させる温度が相互に異なっているという技術によって、低温環境から高温環境まで広い環境下で粘着性を発現することができるが、これもダンボールのような粗面に対しては粘着力が弱く、比較的低い温度で粘着機能を発現する層の影響でブロッキングが発生することがある。
以上のように固体可塑剤を中心に感熱性粘着剤中の熱溶融性物質に対する検討は多く行われているが、粘着機能の向上とブロッキング防止機能が背反の関係にあり、両立が十分でないのが現状である。
本発明の第3は、ベンゾトリアゾール系化合物が化学式(2)で示されることを特徴とする請求項2記載の感熱性粘着材料に関する。
本発明の第6は、熱溶融性物質が分散状態で存在し、その分散剤が、数平均分子量が10000以上40000以下で鹸化度が70%以上のポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感熱性粘着材料に関する。
本発明の第7は、請求項1〜6のいずれかに記載の感熱性粘着材料を、支持体の片面に塗布して形成したことを特徴とする感熱性粘着シートに関する。
本発明の第8は、支持体と感熱性粘着材料層との間に、中空粒子とバインダ樹脂とを含む中間層を有することを特徴とする請求項7記載の感熱性粘着シートに関する。
本発明の第9は、支持体の一方の面に請求項1〜6のいずれかに記載の感熱性粘着材料を塗布し、その反対側の面にロイコ染料と顕色剤とを含有する感熱記録層をさらに備えたことを特徴とする感熱性粘着シートに関する。
本発明の第10は、支持体の一方の面に請求項1〜6のいずれかに記載の感熱性粘着材料を塗布し、その反対側の面にインクジェット記録層または熱転写インク受容層を備えたことを特徴とする感熱性粘着シートに関する。
本発明の第11は、ライン型サーマルヘッドによって熱を印加することにより粘着機能が発現することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の感熱性粘着シートに関する。
本発明は、熱可塑性樹脂及び熱溶融性物質を主成分とする感熱性粘着材料において、一般式(1)
上記のポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールアルキルエーテルを含有させることによって潤滑性を付与することができ、その結果高いブロッキング防止効果を得ることができる。
一方、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールアルキルエーテルは熱可塑性樹脂や熱溶融性物質のバインダとして働き、流動性が高いためダンボールなどへの粗面にも溶融した熱可塑性樹脂が浸透し粘着可能となる。
さらに、0℃程度の低温環境下ではポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールアルキルエーテルによって凝固点を低下させるため、こうした環境の変化においても粗面への粘着性が損なわれない。
本発明におけるポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールアルキルエーテルの添加量について、熱可塑性樹脂に対し0.1重量部未満では上記粘着機能向上および耐ブロッキング性の効果はなく、逆に1重量部を超えると熱可塑性樹脂の持つ粘着特性を低下させることがある。より好ましくは、熱可塑性樹脂1部に対しポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールアルキルエーテルの添加量が0.1〜0.5重量部である。
また、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、−70℃以上−5℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が−5℃より高くなると、粘着性が低下し、−70℃より低くなると、耐ブロッキング性が低下する。
本発明の主たる実施形態としては、支持体上に感熱性粘着剤液を塗布し、感熱性粘着シートとして使用する。
また、この原紙は、金属ロールと合成樹脂ロールとからなるカレンダー装置をオンマシン処理しても良い。その際、オフマシン処理しても良く、処理後に、更にマシンカレンダー、スーパーカレンダー等でカレンダー処理を施して平坦性をコントロールしても良い。
原紙に含まれる填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料等が挙げられる。
また、紙力増強剤は、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、各種変性デンプン、植物ガム、CMC等が上げられる。
本発明に係わる支持体としてはさらに、グラシン紙、アート紙、コーテッド紙、キャスト紙などの一般紙を用いることができ、填料、サイズ剤、紙力増強剤、染料等、通常抄紙で用いられる原材料を必要に応じて使用することが可能である。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等のプラスチックシート、およびこれらの合成繊維からなる合成紙や不織布、または合成樹脂を紙に片面、または両面にラミネートしたラミネート紙、金属箔、または金属箔と紙、蒸着紙、ホログラム処理を施した不透明シート、合成樹脂フィルムとの貼り合わせ品、マイカ紙、ガラスペーパー等も使用可能である。
感熱性粘着材料中の熱可塑性樹脂の含有率は、好ましくは、15〜50重量%、さらに好ましくは、20〜50重量%である。熱可塑性樹脂の含有率が15重量%未満の場合、いずれも粘着力の低下となるので望ましくない。
また、熱可塑性樹脂の含有率が50重量%を超えた場合には、通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど保存上の不具合(ブロッキング)が生じる。
