JP5061478B2 - 転がり支持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、転がり軸受、ボールねじ、リニアガイド等の転がり支持装置に関する。
転がり支持装置の一例である転がり軸受では、軌道輪と転動体との間の転がり面に潤滑油が十分に供給されず、その転がり面に油膜が形成され難くなると、金属間接触が起こり、焼付きや摩耗が生じる場合がある。
特に、自動車、産業機械、建設機械、鉄鋼機械等のトランスミッション、エンジン、及び減速機等で使用される転がり軸受のように、近年の低燃費化に対する要求に応じて小型化や高効率化を図るため、高速回転・高荷重下等の過酷な潤滑環境下で使用される転がり軸受では、上述した焼付きや摩耗が生じ易い。
例えば、高速回転・高荷重下で使用される精密玉軸受では、摩擦状態を表わすPV値(面圧Pと速度Vとの積)が非常に高くなり、転がり面に焼付きや摩耗が生じ易い。
一方、転がり軸受のうち深溝玉軸受では、転がり面に油膜が十分に形成された場合であっても、軌道輪と転動体とが接触する部分(接触楕円)ですべりが発生したり、転動体自身のスピンですべりが発生したりすることにより、焼付きや摩耗が生じ易い。
このような焼付きや摩耗による転がり疲れ寿命の低下を防止するための技術として、特許文献1〜特許文献4に記載の技術が提案されている。
特許文献1では、内輪、外輪、及び転動体のうち少なくとも一つは、C含有率が0.2〜1.2質量%、Si含有率が0.7〜1.5質量%、Mo含有率が0.5〜1.5質量%、Cr含有率が0.5〜2.0質量%、O含有率が12ppm以下である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭窒化処理と、焼入れ処理と、焼戻し処理とを施して作製し、その表層部のC含有率を0.8〜1.3質量%とし、N含有率を0.2〜0.8質量%とすることが提案されている。
特許文献2では、ころ軸受において、少なくともころは、Cr含有率が3〜20質量%以下の高Cr鋼で作製し、その表層部に硬さがHv900以上の窒化層を備え、且つ、その芯部の硬さをHv550以上とすることが提案されている。
特許文献3では、内輪及び外輪と転動体とのうち少なくとも一つは、C含有率が0.2〜1.0質量%、Cr,Mo,Vの合計含有率が1質量%以上である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭窒化・硬化熱処理を施すことで作製し、その表層部において、存在する炭窒化物の面積率を10%以上で且つ最大炭窒化物径を3μm以下とし、表面硬さをHv750以上とすることが提案されている。
特許文献4では、軌道輪をベリリウム鋼で作製し、転動体をセラミックス又はベリリウム鋼で作製することが提案されている。
特開2000−45049号公報 特開2001−187916号公報 特開平5−78814号公報 特開平11−336755号公報
しかしながら、近年、装置の軽量化及び低コスト化を図るために、転がり軸受が使用される潤滑環境がさらに過酷になってきており、上述した特許文献1〜特許文献4に記載の技術では、過酷な潤滑環境下で使用される転がり軸受において長寿命を得るという点で更なる改善の余地がある。
すなわち、特許文献1〜特許文献3に記載の技術では、転動部品の表層部のN含有率を増加させることで研削性が低下し、必要な耐焼付き性及び耐摩耗性が得られない場合がある。
また、特許文献4に記載の技術では、軌道輪をベリリウム鋼製とし、転動体をセラミックス製とした時に、転動体の表層部の硬さが軌道輪の表層部の硬さの約4倍となるため、固体接触が発生する過酷な潤滑下で使用すると、軌道輪にアブレシブ摩耗が生じる場合がある。
そこで、本発明は、高速回転・高荷重下等の過酷な潤滑環境下で使用した場合であっても、転がり疲れ寿命の長い転がり支持装置を提供することを課題としている。
