JP4990076B2 - ゼオライト分離膜、その製造方法および接合剤 - Google Patents

ゼオライト分離膜、その製造方法および接合剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4990076B2
JP4990076B2 JP2007237938A JP2007237938A JP4990076B2 JP 4990076 B2 JP4990076 B2 JP 4990076B2 JP 2007237938 A JP2007237938 A JP 2007237938A JP 2007237938 A JP2007237938 A JP 2007237938A JP 4990076 B2 JP4990076 B2 JP 4990076B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous tube
separation membrane
ceramic
zeolite
bonding agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007237938A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009066528A (ja
Inventor
和宏 矢野
義信 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Zosen Corp
Original Assignee
Hitachi Zosen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Zosen Corp filed Critical Hitachi Zosen Corp
Priority to JP2007237938A priority Critical patent/JP4990076B2/ja
Publication of JP2009066528A publication Critical patent/JP2009066528A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4990076B2 publication Critical patent/JP4990076B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、液体または気体の混合物から所望の成分を分離するゼオライト分離膜に関し、より詳細には、トウモロコシ、サトウキビ等のバイオマス原料を利用して発酵生成させるエタノール製造プラントにおいて、エタノール精製工程で使用されるエタノール/水の膜分離装置や、含水有機溶剤から水を除去して高濃度の有機溶剤を回収する膜分離装置に用いられるゼオライト分離膜に関する。本発明はまた、同分離膜の製造方法およびこれに用いる接合剤にも関する。
ゼオライト分離膜の一端部における管接合または封止方法として、下記の公知技術が知られている。
特許文献1には、ゼオライト膜付セラミック管の一端部と、これに接続すべき金属管の一端部との各外表面に亘って弾性または流動性を有する部材を具備する管端部接続構造が記載されている。
特許文献2には、高温で機密性および強度を有する無機分離膜の端部をシールする組成物として、SiO2:15〜20wt%、Al2O3:3〜5wt%、B2O3:15〜25wt%、PbO:55〜65wt%の組成を有し、軟化点400〜600℃の無機分離膜シール用組成物が提案されている。
特許文献3には、管状分離部材の端部を塞ぐのに、環状シール(Oリング/金属リング)を固定部材の螺合で挟圧する方式が示されている。
特許文献4には、シリカを55〜65mol%、ジルコニアを1〜10mol%含有し、カルシア、バリア及びストロンチアの群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属酸化物を含有し、酸化亜鉛を実質的に含有しない無アルカリガラスにより構成されたセラミック多孔体が提案されている。
特開2006-88079号公報 特開平10-180060号公報 特開2005-313156号公報 特開2006-263498号公報
しかしながら、特許文献1の構造では、セラミック表面の形状粗さに対応するために塗布剤が被覆材の下地として使用されており、この塗布材成分が装置稼動時に溶出してゼオライト分離膜に悪影響を及ぼす恐れがある。さらに、このときの被覆材を施す密封作業には比較的長い作業時間と技術的な習得を要するという短所がある。
