JP2017052671A - 耐食性被膜、高温部材及び高温部材の製造方法 - Google Patents

耐食性被膜、高温部材及び高温部材の製造方法 Download PDF

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Hironori Takase
寛典 高瀬
大下 浩之
Hiroyuki Oshita
浩之 大下
山崎 博樹
Hiroki Yamazaki
博樹 山崎
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Abstract

【課題】耐食性被膜の気孔を長期に亘って封孔できるとともに基材を腐食させることがなく、しかも簡便に形成できる耐食性被膜を提供する。【解決手段】M−Cr−Al−Y系合金(MはNi、Co、Feの少なくとも1種)からなる下地層と、ZrO2、Al2O3及びSiO2から選ばれる1種以上を50質量%以上含む表層と、表層上に付着した封孔剤とを有し、封孔剤が、組成として質量百分率でSiO260〜85%、Li2O+Na2O+K2O 15〜40%含有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、耐食性被膜及び高温部材に関する。
火力発電では石炭や石油、LNGをボイラーで燃焼させ、その高温高圧のガスを使ってタービンを回転させたり、高温ガスの熱を使って発生させた蒸気でタービンを回転させたりすることで発電を行っている。このためガスタービンや伝熱管などの高温部材は、500〜1000℃の酸素や硫黄酸化物、硫化水素などの腐食性、酸化性の燃焼ガス雰囲気に晒される。その結果、いわゆる高温腐食による寿命低下が問題となる。
このような酸性ガスによる腐食が原因で高温部材の劣化が起こるため、高温部材の交換を頻繁に行う必要がある。高温部材の交換は発電コストを高めることになるから、より長期間劣化の起こらない高温部材が求められている。
そこでこれらの高温部材の表面に耐食性被膜を形成して劣化を防止することが検討されている。耐食性被膜によって高温部材の寿命を延ばすには、如何にして気孔のない緻密な被膜を形成するかが重要となる。つまり耐食性被膜に気孔が存在すると、気孔を通して酸性ガスが高温部材の基材に到達してしまい、高温部材を腐食させてしまう。
特開2001−152307号公報
例えば特許文献1には、下地層としてサーメットまたはセラミックスを溶射によって形成し、下地層表面に酸化物セラミックによる封孔処理を施し、さらにはガラス質被膜を形成した複合被膜が開示されている。特許文献1に記載の複合被膜は、貫通気孔が無く、腐食性ガスに対して優れた耐食性を示すだけでなく、基材の使用寿命が著しく向上されるとしている。封孔剤としては、耐熱性有機樹脂セラミックス懸濁液、加熱によってCrを生成するクロム酸、焼成することによって金属酸化物を生成する無機金属化合物の溶液およびコロイド液、金属アルコキシドアルコール溶液、金属塩化物の水溶液またはアルコール溶液、金属燐酸塩水溶液、金属水酸化物のコロイド液、金属酸化物超微粉を含むアルコールまたは水懸濁液あるいはこれらの2種以上の混合液が推奨されている。特に無機コロイドSiO:30%、NaO:0.5%、残部水からなる溶液と、NaO:10%、SiO:30%、残部水からなる無機バインダー溶液とを1:1で混合した封孔液が提案されている。しかし、この封孔剤を用いた場合、被膜の形成に煩雑な作業を必要とする。
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、耐食性被膜の気孔を長期に亘って封孔できるとともに基材を腐食させることがなく、しかも簡便に形成できる耐食性被膜を提供することを課題とする。
本発明の耐食性被膜は、M−Cr−Al−Y系合金(MはNi、Co、Feの少なくとも1種)からなる下地層と、ZrO、Al及びSiOから選ばれる1種以上を50質量%以上含む表層と、表層上に付着した封孔剤とを有し、封孔剤が、組成として質量百分率でSiO 60〜85%、LiO+NaO+KO 15〜40%含有することを特徴とする。ここで「LiO+NaO+KO」はLiO、NaO及びKOの含有量の合量を意味する。
