JP2007106644A - セラミックス部材およびその製造方法 - Google Patents

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Kyota Chiyonobu
恭太 千代延
Shizuma Shintani
静馬 新谷
Hidetaka Nishida
秀高 西田
Yasutaka Wada
泰孝 和田
Tsutomu Nitta
勉 新田
Takaya Nagahisa
堅也 永久
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Abstract

【課題】耐久性及び耐環境性に優れた、非酸化物系セラミックスを基材としたセラミック部材及びその製造方法、並びに前記セラミックス部材の利用を提供すること。
【解決手段】非酸化物系セラミックスの基材上に酸素拡散防止層を形成し、さらに、前記酸素拡散防止層上に酸化物系セラミックス層を形成し、得られた積層体を焼成する。このように製造したセラミックス部材は、優れた耐久性及び耐環境性を有する。従って、非酸化物系セラミックスの基材上に酸素拡散防止層と酸化物系セラミックス層とを有するセラミックス部材は、高温構造部品等に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材として非酸化物系セラミックスを有し、耐久性及び耐環境性に優れたセラミックス部材およびその製造方法、並びに前記セラミックス部材の利用に関するものである。
近年、米国を中心に、高温構造部品に非酸化物系セラミックスを適用した実機ガスタービンを用いた長時間の運転試験により、使用されているセラミックス部材の腐食・減肉問題が顕在化されている。この問題の解決策として耐環境性コーティングの開発の必要性がクローズアップされている。
耐環境性コーティングとして検討されている材料としては、酸化物、複合酸化物、NZP(ナトリウムジルコニウムフォスフェート)、シリケート、アルミノシリケート、酸化物多層構造、非酸化物、非酸化物多層構造などに分類されるものが提案されている(非特許文献1〜21参照)。
高融点の酸化物、および複合酸化物は、酸化中での高温安定性に優れると考えられるため、有望な候補材料とされている。適用にあたっては、コーティング膜の耐剥離性の観点から、基材材料との熱膨張率の整合性、接着性に考慮が必要であるとされている。例えば、Al(アルミナ)とSiO(シリカ)との複合酸化物であるAlSi13(ムライト)は、上記観点から特に有望な候補材料とされている。また、コーティング膜自体の損傷許容性を考慮して、アルミナ長繊維強化アルミナ基複合材料も検討されている。
NZPs(ナトリウムジルコニウムフォスフェート類)は、低熱伝導率(〜1W/mK)、熱膨張係数(1〜3×10−6−1)、融点(>1800℃)、低酸素拡散の代表特性を有する材料として報告されている。NZPsの一つであるCa0.5Sr0.5Zr24は、やや融点が低いという問題が指摘されている。
高融点シリケートも候補材料の一つである。特にYSiO、ErSiOは、SiC基材に対する熱膨張率の整合性が良く、有望と考えられている。
また、BSASは、SiC/SiC複合材料用EBC材料として開発されたものである。
さらに、酸化物の多層構造の代表例としては、イットリウム部分安定化ジルコニア(YSZ)/ムライトの積層材料が知られている。この積層材料は、上述の観点から耐環境層としてムライトからなる層を形成し、この上に遮熱機能を付与するYSZ層をさらに形成したものである。この積層材料は各機能を有するコーティング膜を形成させたものとして注目されている。
しかしながら、非酸化物、および非酸化物の多層構造は、発電用ガスタービンの様な長時間の使用を目的としたものへの適用は困難だと考えられている。
以上のことから、非酸化物系セラミックスに対する熱膨張率整合性、高融点、耐酸化性の観点から、ムライト、希土類シリケート、バリウムストロンチウムアルミノシリケートなどが有望な候補材料とされている。
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しかしながら、非酸化物系セラミックスの基材に対して十分な耐久性を示す耐環境性コーティング材料の開発は未だなされていない。
本発明は、耐久性及び耐環境性に優れた、非酸化物系セラミックスを基材としたセラミック部材及びその製造方法、並びに前記セラミックス部材の利用を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、非酸化物系セラミックスの基材上に、融点が高く、酸素拡散速度(酸素透過性)が低い物質からなる酸素拡散防止層を有し、さらに酸素拡散防止層上に、酸素拡散防止層の飛散を防止する酸化物系セラミックス層を有するセラミックス部材が、優れた耐久性を有することを見出した。このような積層構造を有するセラミック部材は、融点が高く、酸素拡散速度が低い物質からなる酸素拡散防止層を有し、さらには、酸素拡散防止層の飛散を防止する酸化物系セラミックス層を有するので、耐環境性にも優れているものと考えられる。