特許文献2のシールに関しては、600℃以下でガラスを軟化して密封するため、酸化鉛を多量に含んだガラス組成が採用されており、このような酸化鉛がエタノールなどの製品側へ溶出することによって健康や環境へ被害が及ぶす懸念がある。さらに、接合部の構造に関して、ゼオライト分離膜を形成後に、ガラスシールを行っているため、接合部においてガラスと接合境界面の高い密着性が求められる。特に、分離膜とガス導管を接合する際には、分離膜の断面部とガス導管の外表面を接合しているため、分離膜の内径がガス導管の外径に比べて大きい場合は、ガラスシール部のみで物理的な強度を保つ必要があり、このように一定の強度を保つためにはシール部に相当厚いガラス層を必要とし、ガラス使用量は多大となる。
特許文献3の方式では、シール部材としてOリング(2箇所)を用いるために、ゼオライト分離膜端部における接合構造(ねじ込み部、Oリング挟圧部)が非常に複雑であり、この部位を製作する際に高度な加工精度が要求されることになり、コストアップを招くという問題がある。
特許文献4では、多数の細孔が形成されたセラミック多孔体を流体中に混在する縣濁物質、細菌、粉塵等を除去するために用いるセラミック多孔体が想定されており、酸(クエン酸溶液)またはアルカリ(次亜塩素酸ソーダ水溶液)への耐食性を考慮した酸化亜鉛を含まないガラス組成を提案しているが、被分離対象が比較的大きく、このためのガラス評価も発泡圧を基準としていることから、厳密なガラスの溶出は論じられていないと考えられる。セラミック多孔質管に結晶成長させて形成するゼオライト層によって、分離対象を分子サイズ(オングストローム)で選別するゼオライト分離膜では、ゼオライト層を形成する水熱反応(加熱・高アルカリ雰囲気)で溶出したわずかなガラス成分がゼオライト結晶形成に影響を及ぼして、膜性能(分離性能)を低下させる。これを防ぐためには、ガラス成分が溶出してもゼオライト形成時に影響の少ないガラス組成そのものを見出すことが必要とされる。
本発明は、先行技術が孕む上記諸問題を解消したゼオライト分離膜、同分離膜の製造方法およびこれに用いる接合剤を提供することを課題とする。
本発明によるゼオライト分離膜は、主成分としてアルミナで構成される多孔質管と、同管との接合位置に配され、主成分としてアルミナ50wt%以上を含有した接合部材とが、必須成分としてSiO2:17〜48wt%、Al2O3:2〜8wt%、BaO:24〜60wt%、ZnO:0.5〜5wt%を含み、かつLa2O3、CaOおよびSrOのうち少なくとも1つを含み、必須成分が全体重量の80〜84.5wt%であり、La 2 O 3 、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1つが全体重量の11.7〜15.8wt%である、セラミックの酸化物からなる接合剤によって固着され、多孔質管の表面にゼオライト薄層が形成されてなることを特徴とする。
本発明によるゼオライト分離膜において、接合部材は、例えば、セラミック多孔質管の少なくとも一端を封止する封止栓であるか、または、セラミック多孔質管の少なくとも一端に接合される管である。
本発明によるゼオライト分離膜において、接合部材の端部とセラミック多孔質管の端部が、例えば図6に示すように、凹部と凸部の嵌合により接合されていることが好ましい。
本発明によるゼオライト分離膜において、接合部材の熱膨張係数は、セラミック多孔質管のそれとほぼ同じ4〜9 x 10-6 (/K)であることが好ましい。接合部材の熱膨張係数がセラミック多孔質管のそれと異なると、接合部外表面を覆うコーティングを形成するための焼成時にコーティングにひび割れや剥がれが生じる。
本発明によるゼオライト分離膜において、接合部材としては、ガラス質の割合が0.1〜40wt%であり、結晶粒径が1μm以上であるものが好ましい。これによって、接合部材が、分離膜となるアルミナの多孔質管とほぼ同じ熱膨張係数を有することができ、ゼオライト層を形成する際の高アルカリ雰囲気においてセラミックの酸化物の漏出を防ぐことができることから、接合部材と分離膜の接合面での熱によるひび割れ発生を防ぎ、ゼオライト分離膜としての物理的な強度を確保することが可能となる。
図1はこのような接合部材からなる封止栓の粒子を示す顕微鏡写真であり、図2は粒子径の測定例を示すものである。物質の分離そのものはゼオライト層を有した分離膜において行われるため、被分離物質が接合部材を介して透過することは避けなければならない。接合部材を焼結後に構成する粒子径(結晶粒子径)が少なくとも1μm以上の微細な構造を構築することによって、被分離物質が接合部材を通過するのを防ぐことができる。