このような課題を解決するために、本発明は、互いに対向配置される軌道面を有する第1部材及び第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材の間に転動自在に配置される複数の転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより、前記第1部材及び前記第2部材のうち一方が他方に対して相対運動する転がり支持装置において、前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくとも一方は、Si含有率が0.40質量%以上1.20質量%以下、Mn含有率が0.40質量%以上1.20質量%以下、Si及びMnの合計含有率が1.00質量%以上2.00質量%以下、C含有率が0.95質量%以上1.30質量%以下、Cr含有率が0.90質量%以上1.60質量%以下で、残部が鉄及び不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、窒化又は浸炭窒化処理と、焼入れ処理と、焼戻し処理とが施されて得られ、その軌道面に存在するSi及びMnを含む1μm以下の窒化物(以下、「Si−Mn系窒化物」と記す。)が面積率で1.0%以上10%以下であるとともに、前記転動体は、セラミックスからなる素材に対して、塑性加工処理が施されて得られ、その転位組織の転位密度が1×104 cm-2以上1×1012cm-2以下であることを特徴とする転がり支持装置を提供する。
すなわち、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下に示す構成の軌道輪(第1部材及び第2部材)と転動体を用いて転がり支持装置を組み立てることにより、過酷な潤滑環境下で使用した場合であっても転がり疲れ寿命を向上できることを見出した。
<<軌道輪について>>
軌道輪のうち少なくとも一つは、Si含有率及びMn含有率を特定した以下に示す鋼からなる素材を所定形状に加工した後、その軌道面に存在するSi−Mn系窒化物の面積率が1.0%以上10%以下となるような条件で、窒化又は浸炭窒化処理と、焼入れ処理と、焼戻し処理とを施して作製する。
<軌道輪をなす鋼について>
[Si含有率:0.40質量%以上]
Si(ケイ素)は、製鋼時の脱酸剤として作用するとともに、焼戻し軟化抵抗性を向上させる作用を有する。また、窒化処理時や浸炭窒化処理時に軌道面をなす表層部のC含有率やN含有率を増加させる作用を有する。よって、軌道面をなす表層部に必要なSi−Mn系窒化物を存在させるために、素材をなす鋼中のSi含有率を0.40質量%以上とする。
一方、素材をなす鋼中のSi含有率が多過ぎると、靱性が低下するため、素材をなす鋼中のSi含有率は1.20質量%以下とすることが好ましい。
[Mn含有率:0.40質量%以上]
Mn(マンガン)は、Siと同様に、製鋼時の脱酸剤として作用し、且つ、窒化処理時や浸炭窒化処理時に軌道面をなす表層部のC含有率やN含有率を増加させる作用を有するとともに、焼入れ性を向上させる作用を有する。よって、軌道面をなす表層部に必要なSi−Mn系窒化物を存在させるために、素材をなす鋼中のMn含有率を0.40質量%以上とする。
一方、素材をなす鋼中のMn含有率が多過ぎると、鍛造性や切削性が低下したり、鋼中に存在する不可避不純物であるS(硫黄)やP(リン)と共存して介在物が生成されるため、素材をなす鋼中のMn含有率は1.20質量%以下とすることが好ましい。
[Si及びMnの合計含有率:1.00質量%以上]
軌道面に必要な耐焼付き性及び耐摩耗性を得るためには、素材をなす鋼中のSi含有率及びMn含有率を増加させるとともに、熱処理時に窒素を十分に固溶させることにより、軌道面に必要なSi−Mn系窒化物を存在させる必要がある。よって、素材をなす鋼中のSi及びMnの合計含有率は、1.00質量%以上とする。
一方、素材をなす鋼中のSi及びMnの合計含有率が多過ぎると、1μmよりも大きなSi−Mn系窒化物が生成される。これにより、軌道面でSi−Mn系窒化物を起点とする表面剥離が生じたり、靱性が低下して割れが生じたりするため、転がり疲れ寿命が低下する。また、生産性の点においても、熱処理時間が長くなり、研削性が低下するため、コストが大幅に上昇する。よって、素材をなす鋼中のSi及びMnの合計含有率は、2.00質量以下とすることが好ましい。
なお、素材をなす鋼中のC含有率は、軌道輪として必要な硬さを得るために0.95質量%以上とすることが好ましく、寸法安定性を向上させるために1.30質量%以下とすることが好ましい。また、素材をなす鋼中のCr含有率は、焼入れ硬さを向上させるために0.90質量%以上とすることが好ましく、コストを低減させるために1.60質量%以下とすることが好ましい。
<軌道面に存在するSi−Mn系窒化物の面積率:1.0%以上10%以下>
上述したSi含有率及びMn含有率の鋼を用いて、窒化処理又は浸炭窒化処理を含む熱処理を施すことにより、軌道面に微細で高硬度なSi−Mn系窒化物が析出し、軌道面をなす表層部が分散強化される。このような作用を得るために、軌道面に存在するSi−Mn系窒化物を面積率で1.0%以上とする。
