JP4993113B2 - フォトマスク - Google Patents
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Description
このような中、液晶表示装置の表示パネル(以下、液晶表示パネルと言う)作製に用いられるマスク(以下、液晶用フォトマスクと言う)においても、大型化が求められている。
これらのマスクとしては、従来から、TFT回路の形成用あるいはカラーフィルタ形成用として、透明基板の一面に転写時の露光光を実質的に遮光する遮光膜からなる、複数の図形パターンにて絵柄部全体を形成しているバイナリーマスクが用いられている。
また、最近では、透明基板の一面に転写時の露光光を実質的に遮光する遮光膜からなる図形パターンと、透過率を調整した半透過性のハーフトーン膜からなる図形パターンを有するフォトマスク(以下、階調マスクとも言う)を用い、液晶表示パネルの作製の工程短縮を図ることも、特開2007−188069号公報(特許文献1)に、開示されるように、行われている。
階調マスクの作製の場合は、このようにして、作製されたバイナリーマスクに対して、更に、その図形パターンが形成された側の面に所望の透過率を有するハーフトーン膜を成膜し、同様に、感光性のレジストを塗布、露光描画、現像処理、エッチング、レジスト除去、洗浄処理等のプロセス処理を経て、検査、修正を行う。
尚、850mm×1200mm×10mmサイズ(第6世代)や、1220mm×1400mm×13mmサイズ(第8世代)等の、大サイズの液晶表示パネル用のフォトマスクの場合、表示パネルの画素部の周辺部(配線領域)に対応するマスクの図形パターンは、長く、表面積も大きく、大きな静電容量を持ち、帯電量が大きくなることがあるため、隣接する図形パターン間の隙間が狭く、両図形パターンが近接している場合、特に、両図形パターンの各パターンのコーナー部同士が近接している場合、この近接部分において静電破壊が発生することがあった。
階調マスクにおいても、同様に、隣接する2つの図形パターンが近接している箇所に、特に、隣接する2つの図形パターンの、各パターンのコーナー部同士が近接している箇所に、放電破壊が発生するが、特に、階調マスクの場合は、バイナリーマスクの場合に比べ、その作製工程が多く、構造も複雑で、その修正も難しいため、放電破壊は大きな問題となってきた。
大型液晶フォトマスクを使用する製造ラインにおいても、使用中に放電破壊によりマスクのパターンが変形することがあり、これが生産面で大きな問題となっていた。
尚、マスクの作製の際の洗浄やプロセス処理においては、超純水中に炭酸ガスを溶解させて比抵抗を下げ、放電破壊が発生しないようにしている。
また、マスクの梱包、搬送形態においても、アースをとるなど放電破壊への対応がとられている。
本発明はこれに対応するもので、具体的には、透明基板の一面に、転写時の露光光に対して遮光性を有する遮光性膜からなる、複数の図形パターンにより絵柄部を形成しているフォトマスクで、隣接する2つの図形パターンが近接している箇所において、放電破壊(静電破壊とも言う)が発生しないフォトマスクを、提供しようとするものである。
そして、上記のフォトマスクであって、少なくとも、隣接する2つの図形パターンの、各パターンのコーナー部同士が近接している箇所には、該2つの図形パターンを電気的に接続する前記接続線部を配設していることを特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかのフォトマスクであって、液晶表示パネル作製用のフォトマスクであることを特徴とするものである。
尚、ここでの、「露光光を遮光する」とは、転写プロセス上での作用の面で露光光を実質的に遮光する状態を意味し、転写プロセス上での作用の面で遮光率100%(透過率0%)の場合と同等である。
また、ここでの「転写時の露光光に対して遮光性を有する遮光性膜」とは、転写プロセス上での作用の面で露光光に対して実質的に遮光性を有する膜を意味し、転写プロセス上での作用の面で露光光を実質的に遮光する膜でない膜も、これに入る。
また、「転写時の露光光に対して半透過性」とは、転写プロセス上での作用の面で、実質的に、転写時の露光光に対して透過性を有し、且つ、遮光性を有することを意味する。 即ち、遮光性100%(透過率0%)ではない、転写プロセス上での作用の面で透過性を有する膜も遮光性膜に入り、勿論、露光光を遮光する遮光膜、第2のハーフトーン膜も遮光性膜である。
また、ここでは、「実質的に同じ膜」とは、成膜時に一緒に形成された膜であることを意味し、通常、光学的特性が同じとなる。
