JP4994349B2 - 深槽曝気槽の硝化担体循環方法 - Google Patents

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Description

本発明は、下水など窒素化合物を含む有機性排水を処理する深槽曝気槽に添加された硝化担体の循環方法に関する。
下水など窒素化合物を含む有機性排水を曝気槽により生物処理する際に、硝化菌を担持させた硝化担体を曝気槽内に添加して処理応力を高めることが知られている。この硝化担体は1.02〜1.06程度の比重を持つものであるが、曝気槽が通常の深槽曝気槽である場合には、添加した硝化担体のかなりの部分が槽内の旋回流に乗りきれないことがあり、乱流部或いは停滞部に流れ込む。これらの硝化担体は槽底部に沈降して散気装置下側の槽壁側隅に堆積し、硝化反応に有効に寄与しない。
即ち、図6及び図7は従来の深槽曝気槽の構成を示すもので、深槽曝気槽の槽本体1の中央に被処理水の流下方向に沿ってバッフル板2が垂直に設けられ、バッフル板2で仕切られた槽本体1の片側の中段付近に複数の散気装置3が設けられている。このような従来の深槽曝気槽においては、バッフル板2で仕切られた散気装置3の設置側では曝気による上昇流が生じるが、通常槽幅は10m程度と広いためバッフル板2の整流効果が薄れ、部分的に乱流や下降流などが生じる。このため、槽内に添加された硝化担体は上昇流に乗って槽内を循環するが、乱流部や下降流部などに入り込んだ一部の硝化担体は沈降して、散気装置の下の底部や槽壁側隅に堆積し、硝化反応に有効に寄与しないこととなる。
特開平7−8982号公報 特開平10−128361号公報 特開平8−103781号公報 特開平9−150177号公報
本発明は上記した従来の問題点を解決して、深槽曝気槽に添加した硝化担体を槽内に均一に循環させ、硝化反応に有効に寄与させることができる深槽曝気槽の硝化担体循環方法を提供するためになされたものである。
上記課題を解決するためになされた本発明は、槽形状が略直方体で、深さが約10m、幅が10m程度の深槽曝気槽の硝化担体循環方法であって、槽中央に被処理水の流下方向に沿って垂直に設置されたバッフル板の片側の中段付近に散気装置を配置するとともに、このバッフル板に平行な槽壁側から0.2m〜2mの散気装置の一部を含む位置に、上端が散気装置の0.5m上方からバッフル板上端までに位置し、下端が槽底面から0.5〜2mに位置する垂直な仕切り板を前記槽壁と平行に設けることにより、この仕切り板と槽壁の間に整流された上昇流を生じさせ、槽内に添加された硝化担体をこの上昇流に乗せて循環させることを特徴とするものである。
本発明では、槽の所定位置に垂直な仕切り板を槽壁と平行に設け、この仕切り板と槽壁の間に整流された上昇流を生じさせるようにしたので、槽壁付近の硝化担体をこの上昇流に乗って上昇させ、槽内全体を循環するようにできる。
次に、本発明の深槽曝気槽の硝化担体循環方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1及び図2において、1は槽形状が略直方体で、深さが約10m、幅が10m程度の深槽曝気槽の槽本体であって、そのほぼ中央部には被処理水の流下方向に沿って垂直にバッフル板2が設置されており、その片側の中段付近には多数の散気装置3が設けられている。4はバッフル板2と並行に散気装置設置側に設けられた仕切り板であって、槽壁側から0.2m〜2mの散気装置3の一部を含む位置に垂直に設けられている。この深槽曝気槽内には、従来と同様に1.02〜1.06程度の比重を持つ硝化担体が投入されている。
このような深槽曝気槽では、バッフル板2の片側の中段付近に設置された散気装置3からの散気に伴って発生する上昇流により、槽内全体に矢印のように循環流が発生し、硝化担体もこの循環流とともに槽内を循環する。しかし仕切り板4のない従来の深槽曝気槽の場合、硝化担体の一部がバッフル板2から離れた底部や槽壁隅側に堆積する。これに対して、仕切り板4を設置すると仕切り板4と槽壁との間にも散気装置3によって整流された上昇流が発生するため、槽壁付近の硝化担体はこの上昇流に乗って上昇し、槽内全体を循環するようになる。