融点が70℃未満であると、感熱性粘着シートとしたときに通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど、保存上の不具合(ブロッキング)が生じる。また、感熱性粘着剤の塗布液を支持体に塗布乾燥するときに粘着力が発現するなどの製造上の不具合も生じるときがある。融点が200℃を超えると粘着力を発現させるために大量のエネルギーが必要となり、実用上の不具合が生じる。
本発明において、感熱性粘着材料中の熱溶融性物質の含有率は、好ましくは、25〜80重量%であり、さらに好ましくは、40〜75重量%である。熱溶融性物質の含有率が25重量%未満の場合、通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど保存上の不具合(ブロッキング)が生じ、80重量%を超えた場合には、粘着力の低下を来たすことがある。
このような熱溶融性物質のうち、粘着特性と耐ブロッキング性との両方に比較的優れるものとして、化学式(2)で示されるベンゾトリアゾール系化合物、化学式(3)で示されるトリフェニルホスフィン系化合物が好ましい。
これらの熱溶融性物質および化合物は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、ダイノミル、アトライター、ヘンチェルミキサー等の湿式もしくは乾式の粉砕機により微粒化され水分散液として用いられるが、従来公知の方法でマイクロカプセル化して使用することも可能である。熱溶融性物質の粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下であるが、実用上からは0.7〜2μmである。
このポリビニルアルコール系樹脂としては、公知の方法で製造され、ポリ酢酸ビニルの鹸化物以外に、他のビニルエステルと共重合しうる単量体を含有していても良く、かかる単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、あるいはその塩、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩が挙げられる。
より好ましくは、オレフィンスルホン酸あるいはその塩の共重合体であり、熱溶融性物質と熱可塑性樹脂との相溶性が良いため、熱溶融時の粘着特性が向上する。上記ポリビニルアルコール系樹脂の数平均分子量は10000以上40000以下が好ましい。
数平均分子量が10000以下の場合、感熱性粘着剤層の結着力が弱くなり、ブロッキング性が大きく低下する。一方、数平均分子量が40000以上の場合、ブロッキング性は優れるものの、ダンボールのような粗面被着体への粘着力が低下することがある。
また、分散剤の添加量は、熱溶融性物質100重量部に対して、2〜10重量部が好ましい。2重量部未満の場合、熱溶融性物質の分散不良となり、生産工程でトラブルとなる。一方、10重量部を超えて添加した場合は粘着力の低下を引き起こす。
また、鹸化度は70%以上が好ましく、70%以下の場合、自身の水溶性も低下する傾向にあるため、熱溶融性物質の分散をしにくくなり、分散工程においてトラブルを引き起こし易くなる。
更に、感熱性粘着剤層の粘着力を向上させる為に、感熱性粘着剤層中に粘着付与剤を添加してもよい。
かかる粘着付与剤は、一般的に用いられる種々の化合物が挙げられ、例えば、粘着付与剤であるロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン)又はテルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂)、石油系樹脂、フェノール系樹脂及びキシレン系樹脂を用いてもよい。
本発明の感熱性粘着材料においては、上記成分以外にブロッキング防止のために、酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物や、ステアリン酸金属塩、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉末等の有機物を添加してもよく、さらに必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤等を使用してもよい。
中間層としては、断熱効果を有するプラスチック球状中空粒子および熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。断熱効果が不充分であるとサーマルヘッドからの熱エネルギーが支持体を通じて外へ放出され、高感度熱活性化効果が劣る。さらにバインダ樹脂として熱可塑性樹脂を含有することによって、加熱時に感熱性粘着剤層と中間層中の熱可塑性樹脂とが混ざり合って、粘着剤量が増し、ダンボール等の粗面被着体やポリオレフィンラップに対する粘着力が強くなる。
中間層に使用される熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の樹脂が挙げられる。一方、必要に応じてフィラーを含有することができ、無機又は有機フィラー例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の微粉末、中空フィラー等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
感熱発色層においては、支持体上にロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱発色層を形成させることができる。
本発明において用いられるロイコ染料としては、一般にこの種のロイコ系記録材料において知られているロイコ染料が適用され、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等を用いることができる。顕色剤としては、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等の電子受容性の化合物を用いることができる。ロイコ染料による感熱発色層を設けると、他に記録用のインクなどを必要としないで画像の記録が可能となり、装置の簡略化およびコスト低減といった長所がある。