本発明によるゼオライト分離膜の製造方法は、主成分としてアルミナで構成される多孔質管と、同管に接合すべき、主成分としてアルミナ50wt%以上を含有する接合部材とを接合位置に配し、必須成分としてSiO2:17〜48wt%、Al2O3:2〜8wt%、BaO:24〜60wt%、ZnO:0.5〜5wt%を含み、かつLa2O3、CaOおよびSrOのうち少なくとも1つを含み、必須成分が全体重量の80〜84.5wt%であり、La 2 O 3 、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1つが全体重量の11.7〜15.8wt%であるセラミックの酸化物からなる接合剤を多孔質管と接合部材の間に介在させ、接合剤を焼成することによって多孔質管と接合部材を固着し、その後多孔質管の表面にゼオライト層を形成することを特徴とする。
本発明によるゼオライト分離膜の製造方法において、接合剤を、セラミックの酸化物粉末の成型品の形態でまたは同酸化物粉末を含むスラリーの形態で、多孔質管と接合部材の間に介在させ、接合剤を焼成することによって多孔質管と接合部材を固着することが好ましい。
上記セラミックの酸化物粉末の成型品は、バインダを含むか、または、バインダを含み成型後に焼成によってバインダを除去したものであることが好ましい。セラミックの酸化物粉末の成型品はセラミック酸化物粉末どうしをバインダによって結びつけることによって形が崩れることがないようにしたものであるが、これを本発明による分離膜へ供する際には、一旦バインダによって成型したものを、加熱によってバインダを焼失させるとともに、ガラスを融解させ、このガラス融解によって形を保持するようにしたものを利用することができる。さらに、セラミック多孔質管と接合部材を固着させる際に加熱処理を行うことから、一旦バインダによって成型したものを、この接合固着を行う加熱処理でバインダを焼失させることによって加熱処理工程を減じることが可能となる。
本発明によるゼオライト分離膜の製造方法において、セラミック多孔質管の表面にゼオライト層を水熱合成
によって形成することが好ましい。
上記水熱合成の前に、ゼオライト粒子を懸濁させた懸濁液にセラミック多孔質管を浸漬し乾燥させることによって、ゼオライト粒子を多孔質管の表面に付着させることが好ましい。本発明による分離膜の製造方法では、多孔質管に接合部材を固着させた後、多孔質管の表面にゼオライト層を形成する。ゼオライト層を形成する出発物質であるゼオライト粒子を縣濁させた液に多孔質管と接合部材の接合面を浸漬することによって、万一、接合境界に微細な隙間が発生した場合でも、この微細な隙間にゼオライト粒子の縣濁液が浸入し、乾燥によってゼオライト粒子を付着させることにより、この後の水熱反応によって結晶成長したゼオライト層がこの隙間を埋めることとなり、接合面における気密性を高くすることできる。
本発明による接合剤は、アルミナで構成される多孔質管と主成分としてアルミナ50wt%以上を含有した接合部材とが接合剤によって固着され、該多孔質管の表面にゼオライト薄層が形成されてなる分離膜において、該多孔質管と接合部材とを接合させるための接合剤であって、必須成分としてSiO2:17〜48wt%、Al2O3:2〜8wt%、BaO:24〜60wt%、ZnO:0.5〜5wt%を含み、かつLa2O3、CaOおよびSrOのうち少なくとも1つを含み、必須成分が全体重量の80〜84.5wt%であり、La 2 O 3 、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1つが全体重量の11.7〜15.8wt%である、セラミックの酸化物からなることを特徴とする。
本発明による接合剤は、さらにイットリアによって安定化させたジルコニアを0.1〜20wt%含むものであってよい。
セラミックの酸化物の代表例はガラスである。セラミックの酸化物粉末の成型品は、リング、例えばガラスリングであってよい。
本発明によるゼオライト分離膜の製造方法では、ゼオライト層を形成する前の段階で多孔質管に接合部材を固着させる。これによって、接合剤の溶融温度は、ゼオライトの耐熱限界である600℃以下という制限を超えることができ、接合剤に使用するセラミック酸化物の組成例えばガラス組成の選択の幅が広くなる(ガラス軟化温度の制限がなくなる)。
多孔質管に接合部材を固着させた後、多孔質管の表面にゼオライト層を形成するので、万一、接合境界に微細な隙間が発生した場合でも、ゼオライト層がこの隙間を埋めることになり、密着性の信頼性を高くできる。