この整流効果は、仕切り板4の設置位置及び通気率により変化するものであって、仕切り板4と槽壁との距離が長くなると整流効果が低下し、硝化担体の循環率が低下する。図3は、通気率を下水硝化の場合の標準的通気率とした場合の、仕切り板4と槽壁との距離と硝化担体の循環率との関係を実験により求めた結果を示したものである。仕切り板4と槽壁との距離が2mを越えると担体の循環率が極端に低下することが判る。この距離を0.2m未満とすると散気装置3の設置が難しくなるから、仕切り板の設置位置は散気装置側の槽壁から0.2〜2mにする。
図4は仕切り板4の位置を槽壁から1mとし、通気率と硝化担体の循環率との関係を求めた結果を示すものである。通気率を通常のBOD及びSS除去の場合に必要とされる0.5〜1.0m3Air/m3・Hrとした場合には硝化担体の循環率はやや低いものの、通気率を硝化に必要とされる2.5〜3.5m3Air/m3・Hrとすると、高い硝化担体循環率が得られる。
図5は仕切り板4の下端の位置と硝化担体循環率との関係を実験により求めた結果を示すものである。この場合、仕切り板4の位置は槽壁から1mとし、仕切り板4の上端の位置はバッフル板の上端と同一としている。仕切り板4の下端の位置が槽底から0.5m未満の場合には入り口が絞られるために硝化担体循環率が低下し、また、2mを越えると入り口付近で乱流が発生するために循環率が低下する。従って、仕切り板の下端の設置高さは、槽底から0.5〜2mにするのが望ましい。
仕切り板4の上端の位置については、曝気による乱流がおさまり上昇流として整流される、散気装置上0.5mからバッフル板の上端と同等の高さにするのがよい。仕切り板4の上端をこの位置とすれば、持ち上げられた硝化担体は散気装置上に放出されても旋回流に乗り、槽内を循環することになる。
槽幅10m、槽高(深さ)10m、槽長5mの深槽曝気槽において、通気率を3m3Air/m3・Hrとしとし、硝化担体の添加量を容積比10%、散気水深を4.5m、バッフル板設置位置を散気装置設置側槽壁から5m、バッフル板上端位置を水面から2m下方、バッフル板下端位置を槽底から1.5m上方にそれぞれ定めた条件で、従来法と本発明方法による実験を行い、硝化担体循環率を求めた。
その結果、仕切りを設けない従来の方法の場合、硝化担体の循環率は42.5%であった。これに対し、散気装置設置側の槽壁から1mの位置に仕切り板を設け、仕切り板上端位置を水面から2m下方、仕切り板下端位置を槽底から0.5m上方にした本発明によれば、硝化担体循環率は91.7%になった。
以上に説明したように、本発明の深槽曝気槽の硝化担体循環方法によれば、硝化担体の循環率を大幅に高めることができ、硝化担体の無駄をなくして硝化速度を高めることができる。また、硝化担体が堆積することがなく、硝化担体の堆積による槽低部付近の無酸素化などの弊害を生じない。さらに、仕切り板を設置するだけで担体循環率の改善が可能であり、別途循環装置を設置する必要がないため経済的である等の優れた利点がある。
本発明の実施形態を示す垂直断面図である。 本発明の実施形態を示す平面図である。 本発明における仕切り板と槽壁との距離と硝化担体循環率との関係を示すグラフである。 本発明における通気率と硝化担体循環率との関係を示すグラフである。 仕切り板下端位置と硝化担体の循環率との関係を示すグラフである。 従来技術を示す垂直断面図である。 従来技術を示す平面図である。
符号の説明
1 槽本体
2 バッフル板
3 散気装置
4 仕切り板
6ライザーパイプ

Claims (1)

  1. 槽形状が略直方体で、深さが約10m、幅が10m程度の深槽曝気槽の硝化担体循環方法であって、槽中央に被処理水の流下方向に沿って垂直に設置されたバッフル板の片側の中段付近に散気装置を配置するとともに、このバッフル板に平行な槽壁側から0.2m〜2mの散気装置の一部を含む位置に、上端が散気装置の0.5m上方からバッフル板上端までに位置し、下端が槽底面から0.5〜2mに位置する垂直な仕切り板を前記槽壁と平行に設けることにより、この仕切り板と槽壁の間に整流された上昇流を生じさせ、槽内に添加された硝化担体をこの上昇流に乗せて循環させることを特徴とする深槽曝気槽の硝化担体循環方法。
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