上記構成を有する耐食性被膜は、高温に晒されると封孔剤が溶融状態となって流動して気孔内を満たすため、耐食性被膜の気孔を確実に封孔することができる。またアルカリ金属成分が少ないため、基材を腐食させることがない。
さらに上記構成を有する耐食性被膜を採用した高温部材は、使用時の高温雰囲気を利用して耐食性被膜の気孔を封孔することが可能であるため、事前の焼成工程を省略することができる。
本発明においては、表層が、安定化ZrOからなることが好ましい。
本発明の高温部材は、上記の耐食性被膜が形成されてなることを特徴とする。
上記構成を有する高温部材は、使用環境において、耐食性被膜の気孔が封孔されることから、使用中に基材が腐食することがない。
ところで火力発電設備が、例えば修理等によって操業を一旦中止し、高温部材が冷却された場合、高温部材等との膨張差によって封孔剤に割れが生じることがある。このような事態が生じた場合であっても、設備が再稼働して高温部材が高温に晒されるようになると、封孔剤が再溶融する。その結果、封孔剤の割れが消失するため、再び気孔を封孔状態に戻すことができる。
本発明の高温部材の製造方法は、基材上にM−Cr−Al−Y系合金(MはNi、Co、Feの少なくとも1種)からなる下地層を形成する工程と、下地層上に、ZrO、Al及びSiOから選ばれる1種以上を50質量%以上含む表層を形成する工程と、表層上に封孔剤を塗布する工程とを含み、封孔剤として、組成として質量百分率でSiO 60〜85%、LiO+NaO+KO 15〜40%含有する固形化成分と、前記固形化成分100%に対して70〜230%のHOとを含む水ガラスを使用することを特徴とする。
上記方法によれば、高温部材表面に形成された封孔剤は、温度上昇に伴ってHOが蒸発し、低軟化点の非晶質ガラスまたはガラス融液または液体となる。このため高温部材が高温に晒されると、封孔剤が流動して気孔内を満たすため、耐食性被膜の気孔を確実に封孔することができる。またアルカリ金属成分が少ないため、基材を腐食させることがない。また使用する封孔剤は2種以上の混合液ではなく単一溶液を塗布したものであることから、施工作業が簡便である。
試料Aの耐食性被膜のSEM観察及びEDS分析の結果を示す写真である。 試料Aの下地層と表層の界面のSEM観察及びEDS分析の結果を示す写真である。 試料Bの下地層と表層の界面のSEM観察及びEDS分析の結果を示す写真である。 試料Cの下地層と表層の界面のSEM観察及びEDS分析の結果を示す写真である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の耐食性被膜は、下地層と表層と封孔剤とを有する。
下地層を構成するM−Cr−Al−Y系合金は、耐高温酸化性や耐高温腐食性に優れた性質を有するNiあるいはCoを主成分とし、Cr、Al及びYを添加した合金である。この種の合金は、基材として使用可能なSUSや、表層として使用可能な安定化ZrO系被膜の双方に密着し易いという特徴がある。
下地層の気孔率は1%以下であることが好ましい。酸性ガスの透過抑制の観点から、下地層の気孔率は低いほど有利になる。ここで「気孔率が1%以下」とは、耐食性被膜の断面を走査型電子顕微鏡により倍率1000倍で観察した際に、観察画面の面積に対する表面の割れや空隙の総面積の割合が1%以下であることを意味する。
下地層の膜厚は10〜500μm、特に50〜400μm、さらには70〜350μmであることが好ましい。酸性ガスの透過抑制の観点から、下地層の膜厚は厚いほど有利になる。また下地層は、一般に基材と表層の界面に生じる熱膨張特性の相違に起因した熱応力を緩和する効果を有するが、下地層の膜厚が小さすぎると熱応力の緩和効果を得難くなる。一方、下地層の膜厚が大きすぎると、発電設備内部の熱サイクル等によって発生する熱応力が大きくなり、下地層が剥離し易くなる。なお下地層の気孔率は、溶射するM−Cr−Al−Y系合金粉末等の粒径を変えることによって調整することができる。
表層は、ZrO、Al及びSiOから選ばれる1種以上を50質量%以上含む被膜である。この種の被膜は、例えば500〜1000℃の酸素や硫黄酸化物、硫化水素などの腐食性、酸化性の燃焼ガス雰囲気に対して耐食性を有し得るものである。