また、接合部材の端部とセラミック多孔質管の端部が嵌合されている構造では、物理的な強度は接合剤だけでなく、嵌合によってももたらせるため、接合剤の使用量を節減することができる。
本発明による接合剤は、必須成分としてSiO2:17〜48wt%、Al2O3:2〜8wt%、BaO:24〜60wt%、ZnO:0.5〜5wt%を含み、かつLa2O3、CaOおよびSrOのうち少なくとも1つを含むセラミックの酸化物からなるので、水熱合成によるゼオライト層の形成工程において、該接合剤で接合部材を固着した多孔質管を高アルカリ溶液中に浸漬する際に接合剤の成分が同液に溶け出すことがなく、接合剤は得られたゼオライト層へ何ら影響を及ぼさない。
本発明では、接合作業に際して健康及び環境に配慮して鉛を含まない接合剤を使用する。分離膜運転中に漏出してゼオライト層へ悪影響を及ぼす恐れのある成分を含む接合剤や、取付作業が煩雑な被覆材を用いることなく、セラミック表面の粗さに十分対応した気密性を保持できる。
上記組成の接合剤および接合部材の使用により、ゼオライト分離膜と接合部材との接合部を簡易な構造とすることができ、コストダウンのみならずセラミックの特徴である機械的な強度および高い気密性を保持することができる。
つぎに、本発明を具体的に説明するために、本発明の実施例をいくつか挙げる。
実施例1
1)セラミック多孔質管と接合部材の固着
(a)図3において、セラミック多孔質管(1)(アルミナ99%、外径16mmφ、内径12mmφ)を封止するために、同管(1)の一端部と封止栓(3)(緻密質アルミナ)との間に、ガラス粉末を圧縮成型したガラスリング(2)を介在させた(図3a参照)。ここで使用したガラス粉末の組成は、表2中のBに示すものである。次いで、これを900℃で1時間焼成することにより、管(1)の一端部を封止した構造を得た。
(b)その後、セラミック多孔質管(1)の一端部と封止栓(3)との接合部の強度及び気密性を向上させるために、接合部をガラス粉末(組成:表2中のB)のスラリー(ガラス粉末:50wt%、溶媒:エタノール)に浸漬し乾燥した(図3b参照)。次いで、これを900℃で1時間焼成することにより、接合部外表面をガラスコーティング(4)で覆った構造を製作した。
2)ゼオライト分離膜の合成
図4において、上記のように一端部に封止栓をガラスにて固着させたセラミック多孔質管を、A型ゼオライト結晶粒子(東ソー社製ゼオラム)の懸濁液(0.10wt%)に浸漬した。ゼオライト結晶粒子を担持したセラミック多孔質管端部を2時間室温で放置した後、37℃で1晩乾燥した。次に、これらのゼオライト担持端部を反応ゲル液(組成Na2O:SiO2:Al2O3:H2O = 88:100:4:3960)に浸漬した状態で、100℃で4時間水熱合成を行った。この水熱合成によりセラミック多孔質管の外表面にゼオライト膜が形成された。
合成後のゼオライト膜付セラミック多孔質管を純水で洗浄した後、室温で1昼夜乾燥させた。
この様にして図3(a)(b)に対応する図4(a)(b)に示すゼオライト分離膜を製造した。図中、(1)はセラミック多孔質管、(3)は封止栓、(4)はガラスコーティング、(5)は溶融ガラス層、(6)はゼオライト層である。
上記ゼオライト分離膜について、下記の条件でエタノール/水の浸透気化試験(PV試験)を行った。この試験装置を図5に示す。図中、(11)はスターラで、その上に恒温槽(12)が載せられ、銅槽(12)の水中にゼオライト分離膜(13)が配置されている。(14)は真空計、(15)は液体窒素によるトラップ、(16)は真空トラップ、(17)は真空ポンプである。
PV試験条件:膜有効面積 10.1cm2
エタノール/水 = 90wt% / 10wt%
反応温度 = 75℃
下記の式に従って分離係数を求めた。
分離係数 = (CWater / CEtOH )透過側 / (CWater / CEtOH )供給側
CWater : 水の濃度
CEtOH : エタノール濃度
得られた試験結果は下記の通りである。
図4(a)のゼオライト分離膜:分離係数9986
図4(b)のゼオライト分離膜:分離係数1381
この結果から、図4(a)のゼオライト分離膜および図4(b)のゼオライト分離膜はいずれも、接合部のシールが極めて高い気密性を有するとともに、同シールはゼオライト分離膜に対して影響をほとんど及ぼさないことがわかる。
実施例2
下記の方法でガラス粉末への安定化ジルコニア添加の効果を調べた。