本発明のフォトマスクは、このような構成にしていることにより、透明基板の一面に、転写時の露光光に対して遮光性を有する遮光性膜からなる、複数の図形パターンにより絵柄部を形成しているフォトマスクで、隣接する2つの図形パターンが近接している箇所において、放電破壊が発生しないフォトマスクの提供を可能としている。
具体的には、隣接する2つの図形パターンが近接している箇所に、該近接している箇所における放電による両図形パターンの放電破壊を防止するために、転写時の露光光に対して半透過性の第1のハーフトーン膜からなり、且つ、転写の際に実質的に解像されない線幅の、前記両図形パターンを電気的に接続する接続線部を配しており、前記図形パターンとして、転写時の露光光を遮光する遮光膜からなる第1の図形パターンと、転写時の露光光に対して半透過性の第2のハーフトーン膜からなる第2の図形パターンとを共に配した、階調マスクであり、前記第1のハーフトーン膜と第2のハーフトーン膜とは、実質的に同じ膜であり、且つ、前記第1のハーフトーン膜と第2のハーフトーン膜とが、第1の図形パターンが形成されたバイナリーマスクの、第1の図形パターン側の面上に形成されているものであることにより、これを達成している。
特に、少なくとも、隣接する2つの図形パターンの、各パターンのコーナー部同士が近接している箇所には、該2つの図形パターンを電気的に接続する前記接続線部を配設していることにより、発生し易い放電破壊を防止することを可能としている。
図形パターンとして、転写時の露光光を遮光する遮光膜からなる第1の図形パターンと、転写時の露光光に対しての透過率を調整した第2のハーフトーン膜からなる第2の図形パターンとを共に配した、階調マスクであり、バイナリーマスクの場合に比べ、その作製工程が多く、構造も複雑であるため、放電破壊の防止効果は、生産性の面で効果的である。
特に、階調マスクの第2のハーフトーン膜からなる図形パターンを形成する際に、実質的に同じハーフトーン膜で接続線部を形成しており、より効果的である。
尚、実質的に同じハーフトーン膜とは、成膜時に一緒に形成されたハーフトーン膜であることを意味する。
このようなフォトマスクとしては、具体的には、大型化、高品質化が要求される液晶表示パネル作製用のフォトマスクが好適なものとして挙げられる。
図1(a)は本発明のフォトマスクの参考実施形態例1の特徴部の概略平面図で、図1(b)は図1(a)のA1−A2−A3における断面図で、図2(a)は本発明のフォトマスクの参考実施形態例2の特徴部の概略平面図で、図2(b)は図2(a)のB1−B2−B3における断面図で、図3は図1に示す接続線部30を形成するためCVD方法を示した概略図である。
図1〜図3中、10、11は透明基板、20は図形パターン、20aはコーナー部、21は図形パターン、21aはコーナー部、25は図形パターン、25aはコーナー部、26は図形パターン、26aはコーナー部、30、31は接続線部、35、36は(第1の)ハーフトーン膜、40はX−Yステージ、50はフォトマスク、60はレーザ光、65は室である。
参考実施形態例1のフォトマスクは、透明基板(図1の10に相当)の一面に、転写時の露光光に対して透過率0%の遮光性膜からなる複数の図形パターンにより絵柄部を形成している、バイナリーマスクで、隣接する2つの図形パターンが近接している箇所に、該近接している箇所における放電による両図形パターンの放電破壊を防止するために、転写時の露光光に対して透過率を調整した半透過性の第1のハーフトーン膜(図1の35に相当)からなり、転写の際に、実質的に解像されない線幅の、前記両図形パターンを電気的に接続する接続線部(図1の30に相当)を配しているもので、特に、少なくとも、隣接する2つの図形パターンの、各図形パターンのコーナー部同士が近接している箇所には、該2つの図形パターンを電気的に接続する前記接続線部を配設している。
図1(a)に示すように、隣接する2つの図形パターン20、21において、図形パターン20の凸状のコーナー部20aと、図形パターン21の凸状のコーナー部21aとが近接している箇所に、放電破壊を防止するために、図形パターン20と図形パターン21とを電気的に接続する接続線部30を設けている。
図1(b)に示すように、参考実施形態例1では、図形パターンの遮光膜は接続線部形成箇所を除いて露出している。
本例のフォトマスクは、好ましくは、大型の液晶表示パネル作製用フォトマスクとして用いられ、カラーフィルタのパターニングに、あるいは、TFTの回路部のパターニング用に、適用されるが、用途はこれらに限定はされない。