表層の例として、安定化ZrOを主たる構成成分とする被膜(以下、安定化ZrO系被膜という)が挙げられる。安定化ZrOは、ZrOを主成分とし、Y、MgO、CaO、SiO、CeO、Yb、Dy、HfO等から選ばれた1種類以上の安定化剤を添加したものである。具体的には、ZrOの含有量が85質量%以上、好ましくは85〜95質量%、安定化剤の含有量が15質量%以下、好ましくは5〜15質量%であるものを意味する。ZrOの含有量が85質量%以上であれば、被膜の耐食性が確保できるとともに、プラズマ溶射後の冷却過程において1000℃付近で発生するZrOの正方晶や立方晶から単斜晶への相転移も抑制することができる。なおZrOの含有量が85質量%よりも少ないと、被膜の耐食性が低下してしまう。
表層の気孔率は5%以下、特に4%以下であることが好ましい。表層を緻密にすることによって、酸性ガスが被膜を透過することによって生じる基材の腐食を一層防止することが可能になる。表層の気孔率が高すぎると、封孔剤によって気孔を完全に封孔することが難しくなり、酸性ガスの透過抑制が困難になる。ここで「気孔率が5%以下」とは、耐食性被膜の断面を走査型電子顕微鏡により倍率1000倍で観察した際に、観察画面の面積に対する表面の割れや空隙の総面積の割合が5%以下であることを意味する。
表層の膜厚は10〜1000μm、10〜500μm、50〜400μm、特に70〜300μmであることが好ましい。表層の膜厚が小さすぎると、酸性ガスの透過抑制が困難になり易い。一方、表層の膜厚が大きすぎると、熱サイクルによって発生する熱応力が大きくなり、表層が剥離しやすくなる。なお表層の気孔率は、溶射粉末(安定化ZrO粉末や無機ガラス粉末)の粒径を変えることによって調整することができる。
封孔剤は、耐食性被膜に存在する気孔を封孔するものであり、固形化成分を含む。また後述の通り、封孔剤は水ガラスを乾燥させたものであることから、固形化成分に加えてHO成分を含み得る。固形化成分とはHO含有量が低下したときに、室温において流動性の極めて低い固体またはガラスを形成するものである。
封孔剤中の固形化成分の組成を上記のように限定した理由を以下に説明する。なお以下の記載において「%」は質量%を意味する。
SiOは、骨格形成酸化物であり、骨格形成に寄与すると同時に耐水性を上げる成分である。SiOの含有量が多すぎると高温にしたときに骨格部が軟化しにくくなり、含有量が少なすぎると耐水性が低くなり、また骨格構造が不安定になる。SiOの含有量は60〜85%、65〜80%、特に70〜78%であることが好ましい。
LiO+NaO+KOは骨格部の粘度を下げて低軟化点または低融点を達成するための成分である。ただしその含有量が多すぎると高温腐食の原因となってしまう。よって骨格組成中に含まれるアルカリ金属酸化物の総量(LiO+NaO+KO)は15〜40%であり、18〜35%、20〜30%、特に22〜27%であることが好ましい。なおLiOの含有量は0〜40%、0〜30%、0〜20%、特に0〜10%であることが好ましく、NaOの含有量は15〜40%、18〜35%、20〜30%、特に22〜27%であることが好ましい。KOの含有量は0〜40%、0〜30%、特に0〜20%であることが好ましい。
上記の成分以外にも、所望の特性を損なわない範囲でAl、B、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、P、TiO、MnO、Fe、CoO、NiO、CuO、Y、ZrO、SnO、La、CeO、Bi等をそれぞれ20%まで含んでも良い。
本発明の高温部材は、上述の耐食性被膜が形成されている。尚、高温部材本体(基材)の材料としては、Fe、Ni、Co、Crの少なくとも1つを主成分とする金属材料が好ましい。
高温部材は、蒸気や空気等の流体を介して運動エネルギーや熱エネルギーを回収して発電を行う火力発電のタービンや伝熱管であることが好ましい。ただしこれらに限定されるものでない。例えば、各種エンジン等などにも好適に適用できる。