実施例1の「1」セラミック多孔質管と接合材の固着」において、接合剤用のガラス粉末およびコーティング用のガラス粉末として、ガラス(組成:表2中のB)に、イットリウムによって安定化されたジルコニア(第一稀元素化学工業社製HYS-8)を所定量添加したものを用い、それ以外は実施例1と同様の操作を行い、ゼオライト分離膜を作製した。同膜について実施例1と同様の方法でエタノール/水の浸透気化試験(分離係数)を行った。
この試験結果を表1に示す。
この結果より、ガラスへの安定化ジルコニア添加量が20wt%以下では、ジルコニウムを添加しない場合に比べてゼオライト分離膜の性能(分離係数)が高くなることがわかる。

実施例3
下記の方法でガラス粉末組成が膜性能へ及ぼす影響を調べた。
実施例1の「1)セラミック多孔質管と接合材の固着」において、接合剤用のガラス粉末およびコーティング用のガラス粉末の組成を、表2に示すように変え、それ以外は実施例1と同様の操作を行い、ゼオライト分離膜を作製した。同膜について実施例1と同様の方法でエタノール/水の浸透気化試験(分離係数)を行った。この試験結果を表3に示す。
この結果より、組成A〜Dにおいて、接合部のガラスシールが極めて高い気密性を有するとともに、ゼオライト分離膜に対して影響をほとんど及ぼさない構造を有することがわかる。
実施例4
下記の方法で接合部材の組成及び熱膨張係数がコーテイング状況(密着性・気密性)に及ぼす影響を調べた。
まず、組成及び熱膨張係数の異なる管状の接合部材A〜Gを用意した。図6において、これらの接合部材(21)の一端部をアルミナ多孔質管(1)(アルミナ99.6%、外径φ12mm)の内径(φ12mm)の一端部の内部に挿入できるように、前者を切削加工し、その端部に段部(21a)を介して外径が他の部分より小さい小径部(21b)を形成した。接合部材(21)の一端部をアルミナ多孔質管(1)の一端部内に挿入した後、接合部材(21)の段部(21a)とアルミナ多孔質管(1)の端面の間にガラスリング(2)を介在させた。
その後、実施例1の「1)セラミック多孔質管と接合部材の固着」工程と同様に接合部外表面をガラスコーティング(4)で覆った。すなわち、100℃で1晩乾燥後、昇温速度10℃/minで1000℃まで加熱し、この温度で1時間保持した。その後、降温速度1℃/minで室温まで放冷した。こうして、図6に示す構造を得た。その後、実施例1の「2)ゼオライト分離膜の合成」工程と同様に水熱合成によりセラミック多孔質管の外表面にゼオライト膜を形成した。この段階で、接合部コーティング状況を目視観察した。その結果を表5に示す。
この結果により、接合部材の熱膨張係数がセラミック多孔質管のそれと異なると、接合部外表面を覆うコーティングを形成するための焼成時にコーティングにひび割れや剥がれが認められた。このことから、接合部材の熱膨張係数は、セラミック多孔質管のそれとほぼ同じ4〜9 x 10-6 (/K)であり、主成分としてアルミナ50wt%以上を含有し、ガラス質の割合が0.1〜40wt%であることを要する。
同膜について実施例1と同様の方法でエタノール/水の浸透気化試験(分離係数)を行った。この試験結果を表6に示す。この表より、接合部材A〜Dで高い分離性能が得られており、ゼオライト層形成に対する接合部材の組成の影響がほとんどないことがわかる。
実施例5
セラミック多孔質管の端部構造と接合部材の端部構造の変形例を図7(a)(b)(c)(d)に示す。図中、(1)はセラミック多孔質管、(2)は接合剤、(3)は封止栓、(4)はガラスコーティング、(18)は封止キャップ、(21)は接合部材である。
実施例1の「2)ゼオライト分離膜の合成」工程と同様に水熱合成によりセラミック多孔質管の外表面にゼオライト膜を形成した。
図1は接合部材からなる封止栓の粒子を示す顕微鏡写真である。 図2は封止栓の粒子径の測定を示す模式図である。 図3(a)(b)はセラミック多孔質管と接合部材の固着構造を示す概略図である。 図4(a)(b)はゼオライト分離膜の合成を示す概略図である。 図5はエタノール/水の浸透気化試験(PV試験)の装置を示す概略図である。 図6はセラミック多孔質管と接合部材の固着構造を示す概略図である。 図7(a)(b)(c)(d)はセラミック多孔質管の端部構造と接合部材の端部構造の変形例を示す概略図である。
符号の説明
(1) セラミック多孔質管
(2) ガラスリング
(3) 封止栓
(4) ガラスコーティング
(5) 溶融ガラス層
(6) ゼオライト層
(18) 封止キャップ
(21) 接合部材

Claims (11)