図形パターン20、21を形成する遮光性膜としては、クロム系膜、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、珪素、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素などが挙げられるが、クロムを主成分としたクロム系膜が、汎用で、コスト、品質面から好ましい。
クロム系膜は、通常、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロムの中から選ばれる材料の単層膜が用いられるが、それらのクロム系材料の中でも、成膜が容易で汎用性の高いクロム膜、または膜応力の低減が容易な窒化クロム膜がより好ましい。
たとえば、クロムを遮光膜とした場合には、50nm〜150nm程度の範囲の膜厚で用いられる。
接続線部30を形成する第1のハーフトーン膜35としては、導電性があり、露光光にて解像しない線幅であれば良いが、成膜性等から、通常は、クロムが用いられる。
本例では、図形パターン20、21を形成した後に、接続線部30のみを局所的に、市販の修正用のレーザCVD(Chemical Vapor Deposition)装置で、成膜して形成されたものである。
クロムを用いた場合、例えば、等倍露光の大型液晶パネル用露光装置で、ガラス(Qz)に対する透過率を30%とした場合、線幅は、0.5μm〜2.0μmで、解像されない。
尚、クロムの透過率が30%の場合、四深針法による測定では、面積抵抗は、411Ω/□となった。
四深針法による測定は、( 株) ダイヤインスツルメンツのロレスタシリーズでおこなった。
先ず、公知のバイナリーマスクの作製方法により、接続線(図1の30に相当)をまだ配していない、バイナリーマスクを作製する。
バイナリーマスクの作製は、先にも述べたように、通常、透明基板の一面全体に転写時の露光光に対して透過率0%のクロム等の遮光膜を配した基材(ブランクスとも言う)の遮光膜上に全面に感光性のレジストを塗布した後、レーザ描画装置により選択的に露光描画を行い、この後、該レジストを現像処理してレジストパターンを遮光膜上に形成し、該レジストパターンを耐エッチング層として、遮光膜を選択的にエッチングして、レジスト除去、洗浄処理等のプロセス処理を経て、所望のバイナリーマスクを得る。
尚、検査、修正は適宜行う。
次いで、このようにして、作製されたバイナリーマスクに対して、接続線部30を配設する。
ここでは、図3に示す、レーザCVDと呼ばれる手法にて、所望の線幅で、且つ所望の膜厚で、接続線部30を、少なくとも、隣接する2つの図形パターンの、各パターンのコーナー部同士が近接している箇所を含み、予め決めた箇所に配設する。
例えば、接続線部30を形成する領域に近接して、室65内に成膜用Cr系ガスを流入し排気をとることでCr系ガスの流れを作り、室65内はArガスで空気を遮断し、フォトマスクの接続線部30を形成する領域に、YAGレーザの第3高調波光(355nm)を照射し、照射した領域にクロムを堆積させる。
図3では明示されていないが、レーザ光は制御して走査されて照射される。
このようにして、接続線部30の配設が行われてる。
尚、必要に応じて、図形パターンの検査、修正を汎用の手段にて行う。
参考実施形態例2のフォトマスクも、参考実施形態例1と同様、透明基板(図2の11に相当)の一面に、転写時の露光光に対して透過率0%の遮光性膜からなる複数の図形パターンにより絵柄部を形成している、バイナリーマスクで、隣接する2つの図形パターンが近接している箇所に、該近接している箇所における放電による両図形パターンの放電破壊を防止するために、転写時の露光光に対して透過率を調整した第1のハーフトーン膜(図2の36に相当)からなり、転写の際に、実質的に解像されない線幅の、前記両図形パターンを電気的に接続する接続線部(図2の31に相当)を配しているもので、特に、少なくとも、隣接する2つの図形パターンの、各図形パターンのコーナー部同士が近接している箇所には、該2つの図形パターンを電気的に接続する前記接続線部を配設している。 そして、図2(a)に示すように、隣接する2つの図形パターン25、26において、図形パターン25の凸状のコーナー部25aと、図形パターン26の凸状のコーナー部26aとが近接している箇所に、放電破壊を防止するために、図形パターン25と図形パターン26とを電気的に接続する接続線部31を設けているが、図2(b)に示すように、参考実施形態例2の場合は、参考実施形態例1とは異なり、図形パターン25、26の遮光性膜を覆うようにハーフトーン膜36を配設している。
これ以外は、参考実施形態例1と基本的に同じで、ここでは、説明を省く。
