JP4992535B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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Description

この発明は転がり軸受に関する。
電動射出成形機やプレス機械等で使用されるボールねじは、比較的大型で且つ高荷重が負荷されるものであり、瞬間的に高負荷が作用する短いストロークで使用され、最大負荷が作用した状態で一旦停止した後に逆回転する(往復運動)という厳しい条件下で使用される。
この用途のボールねじには制御の高速化と位置決め精度の向上が要求されるため、このボールねじを支持する転がり軸受には、トルクが低いこと、トルクスパイク等の急激なトルク変動がないことが求められている。また、この用途の転がり軸受は、機器の動作によって振動を受け易いことや、潤滑油の蒸発や飛散を抑えるために潤滑条件が厳しくなることから、軌道面にフレッチングや焼き付きが生じ易い環境にある。
一方、図3は、車両のベルト式無段変速機を模式的に示したものであり、プライマリープーリ7およびセカンダリープーリ8の回転軸が、それぞれ1対の転がり軸受11a,11b、12a,12bで支持されている。符号9はベルトである。
車両のベルト式無段変速機で使用される転がり軸受は、ベルトによる動力伝達効率を良好にすること、ベルト駆動の騒音を抑制すること、プーリとベルトの摩耗を抑えることが求められており、これらの点からは、流動性の高い(粘度の低い)潤滑油を使用することが望ましい。
しかし、流動性の高い潤滑油を使用することは、プーリの回転軸を支持する転がり軸受の潤滑性能の点で好ましくない。すなわち、プーリの回転軸を支持する転がり軸受はプーリの側面に位置するため、この転がり軸受には潤滑油が供給され難いとともに、前述の振動に起因して軌道輪と転動体との間の潤滑膜の状態が悪化し易く、滑りの影響によっても潤滑膜が破壊されやすい。よって、ベルト式無段変速機で使用される転がり軸受は、軌道面にフレッチングや焼き付きが生じ易い環境にある。
転がり軸受の耐フレッチング性および耐焼き付き性を向上させる従来の方法としては、転がり軸受の構成部材(軌道輪および転動体)をSUJ2鋼製とし、少なくともいずれかに対して窒化処理後に焼入れ焼戻しを行う方法や、転動体をセラミックス製にする方法がある。しかしながら、電動射出成形機やプレス機械等で使用されるボールねじを支持する転がり軸受や、ベルト式無段変速機で使用される転がり軸受の場合には、これらの方法で十分な効果を得ることはできない。
これらの従来技術に対して、例えば、下記の特許文献1には、過給機や工作機械等のdm・n値が1.0×106 以上となるような高速回転環境下で使用しても、転がり軸受に摩耗や焼き付きが生じないようにするための技術が記載されている。この技術では、使用する鋼を特定するとともに、表層部に炭素および窒素を所定含有率で存在させるか、表面に0.1μm以下のTiCを析出させることで、耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させている。
特開2000−45049号公報
上記特許文献1に記載の技術でも、電動射出成形機やプレス機械等で使用されるボールねじを支持する転がり軸受や、ベルト式無段変速機で使用される転がり軸受の場合には、転がり軸受の耐フレッチング性および耐焼き付き性を向上させるという点で、更なる改善の余地がある。
本発明の課題は、電動射出成形機やプレス機械等で使用されるボールねじを支持する転がり軸受や、ベルト式無段変速機用の転がり軸受として好適な、耐フレッチング性および耐焼き付き性に優れた転がり軸受を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、転動体が、炭素(C)の含有率が0.3質量%以上1.2質量%以下、クロム(Cr)の含有率が0.5質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.4質量%以上1.2質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.4質量%以上1.2質量%以下、珪素(Si)とマンガン(Mn)の合計含有率が1.0質量%以上2.0質量%以下、残部鉄および不可避的不純物である鉄鋼製の素材を、所定形状に加工した後、窒化処理または浸炭窒化処理と焼き入れおよび焼戻しからなる熱処理が施されて得られ、転動面に、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなり、粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物が、面積比で1%以上10%以下の範囲で存在し、表層部の残留オーステナイトが10体積%以下となっていることを特徴とする転がり軸受を提供する。
本発明の転がり軸受において、軌道輪は、炭素(C)の含有率が0.2質量%以上1.2質量%以下、クロム(Cr)の含有率が0.5質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.1質量%以上0.5質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.1質量%以上0.5質量%以下、残部鉄および不可避的不純物である鉄鋼製の素材を所定形状に加工した後、熱処理が施されて得られたものであることが好ましい。