また、本発明により感熱記録層を形成させる場合は、填料として種々の熱可融性物質を使用することができる。その具体例として、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸の金属塩類;p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、シュウ酸ジベンジル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。
熱転写記録およびインクジェット記録用のインク受容層は、填料、バインダ樹脂、耐水化剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。填料は前述の公知のものを使用することができる。
前記バインダ樹脂としては、特に制限はなく、公知の水溶性樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン又はその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記耐水化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、クロムミョウバン、メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポアミド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。さらに、インク受容層の表面をキャレンダーなどにより、平滑度500秒以上に処理することにより、上記填料による効果に加えて印字品質を一層向上させることができる。
本発明の感熱記録層またはインク受容層は、一般に知られている方法により形成することができる。
例えば、先ず、顔料を結合剤水溶液と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、熱可融性物質(増感剤)分散液等と共に、一定処方で混合して感熱記録層またはインク受容層塗布液を調製し、支持体に塗布することによって感熱記録層またはインク受容層を形成することができる。
本発明の感熱性粘着剤層および感熱記録層またはインク受容層を設ける塗工方法として、通常紙塗工用に用いられているブレードコーター、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ディップコーター、落下カーテンコーター、スライドコーター、ダイコーター等、若しくはフレキソ、凸版、グラビア、オフセット等の各種印刷機を用いて支持体に塗工、印刷される。支持体に塗工若しくは印刷の際の乾燥条件は使用される熱溶融性物質が融解しない温度範囲で乾燥されなければならない。乾燥の手段としては熱風乾燥の他に赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を利用した乾燥方法が使用できる。
また本感熱記録材料の感熱性粘着層の反対面(表面)には目的に応じたプレ印刷層も設けることもできるし、センシング手段としてのアイマーク印刷を表面もしくは感熱粘着層面に設けることもできる。双方の印刷はUV印刷、EB印刷、フレキソ印刷等一般的な印刷方法が挙げられる。
更に、本発明に係る感熱性粘着材料を用いて作製された感熱性粘着ラベルシートは、公知の芯材にロール状に巻き付けられていてもよく、また芯材を用いずにロール状となっていてもよい。
これらの中でも、前記ダンボールは、一般に感熱性粘着材料を貼付することが難しいが、本発明の感熱性粘着材料の場合、経時により強い粘着力を発現させることができるため、該ダンボールであっても強固に貼付することができる点で有利である。
本発明の感熱性粘着材料における前記感熱性粘着剤層を熱活性化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱風による活性化方法、熱ロールによる活性化方法、サーマルヘッドによる活性化方法、などが挙げられる。
これらの中でも、ライン型サーマルヘッドによる活性化方法が好ましく、以下の本発明の感熱性粘着材料の熱活性化方法が特に好ましい。この場合、既存の感熱記録プリンタ装置を用いて前記感熱粘着材料の両面を加熱することにより、前記感熱記録層への記録と、前記感熱性粘着剤層の熱活性化とを行うことができる点で有利である。
なお、以下に示す部および%は何れも重量基準である。
熱溶融性物質分散液の調製
下記組成からなる混合物を、体積平均粒径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して、熱溶融性物質分散液1を調製した。
2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール 20重量部
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル
〔商品名:HS−3520(大日本インキ製)〕 10重量部
ビニルアルコールおよびアリルスルホン酸ナトリウム共重合体
〔商品名:L−3266(日本合成化学製、数平均分子量15000、鹸化度88%)〕の10%水溶液 15重量部
界面活性剤(アルキル−アリルスルホン酸塩) 0.15重量部
水 54.85重量部
上記で作成した熱溶融性物質分散液を用いて、以下のような感熱性粘着剤液1を作成した。
感熱性粘着剤液1の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−2000(数平均分子量2000、三洋化成社製)〕 3重量部