一方、軌道面に存在するSi−Mn系窒化物が多過ぎると、高硬度となり過ぎて研削性が低下したり、靱性が低下して割れが生じたりする。よって、軌道面に存在するSi−Mn系窒化物の面積率は10%以下とする。
<<転動体について>>
転動体は、セラミックスからなる素材に対して、その転位組織の転位密度が以下に示す範囲となるように、塑性加工処理(例えば、ショットブラスト処理)を施して作製する。<セラミックスの転位組織の転位密度:1×104 cm-2以上1×1012cm-2以下>
転動体をなすセラミックスに転位組織を形成することにより、靱性が高く、高硬度となるため、転動体の破壊靱性値を向上できる。よって、転動体に必要な破壊靱性値を得るために、セラミックスの転位組織の転位密度は1×104 cm-2以上とする。
一方、塑性加工処理時にピッチング等の不具合を生じ難くするために、転動体をなすセラミックスの転位組織の転位密度は1×1012cm-2以下とする。また、セラミックスの転位組織は、直線状に均一に分布していることが好ましい。
ここで、セラミックスに必要な転位組織を得るために塑性加工処理を施すが、塑性加工処理を施した後の転動面の表面粗さが大きいと、軌道輪との間の摩擦係数が増加して、必要な耐焼付き性や耐摩耗性が得られなくなる。よって、塑性加工処理後の転動面の表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)で0.04μm以下とすることが好ましく、0.02μm以下とすることがより好ましい。
なお、本発明の転がり支持装置としては、例えば、転がり軸受、ボールねじ、リニアガイドが挙げられる。ここで、転がり支持装置が転がり軸受の場合には第1部材及び第2部材は内輪及び外輪を指し、同様に、転がり支持装置がボールねじの場合には、第1部材及び第2部材はねじ軸及びナットを、転がり支持装置がリニアガイドの場合には、第1部材及び第2部材は案内レール及びスライダをそれぞれ指す。
本発明の転がり支持装置によれば、第1部材及び第2部材のうち少なくとも一方をSi含有率及びMn含有率が特定された鋼からなる素材を所定形状に加工した後、窒化又は浸炭窒化処理と、焼入れ処理と、焼戻し処理とを施して作製し、その軌道面に存在するSi−Mn系窒化物の面積率を1.0%以上10%以下とするとともに、転動体をセラミックスからなる素材に対して、塑性加工処理を施して作製し、その転位組織の転位密度を1×104 cm-2以上1×1012cm-2以下とすることにより、高速回転・高荷重下等の過酷な潤滑環境下で使用した場合であっても、転がり疲れ寿命を長くできる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の転がり支持装置の一例として深溝玉軸受を示す断面図である。
この深溝玉軸受は、互いに対向配置される軌道面1a,2aを有する内輪(第1部材)1及び外輪(第2部材)2と、内輪1及び外輪2の間に転動自在に配置される複数の玉(転動体)3と、玉3を転動自在に保持する保持器4と、からなる。
内輪1及び外輪2は、以下に示す手順で作製したものを用いた。まず、JIS G 4805に制定された軸受鋼(SUJ3)を用い、これを所定形状に加工した。次に、混合ガス(RXガス+エンリッチガス+アンモニアガス)が導入された炉内において、820〜920℃で1.0〜5.0時間加熱保持した後に油冷する浸炭窒化処理と、RXガスが導入された炉内において、820〜870℃で0.5〜1時間加熱保持した後に油冷する焼入れ処理と、150〜300℃で2時間加熱保持した後に放冷する焼戻し処理とを施した。次に、それらの軌道面1a,2aに対して仕上げ加工を施した。これにより、その軌道面1a,2aに存在するSi及びMnを含む1μm以下の窒化物(以下、「Si−Mn系窒化物」と記す。)の面積率は1.0%以上10%以下とし、その表面粗さ(Ra)を0.05〜0.20μmとした。
玉3は、以下に示す手順で作製したものを用いた。まず、玉の形状に加工した窒化ケイ素(Hv500)からなるセラミックス素材に対して、平均粒径が100μmのアルミナ粒子(Hv1300)を噴射材としたショットブラスト処理(塑性加工処理)を施して、セラミックス素材の転位組織を直線状に均一に分散させた。これにより、玉3をなすセラミックス素材の転位密度を、1×104 cm-2以上1×1012cm-2以下とし、表面粗さ( Ra)を0.04μm以下とした。