このような違いは、接続線部31の形成方法が第1の例の場合と異なることによる。
先ず、参考実施形態例1の作製方法の場合と同様にして、公知のバイナリーマスクの作製方法により、接続線30をまだ配していない、バイナリーマスクを作製する。
ここでは、予め、露光描画の際の、位置合わせ用アライメントマークを絵柄部にかからない位置に形成しておく。
次いで、成膜領域を決めるマスク治具を用いたスパッタリングにより、作製された上記フォトマスクの図形パターン側、絵柄領域を覆うように、且つ、アライメントマーク部を覆わないように、所定の透過率(例えば、露光光の透過率60%)のハーフトーン膜を一面に形成する。
次いで、バイナリーマスク作製の場合と同様にして、形成されたハーフトーン膜上に全面に感光性のレジストを塗布した後、レーザ描画装置によりアライメントマークを用いて位置合わせをした後、選択的に所望の領域露光描画を行い、この後、該レジストを現像処理してレジストパターンを遮光膜上に形成し、該レジストパターンを耐エッチング層として、遮光膜を選択的にエッチングして、レジスト除去、洗浄処理等のプロセス処理を経て、接続線部を配した所望のバイナリーマスクを得る。
尚、ここでは、感光性のレジストとしてポジレジストを用いるため、露光描画は、図形パターン部と接続線部を除いた領域を露光するものである。
例えば、転写時の露光光に対して透過率0%の遮光膜からなる第1の図形パターンと、転写時の露光光に対しての透過率を調整した第2のハーフトーン膜からなる第2の図形パターンとを共に配した、階調マスクについても、隣接する2つの図形パターンが近接している箇所に、該近接している箇所における放電による両図形パターンの放電破壊を防止するために、転写時の露光光に対して透過率を調整した第1のハーフトーン膜からなり、且つ、転写の際に実質的に解像されない線幅の、前記両図形パターンを電気的に接続する接続線部を配している、本発明のフォトマスクの形態を採ることができる。
この形態(以下、本発明のフォトマスクの実施の形態の第1の例とも言う)の場合、先にも述べたが、通常、作製されたバイナリーマスクに対して、更に、その図形パターンが形成された側の面に所望の透過率を有するハーフトーン膜(第2のハーフトーン膜に相当)を成膜し、同様に、感光性のレジストを塗布、露光描画、現像処理、エッチング、レジスト除去、洗浄処理等のプロセス処理を経て、作製されるが、成膜されたハーフトーン膜により図形パターンを形成する際に、同時に、接続線部を形成する。
ここでも、必要に応じて、検査、修正を行う。
このようにして作製された第1の例のフォトマスクでは、接続線部とハーフトーン膜からなる図形パターン(第2の図形パターンとも言う)とは、同じ成膜によるハーフトーン膜にて形成されている。
20 図形パターン
20a コーナー部
21 図形パターン
21a コーナー部
25 図形パターン
25a コーナー部
26 図形パターン
26a コーナー部
30、31 接続線部
35、36 (第1の)ハーフトーン膜
40 X−Yステージ
50 フォトマスク
60 レーザ光
65 室
Claims (3)
- 透明基板の一面に、転写時の露光光に対して遮光性を有する遮光性膜からなる複数の図形パターンにより、絵柄部を形成しているフォトマスクであって、隣接する2つの図形パターンが近接している箇所に、該近接している箇所における放電による両図形パターンの放電破壊を防止するために、転写時の露光光に対して半透過性の第1のハーフトーン膜からなり、且つ、転写の際に実質的に解像されない線幅の、前記両図形パターンを電気的に接続する接続線部を配しており、前記図形パターンとして、転写時の露光光を遮光する遮光膜からなる第1の図形パターンと、転写時の露光光に対して半透過性の第2のハーフトーン膜からなる第2の図形パターンとを共に配した、階調マスクであり、前記第1のハーフトーン膜と第2のハーフトーン膜とは、実質的に同じ膜であり、且つ、前記第1のハーフトーン膜と第2のハーフトーン膜とが、第1の図形パターンが形成されたバイナリーマスクの、第1の図形パターン側の面上に形成されているものであることを特徴とするフォトマスク。
- 請求項1に記載のフォトマスクであって、少なくとも、隣接する2つの図形パターンの、各パターンのコーナー部同士が近接している箇所には、該2つの図形パターンを電気的に接続する前記接続線部を配設していることを特徴とするフォトマスク。
- 請求項1ないし2のいずれか1項に記載のフォトマスクであって、液晶表示パネル作製用のフォトマスクであることを特徴とするフォトマスク。
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