次に本発明の高温部材の製造方法を、SUSからなる基材上に、M−Cr−Al−Y系合金からなる下地層を介して、安定化ZrO系被膜を形成する場合を例にとって説明する。なお以下の説明において、基材として金属管を用いれば、耐食性被膜付き伝熱管を作製することができる。なお本発明の製造方法は以下の説明に制限されるものではない。当然ながら下地層の形成が必須要件でないことは言うまでもない。
まずSUSからなる基材上に、M−Cr−Al−Y系合金からなる下地層を形成する。
下地層の形成は、特に制限されるものではないが、高速フレーム溶射(HVOF)のようなガス溶射によって形成されることが好ましい。高速フレーム溶射を用いることで、基材であるSUSとの密着性が良く、気孔率も低い下地層を得やすくなる。またこの際に用いる溶射粉末には、M−Cr−Al−Y系合金からなる粉末を使用することが好ましい。M−Cr−Al−Y系合金については既述の通りであり、ここではその説明を省略する。また溶射粉末の平均粒径は10〜75μm、10〜53μm、特に10〜45μmであることが好ましい。溶射粉末の粒径が大きいと、ガス溶射によって形成される下地層の気孔率が高くなる。また溶射粉末の粒径が小さいと溶射粉末をガスあるいはプラズマに供給する、ポートと呼ばれる噴出口の詰まりが発生しやすくなり、任意の膜厚の溶射被膜の形成に時間がかかり、結果的に溶射コストが高くなり易い。
次にM−Cr−Al−Y系合金からなる下地層上に、安定化ZrO系被膜からなる表層を形成する。
安定化ZrO系被膜は、プラズマ溶射法によって形成することができる。プラズマ溶射法としては大気圧プラズマ溶射法、真空プラズマ溶射法等の種々の方法を用いることが可能である。この際に用いる溶射粉末には、安定化ZrO粉末を使用することが好ましい。なお安定化ZrO系被膜の形成は、プラズマ溶射以外の溶射技術(例えばガス溶射)、コールドスプレー、エアロゾルデポジション法等の方法で形成することも可能である。
安定化ZrO粉末の平均粒径は10〜75μm、10〜53μm、特に10〜45μmであることが好ましい。安定化ZrO粉末の平均粒径が大きいと、プラズマ溶射によって形成される被膜の気孔率が高くなる。また安定化ZrO粉末の平均粒径が小さいと溶射粉末をプラズマに供給する噴出口(ポート)の詰まりが発生しやすくなり、任意の膜厚の溶射被膜の形成に時間がかかり、結果的に溶射コストが高くなり易い。
続いて表層上に、封孔剤層を形成する。
封孔剤層の形成は、例えば上記した封孔剤を刷毛塗りやスプレー等の方法で表層上に塗布し、乾燥させる。このようにして封孔剤層を形成することができる。ここで使用する封孔剤は、骨格成分とHO成分を含む水ガラスである。封孔剤を構成する固形化成分については既述の通りであり、ここでは説明を省略する。封孔剤を形成するHOは、固形化成分100%に対して外割りで70〜230%、含有する。なおHOは封孔剤を施工する際の流動性を高める成分である。HOの含有量が多すぎると、流動性が高くなりすぎて施工時に垂れたり、施工厚みを厚くするのが難しくなったりする。よってHOの含有量は70〜230%、100〜220%、130〜180%、特に140〜170%であることが好ましい。なおHOの含有量が低すぎると、流動性が低すぎて耐食性の被膜に浸透しづらくなったり、施工厚みが厚くなったりする。
このようにして作製された高温部材は、火力発電のタービンや伝熱管、各種エンジンの用途に供される。そして使用環境が高温になると、封孔剤が軟化流動して表層の気孔を隙間なく埋め、酸性ガス等が耐食性被膜に侵入して高温部材を腐食することを防止する。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
試料Aは次のようにして作製した。まずSUS310S基材を脱脂、洗浄後、ブラスト処理を行い、Co−Ni−Cr−Al−Y系合金からなる平均粒径10〜45μmの合金粉末を高速フレーム溶射し、耐高温酸化性・耐高温腐食性に優れた下地層(Co−Ni−Cr−Al−Y合金層)を形成した。下地層の膜厚は均一で200〜400μmであった。なお下地層の膜厚は、マイクロメーターにて測定した。また膜厚の調整は、まず溶射装置を基材と平行に移動させて溶射し、一回の溶射でどの程度の膜厚が得られるかをマイクロメーターで測定し、これを基にして溶射の回数を調節することにより行った。