本実施形態の深溝玉軸受によれば、内輪1及び外輪2をSi含有率及びMn含有率が特定された鋼製とし、その軌道面1a,2aに存在するSi−Mn系窒化物の面積率を1.0質量%以上10%以下に特定するとともに、玉3をセラミックス製とし、そのセラミックスの転位組織の転位密度を1×104 cm-2以上1×1012cm-1以下に特定することにより、その転がり面の耐焼付き性及び耐摩耗性を向上できる。よって、この深溝玉軸受を高速回転・高荷重下等の過酷な潤滑環境下で使用した場合であっても、転がり疲れ寿命を長くできる。
以下、本発明の効果を検証した結果について説明する。
[第1実施例]
まず、表1に示す各組成の鋼材を所定形状に加工した後、表1に示す熱処理を行って、円筒状試験体(外径:30mm,厚さ:7mm,長さ10mm)A1〜A15を作製した。次に、その外周面に仕上げ加工を行って、外周面の表面粗さ(Ra)を0.005〜0.010μmとした。
なお、表1に示す熱処理「焼入れ→焼戻し」は、以下に示す条件で行った。まず、Rxガスが導入された炉内において、820〜870℃で0.5〜1.0時間加熱保持した後に油焼入れを行った。次に、150〜300℃で2時間加熱保持した後に放冷する焼戻しを行った。
また、表1に示す熱処理「浸炭焼入れ→焼戻し」は、以下に示す条件で行った。まず、エンリッチガスが導入された炉内において、820〜880℃で1.0〜5.0時間加熱保持した後に放冷する浸炭を行った。次に、上述と同様の「焼入れ→焼戻し」を行った。
さらに、表1に示す熱処理「窒化焼入れ→焼戻し」は、以下に示す条件で行った。まず、混合ガス(Rxガス+アンモニアガス)が導入された炉内において、820〜920℃で1.0〜5.0時間加熱保持した後に放冷する窒化を行った。次に、上述と同様の「焼入れ→焼戻し」を行った。
さらに、表1に示す熱処理「浸炭窒化→焼戻し」は、混合ガス(RXガス+エンリッチガス+アンモニアガス)が導入された炉内において、820〜920℃で1.0〜5.0時間加熱保持した後に放冷する浸炭窒化を行った。次に、上述と同様の「焼入れ→焼戻し」を行った。
このようにして得られた試験体の外周面に対して、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、加速電圧が10kVで、倍率が5000倍の条件下において、最低3視野以上の写真を撮影した。その後、画像解析装置を用いて、得られた写真を2値化した後、試験体の外周面に存在するSi−Mn系窒化物の面積率を測定した。この結果は、表1に併せて示した。
次に、得られた試験体において、図2に示す2円筒摩耗試験機を用いて、耐摩耗性試験を行った。この耐摩耗性試験は、図2に示すように、一対の試験体S1,S2の外周面を接触させた状態で配置した後、以下に示す条件で駆動側の試験体S1と従動側の試験体S2を互いに逆方向に回転させることで行った。
<耐摩耗試験条件>
面圧:1176MPa(120kgf/mm2
すべり率:30%
潤滑油:スピンドル油♯10
駆動側の試験体S1の回転速度:10min
従動側の試験体S2の回転速度:7min
そして、回転前の試験体S1,S2の質量と、すべり距離が3000mとなるまで回転させた後の試験体S1,S2の質量との差から摩耗量を算出し、単位距離(1m)あたりの摩耗量(g/m)を表1に併せて示した。
Figure 0005061478
表1に示す結果から、Si含有率が0.40質量%以上で、Mn含有率が0.40質量%以上で、Si及びMnの合計含有率が1.00質量%以上である鋼からなる素材に対して、窒化処理又は浸炭窒化処理と、焼入れ処理と、焼戻し処理とを施すことで作製し、その外周面に存在するSi−Mn系窒化物の面積率を1.0%以上10%以下とした試験片A−1〜A−6では、それ以外の試験片A−7〜A−15と比べて、摩耗量が低減していることを確認できた。
[第2実施例]
まず、窒化ケイ素(硬さHv500)からなるセラミック材を所定形状に加工して棒状の試験体(縦:10mm,横:10mm,高さ:5mm)を作製した。次に、この試験体の表面に、平均粒径が100μmのアルミナ粒子(Hv1300)を噴射材としたショットブラスト処理を表2に示す条件で施して、セラミックス材の転位組織を直線状に均一に分散させた。
このようにして得られた試験体に対して、セラミックス材の転位組織の転位密度と、表面硬さと、表面粗さと、破壊靱性値と、を以下に示す手順で測定した。この結果は、表2に併せて示した。