本発明の転がり軸受によれば、転動体の転動面に、粒径1μm以下の高硬度なSi・Mn系窒化物が面積比で1%以上存在することと、転動面の表層部の残留オーステナイトが10体積%以下(0体積%以上、好ましくは3体積%以上)であることにより、高速および高温下で使用された場合の耐摩耗性および耐焼き付き性が高くなる。
転動面における粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物の存在率が、面積比で10%を超えると、研削性が低下したり、靱性が低下して割れが生じる恐れがある。また、転動面の表層部の残留オーステナイトが10体積%を超えると、表面硬さが低下して耐フレッチング性が不十分となる。
この転動体は、炭素(C)の含有率が0.3質量%以上1.2質量%以下、クロム(Cr)の含有率が0.5質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.4質量%以上1.2質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.4質量%以上1.2質量%以下、珪素(Si)とマンガン(Mn)の合計含有率が1.0質量%以上2.0質量%以下である鉄鋼製の素材を所定形状に加工した後、窒化処理または浸炭窒化処理と焼き入れおよび焼戻しからなる熱処理を施すことで得られたものである。
使用する素材をなす鉄鋼の合金成分の含有率は、以下の理由で上述の範囲とした。
炭素(C)の含有率が0.3質量%未満であると、浸炭窒化処理で表層部に十分な量の炭素を存在させるために時間がかかる。そのため、炭素(C)の含有率は0.3質量%以上とし、好ましくは0.5質量%以上とし、より好ましくは0.7質量%以上とする。
また、炭素(C)の含有率が1.2質量%を超えると、製鋼時に巨大炭化物が形成されて、焼き入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を及ぼす恐れがある。また、冷間加工性が低下して製造コストの上昇を招く恐れもある。
クロム(Cr)の含有率が0.5質量%未満であると、焼き入れ性および焼戻し軟化抵抗性を高くする作用と、高硬度の微細な炭化物または炭窒化物を形成する作用が、実質的に得られない。これらの作用を十分に得るために、クロム(Cr)の含有率は1.3質量%以上であることが好ましい。
また、クロム(Cr)の含有率が2.0質量%を超えると、製鋼時に巨大炭化物が形成されて、焼き入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を及ぼす恐れがある。また、冷間加工性や被削性が低下して製造コストの上昇を招く場合がある。そのため、クロム(Cr)の含有率は1.6質量%以下であることが好ましい。
珪素(Si)およびマンガン(Mn)の含有率がそれぞれ0.4質量%未満であり、珪素(Si)とマンガン(Mn)の合計含有率が1.0質量%未満であると、粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物を、転動面に、面積比で1%以上10%以下の範囲で存在させることができない。
珪素(Si)の含有率が1.2質量%を超えると、鋼の靱性が不十分となる。マンガン(Mn)の含有率が1.2質量%を超えると、鍛造性および切削性が低下したり、鋼中不純物である硫黄(S)リン(P)とともに介在物として存在し易くなる。珪素(Si)とマンガン(Mn)の合計含有率が2.0質量%を超えると、Si・Mn系窒化物が多量に析出して、切削性および靱性が低下する。
なお、本発明で使用する素材をなす鉄鋼は、上述の合金成分以外に、モリブデン(Mo)やバナジウム(V)等の炭化物形成促進元素を含有していてもよい。その場合には、材料費や加工性低下によるコスト上昇が生じない範囲で、それぞれ2質量%以下の比率で含有させる。そして、本発明で使用する素材をなす鉄鋼は、これらの選択的に含有させる成分と上述の合金成分を除く残部が鉄(Fe)と不可避不純物(S、P、Al、Ti、O等)で構成される。
なお、本発明の転がり軸受は、転動体の転動面に粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物が面積比で1%以上10%以下の範囲で存在しているが、転動面の面積375μm2 中における0.05μm以上1μm以下のSi・Mn系窒化物の個数が100個以上となっていることが好ましい。
窒化物の面積率が同じ場合、粒径が小さいほど存在する粒子の数が多く、粒子間距離が短くなるため、析出強化能が高くなる。よって、Si及びMnの含有量の多い鉄鋼を用い、Si・Mn系窒化物の面積率1〜10%の範囲で、平均粒径が0.05μm以上1μm以下の微細な窒化物の個数を増やすことが、転動面をより強化することにつながる。さらに、0.05μm以上1μm以下のSi・Mn系窒化物における、0.05〜0.50μmのSi・Mn系窒化物の割合を20%以上とすることにより、転動面を更に強化することが可能になる。