このようにして、本発明者らは本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るセラミックス部材は、非酸化物系セラミックスの基材上に酸素拡散防止層を有し、前記酸素拡散防止層上に酸化物系セラミックス層を有する。なお、本発明においては、前記酸化物系セラミックス層の密度は、前記酸素拡散防止層の密度より高いことが好ましい。前記基材と前記酸素拡散防止層との間にはTaからなる第1の中間結合層が形成されていてもよい。この場合において、前記第1の中間結合層の密度は、前記酸素拡散防止層の密度より低いことが好ましい。前記酸素拡散防止層と前記酸化物系セラミックス層との間にはAl又はSiOからなる第2の中間結合層が形成されていてもよい。この場合において、前記第2の中間結合層の密度は、前記酸素拡散防止層の密度より高く、前記酸化物系セラミックス層の密度より低いことが好ましい。
また、本発明に係るセラミックス部材の製造方法は、非酸化物系セラミックスの基材上に酸素拡散防止層を形成する工程と、前記酸素拡散防止層上に酸化物系セラミックス層を形成して積層体を作製する工程と、前記積層体を焼成する工程と、を含む。なお、本発明においては、前記基材と前記酸素拡散防止層との間にTaからなる第1の中間結合層を形成する工程をさらに含んでいてもよいし、前記酸素拡散防止層と前記酸化物系セラミックス層との間にAl又はSiOからなる第2の中間結合層を形成する工程をさらに含むこととしてもよい。
なお、前記層は、例えば、溶射法、CVD(化学気相蒸着)法、PVD(物理気相蒸着)法、及びスパッタリング法からなるグループから選ばれるいずれかの方法により形成することができる。このように形成した層においては、当該層を形成する成分のゾル、前駆体溶液、又は粉末スラリーに含浸した後、焼成する工程をさらに施すこととしてもよいし、前記層を形成する成分を電気泳動電着法により電着させる工程をさらに施すこととしてもよい。
ここで、前記基材としては例えば、SiC又はSiからなるものが挙げられる。なお、前記基材は非酸化物系セラミックスとセラミックス強化材料とからなる複合材料であっても構わない。前記酸素拡散防止層は、例えば、Ir、Rhなどの元素からなるものである。また、前記酸化物系セラミックス層は、ZrO、HfO、ThO、SiO、希土類酸化物、及び希土類シリケートからなるグループから選ばれる1又は2種以上のセラミックスからなるものである。
また、本発明に係る高温構造部品は、上述のセラミックス部材からなることを特徴とする。前記高温構造部品としては、例えば、ガスタービン高温部品や電子部品などを挙げることができる。さらに、本発明に係るガスタービンは、上述のセラミックス部材からなるガスタービン高温部品を備える。
本発明によれば、耐久性及び耐環境性に優れた、非酸化物系セラミックスを基材としたセラミック部材及びその製造方法、並びに前記セラミックス部材の利用を提供することができる。
上記知見に基づき完成した本発明を実施するための形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。
==本発明に係るセラミックス部材及びその用途==
基材としてSiC繊維結合型セラミックス、SiC焼結体、Si焼結体等の非酸化物系セラミックスを用い、その基材表面に酸素拡散防止層を密着させて形成させるために基材と酸素拡散防止層との間にTa(タンタル)からなる中間結合層を形成した。その後、中間結合層上に酸素拡散防止層を形成させる物質として、融点(2727K)が高く、酸素拡散速度(酸素透過性)が低いIr(イリジウム)を用いて酸素拡散防止層を形成させた。さらに酸素拡散防止層上に当該酸素拡散防止層の飛散を防止する飛散防止層を形成させる物質として、融点(3085K)が高い酸化物系セラミックスであるHfOを用いて形成させた。このように形成させた積層体(金属/セラミックス積層構造物)を焼成することにより製造したセラミックス部材は優れた耐久性を有することが明らかになった。また、このようにして製造されたセラミックス部材(金属/セラミックス積層構造部材)は、融点が高く、酸素拡散速度が低い物質で酸素拡散防止層を形成し、その層の飛散を防止する飛散防止層(酸化物系セラミックス層)を酸素拡散防止層上に形成させているので、耐環境性に優れているものと考えられる。
以上のことから、図1に示すように、非酸化物系セラミックスの基材10上に、融点が高く、酸素拡散速度(酸素透過性)が低い物質からなる酸素拡散防止層20を有し、さらに酸素拡散防止層20上に、当該酸素拡散防止層20の飛散を防止する酸化物系セラミックス層30を有するセラミック部材100は、優れた耐久性及び耐環境性を有するものと考えられる。従って、上述のような積層構造を有するセラミック部材100は、例えば、ガスタービン高温部品や電子部品などの高温構造部品として有用であり、この部品を用いた機器、例えば、上述のような積層構造を有するセラミック部材100からなるガスタービン高温部品を備えたガスタービンは耐久性に優れ、長時間の運転も可能だと考えられる点で特に有用である。