セラミックス材の転位組織の転位密度は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、直線状の転位組織を倍率10万倍で観察し、単位面積(1cm2 )あたりに存在する直線状の転位組織の個数を算出した。
また、表面硬さは、JIS Z 2244に規定されたビッカース硬さ試験法を用いて測定した。さらに、表面粗さは、JIS B 0601に規定された表面粗さ測定方法を用いて測定した。さらに、破壊靱性値は、JIS R 1607に規定された破壊靱性評価方法を用いて測定した。
Figure 0005061478
表2の結果から、セラミックス材で作製し、このセラミックス材の転位組織の転位密度を1×104 〜1×1012cm-2とした試験体B−1〜B−3では、それ以外の試験体B−4〜B−6と比べて、破壊靭性値が高くなっていることを確認できた。
[第3実施例]
本実施例では、日本精工株式会社製の呼び番号6206の深溝玉軸受(外径:30mm,内径:62mm,幅:16mm)を以下に示す手順で作製した。
内輪及び外輪は、表3に示すように、上述した第1実施例の試験体A−3,5,6,7,12,15のいずれかと同様の構成となるように作製した。なお、内輪及び外輪では、その軌道面の構成を上述した第1実施例における試験体の外周面と同様の構成とした。
玉は、表3に示すように、上述した第2実施例の試験体B−1,3,4,6のいずれかと同様の構成となるように作製した。
そして、得られた内輪、外輪、及び玉と、ナイロン66製の保持器とを用いて、深溝玉軸受を組み立てて、高速回転・高荷重下の過酷な潤滑環境下で使用することを想定した以下に示す条件で寿命試験を行った。
この寿命試験は、潤滑油を供給しつつ、トルクが初期値の3倍となるまで内輪を回転させることで行った。そして、トルクが初期値の3倍となるまでの回転時間を寿命として算出した。また、この寿命試験は、各実施例で10回ずつ行い、ワイブル分布関数に基づくL10寿命を算出し、このL10寿命と計算寿命(4時間)との比を、表3に併せて示した。
<寿命試験条件>
スラスト荷重:14700N(1500kgf)
回転速度:9000min-1
潤滑油:トラクション油VG68
Figure 0005061478
表3の結果から、内輪及び外輪をSi含有率及びMn含有率が特定された鋼製とし、その軌道面に存在するSi−Mn系窒化物の面積率を特定するとともに、玉をセラミックス製とし、そのセラミックスの転位組織の転位密度を特定した深溝玉軸受No.1〜No.4では、それ以外の深溝玉軸受No.5〜No.9と比べて、長寿命が得られ、高速回転・高荷重下の過酷な潤滑環境下で使用した場合であっても、計算寿命よりも長くできることを確認できた。
本発明の転がり支持装置の一例として深溝玉軸受を示す断面図である。 2円筒摩耗試験機を示す説明図である。
符号の説明
1 内輪(第1部材)
2 外輪(第2部材)
3 玉(転動体)
4 保持器

Claims (1)

  1. 互いに対向配置される軌道面を有する第1部材及び第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材の間に転動自在に配置される複数の転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより、前記第1部材及び前記第2部材のうち一方が他方に対して相対運動する転がり支持装置において、
    前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくとも一方は、Si含有率が0.40質量%以上1.20質量%以下、Mn含有率が0.40質量%以上1.20質量%以下、Si及びMnの合計含有率が1.00質量%以上2.00質量%以下、C含有率が0.95質量%以上1.30質量%以下、Cr含有率が0.90質量%以上1.60質量%以下で、残部が鉄及び不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、窒化又は浸炭窒化処理と、焼入れ処理と、焼戻し処理とが施されて得られ、その軌道面に存在するSi及びMnを含む1μm以下の窒化物が面積率で1.0%以上10%以下であるとともに、
    前記転動体は、セラミックスからなる素材に対して、塑性加工処理が施されて得られ、その転位組織の転位密度が1×104 cm-2以上1×1012cm-2以下であることを特徴とする転がり支持装置。
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