本発明によれば、電動射出成形機やプレス機械等で使用されるボールねじを支持する転がり軸受や、ベルト式無段変速機用の転がり軸受として好適な、耐フレッチング性および耐焼き付き性に優れた転がり軸受が得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に相当する深溝玉軸受を示す断面図である。
この軸受は、内輪1と外輪2と玉(転動体)3と保持器4とで構成されている。
図1の深溝玉軸受として、呼び番号6206に相当するものを以下のようにして作製した。
玉3は、下記の表1に示す各種鉄鋼からなる素材を冷間成形により所定形状に加工した後、下記の条件で熱処理し、次いで研削加工することで得た。表1では、本発明の構成から外れる数値に下線を施した。
Figure 0004992535
得られた各玉3の表面(転動面)における粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物の存在率を、下記の方法で測定した。また、得られた各玉3の表面(転動面)について、表層部の残留オーステナイトをX線回折法で測定した。これらの結果を下記の表2に示す。
〔熱処理条件〕
ずぶ焼入れ:RX ガス雰囲気中で820〜870℃に0.5〜1.0時間保持後、油冷却。
浸炭後に焼入れ:エンリッチガス雰囲気中で820〜880℃に1.0〜5.0時間保持後、放冷、その後に、RX ガス雰囲気中で820〜870℃に0.5〜1.0時間保持後、油冷却。
窒化後に焼入れ:RX ガス+アンモニアガス雰囲気中で820〜920℃に1.0〜5.0時間保持後、放冷、その後に、RX ガス雰囲気中で820〜870℃に0.5〜1.0時間保持後、油冷却。
浸炭窒化後に焼入れ:RX ガス+エンリッチガス+アンモニアガス雰囲気中で820〜920℃に1.0〜5.0時間保持後、放冷、その後に、RX ガス雰囲気中で820〜870℃に0.5〜1.0時間保持後、油冷却。
サンプル毎に上記いずれかの処理を行った後、全サンプルについて、焼戻しを150〜300℃に3時間保持することで行う。
〔Si・Mn系窒化物の存在率の測定方法〕
板状試験片を各玉3と同じ工程で、研削加工による取り代を同じにして作製し、その表面を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、加速電圧10kV、倍率5000倍で観察し、観察画像に占める粒径1μm以下のSi窒化物およびMn窒化物の合計面積の割合を画像解析装置により測定した。観察は3視野以上で行い、全視野の平均値を算出してSi・Mn系窒化物の存在率とした。
また、内輪1と外輪2としては、SUJ2製でずぶ焼きを含む通常の熱処理を施したものを、保持器4としては鋼製のものを用いた。
〔耐久試験〕
このようにして得られた各玉3と、内輪1、外輪2、および保持器4を用いて、図1の深溝玉軸受を組み立てて、回転試験機にかけた。そして、潤滑油としてトラクション油「VG68」を用い、異物混入(Hv800で、粒径が100μm以下のものが50%、100〜200μmのものが50%である鉄粉を、0.15g/L)潤滑下、アキシャル荷重:6370N(650kgf)、回転速度:3500min-1の条件で内輪を回転させた。トルクが初期値の3倍となるまでの時間を「耐久寿命」として測定した。なお、サンプル毎に10体の軸受を組み立てて試験を行い、L10寿命を算出した。
そして、各サンプルのL10寿命をサンプルNo. 9のL10寿命で除算することにより、サンプルNo. 9の焼き付き寿命を「1」とした「耐久寿命比」を得た。この結果も下記の表2に示す。
〔摩耗試験〕
また、サンプルNo. 1〜16の各玉3と同じ方法で「二円筒摩耗試験」用の各二枚の円筒試験体を作製し、下記の条件で以下のようにして摩耗試験を行った。
先ず、上下方向で対向させた一対の回転軸に、一対の円筒試験体を装着する。次に、上側の試験体に荷重をかけて両試験体を接触させ、接触位置にノズルから潤滑油を吹き付けながら、一方の試験体を回転駆動させることにより、両試験体を互いに逆方向に滑り回転させる。そして、所定の距離分だけ回転させた後に摩耗量を測定し、単位滑り距離(1m)当たりの摩耗量(両試験体の合計重量減少量)を算出する。この算出値も下記の表2に示した。
<摩耗試験の条件>
円筒試験体の寸法:外径30mm、内径16mm、軸方向寸法10mm
円筒試験体の表面粗さ(Ra):0.005〜0.010μm
駆動側の試験体の回転速度:10min-1
従動側の試験体の回転速度:7min-1
滑り率:30%
滑り距離:3000m
潤滑油:スピンドル油#10
面圧:1.2GPa
〔焼き付き試験〕
また、サンプルNo. 1〜16の各玉3と同じ方法で、「ASTM D 2596」に準拠した四球試験機用の各四個の球(直径12.7mm)を作製し、下記の条件で焼き付き試験を行った。
この四球試験機では、先ず、3個の球を、全ての球が接触し、各球が正三角形の頂点となるように配置して固定し、これらの固定球で形成される窪みの上に、固定球と同じ球(回転球)をトラクション油「VG22」を塗布した状態で置いた。
次に、この回転球を、面圧:2.0GPa、回転速度:3000min-1の条件で回転させ、トルクが初期値の5倍となるまでの時間を「焼き付き寿命」として測定した。そして、各サンプルの測定値をサンプルNo. 9の測定値で除算することにより、サンプルNo. 9の焼き付き寿命を「1」とした「焼き付き寿命比」を得た。この結果も下記の表2に示す。