次に、平均粒径10〜45μmの8%Y−ZrO粉末を、下地層上に大気圧プラズマ溶射して表層を形成した。表層の膜厚は均一で50〜200μmであった。なお表層の膜厚の調整及び測定はCo−Ni−Cr−Al−Y合金を溶射する際と同様の方法で行った。
続いて表層上に、水ガラス(SiO 75%、NaO 25%、外割でHO 160%)からなる封孔剤を刷毛塗りによって塗布し、乾燥させて高温部材を得た。その後、800℃で4日間焼成した。このようにして試料Aを得た。
また対比のために試料Bを用意した。
試料Bは次のようにして作製した。まず試料Aと同様にして基材上に下地層及び表層を形成した。次にB 32質量%、NaO 68%の組成となるように調製したガラス原料(ホウ酸及び炭酸ナトリウムの混合物)を表層上に塗布した後、800℃で4時間焼成することによって試料Bを得た。
さらに封孔剤の反応性を判断するための基準として、下地層及び表層のみを形成した試料Cを用意した。なお試料Cは、封孔剤層を形成しないことを除き、試料Aと同様にして作製した。
このようにして得られた試料A及びBについて、被膜への浸透性及び反応性を評価した。図1、図2は、試料Aの結果を示し、図3は試料Bの結果を示す。なお図4は、試料CのSEM観察及びEDS分析の結果である。
図1〜図2から明らかなように、本発明の実施例である試料Aは、封孔剤の気孔への浸透性が優れており、また封孔剤と下地層との反応が殆ど見られなかった。これに対して試料Bは、図3から明らかなように、下地層と強く反応していることが確認された。これらの事実は、本発明で使用する封孔剤が高い封孔性を有しており、また被膜を腐食させることがなく長期安定性に優れることを示している。
なお浸透性は、切断した試料を樹脂5に包埋し、切断面を研磨した後、切断面をSEM(走査電子顕微鏡)観察及びEDS(エネルギー分散型X線分析)分析を行った。なお、耐食性被膜内の全ての気孔が外部と貫通しているわけではない。従って、独立気孔が存在していても問題はない。
本発明の耐食性被膜は、高温燃焼ガスから、蒸気や空気等の流体を介して運動エネルギーや熱エネルギーを回収して発電を行う火力発電のタービンや伝熱管の保護膜として用いることが好ましい。具体的には、ガスタービン発電、石炭火力発電、石炭ガス化複合発電、石油火力発電、廃棄物発電、地熱発電等のタービンや伝熱管などの保護膜として好適である。ただし、これらに限定されるものでなく、各種エンジン等などの保護膜としても好適である。また本発明の高温部材は、ガスタービン発電、石炭火力発電、石炭ガス化複合発電、石油火力発電、廃棄物発電、地熱発電等のタービンや伝熱管、或いは各種エンジン等として好適である。
1 封孔剤
2 表層
3 下地層
4 Al過剰層
5 樹脂

Claims (4)

  1. M−Cr−Al−Y系合金(MはNi、Co、Feの少なくとも1種)からなる下地層と、ZrO、Al及びSiOから選ばれる1種以上を50質量%以上含む表層と、表層上に付着した封孔剤とを有し、封孔剤が、組成として質量百分率でSiO 60〜85%、LiO+NaO+KO 15〜40%含有することを特徴とする耐食性被膜。
  2. 表層が、安定化ZrOからなることを特徴とする請求項1に記載の耐食性被膜。
  3. 基材の表面に、請求項1又は2に記載の耐食性被膜が形成されてなることを特徴とする高温部材。
  4. 基材上にM−Cr−Al−Y系合金(MはNi、Co、Feの少なくとも1種)からなる下地層を形成する工程と、下地層上に、ZrO、Al及びSiOから選ばれる1種以上を50質量%以上含む表層を形成する工程と、表層上に封孔剤を塗布し、乾燥する工程とを含み、封孔剤として、組成として質量百分率でSiO 60〜85%、LiO+NaO+KO 15〜40%含有する固形化成分と、前記固形化成分100%に対して70〜230%のHOとを含む水ガラスを使用することを特徴とする高温部材の製造方法。
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