なお、上述においては、基材10上に酸素拡散防止層20を形成させることとしているが、図2に示すように、基材10上に酸素拡散防止層20を密着させて形成させるために基材10と酸素拡散防止層20との間にTaからなる中間結合層40を設けることとしてもよい。また、上述においては、酸素拡散防止層20上に酸化物系セラミックス層30を形成させることとしているが、図3に示すように、酸素拡散防止層20上に酸化物系セラミックス層30を密着させて形成させるために酸素拡散防止層20と酸化物系セラミックス層30との間に中間結合層50を設けることとしてもよい。なお、本発明に係るセラミックス部材100は、中間結合層40と中間結合層50とをさらに有していてもよい。上記中間結合層50を形成する成分としては、例えば、Al、SiOなどの物質を好適に用いることができる。
本発明の好適な一実施態様によれば、酸化物系セラミックス層30の密度は酸素拡散防止層20の密度より高いことが好ましい。また、本発明に係るセラミックス部材100において、基材10と酸素拡散防止層20との間にTaからなる中間結合層40を設ける場合には、中間結合層40の密度が酸素拡散防止層20の密度より低いことが好ましい。さらに、酸素拡散防止層20と酸化物系セラミックス層30との間に中間結合層50を設ける場合には、当該中間結合層50の密度が酸素拡散防止層20の密度より高く、酸化物系セラミックス層30の密度より低いことが好ましい。このように、本発明に係るセラミックス部材100を構成する各セラミックス層の密度を、セラミックス部材100の外側にいくに従って高く、内側にいくに従って低くすることにより、耐エロージョン性と剥離耐久性を両立させることができ、また、縦方向に割れが発生しやすくなり剥離耐久性を向上させることができる。
ここで、本発明において用いられる基材10としては、非酸化物系セラミックスからなるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、SiC、Siなどからなるものを挙げることができる。なお、前記基材10は、セラミックス強化材料を含む複合材料からなるものであっても構わない。前記セラミックス強化材料としては、例えば、炭素、SiC、Si、アルミナなどの、連続繊維、短繊維、ウィスカー、粒子などの公知の材料を挙げることができる。
また、本発明において用いられる酸素拡散防止層20としては、酸素拡散速度(酸素透過性)が低い物質で構成されたものであればどのようなものでもよいが、図4に示すように、酸素拡散速度(酸素透過性)が極めて低いIrやRhなどの物質で構成されたものが望ましい。
上述の酸化物系セラミックス層30としては、酸素拡散防止層20の飛散を防止することができるものであればどのようなものでもよいが、例えば、ZrO、HfO、ThO、SiO、希土類酸化物、希土類シリケートからなるグループから選ばれる1又は2以上の酸化物から構成されたものが、高融点で酸素拡散防止層20の飛散を防御することができる点で望ましい。このように酸化物系セラミックスの層30を最外層とすることにより、外環境のガス流などの影響を低減することができる。また、酸素拡散防止層20における環境による酸化影響を防御し、基材10の酸化腐食を抑止することができる。なお、前記希土類酸化物としては、例えば、Y、Nd、Gd、Yb、などを、前記希土類シリケートとしては、例えば、 YSiO、YbSiO、などの公知の物質を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
==本発明に係るセラミックス部材の製造方法==
本発明に係るセラミックス部材100は、非酸化物系セラミックスの基材10上に酸素拡散防止層20を形成し、さらに酸素拡散防止層20上に酸化物系セラミックス層30を形成し、得られた積層体を焼成することにより製造することができる。なお、上述のように、基材10と酸素拡散防止層20との間に中間結合層40を設けることとしてもよいし、酸素拡散防止層20と酸化物系セラミックス層30との間に中間結合層50を設けることとしてもよい。
上述の各層は、各層を形成させる成分(物質)を用いて、例えば、溶射法、CVD(化学気相蒸着)、PVD(物理気相蒸着)、スパッタリング法などの公知の方法により形成することができる。なお、このようにして形成した層の気孔を封止する目的又は密着性を向上させる目的で、さらに、当該層を形成させる成分のゾル(例えば、Al層を形成させるためのアルミナゾルなど)、前駆体溶液(例えば、SiC層を形成させるためのポリカルボシラン溶液など)、又は粉末スラリー(例えば、AlSi13層を形成させるためのムライト微粉末の水系スラリーなど)を用いて常法により含浸・焼成したり、当該層を形成させる成分を電気泳動吸着法により電着させたり、これらを組み合わせて処理を施したりすることとしてもよい。