  1. 主成分としてアルミナで構成される多孔質管と、同管との接合位置に配され、主成分としてアルミナ50wt%以上を含有した接合部材とが、必須成分としてSiO2:17〜48wt%、Al2O3:2〜8wt%、BaO:24〜60wt%、ZnO:0.5〜5wt%を含み、かつLa2O3、CaOおよびSrOのうち少なくとも1つを含み、必須成分が全体重量の80〜84.5wt%であり、La 2 O 3 、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1つが全体重量の11.7〜15.8wt%である、セラミックの酸化物からなる接合剤によって固着され、多孔質管の表面にゼオライト薄層が形成されてなることを特徴とする分離膜。
  2. 接合部材が、セラミック多孔質管の少なくとも一端を封止する封止栓であるか、または、セラミック多孔質管の少なくとも一端に接合される管であることを特徴とする請求項1記載の分離膜。
  3. 接合部材の端部とセラミック多孔質管の端部が嵌合されていることを特徴とする請求項1記載の分離膜。
  4. 接合部材の熱膨張係数が4〜9 x 10−6(/K)であることを特徴とする請求項1記載の分離膜。
  5. 接合部材において、セラミックの酸化物の割合が0.1〜40wt%であり、結晶粒径が1μm以上であることを請求項1記載の分離膜。
  6. 主成分としてアルミナで構成される多孔質管と、同管に接合すべき、主成分としてアルミナ50wt%以上を含有する接合部材とを接合位置に配し、必須成分としてSiO2:17〜48wt%、Al2O3:2〜8wt%、BaO:24〜60wt%、ZnO:0.5〜5wt%を含み、かつLa2O3、CaOおよびSrOのうち少なくとも1つを含み、必須成分が全体重量の80〜84.5wt%であり、La 2 O 3 、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1つが全体重量の11.7〜15.8wt%であるセラミックの酸化物からなる接合剤を多孔質管と接合部材の間に介在させ、接合剤を焼成することによって多孔質管と接合部材を固着し、その後多孔質管の表面にゼオライト層を形成することを特徴とする分離膜の製造方法。
  7. 接合剤を、セラミックの酸化物粉末の成型品の形態でまたは同酸化物粉末を含むスラリーの形態で、多孔質管と接合部材の間に介在させ、接合剤を焼成することによって多孔質管と接合部材を固着することを特徴とする請求項6記載の分離膜の製造方法。
  8. セラミックの酸化物粉末の成型品がバインダを含むか、または成型品がバインダを含み成型後に焼成によってバインダを除去したものであることを特徴とする請求項7記載の分離膜の製造方法。
  9. セラミック多孔質管の表面にゼオライト層を水熱合成によって形成するに際して、水熱合成の前に、ゼオライト粒子を懸濁させた懸濁液にセラミック多孔質管を浸漬し乾燥させることによって、ゼオライト粒子を多孔質管の表面に付着させることを特徴とする請求項8記載の分離膜の製造方法。
  10. アルミナで構成される多孔質管と主成分としてアルミナ50wt%以上を含有した接合部材とが接合剤によって固着され、該多孔質管の表面にゼオライト薄層が形成されてなる分離膜において、該多孔質管と接合部材とを接合させるための接合剤であって、必須成分としてSiO2:17〜48wt%、Al2O3:2〜8wt%、BaO:24〜60wt%、ZnO:0.5〜5wt%を含み、かつLa2O3、CaOおよびSrOのうち少なくとも1つを含み、必須成分が全体重量の80〜84.5wt%であり、La 2 O 3 、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1つが全体重量の11.7〜15.8wt%である、セラミックの酸化物からなることを特徴とする接合剤。
  11. 接合剤がさらにイットリアによって安定化させたジルコニアを0.1〜20wt%含むことを特徴とする請求項10記載の接合剤。
JP2007237938A 2007-09-13 2007-09-13 ゼオライト分離膜、その製造方法および接合剤 Expired - Fee Related JP4990076B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007237938A JP4990076B2 (ja) 2007-09-13 2007-09-13 ゼオライト分離膜、その製造方法および接合剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007237938A JP4990076B2 (ja) 2007-09-13 2007-09-13 ゼオライト分離膜、その製造方法および接合剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009066528A JP2009066528A (ja) 2009-04-02