〔耐フレッチング試験〕
また、サンプルNo. 1〜16の各玉3と同じ方法で、「35TAC玉軸受」用の玉(直径7mm)を作製し、内輪と外輪はSUJ2製で、ずぶ焼きを含む通常の熱処理を施すことで作製した。得られた各玉3と、内輪1、外輪2、および保持器4を用いて、図2に示す、ボールねじサポート用スラストアンギュラ玉軸受を組み立てた。
先ず、得られた各軸受をアンデロメータに取り付けて、初期の振動値(アンデロン値)を、「L.B.」、「M.B.」、「H.B.」の各周波数範囲で測定した。次に、各軸受を揺動試験装置に取り付けて、潤滑油:スピンドル油#10、予圧:14.7N、揺動角度:8°、揺動周波数:30Hz(1秒間に30回の揺動)の条件で10万回揺動させた。
次に、揺動試験後の各軸受をアンデロメータに取り付けて、試験後の振動値(アンデロン値)を、「L.B.」、「M.B.」、「H.B.」の各周波数範囲で測定した。次に、初期の振動値に対する試験後の振動値の比を算出した。この結果も下記の表2に示す。アンデロメータによる振動値が小さいほど耐フレッチング性が高いことを意味する。
なお、No. 8では、玉3、円筒状試験片、球を熱処理後に研削加工した際に割れが生じたため、試験を行うことができなかった。
Figure 0004992535
表2では本発明の構成から外れる数値に下線を施した。玉の構成の全ての項目に下線のないものが本発明の実施例に相当し、いずれかの構成に下線のあるものが比較例に相当する。なお、表2において「(Si,Mn)N」は「粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物の転動面における存在率」を示し、「γR 」は「転動面の表層部の残留オーステナイト量」を示す。
表2から分かるように、玉3の転動面に、粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物が面積比で1%以上10%以下で存在し、玉3の転動面の表層部の残留オーステナイトが1体積%以上10体積%以下であるサンプルNo. 1〜4,6,7の玉軸受は、これらのいずれかを満たさないサンプルNo. 5、8〜16の玉軸受と比較して、耐摩耗性、耐焼き付き性、耐フレッチング性、および耐久性が高くなっている。
これにより、図1および2に示す軸受の玉3を、本発明の実施例に相当するサンプルNo. 1〜4,6,7の構成とすることで、ボールねじを支持する転がり軸受やベルト式無段変速機用の転がり軸受として十分な、耐フレッチング性および耐焼き付き性を得ることができる。
また、表1および表2から分かるように、使用する鋼の珪素(Si)含有率が0.4質量%以上、マンガン(Mn)含有率が0.4質量%以上、珪素(Si)とマンガン(Mn)の合計含有率が1.0質量%以上であると、玉3の転動面に、粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物を面積比で1%以上存在させることができる。
本発明の一実施形態に相当する玉軸受を示す断面図である。 本発明の一実施形態に相当する玉軸受を示す断面図である。 車両のベルト式無段変速機を模式的に示した図である。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3 玉(転動体)
4 保持器
11a 転がり軸受
11b 転がり軸受
12a 転がり軸受
12b 転がり軸受
7 入力軸プーリ
8 出力軸プーリ
9 ベルト

Claims (2)

  1. 転動体は、
    炭素(C)の含有率が0.3質量%以上1.2質量%以下、クロム(Cr)の含有率が0.5質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.4質量%以上1.2質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.4質量%以上1.2質量%以下、珪素(Si)とマンガン(Mn)の合計含有率が1.0質量%以上2.0質量%以下、残部鉄および不可避的不純物である鉄鋼製の素材を、所定形状に加工した後、窒化処理または浸炭窒化処理と焼き入れおよび焼戻しからなる熱処理が施されて得られ、
    転動面に、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなり、粒径1μm以下のSi・Mn系窒化物が、面積比で1%以上10%以下の範囲で存在し、表層部の残留オーステナイトが10体積%以下となっていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 軌道輪は、炭素(C)の含有率が0.2質量%以上1.2質量%以下、クロム(Cr)の含有率が0.5質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.1質量%以上0.5質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.1質量%以上0.5質量%以下、残部鉄および不可避的不純物である鉄鋼製の素材を所定形状に加工した後、熱処理が施されて得られた請求項1記載の転がり軸受。
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