熱溶融性物質分散液1 67重量部
次に、前記感熱性粘着剤液1を80g/m2の片面コート紙の裏面に乾燥質量16g/m2となるように塗布乾燥し、感熱性粘着シートを作製した。
以下の感熱性粘着剤液2を実施例1と同様に塗布乾燥し感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液2の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−10000(数平均分子量10000、三洋化成社製)〕3重量部
熱溶融性物質分散液1 67重量部
以下の感熱性粘着剤液3を実施例1と同様に塗布乾燥し感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液3の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−2000(数平均分子量2000、三洋化成社製)〕 15重量部
熱溶融性物質分散液1 55重量部
以下の感熱性粘着剤液4を実施例1と同様に塗布乾燥し感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液4の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコールジメチルエーテル(数平均分子量2000) 3重量部
熱溶融性物質分散液1 67重量部
以下の感熱性粘着剤液5を実施例1と同様に塗布乾燥し感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液5の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−1000(数平均分子量1000、三洋化成社製)〕 3重量部
熱溶融性物質分散液1 67重量部
以下の感熱性粘着剤液6を実施例1と同様に塗布乾燥し感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液6の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−2000(数平均分子量2000、三洋化成社製)〕 4重量部
熱溶融性物質分散液1 66重量部
熱溶融性物質分散液2の調製
下記組成からなる混合物を、体積平均粒径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して、熱溶融性物質分散液2を調製した。
ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド
20重量部
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル
〔商品名:HS−3520(大日本インキ製)〕 10重量部
ビニルアルコールおよびアリルスルホン酸ナトリウム共重合体
〔商品名:L−3266(日本合成化学製、数平均分子量15000、鹸化度88%)〕の10%水溶液 15重量部
界面活性剤(アルキル−アリルスルホン酸塩) 0.15重量部
水 54.85重量部
上記で作成した熱溶融性物質分散液2を用いて、以下のような感熱性粘着剤液8を作製し、実施例1と同様に塗布乾燥し、感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液8の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−2000(数平均分子量2000、三洋化成社製)〕 3重量部
熱溶融性物質分散液2 67重量部
熱溶融性物質分散液3の調製
下記組成からなる混合物を、体積平均粒径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して、熱溶融性物質分散液3を調製した。
トリス(p−tert−ブトキシフェニル)ホスフィン 20重量部
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル
〔商品名:HS−3520(大日本インキ製)〕 10重量部
ビニルアルコールおよびアリルスルホン酸ナトリウム共重合体
〔商品名:L−3266(日本合成化学製、数平均分子量15000、鹸化度88%)〕の10%水溶液 15重量部
界面活性剤(アルキル−アリルスルホン酸塩) 0.15重量部
水 54.85重量部
上記で作成した熱溶融性物質分散液3を用いて、以下のような感熱性粘着剤液9を作製し、実施例1と同様に塗布乾燥し、感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液9の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−2000(数平均分子量2000、三洋化成社製)〕 3重量部
熱溶融性物質分散液3 67重量部
熱溶融性物質分散液4の調製
下記組成からなる混合物を、体積平均粒径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して、熱溶融性物質分散液4を調製した。
トリス(p−tert−ブトキシフェニル)ホスフィン 30重量部
ビニルアルコールおよびアリルスルホン酸ナトリウム共重合体
〔商品名:L−3266(日本合成化学製、数平均分子量15000、鹸化度88%)〕の10%水溶液 15重量部
界面活性剤(アルキル−アリルスルホン酸塩) 0.15重量部
水 54.85重量部
上記で作成した熱溶融性物質分散液4を用いて、以下のような感熱性粘着剤液10を作製し、実施例1と同様に塗布乾燥し、感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液10の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−2000(数平均分子量2000、三洋化成社製)〕 3重量部