JP4990076B2 true JP4990076B2 (ja) 2012-08-01

Family

ID=40603356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007237938A Expired - Fee Related JP4990076B2 (ja) 2007-09-13 2007-09-13 ゼオライト分離膜、その製造方法および接合剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4990076B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5068788B2 (ja) * 2009-07-10 2012-11-07 三井造船株式会社 一端封止型ゼオライト膜用基体管
JP5515783B2 (ja) * 2010-01-27 2014-06-11 株式会社明電舎 管接続構造体、ゼオライト分離膜モジュール
JP5569238B2 (ja) * 2010-08-06 2014-08-13 株式会社明電舎 ゼオライト膜エレメント
JP2016052959A (ja) * 2014-09-02 2016-04-14 株式会社ノリタケカンパニーリミテド ガラス被覆アルミナ構造物、分離膜エレメント、およびガラス接合剤
JP6415200B2 (ja) * 2014-09-11 2018-10-31 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 片端封止型筒状セラミックスおよびその製造方法
JP7403986B2 (ja) * 2018-08-02 2023-12-25 三菱ケミカル株式会社 接合体及びそれを有する分離膜モジュール
JP7359590B2 (ja) * 2018-08-02 2023-10-11 三菱ケミカル株式会社 接合体及びそれを有する分離膜モジュール
JP7430498B2 (ja) * 2018-08-02 2024-02-13 三菱ケミカル株式会社 メタノールの製造方法
AU2019313973A1 (en) * 2018-08-02 2021-02-25 Japan Technological Research Association Of Artificial Photosynthetic Chemical Process Bonded body, separation membrane module equipped with same, and method for producing alcohol
JP7403997B2 (ja) * 2018-09-03 2023-12-25 三菱ケミカル株式会社 接合体及びそれを有する分離膜モジュール
JP6653004B2 (ja) * 2018-10-02 2020-02-26 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 分離膜用片端封止型筒状セラミックス基材およびその製造方法
WO2022163064A1 (ja) 2021-01-28 2022-08-04 日本碍子株式会社 分離膜複合体および分離膜複合体の製造方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0551234A (ja) * 1991-08-22 1993-03-02 Hoya Corp アルミナ基板被覆用ガラス及びグレーズド基板
JP3378452B2 (ja) * 1996-12-25 2003-02-17 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 無機分離膜シール用組成物
JP2002292252A (ja) * 2001-03-29 2002-10-08 Kyocera Corp フィルタモジュール
JP4015913B2 (ja) * 2002-09-25 2007-11-28 日本特殊陶業株式会社 固体電解質型燃料電池用単電池及びこれを用いた燃料電池
JP2004182510A (ja) * 2002-12-02 2004-07-02 Asahi Glass Co Ltd ガラスフリット混合物、電子回路基板製造方法および電子回路基板