なお、以上のようにして形成された本発明のセラミックス部材100における、酸素拡散防止層20と酸化物系セラミックス層30とを含む多機能のコーティング層は、従来の耐環境性コーティング層において不十分であった耐久性を獲得することができる。従って、本発明に係るセラミックス部材100における非酸化物系セラミックスの基材10をコーティングする材料は、優れた耐久性を獲得するための耐環境性コーティング材料として有用である。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]
SiC繊維結合型セラミックスからなる基材の表面上に中間結合層を形成させるために、PVD法により基材の表面にTaの層(膜厚0.02μm)を形成した。その後、中間結合層上に酸素拡散防止層を形成させるために、PVD法によりTaの層上にIrの層(膜厚0.5μm)を形成した。さらに、酸素拡散防止層上に飛散防止層を形成させるために、EB−PVD法により酸素拡散防止層上にHfOの層(膜厚40μm)を形成した。このようにしてコーティングした基材は、外観上良好な皮膜を形成していた。
次に、耐久性の評価として、電気炉による熱サイクル試験を実施した。試験は、1300℃×2時間保持・10サイクルの熱処理を大気中で行った。この試験の終了後、1400℃×2時間保持・10サイクル、1500℃×2時間保持・10サイクルという条件でも試験を行った。なお、昇温速度は200℃/hrとし、冷却はヒーターをOFFにして炉内で放置冷却した。その結果、全ての条件下において、セラミックス部材のコーティングの剥離は認められず、良好な耐久性を示すことが明らかになった。
[実施例2]
常圧焼結法によるSiC焼結体を基材とした他は、実施例1と同様にセラミックス部材を製造し、電気炉による熱サイクル試験を実施した。本実施例においてコーティングした基材は外観上良好な皮膜を形成していた。また、熱サイクル試験の結果、本実施例のセラミックス部材も、全ての条件下において、コーティングの剥離が認められず、良好な耐久性を示すことが明らかになった。
[実施例3]
ガス加圧焼結法によるSi焼結体を基材とした他は、実施例1と同様にセラミックス部材を製造し、電気炉による熱サイクル試験を実施した。本実施例においてコーティングした基材は外観上良好な皮膜を形成していた。また、熱サイクル試験の結果、本実施例のセラミックス部材も、全ての条件下において、コーティングの剥離が認められず、良好な耐久性を示すことが明らかになった。
[比較例1]
SiO(イットリウムシリケート)は現在有望な耐環境性コーティングの候補材料と考えられている。そこで、基材にYSiOをコーティングしたセラミックス部材が良好な耐久性を示すかどうかを確認した。
SiC繊維結合型セラミックスを基材の表面上に、基材と熱膨張係数が整合する酸化物の層を形成した。酸化物としてはYSiO(イットリウムシリケート)を用い、酸化物層の形成は溶射法により行った。なお、酸化物層の膜厚は40μmとした。
実施例1に記載の方法と同様に電気炉による熱サイクル試験を実施した。その結果、YSiOをコーティングした基材は外観上良好な皮膜を形成していたが、本実施例により製造したセラミックス部材は、1300℃×2時間保持を2サイクル実施したところで顕著な剥離が生じ、耐久性が不十分であることが明らかになった。
[比較例2]
次に、常圧焼結法によるSiC焼結体を基材とした他は、比較例1と同様にセラミックス部材を製造し、実施例1に記載の方法と同様に電気炉による熱サイクル試験を実施した。その結果、本実施例においてコーティングした基材は外観上良好な皮膜を形成していたが、本実施例により製造したセラミックス部材は、1300℃×2時間保持を1サイクル実施したところで顕著な剥離が生じ、耐久性が不十分であることが明らかになった。
[比較例3]
また、ガス加圧焼結法によるSi焼結体を基材とした他は、比較例1と同様にセラミックス部材を製造し、実施例1に記載の方法と同様に電気炉による熱サイクル試験を実施した。その結果、本実施例においてコーティングした基材は外観上良好な皮膜を形成していたが、本実施例により製造したセラミックス部材は、1300℃×2時間保持を1サイクル実施したところで顕著な剥離が生じ、耐久性が不十分であることが明らかになった。
本実施の一形態として説明するセラミックス部材の表面構造を示す図である。 本実施の一形態として説明するセラミックス部材の表面構造を示す図である。 本実施の一形態として説明するセラミックス部材の表面構造を示す図である。 本実施の一形態として説明する種々の材料の酸素透過性を示す図である。
符号の説明
10 基材
20 酸素拡散防止層
30 酸化物系セラミックス層
40,50 中間結合層
100 セラミックス部材

Claims (23)

  1. 非酸化物系セラミックスの基材上に酸素拡散防止層を有し、前記酸素拡散防止層上に酸化物系セラミックス層を有することを特徴とするセラミックス部材。
  2. 前記酸化物系セラミックス層の密度が、前記酸素拡散防止層の密度より高いことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス部材。
  3. 前記基材と前記酸素拡散防止層との間にTaからなる第1の中間結合層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス部材。
  4. 前記第1の中間結合層の密度が、前記酸素拡散防止層の密度より低いことを特徴とする請求項3に記載のセラミックス部材。
  5. 前記酸素拡散防止層と前記酸化物系セラミックス層との間にAl又はSiOからなる第2の中間結合層を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス部材。
  6. 前記第2の中間結合層の密度が、前記酸素拡散防止層の密度より高く、前記酸化物系セラミックス層の密度より低いことを特徴とする請求項5に記載のセラミックス部材。
  7. 前記基材がSiC又はSiからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックス部材。
  8. 前記基材がさらにセラミックス強化材料を含むことを特徴とする請求項7に記載のセラミックス部材。
  9. 前記酸素拡散防止層が、Ir又はRhからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のセラミックス部材。
  10. 前記酸化物系セラミックス層が、ZrO、HfO、ThO、SiO、希土類酸化物、及び希土類シリケートからなるグループから選ばれる1又は2種以上のセラミックスからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のセラミックス部材。
  11. 非酸化物系セラミックスの基材上に酸素拡散防止層を形成する工程と、前記酸素拡散防止層上に酸化物系セラミックス層を形成して積層体を作製する工程と、前記積層体を焼成する工程と、を含むことを特徴とするセラミックス部材の製造方法。
  12. 前記基材と前記酸素拡散防止層との間にTaからなる第1の中間結合層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のセラミックス部材の製造方法。
  13. 前記酸素拡散防止層と前記酸化物系セラミックス層との間にAl又はSiOからなる第2の中間結合層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11又は12に記載のセラミックス部材の製造方法。
  14. 前記基材がSiC又はSiからなることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のセラミックス部材の製造方法。
  15. 前記基材がさらにセラミックス強化材料を含むことを特徴とする請求項14に記載のセラミックス部材の製造方法。
  16. 前記酸素拡散防止層が、Ir又はRhからなることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載のセラミックス部材の製造方法。
  17. 前記酸化物系セラミックス層が、ZrO、HfO、ThO、SiO、希土類酸化物、及び希土類シリケートからなるグループから選ばれる1又は2種以上のセラミックスからなることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載のセラミックス部材の製造方法。
  18. 前記層を、溶射法、CVD(化学気相蒸着)法、PVD(物理気相蒸着)法、及びスパッタリング法からなるグループから選ばれるいずれかの方法により形成することを特徴とする請求項11〜17に記載のセラミックス部材の製造方法。
  19. 形成した前記層を、当該層を形成する成分のゾル、前駆体溶液、又は粉末スラリーに含浸した後、焼成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のセラミックス部材の製造方法。
  20. 形成した前記層に、当該層を形成する成分を電気泳動電着法により電着させることを特徴とする請求項18に記載のセラミックス部材の製造方法。
  21. 請求項1〜10のいずれかに記載のセラミックス部材からなる高温構造部品。
  22. ガスタービン高温部品であることを特徴とする請求項21の高温構造部品。
  23. 請求項1〜10のいずれかに記載のセラミックス部材からなるガスタービン高温部品を備えたガスタービン。

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