熱溶融性物質分散液4 67重量部
熱溶融性物質分散液5の調製
下記組成からなる混合物を、体積平均粒径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して、熱溶融性物質分散液5を調製した。
2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール 20重量部
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル
〔商品名:HS−3520(大日本インキ製)〕 10重量部
ビニルアルコールおよびアリルスルホン酸ナトリウム共重合体
(数平均分子量80000、鹸化度88%)の10%水溶液 15重量部
界面活性剤(アルキル−アリルスルホン酸塩) 0.15重量部
水 54.85重量部
上記で作成した熱溶融性物質分散液5を用いて、以下のような感熱性粘着剤液11を作製し、実施例1と同様に塗布乾燥し、感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液11の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
ポリエチレングリコール
〔商品名:PEG−2000(数平均分子量2000、三洋化成社製)〕 3重量部
熱溶融性物質分散液5 67重量部
上記で作成した熱溶融性物質分散液5を用いて、以下のような感熱性粘着剤液12を作製し、実施例1と同様に塗布乾燥し、感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液12の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
熱溶融性物質分散液5 70重量部
実施例1で作成した熱溶融性物質分散液1を用いて、以下のような感熱性粘着剤液13を作製し、実施例1と同様に塗布乾燥し、感熱性粘着シートを作製した。
感熱性粘着剤液13の調製
メチルメタアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体エマルジョン
〔ガラス転移温度(Tg):−65℃、不揮発分50%〕 30重量部
熱溶融性物質分散液1 70重量部
<粘着特性の評価>
得られた各感熱性粘着材料を40mm×150mmの長方形にカットし、感熱印字装置(大倉電気株式会社製、TH−PMD)を用いて、ヘッド条件:エネルギー0.50mJ/dot、印字スピード:4ms/line、プラテン圧:6kgf/lineの条件にて、感熱性粘着材料を熱活性化させた。次いで、各環境条件下のダンボールに加圧2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、1時間保管後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させた。
その時の粘着力をフォースゲージ(MODEL DPS−5、IMADA製)で測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り平均化した数値で示した。
なお、単位はgf/40mmである。
この試験は、低温環境(5℃35%RH)、常温環境(23℃、65%RH)条件下で実施した。
<ブロッキング評価>
得られた各感熱性粘着材料を50mm×50mmにカットし、同サイズのPPC用紙と貼り合わせて重ね、5kgの荷重をかけ60度環境に24時間保存した。感熱性粘着材料を剥がすときの剥がれ方を目視で以下のようにランク付けして評価をおこなった。
ブロッキング性:
◎・・・貼り付いておらず軽い力で剥離することができる。
○・・・わずかに貼り付いているが、剥離時に音がする程度で剥離することができる。
△・・・貼り付いており、粘着剤層が若干脱落する。
×・・・貼り付き、かつ粘着剤層が完全に脱落する、または剥離することができない。
<評価結果>
Claims (11)
- 熱溶融性物質が、ベンゾトリアゾール系化合物、リン酸エステル系化合物の群より選ばれる少なくとも1種類を含むものであることを特徴とする請求項1記載の感熱性粘着材料。
- 更に、過冷却性促進剤としてシュウ酸ジベンジルエステル化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱性粘着材料。
- 熱溶融性物質が分散状態で存在し、その分散剤が、数平均分子量が10000以上40000以下で鹸化度が70%以上のポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感熱性粘着材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の感熱性粘着材料を、支持体の片面に塗布して形成したことを特徴とする感熱性粘着シート。
- 支持体と感熱性粘着材料層との間に、中空粒子とバインダ樹脂とを含む中間層を有することを特徴とする請求項7記載の感熱性粘着シート。
- 支持体の一方の面に請求項1〜6のいずれかに記載の感熱性粘着材料を塗布し、その反対側の面にロイコ染料と顕色剤とを含有する感熱記録層をさらに備えたことを特徴とする感熱性粘着シート。
- 支持体の一方の面に請求項1〜6のいずれかに記載の感熱性粘着材料を塗布し、その反対側の面にインクジェット記録層または熱転写インク受容層を備えたことを特徴とする感熱性粘着シート。
- ライン型サーマルヘッドによって熱を印加することにより粘着機能が発現することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の感熱性粘着シート。
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