JP4194905B2 (ja) * 2003-08-18 2008-12-10 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 多孔質筒体の支持構造および支持部材の固着方法
JP2006056769A (ja) * 2004-07-23 2006-03-02 Nippon Sheet Glass Co Ltd 封着用ガラス組成物、封着用ガラスフリット、及び封着用ガラスシート
JP4736031B2 (ja) * 2005-08-26 2011-07-27 独立行政法人産業技術総合研究所 表面保護加工されたゼオライト膜ならびにゼオライト膜を用いた脱水装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009066528A (ja) 2009-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4990076B2 (ja) ゼオライト分離膜、その製造方法および接合剤
WO2010038281A1 (ja) ゼオライト分離膜、その製造方法および接合剤
JP4523045B2 (ja) 酸素分離膜エレメントならびに該エレメントのシール方法及びシール材
JP5787928B2 (ja) バリウムおよびストロンチウム不含のガラス質もしくはガラスセラミックの接合材料ならびにそれらの使用
JP2016052959A (ja) ガラス被覆アルミナ構造物、分離膜エレメント、およびガラス接合剤
JP5904536B2 (ja) 高温で気密性を保つセラミックス−金属のガラスシール構造体
US7989373B2 (en) Hermetic sealing material
EP1322566B1 (en) Process for preparing barium lanthanum silicate glass-ceramics
JP2003238201A (ja) 封止材、接合体、電気化学装置および結晶化ガラス
WO2017098854A1 (ja) 封孔剤、封孔剤塗布液、耐食性被膜、高温部材及び高温部材の製造方法
JP2011016114A (ja) 一端封止型ゼオライト膜用基体管
JP7359590B2 (ja) 接合体及びそれを有する分離膜モジュール
JP3064113B2 (ja) ZrO2 セラミックスの接合方法
JP2017052672A (ja) 封孔剤、封孔剤塗布液、耐食性被膜、高温部材及び高温部材の製造方法
JP7403997B2 (ja) 接合体及びそれを有する分離膜モジュール
WO2016053750A1 (en) Methods of forming a glass composition
JP7403986B2 (ja) 接合体及びそれを有する分離膜モジュール
CN1059186C (zh) 一种陶瓷高温密封粘接方法
WO2017043423A1 (ja) 封孔剤、封孔剤塗布液、耐食性被膜、高温部材及び高温部材の製造方法
JP2018193606A (ja) 封孔剤、封孔剤塗布液、耐食性被膜、高温部材及びこれらの製造方法
JP2017190263A (ja) 封孔剤、封孔剤塗布液、耐食性被膜、高温部材及びこれらの製造方法
JP2017052670A (ja) 封孔剤、封孔剤塗布液、耐食性被膜、高温部材及び高温部材の製造方法
WO2018159195A1 (ja) 封孔剤、封孔剤塗布液、耐食性被膜、高温部材及びこれらの製造方法
JP2017052671A (ja) 耐食性被膜、高温部材及び高温部材の製造方法
JP2007106644A (ja) セラミックス部材およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110610

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111006

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120403

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120501

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4990076

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees